JPH08133Y2 - スティック式ドレッシング装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の目的〕 「産業上の利用分野」 本考案は立方晶窒化硼素砥石を備えた円筒研削盤の円
筒形砥石をホワイトストーンのスティックでもってドレ
ッシング行う自動ドレッシング装置に関する。

「従来の技術」 立方晶窒化硼素砥石（以下CBN砥石という）を用いた
研削盤が開発されすぐれた研削性能を有することが知ら
れている。処がCBN砥石は砥粒はダイヤモンドについで
硬いため、単石ダイヤモンドツールで砥石修正を行うに
はダイヤモンドの摩耗が大きく適当でない。そこで円筒
形状のディスク外周にダイヤモンドを埋設した修正用ロ
ータリダイヤモンド砥石を用いて砥石形状を修正するツ
ルーイングを行っている。

然し、ツルーイング直後はどうしても切味が落ちる。
そのためツルーイング後にドレッシングを行っている。
ドレッシング方法としてはホワィトストーンを砥石の面
に押し付けてドレッシング（目立）するのが一般的であ
る。

ドレッシングには円筒形CBN砥石の幅よりも該幅方向
の大きさが大きな断面のホワイトストーン、即ち、通常
は対辺間距離がCBN砥石の幅よりもわずかに大きい角形
断面の細長いホワイトストーンのスティックを手でもっ
て円筒形CBN砥石の外周の砥石面に該スティック端面を
押し付け、ホワイトストーンが減っていく時の切込みの
感触にたよって作業していた。そのため一定の押圧力が
与えられず、ドレッシング後の砥石面の目立がばらつき
やすかった。又、砥石が同軸に２枚以上並列した場合に
は、２枚の砥石のドレッシングのばらつきも加わり、こ
の傾向がより顕著となっていた。

そして手をすべらせたりするおそれもあり、作業の安
全性に課題をかかえていた。

ホワイトストーンのスティックを用いての手作業によ
るCBN砥石の砥石面のドレッシングの改善を計るさめ、
本出願人は先願の特願昭63-110192号の発明「スティッ
ク式ドレッシング装置」を提案している。

「考案が解決しようとする課題」 前記本出願人の先願の発明では砥石台にドレッシング
の全装置を配設し、CBN砥石の作用面に向ってホワイト
ストーンのスティックを進退する自動送り装置を設けて
いる。この自動送り装置を具現するにはスティックを支
持し乍ら砥石作用面に向ってスティックを移動する案内
と、直線駆動を行う駆動装置、例えばねじ送り装置及び
動力源として減速機付送り電動機、ねじ送り装置の送り
ねじにかみ合う送りナットの回り止めを行い送りナット
の案内を行う案内部材例えばガイドバー及び制御機器が
必要であり、機構が複雑で部品が多く、別途動力源も必
要であり、配線或は配管等の動力を送る媒体を必要とし
ている。そのため勢い高価とならざるを得なかった。

この考案の目的は手作業におけるドレッシングの不安
定及び作業安全性を改善し、且つ簡易、安価な円筒研削
盤におけるスティック式ドレッシング装置を提供するこ
とを目的とするものである。

「課題を解決するための手段」 本考案の第１の考案は加工物主軸台及び心押台を担持
し、往復動するテーブルと、上記加工物主軸台及び心押
台に支持される加工物に切込む円筒形砥石を備え、テー
ブルに交叉方向から送り装置により前後に駆動される砥
石台を設けた円筒研削盤のスティック式ドレッシング装
置であって、前記加工物主軸台と心押台に支持されるテ
ーブルに沿った固定バーと、前記固定バーに設けられ、
ホワイトストーンのスティックをその作用面が円筒形砥
石外周面に向くように保持するホワイトストーン取付ケ
ースと、固定バーに固定されテーブルに向ってのびテー
ブルにより制止される固定バー回り止めとを備えたこと
を特徴とするスティック式ドレッシング装置である。

本考案の第２の考案はホワイトストーン取付ケースは
挿入されるホワイトストーンが砥石外周の方向に向くよ
うに溝を備えた本体を有し、該溝の上部を開閉する蓋を
設けたことを特徴とする第１の考案に記載のスティック
式ドレッシング装置である。

「作用」 ホワイトストーン取付ケースにホワイトストーンを取
付け、加工物主軸台と心押台に固定バーを支持し、回り
止めの先端とテーブルと係合する。ここでテーブルを移
動してホワイトストーンと砥石外周を対向させ、テーブ
ルを停止する。砥石を回転し、砥石台を前進してホワイ
トストーンを砥石に切込む。

