JPH08173450A - 手術用顕微鏡装置 - Google Patents

手術用顕微鏡装置

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JPH08173450A
JPH08173450A JP6320097A JP32009794A JPH08173450A JP H08173450 A JPH08173450 A JP H08173450A JP 6320097 A JP6320097 A JP 6320097A JP 32009794 A JP32009794 A JP 32009794A JP H08173450 A JPH08173450 A JP H08173450A
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JP
Japan
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grip
axis
strain
arm
force
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Application number
JP6320097A
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English (en)
Inventor
Takushi Saito
卓志 斉藤
Hiroshi Odajima
洋 小田嶋
Kenichi Takeuchi
健一 竹内
Masaru Murakami
勝 村上
Shunichiro Takahashi
俊一郎 高橋
Motoki Takahashi
元樹 高橋
Takashi Kobayashi
任 小林
Minoru Hanaoka
稔 花岡
Junichi Nozawa
純一 野澤
Yoshitsugu Hoshino
義亜 星野
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Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Optical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、術者による鏡体移動操作が容易で術
者による鏡体移動操作の負担が軽い手術用顕微鏡装置を
提供することを目的とする。 【構成】本発明は、鏡体部の位置および角度の少なくと
も一方の変更を行う電動駆動手段を有する手術用顕微鏡
装置において、鏡体部の位置および角度の少なくとも一
方の変更する操作を行う操作ハンドルと、前記操作ハン
ドルに加えられた操作力を検出するための検出部と、前
記検出部の検出結果をもとに操作方向を演算する回路
と、前記回路からの出力値に基づいて前記鏡体部の位置
および角度の少なくとも一方の変更を意図した前記操作
ハンドルの操作に従い前記電動駆動部の駆動制御を行っ
て前記鏡体部の位置および角度の変更を行う制御回路と
を具備したことを特徴とする手術用顕微鏡装置である。
これによれば、術者による鏡体移動操作が容易であり、
術者による鏡体移動操作の負担も軽くなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医師が微細な手術を行
う際に術部を拡大観察するための手術用顕微鏡装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】脳神経外科等の微細な作業が行われる外
科手術に使用される手術用顕微鏡はその鏡体が支持装置
のアーム機構の先端にXY移動装置を介して取り付けら
れている。そして、鏡体部の位置を変更する場合はアー
ムの回転軸に備えられた電磁クラッチを解除してアーム
を回動操作することにより鏡体部を空間内で自在に移動
して所望の位置・角度を選択し、また鏡体部を支持した
XY移動装置を電動駆動操作することによって平面内で
の鏡体部が移動して所望の位置に固定するようになって
いる。
【0003】ところで、アーム機構の電磁クラッチに対
する操作入力は、通常、鏡体部に取り付けられた操作ハ
ンドルに備えられた押釦スイッチを操作することによっ
て行うが、特開平3-253810号公報のものでは、電磁クラ
ッチの入力装置の一手段として、操作ハンドルの表面4
方向の各側面にそれぞれ貼り付けられたシートスイッチ
によるものが開示されている。これは術者が鏡体部を移
動させたい方向のシートスイッチに触れることにより術
者が操作しようとした方向の電磁クラッチが解除される
というものである。
【0004】また、XY移動装置の操作入力は、通常フ
ットスイッチ装置に設置されたジョイスティックを操作
することにより行うが、特開平6-230289号公報のものに
はフットスイッチと鏡体部を保持するXY移動装置との
間に存在するアーム機構の回転軸の回転状態を検出した
結果によりXY移動装置の駆動方向の補正を行う装置が
開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
従前の手術用顕微鏡においては、以下のような理由によ
って術者による鏡体移動操作が必ずしも簡潔かつ容易な
ものでなく負担の軽いものとは言い難い。
【0006】例えば特開平3−253810号公報に開
示される操作入力装置においては、術者が操作ハンドル
を握って手動で鏡体部を移動させねばならず、この間、
手術の中断は避けられないものであった。また、操作入
力方向の検出手段がシートスイッチであるために操作ハ
ンドルのシートスイッチの貼ってある部分を触らねば操
作入力ができない。さらに操作入力を行う方向はシート
スイッチの枚数分に限られ、操作力量等の検出による速
度や方向の駆動制御はできないものであった。
【0007】特開平6−230289号公報に開示され
る操作入力装置は、フットスイッチによって電動駆動装
置の操作入力を行うため、手術中にフットスイッチの位
置・方向を目視あるいは足で確認せねばならず、手術の
中断は避けられない。このため、術者が手術に集中しな
がら容易に操作入力することが可能な操作入力手段が待
望される。
【0008】また、前述の特開平6−230289号公
報に開示される操作入力装置はアームの状態を検出した
検出結果に基づいてフットスイッチのジョイスティック
の操作入力を補正することが可能であるが、鏡体部の操
作入力手段と鏡体部の移動装置の間に存在する関節の回
転によって生じる操作入力手段の座標軸と移動装置の駆
動軸の変位を補正することはできない。
【0009】本発明は前記課題に着目してなされたもの
で、その目的とするところは、術者による鏡体移動操作
が容易で術者による鏡体移動操作の負担が軽い手術用顕
微鏡装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決する手段および作用】本発明は、鏡体部の
位置および角度の少なくとも一方の変更を行う電動駆動
手段を有する手術用顕微鏡装置において、鏡体部の位置
および角度の少なくとも一方の変更する操作を行う操作
ハンドルと、前記操作ハンドルに加えられた操作力を検
出するための検出手段と、前記検出手段の検出結果をも
とに操作方向を演算する演算手段と、前記演算手段から
の出力値に基づいて前記鏡体部の位置および角度の少な
くとも一方の変更を意図した前記操作ハンドルの操作に
従い前記電動駆動手段の駆動制御を行って前記鏡体部の
位置および角度の変更を行う制御手段とを具備したこと
を特徴とする手術用顕微鏡装置である。これによれば、
術者による鏡体移動操作が容易であり、術者による鏡体
移動操作の負担も軽くなる。
【0011】
【実施例】
<第1の実施例> 図1ないし図3を参照して、本発明の第1の実施例を説
明する。 (目的)手術用顕微鏡の操作ハンドルのグリップのアー
ムに貼り付けて設置された複数の歪ゲージでグリップに
加えられた操作力の方向および大きさを検出することに
より電動駆動装置の操作入力を行う。また、手動による
操作時に前述の歪ゲージを用いて手動により操作してい
ることを検知して電動駆動装置の駆動をキャンセルする
ことにより手動操作後の電動駆動装置の作動による視野
のずれを防止することにある。 (構成)図1は俯仰アーム機構1を示しており、この俯
仰アーム機構1は図示しない架台に取り付けられた保持
アーム機構2に保持されている。保持アーム機構2は前
記架台に一端が水平な向きに回動可能に支持された図示
しない第1アームと、この第1アームの他端に水平方向
に回動可能に支持される第2アームと、前記第2アーム
