JPH0815473A - 高速炉の反射体駆動装置 - Google Patents

高速炉の反射体駆動装置

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JPH0815473A
JPH0815473A JP6153750A JP15375094A JPH0815473A JP H0815473 A JPH0815473 A JP H0815473A JP 6153750 A JP6153750 A JP 6153750A JP 15375094 A JP15375094 A JP 15375094A JP H0815473 A JPH0815473 A JP H0815473A
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reflector
electromagnetic
electromagnet
core
driving device
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JP6153750A
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Inventor
Shigeo Kasai
重夫 笠井
Hiroshi Takahashi
博 高橋
Kenichi Takahara
憲一 高原
Shitta Shingu
悉太 新宮
Hiroshi Nakamura
博 中村
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

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Abstract

(57)【要約】 【目的】炉外の駆動機構部を排除するとともに、原子炉
を迅速に起動・停止可能な高速炉の反射体駆動装置を提
供する。 【構成】炉心バレル30に電磁吸引力にて吸着される電
磁保持機構41と、反射体3と電磁保持機構41との間
に瞬間的な電磁反発力を発生させる電磁反発コイル42
とを有し、この電磁反発力と反射体3の慣性力を用いて
反射体3を駆動するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は制御棒に代えて炉心外周
に設けた反射体により炉心燃料の燃焼を制御するナトリ
ウム冷却型の高速炉に係り、特に炉外の駆動機構部を排
除し、構造の簡略化を図った高速炉の反射体駆動装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の反射体駆動装置の一例と
しては、特開平6−59069号(特願平4−2128
48号)公報に開示されたものがある。この反射体駆動
装置を用いた原子炉は、図30に示すように原子炉容器
1内に、複数の核燃料を装荷した炉心2と、この炉心2
の外周に同心状に配設される環状の反射体3と、この反
射体3のさらに外周に同心状に配設される環状の中性子
遮蔽体4とをナトリウムからなる冷却材(一次ナトリウ
ム)5とともに収容し、炉心2を炉心支持板6により支
持している。
【0003】また、原子炉容器1は、その上部内に冷却
材5を原子炉容器1内で強制循環させる電磁ポンプ7
と、冷却材5を媒体として送られる熱を別系統に熱交換
する中間熱交換器8と、原子炉運転停止後の崩壊熱を除
去する崩壊熱除去コイル9を収容している。冷却材5で
あるナトリウムは図中実線矢印で示すように炉心2を流
出してその上方の中間熱交換器8に流入し、その後、電
磁ポンプ7から噴出されて再び炉心2に流入して循環す
る。二次ナトリウムは二次ナトリウム入口10から流入
し、図中破線矢印で示すように中間熱交換器8を介して
冷却材(一次ナトリウム)5と熱交換した後、二次ナト
リウム出口11から流出する。
【0004】ところで、反射体3は炉心2の核燃料から
放射される中性子を受けて、この中性子を再び炉心2側
へ反射して戻すことにより、炉心2内の核燃料の燃焼を
促進させるものである。したがって、反射体3が炉心2
の外周に位置するときは、炉心2の核燃料の燃焼が促進
される。逆に、反射体3が炉心2の外周に位置しないと
きは、炉心2からの中性子は反射体3で反射されずに、
径方向外方へ拡散され、炉心2の核燃料の燃焼は促進さ
れない。
【0005】この反射体3の位置を制御する従来の反射
体駆動装置は、原子炉起動時および停止時にその起動位
置と停止位置とに、それぞれ反射体3を高速に移動させ
る高速反射体駆動装置Aと、原子炉通常運転時に上記起
動位置から炉心2の核燃料の燃焼最終位置まで反射体3
を超微速で徐々に移動させる超微速反射体駆動装置Bと
を有し、高速反射体駆動装置Aが超微速反射体駆動装置
Bを昇降自在に支持することにより、反射体3を高速に
上昇または降下駆動可能な構成となっている。
【0006】つまり、超微速反射体駆動装置Bは反射体
3を例えば3m/10年の超微速で上昇させ、10年で
炉心2の核燃料を完全に燃焼させるものであり、その間
燃料の交換は行わない。炉心2の外周に配設される環状
の反射体3は、長尺で且つ大径の円管13を介してボー
ルナット14に保持されており、このボールナット14
はケーシング15内に昇降自在に収容され、このケーシ
ング15の軸方向中間部外周には、フランジ状の取付台
16が固着されている。ここで、円管13はシール材を
介してボールナット14と連結されている。
【0007】また、ボールナット14は、その中央部に
穿設されたねじ孔にボールねじ17のねじ部を螺合さ
せ、このボールねじ17の上端部をケーシング15の上
端から垂直方向外方へ回転自在に突出させて上部減速機
18と作動連結している。さらに、上部減速機18はカ
ップリング19を介して下部減速機20と連結され、こ
の下部減速機20は駆動モータ21と接続されている。
【0008】一方、高速反射体駆動装置Aは、原子炉起
動時にその起動位置まで反射体3を例えば1m/日の高
速で上昇させるとともに、原子炉停止時にはその停止位
