JPH08132182A - 金属の溶解および連続鋳造方法 - Google Patents

金属の溶解および連続鋳造方法

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JPH08132182A
JPH08132182A JP27652994A JP27652994A JPH08132182A JP H08132182 A JPH08132182 A JP H08132182A JP 27652994 A JP27652994 A JP 27652994A JP 27652994 A JP27652994 A JP 27652994A JP H08132182 A JPH08132182 A JP H08132182A
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coil
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molten metal
cap
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Manabu Nishimoto
学 西元
Atsuhiko Kuroda
篤彦 黒田
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】高融点、高反応性の金属 (例えば、Ti、Ti合
金) を、コイルとるつぼ間の電気的短絡防止と高溶解効
率とを両立させて誘導加熱溶解し、インゴットを連続鋳
造する。 【構成】コールドクルーシブル溶解・鋳造装置を用い、
るつぼ1の上端1aをコイル3の下端3aから上端3bの範囲
内の高さに設定し、かつ、るつぼ上端面1aに耐火物製の
キャップ2を連接し、その上端2aをコイル3の上端3bよ
り20mm以上高い位置に設定して金属を溶解し連続鋳造す
る方法。 【効果】溶融金属のドームが安定化し、るつぼ昇降操作
を行わずに、高生産性で安定してインゴットが製造でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、誘導加熱を用いるコ
ールドクルーシブル溶解法において、操業時のコイルと
るつぼ間の電気的短絡の防止と、高溶解効率とを両立さ
せて高融点で化学的に活性な金属を溶解し、かつ連続的
に鋳造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】いわゆるコールドクルーシブル溶解法
は、セグメント構造の水冷銅製るつぼ(以下、「るつ
ぼ」と記す)の周りにコイル型誘導子(以下「コイル」
と記す)を配置し、高周波加熱によりるつぼ内の金属
(チタンやジルコニウムあるいはこれらの合金等の高融
点で化学的に活性な金属)をるつぼと非接触で誘導溶解
する方法である。この溶解法は、スクラップが溶解原料
に有効利用できるので、チタンやジルコニウム等の低コ
スト溶解法として注目されている。
【0003】図7は、従来のコールドクルーシブル溶解
および鋳造法を説明するための装置の一例を示す要部縦
断面図である。
【0004】図示のように、この装置は、スリットで複
数のセクター1bに分割され、給水口1d、排水口1eを備え
たセグメント構造のるつぼ1、このるつぼ1を囲繞する
誘導加熱用のコイル3、鋳造されたインゴット8を引き
抜く引抜き棒5および、原料6を溶融金属7に定量供給
する原料ホッパー9が、排気口を有するチャンバー(図
示は省略)内に配置されている。そして、コイル3に印
加された中波あるいは高周波の交流電流による交番磁場
がるつぼ1のセクター1bを介して、るつぼ内のスタータ
ー母材中に電流を誘導し、スターター母材の上部に溶融
金属7を形成する。
【0005】上記溶融金属7の内部は誘導電流により図
中実線矢印で示すように攪拌される。また、溶融金属の
表面に作用する電磁力と、溶融金属の静圧とのバランス
によって、溶融金属7の表面は、形状がドーム状とな
り、るつぼ1と非接触の状態で溶融がなされる。さら
に、溶融金属7に原料ホッパー9から原料6を投下して
溶解し、るつぼ1下部でインゴット8を鋳造する。この
インゴット8は引抜き棒5により溶融金属ドーム(以下
単に「ドーム」と記す)の高さが一定になるように原料
