JPH08157361A - シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤及びシクロオキシゲナーゼ−2発現抑制剤 - Google Patents
シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤及びシクロオキシゲナーゼ−2発現抑制剤Info
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- JPH08157361A JPH08157361A JP30487394A JP30487394A JPH08157361A JP H08157361 A JPH08157361 A JP H08157361A JP 30487394 A JP30487394 A JP 30487394A JP 30487394 A JP30487394 A JP 30487394A JP H08157361 A JPH08157361 A JP H08157361A
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- cox
- cyclooxygenase
- benzopyran
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Abstract
(57)【要約】
【構成】 3-ホルミルアミノ-7-メチルスルホニルアミ
ノ-6-フェノキシ-4H-1-べンゾピラン-4-オンを含有する
シクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤及びシクロオキシ
ゲナーゼ-2発現抑制剤。 【効果】 3-ホルミルアミノ-7-メチルスルホニルアミ
ノ-6-フェノキシ-4H-1-べンゾピラン-4-オンは、COX-2
を選択的に阻害しCOX-2の発現誘導に対して抑制作用を
示す一方、生体のホメオスタシスに重要な役割を演じて
いるCOX-1にはほとんど影響せず、炎症部位選択的なPGE
2産生を抑制し、例えば、消化管や腎において高い忍容
性を有する薬剤として有用である。
ノ-6-フェノキシ-4H-1-べンゾピラン-4-オンを含有する
シクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤及びシクロオキシ
ゲナーゼ-2発現抑制剤。 【効果】 3-ホルミルアミノ-7-メチルスルホニルアミ
ノ-6-フェノキシ-4H-1-べンゾピラン-4-オンは、COX-2
を選択的に阻害しCOX-2の発現誘導に対して抑制作用を
示す一方、生体のホメオスタシスに重要な役割を演じて
いるCOX-1にはほとんど影響せず、炎症部位選択的なPGE
2産生を抑制し、例えば、消化管や腎において高い忍容
性を有する薬剤として有用である。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、3-ホルミルアミノ-7-
メチルスルホニルアミノ-6-フェノキシ-4H-1-ベンゾピ
ラン-4-オンを含有するシクロオキシゲナーゼ-2選択的
阻害剤及びシクロオキシゲナーゼ-2発現抑制剤に関す
る。
メチルスルホニルアミノ-6-フェノキシ-4H-1-ベンゾピ
ラン-4-オンを含有するシクロオキシゲナーゼ-2選択的
阻害剤及びシクロオキシゲナーゼ-2発現抑制剤に関す
る。
【0002】
【従来の技術】3-ホルミルアミノ-7-メチルスルホニル
アミノ-6-フェノキシ-4H-1-ベンゾピラン-4-オンは、既
知化合物であり、抗炎症作用を有するにもかかわらず、
消化管に対して高い忍容性を有することが知られている
〔アルツナイミテル・フォシュング・ドラッグ・リサー
チ(Arzeneim.-Forsch./Drug Res.),第42(II)巻,第
7号,第935-944頁〕。このことは、当該化合物が炎症
部位選択的なプロスタグランジンE2(PGE2)産生を抑
制することに起因している〔アルツナイミテル・フォシ
ュング・ドラッグ・リサーチ(Arzeneim.-Forsch./Drug
Res.),第42(II)巻,第7号,第945-950頁〕。しかし
ながら、当該作用の機序については、未だ知られていな
