JPH08134035A - β−フェニルエチルアミン誘導体、それを有効成分とする抗菌剤及び防汚剤、並びにバイオフィルム形成に対する活性評価法 - Google Patents

β−フェニルエチルアミン誘導体、それを有効成分とする抗菌剤及び防汚剤、並びにバイオフィルム形成に対する活性評価法

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JPH08134035A
JPH08134035A JP5941995A JP5941995A JPH08134035A JP H08134035 A JPH08134035 A JP H08134035A JP 5941995 A JP5941995 A JP 5941995A JP 5941995 A JP5941995 A JP 5941995A JP H08134035 A JPH08134035 A JP H08134035A
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nitro
ethylamine
bacteria
active ingredient
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JP5941995A
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English (en)
Inventor
Daisuke Kamimura
大輔 上村
Akihiro Yamada
昭浩 山田
Kazuyoshi Yazawa
一良 矢澤
Hitomi Tsuzuki
仁美 都築
Kaori Yamaguchi
果生里 山口
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Sagami Chemical Research Institute
Original Assignee
Sagami Chemical Research Institute
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 細菌に対して強い増殖阻害作用を持ち、かつ
付着性生物に対しても強い付着阻害活性を示す新規化合
物、それを有効成分とする抗菌剤及び付着性細菌に対す
る防汚剤、並びに効率的な防汚剤等の評価方法を提供す
る。 【構成】 β−フェニルエチルアミンより得られた、下
記一般式 【化1】 (式中、R1はハロゲン原子又はニトロ基を表し、R2
ハロゲン原子、ニトロ基又は水素原子を表し、R3はハ
ロゲン原子又はニトロ基を表し、R4はハロゲン原子、
ニトロ基又は水素原子を表す。)で表されるβ−フェニ
ルエチルアミン誘導体、それを有効成分とする抗菌剤及
び防汚剤、並びに、バイオフィルムを形成する能力を有
する細菌を培養し、その培養液中に薬剤を塗布した物体
を浸漬し、この培養液中の細菌の菌量を定量することを
特徴とする、バイオフィルム形成に対する該薬物の活性
を評価する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規β−フェニルエチ
ルアミン誘導体、それを有効成分とする抗菌剤及び水中
汚損生物に対する防汚剤に関する。さらに、本発明は、
バイオフィルム形成に対する薬物の活性を評価する方法
に関し、この方法はバイオフィルム形成阻害剤あるいは
促進剤の効率的な探索方法を提供する。
【0002】
【従来の技術】近年、各種用水系の微生物による障害が
多発し、種々の弊害をもたらしている。例えば、石油化
学工場などで用いられている循環冷却方式の熱交換器や
配管などにバクテリアや糸状菌に由来するスライム(物
体を被覆するように付着したものをバイオフィルムとい
う)が発生し、これらのスライムがパイプを閉塞して冷
却効率を低下させたり、また海洋においては、これらの
スライムがバイオフィルムを形成し、フジツボ等の大型
生物の付着を促進し、船舶、海上構築物、漁網等で被害
が増大している(Chemistry & Industry, 5 March 199