供給量にバランスして連続的に引き抜きが行われる。
【0006】ところが、実際の溶解ではドーム頂部は前
後左右に振れているので、図中に点線矢印で示すよう
に、投下された原料はドームの溶融金属揺動面7aで一度
弾かれ、るつぼ内面にあたって溶融金属7へ弾き戻され
て溶解するという過程を経る。
【0007】このため、るつぼ上端の高さがドームの高
さに対して低いとドームで弾き飛ばされた原料はるつぼ
周囲に飛散し、その一部はコイルとるつぼ間にブリッジ
を作り、電気的に短絡してスパークが生じる。従って、
従来法では原料の飛散を防止するためるつぼ上端高さが
コイル上端高さより高くなるように、るつぼを配置せざ
るを得ない。そして、コイルに印加されたエネルギー
は、るつぼを介して被溶解物に負荷されるため、るつぼ
上端高さを高くするほど、るつぼ内で消費されるエネル
ギー損失が増加し、溶解効率が低下するという問題を生
じる。
【0008】上述した従来法における溶解効率低下の問
題を解決するため、本出願人は、図6に示すように、る
つぼ1の上端1aが、コイル3の上端と下端とのレベル範
囲を上下に移動できるようなるつぼ昇降装置(図示は省
略)を設け、溶融金属7のドーム形状が安定した後、る
つぼの上端1aを低下させて溶解効率を向上させる方法を
開発した (特開平5−38555 号公報、参照) 。
【0009】上記の方法では、従来法より溶解効率が高
いので、溶融金属7に投入された原料6は、ドームの振
動で弾き飛ばされる前に溶解し、原料飛散が防止され
る。しかし、実操業では、ドームの振動が不安定化して
大きくなることがある。この場合は、図中点線矢印で示
すように、原料6が溶融金属揺動面7aで弾き飛ばされコ
イル3とるつぼ1との間で電気的短絡を生じ、スパーク
発生につながる。このため、るつぼの上方から、例えば
テレビモニターでドーム形状を監視しながら、ドームの
振動が大きくなると判断される場合には、るつぼの上端
1aを上昇させて原料飛散を防止する操作が必要となり、
この間における溶解効率の低下が避けられないという問
題があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
のコールドクルーシブル溶解法は、コイルと被溶解物と
の間に、セグメント構造のるつぼが介在し、そのるつぼ
内でエネルギー損失が生じ原料の溶解効率が低下する。
一方、るつぼ上端をコイル上端からコイル下端の範囲内
で下方に低下させると、溶解効率は向上するが、ドーム
振動が大きくなると、原料飛散によるコイル・るつぼ間
の電気的短絡が生ずる。そして、このドーム振動を抑制
するためには極めて熟練した操作が要求される。また、
るつぼ昇降装置の設置による設備コストの上昇は避けら
れない。
【0011】本発明は上記の課題を解決するためになさ
れたものであり、その具体的な目的は、コイルとるつぼ
間の電気的短絡の防止と溶解効率の向上とを両立できる
金属の溶解および連続鋳造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、「固体
原料供給装置と、複数の上下方向に延びるスリットでセ
クターに分割された内部冷却式セグメント構造の竪型の
導電性るつぼと、このるつぼを囲繞して配置されたコイ
ル型誘導子と、インゴットを引抜く引抜き棒とを有する
装置を用い、前記るつぼの上端を、前記コイル型誘導子
の下端から上端の範囲内の高さに設定し、かつ、るつぼ
の上端面に耐火物製のキャップを連接し、そのキャップ
の上端をコイル型誘導子の上端より20mm以上高い位置に
設定することを特徴とする金属の溶解および連続鋳造方
法」にある。
【0013】上記のるつぼ内またはるつぼ内と耐火物製
キャップ内に金属インゴットのスターター母材を装入し
てドーム状溶融金属を形成させるに際しては、スタータ
ー母材の上端を0mm以上10mm以下の範囲内でるつぼの上
端より下方の位置に置くことが望ましい。
【0014】本発明方法により溶解・鋳造する金属とし
ては、眼鏡、時計等の民生品、電子工業用品等の素材と
なる純Ti、Ti合金、Ta、Ta合金、Ni−Ti合金などがあ
る。
【0015】本発明方法の実施に用いる装置の基本形状
は、一般にコールドクルーシブル溶解および鋳造に用い
られている装置と同じでよい。ただし、るつぼの上端に
