JPH08172965A - 鶏舎の鶏糞乾燥装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】鶏糞の乾燥効果を一層大きいものにする。 【構成】各区画に適宜の数の鶏を収容するように仕切ら
れた長いケージ列１が、背中合わせに複数段重ねて設け
られ、ケージ列１の下方には、長手方向に延び長手方向
に移動する鶏糞受け用のベルトコンベヤ２を有し、前記
ケージからベルトコンベヤ２上に落下する鶏糞を乾燥さ
せるために、前記背中合わせの各段のケージ列１の間に
送風路８が長手方向に形成され、各段の送風路８には、
往復運動可能な剛性往復桿１３が長手方向の全長にわた
って設けられ、頂部に横方向軸１５を有し互いに隔てら
れて配置された多数の送風翼１４が、前記横方向軸１５
の下方を貫通する前記往復桿１３に、該往復桿１３の往
復時には前記送風翼１４が前記横方向軸１５を中心に回
動可能なように取付けられる鶏舎の鶏糞乾燥装置におい
て、前記送風路８の長手方向両側面７が、多数の開口９
を備えている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、鶏舎の鶏糞乾燥装置に
関する。さらに詳しくは本発明は、各区画に適宜の数の
鶏を収容するように仕切られた長いケージ列が、背中合
わせに複数段重ねて設けられ、ケージ列の下方には長手
方向に延び長手方向に移動する鶏糞受け用のベルトコン
ベヤを有し、ケージから落下する鶏糞をベルトコンベヤ
上で乾燥させる鶏舎の鶏糞乾燥装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】多数の鶏を、複数段に重ねられ、長い列
をなして仕切られたケージに収容し、さらにそのケージ
列を背中合わせに配置するような大規模な養鶏設備で
は、鶏舎内部を清潔に保ち、良好な衛生状態の下で鶏の
健康を確保することは、養鶏業者にとってきわめて重要
な問題である。そのためこの種の大規模鶏舎では、各ケ
ージ列の下方に鶏糞受け用のベルトコンベヤを設けてこ
の上に鶏糞を落下させ、ベルトコンベヤ上で十分ではな
いが鶏糞を乾燥させ、ベルトコンベヤの端部で掻落しや
すいようにしている。しかしながらこの鶏糞の乾燥が不
十分なため、ベルトに鶏糞を付着させたままベルトコン
ベヤを運転することとなって衛生上好ましいことではな
かった。この乾燥を効果的に行うために、ケージに送風
管を設けて強制的に通風を行って鶏糞を乾燥する多くの
乾燥装置が提案されてきた。

【０００３】これらの乾燥装置の中で、本発明者による
米国特許第５，００７，３７９号に開示された装置は、
背中合わせのケージ列の間に送風管路を長手方向に形成
し、この送風管路内の全長にわたって往復運動可能な牽
引ロープを設け、この牽引ロープに互いに隔てられて取
付けられた多数の送風翼が、牽引ロープの往復運動時に
送風翼の頂部の横方向軸を中心に回動して風を起こして
いる。牽引ロープの往復運動は、揺動レバーを介して水
平偏心カムの回転運動をその一端に伝達することと、牽
引ロープを取巻いた少なくとも１個の圧縮スプリングに
よって行われている。

【０００４】しかしながら、この装置では、送風翼を駆
動するのに牽引ロープ又は牽引ケーブルを使用している
ため、引張り力を加えることはできるが押圧力を加える
ことはできないので、これらの牽引手段を引張り方向と
反対方向に移動させるには、圧縮スプリングを用いる必
要があった。牽引手段の往復運動は１分間に１６０回に
も達するので、疲労による圧縮スプリングの破損は避け
られないし、一般的にケージ長１０ｍについて１個の圧
縮スプリングを設けているので、大型の鶏舎では１００
個、２００個又はそれ以上の圧縮スプリングを必要と
し、そのため騒音が大きく、またこれらの交換、管理は
非常に面倒なものであった。

【０００５】これらの欠点を除去するため、本発明者は
先に、冒頭に述べられた種類の装置において、背中合わ
せの各段のケージ列の間に送風路が長手方向に形成さ
れ、各段の送風路には、往復運動可能な剛性往復桿が長
手方向の全長にわたって設けられ、頂部に横方向軸を有
し互いに隔てられて配置された多数の送風翼が、前記横
方向軸の下方を貫通する前記往復桿に、該往復桿の往復
時にはには前記送風翼が前記横方向軸を中心に回動可能
なように取付けられ、前記剛性往復桿の往復運動を駆動
する手段が、各剛性往復桿の一端に機械的に接続される
水平偏心カムを偏心軸線周りに円運動させる垂直駆動軸
を有することを特徴とした鶏舎の鶏糞乾燥装置について
特許を出願した（特願平６−８８４６１号）。