0, 123-127頁)。従来、これらの付着防止対策として、
船底、海上構築物の没水部分や漁網等には有機錫化合
物、銅化合物などを配合した塗料が塗装されてきた。
【0003】最近、銅や錫化合物を配合した防汚塗料の
長時間使用による海水汚染が問題となっており、銅や錫
化合物等の有機金属化合物を含有しない安全性の高い防
汚剤の開発が要望されている。
【0004】一方、養殖漁業の分野では、例えば、人工
魚礁用に海底に設置した建造物に海藻等が豊かに茂り魚
の生育に適した環境を作ること、また海苔や牡蠣などの
幼生が養殖用機材に効率よく着生することが重要な課題
であり、それらの材質や表面の形状等が工夫されている
が、十分な効果を上げているとは言えない。近年上記の
通り、海洋生物着生が細菌スライムに導かれるバイオフ
ィルムの形成から始まると考えられるようになり、バイ
オフィルムの形成を促進する安全性の高い物質の発見が
この分野で要望されている。
【0005】また、カビや細菌はヒトや動物に種々の疾
病を引き起こす他、農林水産業、工業等広い範囲の産業
及び生活の場で様々な汚染の原因となり、植物病原菌は
樹木、果樹、野菜、芝などの疾病を引き起こして損害を
与えている。その防御のために、各種抗菌剤、防汚剤
〔例えばポリオキシン、ブラストサイジン、グリセオフ
ルビン、2,3,5,6−テトラクロロ−4−メチルス
ルホニル−ピリジン(商品名: デンシルS)〕が用い
られているが、より有効で安全、かつ入手し易いものが
求められている。また、細菌の既存薬剤に対する耐性種
の発現との関連から、新規な抗菌剤の開発は不可欠とな
っている。
【0006】ちなみに、バイオフィルム形成阻害剤を得
るための探索法としては、ムラサキイガイ、フジツボ等
の幼生を用いて付着忌避活性を評価する方法が知られて
いるが、簡便とはいえない。本発明者等は先に細菌を培
養して物体に付着した糖量を定量することからなる評価
方法を見いだしているが、糖量と野外試験との間で必ず
しも相関関係が認められない場合もあり、より簡便で効
率の良い評価方法の開発が望まれていた(特開平6−3
27495)。また、バイオフィルム形成促進剤の探索
法は現在のところ確立されたものはない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、低分子化合
物であって、供給及び使用後の生態系への安全性などの
面から有利で、かつ容易に合成できるβ−フェニルエチ
ルアミン誘導体、それを有効成分とする抗菌剤及び淡水
や海洋の付着細菌など水中汚損生物に対する防汚剤を提
供することを目的とする。また本発明は、バイオフィル
ム形成阻害剤あるいは促進剤の効率的な探索のための、
簡便で効率の良い、バイオフィルム形成に対する薬物の
活性の評価方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、β−フェ
ニルエチルアミンの各種誘導体を合成し、該誘導体が細
菌に対して増殖阻害活性を示し、また評価試験において
水中汚損生物に対する付着阻害活性を示すことを見いだ
し、本発明を完成した。また、この過程において、物体
に付着してバイオフィルムを形成する能力を有する細菌
を培養し、その培養液中に薬剤を塗布した物体を浸漬
し、この培養液中の細菌の菌量を定量することにより、
バイオフィルム形成に対する該薬物の活性を評価しうる
ことを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明は、一般式
【0010】
【化2】
【0011】(式中、R1はハロゲン原子又はニトロ基
を表し、R2はハロゲン原子、ニトロ基又は水素原子を
表し、R3はハロゲン原子又はニトロ基を表し、R4はハ
ロゲン原子、ニトロ基又は水素原子を表す。)で表され
るβ−フェニルエチルアミン誘導体、それを有効成分と
する抗菌剤及び淡水や海洋の付着細菌など水中汚損生物
に対する防汚剤を提供するものである。
【0012】前記一般式中、R1、R2、R3又はR4で示
されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、
臭素原子、ヨウ素原子を例示することができる。
【0013】本発明の前記一般式で表される新規β−フ
ェニルエチルアミン誘導体のうち、N,N−ジクロロ体
はβ−フェニルエチルアミンを次亜塩素酸tert−ブチル
で処理することにより得られる。N−クロロ−N−ニト
ロ体およびN,N−ジニトロ体はN,N−ジクロロ体を
発煙硝酸、無水酢酸で処理することにより得られる。ま
た、N−ニトロ体はβ−フェニルエチルアミンの発煙硝
酸、無水酢酸による処理、もしくはN−クロロ−N−ニ
トロ体の亜硫酸水素ナトリウムでの還元反応により得ら
れる。原料となるβ−フェニルエチルアミンは、公知の
方法〔例えば、Ehrlich et al., Ber., 45, 2428, (191
2)、Belg., 611, 900, June 22, (1962)、Swiss Appl.,
Dec. 23, (1960)、Swiss Appl., Oct. 20, (1961)〕に
より合成することができる。
【0014】本発明の前記一般式に包含されるβ−フェ
ニルエチルアミン誘導体としては、例えば、N,N−ジ
クロロ−2−(4−ニトロフェニル)エチルアミン、
N,N−ジクロロ−2−(4−クロロフェニル)エチル
アミン、N,N−ジクロロ−2−(2,4−ジニトロフ
ェニル)エチルアミン、N,N−ジクロロ−2−(4−
クロロ−2−ニトロフェニル)エチルアミン、N,N−
ジクロロ−2−(4−クロロ−3−ニトロフェニル)エ
チルアミン、N−クロロ−N−ニトロ−2−(4−ニト
ロフェニル)エチルアミン、N−クロロ−N−ニトロ−
2−(4−クロロフェニル)エチルアミン、N−クロロ
−N−ニトロ−2−(2,4−ジニトロフェニル)エチ
ルアミン、N−クロロ−N−ニトロ−2−(4−クロロ
−2−ニトロフェニル)エチルアミン、N−クロロ−N
−ニトロ−2−(4−クロロ−3−ニトフェニルロ)エ
チルアミン、N−ニトロ−2−(4−ニトロフェニル)
エチルアミン、N−ニトロ−2−(4−クロロフェニ
ル)エチルアミン、N−ニトロ−2−(2,4−ジニト
ロフェニル)エチルアミン、N−ニトロ−2−(4−ク
ロロ−2−ニトロフェニル)エチルアミン、N−ニトロ
−2−(4−クロロ−3−ニトロフェニル)エチルアミ
ン、N,N−ジニトロ−2−(4−ニトロフェニル)エ
チルアミン、N,N−ジニトロ−2−(4−クロロフェ
ニル)エチルアミン、N,N−ジニトロ−2−(2,4
−ジニトロフェニル)エチルアミン、N,N−ジニトロ
−2−(4−クロロ−2−ニトロフェニル)エチルアミ
ン、N,N−ジニトロ−2−(4−クロロ−3−ニトロ
フェニル)エチルアミン等を例示することができる。
【0015】本発明の前記一般式で表されるβ−フェニ
ルエチルアミン誘導体は、人体や動物の他、農林水産
業、工業など広い範囲の産業および植物病原菌による樹
木、果樹、野菜、芝などの疾病に対する抗菌剤、また淡
水等の糸状菌や細菌によるスライム形成の防御に用いる
防汚剤とすることができる。具体的には皮膚、髪、衣
類、食器、医療器具などの消毒、殺菌に使用できるほ
か、産業用製造工程または家畜舎等の消毒防臭剤、植物
抗菌剤、プール、冷却水などの水処理用殺菌剤、また用
水や排水処理施設、漁具や船底等のスライムコントロー
ル剤などとして有用である。
【0016】これら、本発明の前記一般式で表されるβ
−フェニルエチルアミン誘導体を有効成分とする抗菌剤
あるいは防汚剤は、該誘導体をそのままの形で使用する
こともできるが、通常は製剤化して用いる。製剤化にあ
たっては、慣用の希釈剤、担体、増量剤、添加剤などを
用い、この分野で通常行われている方法を適用すること
ができる。液剤、乳化剤、固形剤、粉末剤、水和剤など
の形態で使用することが可能である。
【0017】使用量としては、例えば水と接触する表面
に0.1μg/cm2以上、好ましくは0.5μg/cm2以上塗
布することが好ましい。
【0018】さらに本発明は、ロドスピリルム、シクロ
バクテリウム、ハイフォミクロビウム、ハイフォモナ
