JPH08143707A - 導電性材料およびその製造方法 - Google Patents

導電性材料およびその製造方法

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JPH08143707A
JPH08143707A JP6312757A JP31275794A JPH08143707A JP H08143707 A JPH08143707 A JP H08143707A JP 6312757 A JP6312757 A JP 6312757A JP 31275794 A JP31275794 A JP 31275794A JP H08143707 A JPH08143707 A JP H08143707A
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graphite
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泰一 小野
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康伸 六本木
Haruyoshi Satou
春悦 佐藤
Takehiro Takojima
武広 蛸島
Yoshinobu Kakihara
良亘 柿原
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐摩耗性などの機械的特性に優れ、また体積
抵抗値が低く、さらにペースト状やインク状にしやすい
導電性材料を得る。 【構成】 炭素六角網目平面が円筒状につながりこの層
が円筒の半径方向へ積層されたグラファイト微細繊維が
使用される。この微細繊維は直径D1が100オングス
トローム程度の微細なものであり、アスペクト比は1:
100以上のものとして使用される。この微細繊維とグ
ラファイトの微小片とカーボンブラックが、溶媒により
樹脂バインダーに混ぜられる。この混合体が焼成される
ことにより、導電性材料となる。微細繊維を用いたもの
はペースト状やインク状になりやすく加工性に優れ、ま
た耐摩耗性が高く、抵抗値も低いものとなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、リーフスイッチの接点
や可変抵抗器の抵抗体層などとして用いられる導電性材
料(導電性組成物)に係り、特にグラファイト微細繊維
を混入して、耐久性を高めまた体積抵抗値を低下させる
ことも可能な導電性材料(導電性組成物)およびその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】薄膜スイッチなどのスイッチの接点や可
変抵抗器の抵抗体層として、炭素材料を含む導電性組成
物が使用されている。炭素材料を含む導電性組成物は、
金や銀などの貴金属粉を使用したもののような酸化や硫
化の問題がなく、また貴金属粉末を使用したものに比べ
て安価に製造できる。この導電性組成物は、樹脂バイン
ダーに、カーボンブラック(微粉炭素)や、結晶層が積
層されたグラファイトの微小片が混入されたものが一般
的に使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のカーボンブラッ
クやグラファイトの微小片が混入された導電性組成物
は、耐摩耗性に劣り、例えば可変抵抗器の抵抗層に用い
た場合には、可動接点の摺動により摩耗しやすく、電気
抵抗値が変化しやすい。またスイッチの接点に用いた場
合には、スイッチコンタクトを繰返すうちに摩耗が激し
くなり接触抵抗が高くなる。したがって、単にONとO
FFのみの検出のためのスイッチ接点には使用できる
が、接点が閉じたときに回路の抵抗値を観察するスイッ
チ回路に使用することが困難である。また、カーボンブ
ラックやグラファイトの微小片が混入された導電性組成
物は、電気抵抗が高いため、低い接触抵抗が要求される
スイッチには適用できない。
【0004】また炭素材料としてカーボン繊維が混入さ
れた導電性組成物も考えられる。カーボン繊維を混入し
た導電性組成物は、カーボンブラックやグラファイトの
