JPH08169075A - 光学プラスチック積層シート及びその製造方法 - Google Patents

光学プラスチック積層シート及びその製造方法

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JPH08169075A
JPH08169075A JP6334168A JP33416894A JPH08169075A JP H08169075 A JPH08169075 A JP H08169075A JP 6334168 A JP6334168 A JP 6334168A JP 33416894 A JP33416894 A JP 33416894A JP H08169075 A JPH08169075 A JP H08169075A
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JP
Japan
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layer
laminated sheet
optical plastic
film
organic coating
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JP6334168A
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English (en)
Inventor
Tomohiro Ozuru
智博 大▲鶴▼
Junji Takase
純治 高瀬
Sadao Fujii
貞男 藤井
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 光学的に透明なポリマーからなる第1層と、
該層よりガラス転移温度の低い光学的に透明なポリマー
からなる第2層とを積層してなる積層シートにおいて、
少なくとも一方の表面に有機コート層を介してガスもし
くは湿気バリヤー層、導電層等の二次加工層を有する光
学プラスチック積層シート。 【効果】 耐衝撃性、剛性、表面平滑性、光学的特性を
備え、かつバリヤー層や導電加工層が強固に付着したプ
ラスチック積層シートが得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有機コートを介してバ
リヤー層、透明導電層等の二次加工層を有する光学プラ
スチック積層シート及びその製造方法、並びに該積層シ
ートを用いた耐熱透明基板に関する。
【0002】
【従来の技術】エレクトロニクス技術の急速な進歩にと
もない、液晶表示素子に代表される光エレクトロニクス
素子が注目されており、素子を透明導電層を有するガラ
ス基板上に形成することにより各種用途に供されてい
る。特に、携帯型機器に組み込んだ場合、ガラスの大き
な比重のため機器の重量が大きくなり、そのためガラス
基板の薄厚化が指向され0.4mm程度の基板が利用可
能となった。しかし、ガラスの機械的強度、特に脆性に
課題があり、素子の耐久性を低下させるため、強化ガラ
ス等の特殊な処理をした基板の利用や、素子を衝撃から
保護するために、金属フレームや表面保護用のプラスチ
ックシートを用いる等の対策が実施されている。しか
し、該素子の製造プロセス中での割れによる歩留り低下
という課題を有している。
【0003】以上のように、軽くて割れにくい基板が強
く望まれており、軽量性、耐衝撃性の点からプラスチッ
ク基板を用いた表示素子に対する期待は大きく、0.4
mm程度の厚みを有するプラスチック基板に対するいく
つかの試みがなされている。
【0004】耐熱性が高くかつ表面平滑性の良いプラス
チック基板材料を得る代表的な方法としては、溶剤キャ
スティング法が知られているが、剛性を持たせるために
フィルムを厚膜化する場合、発泡等の欠陥が生じ易い
他、生産性が大幅に低下するので工業的実施は難しく、
200μm程度が限界である。また、溶融押出法により
厚膜化した場合、光学的等方性が損なわれる他、成形時
のダイラインによる表面平滑性や外観が悪く、液晶表示
用基板として用いることは困難である。
【0005】そのため、ポリメチルメタクリレートや変
性オレフィンの様な本質的に低複屈折材料であるプラス
チックや、特開平6−194501号にみられるような