い。
アミノ-6-フェノキシ-4H-1-ベンゾピラン-4-オンは、既
知化合物であり、抗炎症作用を有するにもかかわらず、
消化管に対して高い忍容性を有することが知られている
〔アルツナイミテル・フォシュング・ドラッグ・リサー
チ(Arzeneim.-Forsch./Drug Res.),第42(II)巻,第
7号,第935-944頁〕。このことは、当該化合物が炎症
部位選択的なプロスタグランジンE2(PGE2)産生を抑
制することに起因している〔アルツナイミテル・フォシ
ュング・ドラッグ・リサーチ(Arzeneim.-Forsch./Drug
Res.),第42(II)巻,第7号,第945-950頁〕。しかし
ながら、当該作用の機序については、未だ知られていな
い。
【0003】プロスタグランジン産生の律速酵素である
シクロオキシゲナーゼ(COX)は、ほとんどの組織に存
在する構成酵素であるCOX-1と、様々な刺激により炎症
部位の細胞に発現が誘導される誘導酵素であるCOX-2と
いう薬理学的性質が異なる2種類のアイソザイムからな
る。従って、COX-2を選択的に阻害する化合物は、胃粘
膜障害や腎機能に関係する副作用が軽減され、安全域の
高い抗炎症鎮痛剤などとしての可能性が高いことが報告
されている〔アメリカン・ジャーナル・オブ・メディシ
ン(American Journal of Medicine),第95巻,第2A40
S〜44S頁(1993年)〕。さらに、COX-2の遺伝子発現を
選択的に抑制する化合物は、前記の副作用が軽減される
と同時に、既存のCOX阻害剤にみられないステロイド様
の機序を有する抗炎症剤などとしての可能性が高いこと
も報告されている〔プロシーディングス・オブ・ナショ
ナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ジ・ユナ
イテッド・ステーツ・オブ・アメリカ(Proc. Natl. Ac
ad. Sci. U.S.A.),第91巻,第3228〜3232頁(1994
年)〕。しかしながら、3-ホルミルアミノ-7-メチルス
ルホニルアミノ-6-フェノキシ-4H-1-ベンゾピラン-4-オ
ンがCOX-2選択的阻害作用又はCOX-2発現抑制作用を有す
ることは、未だ知られていない。
シクロオキシゲナーゼ(COX)は、ほとんどの組織に存
在する構成酵素であるCOX-1と、様々な刺激により炎症
部位の細胞に発現が誘導される誘導酵素であるCOX-2と
いう薬理学的性質が異なる2種類のアイソザイムからな
る。従って、COX-2を選択的に阻害する化合物は、胃粘
膜障害や腎機能に関係する副作用が軽減され、安全域の
高い抗炎症鎮痛剤などとしての可能性が高いことが報告
されている〔アメリカン・ジャーナル・オブ・メディシ
ン(American Journal of Medicine),第95巻,第2A40
S〜44S頁(1993年)〕。さらに、COX-2の遺伝子発現を
選択的に抑制する化合物は、前記の副作用が軽減される
と同時に、既存のCOX阻害剤にみられないステロイド様
の機序を有する抗炎症剤などとしての可能性が高いこと
も報告されている〔プロシーディングス・オブ・ナショ
ナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ジ・ユナ
イテッド・ステーツ・オブ・アメリカ(Proc. Natl. Ac
ad. Sci. U.S.A.),第91巻,第3228〜3232頁(1994
年)〕。しかしながら、3-ホルミルアミノ-7-メチルス
ルホニルアミノ-6-フェノキシ-4H-1-ベンゾピラン-4-オ
ンがCOX-2選択的阻害作用又はCOX-2発現抑制作用を有す
ることは、未だ知られていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】近年、安全域の高い抗
炎症鎮痛剤などになる可能性が高いことから、COX-2を
選択的に阻害し、又はCOX-2の発現を選択的に抑制する
医薬の開発が望まれている。
炎症鎮痛剤などになる可能性が高いことから、COX-2を
選択的に阻害し、又はCOX-2の発現を選択的に抑制する
医薬の開発が望まれている。
【0005】
【課題を解決するための手段】このような状況下におい