置まで反射体3を高速に降下させるものであり、原子炉
容器1の上端上方に打設された上部スラブ12上に複数
の油圧シリンダ22をケーシング15の周囲に略等間隔
で立設し、これら油圧シリンダ22で超微速反射体駆動
装置Bの取付台16を支持している。油圧シリンダ22
は油管23を介して油圧装置24と接続されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
反射体駆動装置にあっては、長ストローク型の駆動機構
部が炉外に存在するため、構造が複雑化するとともに、
装置が大型化するという問題がある。また、反射体3を
支持する円管13がシール材を介してボールナット14
と連結されていることから、原子炉内のカバーガスの密
封性を確保するために、駆動軸を排除することが要望さ
れていた。
【0010】本発明は上述した事情を考慮してなされた
もので、炉外の駆動機構部を排除するとともに、原子炉
を迅速に起動・停止可能な高速炉の反射体駆動装置を提
供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために、請求項1は、核燃料を装荷した炉心と、この炉
心を取り囲む炉心バレルと、この炉心バレルの外周を取
り囲む環状の反射体と、この反射体の外周を取り囲み一
次冷却材流路を構成する隔壁と、この隔壁の外周を取り
囲み前記一次冷却材流路中に配設された中性子遮蔽体
と、この中性子遮蔽体の外周を取り囲み前記冷却材流路
の外壁を構成する原子炉容器とを備えた高速炉におい
て、前記炉心バレルに電磁吸引力にて吸着される電磁保
持機構と、前記反射体と前記電磁保持機構との間に瞬間
的な電磁反発力を発生させる電磁反発コイルとを有し、
この電磁反発力と前記反射体の慣性力を用いて前記反射
体を駆動することを特徴とする。
【0012】請求項2は、請求項1記載の高速炉の反射
体駆動装置において、電磁保持機構と反射体とを電磁吸
引力にて結合する連結用電磁石を具備したことを特徴と
する。
【0013】請求項3は、請求項1または2記載の高速
炉の反射体駆動装置において、電磁保持機構と連結用電
磁石を一体形成し、保持用電磁吸引力と連結用電磁吸引
力を発生させることを特徴とする。
【0014】請求項4は、核燃料を装荷した炉心と、こ
の炉心を取り囲む炉心バレルと、この炉心バレルの外周
を取り囲む環状の反射体と、この反射体の外周を取り囲
み一次冷却材流路を構成する隔壁と、この隔壁の外周を
取り囲み前記一次冷却材流路中に配設された中性子遮蔽
体と、この中性子遮蔽体の外周を取り囲み前記冷却材流
路の外壁を構成する原子炉容器とを備えた高速炉におい
て、前記炉心バレルを吸着する第1の位置保持用電磁石
および第1の移動用電磁石が固着された第1の吸着体を
有する第1の移動体と、前記炉心バレルを吸着する第2
の位置保持用電磁石および第2の移動用電磁石が固着さ
れ、前記第1の移動用電磁石に吸着される第2の吸着体
を有する第2の移動体とを設け、前記第1の移動用電磁
石に対する第2の吸着体が、第1の移動用電磁石を取り
囲むように形成されたことを特徴とする。
【0015】請求項5は、請求項1または4記載の高速
炉の反射体駆動装置において、反射体は下部にダンパを
設けたことを特徴とする。
【0016】請求項6は、請求項4記載の高速炉の反射
体駆動装置において、反射体は周方向に複数に分割構成
されたことを特徴とする。
【0017】請求項7は、請求項4記載の高速炉の反射
体駆動装置において、反射体は重力平衡機構で支持され
たことを特徴とする。
【0018】請求項8は、核燃料を装荷した炉心と、こ
の炉心を取り囲む炉心バレルと、この炉心バレルの外周
を取り囲む環状の反射体と、この反射体の外周を取り囲
み一次冷却材流路を構成する隔壁と、この隔壁の外周を
取り囲み前記一次冷却材流路中に配設された中性子遮蔽
体と、この中性子遮蔽体の外周を取り囲み前記冷却材流
路の外壁を構成する原子炉容器とを備えた高速炉におい
て、前記炉心バレルに電磁吸引力にて吸着される電磁保
持機構のヨーク内に、瞬間的な電磁反発力を発生する電
磁反発コイルと、この電磁反発力を受ける慣性体と、こ
の慣性体の位置を復元させるばねとを設けたことを特徴
とする。
【0019】
【作用】請求項1においては、炉心バレルに電磁吸引力
にて吸着される電磁保持機構と、反射体と電磁保持機構
との間に瞬間的な電磁反発力を発生させる電磁反発コイ
ルとを有し、この電磁反発力と反射体の慣性力を用いて
反射体を駆動することにより、原子炉起動時において、
反射体駆動装置は原子炉の起動位置に吸着保持されてお
り、この反射体駆動装置がストッパとなって流体圧によ
り上昇した反射体は原子炉の起動位置で固定される。反
射体はこの反射体駆動装置の上昇駆動に伴って流体圧に
より反射体駆動装置に固定されながら超微速で移動す
る。
【0020】請求項2においては、電磁保持機構と反射
体とを電磁吸引力にて結合する連結用電磁石を具備した
ことにより、流体圧の変動による反射体の揺れを大幅に
軽減し、電磁反発コイルによって反射体と電磁保持機構
との間に発生する電磁反発力の発生効率を大幅に高める
ことができる。
【0021】請求項3においては、電磁保持機構と連結
用電磁石を一体形成し、保持用電磁吸引力と連結用電磁
吸引力を発生させることにより、電磁反発コイルによる
電磁反発力で反射体駆動装置と反射体との間に空隙を形
成すると、磁束が減少して保持用電磁吸引力が小さくな
るため、炉心バレルと反射体駆動装置間の摩擦力が小さ
くなり、移動ステップ量を高めることができる。
【0022】請求項4においては、炉心バレルを吸着す
る第1の位置保持用電磁石および第1の移動用電磁石が
固着された第1の吸着体を有する第1の移動体と、炉心
バレルを吸着する第2の位置保持用電磁石および第2の
移動用電磁石が固着され、第1の移動用電磁石に吸着さ
れる第2の吸着体を有する第2の移動体とを設け、第1
の移動用電磁石に対する第2の吸着体が、第1の移動用
電磁石を取り囲むように形成されたことにより、インチ
ワーム動作で移動する構成となり、電磁石の数が少な