架橋アクリルやエポキシの如き硬化型プラスチックをシ
ート状に成形して利用することが検討されているが、前
者はガラスプロセスで必要とされる耐熱性が無く、後者
は生産性が悪く量産実用性に欠ける等の課題を有してい
る。また、前記耐熱光学フィルムを積層しシート化する
ことも可能であるが、耐熱性と信頼性に優れた接着剤が
無いことや、加熱積層する場合は、高い処理温度が必要
となり、樹脂の変性、着色等の好ましくない劣化が起こ
る。
【0006】これらの課題を解決するために、本発明者
らは、光学的に透明なポリアリレートやポリカーボネー
トに代表されるポリマーからなる少なくとも一つの第1
層と、該層よりガラス転移温度の低い光学的に透明な第
二の材料からなる第2層とを積層してなる、耐熱性と透
明性に優れた光学プラスチック積層シートを提案した
(特願平6−186422号)。かかる提案において、
第1層にキャスティング法で製膜したフィルムを用いる
ことにより低リターデーションで、かつ良好な表面平滑
性を得ることができる。また高いTgを有する樹脂を選
択すれば、高い耐熱性が得られる。該シートは、耐熱
性、剛性、光学的特性の点で実用可能な特性を有してい
る。しかし、表示素子用基板とするにはさらに該シート
表面にガス又は湿気バリヤー(以下、単にバリヤーと記
す)加工や透明導電加工が必要とされている。そのため
該加工層と積層シートとの付着力が不十分な場合、組立
工程時の熱による変化や、酸、アルカリによって、積層
シートは無事であっても、透明導電層やバリヤー層がシ
ートから剥離してしまう。例えば透明導電層にインジウ
ムと錫の複合酸化物であるITOを用い、バリヤー層に
金属やシリコンの酸化物を用いた場合、透明導電層とバ
リヤー層は接着力が強く、同じ無機物どうし相性が良い
と考えられる。しかし、シートとバリヤー層では、シー
トの種類にもよるが一般的に付着力は弱い。このため得
られた表示素子の信頼性が損なわれる他、極端な場合、
加工途中で付着力の弱いところに応力が集中し、シート
から透明導電層がバリヤー層ごと剥がれてしまうという
問題を生じる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
実情に鑑み、ガラスプロセスと互換性が期待でき、耐衝
撃性、剛性、表面平滑性、光学的特性に優れるととも
に、表面への各種二次加工層が強固に付着し容易に剥離
しない光学プラスチック積層シートを提供するものであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記目的を
達成すべく鋭意検討を重ねた結果、光学プラスチック積
層シートとバリヤー層又は透明導電層との間に隣接層間
の付着力を向上させるための有機コート層を介在させる
ことにより、耐衝撃性、剛性、光学的特性及び耐薬品
性、耐溶剤性を併せ持つ、ガラス基板と液晶組立工程が
プロセス互換な光学プラスチック積層シートが得られる
ことを見出し本発明に至った。
【0009】即ち、本発明の第1は、光学的に透明なポ
リマーからなる第1層と、該層よりガラス転移温度の低
い光学的に透明なポリマーからなる第2層とを積層して
なる積層シートにおいて、少なくとも一方の表面に有機
コート層を介して二次加工層を有する光学プラスチック
積層シートを、本発明の第2は、表面に有機コート層を
有する、第1層を構成する光学的に透明なポリマーフィ
ルムと、第2層を構成する、第1層よりガラス転移温度
の低い光学的に透明なポリマーフィルムを直接加熱積層
し、次いで前記有機コート層の上に二次加工を施すこと
を特徴とする光学プラスチック積層シートの製造方法を
それぞれ内容とする。
【0010】本発明の光学プラスチック積層シートは、
高ガラス転移温度を有する耐熱性の高い材料からなる第
1層と、低ガラス転移温度を有する材料からなる第2層
とからなり、少なくとも一方の表面に有機コート層を介
して二次加工層を有する積層構造からなることを特徴と
する。
【0011】本発明において光学的に透明なポリマーと
は、光線透過率が80%以上でヘイズ(haze)値が
5%以下のものを云う。かかる光学的特性を有するポリ
マーとしては、例えば、ポリアリレートやポリカーボネ
ート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等、熱可塑
性のエンジニアリングプラスチックと呼ばれる耐熱性の
