JPH08159676A - 空調用室内ユニットの液面調節器およびそれを用いた空調システム - Google Patents

空調用室内ユニットの液面調節器およびそれを用いた空調システム

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JPH08159676A
JPH08159676A JP30243894A JP30243894A JPH08159676A JP H08159676 A JPH08159676 A JP H08159676A JP 30243894 A JP30243894 A JP 30243894A JP 30243894 A JP30243894 A JP 30243894A JP H08159676 A JPH08159676 A JP H08159676A
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refrigerant
liquid
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JP30243894A
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Kenya Kawabata
賢也 川畑
Nobuyuki Hashimoto
信行 橋本
Jiyunji Sotani
順二 素谷
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Furukawa Electric Co Ltd
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Furukawa Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 液面調節器52は、冷媒の相変化による自然
循環作用を用いた空調システムにおける室内ユニットに
供給される冷媒液の圧力ヘッドを調節するもので、液面
調節器52は凝縮器と室内ユニットとを接続する冷媒液
管の途中に設置されており、内部に冷媒液9を収容する
容器62とフロート72と、フロート72に連結されて
動作する弁84とを有しており、フロート72の冷媒液
9の液位より下方に位置する部分には、冷媒液9の液位
に対する上下振動を抑制する水掻き部73が形成されて
おり、弁84はフロート72の上下動と連動して、容器
62内の冷媒液9の液位が所定範囲を越える場合には閉
塞しており、冷媒液9の液位が所定範囲以下になると弁
84の開度が調節される空調用室内ユニットの液面調節
器。およびこれを用いた空調システム。 【効果】 簡易な構成で、フロートの過剰な上下運動を
抑制し、確実な液面調節を可能とする。この液面調節器
を用いた空調システムは良好な空調特性が維持できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、建造物内の複数の室の
冷房や除湿等を行う空調システムに関し、冷媒の相変化
を利用した重力式の自然循環型空調システムに使用する
液面調節器およびそれを使用した空調システムに関す
る。
【0002】
【従来の技術】建造物内に設けられた各室の空調機構に
は、各室毎に独立した空調機構を設置する方式と、1個
または少数の室外機を設置し、そのそれぞれが複数の室
の空調を司る方式とがある。前者は各室毎に全く別個に
冷房、暖房、除湿等の空調運転をできる利点があるもの
の、当然のことながら空調機構が設置される室の数だけ
必要になるため不経済である。一方後者の方式は、室外
機を例えば地下や屋上等に設置し、熱を運搬する媒体と
しての水やフロン等の冷媒液を各室毎に設けた室内ユニ
ットに運搬し、そこで前記冷媒と室内空気との熱交換を
行う方式であり、各室毎に別個に空調機構を設置する必
要がないという利点がある。例えばヒートポンプ等の室
外機で冷媒液を加熱し、その温液を前記ユニットに運搬
する方式であり、冷媒液と外気との熱交換を1個の室外
機で行うことも可能である。この場合、冷媒液は各室内
ユニットを経て再び室外機に戻るように循環させるよう
にする。
【0003】後者の方式において、冷媒液を例えばポン