【０００６】またケージ列長さが１００ｍ近く、場合に
よってはそれ以上にも達する長いケージ列を有する鶏舎
用に、前記剛性往復桿を送風路の長さのほぼ中央で二分
し、その中間に二分された剛性往復桿の往復運動駆動手
段を設け、その駆動手段が、中心をずらせて部分的に重
なり合うように送風路の長手方向に平行に配置された２
枚の円板を有し、二分された剛性往復桿の対向する端部
が、２枚の円板の反対側周縁部に機械的に接続され、２
枚の円板が、両円板に外接する仮想円の中心軸線周り
に、自らは回転することなく同速の円運動をすることを
特徴とした鶏舎の鶏糞乾燥装置について特許を出願した
（特願平６−２５３５０９号）。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】剛性往復桿を用いたこ
れらの鶏糞乾燥装置は、前記米国特許記載の装置を大き
く改善したが、なお改良すべき点を有していた。すなわ
ち、背中合わせの長いケージ列は、送風路の長手方向側
壁を形成する長い壁面で仕切られるため、両ケージ列間
の空気の流通が妨げられることは避けられず、新旧空気
の撹拌による置換効果が、ケージ内で必ずしも完全には
行われなかった。本発明はこのような欠点を改善し、ケ
ージ内での新旧空気の置換を一段と良好にし、鶏舎内に
おいて空気が滞留するデッドスポットを解消して、送風
路下のベルトコンベヤ上に滞積された鶏糞を十分に乾燥
できる装置を目的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するた
め、本発明の一実施態様による鶏舎の鶏糞乾燥装置は、
各区画に適宜の数の鶏を収容するように仕切られた長い
ケージ列が、背中合わせに複数段重ねて設けられ、ケー
ジ列の下方には、長手方向に延び長手方向に移動する鶏
糞受け用のベルトコンベヤを有し、前記ケージからベル
トコンベヤ上に落下する鶏糞を乾燥させるために、前記
背中合わせの各段のケージ列の間に送風路が長手方向に
形成され、各段の送風路には、往復運動可能な剛性往復
桿が長手方向の全長にわたって設けられ、頂部に横方向
軸を有し互いに隔てられて配置された多数の送風翼が、
前記横方向軸の下方を貫通する前記往復桿に、該往復桿
の往復時には前記送風翼が前記横方向軸を中心に回動可
能なように取付けられる鶏舎の鶏糞乾燥装置において、
前記送風路の長手方向側壁が、多数の開口を備えている
ことを特徴としている。

【０００９】この場合、前記剛性往復桿が、その一方の
端部に往復運動駆動手段を設けられていても、また、前
記送風路の長さのほぼ中央で２本の往復桿に二分され、
その中間に二分された剛性往復桿の往復運動駆動手段を
設けられていてもよい。前記駆動手段が剛性往復桿の一
方の端部に設けられるときには、該剛性往復桿の端部
を、駆動軸に固定して取付けられた偏心カムを介して、
偏心カムの回転軸を中心に円運動させられる、偏心カム
より直径の大きな円板の周縁部に機械的に接続すること
によって往復駆動させられ、二分された剛性往復桿の中
間に設けられるときは、該剛性往復桿の端部を、中心を
ずらせて部分的に重なり合うように送風路の長手方向に
配置された２枚の円板の反対側周縁部に機械的に接続さ
れ、２枚の円板が、両円板に外接する仮想円の中心軸線
周りに、自らは回転することなく同速の円運動をするこ
とによって往復駆動させられることができる。

【００１０】

【発明の作用】本発明による鶏糞乾燥装置は、上記のよ
うに送風路の長手方向側壁が多数の開口を備えているの
で、背中合わせのケージ列間の空気の流通が良好となる
だけでなく、送風翼によってこれらの開口からもケージ
内内の空気が吸引され、またケージ内に供給されるの
で、鶏舎内における新旧空気の置換が一層均一となっ
て、空気の滞留するデッドスポットを解消する作用を行
う。上記のような送風路長手方向側壁の開口による作用
は、剛性往復桿が全ケージ列に対して１本であっても、
またほぼ中央で二分されていても、それとは無関係に行
われることはもちろんである。

【００１１】

【実施例】図１に示す本発明による鶏糞乾燥装置の一実
施態様は、ケージ列が長手方向のほぼ中央で二分され、
左右対称に配置されており、主として左側半分のみが示
されている。図２は、その横断面を示した図であり、こ
れについては剛性往復桿が長い１本でも、ほぼ中央で二
分されていても変わるところはない。図１及び２に示さ
れた左側半分のケージでは、長いケージ列１が３段に重
ねられ、これらの列が背中合わせに配置されている。各
ケージ列１の下方には、ケージから落下する鶏糞２′を
矢印方向に移送するベルトコンベヤ２が、中央で二分さ
れることなくケージ列全長にわたって設けられている。
ケージの底部は、卵用傾斜面を形成する格子床３で構成
され、前面には餌樋４が取付けられている。背中合わせ
の各ケージ列１の長手方向中央垂直平面の上方には給水
管５が、その下方には水受け６が設けられている。

