JPH08155428A - 生ごみ処理システム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 台所から処理機までの生ごみ運搬の手間がか
からず、集合住宅の各戸の生ごみを集中処理することの
できる生ごみ処理機を提供する。 【構成】 集合住宅３の各戸の流し５から出る生ごみは
ディスポーザー９で粉砕され、排水とともに生ごみ処理
システム１に送られる。同処理システム１では、ベルト
フィルター１７で排水内の粉砕生ごみをキャッチする。
ベルトフィルター１７表面に堆積した粉砕生ごみは、フ
ィルター１７の移動とともに図の左方向に移され、ブラ
シロール３３やファン３５によってフィルター１７表面
からはがされ、生ごみ処理機に投入される。ベルトフィ
ルター１７は、ファン３５により乾燥され、次の濾過に
向けて待機する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、家庭の台所等より出る
生ごみを処理する生ごみ処理システムに関する。特に
は、アパートやマンション等の集合住宅において、各戸
から出る生ごみを一括して処理するのに適した生ごみ処
理システムに関する。

【０００２】

【従来の技術】生ごみは、食品を調理した残りカスや残
飯など、家庭や食堂における食品の調理によって発生す
るゴミの総称である。具体的には、野菜クズ、魚の頭や
骨、果物の皮などに水が混ざったものである。生ごみの
水分含有率は、一般的に７０％〜８０％と言われてい
る。

【０００３】生ごみを処理する方法としては、古典的に
は、自宅の庭や農地の土中に埋める、ブタ等の動物
のエサにする、等もあったが、近年の主流は燃やす、
である。一般的には、流しの角にある三角コーナー
（網）に生ごみを入れ、水を切った上でビニールの袋に
入れ、この袋をゴミ収集所に出し、他のゴミ（紙等）と
一緒に収集してゴミ焼却場に送り、そこで焼却する。

【０００４】しかし、最近に至って、家庭や食堂などの
生ごみの発生現場において処理する生ごみ処理機が用い
られ始めた。生ごみをより自然に近い処理システムによ
り”地球にやさしく”処理しようという最近の風潮や、
前述の回収・焼却処理システムにおける、家庭内での保
管時やゴミ収集所における悪臭に代表される問題点をな
くしたいという人々の欲求のなせるところである。

【０００５】現在一般的に用いられている生ごみ処理機
のタイプは、以下の３タイプである。 コンポスト容器型：普通の土を入れた容器を庭の角
等に置いておき、これに生ごみを入れ、微生物で生ごみ
を分解させ堆肥を得る。この堆肥は、庭の植物の肥料と
する。また、不足分の土は庭から取って容器内に入れ
る。容器内にはなにも可動部はなく、古典的な”土中に
埋める”と本質的には同じ処理法である。

【０００６】 乾燥型：電熱ヒーター等を備えた容器
中に生ごみを入れて加熱し水分を飛ばす。乾燥後には、
生ごみの体積が元の1/3 〜 1/5になっており、かつ汁が
タレないし臭くならないので、その後の処理（袋に入れ
て紙ゴミ等といっしょにゴミ収集に出す）が楽である。

【０００７】 バイオ処理型：生ごみ処理槽内を、好
気性高温菌など生ごみの分解能力の高い菌が活動し易い
環境下に保つとともに、槽内に、生ごみを攪拌・粉砕す
るアームを備えた生ごみ処理機である。高温菌は温度５
０〜７０℃で活発に活動する。また槽内に多孔質の木質
細片（チップ）等よりなる菌培養基材兼水分調節材を入
れることも一般的になされている。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかし、集合住宅の各
家庭においては、上述の生ごみ処理機のうちコンポスト
容器型は使えない。土との関連が強すぎるからである。
また、乾燥型やバイオ処理型についても、以下のような
問題点がある。 臭や排水の制約があるためほとんどの生ごみ処理機
は屋外設置式となっており、ベランダ等に処理機の設置
スペースが必要となる。

【０００９】 ベランダに置いて処理する際に、やは
りかなりの臭気が発生するため、隣りや上の住宅の住民
に迷惑がかかり、結局使用しずらくなってしまう。 流しの三角コーナーで水を切った生ごみを処理機の
所に運ぶ間に、たれる水などで室内を汚してしまう。

