JPH08170639A - 直動案内用軸受ユニット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】機能を損なうことなく、低コストで且つ組付け
が容易な直動案内用軸受ユニットを提供する。 【構成】被搬送体を搭載するキャリッジ１を直動可能に
支持案内する一対の案内軸受の一方は直動転がり案内軸
受３で構成し、他方は構造が簡単で組付けが容易な直動
滑り案内軸受１１で構成した。キャリッジ１の高い直動
精度は一方の直動転がり案内軸受３により確保し、他方
の直動滑り案内軸受１１は横方向のがたを吸収して両案
内軸受同士の平行度のずれを補償する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、被搬送体を支持して
直線方向への移動（直動）を案内する直動案内用軸受ユ
ニットの改良に関し、特に組付け容易性と低コスト化を
図るものである。

【０００２】

【従来の技術】従来のこの種の直動案内用軸受ユニット
としては、例えば図３，４に示すようなものがある。こ
のものは、図示しない被搬送体を搭載するキャリッジ１
を、基台２に固定して取り付けられた一対の案内軸受
３，３で支持案内しつつ、リニアモータＭで直線方向に
移動させるようになっている。その一対の案内軸受３，
３は、いずれも案内レール４に転動体５を介してスライ
ダ６が組み付けられている直動案内軸受（いわゆるリニ
アガイド装置）で構成され、案内レール４を基台２の上
面に固定するとともにスライダ６をキャリッジ１の下面
に固定して取り付けてある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、直動案
内軸受は、案内レール４の側面に設けた転動体転動溝
と、これに対向してスライダ６の側面に設けた転動体転
動溝とで構成される転動路に多数の転動体（例えばボー
ル）５が転動できるように充填されており、それらの転
動体５の転動を介してスライダ６が滑らかに直動するも
のであるから、直動方向に対して横方向のがたを吸収す
るする機能が殆どない。そのため、図示のように左右一
対の直動案内軸受３，３で支持されるキャリッジ１の円
滑な動きを確保するには両案内軸受３，３の平行度を厳
密に調整しつつ組み付けなければならず、組付け作業に
手間がかかるという問題点がある。

【０００４】更には、直動案内軸受自体が複雑な精密製
品であることから高価格にならざるを得ないという問題
点がある。そこで、この発明は、上記従来の問題点に着
目してなされたものであり、機能を損なうことなく、低
コストで且つ組付けが容易な直動案内用軸受ユニットを
提供することを目的としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この発明は、被搬送体を
搭載するキャリッジを直動可能に支持案内する一対の案
内軸受を備えた直動案内用軸受ユニットにおいて、一方
の案内軸受は直動転がり案内軸受で構成し、他方の案内
軸受は前記直動転がり案内軸受に平行する直動滑り案内
軸受で構成したことを特徴とするものである。

【０００６】

【作用】この発明の直動案内用軸受ユニットによれば、
一対の案内軸受のうちの一方のみを直動転がり案内軸受
とし、他方は構造が簡単で高い組み立て精度を必要とし
ない直動滑り案内軸受としたため、手間がかからずに簡
単にユニットの組み立てができてしかも高い直動案内機
能を保つことができる。すなわち、キャリッジの高い直
動精度は一方の直動転がり案内軸受により確保すること
ができ、他方の直動滑り案内軸受は横方向のがたを吸収
する機能を有することから両案内軸受同士の平行度を高
精度に組み立てる必要がなくなり組付け作業が容易であ
る。また、直動滑り案内軸受自体は合成樹脂の射出成形
により量産可能であるから低コストである。

【０００７】

【実施例】以下、この発明の実施例を図面を参照して説
明する。図１は、この発明の一実施例の平面図、図２は
そのII−II線断面図である。なお、従来例と同一または
相当部分には同一の符号を付してある。先ず構成を説明
すると、平板状の基台２の一方の端部に、直動転がり案
内軸受３の断面凹型の案内レール４がねじで固定して取
り付けられている。軸方向に延びる案内レール４は相対
する側壁内面に軸方向の負荷ボール転動溝７を有する。
その案内レール４の側壁内面間に遊嵌されるスライダ６
は側壁外面に案内レールの負荷ボール転動溝７に対向す
る負荷ボール転動溝８が形成されている。これら相対す
る両負荷ボール転動溝７，８に、転動体である多数のボ
ール５が転動自在に嵌合挿入されている。スライダ６の
内部には軸方向に延びる図示されない無負荷ボール循環
路が形成されており、両負荷ボール転動溝７，８内を転
動するボール５がその無負荷ボール循環路を経て無限循
環を繰り返すことによりスライダ６の円滑な直線往復移
動が行われるようになっている。

【０００８】直動転がり案内軸受３のスライダ６の上面
には図示しない取り付けボルト孔が形成されていて、こ
れを利用してスライダ６はキャリッジ１の一端側の下面
に固定して取り付けられている。キャリッジ１の反対端
には、直動滑り案内軸受１１が直動転がり案内軸受３と
平行に取り付けられている。この直動滑り案内軸受１１
は、断面コ字形で一辺に取付けフランジ１２を有して軸
方向にキャリッジ１とほぼ同じ長さに形成された合成樹
脂製品であり、射出成形が可能で量産性に優れた低コス
トのものである。なお、直動滑り案内軸受１１はキャリ
ッジ１より軸方向長さが長くても良い。この実施例の場
合は、コ字形の開口１３を横にして外方に向けて取付け
フランジ１２をキャリッジ１の端部下面に当ててねじ止
めなどの手段で固定されている。