微小片のみから成る導電性組成物に比べて、耐摩耗性が
やや改善される。
【0005】ただし、カーボン繊維は、一般に直径が8
0μm程度の比較的太いものであるため、長い繊維のま
ま樹脂バインダーに混入することができず、よって、カ
ーボン繊維は長さが数百μmとなるように細かに切断し
て使用することになる。したがってカーボン繊維は、直
径と長さの比(アスペクト比)が1:10未満程度のも
のとして使用される。このアスペクト比の小さいカーボ
ン繊維を混入した場合に、前述のように耐摩耗性をある
程度は改善できるが、樹脂バインダー内に太く短いカー
ボン繊維が混入されたものとなり、樹脂バインダー内で
のカーボンどうしの接触状態に柔軟性がなく、よって体
積抵抗値が比較的高いものとなる。
【0006】また、カーボン繊維は太く短いものである
ため、樹脂バインダー内に均一に分散させて混入するこ
とが困難であり、よって体積抵抗値が均一なものとなり
にくい。またカーボン繊維を多く混入すると、混合体が
インク状またはペースト状になりにくく、また、伸延性
に劣るものとなって、パターン形成や印刷などにより導
電体層または抵抗体層を形成することが困難となる。ま
たペースト状にならないため、スイッチの接点にディッ
プすることも難しくなる。
【0007】本発明は上記従来の課題を解決するもので
あり、耐摩耗性などの機械特性に優れ、また体積抵抗値
を低下させることも可能性があり、さらにインク状また
はペースト状に構成しやすいようにした導電性材料およ
びその製造方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の導電性材料(導
電性組成物)は、円筒状に配列する炭素網目平面が円筒
の半径方向へ積層されたグラファイト微細繊維と、この
グラファイト微細繊維が混入された樹脂バインダーとを
有することを特徴とするものである。
【0009】上記において、グラファイト微細繊維は、
直径が200オングストローム以下であり、且つ直径と
長さの比(アスペクト比)が1:100以上であること
が好ましい。
【0010】さらに、グラファイト微細繊維の体積分率
の好ましい範囲は、5体積%以上で50体積%以内であ
り、さらに好ましくは20体積%以上で40体積%以下
である。
【0011】また本発明による導電性材料の製造方法
は、不活性ガスのプラズマ中にてグラファイト微細繊維
の表面を活性化させ、活性な状態のグラファイト微細繊
維と樹脂バインダーと溶媒とを混合し、その後に樹脂バ
インダーを硬化させることを特徴とするものである。
【0012】さらに上記において、グラファイト微細繊
維と樹脂バインダーとを混合するときに超音波を与え
て、グラファイト微細繊維を分散させることが効果的で
ある。
【0013】本発明の導電性材料(導電性組成物)で
は、円筒状に配列する炭素網目平面が円筒の半径方向へ
積層されたグラファイト微細繊維が使用されている。こ
のグラファイト微細繊維は、ベンゼン環が円周状に網目
状に連続してつながったものであるために、折れたり裂
けたり削れたりしにくく、また柔軟性に富んでいる。し
たがって、このグラファイト微細繊維が樹脂バインダー
に混入された導電性材料は、耐摩耗性に優れ、スイッチ
接点や抵抗層として使用したときに、接点の開閉や摺動
接点の摺動による摩耗が生じにくい。また耐摩耗性に優
れているため、接点の開閉や摺接により体積抵抗値の変
化も少ない。
【0014】また、グラファイト微細繊維のアスペクト
比が1:100以上であり、且つ直径が200オングス
トローム以下である場合には、グラファイト微細繊維が
樹脂バインダーに分散して混入されやすくなり、インク
状またはペースト状となり、印刷による導電層のパター
ン成形や、スイッチ接点へのディップが行いやすくな
る。
【0015】また、グラファイト微細繊維が5体積%以
上で50体積%以下の範囲にて混入されたものでは、体
積抵抗値が従来の炭素系の導電性材料よりも大幅に低下
でき、微小抵抗の接点などを構成することが可能とな
る。
【0016】さらに本発明の導電性材料の製造方法で
は、不活性ガスによりグラファイト微細繊維の表面処理