ス、ペヂオミクロビウム、プロセセコミクロビウム、ア
ルテロモナス、デレヤ、シュウドモナス、マリノモナス
属に属し、物体に付着してバイオフィルムを形成する能
力を有する細菌を培養し、その培養液中に薬剤を塗布し
た物体を浸漬し、この培養液中の細菌の菌量を定量する
ことを特徴とする、バイオフィルム形成に対する該薬物
の活性を評価する方法を提供するものである。
【0019】本発明において使用する微生物としては、
ロドスピリルム、シクロバクテリウム、ハイフォミクロ
ビウム、ハイフォモナス、ペヂオミクロビウム、プロセ
セコミクロビウム、アルテロモナス、デレヤ、シュウド
モナス、またはマリノモナス属に属し、物体に付着しバ
イオフィルムを形成する能力を有するものであればよ
い。これらの中でも海洋由来のもの、ロドスピリルム属
に属するものが、バイオフィルムを形成する能力の点で
好ましい。このような微生物は自然界から分離すること
ができる。
【0020】ロドスピリルムに属する微生物としてはロ
ドスピリルム・サレキシゲンス(Rhodospirillum salex
igens)No.113を挙げることができる。この菌株
はロドスピリルム・サレキシゲンスSCRC−113の
名で生命工学工業技術研究所に受託番号FERM P−
13599として寄託されている。前記の菌株は静岡県
下田市の海岸土砂より分離したものであり、その詳細は
特開平6−327495に記載されている。
【0021】なお、上記の菌に変異を生じさせて一層バ
イオフィルム形成能の高い菌株を得ることもできる。ま
た、上記の菌株の細胞中に存在するバイオフィルム形成
に関与する遺伝子を切り出し、これを適切なベクター例
えばプラスミドに挿入し、このベクターを用いて適当な
宿主、例えばエッシェリッヒア・コリ(Escherichiacol
i)や酵母のごとき異種宿主、またはロドスピリルム属
菌のごとき同種宿主を形質転換することにより、本発明
の方法に用いうる細菌を人為的に創製することもでき
る。
【0022】本発明の方法は、上記のバイオフィルムを
形成する能力を持つ細菌、例えばロドスピリルム属に属
する細菌を栄養培地で前培養し、この前培養液を薬剤を
塗布した物体を浸漬してある別の栄養培地に接種し、そ
の培養液中の細菌の菌量を定量することにより実施する
ことができる。菌量の定量は、例えばその培養液の濁度
を測定することにより行うことができる。細菌の栄養培
地での培養は一般微生物の培養と同様に行われるが、通
常は液体培地による振とう培養法または通気攪はん培養
法、静置培養法により行われる。
【0023】栄養培地としては、上記の細菌が資化利用
できる栄養源及び塩分を含有するものであればよい。こ
の培地は窒素源として例えば硫安、酵母エキス、ペプト
ン、肉エキスなどの1種類または複数種類を含有する。
また、この培地には必要に応じて炭素源としてグルコー
ス、グリセリンなどを加えることができる。この培地に
は無機塩類、NaClを加えることが必要であり、天然
あるいは人工海水を用いることが好ましい。
【0024】前培養は固体培地または液体培地のいずれ
を用いてもよく生育するが、液体培地を用い、静置培養
あるいは振とう培養を行うのが好ましい。培養温度は菌
が生育する温度範囲であればいずれの温度でも良いが、
好ましくは20〜30℃である。pHは6.0〜8.0
の範囲である。培養時間はある程度菌が増殖する時間を
選べば良いが、好ましくは3時間〜2日間である。
【0025】このようにして得られた前培養液を、薬剤
を塗布した物体、例えば両面すりガラス片を浸漬した培
地に接種する。培養は液体培地を用い、静置培養あるい
は振とう培養を行うのが好ましい。培養温度は菌が生育
する温度範囲であればいずれの温度でも良いが、好まし
くは20〜30℃である。pHは6.0〜8.0の範囲
である。培養時間はある程度菌が増殖する時間を選べば
良いが、好ましくは3日間〜7日間である。
【0026】この培養液の濁度を測定し、無処理の場合
の濁度と比較することにより細菌の増殖の程度を知るこ
とができる。濁度は吸光計を用いて、培養液の吸光度を