耐火物製キャップ(以下、「キャップ」と記す。)を連
接する。このキャップ材料は、磁場を良く通し、700 ℃
程度の高温にさらされても形状が変化しない良好な耐熱
製を持つ耐火物であれば良く、例えば、ZrO2やAl2O3
用いればよい。
【0016】
【作用】以下、図面を参照しながら、本発明の方法と作
用を詳しく説明する。
【0017】図1は、本発明を実施する装置の一例の要
部縦断面図である。図示のように、本発明方法において
は、複数のスリット1cでセクター1bに分割されたセグメ
ント構造のるつぼ1の上端1aを、コイル3の下端3aから
上端3bの範囲内の高さに設定する。さらに、るつぼ上端
1aの端面にキャップ2を連接して、その上端2aをコイル
上端3bより20mm以上高い位置に設定する。
【0018】次にインゴットのスターター母材を引抜き
棒5の先端に固定した後、引抜き棒5を上昇させ、るつ
ぼ1内またはるつぼ1およびキャップ2内にスターター
母材を装入する。引き続き、るつぼ1の給水口1dから冷
却水を供給するとともに、コイル3に高周波交流電流を
供給すると、セクター1bあるいは磁場を良く通す耐火物
製のキャップ2を介して誘導電流が流れるので、スター
ター母材上部は加熱されて溶融し、電磁的ピンチ力の作
用を受けて、溶融部はドーム状に隆起する。
【0019】上記のようにスターター母材上端部に形成
されたドーム状溶融金属に振動フィーダー4から原料を
供給するとともに、原料供給速度に相当する速度で引抜
き棒5を降下させて、ドーム状溶融金属の頂点位置を一
定に維持しながらインゴットを製造する。
【0020】上記の一連の操作は、密閉チャンバー内で
行われ、通常Arガスまたは真空雰囲気下で操作が行われ
る。従って高融点、高反応性の金属でも酸化や窒素、水
素などのガス吸収による汚染を受けることなく溶解する
ことができる。
【0021】図2は、本発明方法を実施したときの溶融
金属のドーム形成状況と、原料供給状況とを模式的に示
す縦断面図である。この図に示すように、ドーム状の溶
融金属の頂点が前後左右に大きく振動する不安定な操業
条件下で、振動フィーダー4から供給される原料6が溶
融金属揺動面7aで弾き飛ばされても、図中実線矢印で示
すように、キャップ2の内壁に当たって溶融金属7に弾
き戻されて溶解する。
【0022】従って、溶解効率を高めるため、コイル上
端高さに対してるつぼ上端1aを低くしても、ドーム状溶
融金属で弾き飛ばされた原料6は、キャップ2の内壁が
障壁となり、るつぼ周囲に飛散することがなく、コイル
−るつぼ間の電気的短絡を防止することができる。
【0023】本発明方法において、キャップの上端をコ
イル型誘導子の上端より20mm以上高い位置に設定する
(即ち、図2のΔhを20mm以上とする) こととした理由
は次のとおりである。すなわち、これまでの本発明者ら
の溶解実験から、キャップ上端をドーム状溶融金属7の
頂点より20mm以上上方の高さに設定すれば、原料飛散を
防止できることを確認した。一方、ドーム状溶融金属7
の頂点は、溶融金属の誘導加熱効率上、コイル上端より
上方の高さに保持して操業されることはない。従って、
上記Δhを20mm以上とすれば原料飛散が防止できる。な
お、モニターによる溶解状況の観測を容易にするため
に、Δhの上限はるつぼの内径と同程度にするのがよ
い。
【0024】図3は、本発明方法の実施に用いる耐火物
製キャップの形状例を示す縦断面図である。前記図1お
よび図2では、円筒状のキャップを用いているが、例え
ば、(a) 図のフランジ付キャップ2b、(b) 図のコイルカ
バー付きキャップ2c、(c) 図の上端面漏斗状フランジ付
キャップ2dなどを用いれば、コイル−るつぼ間への原料
飛散による電気的短絡をより効果的に防止することがで
きる。
【0025】図4は、るつぼ上端の位置と、原料溶解効
率との関係を示すグラフである。図4の横軸は、コイル
下端位置を規準(0mm)として、るつぼ上端の位置をコ
イル下端位置との差(高さの差)で示してある。また、
縦軸は原料溶解効率の尺度として、原料最大供給速度で
示した。原料最大供給速度は、ドーム状溶融金属に原料
を供給して溶解し、一方、るつぼ下部で冷却凝固されて
鋳造されたインゴットがドーム状溶融金属の頂点位置を
