JPH08127510A

JPH08127510A - 印象材および圧排材

Info

Publication number: JPH08127510A
Application number: JP6287451A
Authority: JP
Inventors: Katsuhiro Kimura; 勝博木村
Original assignee: Individual
Current assignee: Individual
Priority date: 1994-10-27
Filing date: 1994-10-27
Publication date: 1996-05-21

Abstract

(57)【要約】【構成】寒天印象材、アルギン酸塩印象材、シリコーン
印象材のいずれかに、塩化アルミニウム、ボスミン、ア
ドレナリン、酸化第２鉄等のいずれか１種または２種以
上からなる収斂剤を添加した印象材および圧排材。【効果】歯肉圧排が安全かつ迅速確実に可能となり、歯
冠の型取りが正確にできる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、歯科治療における歯冠
の製作に用いられる印象材および圧排材に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】従来、歯科治療において、歯冠を製作す
る場合には、以下の手順により行われるのが一般的であ
る。まず、人の歯、口腔等、原型に印象材を押し当て
て、その陰型を作る。その陰型に石膏を注ぎ、石膏模型
を作る。次に石膏模型の上にワックスを用いて冠の原型
を作り、それを埋没機に埋め込んで溶かし、その空洞に
金属を流し込んで、現物の歯冠を作る。上記のような手
順において、重要な作業は、原型の陰型を正確に作るこ
とであるが、それには、以下の点に注意する必要があ
る。

【０００３】図５に示されているように、まず、歯冠を
被せる支台歯１にショルダー３を形成するが、製作され
る歯冠の下端縁は、ショルダー３の下側まで及ぶように
作られなければならない。この歯冠の被覆が歯肉縁下５
の下方まで、つまりショルダー３の下側まで十分に及ん
でいないと、歯冠の美的外観が損なわれ、二次齲蝕が生
ずる可能性が高くなる。また、歯肉７は、支台歯の切削
工具などによって損傷され、歯肉縁部で出血しているこ
とが多く、この出血を止めないと、正確な陰型を取るこ
とができない。

【０００４】このため、印象材によって陰型を取る前
に、歯肉圧排が行われる。従来、この歯肉圧排は、図６
に示されているように、止血するための収斂剤を含浸さ
せた圧排糸９を、支台歯１の基部に巻つけることによっ
て行われている。この圧排糸９によって、歯肉縁部の出
血は止められ、また図６に示されているように、歯肉縁
下５の下方に十分な隙間が形成される。上記のように、
圧排糸９を用いる方法の他、ジンジバル・キュレッテー
ジといった方法も行われる。

【０００５】しかし、上記のように圧排糸９を用いる方
法によると、手間がかかり、感受性の高い歯齦組織に時
に傷痕を残したり、退色したりすることがある。また、
ジンジバル・キュレッテージの場合も、歯肉損傷を調整
修復するのに予想外の手間がかかるといった欠点があ
る。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、容易
かつ安全迅速に型取ができる印象材および圧排材を提供
することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】このような目的は、以下
の本発明により達成される。（１）収斂剤が添加されていることを特徴とする印象
材。（２）前記収斂剤は、塩化アルミニウム、ボスミン、
アドレナリン、酸化第２鉄の内、一種または二種以上を
混合したものである上記（１）に記載の印象材。（３）寒天を主成分とする上記（１）または（２）に
記載の印象材。（４）前記寒天は、天然海水塩を含んだ可逆性寒天で
ある上記（３）に記載の印象材。（５）前記収斂剤の含有率は、０．１〜５０重量％で
ある上記（１）ないし（４）のいずれかに記載の印象
材。（６）上記（１）ないし（５）に記載の印象材を主成
分とすることを特徴とする圧排材。

【０００８】

【作用】例えば、シリンジなどの充填用具にて、印象材
を歯肉縁下に充填する。この充填によって、歯肉は外側
に押し広げられ、歯肉縁下の下方まで十分に印象材が充
填される。また、印象材に添加されている収斂剤の作用
によって、歯肉の止血も確実に行われる。この印象材
は、圧排作業にのみ用いるともできる。

【０００９】

【実施例】以下、本発明の好適実施例について、詳説す
る。本発明の印象材は、主成分として、可逆性の印象
材、不可逆性の印象材、ラバー系精密印象材などが用い
られる。可逆性の印象材には、例えば寒天を主成分とす
る水膠性印象材である寒天印象材が挙げられる。また、
不可逆性印象材には、例えばアルギン酸の可溶性塩を主
成分とするアルギン酸塩印象材などが挙げられる。ラバ
ー系精密印象材には、ポリサルファイド、シリコーン樹
脂等の合成ゴムを主材とし、これと硬化材とからなるも
のが挙げられる。

【００１０】これらの印象材に添加される収斂剤として
は、塩化アルミニウム、ボスミン、アドレナリン、酸化
第２鉄の内、一種または二種以上を混合したものが挙げ
られる。これらの収斂剤の作用によって、歯肉の毛細血
管からの出血の止血や、歯齦組織の退縮をコントロール
でき、歯肉の引き締め効果を挙げることができる。