プ等の外部動力により強制循環させてもよいが、このよ
うな外部動力を用いると当然その電力消費やメンテナン
ス等の必要のため、運転コストが高くなってしまう。ま
たポンプ等の騒音の問題も生ずる。そこで近年、重力を
利用した自然循環作用を利用した空調システムが注目さ
れ、実用化している。
【0004】自然循環作用を利用した冷房運転用の空調
システムは概ね以下に示す構造になっている。通常、凝
縮器等を建造物の屋上等に設置し、その凝縮器と各室内
に設けた室内ユニットとを冷媒液管および冷媒蒸気管と
で接続した構造にする。室内ユニットは蒸発器になって
おり、流入した冷媒液が気化され、その蒸気が冷媒蒸気
管を通り凝縮器に戻り、その冷媒蒸気が凝縮器に至り再
び液化され、その冷媒液が、重力によって冷媒液管中を
下降する。このような自然循環式空調システムでは、外
部動力によらずとも循環を繰り返させることができる。
ここで凝縮器を建造物の屋上等に設置したのは、凝縮器
で液化された冷媒液が重力によって冷媒液管を下降し、
各室内ユニットに流入させるためである。なお別途、建
造物の最下階や地下等に蒸発器を設置すれば、前記室内
ユニット、冷媒液管および冷媒蒸気管を利用して暖房運
転することもできる。
【0005】上述の自然循環式空調システムでは、各室
内ユニットに流入されるべき冷媒液は、重力による冷媒
液の圧力ヘッド(冷媒液の水頭圧)によって各室内ユニ
ットに流入する。しかし各階毎に室内ユニットの高さが
異なり、また配管等の長さが異なるため前記圧力ヘッド
が異なり、各室内ユニットの伝熱コイル(熱交換器)に
て交換される熱量の差が大きくなってしまう。また室内
ユニットによっては過剰な量の冷媒液が伝熱コイルに供
給されることもあり、こうなると気化されなかった冷媒
液が液相状態のままで冷媒蒸気管に混入し、良好な自然
循環が阻害されることもある。
【0006】そこで本件出願人は既に自然循環式空調シ
ステムに関し、各室内ユニットに流入する冷媒液の圧力
ヘッドを適度に調節するための液面調節器と、これを用
いた空調システムの発明を出願(特願平5−17262
4号、特願平6−96346号)している。これらは凝
縮器と室内ユニットとを接続する冷媒液管の途中に液面
調節器を設置し、各室内ユニットに流入する冷媒液の圧
力ヘッドを適度に調節することを可能にしたものであ
る。この液面調節器は、内部に冷媒液を収容する容器
と、容器内の冷媒液に浮かぶフロートとを有し、前記容
器に流入する冷媒流路に弁を設け、前記フロートの上下
動によって前記弁を開閉、若しくは弁の開度を調節し
て、容器内の冷媒液の液位を調節するものである。そし
て液位が調節されることで室内ユニットに供給される冷
媒液の圧力ヘッドが適度に調節される、というものであ
る。
【0007】上述の方式は、室内ユニットの伝熱コイル
内の冷媒液の液位を検知するセンサーや、そのセンサー
の検知に基づいて冷媒液の供給量を制御する機構等の外
部動力を要せずに、簡易な構成で確実な液面調節が可能
であり、外部動力を必要とせず建造物等の各階の高低さ
や配管の長さの相違等による空調特性の差異を少なくで
きるものである。また室内ユニットの伝熱コイル内の冷
媒液の液位を検知する必要がない。従って一部沸騰して
いる場合が多い伝熱コイル内の冷媒液の液位がセンサー
等によって検知されることによる不正確さの問題もな
い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで前記液面調節
器は、内部に冷媒液を収容する容器と、容器内の冷媒液
に浮かぶフロートとを有しているのであるが、容器内の
冷媒液の液位が急激に変化したり、頻繁に液位が変動し
たりすると、前記フロートが冷媒液の液位に対して上下
振動してしまうことがある。これはフロートの慣性によ
るものである。この上下振動はある程度は不可避的であ
るが、配管や容器等に悪影響を与える可能性や騒音の発
生の原因にもなり、その振動の抑制が求められていた。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は上述の問題に鑑
み提案されたものである。その目的は、各室内ユニット
に流入する冷媒液の圧力ヘッドを適度に調節するための