に上下方向に回動可能に支持されかつ前記俯仰アーム機
構1を保持する第3のアーム3とからなる。なお、第2
アームは例えば平行リンク機構からなり、水平および上
下方向に変位可能である。また、俯仰アーム機構1を保
持する第3アーム3にはその俯仰アーム機構1の第1俯
仰アーム5が垂直な軸Odを中心に水平な方向へ回動自
在に連結されている。
【0012】第1俯仰アーム5には第2俯仰アーム6の
一端が第1軸7により回動可能な関係で連結されてい
る。つまり、第1軸7の一端は第1俯仰アーム5の内部
に固定的に収納された第1俯仰モータ8の回転軸に接続
されている。第1俯仰モータ8は両方向、つまり正逆回
転可能なものである。第1軸7の他端は第2俯仰アーム
6に固定された軸受9により支持されている。また第1
俯仰アーム5と第2俯仰アーム6とはその第1軸7に連
結した図示しない重さ出し機構により第1俯仰アーム5
に対する第2俯仰アーム6の操作回転重さが規制され、
重さ出しハンドル9によりその回転重さが選択調整する
ことができるようになっている。
【0013】第2俯仰アーム6はその延出側途中部分が
L字型に下方へ屈曲または湾曲して形成されており、こ
の第2俯仰アーム6の延出下端には接眼レンズ11を有
した鏡体部12が第2軸14を中心に回動自在なように
取り付けられている。この第2軸14の一端には第2俯
仰アーム6の内部に固定的に収納された第2俯仰モータ
15の回転軸に接続されている。第2俯仰モータ15は
両方向、つまり正逆回転可能なものである。第2軸14
の他端は鏡体部12に固定された軸受16により支持さ
れている。また、第2俯仰アーム6と鏡体部12とはそ
の第2軸14に連結した図示しない重さ出し機構により
第2俯仰アーム6に対する鏡体部12の操作回転重さが
規制され、それの重さ出しハンドル17によりその回転
重さが選択調整することができるようになっている。
【0014】前記鏡体部12の左右側面部分にはそれぞ
れ操作ハンドル18が取り付けられていて、この操作ハ
ンドル18は鏡体部12の位置や角度を変更する操作を
行うようになっている。各操作ハンドル18は前記鏡体
部12から導出してその途中部分を下方へ屈曲または湾
曲した形状のグリップアーム21とこのグリップアーム
21の先端に取着されたグリップ22とにより構成され
る。図3はその右側の操作ハンドル18を術者が位置す
る方とは反対側からみた外観を示すものである。操作ハ
ンドル18のグリップアーム21はその一端にグリップ
22を支持しその他端が鏡体部12の対応する側面部分
にそれぞれ固定されている。
【0015】グリップ22を取着する側に位置するグリ
ップアーム21の先端部分は、鏡体部12の前後左右各
向きの各側面を平面とした立方状の変形可能な検出部用
部材23として構成されている。そして、鏡体部12の
前後方向に面した前後方向歪検出面24と鏡体部12の
左右方向に面した左右方向歪検出面25にはそれぞれ別
の歪ゲージ26,27が、そのグリップアーム21また
は検出部用部材23の長手方向に歪曲方向が配列して向
くように接着されている。各歪ゲージ26,27のゲー
ジ端子28,29にはそれぞれリード線31が接続され
ている。
【0016】これらのリード線31は前述した図示しな
い架台部に内蔵された装置に接続されている。すなわ
ち、図2で示すように前後側の歪ゲージ26は歪検出器
32に接続され、左右側の歪ゲージ27は別の歪検出器
33にそれぞれ接続されている。つまり、操作ハンドル
18に加えられた操作力を検出するための検出手段を構
成している。歪検出器32,33で検出された歪信号は
コンパレータを内蔵した制御回路34に入力される。制
御回路34はその入力を受けて演算処理する演算手段を
構成し、その結果にもとづいて俯仰モータ駆動電源35
を操作し、前述した各俯仰モータ8,15に正電圧およ
び負電圧の電圧を供給して駆動する制御手段を構成して
いる。また、これの制御手段はグリップ22に加えられ
た操作力の方向および大きさを検出することにより鏡体
部12の俯仰を行う電動駆動手段の操作入力を行う。 (作用)術者が鏡体部12の俯仰を微動操作によって行
うときは操作ハンドル18に軽く触れることによる電動
駆動操作がなされ、また鏡体部12の粗動俯仰を行うと
きは操作ハンドル18を手に握って動かすことによる手
動操作によって対応した各軸7,14を回動させること
ができる。
【0017】まず、操作ハンドル18を用いた鏡体部1
2の電動駆動操作について具体的に説明する。術者は鏡
体部12を俯仰させたい方向のグリップ22の面に力を
加えると、この力を加えた方向にグリップアーム21の
検出部用部材23が歪曲して歪ゲージ26,27がその
歪方向および歪み量に応じた歪信号を出力する。これら
の歪信号はそれぞれの歪検出器32,33で検出される
とともに増幅されて制御回路34に出力する。制御回路
34ではこれに内蔵されたコンパレータで予め設定され
たしきい値と比較して、歪検出器32,33からの出力
がそのしきい値よりも大きい場合には操作入力がなされ
たと判断して俯仰モータ駆動電源35へ駆動信号を出力
する。ここでのしきい値は術者がグリップ22に触れた
程度の力における歪ゲージ26,27の出力からグリッ
プ22を強く押したときの力まで術者の好みに応じて自
在に設定することが可能である。俯仰モータ駆動電源3
5では入力された駆動信号に従って俯仰モータ8,15
への電源供給を行う。
【0018】例えば、術者が鏡体部12を自分からみて
反時計方向へ俯仰させたいときはグリップ22の左側面
を押す。これにより左右方向歪検出面25が図2の左方
向へ歪曲し、これに設けた歪ゲージ27もその左右方向
歪検出面25と共に歪曲し、その歪曲量に応じた正の歪
信号が歪検出器33を介して制御回路34へ入力する。
制御回路34においてはあらかじめ設定された第1のし
きい値よりも入力された歪信号の値が大きい間、俯仰モ
ータ駆動電源35へ正方向駆動信号を出力する。これに
より俯仰モータ駆動電源35は第1俯仰モータ8へ正の
電源供給を行う。第1俯仰モータ8は正方向へ回転して
第2俯仰アーム6は第1軸7を中心に反時計方向に回転
し、鏡体部12は右方向へ俯仰移動する。鏡体部12の
俯仰移動を止めたいときはグリップ22に力を加えてい
る手を離すことにより歪ゲージ27からの歪信号の歪量
が低下して制御回路34で定められた第1のしきい値よ
りも下回ることから、制御回路34からの駆動信号の出
力が停止されて俯仰モータ駆動電源35から俯仰モータ
8への電源供給が停止される。そして、鏡体部12の俯
仰移動が止まる。
【0019】次に、手動による鏡体部12の粗動俯仰操
作を行う場合について説明する。重さ出しハンドル9,
17は通常は強い力を加えれば手動俯仰操作可能な程度
の力で軸7,14を固定するように締め付けており、こ
のため、軽い力での手動による俯仰操作はできないよう
になっている。そこで、手動によって軽い力で俯仰操作
したい場合、例えば鏡体部12を左右方向に俯仰させた
いときは重さ出しハンドル9を、前後方向に俯仰させた
いときは重さ出しハンドル17を緩めた後、グリップ2
2を握って俯仰させたい方向へ鏡体部12を動かすこと
により鏡体部12は対応する軸7,14を中心に俯仰回
転する。
【0020】この手動俯仰操作の際、グリップアーム6
には比較的大きな力が加わり、歪ゲージ26,27から
はそれぞれ歪量に応じた歪信号が歪検出器32,33を
介して制御回路34へ出力される。制御回路34では歪
信号の歪量が前述の第1のしきい値よりも大きい予め定
められた第2のしきい値を超えると、手動俯仰操作がな
されているとみなし、俯仰モータ駆動電源35には駆動
信号を出力しない俯仰モータ駆動停止時間が設定されて
いる。この俯仰モータ駆動停止時間は歪信号の歪量が第
2のしきい値を下回った後、術者の手がグリップ22か
ら完全に離れたと見なされる時間だけ継続される。これ
により術者が鏡体部12の手動による粗動俯仰を行って
いる間は俯仰モータ8,15の電動駆動は行われない。
このように検出手段が一定以上の力量を検知したとき、
つまり手動操作時には電動俯仰駆動は停止する規制機能
を呈する。
【0021】本実施例では制御回路34で第1のしきい
値を設定して、歪検出面24,25での歪量が第1のし
きい値を上回ったときに俯仰モータ8,15に電源を供
給するように構成したが、前記歪検出面24,25の歪
量に応じて前記俯仰モータ8,15への供給電圧値また
は供給電圧のデューティ比を変えるなりして、術者がグ
リップ22に加えた力に応じた速度で俯仰アームが電動
駆動されるように構成することもできる。