を行い、さらに必要に応じて樹脂バインダーに混入され
たグラファイト微細繊維を超音波により予備分散させ、
その後に混練するために、樹脂バインダー内でのグラフ
ァイト微細繊維の分散率が高くなり、各部位にて均一な
電気抵抗値となる導電性材料を製造することが可能であ
る。
【0017】図1は、本発明の導電性材料(導電性組成
物)に使用されるグラファイト微細繊維の結晶構造を説
明する斜視図である。このグラファイト微細繊維は、気
相成長炭素繊維であり、炭化水素の蒸気中に浮遊する超
微粒子を中心として炭素の素繊維を気相成長させたもの
である。図1に示すように、グラファイト微細繊維の結
晶構造は、炭素の六角網目平面が円筒状につながって配
列し、且つ六角網目平面がつながった層が円筒の半径方
向へ積層されたグラファイト構造である。また繊維の中
心部には中空のコアが形成される。
【0018】本発明の導電性材料に使用されるグラファ
イト微細繊維の直径D1は200オングストローム以
下、好ましくは150オングストローム以下、さらに好
ましくは100オングストローム以下である。直径D1
が100オングストロームのものでは、中心部の中空の
コアの内径D2がほぼ30オングストロームである。
【0019】従来のカーボン繊維は直径が80μmであ
り、直径D1が100オングストロームのグラファイト
微細繊維は、従来のカーボン繊維の直径のほぼ1/80
00である。この非常に細いグラファイト微細繊維は、
六角網目平面が円筒状に連続してつながったものであ
り、よって折れたり裂けたりしにくく機械的強度の高い
ものである。
【0020】このグラファイト微細繊維は、直径が従来
のカーボン繊維よりも充分に小さいため、長さLの大き
いものを使用しても、繊維全体として柔軟性に富み、樹
脂バインダー内にて分散性の良いものとなる。例えば長
さLが従来のカーボン繊維と同じ数百μmである場合、
グラファイト微細繊維の直径D1と長さLとの比(アス
ペクト比)は、1:10000以上である。本発明の導
電性材料では、アスペクト比が1:1000000程度
の長いものを使用しても、樹脂バインダー内に充分に分
散させることができる。本発明は、長いグラファイト微
細繊維を使用して、樹脂バインダー内に微細繊維が均一
に分散するようにし、また樹脂バインダー内での微細繊
維の密集度を高めて電気抵抗値を低下させることを可能
にしている。したがってグラファイト微細繊維の長さL
の下限は、1μmないし2μm程度以上で、アスペクト
比が1:100以上であることが好ましく、さらに好ま
しくは1:1000以上である。アスペクト比が1:1
000以上の場合、微細繊維の長さLは10μmないし
20μm以上である。
【0021】本発明の導電性材料では、樹脂バインダー
内に含まれる導電性物質として前述のグラファイト微細
繊維のみを含ませてもよいが、このグラファイト微細繊
維と共にカーボンブラック、および/またはグラファイ
トの微小片を含ませたものとしてもよい。
【0022】樹脂バインダーとしては、フェノール系樹
脂が好ましく使用されるが、エポキシ系樹脂、フッ素系
樹脂、またはアクリル系樹脂などが使用可能である。ま
た溶媒としては、メチルエチルケトンまたはその代替品
が使用される。
【0023】導電性材料の製造方法は、直径D1が20
0オングストローム以下、好ましくは100オングスト
ローム以下で、アスペクト比が1:100以上さらに好
ましくは1:1000以上のグラファイト微細繊維と、
カーボンブラックおよび/またはグラファイトの微小片
の炭素系導電性材料と、樹脂バインダーと溶媒とが混合
される。この混合には3本ロールを有する混練装置が使
用される。前記混合体は、3本ロールの微小な隙間内に
送られて混練され、その結果、樹脂バインダー内に導電
性材料が分散させられる。この混練工程には、3本ロー
ルの他にボールミルなどが使用可能である。
【0024】この導電性材料がスイッチの接点材料とし
て使用される場合には、上記の混練されたものがスイッ
チの接点にディップされ、焼成されて硬化させられる。
導電性材料が抵抗体層や導電体層として所定の形状にパ
