JPH08162840A - トロイダル・コイル・アンテナ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 所定周波数帯に対して透磁率の大きい特性を
もつ物質を、中空型コア（１）とし、この中空型の物質
に導線（２）を巻く。また、これを複数個セグメント化
する、あるいはさらにこのセグメントを組合わせる。 【効果】 たとえば、０から１２ｋＨｚまでの低周波数
帯域を持った電磁波を受信する場合においても、広範囲
の周波数帯域にわたって、受信感度を向上させることが
可能となり、さらに、アンテナの大きさも小型化するこ
とが可能となる。設置場所が狭くても、またさらに、受
信周波数がある程度広範囲に渡っている場合において
も、周波数分析、調査周波数のレベル、周波数帯域幅調
査、および、周波数の細分化など各種周波数分析が可能
となる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、トロイダル・コイル
・アンテナに関するものである。さらに詳しくは、この
発明は、微弱な電磁波を受信し、所定範囲の周波数分析
等に有用なトロイダル・コイル・アンテナに関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術とその課題】高度情報化社会の発展にとも
なって、電気通信システムの進捗に非常に目ざましいも
のがあり、これにともなって、より高感度に情報を受信
することが可能なアンテナについても、多くの工夫がな
されてきている。たとえば、ユニポールアンテナ、螺旋
アンテナ、八木アンテナ等における改良が進められてき
ている。

【０００３】しかいながら、このうちのユニポールアン
テナは、特定の周波数に同調する特性を持つフェライト
棒等に導線を巻いたものであり、その構造は非常にシン
プルであるものの、一般的に、受信感度を向上させるた
めに、同調周波数範囲を非常に狭く限定した同調回路を
用いて、受信するようにし、その限定周波数を増幅する
よう設計されており、この限定周波数以外の周波数を持
った電磁波を受信する場合、その受信感度は非常に悪く
なってしまう。

【０００４】従って、ユニポールアンテナは、たとえ
ば、あらかじめ受信周波数が正確にわからない電磁波を
受信して、周波数分析や調査周波数のレベル分析、周波
数帯域幅調査、および周波数細分化などの各種周波数分
析を行なう場合には、まったく適していない。またさら
に、このユニポールアンテナは、たとえば０ｋＨｚから
１０ｋＨｚ程度の低周波数帯域の電磁波を受信する場
合、非常に大きなアンテナとなってしまい、ヘリコプタ
ー等の空中移動体内の限定された場所に利用すること
は、事実上不可能であった。

【０００５】また、螺旋アンテナや八木アンテナについ
ても、その限定周波数の電磁波についての受信感度につ
いては非常に優れているものの、その周波数をあらかじ
め特定できない電磁波を受信する場合については、その
受信感度についての保証はほとんどない。また、八木ア
ンテナの場合には、方向指向性が非常に強く、方向性を
特定できない電磁波を受信する場合には、あまり適して
いない。

【０００６】周波数の広帯域性を損なわずに、受信感度
を向上させるためには、アンテナからの出力を直接広帯
域増幅器等に接続することにより、受信感度を上げる方
法が考えられるが、実際的には、その広域増幅器内にお
いて、外来不要電波の影響により内部発振が生じてしま
い、このような方法は、あまり効果的であるとはいいが
たい。

【０００７】以上の通り、これまで利用されているアン
テナは、所定範囲の広帯域周波数帯を持った電磁波を、
高感度で受信することは実際的に不可能であり、さら
に、特に０ｋＨｚから１０ｋＨｚ程度の低周波数帯域の
電磁波を受信する場合、アンテナが非常に大きくなって
しまうという欠点があった。このため、アンテナの巨大
化や、受信可能な周波数帯域の極小化が避けられず、た
とえば、このような従来のアンテナをヘリコプター等の
空中移動体内の限定された場所に利用することは困難で
あり、またさらに、受信周波数をあらかじめ特定できな
い電磁波に関して、周波数分析、調査周波数のレベル、
周波数帯域幅調査、周波数の細分化などの各種周波数分
析を行なうことは極めて難しかった。

【０００８】この発明は、以上の通りの事情に鑑みてな
されたものであり、従来技術の欠点を解消し、所定範囲
の広帯域周波数帯を持つ電磁波を、高感度で受信するこ
とを可能とし、さらに、たとえ低周波数においても、小
型化が可能である、新しいアンテナを提供することを目
的としている。

【０００９】

【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するものとして、所定周波数帯に対して透磁率の
大きい特性をもつ物質を中空型コアとし、この中空型コ
アに導線を巻いたことを特徴とするトロイダル・コイル
・アンテナを提供する。そしてまたこの発明は、上記の
トロイダル・コイル・アンテナを複数個、直列または並
列に接続してセグメント化したアンテナや、このセグメ
ントをさらに複数個、直列または並列に組み合わせたト
ロイダル・コイル・アンテナをも提供する。

【００１０】

【作用】この発明のトロイダル・コイル・アンテナは、
電磁波の受信部分が中空型コアをなし、さらに、この中
空型コアに導線を巻き付けていることに大きな特徴があ
り、従来のユニポールアンテナ、螺旋アンテナ、およ
び、八木アンテナ等の高感度アンテナとはまったく異な
る構造をもつ。

【００１１】この発明のトロイダル・コイル・アンテナ
は、例えば、図１に示したものをひとつの態様として示
すことができる。すなわち、この図１に例示したよう
に、この発明のトロイダル・コイル・アンテナ（１０）
は、透磁率の大きい特性を持つ中空型コア（１）に、導
線（２）を巻き付けた構造を持つ。中空型コア（１）
は、所定範囲の広帯域周波数帯に対して、透磁率が大き
いことが望ましく、その所定範囲の広帯域周波数帯に依
存して、中空型コアの材質、大きさ、および、形状を選
定することができる。またさらに、所定範囲の広帯域周
波数帯に依存して、導線の材質、径、導線の中空型コア
への巻線、および、導電の巻き方を選定することができ
る。