く、構成も簡単で信頼性の要求される原子炉内の駆動機
構として好適である。
【0023】請求項5においては、反射体が下部にダン
パを設けたことにより、原子炉停止時において、隔壁と
炉心バレル間に流体圧を与えるポンプ停止による反射体
降下時の衝撃を大幅に軽減できる。
【0024】請求項6においては、反射体が周方向に複
数に分割構成されたことにより、1つの移動体に1個の
位置保持用電磁石と2個の移動用電磁石を配置すれば、
駆動装置としてバランスのとれた電磁石配置となる。
【0025】請求項7においては、反射体が重力平衡機
構で支持されたことにより、流体圧の負荷を大幅に軽減
できる。
【0026】請求項8においては、炉心バレルに電磁吸
引力にて吸着される電磁保持機構のヨーク内に、瞬間的
な電磁反発力を発生する電磁反発コイルと、この電磁反
発力を受ける慣性体と、この慣性体の位置を復元させる
ばねとを設けたことにより、電磁反発コイルに電流を流
すことで、電磁反発コイルと慣性体との間で互いに逆向
きの電磁反発力が作用させる一方、ばねを圧縮・復元さ
せて反射体を原子炉起動位置から原子炉燃料を燃焼させ
る最終位置まで超微速に移動することができる。
【0027】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0028】図1は本発明に係る高速炉の反射体駆動装
置の第1実施例を用いた原子炉の起動前の状態を示す断
面構成図、図2は図1の原子炉起動時の状態を示し、一
次冷却材(一次ナトリウム)の流体圧を利用して原子炉
の起動または停止を迅速に行う流体駆動の動作を示す断
面構成図である。なお、図1および図2は反射体駆動装
置を説明するために用いる部分図であり、主として図3
0と異なる構成を示し、その他の原子炉構成要素および
動作原理は従来の原子炉と基本的に同様であるので、同
一の部分には同一の符号を用いて説明する。
【0029】図1および図2に示すように、原子炉容器
1内には、核燃料を装荷した炉心2と、この炉心2の外
周を取り囲む炉心バレル30と、この炉心バレル30の
外周を取り囲み全体として環状に形成された反射体3
と、この反射体3の外周を取り囲み、原子炉の半径方向
に配設された支持部材29を介して炉心バレル30を支
持するとともに、支持部材29に穿設された流入孔29
aから流入した冷却材5の流路の内壁を構成する隔壁3
1と、この隔壁31の外周を取り囲み冷却材5の流路中
に配設された中性子遮蔽体4とを備え、且つ原子炉容器
1は中性子遮蔽体4の外周を取り囲み、冷却材5流路の
外壁を構成し、その外周が図示しないガードベッセルに
より取り囲まれている。
【0030】原子炉起動時と停止時は、炉心バレル30
と隔壁31との間に支持部材29の流入孔29aから流
入した冷却材5の流体圧により、反射体3が原子炉を起
動させる位置と、原子炉を停止させる位置とにそれぞれ
高速に移動される。反射体3の下部にはダンパ32が設
けられており、原子炉の停止時において、このダンパ3
2は隔壁31と炉心バレル30間に流体圧を与えるため
の電磁ポンプ7が停止した場合、反射体3の下降時の衝
撃を軽減している。
【0031】図3はダンパ構造の一例を示し、このダン
パ32は反射体3下部に設けたばね力復元式のダンパで
ある。このダンパ32はシリンダ33を有し、このシリ
ンダ33内にばね34が設けられ、ばね34の付勢力に
よりピストン35を常に下方に押し付けている。そし
て、反射体3の浮上中はばね34の付勢力によりピスト
ン35を下方に押し付けており、反射体3の下降時はピ
ストン35が支持部材29に当接してばね34を介して
緩衝機能を発揮する。
【0032】図4はダンパ構造の他の例を示し、このダ
ンパ36は炉心バレル30と隔壁31との間の下部に設
けた流体復元式のダンパである。このダンパ36はシリ
ンダ37内の流体圧により上下動可能なピストン38を
有するとともに、シリンダ37下部に設けられた流路3
7aを開閉する球体39を備えている。そして、反射体
3の浮上中は炉心バレル30下方の圧力により球体39
は押し上げられてピストン38の下面に流体圧がかか
り、ピストン38を持ち上げている。反射体3の下降時
はシリンダ37内の流体圧が上昇することで、その反力
によりピストン38が緩衝機能を発揮する。
【0033】ところで、原子炉を起動させる位置には、
図1に示すように反射体駆動装置40が炉心バレル30
に吸着保持されており、この反射体駆動装置40が流体
圧により上昇した反射体3のストッパとなって原子炉の
起動位置で固定される。つまり、電磁ポンプ7により下
方に吐出された冷却材5は、図2に示すように中性子遮
蔽体4を経て下降し炉心2内を上昇するとともに、冷却
材5の一部は流入孔29aから反射体3下部に流入し反
射体3を浮上させる。
【0034】そして、原子炉通常運転時の燃焼状態にお
いて、反射体3は反射体駆動装置40の上昇駆動に伴っ
て流体圧により反射体駆動装置40に固定されながら、
原子炉起動位置から原子炉燃料を燃焼させる最終位置ま
で超微速に移動される。ここで、流体圧により反射体3
が浮上することを関連式を用いて説明する。その計算モ
デルを図5に示す。以下の各数値は出力50MWeの原
子炉を想定して設定した。d1=0.94m,d2=
1.34m,G1=5mm,G2=20mmである。反
射体3が流体圧で浮上するためには、以下の条件を満足
する必要がある。すなわち、
【数1】 反射体重量(W)<流体浮上力(F)=ΔP×A ここで、ΔPは反射体上下の差圧、Aは反射体垂直投影
断面積である。
【0035】前記寸法設定により、通常の圧力損失計算
式から流体浮上力を計算した結果を図6に示す。図6に
示すように、反射体3と炉心バレル30とのギャップG
1での流速V1を1m/sec 程度とすることにより、流
体浮上力Fは3000kg(29.4KN)程度なの
で、浮上することになる。
【0036】図7は超微速駆動を実現する反射体駆動装
置40を示し、この反射体駆動装置40は、電磁吸引力
