JPH08159531A - 住宅用換気装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】省エネおよび騒音の問題を解決すると共に、居
室内を締めきっても適度の換気量を確保し、カビやダニ
の発生を防止し、また、サンルームを活用することによ
り、太陽熱の有効利用と居室への心地良い通風を図る。 【構成】建物１の上下のスラブ２、３の間に形成された
居室４と、居室４の下部にスラブ３と間隔を有して設け
られた通気性床部材７と、通気性床部材７の下部に形成
された外気導入チャンバー８と、外気導入チャンバー８
に外気を導入するための外気導入口１０と、居室４内の
空気を外部に排気するための換気口１１とを備えた構
成。また、南側のバルコニー５に形成されたサンルーム
と、外気導入チャンバー８にサンルーム内の空気を給気
するための換気用ファンと、サンルームに外気を導入す
るための風量調節ダンパと、居室４の北側の窓部近傍に
設けられた排気用の風量調節ダンパーとを備えた構成。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、集合住宅等の住宅に好
適に採用される住宅用換気装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、集合住宅等では、換気量の不足に
起因する問題が生じていた。例えば、内部湿度が高いこ
とによる内部結露、カビやダニの発生、さらには、新築
時に建材から発生する揮発性ガスの内部の滞留による障
害などが問題となっている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】そこで、この問題を解
決するための換気設備の導入が考えられるが、従来の換
気設備は、キッチン、トイレ、浴室等に限られており、
また、機械式換気設備が主のため、省エネ、騒音の観点
からは望ましい方式とはいえず、また、機械式換気設備
の場合、２４時間連続して微量の換気を行うことは、現
状の住宅用設備機器では困難であるという問題を有して
いる。また、長時間、人間が不在の場合、当然、居室を
締めきるため、換気量が不足してカビやダニが発生して
しまうという問題を有している。

【０００４】また、集合住宅等では、冬期は南北居室の
温度差が顕著であり、北側居室では、換気量不足なども
伴って、内部結露、カビやダニの発生等の問題を生じ、
また、北側居室は晴天時でも冬期では低温であり、暖房
を行う場合には暖房熱負荷が大きくなると共に、設定温
度に達するまで時間を要するという問題を生じ、また、
夏期では窓を全閉にすると、近年の建築の高密度化に伴
い、換気量が激減するという問題も生じていた。

【０００５】本発明は、上記問題を解決するものであっ
て、その第１の目的は、省エネおよび騒音の問題を解決
すると共に、居室内を締めきっても適度の換気量を確保
し、カビやダニの発生を防止することであり、本発明の
第２の目的は、第１の目的に加えてサンルームを活用す
ることにより、太陽熱の有効利用と居室への心地良い通
風を図ることである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の請求項１記載の住宅用換気装置は、建物１
の上下のスラブ２、３の間に形成された居室４と、居室
４の下部にスラブ３と間隔を有して設けられた通気性床
部材７と、通気性床部材７の下部に形成された外気導入
チャンバー８と、外気導入チャンバー８に外気を導入す
るための外気導入口１０と、居室４内の空気を外部に排
気するための換気口１１とを備えたことを特徴とするも
のである。

【０００７】また、本発明の請求項２記載の住宅用換気
装置は、建物１の上下のスラブ２、３の間に形成された
居室４及び南側のバルコニー５に形成されたサンルーム
１６と、居室４の下部にスラブ３と間隔を有して設けら
れた通気性床部材７と、通気性床部材７の下部に形成さ
れた外気導入チャンバー８と、外気導入チャンバー８に
サンルーム１６内の空気を給気するための換気用ファン
１８と、サンルーム１６に外気を導入するための風量調
節ダンパ１７と、居室４の北側の窓１９部近傍に設けら
れた排気用の風量調節ダンパー２０とを備えたことを特
徴とするものである。なお、上記構成に付加した番号
は、本発明の理解を容易にするために図面と対比させる
ためのもので、これにより本発明の構成が何ら限定され
るものではない。

【０００８】

【作用および発明の効果】本発明の請求項１記載の換気
装置においては、床下から通気性床部材を介して居室内
に外気を導入して自然換気を行うため、省エネおよび騒
音の問題を解決すると共に、居室を締めきっても防犯性
を保ちつつ適度の換気量を確保することができる。ま
た、下記の効果が奏される。

