JPH08143267A - 吊り上げラグ付き長大物用スキッドおよびそれを利用した長大物の移送方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 配管や計装などのアセンブリを施した塔槽類
のような長大物を移送したり、移送の途中で仮置きした
りするときに使用するスキッドを改良し、スキッドを吊
り上げの補助具として使用できるようにすることによ
り、アセンブリ対象物を損うことなく、安全にクレーン
で吊れるようにする。 【構成】 移送すべき長大物に適合させた支持部形状を
もつスキッドの両側に吊り上げ用ラグを設け、ラグのピ
ン孔に吊り上げシャックルのピン（ボルト）を入れナッ
トで固定し、クレーンで吊り上げる。 吊り上げロープ
の途中に天秤構造体を介在させれば、さらに安全性が高
まる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、長大で重量のあるもの
を移送するためにクレーンで吊るときに使用するスキッ
ドと、それを使用して長大物を移送する方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】たとえば石油精製プラントで使用する蒸
留塔や貯槽の類は、工場で本体を製作し、配管、プラッ
トフォーム、電気系統、計装機器、および保温材などを
取付ける、いわゆる「プレアセンブリー」を行なってか
ら出荷し、プラントの現場に運ぶことが行なわれはじめ
ている。 長大物の陸上輸送にはさまざまな障害がある
ので、海上輸送によることが多い。 海上輸送する塔槽
類は、まず陸上から海上に下すときにも、また海上から
陸上に揚げる、いわゆる「水切り」のときにも、クレー
ンで吊り上げる必要がある。

【０００３】従来は、このとき塔槽類に直接吊りワイヤ
を巻いてクレーンで吊っていたが、重心が偏って塔槽類
が傾くことを避けるには細心の注意を要し、また重心の
問題がないように吊りワイヤを巻くと、しばしばプレア
センブリした配管などを損傷することがあった。

【０００４】一方、長大物を移送の途中で積み替えなど
のために「仮置き」をする必要もしばしばあり、その便
宜のため、「スキッド」とよばれる鞍形の用具が、通常
は２箇一組で使用されている。 しかし、従来のスキッ
ドは吊り上げとは無縁の支持台に過ぎなかったし、スキ
ッドを長大物と一緒に移動させる場合、両者の固定に
は、ロープで巻くなど面倒な作業をしていた。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
した塔槽類のような長大物をクレーンで吊って移送する
に当り、吊り上げを補助するスキッドであって、プレア
センブリにより付加された配管などの損傷を防止すると
ともに重心の偏りに起因する長大物の傾きを回避して移
送を行なえるようにしたスキッドを提供すること、およ
びそのスキッドを使用して長大物を移送する方法を提供
することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記の目的にかなう本発
明の長大物用スキッドは、図１ないし図３に示すよう
に、吊り上げるべき長大物の支持位置における外形に適
合した支持部（１１）形状を有するスキッド（１）に対
し、その両外側に、吊り上げ用シャックルのピン（ボル
ト）を通す孔（３）をそなえたラグ（２）をとりつけて
なる。

【０００７】このスキッドは、図１ないし図３に示すよ
うに、これと長大物（９）とを結合するための長大物固
定用ラグ（１２）をそなえることが好ましい。 この固
定用ラグ（１２）に、ベルト、ロープまたはチェーンを
通して、図４に示すように、まずスキッドとその上にの
せた長大物とを一体にする。 ベルト状の保護材と、固
定用チェーンの組み合わせも可能である。

【０００８】上記のスキッドを使用して行なう本発明の
長大物の移送方法は、図４ないし図６に示すように、上
記のスキッド（１）を少なくとも２箇使用し、断面Ｕ字
状であってその両辺のスキッドの吊り上げラグのピン孔
に対応する位置にそれぞれピン孔（５）を有するシャッ
クル（４）の両辺で吊り上げラグ（２）を挟み、ピンと
その固定具、図示した例ではボルト（６Ａ）とナット
（６Ｂ）の組によりシャックル（４）とラグ（２）とを
結合したのち、図７および図８に示すように、クレーン
（図示してない）で吊り上げて行なう。

【０００９】吊り上げたロープがクレーンのフックにお
いて形成する頂角が小さい場合は問題ないが、ある限度
以上に大きくなると、一方または両方のロープの吊り上
げ位置がずれる心配がある。 ずれによっては、長大物
が大きく傾いて危険になることもある。 これを防止す
る手段として、出願人は、天秤構造体を介してクレーン
で吊り上げることにより、長大物を直接吊るロープをい
ずれもほぼ垂直にする技術を確立し、すでに提案した
（特願平６−２０８９７５号）。