【0022】また、第2のしきい値を定めて手動による
鏡体部12の俯仰操作時には俯仰モータ8,15の駆動
を停止するように設定したが、術者がグリップ22を握
って手動による俯仰操作を行うことを検知する機構、例
えばグリップ22の複数の面に貼り付けられたタッチセ
ンサ全てから信号入力があったときに術者がグリップ2
2を握って手動による鏡体部12の俯仰操作を行ってい
るとみなして俯仰モータ8,15への電源供給を停止す
る機構を用いることも可能である。 (効果)本実施例によれば、制御回路34の第1のしき
い値を低く設定することにより、グリップ22に軽く触
れるだけで、電動駆動装置の操作入力を行うことが可能
であり、またグリップ22の、どの部分に触れても構わ
ないため、手術中にピンセットやメス等の手術具を持っ
たままでも手術を中断させることなく操作入力が可能で
あり、術者の負担軽減および手術時間の短縮が図れる。
【0023】また、手動による俯仰操作時には前述の俯
仰モータ8,15の駆動がキャンセルされるように構成
したため、鏡体部12の手動俯仰操作の前後に、俯仰モ
ータ8,15が作動してしまうことによる視野ずれが起
きずに視野の補正をする煩わしさを回避できる。
【0024】なお、本実施例では歪検出部が右側の操作
ハンドル18にある場合について説明したが、歪検出部
は左側の操作ハンドル18にあっても、また両側の操作
ハンドル18にあってもよい。 <第2の実施例>図4ないし図8を参照して、本発明の
第2の実施例を説明する。 (目的)手術用顕微鏡の操作ハンドルのグリップとグリ
ップアームの結合部に設置された力覚センサによりグリ
ップに加えられた力の方向と大きさを検出して電動駆動
手段の操作入力を行う。また、電動駆動手段の移動座標
軸と、操作ハンドルの操作入力座標軸の間に生じる座標
軸の変位を検出して前記操作入力座標軸と操作入力座標
軸が一致する様に操作ハンドルの向きをモータ駆動によ
る補正を行い、術者が鏡体の角度に気を配らずに操作入
力をする事を可能とし、術者の負担を軽減することを目
的とする。 (構成)図4は手術用顕微鏡の鏡体部を保持する俯仰ア
ーム機構部41を示す。この俯仰アーム機構部41は前
述した第1の実施例の場合と同じように架台および保持
アーム機構等からなる支持装置の先端アーム36の先端
部分にXY移動装置42を介して吊持的に取り付けられ
ている。XY移動装置42はこれに吊持する俯仰アーム
機構部41をXYZ座標系40のXY軸方向へ移動させ
る移動操作機構である。XY移動装置42には図示しな
い取付部材により俯仰アーム用取付部43が固定されて
いる。この取付部43には軸Eを回転中心として回動自
在な円筒体44が取り付けられている。円筒体44には
リンクアーム45が固定されており、リンクアーム45
は他の3つのリンクアーム46,47,48と共に、前
記軸Eと垂直な軸Fこの軸Fと平行な軸G,H,Iをそ
れぞれ回転中心とした平行四辺形リンク機構を形成して
いる。軸Eと軸Fにはそれぞれ従来例と同様の電磁クラ
ッチ49,50が設けられ、それに加えてその軸E,F
の回転角度を検出するアブソリュートタイプのエンコー
ダー51,52が備えられている。また、鏡体部12は
前記リンクアーム48の一端にある軸Iの位置に固定さ
れている。
【0025】前述した第1の実施例と同様、鏡体部12
の左右側面部分にはそれぞれ操作ハンドル18が取り付
けられている。各操作ハンドル18は前記鏡体部12か
ら導出してその途中を下方へ屈曲または湾曲した形状の
グリップアーム21と、このグリップアーム21の先端
に取着されたグリップ22とにより構成される。グリッ
プアーム21の基端は、鏡体部12の側面に固定された
操作ハンドル駆動機構55に支持されている。各グリッ
プ22には、電磁クラッチ49,50を同時に固定/解
除するためのグリップスイッチ53がそれぞれ設けられ
ている。
【0026】この操作ハンドル18には前記XY移動装
置42のためのXYZ座標系40とは別の操作入力座標
系54が具備している。XYZ移動座標系40は鉛直方
向をZ軸とし、XY移動装置42についての術者56に
対する左右と前後の移動方向に一致するZ軸の垂直な方
向をそれぞれX軸、Y軸とする。また、操作入力座標系
54ではグリップアーム21におけるグリップ22に隣
接するその取付部の中心軸方向をZ軸とし、このZ軸が
XYZ移動座標系40の場合と同様、鉛直方向にあると
き、前記XY移動装置42のXYZ座標系40における
X軸とY軸にそれぞれ平行な方向をそれぞれX軸、Y軸
とする。XY移動装置42のためのXYZ座標系40
と、この操作入力座標系54は平行移動した原点のみが
異なる関係にある。図4に示すように、全可動軸および
グリップ22は鏡体部12の観察光軸Oと操作入力座標
系54のZ軸が鉛直な方向のときの位置をそれの基準位
置とする。
【0027】左右の操作ハンドル18は同様に構成され
ている。図5で示すように操作ハンドル18においての
グリップアーム21とグリップ22との結合部には操作
ハンドル18に加えられた操作力の方向およびその強さ
を検出する検出手段としての静電容量形力覚センサ61
が設けられている。この力覚センサ61によって前記グ
リップアーム21とグリップ22を結合している。この
検出手段としての力覚センサ61は図5で示すように平
行平板電極である固定電極62と可変電極63で静電コ
ンデンサを構成し、その電極62,63をXY2方向の
力検出用に特殊な電極パターンとしなり、各電極パター
ンの静電容量変化を検出することにより可変電極63に
取り付けられた操作軸64に加えられた力の方向および
大きさを検出する4軸力覚センサであり、これ自体は一
般に公知なものである。
【0028】本実施例においてはグリップアーム21の
端部に固定電極62が固定されており、グリップ22側
に操作軸64を介して可変電極63が固定されている。
また、力覚センサ61のX方向の検出軸が術者の左右方
向に設定され、Y方向の検出軸が術者の前後方向に一致
するように設定されている。
【0029】図6で示すように、グリップ22に設けら
れたグリップスイッチ53は、電磁クラッチ49,50
の電源供給を行う電磁クラッチ電源65に対して操作入
力信号を送るよう接続される。また、前記力覚センサ6
1は、制御回路66にX方向およびY方向の操作力量の
検出値を力量信号として出力するようにその制御回路6
6に接続されている。制御回路66は図示しないコンパ
レータを内蔵した制御回路(演算手段)であり、これに
は力覚センサ61で検出された力量信号(検知信号)が
入力される。また、制御回路66はXY移動電源67に
駆動信号を出力する。XY移動電源67は前記XY移動
装置42に内蔵されたXモータ68およびYモータ69
に正電圧および負電圧の駆動信号を供給するようになっ
ている。
【0030】また、前記エンコーダ51,52は鏡体角
度検出回路71の入力端子に接続されている。グリップ
スイッチ53は電磁クラッチ電源65の他、鏡体角度検
出回路71および制御回路66にも接続されている。鏡
体角度検出回路71から出力された信号がグリップモー
タ駆動演算回路72に入力するように接続されており、
グリップモータ駆動演算回路72からの出力は、モータ
74a,74bへ電源を供給する駆動電源を備えたグリ
ップモータ駆動回路73に接続されている。
【0031】図7は操作ハンドル駆動機構55を示す。
これには操作ハンドル18のグリップアーム21の基端
に対して同軸的に連結して支持される第1軸76を有し
ており、第1軸76は第1ギアケース77に固定された
軸受78により回動自在に支持されている。この第1軸
76にはギア79が設けられている。また、第1ギアケ
ース77には第1ステップモーター81が固定されてい
る。第1ステップモーター81に接続された第2軸82
の他端は第1ギアケース77に固定された軸受83に対
して回動自在に支持されている。第2軸82には前記第
1軸76のギア79と噛み合うウォームギア84が設け
られている。
【0032】前記第1ギアケース77はその側面部分に
中心線が同一直線上にある第3軸85,86を有してい
る。前記鏡体部12に固定された第2ギアケース87に
固定された軸受88,89にそれぞれ第3軸85,86
を支持することにより第1ギアケース77は第2ギアケ
ース87に対して回動自在に支持されている。一方の第
3軸86にはギア91が設けられている。第2ギアケー
ス87に取付け固定された第2ステップモーター92の
第4軸93は前記第3軸86と軸ずれ状態で直角に交差
しており、第4軸93の他端は第2ギアケース87に固