【０００９】そして直動滑り案内軸受１１の開口１３の
内部に例えばステンレス鋼丸棒からなるレール１４を通
し、そのレール両端を支持脚１４ａを介して基台２上に
固定してある。レール１４は直動滑り案内軸受１１の開
口１３の内面の平滑な滑り面１３ａに接触して直動滑り
案内軸受１１を支持している。直動滑り案内軸受１１に
用いる合成樹脂としては、例えばＰＰＳ（ポリフェニレ
ンサルファイド）樹脂，ポリアミド樹脂，ポリアセター
ル樹脂等のエンジニアリングプラスチックやエポキシ樹
脂などの熱硬化性樹脂をベース樹脂とし、炭素繊維，エ
コノール，グラファイト，二硫化モリブデン，ポリイミ
ド，ＰＴＦＥ等の摺動性，耐磨耗性向上物質を充填した
ものが好ましい。

【００１０】このように左右両サイドを直動転がり案内
軸受３と直動滑り案内軸受１１とで支持されたキャリッ
ジ１の駆動源として、リニアモータＭがキャリッジ１と
基台２との間に設置されている。このリニアモータＭの
固定子であるモータ磁石１５が基台２の上面に固定さ
れ、これにモータギャップ１６を介して対向する可動体
であるモータコイル１７の方はキャリッジ１の下面に固
定されている。この実施例のリニアモータＭは、固定子
が永久磁石であるモータ磁石１５に、可動体であるモー
タコイル１７を配してなるリニア直流モータであるが、
このようなリニア直流モータに限定するものではなく、
例えばリニア誘導モータ，リニア同期モータ，リニアパ
ルスモータ，リニアハイブリッドモータ等、その他のタ
イプのリニアモータを用いてもよい。

【００１１】次に作用を説明する。この実施例の直動案
内用軸受ユニットの組付けに際しては、直動転がり案内
軸受３と直動滑り案内軸受１１との間で、従来のように
厳密に平行度を調整する必要はなく組み立ては至って簡
単である。すなわち、直動滑り案内軸受１１がコ字形断
面であるから、予め基台２に固定してある丸棒のレール
１４にその開口部を横方向から差し入れるだけでレール
１４に直動滑り案内軸受１１を容易に組み付けることが
できる。また、直動滑り案内軸受１１はレール１４に対
し開口１３の入り口から奥行きまでの範囲で横方向に滑
ってガタやずれを吸収することができる。そのため、直
動転がり案内軸受３に対する直動滑り案内軸受１１の平
行度の精度が高くなくても、直動滑り案内軸受１１が自
然に微小に横移動してそのずれを吸収しつつキャリッジ
１の直線方向への移動を案内する。キャリッジ１の直動
の精度は直動転がり案内軸受３の直動精度のみで規定さ
れ、両軸受の平行度は関与しない。換言すれば、直動転
がり案内軸受３により十分な高直動精度を確保できると
同時に、直動滑り案内軸受１１により手間がかからない
簡単な組み立て性が得られる。

【００１２】更に、直動滑り案内軸受１１は合成樹脂の
射出成形により量産可能であるから低コストで製造可能
である。このように組み立てた直動案内用軸受ユニット
は、リニアモータＭのモータコイル１７に通電すること
により、図示しない被搬送体を搭載したキャリッジ１を
軸方向に移動させることができる。その移動時、直動転
がり案内軸受３のスライダ６は案内レール４に沿って軸
方向に移動する。案内レール４の負荷ボール転動溝７と
スライダ６の負荷ボール転動溝８との間に挿入されたボ
ール５は、スライダ６の移動に伴って転動しつつ、スラ
イダ６の移動速度より遅い速度で負荷ボール転動溝７，
８内をスライダ６と同方向に移動する。そして、負荷ボ
ール転動溝７，８の一端側に到達するとスライダ６内の
無負荷ボール循環路を経て負荷ボール転動溝７，８の反
対端に戻る循環を繰り返しつつ被搬送体の搬送を行う。

【００１３】なお、直動滑り案内軸受１１は全ての部分
を合成樹脂で形成する代わりに、キャリッジ１と同じく
アルミ合金またはステンレス鋼などの金属でキャリッジ
１と一体または別体に形成して、レール１４と接触する
滑り面１３ａのみに樹脂コーティングしたり、或いは合
成樹脂製のシートを接着するようにしても良い。また、
直動転がり案内軸受３としては、実施例のものに限定さ
れない。例えば転動体はボールに限らずころであっても
良く、転動体の転動溝も片側複数本であっても良い。

【００１４】また、直動滑り案内軸受１１も断面コ字形
に限らず、その他例えば断面Ｌ形でも良く、また取付け
フランジ１２の有無も問わない。

【００１５】

【発明の効果】以上説明したように、この発明の直動案
内用軸受ユニットは、案内軸受のうちの一方のみを直動
転がり案内軸受とし、他方は横方向のがたを吸収する機
能を有する直動滑り案内軸受としたため、両案内軸受同
士の平行度を高精度に組み立てる必要がなくなり、その
結果、組付け作業が容易にできるという効果を奏する。
且つ、直動滑り案内軸受自体を合成樹脂の射出成形によ
り量産することも可能で低コストに提供できるという効
果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例の平面図である。

【図２】図１のII−II線断面図である。

【図３】従来の直動案内用軸受ユニットの平面図であ
る。

【図４】図３の正面図である。

【符号の説明】

１ キャリッジ ３ 直動転がり案内軸受 ４ 案内レール ５ 転動体（ボール） ６ スライダ １１ 直動滑り案内軸受 １４ レール

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 被搬送体を搭載するキャリッジを直動可
   能に支持案内する一対の案内軸受を備えた直動案内用軸
   受ユニットにおいて、一方の案内軸受は直動転がり案内
   軸受で構成し、他方の案内軸受は前記直動転がり案内軸
   受に平行する直動滑り案内軸受で構成したことを特徴と
   する直動案内用軸受ユニット。