にて炉心バレル30に吸着保持される電磁保持機構とし
ての保持用電磁石41と、この保持用電磁石41に固着
され反射体3と保持用電磁石41との間に瞬間的な電磁
反発力を発生させる電磁反発コイル42と、保持用電磁
石41に巻回され電流を流すと保持用電磁石41を炉心
バレル30に吸着保持するコイル43と、保持用電磁石
41を形成し強磁性体からなるヨーク44と、電磁反発
コイル42を保持し非磁性体にて構成された取付部材4
6とを具備している。一方、反射体3の上部には導電板
45が固着されている。
【0037】そして、コイル43に常に電流を流すこと
により、保持用電磁石41は炉心バレル30に吸着保持
され、保持用電磁石41の強磁性体からなるヨーク44
と炉心バレル30を磁路とする図中M1の閉ループ磁束
が形成される。
【0038】次に、反射体駆動装置40の動作手順を図
8(A),(B),(C)を用いて説明する。
【0039】反射体3が流体圧により反射体駆動装置4
0に固定された図8(A)の状態において、電磁反発コ
イル42に電流を流すと、反射体駆動装置40と反射体
3に固着された導電板45との間で互いに逆向きの電磁
反発力Fが作用する。この電磁反発力Fが保持用電磁石
41と炉心バレル30間の静止摩擦力より大きいとき、
反射体駆動装置40は炉心バレル30に沿って上昇運動
し、この運動エネルギーが主に動摩擦力によって次第に
失われて静止する。
【0040】一方、反射体3は図8(B)に示すように
その慣性力が大きいため急激な降下運動にならない。そ
の後、反射体3の降下運動エネルギーが流体圧により次
第に失われて反射体3は再び上昇し、1ステップ上昇し
た位置で反射体駆動装置40がストッパとなり、上昇し
た反射体3を再び固定する。この状態を図8(C)に示
す。この時の1ステップ移動量はxとなる。
【0041】したがって、電磁反発コイル42に電流を
繰り返し流すことにより、図8(A)〜(C)の動作を
繰り返しながら結果的に反射体3は、原子炉起動位置か
ら原子炉燃料を燃焼させる最終位置まで超微速に移動す
ることができる。なお、電磁反発コイル42に電流を流
す手段としては、例えばコンデンサに充電した電荷を瞬
間的に放電する手段が採用される。
【0042】図9は本発明の超微速駆動を実現する反射
体駆動装置の第2実施例を示す。なお、前記第1実施例
と同一の部分には同一の符号を付して説明する。以下の
各実施例についても同様である。
【0043】この反射体駆動装置50は、前記第1実施
例の反射体駆動装置40の基本構成要素に加え、電磁保
持機構としての保持用電磁石41と反射体3とを連結用
電磁石51を介してその電磁吸引力で結合している。こ
の連結用電磁石51にはコイル52が巻回され、このコ
イル52に常に電流が流されて連結用電磁石51に反射
体3が吸引連結され、その結果、連結用電磁石51を構
成する強磁性体からなるヨーク53と反射体3を磁路と
する図中M2の閉ループ磁束が形成される。ここで、反
射体3の磁束ループM2の磁路部分は強磁性体で構成さ
れている。
【0044】このように本実施例によれば、保持用電磁
石41と反射体3とを電磁吸引力で結合するための連結
用電磁石51を具備しているため、流体圧変動に起因す
る反射体3の揺れを軽減し、電磁反発コイル42によっ
て反射体3と連結用電磁石51との間に発生する電磁反
発力の発生効率を高めるとともに、電磁反発コイル42
と反射体3との間の空隙のばらつきに起因する移動ステ
ップ量の変動を排除することができる。その他の構成お
よび作用は前記第1実施例と同様であるのでその説明を
省略する。
【0045】図10は本発明の超微速駆動を実現する反
射体駆動装置の第3実施例を示す。この反射体駆動装置
60では、電磁保持機構としての保持用電磁石41と連
結用電磁石51とを一体化してコイル43のみで保持用
電磁吸引力と連結用電磁吸引力を発生する構成となって
いる。原子炉起動前で反射体3が原子炉停止位置にある
とき、コイル43が形成する磁束ループは図中M1のよ
うに反射体駆動装置40,50と同様である。
【0046】反射体3が原子炉を起動する位置、つまり
流体圧を利用して反射体3を上昇し反射体駆動装置60
と連結する位置にあるとき、コイル43が形成する磁束
ループは炉心バレル30と反射体3を通る図中M3の閉
ループとなる。これはヨーク44に切欠部61を形成し
て磁束飽和部を設け、磁束ループM1の磁束流れを規制
することで、反射体3と連結してできる磁束ループM3
の磁束を流れ易くしたためである。
【0047】この反射体駆動装置60の構成によれば、
図8(B)に示す動作過程の状態において、電磁反発コ
イル42による電磁反発力Fで反射体駆動装置60と反
射体3との間に空隙を形成すると、磁束ループM3の磁
束が減少して炉心バレル30に吸引保持する保持用電磁
吸引力が小さくなるため、炉心バレル30と反射体駆動
装置60間の摩擦力が小さくなり、移動ステップ量を高
めることができる。なお、図9に示す反射体駆動装置5
0も保持用電磁石41に流す電流を移動状態に伴って制
御することにより、反射体駆動装置60と同様の効果を
容易に実現することができる。その他の構成および作用
は前記第1実施例と同様であるのでその説明を省略す
る。
【0048】図11(A),(B)は反射体3と反射体
駆動装置40,50,60の斜視図であり、周方向に六
分割した反射体3をそれぞれ反射体駆動装置40,5
0,60を用いて、全体的に環状の反射体3を上昇駆動
させるものである。図11(A)は六分割した反射体3
と6個の反射体駆動装置40,50,60の斜視図で、
図11(B)は六分割した反射体3の1つと反射体駆動
装置40,50,60の斜視図である。
【0049】図12は本発明の超微速駆動を実現する反
射体駆動装置の第4実施例を示す。この反射体駆動装置
70は、移動用電磁石71と位置保持用電磁石72が固
着された移動台73を有する第1の移動体74と、移動
用電磁石75と位置保持用電磁石76が固着され、第1
の移動体74の移動用電磁石71の吸着面を兼用し、第
1の移動体74を包囲するように移動台77が形成され