ターン形成される場合には、前記の混練されたものがイ
ンクと同様の工程で所定パターンとなるように塗布さ
れ、焼成されて硬化される。
【0025】前記グラファイト微細繊維は、アスペクト
比が1:100以上、好ましくは1:1000以上の長
いものとして使用されるが、直径D1が200オングス
トローム以下の微細なものであり、また柔軟性に富む材
料であるため、混練により樹脂バインダー内に均一に分
散でき、インク状やペースト状となりやすいものとな
る。ただし、アスペクト比が1:1000以上の長いグ
ラファイト微細繊維を樹脂バインダー内に均一に分散さ
せるためには、微細繊維の表面をプラズマにより活性化
させるなどの表面処理を施し、さらに樹脂バインダーに
混合したときに超音波を当て、予備分散させることが好
ましい。この工程を経ることにより、樹脂バインダー内
でのグラファイト微細繊維の分散が均一になる。
【0026】
【実施例】
(実施例1)グラファイト微細繊維(直径D1が100
オングストローム、アスペクト比が1:1000以上)
を1.0〜10-3Torrの低圧下のチャンバ内で10分間
〜3時間乾燥させる。この乾燥時間は、グラファイト微
細繊維の量や乾燥前の水分含有量によって異なる。前記
チャンバ内にアルゴン(Ar)またはHe(ヘリウム)
などの不活性ガスを導入し、チャンバ内の圧力を2〜
0.01Torrの範囲の所定圧に設定する。
【0027】上記所定圧のチャンバ内でグラファイト微
細繊維を拡散させ、外部から100kHz〜300MH
zの高周波を与えて、ArまたはHeなどの不活性ガス
のプラズマを発生させる。プラズマを発生させることに
より、グラファイト微細繊維の表面が電子やイオンによ
りたたかれ、微細繊維の表面が活性化する。このプラズ
マによる処理時間は5分間〜10時間であり、微細繊維
の量などに基づいて時間が設定される。樹脂バインダー
としてフェノール系樹脂、溶媒としてメチルエチルケト
ンまたはその代替品を使用し、この樹脂バインダーと溶
媒をチャンバ内に導入し、表面が活性化状態となってい
るグラファイト微細繊維に反応させる。
【0028】次に、グラファイト微細繊維と樹脂バイン
ダーと溶媒とが反応したものに対し、高出力の超音波を
与え、樹脂バインダー内にてグラファイト微細繊維を予
備分散させる。予備分散させたものを3本ロールで混練
し、ペースト状とする。
【0029】(比較例1)上記実施例1と同様のグラフ
ァイト微細繊維を乾燥させたものを用いた。ただし、不
活性ガスのプラズマによる表面処理を行わず、また超音
波による予備分散を行わなかった。すなわち、フェノー
ル系樹脂の樹脂バインダーとメチルエチルケトンまたは
その代替品と乾燥後のグラファイト微細繊維を混ぜて3
本ロールで混練したものを比較例1とした。
【0030】(比較例2)導電性物質としてグラファイ
トの微小片を用い、乾燥させたグラファイトをフェノー
ル系樹脂の樹脂バインダーとメチルエチルケトンまたは
その代替品と混ぜて3本ロールで混練したものを比較例
2とした。
【0031】(比較例3)導電性物質としてカーボンブ
ラックを使用し、乾燥させたカーボンブラックをフェノ
ール系樹脂の樹脂バインダーとメチルエチルケトンまた
はその代替品と混ぜて3本ロールで混練したものを比較
例3とした。上記実施例1ないし比較例3のそれぞれに
おいて、グラファイト微細繊維、またはグラファイトま
たはカーボンブラックの体積分率(体積%)を段階的に
変化させたものを製造し、体積抵抗値(Ω・cm)を測
定した。その結果を図3に示す。
【0032】図3では「●」が実施例1、「○」が比較
例1、「×」が比較例2、「△」が比較例3の測定結果
である。また横軸が体積分率(体積%)で、縦軸が体積
抵抗値(Ω・cm)の測定値である。図3では、実施例
1の体積抵抗率が非常に低くなり、低抵抗の導電性材料
として適していることが解る。また実施例1では、グラ
ファイト微細繊維の体積分率が20体積%以上で40体
積%以下であるときに体積抵抗値が低くなり、20体積
%以上で30体積%以下の範囲で体積抵抗値が最も低く
なる。また5体積%以上で50体積%以下の範囲では、