液面調節器に関し、容器内の冷媒液に浮かぶフロート
の、冷媒液の液位に対する過剰な上下振動を抑制し、安
定した圧力ヘッドの調節を可能とすることにある。また
この液面調節器を用いた空調システムを提案する。
【0010】即ち、請求項1記載の発明は、冷媒の相変
化による自然循環作用を用いた空調システムにおける室
内ユニットに供給される冷媒液の圧力ヘッドを調節する
液面調節器であって、前記液面調節器は、凝縮器と前記
室内ユニットとを接続する冷媒液管の途中に設置され、
前記液面調節器は、内部に冷媒液を収容する容器と、前
記容器内に収容された冷媒液に浮かぶフロートと、前記
フロートに連結されてこのフロートの上下動と連動して
移動する弁棒と、前記容器内に流入する冷媒液の流路に
設けられた弁とを有し、前記容器内の冷媒液の液位の変
動によって前記フロートの表面に掛かる抵抗力Rが、フ
ロートと液位の相対速度vに対し、R≧2.5×vとな
るように設定され、前記弁は、前記フロートの上下動と
連動して、前記容器内の冷媒液の液位が所定範囲を越え
る場合には閉塞しており、前記容器内の冷媒液の液位が
所定範囲以下になると前記弁の開度が調節されることを
特徴とする、空調用室内ユニットの液面調節器である。
【0011】また、請求項2記載の発明は、冷媒の相変
化による自然循環作用を用いた空調システムにおける室
内ユニットに供給される冷媒液の圧力ヘッドを調節する
液面調節器であって、前記液面調節器は、凝縮器と前記
室内ユニットとを接続する冷媒液管の途中に設置され、
前記液面調節器は、内部に冷媒液を収容する容器と、前
記容器内に収容された冷媒液に浮かぶフロートと、前記
フロートに連結されてこのフロートの上下動と連動して
移動する弁棒と、前記容器内に流入する冷媒液の流路に
設けられた弁とを有し、前記フロートの前記冷媒液の液
位より下方に位置する部分には、前記冷媒液の液位に対
する上下振動を抑制する水掻きが形成または取り付けら
れ、前記弁は、前記フロートの上下動と連動して、前記
容器内の冷媒液の液位が所定範囲を越える場合には閉塞
しており、前記容器内の冷媒液の液位が所定範囲以下に
なると前記弁の開度が調節されることを特徴とする、空
調用室内ユニットの液面調節器である。
【0012】請求項3記載の発明は、上記請求項2記載
の発明におけるフロートに換え、前記フロートの前記冷
媒液の液位より下方に位置する部分には下方に開口した
シリンダ空間が形成され、少なくとも前記冷媒液の液位
が所定範囲以下である場合には当該フロートの上下動と
連動しないピストン棒が前記シリンダ空間に挿入される
ことで前記冷媒液の液位に対する前記フロートの上下振
動が抑制されたフロートを用いた空調用室内ユニットの
液面調節器である。
【0013】また、請求項1乃至3のいずれかに記載の
空調用室内ユニットの液面調節器を、冷媒の相変化によ
る自然循環作用を用いた空調システムにおける室内ユニ
ットと凝縮器とを接続する冷媒液管の途中に設置したこ
とを特徴とする、空調用室内ユニットの液面調節器を用
いた空調システムを提案する。
【0014】
【作用】本発明の構成において、図1に示すように液面
調節器5a、5b・・・を凝縮器13と伝熱コイル41
(熱交換器)の途中に設置するのは、伝熱コイル41に
流入する冷媒液の圧力ヘッドを調整するためである。な
お図1では室内ユニット4a、4b・・・はビル等の建
造物の各階に対応している。この液面調節器5a、5b
・・・は内部に冷媒液を収容する容器を有しており、こ
の容器内に冷媒液管21から冷媒液が流入する。そして
冷媒液管22から室内ユニット4a、4b・・・の伝熱
コイル41に冷媒液が供給される。この供給される冷媒
液の圧力ヘッドは、前記容器内の冷媒液の液位による重
力作用によって生ずる。そして伝熱コイル41へ流出す
る冷媒液の圧力ヘッドは前記液位によって規定される。
従って前記容器内の冷媒液の液位を調節することで、伝
熱コイル41に流入する冷媒液の圧力ヘッドを調節する
ことができる。
【0015】請求項1記載の液面調節器について図2に
示す液面調節器51を例に説明する。液面調節器51は
冷媒液9を収容する容器61を有し、その中の冷媒液9
の液位が上下動すると、それに連れてフロート71が上