高い樹脂が用いられる。
【0012】主鎖に芳香族基を有するポリアリレートや
ポリカーボネートは、耐熱性、透明性に優れ、フィルム
又はシートを得るのに適しており、好ましい材料であ
る。該ポリマーの詳細は、特開昭57−73021号、
特開平1−13583号、特開平2−88634号、特
開平2−23720号等に記載されている。
【0013】第1層は、該層よりも低ガラス転移温度を
有する第2層の片面もしくは両面に積層化され、第2層
の高温加熱時の熱変形を防止する役割を果たしている。
そのガラス転移温度は160℃以上、好ましくは180
℃以上、より好ましくは200℃以上である。またこれ
ら樹脂の共重合体やブレンドもしくはアロイも好適に用
いることができる。第1層の厚みは、積層シートの厚み
や、要求される耐熱形状安定性により決定されるが、通
常、積層シートの20〜80%である。該シートを単に
液晶表示装置用基板として用いる場合、シートは低リタ
ーデーションであることが必要であり、液晶表示装置の
種類にもよるが、一般に50nm以下が好ましく、より
好ましくは20nm以下である。第1層は、単層又は2
層以上の複数層からなる。
【0014】第2層を構成するポリマーとしては、耐熱
性は第1層より低いものを用いる。第2層を構成するポ
リマーのガラス転移温度は、要求される耐熱性の程度に
依存するが、一般には100℃以上であれば良く、好ま
しくは、140℃以上、より好ましくは180℃以上で
あり、第1層を構成するポリマーのガラス転移温度より
も20℃以上低いことが好ましく、更に40℃以上低い
ことが一層好ましい。本発明の積層プラスチックシート
の耐熱性は、前記した如く、第1層の耐熱性からの寄与
が大きい。第2層も単層又は2層以上の複数層からな
る。
【0015】第2層を構成するポリマーは、第1層との
親和性に優れたポリマーが好ましく、最適ポリマー材料
を選択する必要がある。第2層は、常温でのシートの剛
性を出すための役割を果たしている。また、熱的変形に
対しては第1層により守られているため、ガラス転移温
度以上の高温加熱時においても、その片面あるいは両面
に存在する高ガラス転移温度を有する第1層の保護を受
け、加圧等の応力に対しても流動すること無く形態を保
持する。第2層の厚みは、第1層厚みの場合と同様に、
積層シートに要求される特性により決定されるが、積層
シート全体の厚みの80〜20%が選択される。
【0016】また、各層を単独にて溶剤キャスティング
法や溶融押出法により必要とする厚みにフィルム化した
後ラミネートすることにより、表面平滑性の優れた高品
位の積層シートを容易に得ることができ、より好ましい
方法である。この時、第1層は、積層シートの表面を形
成するため、表面平滑性に優れた溶剤キャスティング法
により得られたフィルムであることが特に好ましい。接
着剤を用いてラミネートすることも可能であるが、積層
シートの耐熱性を損なわないように接着剤を選択する必
要がある。接着剤の変色など高温時の好ましくない変化
を防ぐことから、接着剤を用いず、直接各層を加熱融着
することが好ましい。この時は、第1層と第2層の親和
性を特に考慮して加熱融着が可能な材料の対を選択する
必要がある。
【0017】本発明の光学プラスチック積層シートは、
上記の如く、第1層と第2層とを積層してなるので、光
学的特性に優れた薄厚フィルムを得やすいという溶剤キ
ャスト法の利点を生かし、低コストで耐熱厚膜シートを
得ることが出来るという特徴を有している。また、ラミ
ネート法により積層シートを得る場合、高耐熱層(第1
層)は光学的特性や表面平滑性の点から溶剤キャスト法
により成膜したフィルムを用いることができる。更に、
比較的低ガラス転移温度を有する材料は溶融押出法で光
学的特性の良好なフィルムを生産性高く得ることが容易
であるという特徴を利用し、第2層溶融押出フィルムを
用い、積層シートのコストを低減することも可能であ
る。
【0018】また、加熱ラミネート法によれば、一般的
に、第2層はラミネート時にガラス転移温度以上に加熱
されるため、熱アニールの効果を受けることになり、単
一フィルムで有していた複屈折は、熱アニールにより低
下改善され、その結果、得られた積層シートは、単一フ
ィルムのリターデーションの総和より小さくなるという
特徴を有する。このことは、第2層材料として、複屈折