【００１２】前記中央垂直平面の両側には、各ケージ列
の後壁を形成する二つの平行な壁面７、７が長手方向に
左側ケージ列の全長にわたって延びて、送風路８の両側
壁を形成し、両側壁７、７には多数の開口９が設けら
れ、これらの開口９は、例えば長手方向や上下方向の多
数のスリット又は金網で形成することができる。水受け
６の下方に位置する各壁面７の上端部は内側に、一方、
格子床３より下方に位置する各壁面７の下端部は外側に
曲げられて、それぞれ空気入口１０及び空気出口１１
を、送風路８の上面及び下面に長手方向に沿って形成す
る。空気出口１１の下方には、空気流分割板１２が設け
られる。

【００１３】送風路８内の長手方向中央垂直平面に沿っ
た上部には、例えば金属製の剛性往復桿１３′が、送風
路８の、したがって左側ケージ列の全長にわたって設け
られ、その左端部は、図示しない送風管路８の端部部材
によって支持される。図３に示すようにこの往復桿１
３′（１３″）は、互いに隔てられて配置された多数の
送風翼１４を、その上部に設けられた開口１６を貫通し
て取付けている。送風翼１４の頂部には横方向軸１５が
設けられ、これによって送風翼１４は送風路８の内壁面
に取付けられる。送風翼１４の往復桿１３′への取付け
は、往復桿１３′の往復時に横方向軸１５を中心に送風
翼１４が送風路８内で回動できるように、送風翼上部の
開口１６内頂部の横方向回動軸１７に取付けられた固定
具１８に往復桿１３′を固定する。

【００１４】こうして往復桿１３′に取付けられた送風
翼１４は、送風路８の内壁面との間にわずかな間隙を残
しており、往復桿１３′を図１の左の方へ動かせば送風
翼１４は左の方へ動き、次いで往復桿１３′を右の方へ
動かせば送風翼１４は右の方へ動くようになる。このよ
うに、送風翼１４の往復桿１３′への取付けが、送風翼
１４の回動中心である横方向軸１５に近い横方向回動軸
１７で固定具１８によりなされるので、往復桿の比較的
小さな往復運動を増大して送風翼１４を大きく回動させ
ることができる。送風路８の側壁７、７の開口９は、固
定具１８を取付ける横方向回動軸１７より下方に設ける
のが好ましく、長手方向の長さは、少なくとも送風翼１
４の往復運動の範囲にわたるのがよいが、送風路８のほ
ぼ全長にわたって設けてもよい。

【００１５】次に、二分された往復桿１３′、１３″の
往復運動を駆動する機構の一実施態様について述べる。
左側往復桿１３′の右方の端部１９′は、ケージ列１の
端部から外部に突出し、中心をずらせて部分的に重なり
合うように送風路８の長手方向に平行に配置された２枚
の円板２０′、２０″の一方（左側）２０′の周縁部
に、例えば図４に示すようにクランク２２′を介して機
械的に接続される。２枚の円板２０′、２０″は、両円
板に外接する仮想円の内周に沿ってその中心軸線周り
に、自らは回転せずに例えば図１及び４に矢印で示すよ
うに同速で同方向に円運動を行い、この円運動をクラン
ク２２′、２２″を介して往復運動に変え、往復桿１
３′、１３″に牽引力、押圧力を与えてこれらを矢印方
向に往復運動させる。円板２０′、２０″の円運動は例
えば電気モータで駆動され、中心軸線２１を回転軸とす
る円板２０、２０′より直径の小さな偏心カム（図示せ
ず）を介して行われる。

【００１６】往復桿が１本（１３）の場合の往復運動駆
動手段としては、例えば図５に示すように、特願平６−
８８４６１号の鶏糞乾燥装置に使用された水平偏心カム
を用いることもできる。往復桿１３の端部１９は、例え
ばモータで駆動される垂直駆動軸２３に固定して取付け
られた水平偏心カム２４を介して、偏心カムの回転軸を
中心に円運動させられる偏心カムより直径の大きな円板
（図示せず）の周縁部に、例えばクランク（図示せず）
を介して機械的に接続される。これにより偏心カム２４
は、端部１９に機械的に接続されたまま垂直駆動軸２３
とともに回転して前記円板を円運動させるので、回転運
動を往復運動に変換して往復桿１３を矢印方向に往復運
動させることができる。