下動する。液位が所定範囲以下である場合には、フロー
ト71に連結された弁棒81が駆動されることで弁体8
3が弁座82から離され、弁84が開放状態に保たれ
る。一方液位が所定範囲を越える場合には弁84が閉塞
状態に保たれるようになっている。また、弁84は開閉
動作だけではなく、冷媒液管22から流出する冷媒液9
の流量と、冷媒液管21から流入する流量とを平衡させ
てフロート71を適度な高さに維持し、弁84の開度を
ほぼ一定状態に維持する制御も可能である。
【0016】上記のように液面調節器51はフロート7
1の上下動やその高さの維持によって、弁84の開閉動
作やその開度の調節を行うものである。ところでフロー
ト71は、液位が静止している状態では液位に対し平衡
しているが、液位が急激に上昇、若しくは下降すると、
フロート71の慣性のためフロート71は平衡点から大
きくずれてしまう。フロート71は液位に対し再び平衡
点に戻ろうとするので、この結果フロート71が上下振
動してしまう。液位の変動に順応した弁84の開閉動作
を実現するためには、フロート71が冷媒液の液位に対
し上下振動が抑制されている方が望ましい。
【0017】ところで、例えば受水槽等中の水に浮かん
だフロートの振動防止(抑制)等、一般に液体に浮かぶ
フロートの振動防止手段として、フロートにバネ等を取
り付けたり、液体槽の弁の開閉タイミングを遅らせる方
法、或いは液体とフロートの比重を極めて近づける方法
等が提案されている(例えば実開昭58−28180、
実開昭59−70056、実開昭60−143151、
実開昭61−168406、実開昭63−15498
9、実開平3−113136等)。しかしこれらの方法
を、本発明の対象である空調用室内ユニットの液面調節
器に応用しようとすると、構造が複雑であるため、部品
数や組み立て工程が増大したり、液面調節器の容器の気
密性や耐圧性等を確保するためコスト高になったり、大
型化する等の問題がある。また液体とフロートの比重を
極めて近づける方法は、空調用室内ユニットの液面調節
器の場合、液体が温度変化等によってその密度等が変動
するので望ましくない。
【0018】そこで本発明では、容器61内の冷媒液9
の液位の変動によるフロート71の表面に掛かる抵抗力
Rを、フロートと液位との相対速度vに対して、R≧
2.5×vとなるように設定することで、実用的に好適
な弁84の開閉動作の制御を可能にするものである。一
般に流体中を運動する物体には摩擦抵抗と圧力抵抗とか
らなる抵抗力Rが掛かり、R〔N〕はv〔m/s〕に対
し通常R=cvの関係、即ち比例関係にある。ここでc
〔N・s/m〕は比例定数である。本発明ではR≧2.
5×vとなるように設定することで、当該空調システム
における液面調節器として、フロート71の液位に対す
る上下振動が好適にダンピングされ、より精度高い弁8
4の制御を可能にするものである。Rは冷媒液9の粘性
等を考慮して、フロート71と容器61との間隙や、フ
ロート71の形状等を適宜選定することで設定できる。
Rが2.5×v以上であると、バネ等を設置する等の必
要がなく簡易な構造によって、容器の気密性や耐圧性を
損なうことなく好適な振動抑制が可能になる。なおフロ
ート71にバネを取り付けた場合は、バネの弾性力の平
衡点からずれた位置ではフロート71にバネによる弾性
力が掛かるので、望ましい制御が難しい。例えばつまり
室内ユニット4a、4bの運転負荷によって液位の平衡
位置が変化するので、それとバネの弾性力の平衡点の位
置とがずれるからである。
【0019】請求項2記載の発明では、図3に示すフロ
ート72は、冷媒液9の液位より下方に位置する部分
に、フロート72の上下動に伴って冷媒液9を押し上げ
る若しくは押し下げる水掻き部73が形成されている。
図3の例ではフロート72の形状を断面略H形にするこ
とで水掻き部73を形成しているが、別途、水掻きをフ
ロートに取り付けても同様である。水掻きは羽のような
形態のもので、冷媒液を掻くことができれば、その形状
は任意である。このようにフロート72に水掻きを形成
または取り付けることで、当該空調システムにおける液
面調節器として、フロート72の液位に対する上下振動
がダンピングされ、好適な弁84の制御が可能になるも