測ることにより測定しうる。
【0027】野外試験との相関性の評価は、同一の薬剤
を樹脂と共に塩化ビニル板に塗り付け、日当りのよい比
較的浅い流速のある海水中に設置し、15日〜1カ月お
きに観察した結果と比較することにより知ることができ
る。
【0028】
【実施例】以下、実施例及び試験例により本発明をさら
に詳細に説明する。
【0029】実施例1. N,N−ジクロロ−2−(4
−ニトロフェニル)エチルアミンの合成
【0030】
【化3】
【0031】β−p−ニトロフェニルエチルアミン塩酸
塩(500mg)に、20%水酸化ナトリウム水溶液(50ml)とクロ
ロホルム(50ml)を加え抽出し、β−p−ニトロフェニル
エチルアミンを得た。このアミン体と乾燥ベンゼン5ml
を30mlナス型フラスコに入れ、10℃に冷却し、次亜塩素
酸tert-ブチル(0.7ml)の乾燥ベンゼン(10ml)溶液を加え
た。120分間室温で撹拌した後濃縮した。シリカゲルカ
ラムクロマトグラフィー(1:1=ベンゼン:ヘキサン)で精
製し、N,N−ジクロロ−2−(4−ニトロフェニル)
エチルアミン〔化合物(1)〕を、白色固体として得た(5
35mg)。1 H-NMR(CDCl3,ppm): δ 3.17(2H,t,J=7Hz),3.89(2H,t,J
=7Hz),7.39(2H,d,J=9Hz),8.18(2H,d,J=9Hz). EIMS:234(M+),236,238. m.p.=63.8-64.1℃
【0032】実施例2. N,N−ジクロロ−2−(4
−クロロフェニル)エチルアミンの合成
【0033】
【化4】
【0034】β−p−クロロフェニルエチルアミン(5g)
と乾燥ベンゼン10mlを100mlナス型フラスコに入れ、10
℃に冷却し、次亜塩素酸tert-ブチル(8.5ml)の乾燥ベン
ゼン(20ml)溶液を加えた。155分間室温で撹拌した後濃
縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(1:1=ベ
ンゼン:ヘキサン)で精製し、N,N−ジクロロ−2−
(4−クロロフェニル)エチルアミン〔化合物(2)〕を
褐色油状物として得た(6.8g)。1 H-NMR(CDCl3,ppm): δ 3.04(2H,t,J=7Hz),3.84(2H,t,J
=7Hz),7.15(2H,d,J=8Hz),7.29(2H,d,J=8Hz). EIMS:223(M+),225,227.
【0035】実施例3. N−ニトロ−2−(4−クロ
ロ−2−ニトロフェニル)エチルアミンおよびN−ニト
ロ−2−(4−クロロ−3−ニトロフェニル)エチルア
ミンの合成
【0036】
【化5】
【0037】100mlナス型フラスコにジクロロエタン20m
l、無水酢酸11ml、発煙硝酸5mlを入れ、0℃に冷却し、
撹拌しながらβ−p−クロロフェニルエチルアミン(2.2
g)を5分間かけて加えた。150分間室温で撹拌し濃縮した
後、水400mlと水酸化ナトリウム20gを加えて反応を停止
させた。酢酸エチル400mlで抽出し粗製物を得た。シリ
カゲルカラムクロマトグラフィー(1:1=ベンゼン:クロロ
ホルム、3:1=ベンゼン:クロロホルム)、PTLC(1:1=ベン
ゼン:クロロホルム)で精製しN−ニトロ−2−(4−
クロロ−2−ニトロフェニル)エチルアミン〔化合物
(3)21.2mg〕およびN−ニトロ−2−(4−クロロ−3
−ニトロフェニル)エチルアミン〔化合物(4)12.8mg〕
を褐色固体として得た。 化合物(3)1 H-NMR(CD3OD,ppm): δ 3.15(2H,t,J=7Hz),3.77(2H,t,J
=7Hz),7.44(1H,d,J=8Hz),7.63(1H,dd,J=8Hz and 2Hz),
7.99(1H,d,J=2Hz). 化合物(4)1 H-NMR(CD3OD,ppm): δ 2.99(2H,t,J=7Hz),3.72(2H,t,J
=7Hz),7.48(1H,dd,J=8Hzand 2Hz),7.56(1H,d,J=8Hz),7.
80(1H,d,J=2Hz). CIMS:246(M+H)+,248.