体積抵抗率はほぼ10-1Ω・cm付近またはそれ以下の
低い値となる。
【0033】これに対し、カーボンブラックを使用した
比較例3(△)では、体積分率に対する体積抵抗値の変
化が実施例1とほぼ同等の傾向となるが、実施例1に比
べて体積抵抗値が全体として高いものとなっている。グ
ラファイトの微小片を用いた比較例2(×)では、体積
分率が30体積%や40体積%の段階で体積抵抗値がか
なり高く、導電性材料として使用しにくいものであるこ
とが解る。また、体積分率を高くしていくと、体積抵抗
値が下がる傾向にはなるが、体積分率が図3に示すα点
(40体積%〜45体積%)の付近になると、樹脂ペー
ストとして延伸性が低下し、一定の厚さの層(膜)とし
て塗布することができない状態となる。
【0034】グラファイト微細繊維を用い、表面処理と
超音波処理を行わず、単に混練しただけの比較例1
(○)では、体積分率が10体積%付近(β点)に至っ
た時点で、ペースト状とならず、一定の層(膜)の形成
や、スイッチの接点へのディップが不可能になった。
【0035】図3の結果から、直径D1が100オング
ストローム、アスペクト比が1:1000以上のグラフ
ァイト微細繊維を用い、これをプラズマにより表面処理
し且つ超音波にて予備分散させた実施例1では、体積抵
抗値が非常に低い導電性材料となることが解る。また、
グラファイト微細繊維の体積分率が高くなっても、ペー
スト状またはインク状にでき、導電層のパターン成形
や、接点などへのディップが可能であることが確認でき
た。
【0036】また低抵抗の導電性材料を得るためには、
グラファイト微細繊維の体積分率が5体積%以上で50
体積%以下であることが好ましく、さらに好ましくは1
0体積%以上で50体積%以下、さらに低抵抗を得るた
めには、20体積%以上で40体積%以下が好ましい。
【0037】また、上記実施例1では、導電性材料がグ
ラファイト微細繊維のみの場合を示しているが、実施例
1の導電性材料においてグラファイト微細繊維の他にカ
ーボンブラックやグラファイトの微小片を一緒に含有さ
せることができる。この場合、体積抵抗値は図3の
(●)よりもさらに低下する傾向となる。この場合も、
グラファイト微細繊維の体積分率の好ましい範囲は、5
体積%以上で50体積%以下、さらに好ましくは10体
積%以上で50体積%以下、さらに低抵抗を得るために
は、20体積%以上で40体積%以下が好ましい。
【0038】上記のように、実施例1では、グラファイ
ト微細繊維を表面処理し、且つ超音波で予備分散させる
ことにより、樹脂バインダー内での微細繊維の分散率が
非常に良好になる。図5は上記実施例1により製造され
た混練ペーストの電子顕微鏡写真である。この写真か
ら、微細繊維が均一に分散していることが確認できる。
【0039】図6はグラファイト微細繊維を表面処理せ
ずまた超音波にて予備分散させない比較例1の混練ペー
ストの電子顕微鏡写真である。図6では、樹脂バインダ
ー内での微細繊維の分散率が実施例1に比べて大幅に劣
化しているのが解る。したがって図3のβ点において既
にペースト状に混練できないものとなる。
【0040】図7は、実施例1と比較例1の中間のもの
であり、プラズマによる表面処理を行わず、超音波にて
予備分散させただけの混練ペーストを示す電子顕微鏡写
真である。図7では、図5の実施例1に比べてグラファ
イト微細繊維の分散状態が劣っているが、図6に示す単
に混練しただけの比較例1よりは、微細繊維の分散度が
向上させれていることが解る。また、図5と図7を比較
すると、プラズマによる表面処理が、グラファイト微細
繊維の均一な分散に非常に高い効果を発揮することが解
る。
【0041】すなわち、本発明の導電性材料の製造方法
では、グラファイト微細繊維をプラズマにより活性化さ
せて表面処理を行うだけで分散の効果を充分に発揮で
き、均一な導電性材料として使用することが可能であ
る。また図7に示すように、プラズマによる表面処理を
行わず超音波による予備分散させただけのものであって
も、分散度の改善ができ、図3に示すβ点を体積分率の
高い側へ移動させることができる。この超音波による予
備分散を行っただけのものであっても、導電性材料とし