のである。
【0020】また請求項3記載の発明では、図4に示す
ように、フロート74に下方に開口したシリンダ空間7
6を設け、少なくとも冷媒液9の液位が所定範囲以下で
ある場合にはフロート74の上下動と連動しないピスト
ン棒75がシリンダ空間76に挿入されるようにするこ
とで、冷媒液9の液面に対するフロート74の上下振動
を抑制している。図5は図4のフロート74の下面(図
4のA−A’部)を示す図で、シリンダ空間76が3箇
所設けられている。もちろんシリンダ空間76の数やサ
イズ等は、フロート74や容器63等のサイズ、形状に
よって適宜設定する。このようにすることで当該空調シ
ステムにおける液面調節器として、フロート74の液位
に対する上下振動がダンピングされ、好適なより精度高
い弁86の制御が可能になるものである。
【0021】以上のように本発明の液面調節器は、フロ
ート71、72、74の液位に対する上下振動が好適に
抑制されるので、弁84、88の不必要な開閉動作が低
減し、それに伴って各種配管に対する悪影響や騒音の発
生が低減できる。
【0022】以上説明した本発明の液面調節器5a、5
bを、各階毎に室内ユニット4a、4bの伝熱コイル4
1と凝縮器13とを接続する冷媒液管2の途中に設置す
れば、外部動力によらず、各階の室内ユニット4a、4
bに流入する冷媒液の圧力ヘッドを調節できる。本発明
の液面調節器は信頼性の高い液面調節が可能であるた
め、各階の各室内ユニットに流入する冷媒液の圧力ヘッ
ドをより正確に制御できる。また図3、4に示すよう
に、容器62、63の気相部分に、当該液面調節器によ
って供給される冷媒液の圧力ヘッドが調節される伝熱コ
イル41により発生した冷媒蒸気を一旦、流入させてか
ら凝縮器13と接続する冷媒蒸気管3に送るようにすれ
ば、伝熱コイル41により発生した冷媒蒸気の中に混入
する液相状態の冷媒液が容器62、63に捕捉されるの
でより望ましい。図3、4の冷媒蒸気管31は伝熱コイ
ル41により発生した冷媒蒸気を一旦、容器62、63
の気相部分に導入するためのものである。その冷媒蒸気
はその後、冷媒蒸気管32から流出していく。なお、冷
媒蒸気管31から流入する冷媒蒸気の飛翔経路から冷媒
蒸気管32をずらして配置すると、冷媒蒸気の中に混入
する液相状態の冷媒液が冷媒蒸気管32に入りにくくな
るので望ましい。
【0023】また本発明に係るフロートは冷媒液に浮か
ぶことが必須であるが、冷媒液等によって容易に変形し
たり変質したりしては不都合である。フロートに使用す
る材料は、耐薬品性のものが望ましい。好適なものとし
て、例えば中空構造のステンレス製のものの他、66ナ
イロン等のナイロン系材料、ABS、高密度ポリエチレ
ン、ポリプロピレン等の有機材料製のものが使用でき
る。本発明に係る冷媒としては、例えばHFC134a
(代替フロン)等が使用できる。
【0024】
【実施例】図1は本発明による液面調節器を用いた空調
システムの一実施例を示す模式的接続図である。なお、
図1では建造物の構造については描いていないが、図の
上部が建造物の上部を示している。
【0025】この空調システムは建造物の高所、例えば
屋上等に冷熱源装置として蓄熱ユニト12と氷蓄熱槽か
らなる蓄熱ユニット12が設置され、それより低所の被
空調室内に室内ユニット4a、4b、・・・が設置され
ている。蓄熱ユニット12で冷水を作るに当たっては、
安価な深夜電力を利用すると経済的である。ヒートポン
プチラー11と室内ユニット4a、4b、・・・との間
は液相状態の冷媒液が重力によって下降する冷媒液管2
と、気相状態の冷媒蒸気が、室内ユニットと凝縮器との
間の圧力差によって上昇する冷媒蒸気管3とで接続され
ており、いわゆる(重力式)自然循環式空調システムを
形成している。ヒートポンプチラー11や蓄熱ユニット
12は外気との熱交換をする装置であり、凝縮器13は
冷媒蒸気管3を上昇してきた冷媒蒸気を凝縮する。
【0026】各室内ユニット4a、4b、・・・は、フ
ァン42と、その下流側に設置される伝熱コイル41と
を備え、また各室内ユニット4a、4b、・・・には後
述する液面調節器5a、5b、・・・がそれぞれ対応し
て設置されている。この構成において、冷媒蒸気管3を