た第2の移動体78とから構成されている。
【0050】また、反射体3は第2の移動体78の移動
台77に連結されている。位置保持用電磁石72,76
はコイルに電流を流すと、磁性体で構成された壁面79
を吸着し、その位置が保持される。第2の移動体78の
移動用電磁石75の吸着面は、第1の移動体74の移動
台73となる。
【0051】なお、反射体駆動装置70において、移動
用電磁石75は第2の移動体78の移動台77に固着さ
れているが、これに限らず第1の移動体74の移動台7
3に移動用電磁石71に対して逆向きに固着し、第2の
移動体78の移動台77を吸着するようにしても、この
反射体駆動装置70の機能は変わらない。
【0052】次に、反射体駆動装置70の動作を表1お
よび図13〜図19を参照しつつ説明する。
【0053】
【表1】
【0054】表1は反射体駆動装置70の駆動シーケン
スを示している。表1において、Aは第1の移動体74
を、Bは第2の移動体78をそれぞれ示している。A移
動用、A保持用はそれぞれ移動用電磁石71と位置保持
用電磁石72を示しており、B移動用、B保持用はそれ
ぞれ移動用電磁石75と位置保持用電磁石76を示して
いる。表1の(1)〜(7)の動作で元の状態に戻り、
これを繰り返して第2の移動体78の移動台77に固着
されている反射体3を上方(下方も可能)に移動させて
いく。図13〜図19は表1に示す駆動シーケンスの駆
動順序に対応した動作を示している。図13〜図19に
おいて、図12と同一の構成は同一の符号を用いてその
説明を省略する。また、図13〜図19において、電磁
石の動作時は磁束の流れを矢印と破線で示す。
【0055】図13は表1の動作順序の(1)の状態を
示している。図13では第1の移動体74の移動用電磁
石71と位置保持用電磁石72にそれぞれ電流を流して
いる状態を示している。この場合、移動用電磁石71は
第2の移動体78の重量を支持している。
【0056】図14は表1の動作順序の(2)の状態を
示している。図14では第1の移動体74の移動用電磁
石71と位置保持用電磁石72、第2の移動体78の位
置保持用電磁石76にそれぞれ電流を流している状態を
示している。この場合、第2の移動体78の位置保持を
行っている。
【0057】図15は表1の動作順序の(3)の状態を
示している。図15では第1の移動体74の移動用電磁
石71と位置保持用電磁石72にそれぞれ電流を流すの
を停止し、第2の移動体78の位置保持用電磁石76に
のみ電流を流している状態を示している。この場合、第
2の移動体78の位置保持用電磁石76が第1の移動体
74の重量を支持している。
【0058】図16は表1の動作順序の(4)の状態を
示している。図16では第2の移動体78の移動用電磁
石75と位置保持用電磁石76にそれぞれ電流を流し、
移動用電磁石75が第1の移動体74の移動台73を吸
着し、第1の移動体74の位置を上方に引き上げてい
る。
【0059】図17は表1の動作順序の(5)の状態を
示している。図17では引き上げられた第1の移動体7
4の位置保持用電磁石72に電流を流し、第1の移動体
74の位置保持を行っている。
【0060】図18は表1の動作順序の(6)の状態を
示している。図18では第2の移動体78の移動用電磁
石75と位置保持用電磁石76にそれぞれ電流を流すの
を停止した状態を示している。この場合、第1の移動体
74が第2の移動体78の重量を支持している。
【0061】図19は表1の動作順序の(7)の状態を
示している。図19では第1の移動体74の移動用電磁
石71に電流を流し、第2の移動体78の移動台77を
吸着し、第2の移動体78の位置を上方に引き上げてい
る。この動作によって動作順序(1)に戻る。以上の動
作を繰り返せば、第2の移動体78に固着された反射体
3を上方に移動できる。なお、以上の動作を逆に行え
ば、反射体3を下方に移動することも可能である。
【0062】このように本実施例によれば、インチワー
ム動作で移動する反射体駆動装置70は、構成要素であ
る電磁石の数が4個と少なく、構成も簡単なことから、
信頼性が要求される原子炉内の駆動機構として好適であ
る。また、駆動方法も各電磁石の電流を表1で示すよう
な決められたシーケンスでオン、オフすればよく、複雑
な制御も必要としない。そして、反射体駆動装置70の
1回の移動量は電磁石の空隙となることから、その空隙
の機械加工精度を事前に測定しておけば、移動量を動作
回数と空隙との積で求めることができ、移動量に対して
特別なセンサを必要としない機構となる。
【0063】図20は本発明に係る高速炉の反射体駆動
装置の第4実施例の第1変形例を示し、この第1変形例
ではパンタグラフ型重力平衡機構80を備えている。図
20に示す第1変形例は、上述した反射体駆動装置70
の反射体3の重量を補償するものであって、駆動装置で
ある電磁石の負担を軽減するものである。なお、この第
1変形例において、図12と同一の部分には同一の符号
を付して詳細な説明を省略する。
【0064】パンタグラフ型重力平衡機構80は、複数
のリンク部材81および軸受82から組立構成したパン
タグラフ83と、このパンタグラフ83の一部のリンク
部材84にピン結合された複数のばね85a,85bと
で構成されている。パンタグラフ83の一端は第2の移
動体77に、他端は固定部に固着されている。
【0065】このように構成されたパンタグラフ型重力
平衡機構80は、リンク部材81と軸受82からなる簡
単な構成でしかも基本要素であるばねの力によって上下
に移動する反射体3の重量を広範囲に補償することがで
きる。パンタグラフ83の段数は、重力を補償する範囲
に基づいて決定されるので、補償範囲が短ければ、より
簡単な構成となる。パンタグラフ型重力平衡機構80を
用いて反射体3の重量を補償すると、反射体駆動装置7
0に用いられる各電磁石の負担を軽減でき、電磁石の軽
量化、駆動装置全体寸法の小型化、流体圧負荷の軽減な
どの効果を奏する。
【0066】図21は本発明に係る高速炉の反射体駆動