定された軸受94に支持されている。さらに第4軸93
には前記第3軸86のギア91に噛み合うウォームギア
95が設けられている。
【0033】なお、第1軸76と第3軸85,86とは
互いに同一平面内において垂直な位置関係で配置されて
おり、第2ギアケース87に固定された第2ステップモ
ーター92の第4軸93、第3軸86、ギア91、ウォ
ームギア95による第1ギアケース77のための保持構
造も、上述したグリップアーム21側の保持構造と同様
に構成されている。 (作用)術者56が鏡体部12の微動移動操作を行う場
合は操作ハンドル18での操作によるXY移動装置42
の駆動により行う。また、鏡体部12の粗動移動操作お
よび俯仰操作を行う場合はグリップスイッチ53を操作
して、各回転軸に内蔵された電磁クラッチ49,50を
フリーにすることにより各回転軸を回転させて行う。
【0034】まず、操作ハンドル18の操作による鏡体
部12の微動移動を行う場合について述べる。操作ハン
ドル18に力を加えると、力覚センサ61が、これの力
を検出し、この信号が入力される制御回路66がその操
作を演算処理し、その結果によってXY移動電源67に
駆動信号を出力させる。この駆動信号を受けてXY移動
装置42はXモータ68およびYモータ69を駆動して
行う。つまり、術者56はグリップ22に対して鏡体部
12を移動させたい方向へ力を加えると、これにより力
覚センサ61には術者が加えた力の方向および大きさに
応じて静電容量の変化が起き、この力量の信号を制御回
路66へ出力する。制御回路66では前述した第1の実
施例と同様、予め設定されたしきい値と力量信号の力量
値を比較してその力量値がしきい値よりも大きい場合に
は、XY移動電源67へ駆動信号を出力する。ここで、
しきい値は、第1の実施例と同様に術者56がグリップ
22に触れた程度の力量から強く押した力量まで自在に
設定することができる。XY移動電源67では入力され
た駆動信号に従ってXY移動装置42の各モータ68,
69へ電源を供給する。
【0035】例えば術者56が右側のグリップ22の右
側面を右側へ押したときは力覚センサ61からの力量信
号の力量値が制御回路66のしきい値を上回っている
間、XY移動電源67よりXY移動装置42のXモータ
68へ負電圧の電源が供給され、鏡体部12は左方向へ
移動する。鏡体部12の移動を止めたいときはグリップ
22に力を加えている手を離すことにより、XY移動電
源67のXモータ68への電源供給が止まり、鏡体部1
2の移動が停止する。
【0036】次に、鏡体部12の粗動移動操作および俯
仰操作を行う場合について説明する。この場合はグリッ
プスイッチ53を操作して各回転軸に内蔵された電磁ク
ラッチ49,50をフリーにすることにより各回転軸を
回転させて行う。
【0037】グリップスイッチ53の操作による回転軸
EおよびFの回転を行う鏡体部12の角度変更の動作に
ついて説明する。術者56がグリップスイッチ53をオ
ンにすると、電磁クラッチ49,50は軸E、Fの回転
の固定が解除される。これと同時にグリップスイッチ5
3より歪検出を行う制御回路83へ歪み検出停止信号が
出力され、その制御回路83において力覚センサ61や
第1の実施例で前述したような歪ゲージからの出力がキ
ャンセルされる。すなわち、術者がグリップスイッチ5
3を押している間はXY移動装置42の駆動は行われな
い。この軸E,Fの固定解除により、前記平行四辺形リ
ンク機構を介して固定されていた軸Iの回転が自由にな
る。従って、この状態で術者56はグリップ22に意図
する方向の力をかけることにより、軸E,Iを回転軸と
して鏡体部12を前後左右に俯仰させることが手動で軽
く出来る。鏡体部12の位置を決定したらその位置でグ
リップスイッチ53をオフにする事により固定解除の場
合と同様にして鏡体部12の軸E,Iを軸とする回転位
置に再び固定することが出来る。
【0038】しかし、鏡体部12の前後左右俯仰操作に
より、XY移動装置42の移動座標系40の軸とグリッ
プ22の操作入力座標系54の軸の間に変位が生じて、
術者56の操作入力方向とXY移動装置42の移動方向
が一致しなくなる。前記変位とは軸Eをa度回転させる
と、操作入力座標系54のY軸とZ軸が、XY移動装置
42のY軸とZ軸に対し、a度変位する。軸Fをb度回
転させると、操作入力座標系54のY軸とZ軸が、XY
移動装置42のY軸とZ軸に対し、b度変位することを
意味する。ここで、軸Fと軸Iは平行四辺形リンクによ
り連結されているので常に位置が一致している。
【0039】以下に、図8のフローチャートを用いてそ
の変位を補正する手段を説明する。 [#1]グリップスイッチ53をオンにし、電磁クラッ
チ49,50を解除すると同時にグリップスイッチ53
からオン信号が鏡体角度検出回路71に出力される変位
補正動作がスタートする。 [#2]鏡体角度検出回路71はエンコーダ51,52
から送られた信号を入力し、基準位置を基準とする軸
E、Fの前記オン信号入力時の初期角度α1 、β1を検
出及びメモリーする。ここで、鏡体角度検出回路71は
軸Eが鏡体部12を術者56側から見て基準位置より時
計まわり方向に位置する場合を、軸Fが基準位置より矢
印97方向に位置する場合をそれぞれ正として検出す
る。 [#3]鏡体部12の俯仰操作を終了し、グリップスイ
ッチ53をオフにして鏡体部12を固定する。 [#4]鏡体角度検出回路71はグリップスイッチ53
からオフ信号を入力し、#2と同様にして前記信号を入
力した時の軸E、Fの終了角度α2 、β2 を検出する。 [#5]グリップモータ駆動演算回路72は前記初期角
度α1 、β1 及び終了角度α2 、β2 を鏡体角度検出回
路71から入力し、以下の演算を行いグリップ駆動角度
α、βを算出する。 α=α1 −α2 β=β1 −β2 [#6]グリップモータ駆動演算回路72は、鏡体角度
検出回路71からグリップ駆動角度α、βの信号を入力
し、第4軸93、ウォームギア95、ギア91を介して
第3軸86を矢印98の方向へ角度α、第2軸82、ウ
ォームギア84、ギア79を介してグリップアーム21
を矢印99の方向へ角度βそれぞれ回転するようにステ
ップモーター81,92に電源を供給する。ステップモ
ーター81,92が駆動され、前記の駆動伝達系を介し
てグリップ22が回転し、操作入力座標系54の軸はX
Y移動装置42の移動座標系40の軸に一致する。 (効果)上述の如く、本実施例によれば、力覚センサ6
1でグリップ22に加えられた力の方向と大きさを検出
して操作入力を行うため、術者56がグリップ22に軽
く触れるだけでよく操作することができる。したがっ
て、手術具を持ちながらでも鏡体部12の移動が可能で
ある。また、グリップ22のどの部分を触ってもよいた
め、例えば操作スイッチを探す必要がなく、迅速な操作
入力が可能であり、また術部に対するグリップ22の位
置が不変となるため、操作性も向上し、手術の効率向上
と手術時間の短縮化が図れる。前述した第1の実施例の
歪ゲージをグリップアームに接着する方法に比べるとそ
の構成が簡略化できるとともにその組立てが容易であ
る。さらに、XY移動装置42の移動座標系40の軸
と、グリップ22の操作入力座標系の軸が常に一致する
ので、術者にとって直感的に入力し易くなる。鏡体部1
2の角度に気を配らずに操作入力する事が可能なため、
術者の負担を軽減する事ができる。さらに、電磁クラッ
チ49,50をフリーにすることにより行うアームの手
動操作時には前記操作入力装置の動作がオフになるた
め、手動操作の後に前記操作入力装置の作動による視野
ずれが起こらないので、手動操作後の視野の補正をせず
に済む。 <第3の実施例>図9ないし図12を参照して、本発明
の第3の実施例を説明する。 (目的)この実施例は手術用顕微鏡装置の駆動系直交座
標系と、グリップの直交座標系の角度差を検出し、その
角度差を補正手段で補正し、術者が鏡体部の角度に気を
配らずに操作入力することを可能とし、術者の負担を軽
減することを目的とする。また、グリップをマニュアル
操作部と電動駆動操作部に分けることによりモータの誤
動作を防ぐことが可能で、歪量の検出の容易な操作ハン
ドルを提供することを目的とする。 (構成)図9は顕微鏡の重さをカウンターウェイトによ
り平衡を保つ6軸可動の手術用顕微鏡装置の外観全体を
示す。この架台101はベース102に支柱103を立
設してなり、支柱103はその途中に回転軸D104と
回転軸E105を有しており、回転軸D104と回転軸
E105の回りに回動させることにより支柱103の回
転軸F106を傾斜させ得るようになっている。