【００１２】中空型コアに使用する材質については、透
磁率の大きい特性をもつ物質であれば特に限定するもの
ではなく、たとえば、その材料としてフェライト等を用
いることができる。また、この発明のトロイダル・コイ
ル・アンテナから、データを収録する場合等で接続する
場合には、端子（３）を導線の終端に接続してもよい。

【００１３】たとえば以上の通りの、この発明のトロイ
ダル・コイル・アンテナでは、たとえば、０ｋＨｚから
１０ｋＨｚ程度の低周波数帯域の電磁波を受信する場合
においても、全長が１ｍ以内とすることができ、従来の
アンテナと比べて、非常に小型化することが可能とな
る。さらに、この発明のトロイダル・コイル・アンテナ
は、所定範囲の広帯域周波数帯を高感度で受信できるだ
けでなく、この所定範囲以外の周波数帯域については、
バンドパスフィルターの働きをも備えており、この所定
範囲以外の周波数帯域からノイズなどの受ける影響は極
めて少ない。

【００１４】またさらに、この発明のトロイダル・コイ
ル・アンテナにおいては、単独のトロイダル・コイル・
アンテナを複数個直列または並列に接続して、アンテナ
セグメントを形成してもよい。たとえば、図２は、この
単独のトロイダル・コイル・アンテナ（１０）を複数個
直列に接続したアンテナセグメント（２０）の例であ
り、このように、アンテナのセグメント化により、受信
感度が飛躍的に向上する。

【００１５】またさらに、この単独のアンテナセグメン
トを複数個直列または並列に接続してもよい。たとえば
図３は、この単独のアンテナセグメントを複数個直列に
接続した例であり、このように、アンテナセグメントの
配列化により、受信感度がさらに飛躍的に向上する。そ
して、もちろん、この配列化したアンテナセグメント
（２０）の端子（３）を介して接続している導線（２）
に、例えば、広帯域増幅器（４）等を接続してもよく、
このように、広帯域増幅器（４）等を接続することによ
り、受信感度がさらに飛躍的に向上する。

【００１６】以下実施例を示し、さらに詳しくこの発明
について説明する。

【００１７】

【実施例】実際に、０〜１２ｋＨｚの低周波数帯域に適
用できるこの発明のトロイダル・コイル・アンテナを作
成し、その受信感度を調べた。中空型コアの材質には、
透磁率１８０００μｉａｃのフェライトを用い、その中
空型コアの外径を１００ｍｍ、内径を７０ｍｍ、肉厚を
１５ｍｍとした。さらに、導線は、直径１ｍｍの導線
を、中空型コアに対して右巻きで中空型コア全体に対し
て巻きつけ、さらにその導線の巻く間隔は０．３ｍｍと
した。

【００１８】そして、実際に、このトロイダル・コイル
・アンテナ１個を用いて、０から１２ｋＨｚまでについ
て同レベルの低周波数帯域を持った電磁波を受信した。
この受信感度は、例えば、図４に示した通りとなった。
この図に示すように、例えば、２．３ｋＨｚ付近におい
ては、その受信感度が約−８ｄＢであり、また、０．９
ｋＨｚ付近においては、その受信感度が約−７５ｄＢで
あり、０〜１２ｋＨｚのすべての低周波数帯域に対し
て、その受信感度は、−７５ｄＢと−８ｄＢの範囲内に
存在する。

【００１９】従来までの、ユニポールアンテナ、螺旋ア
ンテナ、および、八木アンテナ等の高感度アンテナにお
いては、その受信感度は、ある特定の狭い周波数帯域の
みにしか高くならず、この発明のトロイダル・コイル・
アンテナの受信感度のように、広範囲の周波数帯域にわ
たって、受信感度が向上することはない。

【００２０】

【発明の効果】以上詳しく説明した通り、この発明によ
って、たとえば、０から１２ｋＨｚまでの低周波数帯域
を持った電磁波を受信する場合においても、広範囲の周
波数帯域にわたって、受信感度を向上させることが可能
となり、さらに、アンテナの大きさも小型化することが
可能となる。

【００２１】従って、設置場所が狭くても、またさら
に、受信周波数がある程度広範囲に渡っている場合にお
いても、周波数分析、調査周波数のレベル、周波数帯域
幅調査、および、周波数の細分化など各種周波数分析が
可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明のアンテナを例示した概略図である。

【図２】この発明のアンテナのセグメントを例示した概
略図である。

【図３】図２のセグメントの組合わせを例示した概略図
である。

【図４】この発明の実施例としての周波数帯域と受信感
度との関係を例示した図である。

【符号の説明】

１ 中空型コア ２ 導線 ３ 端子 ４ 広帯域増幅器 １０ トロイダル・コイル・アンテナ ２０ アンテナセグメント

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 所定周波数帯に対して透磁率の大きい特
   性をもつ物質を中空型コアとし、この中空型コアに導線
   を巻いたことを特徴とするトロイダル・コイル・アンテ
   ナ。
2. 【請求項２】 請求項１のトロイダル・コイル・アンテ
   ナを、数個、直列または並列に接続してセグメント化し
   たことを特徴とするトロイダル・コイル・アンテナ。
3. 【請求項３】 請求項２のセグメント化したトロイダル
   ・コイル・アンテナを、複数個、直列または並列に組み
   合わせたことを特徴とするトロイダル・コイル・アンテ
   ナ。