装置の第4実施例の第2変形例を示し、この第2変形例
ではパンタグラフ型重力平衡機構80を吊り下げた形態
ではなく、反射体3下部からの押上げ型として適用した
ものであり、この第2変形例でも第1変形例と同様の効
果が得られる。
【0067】次に、上述した反射体駆動装置70を分割
された環状反射体に適用した実施例について説明する。
【0068】図22は本発明に係る高速炉の反射体駆動
装置の第5実施例を示す。図22においては、環状反射
体を複数に分割した場合の周方向の部分的な展開図を示
し、一部の電磁石を断面で示している。反射体駆動装置
90は、位置保持用電磁石91、移動用電磁石92a,
92bおよびこれらの各電磁石が固着された移動台93
からなる第1の移動体94と、位置保持用電磁石95、
移動用電磁石96a,96bおよびこれらの各電磁石が
固着された移動台97からなる第2の移動体98と、第
1の移動体94と第2の移動体98にそれぞれ連結され
た分割反射体99とから構成されおり、第1の移動体9
4と第2の移動体98とが周方向に交互に配置されてい
る。
【0069】それぞれの分割反射体99の間には、第1
の移動体94と第2の移動体98とが円滑に移動できる
ようにガイド100が設置されている。このガイド10
0は図示しない弾性体で支持されており、各分割反射体
99の周方向のがたおよびずれを吸収するようになって
いる。また、位置保持用電磁石91,95は、図示しな
い壁面に吸着され、第1の移動体94と第2の移動体9
8の位置保持を行っている。一方、移動用電磁石92
a,92bは第2の移動体98を、移動用電磁石96
a,96bは第1の移動体94をそれぞれ吸引し、段階
的に上方に移動することができる。反射体駆動装置90
の動作は表1に示した動作順序に従って同様に行うこと
ができる。
【0070】このように第1の移動体94と第2の移動
体98とを交互に配置した反射体駆動装置90は、第2
の移動体98を保持した状態で第1の移動体94を上方
に移動させ、次に第1の移動体94を位置保持した状態
で第2の移動体98を上方に移動させる。この動作を繰
り返すことによって分割された分割反射体99の全体を
上方に移動させることができる。
【0071】また、反射体駆動装置90は、一つの移動
体に1個の位置保持用電磁石と2個の移動用電磁石を配
置し、駆動機構としてバランスのとれた電磁石配置とな
っている。反射体を6分割した場合は、第1の移動体9
4が3組、第2の移動体98が3組となり、合計18個
の電磁石が必要となるが、電磁石の分散により一つの電
磁石に対する負荷も軽減され、全体としてコンパクトな
駆動機構となる。この場合、3組ある第1の移動体94
同士、3組ある第2の移動体98同士を連結しておけ
ば、移動用電磁石のいくつかに故障が生じても全体とし
て駆動が可能な冗長性のある反射体駆動装置となる。
【0072】図23は本発明に係る高速炉の反射体駆動
装置の第6実施例を示す。この第6実施例では電磁ポン
プ7と別に反射体3を浮上させるための反射体用電磁ポ
ンプ101が独立して設けられている。この反射体用電
磁ポンプ101は炉心バレル30の外周に設置され、反
射体3および反射体用電磁ポンプ101は隔壁31と一
体に形成された包囲部材102に収納されている。
【0073】したがって、この第6実施例では、反射体
用電磁ポンプ101により下方に吐出された冷却材5の
全量が反射体3の下方に流れ込み反射体3を浮上させる
ため、反射体3が原子炉を起動させる位置と、原子炉を
停止させる位置とにそれぞれ高速に移動され、その結
果、原子炉は起動または停止される。そして、反射体用
電磁ポンプ101を電磁ポンプ7と独立させて設けたこ
とにより、反射体3の制御が原子炉冷却材流量制御と独
立に行われ、運転の自由度が増すことになる。
【0074】図24〜図26は本発明に係る高速炉の反
射体駆動装置の第7実施例を示す。この実施例は支持部
材29にばね103を取り付けたものである。図24は
原子炉起動前の状態を示し、図25は冷却材5の流体圧
を利用して反射体3を原子炉の起動位置に流体駆動した
状態を示し、図26は反射体駆動装置40の上昇駆動に
伴って反射体3が原子炉燃料を燃焼させる最終位置まで
超微速に移動された状態を示す。
【0075】まず、図24に示すように原子炉起動前の
状態において、反射体3はその自重によりばね103を
圧縮した位置にある。原子炉を起動させる位置には、図
25に示すように反射体駆動装置40が炉心バレル30
に吸着支持されており、この反射体駆動装置40がスト
ッパとなって流体圧により上昇した反射体3を原子炉の
起動位置で固定し、図示しない連結機構により反射体駆
動装置40と反射体3を連結する。この時、ばね103
は起動時の流体駆動負荷を軽減して反射体3の迅速な移
動を可能にするとともに、原子炉の停止時においては流
体圧を与える電磁ポンプ7の停止による反射体3下降時
の衝撃を軽減する。原子炉通常運転時の燃焼状態におい
て、反射体3は図26に示すように反射体駆動装置40
の上昇駆動に伴って原子炉起動位置から原子炉燃料を燃
焼させる最終位置まで超微速に移動される。
【0076】図27は本発明に係る高速炉の反射体駆動
装置の第8実施例を示し、この実施例は超微速駆動を実
現する反射体駆動装置110を示す。反射体駆動装置1
10は、瞬間的な電磁反発力を発生する電磁反発コイル
111と、その電磁反発力を受ける慣性体112と、こ
の慣性体112の位置を復元させるばね113とから構
成され、これらが電磁吸着力で炉心バレル30に吸着す
る電磁保持機構としての保持用電磁石114のヨーク1
15に内包されている。
【0077】保持用電磁石114はコイル117に常に
電流を流すことで、炉心バレル30に吸着支持されてお
り、保持用電磁石114の強磁性体からなるヨーク11
5と炉心バレル30を磁路とする図中M4の閉ループ磁
束が形成されている。電磁反発コイル111と対向する
慣性体112の上方には、導電板118が固着されてい
る。また、電磁反発コイル111を支持する取付部材1