て、本発明者らは鋭意研究を行った結果、3-ホルミルア
ミノ-7-メチルスルホニルアミノ-6-フェノキシ-4H-1-ベ
ンゾピラン-4-オンが上記目的を達成し得るものである
ことを見出し、本発明を完成するに至った。
て、本発明者らは鋭意研究を行った結果、3-ホルミルア
ミノ-7-メチルスルホニルアミノ-6-フェノキシ-4H-1-ベ
ンゾピラン-4-オンが上記目的を達成し得るものである
ことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】本発明に用いられる3-ホルミルアミノ-7-
メチルスルホニルアミノ-6-フェノキシ-4H-1-ベンゾピ
ラン-4-オンは、例えば、特開平2-49778号公報に開示さ
れた方法に従って製造することができる。
メチルスルホニルアミノ-6-フェノキシ-4H-1-ベンゾピ
ラン-4-オンは、例えば、特開平2-49778号公報に開示さ
れた方法に従って製造することができる。
【0007】本発明のCOX-2選択的阻害剤又はCOX-2発現
抑制剤を医薬として用いる場合、通常知られている方法
に従って、通常製剤化に使用される賦形剤、担体、希釈
剤等の製剤補助剤を適宜混合して製剤化することができ
る。その剤型としては、経口製剤及び非経口製剤のいず
れでもよく、例えば錠剤、カプセル剤、散剤、シロッ
プ、顆粒剤、丸剤、懸濁剤、乳剤、液剤、粉体製剤、坐
剤、軟膏剤、注射剤等の形態とすることができる。ま
た、投与方法、投与量及び投与回数は、患者の年齢、体
重及び症状に応じて適宜選択することができ、通常成人
に対しては、1日当たり約0.05〜1000mg/kg程度を1回
又は数回に分割して経口投与又は非経口投与(例えば注
射、点滴又は直腸部位への投与など)すればよい。
抑制剤を医薬として用いる場合、通常知られている方法
に従って、通常製剤化に使用される賦形剤、担体、希釈
剤等の製剤補助剤を適宜混合して製剤化することができ
る。その剤型としては、経口製剤及び非経口製剤のいず
れでもよく、例えば錠剤、カプセル剤、散剤、シロッ
プ、顆粒剤、丸剤、懸濁剤、乳剤、液剤、粉体製剤、坐
剤、軟膏剤、注射剤等の形態とすることができる。ま
た、投与方法、投与量及び投与回数は、患者の年齢、体
重及び症状に応じて適宜選択することができ、通常成人
に対しては、1日当たり約0.05〜1000mg/kg程度を1回
又は数回に分割して経口投与又は非経口投与(例えば注
射、点滴又は直腸部位への投与など)すればよい。
【0008】次に、本発明における化合物の薬理作用を
説明する。3-ホルミルアミノ-7-メチルスルホニルアミ
ノ-6-フェノキシ-4H-1-ベンゾピラン-4-オンを被験物と
して用い、以下の試験を行った。
説明する。3-ホルミルアミノ-7-メチルスルホニルアミ
ノ-6-フェノキシ-4H-1-ベンゾピラン-4-オンを被験物と
して用い、以下の試験を行った。
【0009】試験例1 COX-1としてヒツジ精嚢腺ミクロソーム(エドマンテク
ノロジー社製)、COX-2としてヒツジ胎盤由来COX-2精製
品(カイマンケミカル社製)を使用し、これらによるア
ラキドン酸からPGE2への転換率を酵素活性とした。COX-
1活性測定の条件は、プロカシーニ(Procaccini)らの
方法〔バイオケミカル・ファーマコロジー(Biochem. P
harmacol.),第26巻,第1051〜1057頁(1977年)〕に
準じた。すなわち、最終濃度100μg/mlのヒツジ精嚢腺
ミクロソーム、5mMエピネフリン及び5mMグルタチオン
を含む50mMトリス緩衝液(pH8.0)0.5mlに、ジメチルス
ルホキシドに溶解させた3-ホルミルアミノ-7-メチルス
ルホニルアミノ-6-フェノキシ-4H-1-ベンゾピラン-4-オ
ンを加えた後、37℃で2分間前処置を行った。次いで、
0.04μCiの[1-14C]アラキドン酸を含むアラキドン酸10
nmolを添加し(最終濃度20μM)、37℃で4分間反応さ
せた。COX-2活性測定の条件は、ミチェル(Mitchell)
らの方法〔プロシーディングス・オブ・ナショナル・ア
カデミー・オブ・サイエンス・オブ・ジ・ユナイテッド
・ステーツ・オブ・アメリカ(Proc. Natl. Acad. Sci.