【０００９】（イ）湿度の低い外気の導入により、床部
分の相対湿度が低下するため、ダニの発生を抑えること
ができると共に、居室内結露およびカビの発生を防止す
ることができる。 （ロ）新築時に建材から発生する揮発性ガスを換気によ
り除去することができ、空気質を良好に維持することが
できる。 （ハ）東西南北に向いた居室の温湿度の格差を低減させ
ることができる。

【００１０】（ニ）通気性床部材により掃除機での掃除
が容易になる。 （ホ）二重床とすることにより、上下階の騒音の低減に
効果があると共に、二重床の空間を配管、配線スペース
等の他の用途に利用できる。

【００１１】また、本発明の請求項２記載の換気装置に
おいては、サンルームを活用することにより、太陽熱の
有効利用と居室への心地良い通風を図ることができる。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ説
明する。図１は、本発明の住宅用換気装置の１実施例を
示し、図１（Ａ）は模式的断面図、図１（Ｂ）は換気の
概念を説明するための斜視図である。

【００１３】図１（Ａ）は、集合住宅等の建物１の一部
を示し、上下のスラブ２、３の間に複数の居室４、バル
コニー５、廊下６が形成されている。居室４の下部には
スラブ３と間隔を有して通気性床部材７を設けることに
より二重床を形成し、通気性床部材７の下部に外気導入
チャンバー８と換気チャンバー９（図１（Ｂ））が区画
形成されている。外気導入チャンバー８には、外気を導
入するための外気導入口１０が設けられ、換気チャンバ
ー９には居室４内の空気を排気するための換気口１１が
設けられている。なお、２２は居室４とバルコニー５と
の間の窓である。

【００１４】外気導入口１０と換気口１１は、建物１の
南北あるいは東西の圧力差を利用して換気ができるよう
に、建物１の両サイドに配置されている。なお、外気導
入チャンバー８内に各居室４への空気量を調節するため
の仕切り板を設けるようにしてもよい。また、外気導入
チャンバー８には、換気用補助ファン１２を配設しても
よい。ただし、この換気用補助ファン１２は自然換気が
不十分な場合に設けられるもので、必ずしも必要なもの
ではない。さらに、外気の湿度が高い場合には、外気導
入口１０にゼオライト等の調湿材を配設し、調湿機能を
持たせるようにしてもよい。

【００１５】前記通気性床部材７としては、多数の吹出
孔が形成された床板の上に通気性カーペットを敷設した
もの、通気性を持たせたフローリング材、通気性を持た
せたコルク材からなる床材などが挙げられる。

【００１６】本発明の住宅用換気装置においては、図１
（Ｂ）に示すように、バルコニー５側の外気導入口１０
から自然の圧力差により外気導入チャンバー８に導入さ
れた外気は、通気性床部材７を通って居室４内を上昇し
居室４内を循環した後、再び通気性床部材７を通って換
気チャンバー９、換気口１１を経て排出されるため、省
エネおよび騒音の問題を解決すると共に、居室４を締め
きっても適度の換気量を確保し、カビやダニの発生を防
止することができる。

【００１７】次に、本発明の他の実施例について説明す
る。なお、以下の実施例において、図１の実施例と同一
の構成については同一番号を付けて説明を省略する。図
２は、本発明の他の実施例を示す模式的断面図である。
本実施例は、各居室４の上部に連通口１４を設け、廊下
６側の居室４の上部に換気口１１を設け、換気チャンバ
ー９を不要にした例を示している。

【００１８】図３及び図４は、本発明の他の実施例を示
し、図３（Ａ）は模式的断面図、図３（Ｂ）は図３
（Ａ）のＢ−Ｂ線に沿う断面図、図３（Ｃ）は図３
（Ａ）と異なる換気モードを示す模式的断面図である。
図４は異なる換気モードを示す模式的断面図である。本
実施例は、南側に設けれたバルコニー５に窓１５を設け
てサンルーム１６とし、窓１５部近傍に外気を導入する
ための通気量が調節可能な風量調節ダンパ１７を設けて
いる。外気導入チャンバー８の外気導入口１０には、換
気用ファン１８を配設している。また、居室４の北側の
窓１９部近傍には、通気量が調節可能な排気用の風量調
節ダンパー２０を設けている。そして、換気チャンバー
９を居室４の二重壁２１内に設け、この二重壁２１の上
部に換気口１１を設けている。