の高い材料を利用可能であることを意味しており、工業
的に利用する場合、第2層材料を成型時に光学的異方性
を注意すること無く成形することができ、高い生産性を
期待することができる。
【0019】好適な加熱ラミネートの方法の一つは、加
熱ロールあるいはベルトによる加熱・加圧ラミネート法
である、必要とする加熱温度はラミネートする材料によ
り異なるが、第2層を構成する材料のガラス転移温度よ
り高く、第1層を構成する材料のガラス転移温度より低
い温度が好適である。熱ラミネートは、比較的低温にて
予備圧着した後、ラミネート温度に加熱し本圧着する
等、加熱を複数の段階に分けて実施することも可能であ
る。熱ラミネート時の気泡巻き込みを防止するため、真
空ラミネート方式も好適に使用可能である。
【0020】加熱ラミネートによる積層化の場合、第1
層及び第2層材料を、主鎖に芳香族基を有するポリアリ
レートやポリカーボネートから選択することが好まし
い。該材料は耐熱性・透明性に優れ、フィルム又はシー
トを得るのに適しており、工業的に容易に入手可能な材
料が多い他、一般的に相溶性が大きく、容易に加熱融着
することが出来る。特に好ましくは、置換又は非置換ヒ
ドロキシフェニルプロパンや置換又は非置換ヒドロキシ
フェニルメタン、置換又は非置換ヒドロキシフェニルシ
クロアルカンをモノマー成分として有する重合体及び共
重合体、及びそのブレンドあるいはアロイである。ビス
フェノールAからなるポリカーボネートはエンジニアリ
ングプラスチックとして広く利用されており、また、ガ
ラス転移温度が約150℃と適度な値を有すると共に、
第1層材料と高い親和性を有しており、特性・コストの
面から、特に好ましい第2層材料である。
【0021】一方、少なくとも一つの第1層に予め機能
を付与することも可能である。例えば、第1層を構成す
るフィルムを予め延伸し一定の複屈折性を付与して位相
差フィルムとした後、積層シート化することにより位相
差フィルムを一体化させたプラスチック積層シートを得
ることができる。この時、第1層を構成する位相差フィ
ルムは高いガラス転移温度を有するため、加熱ラミネー
ト時においても、余りリターデーションが低下しないと
いう特徴を有しており、高度にリターデーションを制御
されたシートを得ることができる。このような第1層を
有する積層シートを用いることにより、より高機能の表
示装置用基板を得ることができ、特にSTN液晶表示装
置にとって非常に有用である。
【0022】本発明の積層シートは、上記積層シートの
少なくとも一方の表面に有機コート層を存在させ、該有
機コート層を介して二次加工層を設けたものである。本
発明の有機コート層は、積層シートとバリヤー層間の付
着力を高めるものであって積層シートの耐熱性、透明
性、表面性を妨げるものでなければ特に制限はない。例
えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、
ウレタン樹脂等のコーティング剤が好ましく、これらは
単独又は2種以上組み合わせて用いられる。エポキシ樹
脂は、ビスフェノール型、フェノールノボラック型、o
−クレゾールノボラック型、アルコールエーテル型、グ
リシジルアミン型等のエポキシ樹脂と、硬化剤としてア
ミン類及びポリアミド類、酸及び酸無水物類等が好まし
い。アクリル樹脂は、アクリル酸、メタクリル酸、マレ
イン酸、メタクリル酸ヒドロキシプロピル等を含むアク
リルポリオールとイソブチル化メラミン樹脂等の組み合
わせが好ましい。ウレタン樹脂については、フェノール
樹脂の様な活性水素供与体とイソシアネートとの組み合
わせが好ましい。
【0023】有機コート層は、また表面を改質するカッ
プリング剤、例えばシラン系、チタン系、アルミ系のカ
ップリング剤で処理することにより設けてもよく、これ
らは単独又は2種以上組み合わせて用いられる。シラン
系カップリング剤としては、ビニルトリエトキシシラ
ン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3
−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が好ま
しい。チタン系カップリング剤としてはカルボキシ系、
ホスファイト系、ピロホスフェート系、アミノ系等が好
ましい。アルミ系カップリング剤としては、アセトアル