上昇してきた冷媒蒸気は凝縮器13で冷却されて凝縮
し、その冷媒液は受液器15を経て冷媒液管2を下降す
る。下降した冷媒液は冷媒液間26に分岐し、冷媒液管
21を経て液面調節器5a、5b、・・・に流入する。
そしてこの液面調節器5a、5b、・・・によって、当
該液面調節器に接続された各々の室内ユニット4a、4
b、・・・に供給される冷媒液の圧力ヘッドが制御され
る。室内ユニット4a、4b、・・・に流入した冷媒液
は、伝熱コイル41で加熱され、冷媒蒸気管3を経て凝
縮器13に還流する。こうして冷媒の自然循環による冷
房サイクルが形成される。なお伝熱コイル41で冷媒液
が加熱される際、被空調室内の空気は冷却される。
【0027】冷媒蒸気管31は一旦、液面調節器5a、
5b、・・・の気相(蒸気)部分に接続してから冷媒蒸
気管33に接続することが望ましい。これは伝熱コイル
41において蒸発した冷媒蒸気が冷媒蒸気管33から冷
媒蒸気管3に流出する際、液相状態の冷媒(冷媒液)が
少し混入することがあるからである。冷媒蒸気管31を
一旦、液面調節器5a、5b、・・・の気相(蒸気)部
分に接続してから冷媒蒸気管33に接続すれば、混入し
た冷媒液の大部分は液面調節器内に捕捉され、この結
果、不必要な冷媒の循環が防げ、より良好な運転状態が
維持できるので望ましい。
【0028】本発明の液面調節器については、図2〜4
にその一例を示す。図2、3の場合、フロート71、7
2は冷媒液9の液位の変動によって上下動をし、フロー
ト71、72に連動した弁棒81を動かす。そして弁棒
81の位置によって弁体83の位置が規定される。冷媒
液9の液位が所定範囲を越えているときは、冷媒液管2
1内の冷媒液の圧力ヘッドによって弁84が閉塞状態に
保たれ、一方、冷媒液9の液位が所定範囲以下である場
合には、フロート71、72の自重によって弁棒81を
介して、弁体83が弁座82から離されるように押さ
れ、弁84が開放状態に保たれるような構造になってい
る。また冷媒液管21から流入する冷媒液の流量と、弁
84から流出する流量とを平衡状態にさせるようにし
て、弁84を好適な開度で保たせることも可能である。
容器61内の冷媒液9の液位による重力作用によって生
ずる、冷媒液22から室内ユニットの伝熱コイル41に
供給される冷媒液の圧力ヘッドが、一定範囲に保たれ
る。
【0029】図2の容器61は内径108.3mmの円
筒容器で、その中に冷媒液(HFC134a、温度は約
10℃)が収容されている。フロート71は径103m
m、高さ100mmの円柱形状で、容器61の内壁との
間隙は約2.65mmである。フロート71は冷媒液9
の液位が静止しているときには液位に対し運動しない
が、液位が変動すると、その液位に対してフロート71
が運動し、振動することになる。その際、フロート71
には、液位との相対速度vに比例した抵抗力Rが掛か
る。このRはフロート71の大きさ、容器61との間隙
やフロート71の形状や表面の平滑さ等によって変化さ
せることができる。図2の例では、Rを約3.4×v程
度にした。こう設定することで当該空調システムにおけ
る液面調節器として、フロート71の液位に対する上下
振動が好適にダンピングされ、液位の変動に順応した弁
84の開閉動作が実現する。また過剰な振動が抑制され
た結果、騒音等が低減している。
【0030】本実施例に対する比較例として、フロート
の形状として径100mm、高さ100mmの円柱形状
で、容器の内壁との間隙を約4.15mmにした場合
(抵抗力Rは0.8×v程度であった)は、フロートの
液位に対する上下振動のため、不必要な弁84の開閉動
作が繰り返された。弁84の開閉動作が不必要に多くな
ったので、配管や容器の圧力変化によるものと考えられ
る騒音の発生が本実施例に比べ多く認められた。
【0031】図3の場合は、容器は図2の場合と同様で
あるが、フロート72が図示するように断面略H形状に
なったものである。そして図示する水掻き部73によっ
てフロート72の液位に対する上下振動が好適にダンピ
ングされ、液位の変動に順応ぢた弁84の開閉動作が実
現する。この結果、不必要な弁84の開閉動作が軽減
し、騒音等も低減していた。なおフロート72の下部