【００１９】上記構成からなる本発明の作用について説
明する。図３（Ａ）は、冬期における太陽熱活用暖房モ
ードを示している。本モードにおいては、風量調節ダン
パー１７、２０を閉めた状態で換気用ファン１８を運転
し、サンルーム１６内の暖められた空気を外気導入チャ
ンバー８に導入した後、通気性床部材７を通って居室４
内を上昇させ、換気チャンバー９を経てサンルーム１６
へ再循環させる。従って、居室４内が直ちに暖められる
と共に、暖房熱負荷が軽減され省エネルギー化を図るこ
とができ、また、夜間において通気性床部材７及びスラ
ブ３の蓄熱効果による熱回収も期待できる。

【００２０】図３（Ｃ）は、冬期の夜間或いは日射が得
られない昼間における常時微量換気モードを示してい
る。本モードにおいては、風量調節ダンパー１７、２０
を開いた状態で換気用ファン１８を運転し、風量調節ダ
ンパー１７から外気を吸引し、サンルーム１６内の空気
を外気導入チャンバー８、通気性床部材７を通って居室
４内に供給した後、一部の空気を換気チャンバー９を経
てサンルーム１６へ再循環させることにより、外気が再
循環空気と混合することによる昇温及びスラブ蓄熱によ
る昇温効果にて低温空気が床から吹き出されるのを防止
し、残りの空気を北側の風量調節ダンパー２０から排気
させる。なお、換気風量は風量調節ダンパー１７、２０
により適宜調節される。

【００２１】図４（Ａ）は、中間期及び夏期における換
気モードを示し、換気必要時に、風量調節ダンパー１
７、２０を開いた状態で換気用ファン１８を運転し、風
量調節ダンパー１７から外気を吸引し、サンルーム１６
内の空気を外気導入チャンバー８、通気性床部材７を通
って居室４内に供給した後、換気チャンバー９を経て北
側の風量調節ダンパー２０から排気させる。なお、換気
風量は、風量調節ダンパー１７、２０により適宜調節さ
れる。

【００２２】図４（Ｂ）は、中間期及び夏期における通
気モードを示し、換気用ファン１８は停止し、風量調節
ダンパー１７、２０を開き、窓２２、１９を開いた状態
で自然通気により換気させる。窓２２、１９を全開して
もサンルーム１６がバッファ空間となるため、強弱を有
する外部風の変動を緩和してマイルドな心地良い室内の
通風にすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の住宅用換気装置の１実施例を示し、図
１（Ａ）は模式的断面図、図１（Ｂ）は換気の概念を説
明するための斜視図である。

【図２】本発明の他の実施例を示す模式的断面図であ
る。

【図３】本発明の他の実施例を示し、図３（Ａ）は模式
的断面図、図３（Ｂ）は図３（Ａ）のＢ−Ｂ線に沿う断
面図、図３（Ｃ）は図３（Ａ）と異なる換気モードを示
す模式的断面図である。

【図４】図３の実施例における異なる換気モードを示す
模式的断面図である。

【符号の説明】

１…建物、２、３…スラブ、４…居室、５…バルコニ
ー、６…廊下 ７…通気性床部材、８…外気導入チャンバー、９…換気
チャンバー １０…外気導入口、１１…換気口、１２…換気用補助フ
ァン、１３…スリット １４…連通口、１５、１９、２２…窓、１８…換気用フ
ァン １６…サンルーム、１７、２０…風量調節ダンパ、２１
…二重壁

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高倉正美 東京都港区芝浦一丁目２番３号 清水建設 株式会社内 (72)発明者 鈴木道哉 東京都港区芝浦一丁目２番３号 清水建設 株式会社内 (72)発明者 山口 一 東京都港区芝浦一丁目２番３号 清水建設 株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】建物の上下のスラブの間に形成された居室
   と、該居室の下部に前記スラブと間隔を有して設けられ
   た通気性床部材と、該通気性床部材の下部に形成された
   外気導入チャンバーと、該外気導入チャンバーに外気を
   導入するための外気導入口と、前記居室内の空気を外部
   に排気するための換気口とを備えたことを特徴とする住
   宅用換気装置。
2. 【請求項２】建物の上下のスラブの間に形成された居室
   及び南側のバルコニーに形成されたサンルームと、前記
   居室の下部に前記スラブと間隔を有して設けられた通気
   性床部材と、該通気性床部材の下部に形成された外気導
   入チャンバーと、該外気導入チャンバーに前記サンルー
   ム内の空気を給気するための換気用ファンと、前記サン
   ルームに外気を導入するための風量調節ダンパと、前記
   居室の北側の窓部近傍に設けられた排気用の風量調節ダ
   ンパーとを備えたことを特徴とする住宅用換気装置。