【００１０】 乾燥型生ごみ処理機で減容した残り
は、庭がないので結局可燃ゴミ等として処分しなければ
ならない。 処理機の価格はかなり高いので各戸に購入するのは
大変である。

【００１１】上述の問題のため、集合住宅においては生
ごみ処理機はほとんど使用されることはなかった。本発
明は、台所から処理機までの生ごみ運搬の手間がかから
ず、集合住宅の各戸の生ごみを集中処理することのでき
る生ごみ処理機を提供することを目的とする。

【００１２】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の生ごみ処理システムは、生ごみ粉砕機（デ
ィスポーザー）の付設された流しから排出される粉砕生
ごみを含む排水を処理する生ごみ処理システムであっ
て、排水投入口と、投入された排水を濾過するベルトフ
ィルターと、このベルトフィルターを長手方向に駆動す
るフィルター駆動手段と、ベルトフィルター上に堆積し
た粉砕生ごみを、排水のかからない位置でベルトフィル
ターから除去する粉砕生ごみ除去手段と、粉砕生ごみの
除去されたベルトフィルターを乾燥するフィルター乾燥
手段と、ベルトフィルターから除去された粉砕生ごみを
消滅又は減容処理する生ごみ処理機と、濾過後の排水を
排出する排水口と、を具備することを特徴とする。

【００１３】

【作用】各戸の流しから出る生ごみはディスポーザーで
粉砕され、排水とともに生ごみ処理システムに送られ
る。生ごみ処理システムでは、ベルトフィルターで排水
内の粉砕生ごみをキャッチする。ベルトフィルター表面
に堆積した粉砕生ごみは、ベルトフィルターの移動とと
もに排水のかからない所に移され、ベルトフィルター表
面からはがされ、生ごみ処理機に投入される。その後ベ
ルトフィルターは、フィルター乾燥手段により乾燥さ
れ、次の濾過に向けて待機する。

【００１４】

【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。図１は、
本発明の一実施例に係る生ごみ処理システムの構成を示
す模式図である。集合住宅３の各戸の台所の流し５から
出る生ごみは、流し５に付設されているディスポーザー
９によって細かく粉砕され、排水とともに各戸排水管１
１から集合排水管１３を通って、生ごみ処理システム１
に送られる。なお、生ごみの中には、ビンのフタやビニ
ール巻き針金（商品名ビニタイ、袋の口をしばる帯）な
どの金属類が混じることがあるが、このような金属類
は、流し５の底に取り付けられている磁石７に吸着され
て流し５の中に残り、生ごみから取り除かれる。ビンの
フタ等がディスポーザー９の回転羽根を破損することを
防止するためである。

【００１５】生ごみ処理システム１においては、粉砕生
ごみを含む排水は、排水投入口１５から下に落ちてベル
トフィルター１７にかかる。ベルトフィルター１７は、
ナイロンメッシュ等（編目の細かさは例えば３０メッシ
ュ）がループ状になっているものである。ベルトフィル
ター１７は、サポートロール１９や押えロール３１、ブ
ラシロール３３、ロール２１等によって張られており、
かつ駆動される（長手方向に送られる）。なお、押えロ
ール３１は、排水流の着下にあって、ベルトフィルター
１７を下に凹ませている。

【００１６】ベルトフィルター１７のループの上部で排
水は濾過され、ベルトフィルター１７の上に粉砕生ごみ
が堆積する。なお、ベルトフィルター１７は通常は停止
している。しかし、粉砕生ごみの堆積量が多くなってベ
ルトフィルター１７全体が重くなると、サポートロール
１９（バネ等により上方に付勢支持されている）がやや
下がる。サポートロール１９の下には、同ロールの上下
位置を検出するセンサ（生ごみ堆積センサ）２０が取り
付けられており、粉砕生ごみが所定量以上堆積して、そ
の重みでロール１９が下がると、センサ２０がそれを検
知する。そこで、サポートロール１９等のロールが自動
的に駆動されて、ベルトフィルター１７は図の左方向に
諸定長さだけ送られる。そうすると、ループ上部のベル
トフィルター１７が軽くなり、サポートロール１９が上
昇し、生ごみ堆積センサ２０がＯＦＦとなってベルトフ
ィルター１７の駆動が停止する。