「実施例」 以下、この考案の実施例を図面により説明する。第１
図は平面図であって円筒研削盤にこの考案を実施した図
を示し、第２図は第１図の側面図である。

加工物主軸台１はテーブル２に固定され、心押台３は
加工物主軸台１に向って位置を調節可能にテーブル２に
固定されている。テーブル２から交叉方向に図示されな
い送り装置により前後へ駆動される砥石台４にはテーブ
ル２に平行な砥石軸５が回転駆動されるように支持さ
れ、砥石軸５に２枚の同直径の円筒形CBN砥石６が取付
けてある。

加工物主軸台１には回転駆動される加工物主軸７が支
持され、加工部主軸７に笠形センタ８が固定してある。
笠形センタ８と同芯上において心押台３に出入り可能に
設けたスリーブ９に心押台センタ11が嵌め込まれてい
る。

このように構成された円筒研削盤は笠形センタ８と心
押台センタ11を加工物（図示されない）の端面センタ穴
に挿入して加工物を支持し、図示されないが加工物に固
定した回し金等の回転駆動具を加工物主軸７で回転する
ことにより加工物を回転し乍らテーブル２を定置又は往
復動し、砥石台４を前進して回転しているCBN砥石６を
加工物に切込む。

ドレッシング装置は以下のとおりである。

丸軸の固定バー12は加工物主軸台１と心押台３に支持
される。そのため固定バー12は両端面に加工物同様、笠
形センタ８の挿入されるセンタ穴12a、心押台センタ11
の挿入されるセンタ穴12bを備えている。固定バー12に
はホワイトストーン取付ケース13が設けてある。該取付
ケース13を取付けるため固定バー12の軸方向の中間で上
面に水平取付面12cを設け、その面と直角に砥石６に対
向するように垂直取付面12dが設けてある。

ホワイトストーン取付ケース13は前述の固定バー12の
水平取付面12c、垂直取付面12dに接するアングル部材14
を有し、該アングル部材14に取付ケース本体15及び座板
16が溶接され、取付ケース本体15にはホワイトストーン
20が挿入される２条の溝15aが設けられ、座板16にヒン
ジ17の片方の取付板を重ね、該ヒンジ17の片方の取付
板、座板16及びアングル部材14を挿通してボルト18が固
定バー12にねじ込まれ、ヒンジ17の他方の取付板を固定
された蓋19を挿通してボルト21が取付ケース本体15にね
じ込まれている。

上記においてホワイトストーン取付ケース13に設けた
本体15の溝15aの方向は溝15aにホワイトストーン20を挿
入した場合にホワイトストーン20が砥石６の方向を向
き、ホワイトストーン20の先端面（作用面）が砥石６の
外周に対向するようになっている。然してホワイトスト
ーン20の長手方向は砥石台４の前後進する方向と平行で
ある。そして２条の溝15aの間隔はその間に隙間程度を
残して設けてもよいし、大きくてもよく、２枚砥石６の
間隔に合せて設ける。勿論砥石６が３枚以上のマルチ砥
石であっても同様に砥石６の夫々に対応して溝15aを設
ける。

砥石固定バー12に固定されテーブル２により、固定バ
ー12の回転を制止する回り止め23が設けられている。こ
の回り止め23のテーブル２との関係は回り止め23が制止
されればよいのであり、本例ではテーブル２の長手方向
に設けた断面ダブテイル状の案内2a上面に載置され、ダ
ブテイル側部に接する駒24により固定された加工物仮受
台25に該回り止め23が制止されている。

ホワイトストーン20は第３図に断面が示されているよ
うに外周に軟鋼製の保護材22を有する。保護材22はホワ
イトストーン20のみでは折れ易いので設けるものであ
る。保護材22を除いたホワイトストーン20の幅ＷはCBN
砥石６の幅ｗよりわずかに大となっている。保護材22付
のホワイトストーン20は、ホワイトストーン取付ケース
13の取付ケース本体15の溝15aと蓋19の間に保持される
が、保護材22付のホワイトストーン20の取替は砥石６の
後退位置において、ボルト21を外してヒンジ17を中心に
して蓋19を持上げ、溝15aにその根本を押し込み、蓋19
を復元して、ボルト21で再び取付ケース本体15に固定す
ることによりホワイトストーン20は保持される。