て使用することが可能である。ただし、図5に示すよう
に、プラズマによる表面処理と、超音波による予備分散
の双方の処理を行ったものが最も好ましいものとなる。
【0042】(実施例2)実施例1と同様に、グラファ
イト微細繊維(直径D1が100オングストローム、ア
スペクト比が1:1000以上)を1.0〜10-3Torr
の低圧下のチャンバ内で10分間〜3時間乾燥させる。
さらにチャンバ内にアルゴン(Ar)またはHe(ヘリ
ウム)などの不活性ガスを導入し、チャンバ内の圧力を
2〜0.01Torrの範囲の所定圧に設定し、グラファイ
ト微細繊維を拡散させ、外部から100kHz〜300
MHzの高周波を与えて。ArまたはHeなどの不活性
ガスのプラズマを発生させ、微細繊維を表面処理する。
【0043】表面処理したグラファイト微細繊維を50
g(グラム)、グラファイトの微小片を5g、カーボン
ブラックを25g、およびフェノール系樹脂を60g用
い、これと溶媒(メチルエチルケトンなど)との配合物
を3本ロールにて混練した。グラファイト微細繊維とグ
ラファイトの微小片とカーボンブラックからなる炭素系
導電性物質の全体の体積分率は40体積%である。混練
したものを、図2に示すリーフスイッチ1の接点2と3
の先端のCで示す部分にディップし、180℃にて40
分間焼成した。
【0044】(比較例4)炭素系導電性物質として、グ
ラファイトの小片を55g、カーボンブラックを25g
使用し、樹脂バインダーとしてフェノール樹脂を60g
とし、これらと溶媒(メチルエチルケトンなど)とを3
本ロールにて混練した。グラファイトとカーボンブラッ
クの炭素系導電性物質の全体の体積分率は実施例2と同
じ40体積%である。
【0045】上記の混練したものを、図2に示したリー
フスイッチ1の接点2と3の先端のCで示す部分にディ
ップし、180℃にて40分間焼成した。上記の実施例
2と比較例4のそれぞれのリーフスイッチの接点2と3
の接触試験を行った結果を図4に示す。図4の横軸は、
接点2と3の接触回数であり、縦軸はリーフスイッチ1
の接触抵抗値(Ω)の変化を示している。また図4では
「●」が実施例2で、「○」が比較例4である。
【0046】図4に示す接触試験の結果、比較例4のリ
ーフスイッチでは接触回数を繰返すうちに、接触抵抗値
が高くなる。これに対し実施例2では、接触回数が多く
なっても、接触抵抗値がほとんど変化しないことが解
る。また、50000回の接触を繰返したリーフスイッ
チの接点2と3を観察したところ、比較例4では炭素系
導電性材料のディップ層が剥がれ、接点2と3の地肌が
露出したものとなっていたのに対し、実施例2では、グ
ラファイト微細繊維を含む炭素系導電性材料のディップ
層の表面が全く変化していなかった。このように、実施
例2で示すようにグラファイト微細繊維を混入した導電
性材料は耐摩耗性が高く機械的特性に優れていることが
確認できる。
【0047】図4に示すように、実施例2の炭素系導電
性材料を接点にディップしたリーフスイッチは、接触の
繰返し回数が増えても、接触抵抗の増大がほとんどな
い。したがって、常に低抵抗の接点のスイッチを構成で
き、接点のONとOFFにより回路上の抵抗値の変化を
監視してスイッチの切換えを認識するスイッチ回路など
に使用すると有効である。
【0048】以上から、直径D1が200オングストロ
ーム以下、さらに好ましくは100オングストローム以
下で、アスペクト比が1:100以上、さらに好ましく
は1:1000以上のグラファイト微細繊維、またはこ
れにグラファイトの微小片および/またはカーボンブラ
ックを混ぜた炭素系導電性材料を樹脂バインダーに混入
した導電性材料は、耐摩耗性などの機械的特性に優れ、
また低抵抗のものとなる。ただし、単に混合したもので
は、図3に示すようにグラファイト微細繊維の体積分率
が5体積%程度が限界であり、これを越えるとペースト
状になりにくい。ただし、グラファイト微細繊維の体積
分率を5体積%程度に留めれば、導電性材料として充分
に使用することができ、これにより図3に(△)などで
示す従来の炭素系の導電性組成物に比べて低抵抗のもの