【００１７】粉砕生ごみの堆積層が上に載っているベル
トフィルター１７は、ブラシロール３３において、ブラ
ッシングされ、生ごみ堆積層がベルトフィルター１７か
ら浮く。その後、ブラシロール３３の下に回ったベルト
フィルター１７上から、生ごみ堆積層は、ブラシロール
３３の左下に配置されている生ごみ処理機４１内に自動
的に落ちる。

【００１８】ブラシロール３３の下にはファン３５が設
けられており、ベルトフィルター１７のループ内側（濾
過方向の後ろ側）からループ外側（濾過方向の手前側）
に向けて風を送る。この風によっても、ベルトフィルタ
ー１７に付着した粉砕生ごみがベルトフィルター１７か
らはがれて、生ごみ処理機４１の処理槽４５へと飛ばさ
れる。なお、ファン３５の起動は、ベルトフィルター１
７の駆動と連動して自動的に行われる。

【００１９】ファン３５は、同時に、ベルトフィルター
１７を乾燥する役割も果す。ベルトフィルター１７が乾
燥すると、例え少量の粉砕生ごみが付着していたとして
も腐敗が生じることがなく、したがって悪臭の発生も抑
制される。このようにして、ベルトフィルター１７は、
自動的に清潔でかつ再使用可能な状態になる。ファン３
５をヒーター付きのファンとして、温風をベルトフィル
ター１７に送ることとしてもよい。

【００２０】生ごみ処理機４１は、乾燥型であってもバ
イオ処理型であってもよい。ただし、乾燥型の場合、減
用処理後の残渣が残ってしまうため、その残渣処理の手
間がかかる。いわゆる消滅式のバイオ処理機の場合は、
固形残渣はほとんど残らないので、残渣処理の手間が省
ける。さらに、処理結果物（コンポスト、堆肥）あるい
は排液を肥料として利用できる利点もあるので、バイオ
処理型の生ごみ処理機のほうが好ましい。この実施例に
おいては、生ごみ処理機４１はバイオ処理型である。処
理槽４５内には攪拌棒４３が回転しており、また処理槽
４５は図示せぬ加熱手段によって、高温菌の活動に好適
な温度（５０〜７０⁰ Ｃ）に加熱されている。熱源とし
ては、電気、ガス、各種温排ガスを利用することができ
る。

【００２１】一方、濾過を行う上部フィルターを通過し
た排水は、ベルトフィルター１７のループの中に入り、
水よけ板２５に当って、同板２５上を図の紙面の手前側
あるいは奥側に流れて下に落ち、ベルトフィルター１７
のループの下に設けられたパン２７に受けられて、同パ
ン２７中央底の排水口２９から一般下水へと流れ込む。
そして、トイレ等の排水とともに下水処理場で処理され
る。なお、ディスポーザーで粉砕された粉砕生ごみを含
む排水を、なにも処理しないで直接一般下水に送ること
も考えられるが、下水処理場の能力や形式によっては、
そのような排水を受け入れるのに適さない処理場が多い
ため、現状では一般的でない。

【００２２】上述の水よけ板２５（ループ下部フィルタ
ー防水手段）の役割は、ループの下部のベルトフィルタ
ー２３に排水を当てないようにするためである。下部ベ
ルトフィルター２３にループの内側から（濾過方向の後
ろ側から）排水をあてると、排水中の残与の固形分がル
ープの内側にたまる。このような固形分は、ループ外に
なかなか排出されないため、機械の各部に詰まるような
トラブルや悪臭の原因となる。もちろん、ファン３５に
よってせっかくキレイに乾燥された下部のベルトフィル
ター２３を濡らすこととなるのは不合理である。下部ベ
ルトフィルター２３は、生ごみ処理システム１の運転に
つれて、反時計回りに回転して再びループ上部に送ら
れ、排水の濾過に供される。

