JPH08150191A - 薬剤容器の識別方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 市販の薬剤容器を用いて、簡単に容器と薬剤
の識別が行なえる方法を提供する。 【構成】 トランスポンダであるメモリチップ１に、薬
剤情報を格納し、そのメモリチップ１を、容器外周に巻
き付く添付用バンド１０を用いて市販の薬剤容器Ａに取
付ける。識別装置３０からメモリチップ１に送信要求信
号を出力し、チップ１から送信させた薬剤情報と処方箋
の指定内容を照合すると共に、表示された薬剤情報に基
づいて調剤作業を進行させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、薬剤情報信号に基づ
いて薬剤容器内部の薬剤を識別するための方法に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】薬局における調剤作業は、処方箋の記載
から指定の薬剤名を確認し、薬品棚上に載置された多数
の薬剤容器の中から、指定の薬剤を収納する容器を取り
出し、その容器から指定量の薬剤を秤量採取する方法で
行なわれる。

【０００３】このような調剤作業における薬剤選出時の
間違い等を無くす手段として、従来、特公平３−５８７
４３号により提案された方法がある。

【０００４】これは、薬剤容器の底部に取付ける受け台
の内部に、発信器とそれを作動させる移動センサを組込
み、その発信器から送信される識別コードに基づいて薬
剤容器を識別し、容器内部の薬剤を識別するようにして
いる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記提案の方法では、
確かに薬剤容器を識別することができるが、発信器を有
する受け台に薬剤容器の底面を嵌め込んで一体に連結す
る必要があるため、薬剤容器の形状や寸法は受け台の上
面形状に対応したものにする必要がある。

【０００６】ところが、市販されている薬剤容器は、寸
法や形状に標準化されたものがなく、同じ薬剤を収容す
る容器でも販売会社ごとに形状や大きさが様々に異なっ
ており、このため、一定形状に形成された受け台に市販
の薬剤容器を直接嵌め込むことが出来ない場合が多い。

【０００７】このため、市販の薬剤容器を識別するため
には、上記受け台の上面形状に対応して形成した専用の
容器に、市販の薬剤容器から薬剤を移し替え、その専用
の容器を用いて識別する必要があったが、このような薬
剤移し替えの作業は、作業の都度容器の洗浄や殺菌が必
要になるため、余分な手間がかかり、作業能率を低下さ
せる問題がある。加えて、専用容器の内部の薬剤が無く
なるごとに、市販の容器からの移し替えを繰り返す必要
があるため、効率が悪い。

【０００８】また、薬剤容器の底面に装着される受け台
は、比較的大きな形状をもつために、検薬する薬剤の種
類等に応じて多数準備した場合、その収納に大きなスペ
ースが必要になる不具合がある。

【０００９】そこで、この発明は、上記の問題を解決
し、市販の薬剤容器を直接識別作業に使用することがで
き、薬剤情報を発信する部材にもほとんどスペースを必
要としない識別方法を提供することを目的としている。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この発明は、送受信機能を有するメモリチップに、
薬剤情報を格納し、そのメモリチップを、薬剤容器に着
脱可能な添付手段を用いて市販の薬剤容器に付け換え、
このメモリチップから発信される信号に基づいて薬剤容
器内部の薬剤を識別する方法を採用したのである。

【００１１】

【作用】上記の方法においては、薬剤情報を格納したメ
モリチップを市販の薬剤容器に添付し、識別装置などか
らの送信要求信号に応答してメモリチップから薬剤情報
を送信させ、その信号に基づいて薬剤容器内部の薬剤を
識別する。

【００１２】薬剤容器内部から薬剤が無くなった場合
は、その容器からチップを取外して別の薬剤容器に付け
換え、上記識別作業を繰り返す。

【００１３】上記メモリチップとしては、カプセルの内
部にアンテナや読み書き可能なメモリを封入したトラン
スポンダ等を利用することができる。

【００１４】また、チップに格納する薬剤情報として
は、薬品名や調剤上の注意書き、調剤量の目安などの薬
剤データがあり、その他に発行年月日等の事項を入れる
ようにしてもよい。