19は非磁性体で構成されている。
【0078】この反射体駆動装置110の動作手順を図
28(A),(B),(C)を用いて説明する。反射体
3が反射体駆動装置110に固定された図28(A)の
状態において、電磁反発コイル111に電流を流すと、
電磁反発コイル111と慣性体112との間で互いに逆
向きに反発力が作用する。この電磁反発力が保持用電磁
石114と炉心バレル30間の静止摩擦力より大きいと
き、反射体駆動装置110および反射体3は炉心バレル
30に沿って上昇運動し、この運動エネルギーが主に動
摩擦力によって次第に失われて静止する。
【0079】一方、慣性体112は下方に移動してばね
113を圧縮する。この状態を図28(B)に示す。そ
の後、慣性体112の降下運動エネルギーはばね113
により次第に失われ、慣性体112の位置を復元させ
る。この時、慣性体112は復元位置で衝撃力となり、
再び反射体駆動装置110を上昇移動させる。この状態
を図28(C)に示す。したがって、電磁反発コイル1
11に電流を繰り返し流すことにより、図28(A)〜
(C)の動作を繰り返しながら、結果的に反射体3は原
子炉起動位置から原子炉燃料を燃焼させる最終位置まで
超微速に移動される。
【0080】図29は本発明に係る高速炉の反射体駆動
装置の第8実施例の変形例を示し、この反射体駆動装置
120は、慣性体112に第2の電磁反発コイル121
が電磁反発コイル111と対向配置されており、そし
て、電磁反発コイル121を支持する取付部材122は
非磁性体で構成されている。その他の構成および基本動
作は反射体駆動装置110と同様である。
【0081】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の請求項1
によれば、炉心バレルに電磁吸引力にて吸着される電磁
保持機構と、反射体と電磁保持機構との間に瞬間的な電
磁反発力を発生させる電磁反発コイルとを有し、この電
磁反発力と反射体の慣性力を用いて反射体を駆動するこ
とにより、従来の反射体駆動装置を用いた原子炉の炉外
駆動機構部を排除するとともに、反射体を支持する駆動
軸のシール材を排除でき、炉外構造が簡素化される。ま
た、原子炉を迅速に起動・停止することができるので、
原子炉の運転効率を高めることができる。
【0082】請求項2によれば、電磁保持機構と反射体
とを電磁吸引力にて結合する連結用電磁石を具備したこ
とにより、流体圧の変動による反射体の揺れを大幅に軽
減し、電磁反発コイルによって反射体と電磁保持機構と
の間に発生する電磁反発力の発生効率を大幅に高めるこ
とができる。
【0083】請求項3によれば、電磁保持機構と連結用
電磁石を一体形成し、保持用電磁吸引力と連結用電磁吸
引力を発生させることにより、電磁反発コイルによる電
磁反発力で反射体駆動装置と反射体との間に空隙を形成
すると、磁束が減少して保持用電磁吸引力が小さくなる
ため、炉心バレルと反射体駆動装置間の摩擦力が小さく
なり、移動ステップ量を高めることができる。
【0084】請求項4によれば、炉心バレルを吸着する
第1の位置保持用電磁石および第1の移動用電磁石が固
着された第1の吸着体を有する第1の移動体と、炉心バ
レルを吸着する第2の位置保持用電磁石および第2の移
動用電磁石が固着され、第1の移動用電磁石に吸着され
る第2の吸着体を有する第2の移動体とを設け、第1の
移動用電磁石に対する第2の吸着体が、第1の移動用電
磁石を取り囲むように形成されたことにより、インチワ
ーム動作で移動する構成となり、電磁石の数が少なく、
構成も簡単で信頼性の要求される原子炉内の駆動機構と
して好適である。
【0085】請求項5によれば、反射体が下部にダンパ
を設けたことにより、原子炉停止時において、隔壁と炉
心バレル間に流体圧を与えるポンプ停止による反射体降
下時の衝撃を大幅に軽減できる。
【0086】請求項6によれば、反射体が周方向に複数
に分割構成されたことにより、1つの移動体に1個の位
置保持用電磁石と2個の移動用電磁石を配置すれば、駆
動装置としてバランスのとれた電磁石配置となる。
【0087】請求項7によれば、反射体が重力平衡機構
で支持されたことにより、流体圧の負荷を大幅に軽減で
きる。
【0088】請求項8によれば、炉心バレルに電磁吸引
力にて吸着される電磁保持機構のヨーク内に、瞬間的な
電磁反発力を発生する電磁反発コイルと、この電磁反発
力を受ける慣性体と、この慣性体の位置を復元させるば
ねとを設けたことにより、請求項1と同様の効果が得ら
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る高速炉の反射体駆動装置の第1実
施例を用いた原子炉の起動前の状態を示す断面構成図。
【図2】図1の原子炉起動時の状態を示す断面構成図。
【図3】図1のダンパ構造の一例を示す断面図。
【図4】図1のダンパ構造の他の例を示す断面図。
【図5】図1の反射体浮上力計算モデルを示す説明図。
【図6】図1の反射体浮上力計算結果を示すグラフ図。
【図7】図1の超微速駆動を実現する反射体駆動装置を
示す断面図。
【図8】(A),(B),(C)は図7の反射体駆動装
置の動作を示す説明図。
【図9】本発明に係る高速炉の反射体駆動装置の第2実
施例を示す断面図。
【図10】本発明に係る高速炉の反射体駆動装置の第3
実施例を示す断面図。
【図11】(A),(B)は反射体と反射体駆動装置を
示す斜視図。
【図12】本発明に係る高速炉の反射体駆動装置の第4
実施例を示す断面図。
【図13】表1の動作順序の(1)の状態を示す説明
図。
【図14】表1の動作順序の(2)の状態を示す説明
図。
【図15】表1の動作順序の(3)の状態を示す説明
図。
【図16】表1の動作順序の(4)の状態を示す説明
図。
【図17】表1の動作順序の(5)の状態を示す説明
図。
【図18】表1の動作順序の(6)の状態を示す説明
図。
【図19】表1の動作順序の(7)の状態を示す説明
図。
【図20】本発明に係る高速炉の反射体駆動装置の第4
実施例の第1変形例を示す断面図。