一定高さに保持しながら定常引抜き速度で下方へ引抜か
れる場合の原料供給速度の最大値を示す。従って、原料
最大供給速度が高いほど、溶解効率が高いことになり、
インゴット引抜き速度も大きく生産性が高いことを意味
する。
【0026】図4に示すように、るつぼ上端をコイル下
端に近づけるとともに、原料最大供給速度は大きくな
る。これは、前述したように、コイルと溶融金属との間
にるつぼのセクターを介在させずに溶解操作を行うと、
セクター内で消費されるエネルギー損失が少なくなり、
溶解効率が高くなることによる。るつぼ上端をコイル上
端と下端との範囲内の高さに設定した本発明方法(図
中、〇印)では、るつぼ上端がコイル上端より上方の高
さに設定した従来法(図中、×印)の約 1.5〜3.5倍の
溶解効率が得られる。
【0027】なお、本発明方法において、るつぼ上端を
コイル下端より上方の高さに設定する理由はつぎのとお
りである。すなわち、るつぼ上端高さをコイル下端高さ
以下とすると、ドーム状溶融金属の基底部表面が耐火物
製キャップ内壁と接触し反応して溶融金属中に耐火物成
分が不純物として混入し、鋳片の品質が劣化するからで
ある。
【0028】上述の結果から、本発明方法によれば、ド
ーム状溶融金属が不安定でその振動が大きい操業条件下
でも、原料飛散による電気的短絡の防止と高い溶解効率
とを両立させながら、高融点、高反応性の金属を溶解し
て、連続鋳造ができることが明らかである。
【0029】本発明方法の実施に際しては、スターター
金属母材の上端を0mm以上、10mm以下の範囲内でるつぼ
の上端より下方の位置に置くのが望ましい。その理由は
下記のとおりである。
【0030】図5は、本発明方法を実施したときの、ス
ターター母材8Sの初期溶融におけるドーム状形成状況を
模式的に示す縦断面図である。スターター母材の上端8a
の高さは、初期溶融金属プールの体積を決定するもので
あるが、スターター母材8sを効率的に溶解するため、通
常、その上端8aはコイル高さL(図1参照)の 0.3倍以
上、 0.8倍以下の範囲内でコイル下端より上方に設定さ
れる。しかし、スターター母材8sの溶解初期における溶
融金属のドーム形状は、図示のように、スターター母材
の未溶解物8s’が存在するので不安定である。このた
め、スターター母材溶解開始時にその上端8aをるつぼ上
端1aより上方に設定すると、溶け出したスターター母材
が耐火物製キャップ2 の内壁と接触して、耐火物を溶損
する。また、溶融金属と耐火物が反応して耐火物成分が
不純物として溶融金属内に混入して製品品質を劣化させ
る恐れがある。従って、スターター母材の加熱溶解開始
時は、その上端8aをるつぼ上端1aより0mm以上下方の高
さに設定するのが望ましい。
【0031】一方、原料溶解時の溶解効率を高めるた
め、るつぼ上端1aがコイルに対して予め低く設定されて
いる場合は、スターター母材上端8aは、コイルに対して
さらに低く設定されていることになり、初期溶融金属プ
ールの体積が著しく低下する。
【0032】このため、スターター母材上端8aをるつぼ
上端1aより10mmを超えるほど低い位置に設定するのは好
ましくない。また、このように低く設定すると、エネル
ギーがるつぼで消耗されて母材に加わる加熱エネルギー
が減少する。
【0033】なお、スターター母材上端とるつぼ上端と
がコイルの下方側に予め低く設定された場合のスタータ
ー母材の溶解では、初期溶融金属プールの体積が低下す
る。
【0034】従って、ドーム状溶融金属が形成されると
凝固インゴットの引抜きを行わずに原料を投入して溶融
金属プールの体積を増加させ、その後インゴットの引抜
きを行うのが高溶解効率を得るために望ましい。ただ
し、るつぼ昇降装置が既設の場合は、スターター母材上
端とるつぼ上端とをコイルの中間より上方側に高く設定
して、初期溶融金属プールの体積を確保し、そのドーム
形状が安定した後るつぼ上端をコイル下端以上の範囲で
下方に移動させればよいので、上記の操作は不要であ
る。
【0035】
【実施例1】以下、本発明方法の効果を実施例に基づい
て詳細に説明する。
【0036】前記図1に示す溶解・連続鋳造装置を使用
し、るつぼ上端とコイル下端との相対位置あるいはスタ
ーター母材上端とるつぼ上端との相対位置を変化させて