【００１１】また上記印象材の内、寒天を主成分とした
印象材の場合には、天然海水塩を含んだものとすること
が好ましい。この天然海水塩を含有することによって、
収斂剤による収斂作用に加えて、さらに収斂作用が発揮
される。つまり、天然海水塩によって、毛細血管からの
出血や、歯齦組織の退縮を、さらにコントロールするこ
とができ、さらに十分に歯肉を引き締めることができ
る。従って、天然海水塩による効果を考慮すれば、収斂
剤の添加量は、少量とすることができる。以上の印象材
において、収斂剤の含有率は、０．１〜５０重量％程度
である。

【００１２】以下、上記本発明の印象材の内、天然海水
塩を含んだ寒天に収斂剤としてボスミンを添加した印象
材の実施例の使用方法について説明する。歯牙全部の修
復が終了したら、処置歯の基部周縁に温度調整された本
発明の印象材を充填する。この充填は、例えばシリンジ
にような充填器具によって行われる。

【００１３】図１に示されているように、この充填によ
って、歯肉縁下５は圧排されて、歯肉縁下５の下方にま
で印象材１１が充填される。さらに、図２に示されてい
るように、印象用トレー１３に盛りつけられている印象
材１５を覆い被せ、陰型を型取る。

【００１４】図３に示されているように、印象用トレー
１３の中の陰型に、石膏１７を注ぎ、図４に示されてい
るような石膏模型１９を形成する。その石膏模型１９の
上にワックスを用いて冠の原型２１を作る。この原型２
１が歯冠の形となるが、図４に示されているように、支
台歯１の歯肉縁下部分を覆う位置まで、歯冠の下端２３
が形成されている。

【００１５】以上のように、本発明の印象材１１を用い
れば、歯肉を損傷することなく、手際よく、かつ正確な
原型を得ることができる。上記実施例の他、最初に歯肉
縁下５に充填される印象材１１と、印象用トレー１３に
盛りつけられている印象材１５とは、同一の印象材で
も、異なる印象材であってもよい。例えば、最初に充填
される印象材１１は寒天で、印象用トレー１３側の印象
材は、アルギン酸塩印象材やシリコーン印象材を用いて
も良い。特に、印象用トレー１３側の印象材には収斂剤
が添加されていなくてもよい。

【００１６】シリコーン印象材を用いた場合について
は、オートクレーブ滅菌ができるため、滅菌が容易かつ
迅速にできるといった利点がある。上記使用方法は、印
象材１１として、アルギン酸塩印象材やシリコーン印象
材など他の印象材に収斂剤を添加したものを用いた場合
にも同様に適用される。

【００１７】さらに、他の使用方法として、印象材１１
を圧排材として歯肉圧排の際にのみ用いることもでき
る。即ち、圧排材として印象材１１を歯肉縁下５に充填
して、歯肉の止血をし、歯肉を固めた後、印象材（圧排
材）１１を取り除き、印象用トレーに盛られている収斂
剤の添加されていない印象材を覆い被せて、陰型を取る
といった方法を取ることもできる。

【００１８】本発明の印象材は、上記のような使用方法
の他、例えば根管治療において、繰り返し治療を行う際
にも用いることができる。つまり、根管治療において
は、治療する歯に仮義歯を被せ、治療する度に仮義歯が
外される。この際、歯肉縁下の形状が崩れて、歯冠の型
取時に再治療が必要となってしまうことがある。この
時、仮義歯を取り外して根管治療を施す前に、本発明の
印象材を塗布し、既に形成されているショルダー部分の
歯肉縁下の形状を維持させることにより、歯肉縁下の形
崩れを防ぐことができる。

【００１９】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の印象材お
よび圧排材を用いれば、歯肉圧排が容易かつ安全迅速に
でき、歯冠の型取りが正確かつ容易迅速に可能となる。
また、他の治療の際においても、本発明の印象材を用い
ることによって、歯肉縁下の形状の確保が容易となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の印象材および圧排材が歯肉縁下が充填
されている状態を示す、根管部分の断面図である。

【図２】印象用トレーに盛りつけられている印象材を覆
い被せた状態を示す、根管部分の断面図である。

【図３】印象用トレーに形成された陰型の断面図であ
る。

【図４】石膏模型の断面図である。

【図５】印象材および圧排材が充填される前の状態を示
す根管部分の断面図である。

【図６】圧排糸により圧排を行っている状態を示す、根
管部分の断面図である。

【符号の説明】

１支台歯３ショルダー５歯肉縁下７歯肉９圧排糸１１印象材（圧排材）１３印象用トレー１５印象材１７石膏１９石膏模型２１原型２３下端

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】収斂剤が添加されていることを特徴とす
る印象材。
【請求項２】前記収斂剤は、塩化アルミニウム、ボス
ミン、アドレナリン、酸化第２鉄の内、一種または二種
以上を混合したものである請求項１に記載の印象材。
【請求項３】寒天を主成分とする請求項１または２に
記載の印象材。
【請求項４】前記寒天は、天然海水塩を含んだ可逆性
寒天である請求項３に記載の印象材。
【請求項５】前記収斂剤の含有率は、０．１〜５０重
量％である請求項１ないし４のいずれかに記載の印象
材。
【請求項６】請求項１ないし５に記載の印象材を主成
分とすることを特徴とする圧排材。