として使用可能である。
【0049】またグラファイト微細繊維をプラズマによ
り活性化させたものは、樹脂バインダーへの分散度が向
上でき、グラファイト微細繊維をペースト状にしやすく
なる。このプラズマによる表面処理を行ったものは実施
例2に示すように、スイッチの接点にディップしやすく
なる。さらに、プラズマによる表面処理と超音波による
予備分散を行った実施例1に示すものは、樹脂バインダ
ー内でグラファイト微細繊維が分散しやすくなり、図5
に示すようにきわめて分散性のよいものとなる。この実
施例ではグラファイト微細繊維の体積分率が高くても、
ペースト状またはインク状としてパターン成形しやすく
なり、抵抗体層や導電体層を印刷やパターン成形するの
に適したものとなる。
【0050】
【発明の効果】以上のように本発明では、耐摩耗性など
の機械的特性に優れ、また体積抵抗値が均一で且つ低抵
抗の導電性材料を得ることができる。
【0051】また、グラファイト微細繊維をプラズマに
より処理し、さらにこれに加えて樹脂バインダー内にて
グラファイト微細繊維を超音波で予備分散させたもので
は、樹脂バインダー内でのグラファイト微細繊維の分散
度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】グラファイト微細繊維の結晶構造を説明する斜
視図、
【図2】本発明の導電性材料が接点にディップされたリ
ーフスイッチを示す斜視図、
【図3】本発明の実施例1と各比較例での、炭素系材料
の体積分率と体積抵抗値との関係を示す線図、
【図4】本発明の実施例2と比較例4の導電性材料を使
用したリーフスイッチの接触回数と接触抵抗との関係を
示す線図、
【図5】本発明の実施例1の導電性材料を示す電子顕微
鏡写真、
【図6】比較例1の導電性材料を示す電子顕微鏡写真、
【図7】超音波を使用して樹脂バインダー内にグラファ
イト微細繊維を予備分散させた導電性材料の電子顕微鏡
写真、
【符号の説明】
1 リーフスイッチ 2,3 接点
フロントページの続き (72)発明者 佐藤 春悦 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 蛸島 武広 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 柿原 良亘 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円筒状に配列する炭素網目平面が円筒の
    半径方向へ積層されたグラファイト微細繊維と、このグ
    ラファイト微細繊維が混入された樹脂バインダーとを有
    することを特徴とする導電性材料。
  2. 【請求項2】 グラファイト微細繊維は、直径が200
    オングストローム以下であり、且つ直径と長さの比(ア
    スペクト比)が1:100以上である請求項1記載の導
    電性材料。
  3. 【請求項3】 グラファイト微細繊維が5体積%以上で
    50体積%以内の範囲で混入されている請求項1または
    2記載の導電性材料。
  4. 【請求項4】 不活性ガスのプラズマ中にてグラファイ
    ト微細繊維の表面を活性化させ、活性な状態のグラファ
    イト微細繊維と樹脂バインダーと溶媒とを混合し、その
    後に樹脂バインダーを硬化させることを特徴とする導電
    性材料の製造方法。
  5. 【請求項5】 グラファイト微細繊維と樹脂バインダー
    とを混合するときに超音波を与えて、グラファイト微細
    繊維を分散させる請求項4記載の導電性材料の製造方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008184590A (ja) * 2007-01-31 2008-08-14 Auto Network Gijutsu Kenkyusho:Kk 高分子組成物の製造方法および高分子組成物ならびにこれを用いた絶縁電線およびワイヤーハーネス

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