コキシアルミニウムジイソプロピレートが好ましい。
【0024】これらの有機コート層は、積層シートとの
少なくとも一方の面に存在する。その厚みは0.01〜
10μmが好ましく、さらに好ましくは、0.1〜5μ
mである。10μmを越えると有機コート層の内部応力
により有機コート層が積層シートから剥離しやすくな
り、また積層シートの表面平滑性を悪化させる恐れがあ
る。また0.01μm未満では付着力の向上をもたらす
効果が不十分となる。
【0025】本発明の積層シートに有機コート層を設け
るには、積層シートの特徴である表面性を悪化させない
ようにすることが必須である。その方法としては、有機
コート層を形成する材料を含有した溶液を通常行われて
いるスプレー法、スピンナー法、バーコーター法、転写
法、浸漬法によって塗工した後、必要により加熱硬化し
形成される。順序としては第1層のフィルム表面に有機
コートを施し、その後有機コート層の存在しない面を積
層しシート化してもよいし、積層シートに有機コート層
を塗工してもよい。有機コート層は、積層シートの少な
くとも片面に存在していればよいが、必要により両面に
存在させてもかまわない。
【0026】上記有機コート層の上に設けられる二次加
工層としては、バリヤー層、透明導電層等が挙げられ
る。例えば、本発明の有機コート層を有する光学プラス
チック積層シートは、ガラスと同様に、光エレクトロニ
クス素子用基板として、有機コート層上にインジウムと
錫の複合酸化物に代表される透明導電加工等の2次加工
をすることができるが、加工条件としては、透明導電フ
ィルムで実施されている条件を参考にしながら最適な条
件を見出す必要がある。また、必要に応じ、エチレン─
ビニルアルコール共重合体(エバール:登録商標)やポ
リ塩化ビニリデン等の有機系ガスバリヤー加工や、シリ
カ、アルミナ等からなる無機系ガスバリヤー加工を行
う。本発明では有機コート表面にバリヤー加工をするこ
とは言うまでもない。該バリヤー層上に透明導電加工を
することもできる。また、両面に有機コート層を設け、
その一方の面にペン入力装置を構成するための透明導電
層を、他方の面にバリヤー層及び液晶表示装置駆動用の
透明導電層を逐次形成させ、ペン入力装置が一体となっ
た液晶表示装置用の基板とすることもできる。
【0027】いずれの場合においても、プラスチック積
層シート上に有機コートを施したことにより、これまで
のように積層シートとバリヤー層や透明導電層が剥離す
ることなく、良好な耐熱性、耐溶剤性を保持した基板を
得ることができる。
【0028】本発明の光学プラスチック積層シートは、
耐熱性、光学特性、表面平滑性を備えガラスと共用又は
互換可能であり、表示素子用基板として有用である。更
に、ガラスと異なり耐衝撃性に優れ、かつ軽量であるた
め、大面積化が要求されている液晶表示素子用基板材料
として特に有用である。
【0029】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明を更に具体的
に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0030】実施例1 第1層の材料として、溶剤キャスティング法により製膜
され、ガラス転移温度が215℃、リターデーションが
10nmである75μm厚のA4版サイズの透明ポリア
リレートフィルム(エルメック F−1100:鐘淵化
学工業株式会社の登録商標)を用い、第2層の材料とし
て溶融押出法により成形された、ガラス転移温度が15
0℃、リターデーションが150nmである、ビスフェ
ノールAからなる300μm厚の透明ポリカーボネート
フィルムを用い、ポリカーボネートフィルムをポリアリ
レートフィルム2枚で挟み、真空ラミネート機で100
℃にて仮圧着した。その後ガラス板で挟み200℃に加
熱・本圧着し、強固に融着した450μm厚の積層シー
トを得た。
【0031】得られた積層シートのTMA分析による軟
化温度は245℃であり、ポリアリレート単独のフィル
ムとほぼ同程度の軟化温度を示した。一方、ポリカーボ
ネートの軟化温度は180℃であった。また、作成した
積層シートはリターデーションは20nmと、優れた光
学的等方性を有していた。また、表面粗さは、平均で
0.028μmであった。
【0032】得られた積層シートの一方の面に、シラン
カップリング剤(Y−5187:日本ユニカー株式会社