【００１５】さらに、チップを薬剤容器に取付ける添付
手段には、容器に巻き付けるバンドやリング状の吊り下
げひも、或いは両面接着テープ等を用いることができ
る。

【００１６】

【実施例】以下、この発明の実施例を添付図面に基づい
て説明する。図２は、薬剤情報を格納するメモリチップ
を示しており、このメモリチップ１は、硬質ガラス製の
チューブ状ケース２の内部に、フェライトアンテナ３
と、メモリとしてのＣ−ＭＯＳ ＩＣチップ４、及び電
源用コンデンサ５を組込んで形成され、全体としてカプ
セル状をしたトランスポンダが使用される。

【００１７】上記ＩＣチップ４には、ＩＤ用ＲＡＭメモ
リと、通信に必要な制御回路等が形成され、送受信電波
によってメモリにコード化した薬剤情報の読み出しと書
込みが繰り返し行なえるようになっている。

【００１８】また、電源用コンデンサ５は、受信電波か
ら電力を得てＩＣチップ４に供給する機能があり、チッ
プ１の無電源化を図っている。

【００１９】上記メモリチップ１を薬剤容器に添付する
添付手段は、図１及び図３に示すように、薬剤容器Ａの
外周面に巻き付けられるバンド１０を使用しており、そ
のバンド１０の一方の端部に、カプセル状のチップ１が
着脱自在に挿入される装着孔１１を設けている。

【００２０】上記バンド１０の裏面には、容器Ａに巻き
付けたバンドの端部を接合する面ファスナ１２が取付け
られている。この面ファスナ１２の雌部材１３は、バン
ド１０の長さ方向に縦長に形成され、薬剤容器Ａの径寸
法が変化した場合でも任意の位置で雄部材１４と係合
し、バンド１０を結合できるようになっている。

【００２１】薬剤容器内部の薬剤を識別するための装置
は、図１に示すように、発信・受信アンテナ２０と、入
力制御装置２１、及び識別装置３０とから構成されてい
る。

【００２２】上記入力制御装置２１は、メモリチップ１
に対する読取りと書込機能を備え、図４に示すようにＲ
Ｆモジュール２２とコントロールモジュール２３とから
形成されている。上記コントロールモジュール２３は、
送受信用のデコード回路２４を有し、書込み時に、デー
タベース等から送られる出力信号をチップ１との間で決
められたデータ書込み用通信手順に従った送信信号に変
換し、その信号をＲＦモジュール２２が所定の周波数に
変調してアンテナ２０から送信する。

【００２３】また、読取り時は、アンテナ２０が受信し
たチップ１からの送信信号をＲＦモジュール２２が復調
し、その信号をコントロールモジュール２３がデジタル
信号に変換して識別装置３０へ出力する。

【００２４】一方、識別装置３０は、入力手段３１とデ
ィスプレイ等の表示手段３２とを備えた制御用コンピュ
ータから成っており、処方箋に基づいて導入される薬剤
名や患者名、調剤量などの薬剤情報に関するデータベー
スを有している。この識別装置３０は、チップ１に対し
て送信要求信号を出力する共振回路を備えており、チッ
プ１からの送信信号が入力されると、その送信された薬
剤情報とデータベースに収納された処方箋の記載内容と
を比較し、比較結果に基づいて表示をするように構成さ
れている。

【００２５】次に、上記のチップ１や識別装置３０を用
いて薬品容器内部の薬剤を検薬する方法を説明する。調
剤の作業前に、複数のチップ１に対して入力制御装置２
１から薬剤情報の書込み処理を行ない、各チップ１に対
してそれぞれ処方箋の指定薬剤に対応した薬剤情報を格
納させる。

【００２６】調剤作業においては、薬剤情報を格納した
チップ１を添付用バンド１０の孔１１に挿入し、そのバ
ンド１０を市販の薬剤容器Ａに巻き付け、薬剤容器Ａに
対してその内部の薬剤に対応した薬剤情報をもつメモリ
チップ１を添付する。

【００２７】薬剤の識別は、メモリチップ１を添付した
薬剤容器Ａを薬品棚から取り出すと、識別装置３０から
チップ１に対して送信要求信号を出力し、チップ１から
薬剤情報を発信させる。

【００２８】識別装置３０は、チップ１からの送信信号
を受けると、その薬剤情報の薬剤が処方箋の指定薬剤か
どうかを判断すると共に、薬剤情報の内容をディスプレ
イの画面等に表示させる。