U.S.A.),第90巻,第11693〜11697頁(1993年)〕に
準じた。すなわち、最終濃度5μg/mlのヒツジ胎盤由来
COX-2精製品、5mMエピネフリン、5mMグルタチオン及
び1μMヘマチンを含む50mMトリス緩衝液(pH8.0)0.5m
lに、3-ホルミルアミノ-7-メチルスルホニルアミノ-6-
フェノキシ-4H-1-ベンゾピラン-4-オンを加えた後、37
℃で2分間前処置を行った。次いで、0.04μCiの[1-14
C]アラキドン酸(アマシャム社製)を含むアラキドン
酸3.3nmolを添加し(最終濃度6.6μM)、37℃で4分間
反応させた。COX活性の測定は、柳と小松の方法〔バイ
オケミカル・ファーマコロジー(Biochem. Pharmaco
l.),第25巻,第937-941頁(1976年)〕に準じて行っ
た。すなわち、反応液にn-ヘキサン/酢酸エチル(2:
1)を2ml加え、反応を停止させ、遠心分離によりアラ
キドン酸を有機層に抽出した。同様の抽出操作を2回繰
り返した後、水層に1mlのエタノールを加えて攪拌した
後、遠心によって得られた上清全量を液体シンチレーシ
ョンカウンター用バイアルに移し、PGE2分画とした。回
収した有機層をアラキドン酸分画とし、その1mlを液体
シンチレーションカウンター用バイアルに分取した。そ
れぞれの分画の放射活性を液体シンチレ−ションカウン
ターで測定し、全放射活性のうちPGE2分画の放射活性の
割合を算出し、これをPGE2転換率とした。最終濃度1%
のジメチルスルホキシドのみを含むコントロールに対す
る3-ホルミルアミノ-7-メチルスルホニルアミノ-6-フェ
ノキシ-4H-1-ベンゾピラン-4-オンによる変換率の低下
を、COX活性抑制率で表した。その結果を図1に示す。
ノロジー社製)、COX-2としてヒツジ胎盤由来COX-2精製
品(カイマンケミカル社製)を使用し、これらによるア
ラキドン酸からPGE2への転換率を酵素活性とした。COX-
1活性測定の条件は、プロカシーニ(Procaccini)らの
方法〔バイオケミカル・ファーマコロジー(Biochem. P
harmacol.),第26巻,第1051〜1057頁(1977年)〕に
準じた。すなわち、最終濃度100μg/mlのヒツジ精嚢腺
ミクロソーム、5mMエピネフリン及び5mMグルタチオン
を含む50mMトリス緩衝液(pH8.0)0.5mlに、ジメチルス
ルホキシドに溶解させた3-ホルミルアミノ-7-メチルス
ルホニルアミノ-6-フェノキシ-4H-1-ベンゾピラン-4-オ
ンを加えた後、37℃で2分間前処置を行った。次いで、
0.04μCiの[1-14C]アラキドン酸を含むアラキドン酸10
nmolを添加し(最終濃度20μM)、37℃で4分間反応さ
せた。COX-2活性測定の条件は、ミチェル(Mitchell)
らの方法〔プロシーディングス・オブ・ナショナル・ア
カデミー・オブ・サイエンス・オブ・ジ・ユナイテッド
・ステーツ・オブ・アメリカ(Proc. Natl. Acad. Sci.