上記構成における作用を説明する。砥石６のドレッシ
ングが必要な場合は砥石台４を後退した状態にして固定
バー12のセンタ穴12aを加工物主軸台１の笠形センタ８
に挿入し、心押台３のスリーブ９を前進して心押台セン
タ11を固定バー12のセンタ穴12bに挿入し、且つ回り止
め23の先端を加工物仮受台25の側部に当接させる。する
とホワイトストーン20の作用面は砥石６の外周面（砥石
面）に対向する（ホワイトストーン20位置と砥石６の位
置が一致しない場合はテーブル２を移動して一致させ
る）。ここで砥石６を回転したまま砥石台４を前進し、
ホワイトストーン20に切込まれるようにすると砥石６の
砥石面はドレッシングされ、ホワイトストーン20は保護
材22と共に先端から長手方向に溝を作るように消耗す
る。然し、砥石６の側面に沿ったホワイトストーン20は
細長く突出するが保護材22で覆われているので折れて飛
散することはなく安全である。砥石６の砥石面は第２図
に図示矢印イの方向に回転し、ホワイトストーン20は固
定バー12を中心に先端が下る方向の回転力を受ける。こ
の回転力は回り止め23の先端が当接している加工物受台
25を圧して支えられる。砥石６のドレッシング完了はホ
ワイトストーン20の減少量で、判明するから、ドレッシ
ング毎にほぼ一定の目立結果が得られる。

ホワイトストーン20交換時は砥石６を後退後、前述し
たようにボルト21を外して蓋19をヒンジ17を中心に持ち
上げ、保護材22付の新しいホワイトストーン20の根本を
溝15aに挿入し、蓋19を復元し、ボルト21で蓋19を取付
ケース本体15に固定する。

〔考案の効果〕

この考案は固定バーを加工物を支持するテーブル上の
加工物主軸台及び心押台で支持し、固定バーの回り止め
をテーブルにより制止することによりホワイトストーン
が砥石面に向って支持されるため、 （１） 砥石の切込みによりドレッシングを行っている
ので１枚砥石でも２枚以上のマルチ砥石においても安定
してドレッシングが行える。

（２） ドレッシング完了の目安としてホワイトストー
ンの減った量（長さ）によって管理ができるので何回ド
レッシングを行っても均一にできる。

（３） 作業者が手に持つことがないので安全である。

（４） 砥石枚数、砥石間隔にかかわらず対応できる。

（５） 取付け取外しが簡単である。

（６） ホワシトストーンの送り装置がなく砥石台の切
込み送り装置を用いるので構造簡単で容易に２枚以上の
マルチ砥石のドレッシング装置とすることができ、且つ
安価である。

（７） 市販のホワイトストーンが使用できる。

（８） 第２考案ではホワイトストーンの交換が容易で
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例の平面図、第２図は第１図の
側面図、第３図はホワイトストーンの断面図である。 １……加工物主軸台、２……テーブル、2a……案内、３
……心押台、４……砥石台、５……砥石軸、６……CBN
砥石、７……加工物主軸、８……笠形センタ、９……ス
リーブ、11……心押台センタ、12……固定バー、12a,12
b……センタ穴、12c……水平取付図、12d……垂直取付
面、13……ホワイトストーン取付ケース、14……アング
ル部材、15……取付ケース本体、15a……溝、16……取
付ケース座板、17……ヒンジ、18……ボルト、19……
蓋、20……ホワイトストーン、21……ボルト、22……保
護材、23……回り止め、24……駒、25……加工物仮受
台。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】加工物主軸台及び心押台を担持し、往復動
   するテーブルと、上記加工物主軸台及び心押台に支持さ
   れる加工物に切込む円筒形砥石を備え、テーブルに交叉
   方向から送り装置により前後に駆動される砥石台を設け
   た円筒研削盤のスティック式ドレッシング装置であっ
   て、前記加工物主軸台と心押台に支持されるテーブルに
   沿った固定バーと、前記固定バーに設けられ、ホワイト
   ストーンのスティックをその作用面が円筒形砥石外周面
   に向くように保持するホワイトストーン取付ケースと、
   固定バーに固定されテーブルに向ってのびテーブルによ
   り制止される固定バー回り止めとを備えたことを特徴と
   するスティック式ドレッシング装置。
2. 【請求項２】ホワイトストーン取付ケースは挿入される
   ホワイトストーンが砥石外周の方向に向くように溝を備
   えた本体を有し、該溝の上部を開閉する蓋を設けたこと
   を特徴とする請求項１記載のスティック式ドレッシング
   装置。