【００２９】作業者は、この表示内容に基づいて取り出
した市販の薬剤容器Ａが処方箋の指定薬剤かどうかの正
否を知ることができると共に、表示された情報に基づい
て患者や調剤量を知り、調剤作業を進めることができ
る。

【００３０】一方、薬剤容器Ａ内部の薬剤が無くなった
場合は、バンド１０をその容器Ａから取り外し、新しい
薬剤容器Ａに巻き付けて上記作業を繰り返す。このよう
にバンド１０を薬剤容器に対して付け換えることによ
り、どのような市販の薬剤容器Ａでも連続して識別作業
に使用することができる。

【００３１】なお、上記の実施例では、入力制御装置２
１を用いて各メモリチップ１に薬剤名や調剤量等の薬剤
情報を書込むようにしたが、メモリチップ１が固有の識
別コードだけを発信できるようにし、識別装置３０側に
その識別コードと各種薬剤情報との対応や、処方箋内容
との識別、識別結果の表示機能などをもたせるようにし
てもよい。これにより、入力制御装着２１を不要にで
き、メモリチップ１の構造を簡略化することができる。

【００３２】図５は他の各種の実施例を示しており、図
５（ａ）の例は、メモリチップ１を平板形状のものと
し、そのメモリチップ１を薬剤容器Ａに取付ける添付手
段を、容器Ａの首部分に巻き付けられるリング状のひも
４０にしたものである。

【００３３】また、図５（ｂ）の例では、添付手段をゴ
ムなどから成る弾性のリング４１とし、メモリチップ１
を弾性力で薬剤容器Ａに取付けている。

【００３４】さらに、図５（ｃ）の例は、平板形状のメ
モリチップ１を、両者接着テープ４２を用いて薬剤容器
Ａの表面に取付けたものである。

【００３５】また、図６の実施例は、容器のキャップＢ
にメモリチップ１を取付け、そのキャップ１を複数の薬
剤容器Ａ、Ａ′、Ａ″に対して着脱自在につけ換えるよ
うにしたものである。

【００３６】このようにキャップＢをメモリチップ１の
添付手段として用いることにより、薬剤容器に対するメ
モリチップの確実な着脱を可能にする利点がある。

【００３７】

【効果】以上のように、この発明は、メモリチップを添
付手段を用いて薬剤容器に着脱自在に取付け、そのチッ
プの信号に基づいて薬剤を識別するので、市販の薬剤容
器を直接識別作業に使用でき、メモリチップを複数の薬
剤容器に対して繰り返し利用することができる。したが
って、市販の薬剤容器から専用の容器への薬剤の移し替
えが不要になり、識別作業の大幅な効率向上を図ること
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の識別方法を実施するための装置を示
す構造図

【図２】メモリチップを示す一部切欠斜視図

【図３】添付用バンドを示す斜視図

【図４】（ａ）（ｂ）はそれぞれメモリチップと入力制
御装置間の信号送受を示すブロック図

【図５】（ａ）（ｂ）（ｃ）はそれぞれ他の実施例を示
す正面図

【図６】他の実施例を示す図

【符号の説明】 １ メモリチップ ３ アンテナ ４ ＩＣチップ １０ 添付用バンド １１ チップ挿入孔 １２ 面ファスナ ２０ 送信・受信用アンテナ ２１ 入力制御装置 ３０ 識別装置 ４０ ひも ４１ リング ４２ 接着テープ Ａ 薬剤容器 Ｂ キャップ

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 送受信機能を有するメモリチップに、薬
   剤情報を格納し、そのメモリチップを、薬剤容器に着脱
   可能な添付手段を用いて市販の薬剤容器に付け換え、こ
   のメモリチップから発信される信号に基づいて上記薬剤
   容器内部の薬剤を識別する薬剤容器の識別方法。
2. 【請求項２】 上記メモリチップの添付手段を、薬剤容
   器に巻き付けられるリング状の部材とした請求項１に記
   載の薬剤容器の識別方法。
3. 【請求項３】 上記メモリチップの添付手段を、薬剤容
   器に着脱自在に取付けられるキャップとした請求項１に
   記載の薬剤容器の識別方法。