溶解・鋳造実験を行い、溶解状況、耐火物製キャップの
損傷状況、溶解効率、生産性を調査して本発明方法の効
果を評価した。なお、比較例では耐火物製キャップを使
用せずに実験を行った。
【0037】溶解・鋳造実験は、スターター母材上部を
誘導加熱して溶解し、ドーム状初期溶融金属を形成させ
てから、原料を溶融金属プール上に投下して溶解すると
ともに、原料供給速度(溶解速度)に相当する引抜き速
度で凝固鋳片を連続的に引き抜いて、直径70mm、長さ 5
00mmのインゴットを製造した。装置諸元および溶解条件
は下記のとおりである。
【0038】誘導加熱コイル:内径 105mm、コイル高さ
(図1のL) 76mm 、4巻き 水冷式銅るつぼ:内径70mm、高さ 230mm、肉厚15mm スリット巾 0.8mm、スリット長さ 140mm、セクター数 1
4 振動フィーダー:出口位置とコイル上端位置との高低差
1.8m 原料投入ガイド鉄製パイプ:振動フィーダー出口からの
長さ 2.5m、内径40mm パイプ出口とコイル上端位置との高低差 30 mm 耐火物製キャップ:材質ZrO2、形状円筒、上端位置、コ
イル上端より上方30mm 溶解原料:Ti-6Al-4V合金のダライ粉、最大寸法 5×20
×0.5 mm スターター母材:直径 668mmのTi-6Al-4V合金インゴッ
ト 溶解電力:80kW、電源周波数 25KHz 溶解雰囲気:Arガス 次に、溶解状況、耐火物製キャップの損傷状況、溶解効
率、生産性の評価方法を説明する。
【0039】(a) 溶解状況 るつぼ上方からコイルとるつぼの間隙およびるつぼ内の
状況をテレビモニターで観察し、原料溶解時に原料がコ
イルとるつぼ間に飛散する程度、スターター母材溶解時
に溶融金属がるつぼの外へ漏れる程度を調査し、コイル
とるつぼ間の電気的短絡 (スパーク) が発生する程度の
原料の飛散あるいは溶融金属のるつぼ外漏れが生じた場
合は「×」生じなかった場合は「〇」と表記した。ま
た、溶融金属のドーム振動が大きくなる傾向が観察さ
れ、原料の飛散が強くなことが予測されて原料供給、イ
ンゴット引抜きを中断し、ドーム安定化操作を行った場
合は「△」と表記した。
【0040】(b) 耐火物製キャップの損傷状況 溶融金属と耐火物が接触した場合、耐火物が還元されて
損傷するので、溶解後耐火物製キャップの損傷の有無を
調査した。耐火物製キャップの損傷が目視で認められ、
再使用不可の場合「×」、再使用可能の場合「△」と表
記し、損傷が認められなかった場合「〇」と表記した。
【0041】(c) 溶解効率、生産性 前述したように、るつぼ上端高さをコイル高さに対して
変化させると、原料の溶解効率が変化する。ここでは、
溶解効率を原料最大供給速度 (原料最大溶解速度に等し
い) 、生産性をインゴット最大引抜き速度により評価し
た。インゴット最大引抜き速度は、ドーム状溶融金属の
頂点位置を一定に保持し、インゴット引抜き速度と原料
供給速度とのバランスを崩すことなく、定常的に連続引
抜き溶解が実施できる最大のインゴット引抜き速度であ
る。
【0042】表1および表2に、るつぼとコイルおよび
スターター母材とるつぼの相対位置設定条件と実験結果
を示す。なお、るつぼ上端高さは、コイル下端を基準高
さ(0mm)とし、それより上方への高さで示した。ま
た、スターター母材上端高さはるつぼ上端を基準高さ
(0mm)とし、それより上方の場合は+、下方の場合は
−を付して示した。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】表1および表2に示す結果から、下記のこ
とが確認された。
【0046】(1) 実施例のケース1と比較例のケース8
の結果から、スターター母材上端がるつぼ上端より高い
場合、スターター母材加熱溶解時の溶融金属プール不安
定期に溶融金属のるつぼ外漏れが生じやすく、本発明方
法の耐火キャップの使用がその防止に大きな効果がある
ことがわかる。
【0047】(2) キャップ上端をコイル上端より20mm以
上上方の高さに設定した実施例のケース1〜ケース7
は、いずれもコイルとるつぼの間に原料飛散はなかっ
た。これに対し、比較例のケース9、ケース10は、原料
飛散を未然に防止するためドーム安定化のための操作を
余儀なくされ、生産性が低下した。この結果から本発明