【0038】実施例4. 付着性細菌増殖阻害活性の評
価 試験管(18φx180mm)に液体培地(ペプトン
0.5%、酵母エキス 0.1%、1/2濃度人工海水)を8ml
づつ分注し、シリコン栓をしてオートクレーブ(121
℃、20分間)で滅菌し、室温まで放冷した。この培地
にロドスピリルム・サレキシゲンスNo.113(SC
RC−113)のグリセロールストック溶液50μlを
接種し、25℃で振とうしながら1日間培養し前培養と
した。供試薬剤である化合物(1)〜(4)の0.00
3%、0.01%、0.03%、0.1%、0.3%あ
るいは1%メタノール溶液を、両面すりガラス(13x
26mm)に、片面10μlづつ両面に塗布し乾燥させ
た。液体培地(ペプトン 0.5%、酵母エキス 0.1%、1/
2濃度人工海水)を8mlづつ分注し、シリコン栓をし
てオートクレーブ(121℃、20分間)で滅菌し、室
温まで放冷した試験管に、上記の塗布・乾燥した両面す
りガラスを入れ、そこに前培養したロドスピリルム・サ
レキシゲンスNo.113の培養液100μlを接種し
た。25℃で振とうしながら3日間培養した。培養液を
とり、吸光計で610nmの吸光度を測定して濁度を求
めた。試料を塗布しなかった場合の値と比較して、付着
性細菌の増殖阻害活性の評価を行った。結果を表1に示
す。
【0039】
【表1】 * ロドスピリルム・サレキシゲンス〔Rodospirillum sa
rexigens SCRC-113 (FERM P-13599)〕の増殖を、対照群
にして半分に抑制する単位面積(cm2)あたりの塗布量
(μg)
【0040】試験例5.付着阻害活性野外試験 塩化ビニルの試験板(250mm x 250mm)の上部に2箇所
穴を開け、半径2.5cmの円を9個描き、この円内に供試
薬剤である化合物(1)または(2)と樹脂をクロロホ
ルム中で混合したものを塗った。樹脂の量は一つの円当
り150mgに固定した。この試験板を静岡県下田市沖の海
水中に沈め半月毎に引き上げて観察を行った。結果を表
2に示す。
【0041】
【表2】 ○:一ヵ月の浸漬後、有効な阻止円形成が認められる。
【0042】
【発明の効果】本発明の化合物は、細菌に対してインビ
トロで強い増殖阻害作用を持ち、野外試験における海洋
の付着生物に対しても強い付着阻害活性を示し、人体や
動物の他、農林水産業、工業など広い範囲の産業および
植物病原菌による樹木、果樹、野菜、芝などの疾病に対
する抗菌剤、また淡水等の糸状菌や細菌によるスライム
形成の防御に用いる防汚剤として期待される。また、本
発明の評価方法を用いることにより、簡便かつ効率的に
バイオフィルムの形成阻害剤及び促進剤を探索すること
ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12Q 1/18 6807−4B //(C12Q 1/18 C12R 1:01) (C12Q 1/18 C12R 1:38)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式 【化1】 (式中、R1はハロゲン原子又はニトロ基を表し、R2
    ハロゲン原子、ニトロ基又は水素原子を表し、R3はハ
    ロゲン原子又はニトロ基を表し、R4はハロゲン原子、
    ニトロ基又は水素原子を表す。)で表されるβ−フェニ
    ルエチルアミン誘導体。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の化合物を有効成分とす
    る抗菌剤。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の化合物を有効成分とす
    る防汚剤。
  4. 【請求項4】 ロドスピリルム、シクロバクテリウム、
    ハイフォミクロビウム、ハイフォモナス、ペヂオミクロ
    ビウム、プロセセコミクロビウム、アルテロモナス、デ
    レヤ、シュウドモナス、マリノモナス属に属し、物体に
    付着してバイオフィルムを形成する能力を有する細菌を
    培養し、その培養液中に薬剤を塗布した物体を浸漬し、
    この培養液中の細菌の菌量を定量することを特徴とす
    る、バイオフィルム形成に対する該薬物の活性を評価す
    る方法。
  5. 【請求項5】 前記細菌がロドスピリルム属に属するも
    のである請求項4記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記細菌がロドスピリルム・サレキシゲ
    ンスSCRC−113である請求項5記載の方法。
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