【0040】支柱103の上端部には回転軸L107を
有した第1アーム部115が軸部116を介して上下に
傾動自在に枢着されている。また、第1アーム部115
は回転軸F106の回りに回動できる。さらに第1アー
ム部115は連結アーム117を有する平行リンク機構
118を介してカウンタウェイト119と連動するよう
に連結されている。第1アーム部115にもカウンタウ
ェイト120が取り付けられている。
【0041】第1アーム部115はエンコーダL121
を備えた駆動モータL122によって回転軸L107を
中心に回動するように設けられている。四辺形の平行リ
ンク機構118はエンコーダM123を備えた駆動モー
タM124によって前記回転軸L107に直交する回転
軸M108を中心に回動するように連結されている。さ
らに平行リンク機構118の先端には回転軸N109を
中心に回動自在に顕微鏡125を保持する保持部126
が取付けられており、この保持部126にはその回転軸
N109を中心とする回転を検出するエンコーダN12
7が設けられている。
【0042】また、この顕微鏡125の部分には前述し
た第1の実施例と同じように、鏡体部128の傾斜を操
作する操作ハンドル129が設けられている。操作ハン
ドル129はグリップ131とグリップアーム132に
よって構成され、グリップアーム132には術者がグリ
ップ131に力を加えた操作力およびその操作方向を検
出する検出手段のための歪ゲージ133a,133bが
設けられている(図10および図12を参照)。
【0043】また、顕微鏡の架台101には制御装置1
34が備えられている。図10で示すように、歪ゲージ
130a,130b、エンコーダL121、エンコーダ
M123、エンコーダN127、駆動モータL122、
駆動モータM124、歪ゲージ133a,133bに接
続される歪検出器135a,135bは、その制御装置
134内の歪検出回路136、グリップ傾き検出回路1
37、モータ駆動回路138およびCPU(演算および
制御を行う手段)139に接続される。モータ駆動回路
138は、駆動モータL122、駆動モータM124の
電源を有し、各駆動モータ122,124に電源を供給
するよう接続される。各エンコーダ121,123,1
27はこれの取付けられた回転軸の基準状態との角度差
を検出し、その結果をグリップ傾き検出回路137に送
るように接続される。
【0044】図9に図示する直交座標系B140は駆動
モータL122、駆動モータM124の駆動方向を示す
駆動系直交座標系であり、直交座標系E141は操作入
力方向を示すためのグリップ47の直交座標系を示す。
これらの直交座標系はいずれもこれに対応した回転軸が
回転すると、共にその直交座標系の向きが変わる変動直
交座標系である。
【0045】直交座標系B140は、回転軸L107を
Xb 軸、回転軸L107と直交する回転軸M108をY
b 軸とする。直交座標系E141は鏡体部128の左右
方向をXe 軸、回転軸N109と平行な鏡体部128の
観察光軸をZe 軸とする。また、グリップ131がなす
平面はXe 軸とZe 軸がなす平面と平行である。また、
基準状態においては直交座標系B140のZb 軸は鉛直
方向と一致し、図9で示すように平行四辺形リンク機構
118の各アームは直角な状態にあり、回転軸L107
と鏡体部128の左右方向、回転軸M108と鏡体部1
28の前後方向が一致するように設定する。すなわち直
交座標系B140と直交座標系E141の向きは一致す
る。
【0046】図11は顕微鏡125の一部分を示し、回
転軸L107、回転軸M108、回転軸N109を回転
させてグリップ131を傾斜させた状態にある。また、
この図11に示す5つの直交座標系は図9と同様の駆動
系直交座標系B140とグリップ131の直交座標系E
141の他、グリップ131の座標系から駆動系直交座
標系に変換する際に必要な補助直交座標系を示してい
る。すなわち、直交座標系A142は回転軸L107を
Xa 軸、回転軸M108をYa 軸、特に鉛直方向をZa
軸としたものである。直交座標系B140は、回転軸L
107をXb 軸、回転軸L107と直交する回転軸M1
08をYb 軸としたもので、直交座標系A142のXa
軸を中心にYa 軸、Za 軸を回転したものである。直交
座標系C143は、回転軸N109をZc 軸とし、直交
座標系B140のYb 軸を中心として、Xb 軸、Zb 軸
を回転させた直交座標系である。直交座標系D144は
鏡体部128の向きを示す直交座標系で、鏡体部128
の左右方向をXd 軸、鏡体部128の前後方向をYd
軸、回転軸N109と平行な鏡体部128の観察光軸を
Zd 軸とする。直交座標系E141はグリップ131の
直交座標系で、直交座標系D144のXd 軸を中心とし
てYd 軸、Zd 軸をδ回転させたものである。
【0047】また、図11に示す顕微鏡の状態では図9
と比べて回転軸L107、回転軸M108、回転軸N1
09がそれぞれα、β、γ回転している。つまり Xa Za 平面とXb Zb 平面がなす角がα Yb Zb 平面とYc Zc 平面がなす角がβ Yc Zc 平面とYd Zd 平面がなす角がγ Xe Ze 平面とYd Zd 平面がなす角がδである。
【0048】図12は術者の手前側から見たグリップ1
31の部分の断面図である。グリップ131はマニュア
ル操作部151を備え、さらに不図示のグリップスイッ
チ、検出手段としての歪ゲージ133a,133bが取
り付いている電動駆動操作部152を有する。電動駆動
操作部152は円筒形状のマニュアル操作部151内に
一端側部分が嵌挿されるとともに、グリップアーム13
2に連結されており、その接続部近傍に前記歪ゲージ1
33a,133bが配設されている。電動駆動操作部1
52の他端側部分は円筒形のマニュアル操作部151の
反対側の開口部より突き出している。前記歪ゲージ13
3a,133bが配設される部分は第1の実施例で説明
した前後方向歪検出面24および左右方向歪検出面25
と同様の方形をなしており、直交座標系E141のXe
軸に正対する検出面には歪ゲージ133aが、直交座標
系E141のYe 軸に正対する検出面には歪ゲージ13
3bが接着されている。また、マニュアル操作部151
の端部より突出した電動駆動操作部152の端縁152
aの外径はマニュアル操作部151の外径よりもわずか
に大きくなっている。マニュアル操作部151は、通常
の手動操作による鏡体移動操作時に術者が握ったときに
電動駆動操作部152に触れないだけの把持長さを有す
る。 (作用)このような手術用顕微鏡装置において、回転軸
L107、回転軸M108、回転軸N109に備えられ
たエンコーダL121、エンコーダM123、エンコー
ダN127はそれぞれ基準状態との角度差を検出し、そ
の結果をグリップ傾き検出回路135に送る。また、グ
リップアーム132に備えられた歪ゲージ133aおよ
び歪ゲージ133bでは、直交座標系E141におけ
る、鏡体操作力のXe 軸方向分力、Ye 軸方向力に相当
する歪量εe=(εex、εey)を検出して、これら
を制御装置134の歪量検出回路136に送る。これに
より制御装置134のCPU139では鏡体操作力によ
り生じたεeのXe 軸方向歪量と、Ye 軸方向歪量を直
交座標系B140の上の歪量に変換して回転軸L107
と回転軸M108の回転方向および回転速度を決定し、
鏡体部128を任意の方向に傾斜させる。この動きを止
める時は、鏡体操作力をゆるめる。歪ゲージ133aお
よび歪ゲージ133bからの出力があらかじめ設定され
たしきい値以下になると、制御装置134のモータ駆動
回路138は駆動モータL122及び駆動モータM12
4への電源供給を停止し、回転軸L107、回転軸M1
08の動きを止める。
【0049】回転軸L107、回転軸M108の動きと
鏡体操作力との関連を説明すると、図9に示すように鏡
体部128と平行四辺形リンク機構118の位置関係が
基準状態にあるとき、術者が鏡体部128を術者側に傾
斜させるため、操作ハンドル129の電動駆動操作部1
52の端面に術者の反対側から力を加えると、歪ゲージ
133bは直交座標系E141上のYe 成分のマイナス
値を検出する。この検出値の絶対値により制御装置13
4のCPU139では回転軸L107の回転速度を決定
し、また検出値の正負により駆動モータL122の回転
方向を決定し、その駆動モータL122を駆動させる。
これにより回転軸L107は正回転し、鏡体部128は
術者側に傾斜する。
【0050】また、図9に示すように鏡体部128と平
行四辺形リンク機構118の位置関係が基準状態にある