【００１７】

【発明の効果】本発明による鶏舎の鶏糞乾燥装置は、送
風路８の両側壁を形成する長手方向の壁面７、７の、少
なくとも往復桿の固定具１８用横方向回動軸１７より下
方に、多数の開口を設けることによって、図６及び図７
に示すように、ケージ内の空気の流れの促進、送風翼１
４により起こされる空気の送風路８内への吸引とケージ
内への供給、新旧空気の撹拌による置換を一段と改善す
るようになり、ケージ内において空気が滞留するデッド
スポットを解消するので、ベルトコンベヤ上の鶏糞の乾
燥にも著しい効果を発揮することができた。なお、図７
では陽圧鶏舎を例として示しているが、本発明は陽圧鶏
舎に限定されるものではなく、陰圧鶏舎にも陽圧鶏舎と
同様に適用される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による鶏糞乾燥装置の一実施態様の左側
半分の側面略図。

【図２】図１の線２−２による垂直断面略図。

【図３】本発明による装置に使用される送風翼と往復桿
の取付け部分の側断面略図。

【図４】本発明による鶏糞乾燥装置の剛性往復桿用往復
運動駆動手段の一実施態様の駆動を示す略図。

【図５】他の実施態様による剛性往復桿用往復運動駆動
手段を備えた鶏糞乾燥装置の水平断面略図。

【図６】本発明による、ケージ内での改良された空気の
流れの一例を示す図。

【図７】本発明による、鶏舎内での改良された空気の流
れの一例を示す図。

【符号の説明】

１ ケージ列 ２ ベルトコンベヤ ２′ 鶏糞 ３ 格子床 ４ 餌樋 ５ 給水管 ６ 水受け ７ 送風管路８の側壁 ８ 送風路 ９ 送風路８の側壁７の開口 １０ 送風管路８の空気入口 １１ 同空気出口 １２ 空気流分割板 １３、１３′、１３″ 剛性（金属製）往復桿 １４ 送風翼 １５ 送風翼１５の横方向軸 １６ 同上部開口 １７ 往復桿固定具１８用横方向回動軸 １８ 同往復桿１３、１３′、１３″用固定具 １９、１９′、１９″ 往復桿１３、１３′、１３″の
端部 ２０′、２０″ 円板 ２１ 両円板セットの中心軸線 ２２′、２２″ クランク ２３ 垂直駆動軸 ２４ 水平偏心カム

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 各区画に適宜の数の鶏を収容するように
   仕切られた長いケージ列（１）が、背中合わせに複数段
   重ねて設けられ、ケージ列の下方には、長手方向に延び
   長手方向に移動する鶏糞受け用のベルトコンベヤ（２）
   を有し、前記ケージからベルトコンベヤ上に落下する鶏
   糞を乾燥させるために、前記背中合わせの各段のケージ
   列の間に送風路（８）が長手方向に形成され、各段の送
   風路には、往復運動可能な剛性往復桿が長手方向の全長
   にわたって設けられ、頂部に横方向軸（１５）を有し互
   いに隔てられて配置された多数の送風翼（１４）が、前
   記横方向軸の下方を貫通する前記往復桿に、該往復桿の
   往復時には前記送風翼（１４）が前記横方向軸（１）を
   中心に回動可能なように取付けられる鶏舎の鶏糞乾燥装
   置において、前記送風路（８）の長手方向両側面（７）
   が、多数の開口（９）を備えていることを特徴とする鶏
   舎の鶏糞乾燥装置。
2. 【請求項２】 前記剛性往復桿（１３）が、その一方の
   端部（１９）に往復運動駆動手段を設けられていること
   を特徴とする請求項１記載の鶏舎の鶏糞乾燥装置。
3. 【請求項３】 前記剛性往復桿が、前記送風路（８）の
   長さのほぼ中央で２本の往復桿（１３′、１３″）に二
   分され、その中間に二分された剛性往復桿の往復運動駆
   動手段を設けられていることを特徴とする請求項１記載
   の鶏舎の鶏糞乾燥装置。
4. 【請求項４】 前記剛性往復桿（１３）が、該剛性往復
   桿の端部（１９）を駆動軸（２３）に固定して取付けら
   れた偏心カム（２４）を介して、偏心カムの回転軸を中
   心に円運動させられる、偏心カムより直径の大きな円板
   の周縁部に機械的に接続することによって往復駆動させ
   られることを特徴とする請求項２記載の鶏舎の鶏糞乾燥
   装置。
5. 【請求項５】 前記二分された剛性往復桿（１３′、１
   ３″）が、該剛性往復桿の端部（１９′、１９″）を、
   中心をずらせて部分的に重なり合うように送風路（８）
   の長手方向に配置された２枚の円板（２０′、２０″）
   の反対側周縁部に機械的に接続され、２枚の円板が、両
   円板に外接する仮想円の中心軸線（２１）周りに、自ら
   は回転することなく同速の円運動をすることによって往
   復駆動させられることを特徴とする請求項３記載の鶏舎
   の鶏糞乾燥装置。