U.S.A.),第90巻,第11693〜11697頁(1993年)〕に
準じた。すなわち、最終濃度5μg/mlのヒツジ胎盤由来
COX-2精製品、5mMエピネフリン、5mMグルタチオン及
び1μMヘマチンを含む50mMトリス緩衝液(pH8.0)0.5m
lに、3-ホルミルアミノ-7-メチルスルホニルアミノ-6-
フェノキシ-4H-1-ベンゾピラン-4-オンを加えた後、37
℃で2分間前処置を行った。次いで、0.04μCiの[1-14
C]アラキドン酸(アマシャム社製)を含むアラキドン
酸3.3nmolを添加し(最終濃度6.6μM)、37℃で4分間
反応させた。COX活性の測定は、柳と小松の方法〔バイ
オケミカル・ファーマコロジー(Biochem. Pharmaco
l.),第25巻,第937-941頁(1976年)〕に準じて行っ
た。すなわち、反応液にn-ヘキサン/酢酸エチル(2:
1)を2ml加え、反応を停止させ、遠心分離によりアラ
キドン酸を有機層に抽出した。同様の抽出操作を2回繰
り返した後、水層に1mlのエタノールを加えて攪拌した
後、遠心によって得られた上清全量を液体シンチレーシ
ョンカウンター用バイアルに移し、PGE2分画とした。回
収した有機層をアラキドン酸分画とし、その1mlを液体
シンチレーションカウンター用バイアルに分取した。そ
れぞれの分画の放射活性を液体シンチレ−ションカウン
ターで測定し、全放射活性のうちPGE2分画の放射活性の
割合を算出し、これをPGE2転換率とした。最終濃度1%
のジメチルスルホキシドのみを含むコントロールに対す
る3-ホルミルアミノ-7-メチルスルホニルアミノ-6-フェ
ノキシ-4H-1-ベンゾピラン-4-オンによる変換率の低下
を、COX活性抑制率で表した。その結果を図1に示す。
【0010】試験例2 マウス3T3線維芽細胞(ATCC,CCL-163)を、10%牛胎児
血清(ギブコBRL社製)を含むDMEM培地10mlに6×106個
浮遊させ、90mmディッシュに播種した。一晩培養(5%
酸素+95%空気,37℃)した後、細胞を洗浄し、無血清
MEM培地に置換し、さらにジメチルスルホキシドの最終
濃度が0.1%になるように3-ホルミルアミノ-7-メチルス
ルホニルアミノ-6-フェノキシ-4H-1-ベンゾピラン-4-オ
ンを添加し、15分間前処理を行った。さらに、最終濃度
が1μMになるようにブラジキニン(ペプチド研究所
製)を添加し、30分間培養(5%酸素+95%空気,37
℃)した。ブラジキニン処理した線維芽細胞から、コム
ジンスキーとサッチ(Chomczynski and Sacchi)らの方
法〔アナリティカル・バイオケミストリー(Anal. Bioc
hem.),第162巻,第156〜159頁(1987年)〕に準じ、
アイソジェン(ニッポンジーン社製)を用いて、全RNA
を抽出した。この全RNAに対し、ミラン(Milam)らの方
法〔ジャーナル・オブ・セルラー・フィジオロジー(J.
Cell. Physiol.),第149巻,第173〜183頁(1991
年)〕に準じ、逆転写−ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PC
R)を行った。RT-PCRに使用するプライマーの配列は、
以下の通りである。
血清(ギブコBRL社製)を含むDMEM培地10mlに6×106個
浮遊させ、90mmディッシュに播種した。一晩培養(5%
酸素+95%空気,37℃)した後、細胞を洗浄し、無血清
MEM培地に置換し、さらにジメチルスルホキシドの最終
濃度が0.1%になるように3-ホルミルアミノ-7-メチルス
ルホニルアミノ-6-フェノキシ-4H-1-ベンゾピラン-4-オ
ンを添加し、15分間前処理を行った。さらに、最終濃度
が1μMになるようにブラジキニン(ペプチド研究所
製)を添加し、30分間培養(5%酸素+95%空気,37
℃)した。ブラジキニン処理した線維芽細胞から、コム
ジンスキーとサッチ(Chomczynski and Sacchi)らの方
法〔アナリティカル・バイオケミストリー(Anal. Bioc
hem.),第162巻,第156〜159頁(1987年)〕に準じ、
アイソジェン(ニッポンジーン社製)を用いて、全RNA
を抽出した。この全RNAに対し、ミラン(Milam)らの方
法〔ジャーナル・オブ・セルラー・フィジオロジー(J.