【図21】本発明に係る高速炉の反射体駆動装置の第4
実施例の第2変形例を示す断面図。
【図22】本発明に係る高速炉の反射体駆動装置の第5
実施例を示す部分断面展開図。
【図23】本発明に係る高速炉の反射体駆動装置の第6
実施例を示す断面構成図。
【図24】本発明に係る高速炉の反射体駆動装置の第7
実施例において原子炉起動前の状態を示す断面構成図。
【図25】第7実施例において原子炉起動時の状態を示
す断面構成図。
【図26】第7実施例において反射体が最終位置まで移
動された状態を示す断面構成図。
【図27】本発明に係る高速炉の反射体駆動装置の第8
実施例を示す断面図。
【図28】(A),(B),(C)は図27の反射体駆
動装置の動作を示す説明図。
【図29】本発明に係る高速炉の反射体駆動装置の第8
実施例の変形例を示す断面図。
【図30】従来の反射体駆動装置を用いた原子炉の断面
を示す構成図。
【符号の説明】
1 原子炉容器 2 炉心 3 反射体 4 中性子遮蔽体 5 冷却材 30 炉心バレル 31 隔壁 32 ダンパ 40 反射体駆動装置 41 保持用電磁石(電磁保持機構) 42 電磁反発コイル 43 コイル 44 ヨーク 45 導電板 46 取付部材 50 反射体駆動装置 51 連結用電磁石 52 コイル 53 ヨーク 60 反射体駆動装置 61 切欠部 70 反射体駆動装置 71 移動用電磁石 72 位置保持用電磁石 73 移動台 74 第1の移動体 75 移動用電磁石 76 位置保持用電磁石 77 第2の移動体 78 壁面 80 パンタグラフ型重力平衡機構 81 リンク機構 82 軸受 83 パンタグラフ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新宮 悉太 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 中村 博 神奈川県横浜市鶴見区末広町2の4 株式 会社東芝京浜事業所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 核燃料を装荷した炉心と、この炉心を取
    り囲む炉心バレルと、この炉心バレルの外周を取り囲む
    環状の反射体と、この反射体の外周を取り囲み一次冷却
    材流路を構成する隔壁と、この隔壁の外周を取り囲み前
    記一次冷却材流路中に配設された中性子遮蔽体と、この
    中性子遮蔽体の外周を取り囲み前記冷却材流路の外壁を
    構成する原子炉容器とを備えた高速炉において、前記炉
    心バレルに電磁吸引力にて吸着される電磁保持機構と、
    前記反射体と前記電磁保持機構との間に瞬間的な電磁反
    発力を発生させる電磁反発コイルとを有し、この電磁反
    発力と前記反射体の慣性力を用いて前記反射体を駆動す
    ることを特徴とする高速炉の反射体駆動装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の高速炉の反射体駆動装置
    において、電磁保持機構と反射体とを電磁吸引力にて結
    合する連結用電磁石を具備したことを特徴とする高速炉
    の反射体駆動装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の高速炉の反射体
    駆動装置において、電磁保持機構と連結用電磁石を一体
    形成し、保持用電磁吸引力と連結用電磁吸引力を発生さ
    せることを特徴とする高速炉の反射体駆動装置。
  4. 【請求項4】 核燃料を装荷した炉心と、この炉心を取
    り囲む炉心バレルと、この炉心バレルの外周を取り囲む
    環状の反射体と、この反射体の外周を取り囲み一次冷却
    材流路を構成する隔壁と、この隔壁の外周を取り囲み前
    記一次冷却材流路中に配設された中性子遮蔽体と、この
    中性子遮蔽体の外周を取り囲み前記冷却材流路の外壁を
    構成する原子炉容器とを備えた高速炉において、前記炉
    心バレルを吸着する第1の位置保持用電磁石および第1
    の移動用電磁石が固着された第1の吸着体を有する第1
    の移動体と、前記炉心バレルを吸着する第2の位置保持
    用電磁石および第2の移動用電磁石が固着され、前記第
    1の移動用電磁石に吸着される第2の吸着体を有する第
    2の移動体とを設け、前記第1の移動用電磁石に対する
    第2の吸着体が、第1の移動用電磁石を取り囲むように
    形成されたことを特徴とする高速炉の反射体駆動装置。
  5. 【請求項5】 請求項1または4記載の高速炉の反射体
    駆動装置において、反射体は下部にダンパを設けたこと
    を特徴とする高速炉の反射体駆動装置。
  6. 【請求項6】 請求項4記載の高速炉の反射体駆動装置
    において、反射体は周方向に複数に分割構成されたこと
    を特徴とする高速炉の反射体駆動装置。
  7. 【請求項7】 請求項4記載の高速炉の反射体駆動装置
    において、反射体は重力平衡機構で支持されたことを特
    徴とする高速炉の反射体駆動装置。
  8. 【請求項8】 核燃料を装荷した炉心と、この炉心を取
    り囲む炉心バレルと、この炉心バレルの外周を取り囲む
    環状の反射体と、この反射体の外周を取り囲み一次冷却
    材流路を構成する隔壁と、この隔壁の外周を取り囲み前
    記一次冷却材流路中に配設された中性子遮蔽体と、この
    中性子遮蔽体の外周を取り囲み前記冷却材流路の外壁を
    構成する原子炉容器とを備えた高速炉において、前記炉
    心バレルに電磁吸引力にて吸着される電磁保持機構のヨ
    ーク内に、瞬間的な電磁反発力を発生する電磁反発コイ
    ルと、この電磁反発力を受ける慣性体と、この慣性体の
    位置を復元させるばねとを設けたことを特徴とする高速
    炉の反射体駆動装置。
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