の商品名)の1重量%エタノール溶剤をスピンコーター
で塗布した後100℃で5分、200℃で20分乾燥
し、0.2μmの厚さの有機コート層を有する積層シー
トを得た。このシートの有機コート層上に、真空スパッ
タリング法にて、SiOx層を500Å、ITO層10
00Åを順次形成させ、バリヤー層と透明導電層を有す
る耐熱透明基板を作成した。得られた透明耐熱基板は、
表面抵抗が52Ω/□、酸素透過性が0.4cc//m
2 /day以下であった。該シートをエタノールアミン
を主成分とするエチレングリコールの30%溶液に60
℃にて15分浸漬しても何ら変化は認められなかった。
一方、有機コート層を有しないものは5分でITO層に
剥離が認められた。
【0033】実施例2 1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,
5−トリメチルシクロヘキサンとビスフェノールAをフ
ェノール成分として含有する耐熱ポリカーボネート(ガ
ラス転移温度:206℃、Apec HT KUI−9
371:バイエル株式会社の登録商標)を用い、溶剤キ
ャスティング法により、リターデーションが8nmであ
る75μm厚のポリカーボネートフィルムを得た。該フ
ィルムを第1層として用いた他は、実施例1と同様にし
て、強固に融着した450μmの積層シートを得た。得
られた積層シートのTMA分析による軟化温度は230
℃であり、第1層のポリカーボネート単独のフィルムと
ほぼ同程度の軟化温度を示した。作成した積層シートの
リターデーションは19nmと、優れた耐熱性と光学的
等方性を有していた。
【0034】得られた積層シートの一方の面に、エポキ
シ系オーバーコート剤(HOC−100:日本化薬株式
会社の商品名)をスピンコーターで塗布後100℃で3
分、190℃で10分乾燥し、2μmの厚さの有機コー
ト層を得た。有機コート層上に真空スパッタリング法に
て、SiOx層を500Å、ITO層1000Åを順次
形成させ、バリヤー層と透明導電層を有する耐熱透明基
板を作成した。得られた透明耐熱基板は、表面抵抗が6
1Ω/□、酸素透過性が0.5cc//m2 /day以
下であった。該シートを5%水酸化ナトリウム水溶液に
30分浸漬しても何ら変化が認められなかった。一方、
有機コート層を有しないものは5分でITO層に剥離が
認められた。
【0035】実施例3 実施例2で用いた耐熱ポリカーボネートからなるフィル
ムを自由端一軸延伸により縦一軸延伸を行いリターデー
ションが410nmを有する位相差フィルムを得た。こ
の位相差フィルムにメラミン系コーティング剤(SM−
67:帝人化成株式会社製の商品名)を2μmの厚さで
コーティングしたものと、未延伸の厚さ75μmを有す
る実施例2で用いた耐熱ポリカーボネートフィルムを第
1層の材料として用い、第2層の材料として、溶融押出
法により成形された120nmのリターデーションを有
する200μm厚のポリカーボネートフィルムを用い、
有機コート層を施していない面を重ね合わせ実施例2と
同様に加熱融着を行い、表面に有機コート層を有する位
相差フィルム2枚がポリカーボネートフィルムを介して
一体となった345μm厚の積層シートを得た。次に実
施例2と同様に、有機コート層上にSiOx層、ITO
層を順次形成させ、リターデーションを有する耐熱透明
基板を作成した。得られた透明耐熱基板は、表面抵抗が
61Ω/□、酸素透過性が0.5cc//m2 /day
以下であった。得られた積層シートは、392nmのリ
ターデーションを有していた。また、面内のリターデー
ション分布は12nmと良好な均一性を有していた。実
施例2と同様の耐アルカリ性試験では、良好な結果を得
た。
【0036】実施例4 一方の表面にコロナ放電処理を施し、シリコン系のカバ
ーコート剤(OS−8082A:大八化学品の登録商
標)のコーティング層(厚さ0.8μm)、SiOxか
らなるバリヤー層(厚さ500Å)を設けた厚さ77μ
mのポリアリレートフィルム、及び、実施例1に記載の
ポリアリレートフィルムを第1層の材料として用い、第
2層の材料として、溶融押出法により成形された120
nmのリターデーションを有する200μm厚のポリカ
ーボネートフィルムを用い、ポリカーボネートフィルム
を上記2種類のポリアリレートフィルムで挟み、実施例