(弁棒81の位置する部分)に冷媒蒸気が溜まるとフロ
ート72の浮力が変わったり、蒸気混入の冷媒液が室内
ユニットに供給されたりするので、ガス抜き穴等をフロ
ート72に設けることが望ましい。図3ではフロート7
2の形状自体によって水掻き部73を形成した例を示し
たが、平板等をフロートに取り付けることで水掻きを設
置しても同様である。
【0032】図4に示す実施例では、フロート74が所
定範囲を越える場合、弁体87が上方に押され、弁88
が閉塞状態に保たれ、フロート74が所定範囲以下の場
合は弁体87が下降して弁88が開放するようになって
いる。なお弁体87が下降するのは、弁体87に掛かる
冷媒液の圧力ヘッドによる。なお弁体87がフロート7
4に固定されている場合は、フロート74の自重も弁体
87の下降に作用する。
【0033】図4の場合、容器は図2、3の場合と同様
であるが、フロート74には図示するように、下方に開
口したシリンダ空間76を形成されている。フロート7
4の冷媒液9に浸る部分の径は90mmで、図5にフロ
ート74の下面を示すようにシリンダ空間76(径2
6.4mm、長さ60mm)が3箇所設けられている。
そしてフロート74が所定範囲以下である場合には容器
63に固定されたピストン棒75(径25.4mmの丸
棒)がシリンダ空間76に挿入されるようになってい
る。こうすることでフロート74の液位に対する上下振
動が好適にダンピングされ、液位の変動に順応した弁8
8の開閉動作が実現する。この結果、不必要な弁88の
開閉動作が軽減し、騒音等も低減していた。なおシリン
ダ空間76内に冷媒蒸気が溜まるとフロート74の浮力
が変わったり、蒸気混入の冷媒液が室内ユニットに供給
されたりするので、ガス抜き穴等をシリンダ空間76に
設けることが望ましい。また過剰な振動が抑制された結
果、騒音等も低減していた。なおフロート74の上面を
図示するように傾斜させることで、弁88から流入する
冷媒液がフロート74の上部に溜まらないでスムーズに
流れる。
【0034】以上説明したように、本発明の液面調節器
は、簡単な構成によってフロートの液面に対する振動が
抑制でき、安定した液面調節が可能になる。このため複
数の階数を有するビルディング等の建造物に本発明の液
面調節器を用いた空調システムを適用すれば、好適に圧
力ヘッドが調節された冷媒液が各階の室内ユニットに供
給され、良好な空調ができる。
【0035】なお、本発明の空調用室内ユニットの液面
調節器は、上述した実施例の空調システムにのみ適用さ
れるものではなく、請求の範囲内において主要でない構
成部分を変更したり、或いは他の要素(例えば暖房シス
テム)を付加した実施例にも適用可能なものである。
【0036】
【効果】以上説明したように、本発明の液面調節器によ
れば、簡易な構成によって、安定した液面調節が可能に
なる。このため本発明の液面調節器を用いれば、建造物
の上部と下部との高低差や配管の長さの相違等による空
調特性の差を少なくでき良好な空調特性が維持できる。
また液面調節器のフロートの冷媒液の液位に対する振動
が抑制されるため、室内ユニットに供給される冷媒液の
圧力ヘッドを好適に制御することができ良好な空調特性
を維持することができる。このように本発明は産業上著
しい貢献を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の液面調節器を用いた空調システムの
一例を示す模式的構成図である。
【図2】 本発明の液面調節器の実施例を示す縦断面図
である。
【図3】 本発明の液面調節器の実施例を示す縦断面図
である。
【図4】 本発明の液面調節器の実施例を示す縦断面図
である。
【図5】 図4のフロート74の下面(A−A’部)を
示す図である。
【符号の説明】
11 ヒートポンプチラー 12 蓄熱ユニット 13 凝縮器 14 蒸発器 15 受液器 2、21、22、26 冷媒液管 3、31、32、33 冷媒蒸気管 4a、4b、・・・ 室内ユニット 41 伝熱コイル 42 ファン 5a、5b、・・・ 液面調節器 51、52、53 液面調節器 61、62、63 容器 71、72、74 フロート 73 水掻き部 75 ピストン棒 76 シリンダ空間 81、85 弁棒 82、86 弁座 83、87 弁体 84、88 弁 9 冷媒液