とき、術者が鏡体部128を左に傾斜させるためには電
動駆動操作部152に左方向に力を加える。すると、歪
ゲージ133aは直交座標系E141上のXe 成分のマ
イナス値を検出する。この歪量の大きさにより制御装置
134のCPU139では回転軸M108の回転速度を
決定し、その検出値の正負により駆動モータM123の
回転方向を決定し、その駆動モータM123を駆動させ
る。これにより回転軸M108は反回転し、鏡体部12
8は術者に対し左に傾斜する。
【0051】図9に示す顕微鏡において回転軸N109
の角度が、−90゜<γ<90゜の範囲内にあるとす
る。そこで、術者が鏡体部128を任意の方向に傾斜さ
せるために操作ハンドル129におけるグリップ131
の電動駆動操作部152に力を加えると、歪ゲージ13
3aおよび歪ゲージ133bは直交座標系E141にお
けるXe 軸方向とYe 軸方向の歪量εex、εeyを検
出する。これにより制御装置134のCPU139では
直交座標系B140における歪量に変換し、歪量εey
が駆動モータL122の回転速度を決定し、また歪量ε
exが駆動モータM124の回転速度を決定し、それら
の回転方向はεexにマイナスを乗じた値の符号εey
にプラスを乗じた値の符号により決定する。但し、γ=
90゜のときは、歪量εexが駆動モータL122の回
転速度を決定し、歪量εeyが駆動モータM124の回
転速度を決定し、それらの回転方向はεexにプラスを
乗じた値の符号εeyにプラスを乗じた値の符号により
決定する。
【0052】また、90゜<γ<180゜のときは、歪
量εeyが駆動モータL122の回転速度を決定し、歪
量εexが駆動モータM124の回転速度を決定し、そ
れらの回転方向はεexにプラスを乗じた値の符号εe
yにプラスを乗じた値の符号により決定する。
【0053】次に、図11を参照して、回転軸L10
7、回転軸M108、回転軸N109が回転している場
合について説明する。術者が鏡体部128を任意の方向
に動かすため、その鏡体部128を動かしたい方向に電
動駆動操作部152を押したり引いたりすると、歪ゲー
ジ133a,133bは直交座標系E141における歪
量εe=(εex、εey)を検出する。
【0054】直交座標系E141と直交座標系D144
はXe軸とZd軸が平行で、Xe −Ze 平面とXd −Z
d 平面が角δをなしているので、直交座標系D144に
おける歪量εdはεd=(εex、εey・cosδ)
と変換される。直交座標系D144と直交座標系C14
3はZd 軸とZc 軸が平行で、Xd −Zd 平面とXc −
Zc 平面が角γをなしているので、直交座標系C143
における歪量εcはεc=(εex・cosγ、εey
・cosδ・cosγ)と変換される。直交座標系C1
43と直交座標系B140はYc 軸とYb 軸が平行で、
Yc −Zc 平面とYb −Zb 平面が角βをなしているの
で、直交座標系B140における歪εbはεb=(εb
x,εby)=(εex・cosγ・cosβ,εey
・cosδ・cosγ)となる。
【0055】ここで、直交座標系B140は駆動系直交
座標系であるから、εbのy成分により回転軸L107
の、x成分により回転軸M108の回転速度ωL 、ωM
を制御装置134のCPU139が決定する。よって、
回転軸L107、回転軸M108は ωL :ωM =εby:εbx 但し、γ=90゜のときは、 ωL :ωM =εbx:εby の回転速度比で鏡体部128を傾斜させる。
【0056】この動きを止めるときは、鏡体操作力をゆ
るめてあらかじめ設定されたしきい値以下の歪量を歪ゲ
ージ133aおよび歪ゲージ133bが検出すると、制
御装置134のモータ駆動回路138は回転軸L10
7、回転軸M108の動きを止める。
【0057】これらの一連の変換作業は、歪量の変換の
みでなく直交座標系E141上の歪量をグリップ操作力
量の分力として算出した後でも同じ事が言える。つま
り、直交座標系E141上の歪量εe=(εex、εe
y)は直交座標系E141の操作力のfe =(fex,
fey)と制御装置134のCPU139で算出し、直
交座標系D144における操作力fd としてfd =(f
ex,fey・cosδ)と変換し、直交座標系C14
3における操作力fc としてfc =(fex・cos
γ,fey・cosδ・cosγ)と変換し、直交座標
系B140における操作力fb はfb =(fbx,fb
y)=(fex・cosγ・cosβ,fey・cos
δ・cosγ)となる。よって、回転軸L107、直交
座標系B140は、ωL :ωM =fby:fbx=εb
y:εbxの回転速度比で鏡体部128を傾斜させる。
この動きを止めるときは、鏡体操作力をゆるめてあらか
じめ設定されたしきい値以下の歪量を歪ゲージ133a
および歪ゲージ133bが検出すると、制御装置134
のモータ駆動回路138は回転軸L107、回転軸M1
08の動きを止める。
【0058】なお、ここでは説明を簡単にするため、Z
a 軸を鉛直としたが、Za 軸の方向を任意つまり、回転
軸D104、回転軸E105が回転し、回転軸F107
が傾斜していても構わない。図11を使用してその具体
的な一例を示す。回転軸L107、回転軸M108、回
転軸N109がそれぞれ−20゜、−20゜、45゜回
転し、グリップ131がなすXe Ze 平面と直交座標系
C143のXc −Zc 平面との角度は30゜とする。
【0059】鏡体部128と正対する術者からみてその
鏡体部128を右斜め前方に傾斜させようと電動駆動操
作部152に操作力を加え、歪ゲージ133aが直交座
標系E141上の歪量εe=(εex、εey)を検出
し、制御装置134のCPU139が直交座標系E14
1の操作力fe をfe (fex,fey)=(1
[N],2[N])と算出したとする。すると、直交座
標系B140における操作力fb は fb =(fex,fey) =(fex・cosγ・cosβ,fey・cosδ・cosγ) と変換されるので、 fb =(1・cos45゜・cos20゜,2・cos30゜・cos45゜) =(0.66[N],1.2[N]) よって、回転軸L107、回転軸M108は、ωL :ω
M =1.2:0.66の回転速度比で鏡体部128を傾
斜させる。 (効果)制御装置134が手術用顕微鏡の回転軸L10
7、回転軸M108、回転軸N109の基準位置との角
度差を管理して、術者が所望する鏡体部128の傾斜方
向に対応する駆動モータ122,124の回転方向、回
転速度を決定して、それを駆動するので、術者が鏡体部
128の角度に気を配らずに電動駆動操作部152に鏡
体部128を傾斜させたい方向に力を加えれば良い。こ
のため、鏡体部128の傾斜が容易にでき、術者の負担
が大幅に軽減される。
【0060】また、マニュアル操作部151と電動駆動
操作部152が分かれているので、電動駆動操作部15
2は術者の手動操作に耐え得るだけの強度を持つ必要が
ない。このため、電動駆動操作部152を前述した第1
の実施例における場合よりも細くすることが可能であ
り、歪の検出が容易になり、歪量の検出の精度が向上
し、より精密なモータ駆動による鏡体部128の角度変
更が可能となる。また手動操作においてマニュアル操作
部151を握って操作することにより、手動操作の前後
でモータL122およびモータM124の作動による視
野ずれがない。さらに、歪ゲージ133aおよび歪ゲー
ジ133bが外部に露出していないので、カバー等によ
る歪ゲージ133a,133bの保護が不要である。 <第4の実施例>図13ないし図18を参照して、本発
明の第4の実施例を説明する。 (目的)この実施例は術者が鏡体部を移動させようとし
た方向をグリップにて検出し、アームの回転軸に備えら
れたモータを駆動させることにより鏡体部の移動の初期
操作力量の低減を図り、術者の負担を低減させることを
目的とする。 (構成)図13は手術顕微鏡支持用スタンド装置を示
す。このスタンド装置はアーム部161、鏡体部16
2、支柱部163および架台部164から成り、アーム
部161はさらに第1アーム161a、第2アーム16
1b、第3アーム161cの3つのアーム部分を連結し
て構成されている。また、第1アーム161aと一体に
構成されている回転軸165aは図示しないベアリング
を介して第2アーム161bに保持されており、これに
より第1アーム161aが同図13での矢印Yで示す様
に上下方向に回動可能になっている。
【0061】また、第2アーム161bと一体に構成さ
れている回転軸165bはベアリング166を介してア
ーム部161cに水平な方向へ回転自在に支持されてい