1と同様に加熱融着を行い、表面にガスバリヤー層を有
する積層シートを得た。得られた積層シートは、厚みが
355μmであり、酸素透過性が0.5cc//m2
dayであった。該バリヤー層に1mm角の切れ目を入
れ、セロテープによる剥離テストを行った結果、100
%の保持率を有していた。一方、有機コート層を設けて
いないものは20%の保持率であった。
【0037】実施例5 厚さ75μmを有するポリアリレートフィルムを自由端
一軸延伸により縦一軸延伸を行いリターデーションが3
80nmを有する位相差フィルムを得た。このポリアリ
レート位相差フィルム、及び、実施例4記載のバリヤー
層を有するポリアリレートフィルムをそれぞれ第1層と
して用い、第2層の材料として、溶融押出法により成形
された120nmのリターデーションを有する200μ
m厚のポリカーボネートフィルムを用い、実施例1と同
様に加熱融着を行い、バリヤー層を有し、しかも位相差
を有する積層シートを得た。得られた積層シートは、厚
みが327μmであり、369nmの位相差を有してい
た。実施例2と同様の耐アルカリ試験の結果は、良好で
あった。
【0038】
【発明の効果】叙上のとおり、本発明によれば、耐熱
性、耐衝撃性、剛性を備えるとともに、有機層を介して
バリヤー層や導電加工層が強固に付着した光学プラスチ
ック積層シートが提供される。本プラスチック積層シー
トは、光エレクトロニクス分野、特に、液晶表示装置分
野でのガラスに代わる光学基板として有用である。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光学的に透明なポリマーからなる第1層
    と、該層よりガラス転移温度の低い光学的に透明なポリ
    マーからなる第2層とを積層してなる積層シートにおい
    て、少なくとも一方の表面に有機コート層を介して二次
    加工層を有する光学プラスチック積層シート。
  2. 【請求項2】 第1層を第2層の両面に配置してなる請
    求項1記載の光学プラスチック積層シート。
  3. 【請求項3】 第1層と第2層が直接積層されてなる請
    求項1又は2記載の光学プラスチック積層シート。
  4. 【請求項4】 第1層及び第2層が、主鎖に芳香族基を
    有する光学的に透明な耐熱ポリアリレート又はポリカー
    ボネートからなる請求項1〜3記載の光学プラスチック
    積層シート。
  5. 【請求項5】 有機コート層が、エポキシ樹脂、アクリ
    ル樹脂、フェノール樹脂及びウレタン樹脂からなる群よ
    り選ばれる少なくとも1種からなる請求項1〜4記載の
    光学プラスチック積層シート。
  6. 【請求項6】 有機コート層が、シラン系カップリング
    剤、チタン系カップリング剤及びアルミ系カップリング
    剤からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる請求
    項1〜4記載の光学プラスチック積層シート。
  7. 【請求項7】 二次加工層がガスもしくは湿気バリヤー
    層又は透明導電層である請求項1〜6記載の光学プラス
    チック積層シート。
  8. 【請求項8】 表面に有機コート層を有する、第1層を
    構成する光学的に透明なポリマーフィルムと、第2層を
    構成する、第1層よりガラス転移温度の低い光学的に透
    明なポリマーフィルムを直接加熱積層し、次いで前記有
    機コート層の上に二次加工を施すことを特徴とする光学
    プラスチック積層シートの製造方法。
  9. 【請求項9】 第1層を構成するフィルムが溶剤キャス
    ティング法により得られたフィルムである請求項8記載
    の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜7記載の光学プラスチック
    積層シートを用いたことを特徴とする耐熱透明基板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003195271A (ja) * 2001-12-25 2003-07-09 Fuji Photo Film Co Ltd 表示装置用基板及びその製造方法

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