【００１０】この技術は、本発明の改良されたスキッド
と組み合わせて利用することができる。 従って本発明
には、図９および図１０に示すように、スキッド（１）
が長大物（９）を支持する間隔と、各スキッドの吊り上
げ用ラグ（２）のピン孔(３)の間隔とに対応する長方形
輪郭を有し、その上下両面に吊り上げ用のロープをかけ
るラグをそなえた天秤構造体（８）を長大物（９）の上
に配置し、この天秤構造体を介してクレーンによる吊り
上げを行なう移送方法も含まれる。

【００１１】

【作用】本発明のスキッドは、長大物の支持位置におけ
る外形に適合した支持部形状をもつこと、シャックルと
の完全な結合を行なった上でに吊り上げることにより、
仮置きおよび移送を容易に行なうことができる。

【００１２】長大物へ固定するための手段をスキッドに
設けたものは、仮置き時はもちろん吊り上げ時も、スキ
ッドの位置がずれることが実質上防げる。

【００１３】天秤構造体を使用する移送方法は、移送す
べき長大物の寸法および重心の位置に応じて適切な寸法
の天秤構造体を使用して４点吊りを行なえば、下部吊り
ワイヤはほぼ鉛直になり、長大物にかかる力は重力だけ
であって、ワイヤの傾きに起因する応力は生じない。
天秤構造体が十分な長さをもつことにより、長大物の重
心を下部吊りワイヤの内側に置き、しかもプレアセンブ
リの対象物を外れた位置にワイヤを掛けることが容易で
ある。

【００１４】

【発明の効果】本発明のスキッドを用いることにより、
プレアセンブリを行なった塔槽類の仮置きおよび移送
を、プレアセンブリ対象物を損う心配なく、かつ重心の
位置に関しそれほど注意しなくても安全に行なうことが
できる。 玉掛けは、高所作業で行なう必要がなく、安
全上好ましいだけでなく、玉掛作業の所要時間を短縮す
ることができる。

【００１５】このスキッドに加えて、さきの発明の天秤
構造体を使用して吊り上げを行なえば、安全性をいっそ
う高めることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明のスキッドの一例を示す正面図。

【図２】 図１のスキッドの平面図。

【図３】 図１のスキッドの側面図。

【図４】 本発明のスキッドに長大物をのせ、ロープで
固定して一体にしたところを示す正面図。

【図５】 本発明のスキッドと組み合わせて使用するシ
ャックルの側面図。

【図６】 図５のシャックルのＵ字状の両辺でスキッド
の吊り上げラグを挟んだところを示す、図３に対応する
図。

【図７】 図６に続いて、シャックルのピン（ボルト）
をラグの孔に通して固定具（ナット）で止めることによ
り、シャックルをラグに結合したところを示す図。

【図８】 本発明のスキッドを使用して長大物を吊り上
げたところを示す側面図。

【図９】 図８の矢視図。

【図１０】 本発明のスキッドに天秤構造体を組み合わ
せて使用し、長大物を吊り上げたところを示す側面図。

【図１１】 図１０の矢視図。

【符号の説明】

１ スキッド １１ 支持部 １２ 長大物
固定用ラグ ２ 吊り上げ用ラグ ３ ピン孔 ４ シャックル ５ ピン孔 ６Ａ ピン（ボルト） ６Ｂ ナット ７ ロープ ８ 天秤構造体 ９ 長大物

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 吊り上げるべき長大物の支持位置におけ
   る外形に適合した支持部形状を有するスキッドに対し、
   その両外側に、吊り上げ用シャックルのピンを通す孔を
   そなえたラグをとりつけてなる長大物用スキッド。
2. 【請求項２】 スキッドと長大物とを結合するためのベ
   ルト、ロープまたはチェーンをそなえた請求項１の長大
   物用スキッド。
3. 【請求項３】 請求項１に記載のスキッドを少なくとも
   ２箇使用し、断面Ｕ字状であってその両辺のスキッドの
   吊り上げラグのピン孔に対応する位置にそれぞれピン孔
   を有するシャックルの両辺で吊り上げラグを挟み、ピン
   とその固定具によりシャックルとラグとを結合したのち
   クレーンで吊り上げて行なう長大物の移送方法。
4. 【請求項４】 ２箇のスキッドが長大物を支持する間隔
   と、各スキッドの吊り上げ用ラグのピン孔の間隔とに対
   応する長方形輪郭を有し、その上下両面に吊り上げ用の
   ロープをかけるラグをそなえた天秤構造体を長大物の上
   に配置し、この天秤構造体を介してクレーンによる吊り
   上げを行なう請求項３の移送方法。