Cell. Physiol.),第149巻,第173〜183頁(1991
年)〕に準じ、逆転写−ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PC
R)を行った。RT-PCRに使用するプライマーの配列は、
以下の通りである。
【0011】COX-1 5'プライマー: 5'-TGTTCAGCTTCTGGCCCAACAGCT-3' 3'プライマー: 5'-AGCGCATCAACACGGACGCCTGTT-3' COX-2 5'プライマー: 5'-TTCAAAAGAAGTGCTGGAAAAGGT-3' 3'プライマー: 5'-GATCATCTCTACCTGAGTGTCTTT-3' β-アクチン 5'プライマー: 5'-ACAACGGCTCCGGCATGTGCAA-3' 3'プライマー: 5'-GCTCAGGAGGAGCAATGATCTTG-3'
【0012】なお、RT-PCRにより増幅されるCOX-1、COX
-2及びβ−アクチンcDNAの大きさは、それぞれ304、304
及び969bpである。増幅するmRNAの3'プライマーを50pmo
l含むジエチルピロカーボネート水溶液に、全RNAを1μ
g加え、全量7.5μlにし、68℃、15分間加熱後、10分間
氷冷した。これに、全量20μlになるように50mMトリス
緩衝液(pH8.3)、40mM塩化カリウム、8mM塩化マグネ
シウム、5mMジチオスレイトール、0.5mMdNTPs、4.5μg
/20μl牛血清アルブミン、4units/20μlニワトリ骨髄
芽球症ウイルス由来逆転写酵素(ギブコBRL社製)及び2
0units/20μl RNAsin(プロメガ社製)を加え、42℃、6
0分間逆転写反応後、10分間氷冷した。これに、100mMト
リス緩衝液(pH8.3)、500mM塩化カリウム、15mM塩化マ
グネシウム及び0.1%ゼラチンからなる反応液8μl、並
びに1.25mMdNTPs8μlを加え、さらに、全量100μlにな
るよう2.5units/100μl、TaqDNA合成酵素(宝酒造社
製)及び50pmol/100μlの5'プライマーを加えた。ミネ
ラルオイルを重層し、94℃で1.5分間前処理した後、94
℃で1分間の熱変性、55℃で2分間のアニーリング、72
℃で3分間のDNA伸長反応を1サイクルとし、PCRを行っ
た。反応を21サイクル行った後、72℃で10分間伸長反応
を行った。反応液をクロロホルムで除蛋白した後、エタ
ノール沈澱し、増幅されたDNAを回収した。得られたDNA
をトリス/ホウ酸/エチレンジアミン四酢酸緩衝液で作
製した5%ポリアクリルアミドゲルで電気泳動した後、
臭化エチジウム処理し、紫外線照射により視覚化した。
その結果を図2に示す。
-2及びβ−アクチンcDNAの大きさは、それぞれ304、304
及び969bpである。増幅するmRNAの3'プライマーを50pmo
l含むジエチルピロカーボネート水溶液に、全RNAを1μ
g加え、全量7.5μlにし、68℃、15分間加熱後、10分間
氷冷した。これに、全量20μlになるように50mMトリス
緩衝液(pH8.3)、40mM塩化カリウム、8mM塩化マグネ
シウム、5mMジチオスレイトール、0.5mMdNTPs、4.5μg
/20μl牛血清アルブミン、4units/20μlニワトリ骨髄
芽球症ウイルス由来逆転写酵素(ギブコBRL社製)及び2
0units/20μl RNAsin(プロメガ社製)を加え、42℃、6
0分間逆転写反応後、10分間氷冷した。これに、100mMト
リス緩衝液(pH8.3)、500mM塩化カリウム、15mM塩化マ
グネシウム及び0.1%ゼラチンからなる反応液8μl、並
びに1.25mMdNTPs8μlを加え、さらに、全量100μlにな
るよう2.5units/100μl、TaqDNA合成酵素(宝酒造社
製)及び50pmol/100μlの5'プライマーを加えた。ミネ
ラルオイルを重層し、94℃で1.5分間前処理した後、94
℃で1分間の熱変性、55℃で2分間のアニーリング、72
℃で3分間のDNA伸長反応を1サイクルとし、PCRを行っ
た。反応を21サイクル行った後、72℃で10分間伸長反応
を行った。反応液をクロロホルムで除蛋白した後、エタ
ノール沈澱し、増幅されたDNAを回収した。得られたDNA
をトリス/ホウ酸/エチレンジアミン四酢酸緩衝液で作
製した5%ポリアクリルアミドゲルで電気泳動した後、
臭化エチジウム処理し、紫外線照射により視覚化した。
その結果を図2に示す。
【0013】図1及び図2より、3-ホルミルアミノ-7-
メチルスルホニルアミノ-6-フェノキシ-4H-1-ベンゾピ
ラン-4-オンは、COX-2を選択的に阻害し、COX-2の発現
誘導に対して抑制作用を示すことが見出された。すなわ
ち、これらの相乗効果により、3-ホルミルアミノ-7-メ
チルスルホニルアミノ-6-フェノキシ-4H-1-ベンゾピラ
ン-4-オンは、生体のホメオスタシスに重要な役割を演
じているCOX-1にはほとんど影響せず、炎症部位選択的
なPGE2産生を抑制し、例えば、消化管や腎において高い