る。支柱部163と一体に構成されている回転軸165
cは第3アーム161cに保持されたベアリング167
に支持され、支柱部163に対して第3アーム161c
を水平な方向へ回転自在な状態に支持している。また、
第1アーム161aの先端にはベアリング167を設
け、このベアリング167によって鏡体部162と一体
的に構成されている回転軸165dを支持し、鏡体部1
62を水平な方向へ回転自在な状態に支持している。す
なわち、第2アーム161bと第3アーム161cおよ
び鏡体部162はそれぞれの回転軸165b,165
c,165dを回転軸中心として水平面内で回動可能と
なっている。鏡体部162には術者が鏡体部162を移
動させるときに手で保持して使用する鏡体移動操作手段
としての鏡体操作ハンドル171が設置されている。
【0062】また、支柱部163には後で述べる鏡体操
作力量検知手段と動力装置とを制御するための制御装置
172が内蔵されている。図14は回転軸165bの周
辺の構成を具体的に示したものである。第3アーム16
1cの内部には回転軸165bの近傍に位置して動力装
置であるモータ173bが設置されており、このモータ
173bの回転駆動力はベルト174bを介して回転軸
165bに伝達されるようになっている。これと同様に
他の3つの回転軸165a、165c、165dの近傍
にも図示しないモータおよびベルトが設置されており、
それらの回転駆動力を対応する各回転軸165b、16
5c、165dに対して伝達するようになっている。
【0063】図15は前記鏡体移動用操作ハンドル17
1の詳細を示したものである。すなわち、グリップアー
ム176とグリップ177とからなり、グリップアーム
176の末端は図示するように立方体形状に構成されて
おり、この立方体178の6つの面には検知手段として
圧電素子178a〜178fが設置されている。これら
の圧電素子178a〜178fはその基幹部を導線又は
半導体で構成され、外部からの圧力で発生する導線又は
半導体のひずみによりそれの電気的抵抗値が変化するこ
とを利用して圧力を検知するものであり、これ自体は一
般的に知られたものが用いられている。そして、図16
で示すようにそれぞれの圧電素子178a〜178fが
術者が保持する部分であるグリップ99の内部に内接し
て立方体178の各面との間に介挿されるように設けら
れている。 (作用)以上のような構成を持つ手術顕微鏡支持用スタ
ンド装置においての各構成要素の作用を図16と図17
を用いて説明する。図16は鏡体移動方向の検知方法に
ついてのものである。グリップ177に力が加わってい
ない通常の状態では図16(a)のように各圧電素子1
78a〜178fには力が加わらないため、6つの圧電
素子178a〜178fを流れる電流は一定となる。し
かし,術者がグリップ177を持って図16(b)のよ
うに下方向への力Fを加えた場合、すなわち、鏡体部1
62を下に向けて移動させようとした場合は圧電素子1
78fがグリップアーム176とグリップ177との間
に挟まれて術者により力Fに相当する力F1 を受ける。
このF1 の大きさは圧電素子178fの抵抗変化量、す
なわち電流変化量として得ることができる。同様に図1
6(c)の様に術者が水平方向に力Fを加えた場合、す
なわち鏡体部162を水平方向に移動させようとした場
合にはその方向に対応した圧電素子178cが力F2
受け、力F2 の大きさは圧電素子178cの抵抗変化
量、すなわち電流変化量として得ることができる。ま
た、水平方向に対してある角度を持った方向に力Fを加
えた場合には複数の圧電素子に図示しない力Fの分力F
3 が加わり、各圧電素子178a〜178fに加わる分
力F3 の差、すなわち各圧電素子178a〜178fを
流れる電流の差を比較することによって力Fが加えられ
た方向を検知することができる。
【0064】以上のような手段によって鏡体移動方向お
よびその力量が検知され、信号として支柱部163の中
の制御装置172に入力される。制御装置172ではそ
の入力された信号により、鏡体移動方向に加えられた力
Fが小さくなるように各回転軸165a、165b、1
65c、165dの回転方向、時間、速度を算出し、動
力装置に伝えることにより各回転軸165a〜165d
を回動させる。
【0065】各回転軸165a〜165dの制御方法に
ついての詳細を図17を用いて説明する。図17は手術
用顕微鏡のスタンド装置を上から見た図である。図17
(a)の状態において術者が鏡体移動用操作ハンドル1
71を保持し、図示のようにFなる力を与えた場合、操
作ハンドル171の内部の検知手段により力Fの与えら
れた方向および力量が検知され、制御装置172により
各回転軸165a〜165dは図示の矢印方向に回転力
が与えられる。この回転力は鏡体部162が一定の速度
になるまで、すなわち、力Fがゼロになるまで与え続け
られる。
【0066】次に、所望の位置で静止させるときには図
17(b)に示すように鏡体部162の移動方向と逆方
向F′なる力が与えられることになるため、各回転軸1
65a〜165dに対し、図示の矢印方向すなわち回転
方向に対し逆方向に回転力が与えられる。この回転力は
F′が与え続けられる間、継続して与えられ、鏡体部1
62が静止したとき、すなわちF′がゼロになったとき
に停止される。同様に図17(c)に示すように鏡体部
162に対し横方向の力F″が与えられる場合には各回
転軸165b、165c、155dは図示の方向に回転
力が与えられ、静止させる場合には図17(d)の様に
各回転軸165b、165c、165dに対し逆方向に
回転力が与えられる。鏡体移動および停止時に与えられ
る回転力は急激な回転力が与えられて鏡体部162に衝
撃が加わらないように回転の速度、時間を制御装置17
2にて制御されているため、スムーズに移動し停止する
ことができる。
【0067】なお、上記の実施例ではモータ173と回
転軸165がベルト174で連絡されているため、鏡体
部162が定速で移動しているとき、モータ173に回
転力が伝わることによる負荷の影響が考えられるが、例
えば回転軸と軸と垂直になる面で2分割し、それぞれを
電磁クラッチにて結合する構造にし、鏡体部が定速で移
動している場合には電磁クラッチを切り離してモータへ
回転軸の回転力が伝わらないようにすれば定速移動時の
モータへの影響は排除できる。
【0068】また、本実施例では動力装置から回転軸へ
の回転力伝達手段としてベルトを使用しているがこれに
限るものではない。例えばモータの回転軸およびアーム
の回転軸にそれぞれ歯車を構成し、これを噛み合せるこ
とによって回転力を伝達する方法やモータの回転軸に例
えばゴムのような弾性体からなるローラーを構成して回
転軸の外周にこれを圧接する事によって回転力を伝達す
る方法や、また定速回転で高トルクが得られ回転角度の
制御できるモータ、例えばサーボモータかステッピング
モータ又は超音波モータを使用すればアームの回転軸の
回転中心とモータの回転軸が一体になるように構成し、
モータの回転力を直接回転軸に伝達するようにしてもよ
い。
【0069】さらに本実施例においてはグリップの圧電
素子からの信号入力があったときにモータを起動させて
いるが、図18に示すようなモータ受181に設置され
た常時回転しているモータ182をロータリーソレノイ
ド183の駆動によりベルト184に圧接させる構成を
とることにより、信号入力と同時にモータの回転を回転
軸に伝えることが可能になるため、モータ駆動時のトル
ク不足を解消することができる。 (効果)以上のような第4の実施例によれば、鏡体移動
操作の初期および移動停止時に発生する慣性力を相殺
し、鏡体部をよりスムーズに所望の位置に移動させるこ
とができる。 [付記] (1)鏡体部の位置および角度の少なくとも一方の変更
を行う電動駆動手段を有する手術用顕微鏡装置におい
て、鏡体部の位置および角度の少なくとも一方の変更す
る操作を行う操作ハンドルと、前記操作ハンドルに加え
られた操作力を検出するための検出手段と、前記検出手
段の検出結果をもとに操作方向を演算する演算手段と、
前記演算手段からの出力値に基づいて前記鏡体部の位置
および角度の少なくとも一方の変更を意図した前記操作
ハンドルの操作に従い前記電動駆動手段の駆動制御を行
って前記鏡体部の位置および角度の変更を行う制御手段
とを具備したことを特徴とする手術用顕微鏡装置。 (2)鏡体部の位置および角度の少なくとも一方の変更
を行う電動駆動手段を有する手術用顕微鏡装置におい
て、鏡体部の位置および角度の少なくとも一方の変更す