方法で用いるキャップがコイルとるつぼ間のスパーク防
止に大きな効果を奏し、原料飛散防止のためドーム安定
化操作やるつぼ昇降操作が省略できることが確認でき
た。
【0048】(3) 実施例のケース1〜ケース7と従来例
のケース11の結果から、るつぼ上端高さをコイル上端高
さに対して低くすることが高原料供給速度、高引抜き速
度につながることがわかり、本発明方法は、従来法に比
べて 2.6〜3.5 倍の溶解効率と生産性が得られることが
明らかである。
【0049】(4) 実施例のケース1〜ケース3の結果か
ら、るつぼ上端高さをコイル上端高さに対して低くする
ほど溶解効率、生産性が高くなることがわかる。
【0050】(5) 実施例のケース1と実施例のケース2
〜ケース7の結果から、スターター母材上端高さに対し
てるつぼ上端高さが低いと、スターター母材加熱溶解時
に耐火物と溶融金属とが還元反応し、キャップが損傷す
ることがわかる。しかし、損傷の程度は軽微でその後、
何回も溶解実験に供することができたが、キャップ寿命
を考えるとスターター母材上端高さは、るつぼ上端高さ
より低くするのが好ましいと言える。
【0051】
【発明の効果】本発明方法によれば、溶融金属のドーム
安定化操作やるつぼ昇降操作を行わずに、原料飛散ある
いは溶融金属のるつぼ外漏れによるコイルとるつぼ間の
電気的短絡(スパーク)が防止されるとともに高溶解効
率の溶解および連続鋳造が実現できる。そして、高融
点、高反応性の金属インゴットが、高い生産性で安定し
て容易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を実施する装置の一例を示す要部縦
断面図である。
【図2】本発明方法を実施したときの溶融金属のドーム
形成状況と原料供給状況とを模式的に示す縦断面図であ
る。
【図3】本発明方法の実施に用いる耐火物製キャップの
形状例を示す縦断面図である。
【図4】るつぼ上端高さ位置と原料溶解効率との関係を
示すグラフである。
【図5】本発明方法を実施したときのスターター母材の
初期溶融におけるドーム形成状況を模式的に示す図であ
る。
【図6】従来のコールドクルーシブル溶解および鋳造法
を説明するための装置の一例を示す要部縦断面図であ
る。
【図7】図6と同様の他の例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1: るつぼ、 1a: るつぼ上端、 1b: セクター、
1c: スリット、1d: 給水口、 1e: 排水口、
2: キャップ、 2a: キャップ上端、2b: フラン
ジ付キャップ、 2c: コイルカバー付キャッ
プ、2d: 上端面漏斗状フランジ付キャップ、3: コイ
ル、 3a: コイル下端、3b: コイル上端、4: 振動
フィーダー、5: 引抜き棒、 6: 原料、7: 溶融金
属、 7a: 溶融金属揺動面、8: インゴット、 8s: ス
ターター母材8a: スターター母材上端、 8s’: スター
ター母材未溶解物、 9: 原料ホッパー

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】固体原料供給装置と、複数の上下方向に延
    びるスリットでセクターに分割された内部冷却式セグメ
    ント構造の竪型の導電性るつぼと、このるつぼを囲繞し
    て配置されたコイル型誘導子と、インゴットを引抜く引
    抜き棒とを有する装置を用い、前記るつぼの上端を前記
    コイル型誘導子の下端から上端の範囲内の高さに設定
    し、かつ、るつぼの上端面に耐火物製のキャップを連接
    し、そのキャップの上端をコイル形誘導子の上端より20
    mm以上高い位置に設定することを特徴とする金属の溶解
    および連続鋳造方法。
  2. 【請求項2】前記のるつぼ内またはるつぼ内と耐火物製
    キャップ内に、金属インゴットのスターター母材を装入
    してドーム状溶融金属を形成させるに際し、スターター
    母材の上端を0mm以上10mm以下の範囲内でるつぼの上端
    より下方の位置に置くことを特徴とする請求項1の金属
    の溶解および連続鋳造方法。
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