忍容性を有する薬剤であることが見出された。
メチルスルホニルアミノ-6-フェノキシ-4H-1-ベンゾピ
ラン-4-オンは、COX-2を選択的に阻害し、COX-2の発現
誘導に対して抑制作用を示すことが見出された。すなわ
ち、これらの相乗効果により、3-ホルミルアミノ-7-メ
チルスルホニルアミノ-6-フェノキシ-4H-1-ベンゾピラ
ン-4-オンは、生体のホメオスタシスに重要な役割を演
じているCOX-1にはほとんど影響せず、炎症部位選択的
なPGE2産生を抑制し、例えば、消化管や腎において高い
忍容性を有する薬剤であることが見出された。
【0014】
【実施例】以下に具体的実施例を挙げて更に詳細に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0015】実施例1 以下に示す成分を用いて常法により硬ゼラチンカプセル
剤を調製した。
剤を調製した。
【表1】 (mg) 3-ホルミルアミノ-7-メチルスルホニルアミノ-6-フェノキシ -4H-1-ベンゾピラン-4-オン 50 乳糖 114.5 コーンスターチ 20 ヒドロキシプロピルセルロース 2 軽質無水ケイ酸 1.5 カルボキシメチルセルロースカルシウム 10 ステアリン酸マグネシウム 2 計 200
【0016】実施例2 以下に示す成分を用いて常法により錠剤を調製した。
【表2】 (mg) 3-ホルミルアミノ-7-メチルスルホニルアミノ-6-フェノキシ -4H-1-ベンゾピラン-4-オン 25 乳糖 49 微結晶セルロース 36 ヒドロキシプロピルセルロース 1 カルボキシメチルセルロースカルシウム 6.6 ステアリン酸マグネシウム 1.2 タルク 1.2 計 120
【0017】実施例3 以下に示す成分を用いて常法により錠剤を調製した。
【表3】 (mg) 3-ホルミルアミノ-7-メチルスルホニルアミノ-6-フェノキシ -4H-1-ベンゾピラン-4-オン 50 乳糖 74 微結晶セルロース 55 ヒドロキシプロピルセルロース 2 カルボキシメチルセルロースカルシウム 15 ステアリン酸マグネシウム 2 タルク 2 計 200
【0018】実施例4 以下に示す成分を用いて常法により錠剤を調製した。
【表4】 (mg) 3-ホルミルアミノ-7-メチルスルホニルアミノ-6-フェノキシ -4H-1-ベンゾピラン-4-オン 100 乳糖 49 微結晶セルロース 55 ヒドロキシプロピルセルロース 2 カルボキシメチルセルロースカルシウム 15 ステアリン酸マグネシウム 2 タルク 2 計 225
【0019】
【発明の効果】3-ホルミルアミノ-7-メチルスルホニル
アミノ-6-フェノキシ-4H-1-ベンゾピラン-4-オンを含有
するシクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤及びシクロオ
キシゲナーゼ-2発現抑制剤は、医薬品として有用であ
る。
アミノ-6-フェノキシ-4H-1-ベンゾピラン-4-オンを含有
するシクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤及びシクロオ
キシゲナーゼ-2発現抑制剤は、医薬品として有用であ
る。
【図1】3-ホルミルアミノ-7-メチルスルホニルアミノ-
6-フェノキシ-4H-1-ベンゾピラン-4-オンの濃度とCOX活
性抑制率の関係を示す図である。
6-フェノキシ-4H-1-ベンゾピラン-4-オンの濃度とCOX活
性抑制率の関係を示す図である。
【図2】3-ホルミルアミノ-7-メチルスルホニルアミノ-
6-フェノキシ-4H-1-ベンゾピラン-4-オンによるCOXmRNA
の発現抑制を示すポリアクリルアミドゲル電気泳動図で
ある。
6-フェノキシ-4H-1-ベンゾピラン-4-オンによるCOXmRNA
の発現抑制を示すポリアクリルアミドゲル電気泳動図で
ある。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年3月16日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】3−ホルミルアミノ−7−メチルスルホニルア
ミノ−6−フェノキシ−4H−1−ベンゾピラン−4−
オンによるCOXmRNAの発現抑制を示すポリアクリ
ルアミドゲル電気泳動写真である。
ミノ−6−フェノキシ−4H−1−ベンゾピラン−4−
オンによるCOXmRNAの発現抑制を示すポリアクリ
ルアミドゲル電気泳動写真である。
Claims (2)
- 【請求項1】 3-ホルミルアミノ-7-メチルスルホニル
アミノ-6-フェノキシ-4H-1-ベンゾピラン-4-オンを含有
するシクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤。 - 【請求項2】 3-ホルミルアミノ-7-メチルスルホニル
アミノ-6-フェノキシ-4H-1-ベンゾピラン-4-オンを含有