る操作を行う操作ハンドルと、前記操作ハンドルに加え
られた操作力を検出するための第1の検出手段と、前記
第1の検出手段の検出結果をもとに操作方向を演算する
演算手段と、前記演算手段からの出力値に基づいて前記
鏡体部の位置および角度の少なくとも一方の変更を意図
した前記操作ハンドルの操作に従い前記電動駆動手段の
駆動制御を行って前記鏡体部の位置および角度の変更を
行う制御手段と、前記電動駆動手段により鏡体部が動い
た角度や距離を検出する第2の検出手段と、前記第2の
検出手段からの出力値に基づいて前記操作ハンドルを駆
動する駆動手段とを具備したことを特徴とする手術用顕
微鏡装置。 (3)前記検出手段は複数の検出部を設けてなることを
特徴とする付記第1、2項に記載の手術用顕微鏡装置。 (4)前記検出手段の検出部が、操作ハンドルのアーム
の複数の面に貼り付けられた歪ゲージであることを特徴
とする付記第1〜3項に記載の手術用顕微鏡装置(第
1、3の実施例に対応)。 (5)前記検出手段の検出部が、前記操作ハンドルのア
ームの軸に設置された力覚センサであることを特徴とす
る付記第1〜3項に記載の手術用顕微鏡装置(第2の実
施例に対応)。 (6)前記検出手段の検出部が、前記操作ハンドルのア
ームとグリップの結合部の面に設置された圧電素子であ
ることを特徴とする付記第1〜3項に記載の手術用顕微
鏡装置(第4の実施例に対応)。 (7)前記操作ハンドルが、手動操作部と電動操作部に
分かれていることを特徴とする付記第1項に記載の手術
用顕微鏡装置(第3の実施例に対応)。これは操作ハン
ドルを手動操作部と電動操作部に分かれるように構成し
たため、手動操作時に電動駆動装置が作動して観察視野
ずれが防止され、そのための視野の補正を行う必要がな
い。 (8)前記検出手段の検出部が、一定以上の力量を検知
したときはその操作入力装置の動作を停止する手段を設
けたことを特徴とする付記第1項に記載の手術用顕微鏡
装置(第1、2の実施例に対応)。 (9)前記検出手段の検出部が、手動操作部の操作入力
が行われたときは停止することを特徴とする付記第1項
に記載の手術用顕微鏡(第2の実施例に対応)。 (10)前記検出手段の検出部が、検出座標軸と駆動手
段の駆動座標軸との間に存在する座標軸方向の変位を検
出して該変位を自動的に補正する手段を有することを特
徴とする付記第1項に記載の手術用顕微鏡(第2、3の
実施例に対応)。これによれば、視野ずれが起こること
がなく、視野の補正を行う必要がない。 (11)前記変位を補正する手段が、操作ハンドルを上
下左右方向に回転駆動する電動駆動装置であることを特
徴とする付記第10項に記載の手術用顕微鏡(第2の実
施例に対応)。 (12)前記変位を補正する手段が、操作ハンドルの検
出座標を電動駆動装置の駆動座標に変換する補正回路で
あることを特徴とする付記第10項に記載の手術用顕微
鏡(第3の実施例に対応)。
【0070】
【発明の効果】以上説明した如く、本発明によれば、操
作ハンドルに加えられた操作力を検知して電動駆動装置
の操作入力を行うため、ごく軽い力量で操作入力が行
え、また操作ハンドルの部分を触っても操作入力を行え
るので、特別に操作スイッチを設けるものに比べてその
操作スイッチを探す手間が省け、例えば術者がピンセッ
ト等の手術具を持った状態でも容易に操作入力を行うこ
とができる。したがって、手術の効率向上および手術時
間の短縮等が可能であり、術者および患者に対しても負
担もかなり低減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る手術用顕微鏡装置
の俯仰アーム機構の部分を示す斜視図。
【図2】同じくその手術用顕微鏡装置の回路部のブロッ
ク図。
【図3】同じくその手術用顕微鏡装置の操作ハンドル部
の斜視図。
【図4】本発明の第2の実施例に係る手術用顕微鏡装置
の鏡体部保持用俯仰アーム機構部の部分を示す斜視図。
【図5】同じくその手術用顕微鏡装置の操作ハンドル部
の力覚センサの説明図。
【図6】同じくその手術用顕微鏡装置の回路部のブロッ
ク図。
【図7】同じくその手術用顕微鏡装置の操作ハンドル駆
動機構の斜視図。
【図8】同じくその手術用顕微鏡装置の変位補正手段の
フローチャート。
【図9】本発明の第3の実施例に係る手術用顕微鏡装置
の全体を概略的に示す側面図。
【図10】同じくその手術用顕微鏡装置の回路部のブロ
ック図。
【図11】同じくその手術用顕微鏡装置の顕微鏡の部分
の斜視図。
【図12】同じくその手術用顕微鏡装置の操作ハンドル
の部分の断面図。
【図13】本発明の第4の実施例に係る手術用顕微鏡装
置の全体を概略的に示す側面図。
【図14】同じくその手術用顕微鏡装置の回転軸の周辺
の構成を示す説明図。
【図15】同じくその手術用顕微鏡装置の操作ハンドル
の部分の斜視図。
【図16】(a)(b)(c)は同じくその手術用顕微
鏡装置の操作ハンドルの部分の作用を示す断面図。
【図17】(a)(b)(c)(d)は同じくその手術
用顕微鏡装置のアーム部の回転制御方法の説明図。
【図18】(a)(b)は同じくその手術用顕微鏡装置
のモータ支持部の説明図。
【符号の説明】
1…俯仰アーム機構、2…保持アーム機構、8…第1俯
仰モータ、12…鏡体部、15…第2俯仰モータ、18
…操作ハンドル、21…グリップアーム、22…グリッ
プ、23…検出部用部材、24…前後方向歪検出面、2
5…左右方向歪検出面、26,27…歪ゲージ、32…
歪検出器、33…歪検出器、34…制御回路、35…俯
仰モータ駆動電源。
フロントページの続き (72)発明者 村上 勝 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内 (72)発明者 高橋 俊一郎 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内 (72)発明者 高橋 元樹 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内 (72)発明者 小林 任 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内 (72)発明者 花岡 稔 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内 (72)発明者 野澤 純一 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内 (72)発明者 星野 義亜 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鏡体部の位置および角度の少なくとも一方
    の変更を行う電動駆動手段を有する手術用顕微鏡装置に
    おいて、 鏡体部の位置および角度の少なくとも一方の変更する操
    作を行う操作ハンドルと、 前記操作ハンドルに加えられた操作力を検出するための
    検出手段と、 前記検出手段の検出結果をもとに操作方向を演算する演
    算手段と、 前記演算手段からの出力値に基づいて前記鏡体部の位置
    および角度の少なくとも一方の変更を意図した前記操作
    ハンドルの操作に従い前記電動駆動手段の駆動制御を行
    って前記鏡体部の位置および角度の変更を行う制御手段
    とを具備したことを特徴とする手術用顕微鏡装置。
JP6320097A 1994-12-22 1994-12-22 手術用顕微鏡装置 Pending JPH08173450A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002522134A (ja) * 1998-07-31 2002-07-23 ライカ ミクロズュステムス アーゲー X−y方向移動用手術用顕微鏡スタンド
JP2005021693A (ja) * 2003-06-30 2005-01-27 Carl Zeiss:Fa 負荷回転モーメントを補償する手段を有する、殊に医療用光学器具のための保持装置
JP2007229507A (ja) * 2007-05-17 2007-09-13 Olympus Corp 手術用顕微鏡

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JP2005021693A (ja) * 2003-06-30 2005-01-27 Carl Zeiss:Fa 負荷回転モーメントを補償する手段を有する、殊に医療用光学器具のための保持装置
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