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 冷媒の相変化による自然循環作用を用い
    た空調システムにおける室内ユニットに供給される冷媒
    液の圧力ヘッドを調節する液面調節器であって、前記液
    面調節器は、凝縮器と前記室内ユニットとを接続する冷
    媒液管の途中に設置され、 前記液面調節器は、内部に冷媒液を収容する容器と、前
    記容器内に収容された冷媒液に浮かぶフロートと、前記
    フロートに連結されてこのフロートの上下動と連動して
    移動する弁棒と、前記容器内に流入する冷媒液の流路に
    設けられた弁とを有し、 前記容器内の冷媒液の液位の変動によって前記フロート
    の表面に掛かる抵抗力Rが、フロートと液位の相対速度
    vに対し、 R≧2.5×v となるように設定され、 前記弁は、前記フロートの上下動と連動して、前記容器
    内の冷媒液の液位が所定範囲を越える場合には閉塞して
    おり、前記容器内の冷媒液の液位が所定範囲以下になる
    と前記弁の開度が調節されることを特徴とする、空調用
    室内ユニットの液面調節器。
  2. 【請求項2】 冷媒の相変化による自然循環作用を用い
    た空調システムにおける室内ユニットに供給される冷媒
    液の圧力ヘッドを調節する液面調節器であって、前記液
    面調節器は、凝縮器と前記室内ユニットとを接続する冷
    媒液管の途中に設置され、 前記液面調節器は、内部に冷媒液を収容する容器と、前
    記容器内に収容された冷媒液に浮かぶフロートと、前記
    フロートに連結されてこのフロートの上下動と連動して
    移動する弁棒と、前記容器内に流入する冷媒液の流路に
    設けられた弁とを有し、 前記フロートの前記冷媒液の液位より下方に位置する部
    分には、前記冷媒液の液位に対する上下振動を抑制する
    水掻きが形成または取り付けられ、 前記弁は、前記フロートの上下動と連動して、前記容器
    内の冷媒液の液位が所定範囲を越える場合には閉塞して
    おり、前記容器内の冷媒液の液位が所定範囲以下になる
    と前記弁の開度が調節されることを特徴とする、空調用
    室内ユニットの液面調節器。
  3. 【請求項3】 冷媒の相変化による自然循環作用を用い
    た空調システムにおける室内ユニットに供給される冷媒
    液の圧力ヘッドを調節する液面調節器であって、前記液
    面調節器は、凝縮器と前記室内ユニットとを接続する冷
    媒液管の途中に設置され、 前記液面調節器は、内部に冷媒液を収容する容器と、前
    記容器内に収容された冷媒液に浮かぶフロートと、前記
    フロートに連結されてこのフロートの上下動と連動して
    移動する弁棒と、前記容器内に流入する冷媒液の流路に
    設けられた弁とを有し、 前記フロートの前記冷媒液の液位より下方に位置する部
    分には下方に開口したシリンダ空間が形成され、少なく
    とも前記冷媒液の液位が所定範囲以下である場合には当
    該フロートの上下動と連動しないピストン棒が前記シリ
    ンダ空間に挿入されることで前記冷媒液の液位に対する
    前記フロートの上下振動が抑制され、 前記弁は、前記フロートの上下動と連動して、前記容器
    内の冷媒液の液位が所定範囲を越える場合には閉塞して
    おり、前記容器内の冷媒液の液位が所定範囲以下になる
    と前記弁の開度が調節されることを特徴とする、空調用
    室内ユニットの液面調節器。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載の空調
    用室内ユニットの液面調節器を、冷媒の相変化による自
    然循環作用を用いた空調システムにおける室内ユニット
    と凝縮器とを接続する冷媒液管の途中に設置したことを
    特徴とする、空調用室内ユニットの液面調節器を用いた
    空調システム。
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