するシクロオキシゲナーゼ-2発現抑制剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30487394A JPH08157361A (ja) | 1994-12-08 | 1994-12-08 | シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤及びシクロオキシゲナーゼ−2発現抑制剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30487394A JPH08157361A (ja) | 1994-12-08 | 1994-12-08 | シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤及びシクロオキシゲナーゼ−2発現抑制剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08157361A true JPH08157361A (ja) | 1996-06-18 |
Family
ID=17938311
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP30487394A Pending JPH08157361A (ja) | 1994-12-08 | 1994-12-08 | シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤及びシクロオキシゲナーゼ−2発現抑制剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08157361A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2000010993A1 (en) * | 1998-08-22 | 2000-03-02 | Pacific Corporation | Diarylbenzopyran derivatives as cyclooxygenase-2 inhibitors |
WO2000024393A1 (en) * | 1998-10-23 | 2000-05-04 | Merck Frosst Canada & Co. | Combination product comprising an e-type prostaglandin ligand and a cox-2 selective inhibitor and methods of use |
WO2001030341A1 (fr) * | 1999-10-25 | 2001-05-03 | Japan As Represented By Director General Of Agency Of National Cancer Center | Inhibiteurs de l'expression de la cyclo-oxygenase-2 |
WO2022195579A1 (en) | 2021-03-15 | 2022-09-22 | Saul Yedgar | Hyaluronic acid-conjugated dipalmitoyl phosphatidyl ethanolamine in combination with non-steroidal anti-inflammatory drugs (nsaids) for treating or alleviating inflammatory diseases |
-
1994
- 1994-12-08 JP JP30487394A patent/JPH08157361A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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AU764872B2 (en) * | 1998-10-23 | 2003-09-04 | Merck Frosst Canada & Co. | Combination product comprising an E-type prostaglandin ligand and a cox-2 selective inhibitor and methods of use |
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WO2022195579A1 (en) | 2021-03-15 | 2022-09-22 | Saul Yedgar | Hyaluronic acid-conjugated dipalmitoyl phosphatidyl ethanolamine in combination with non-steroidal anti-inflammatory drugs (nsaids) for treating or alleviating inflammatory diseases |
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