【００２３】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の生ごみ処理システムは以下の効果を発揮する。 集合住宅に一台、中容量程度の生ごみ処理機を設置
することにより、各家庭の生ごみをまとめて処理するこ
とができるので、各家庭毎に小型の生ごみ処理機を購入
する場合と比較して予算が少なくてすむ。また排出され
るコンポスト等の処理もまとめて行うことができる。な
お、生ごみ処理機の小型化及び無臭化は様々な困難を伴
い、集合住宅各戸に生ごみ処理機を設置することは困難
である。

【００２４】 各家庭の流しと生ごみ処理システムと
が排水管によって連結されているため、生ごみの水を切
ったり、生ごみを生ごみ処理機までハンドリングする手
間がかからない。そのため、生ごみのハンドリング中に
家の中を汚したりするようなことは一切なくなる。

【００２５】 生ごみ処理システムを自動運転方式と
することもでき、またフィルターの清掃・乾燥も自動的
に行うことができるので、人手によるフィルター清掃や
運転監視の手間がかからない。 水よけ板等のループ下部フィルター防水手段が設け
られている場合には、一度キレイに乾燥されたベルトフ
ィルターが上部から下に落ちる排水で汚れるようなこと
がない。

【００２６】 流しの底面に磁石を取り付けておけ
ば、生ごみ中にビンのフタ等の金属類が含まれていて
も、磁石に吸い付いて除去されるため、ディスポーザー
の故障や停止を防止できる。そのため、面倒な修理や復
帰操作をしなくても済むようになる。

【００２７】 上記〜の結果、集合住宅における
生ごみ処理に伴う諸問題を一挙に解決することができ、
環境問題の解決や快適な生活空間の提供という重大な意
義がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係る生ごみ処理システムの
構成を示す模式図である。

【符号の説明】

１ 生ごみ処理システム ３ 集合住宅 ５ 流し ７ 磁石 ９ ディスポーザー １１ 各戸排水管 １３ 集合排水管 １５ 排水投入口 １７ ベルトフィルター １９ サポートロ
ール ２０ 生ごみ堆積センサ ２１ ロール ２３ 下部ベルトフィルター ２５ 水よけ板 ２７ パン ２９ 排水口 ３１ 押えロール ３３ ブラシロー
ル ３５ ファン ３７ 粉砕生ごみ ４１ 生ごみ処理機 ４３ 攪拌棒 ４５ 処理槽

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｂ０１Ｄ 33/44 33/58 Ｂ０２Ｃ 21/00 Ｃ Ｃ０２Ｆ 1/00 ＺＡＢ Ｌ

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 生ごみ粉砕機（ディスポーザー）の付
   設された流しから排出される粉砕生ごみを含む排水を処
   理する生ごみ処理システムであって、 排水投入口と、 投入された排水を濾過するベルトフィルターと、 このベルトフィルターを長手方向に駆動するフィルター
   駆動手段と、 ベルトフィルター上に堆積した粉砕生ごみを、排水のか
   からない位置でベルトフィルターから除去する粉砕生ご
   み除去手段と、 粉砕生ごみの除去されたベルトフィルターを乾燥するフ
   ィルター乾燥手段と、 ベルトフィルターから除去された粉砕生ごみを消滅又は
   減容処理する生ごみ処理機と、 濾過後の排水を排出する排水口と、 を具備することを特徴とする生ごみ処理システム。
2. 【請求項２】 上記ベルトフィルターがループ式であ
   り、 かつ、該ループの上部で排水を濾過する構成となってお
   り、 濾過後にループの下部方向に落下する排水が、ループ下
   部のベルトフィルターに当たらないようにするループ下
   部フィルター防水手段がさらに設けられている請求項１
   記載の生ごみ処理システム。
3. 【請求項３】 上記ベルトフィルター上に堆積した粉砕
   生ごみの量を検出する生ごみ堆積センサが設けられてお
   り、所定量以上粉砕生ごみが堆積した時にベルトフィル
   ターが駆動される請求項１又は２いずれか１項記載の生
   ごみ処理システム。
4. 【請求項４】 上記粉砕生ごみ除去手段とフィルター乾
   燥手段が、 フィルターを洗浄するブラシと、 ブラッシングされたベルトフィルターに、濾過方向の後
   ろ側から濾過方向の手前側に向けて風を送るファンと、
   の組み合わせによって構成されている請求項１、２又は
   ３いずれか１項記載の生ごみ処理システム。