JPH08126823A - 中空糸膜モジュール及びその製造方法 - Google Patents

中空糸膜モジュール及びその製造方法

Info

Publication number
JPH08126823A
JPH08126823A JP1700595A JP1700595A JPH08126823A JP H08126823 A JPH08126823 A JP H08126823A JP 1700595 A JP1700595 A JP 1700595A JP 1700595 A JP1700595 A JP 1700595A JP H08126823 A JPH08126823 A JP H08126823A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hollow fiber
fiber membrane
storage container
potting material
membrane module
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP1700595A
Other languages
English (en)
Inventor
Tamiyuki Eguchi
民行 江口
Noriyoshi Ando
紀芳 安藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP1700595A priority Critical patent/JPH08126823A/ja
Publication of JPH08126823A publication Critical patent/JPH08126823A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • External Artificial Organs (AREA)
  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 限外ろ過、精密ろ過、逆浸透、ガス分離等に
使用される中空糸膜モジュールに関するもので、特に、
加熱冷却を繰り返すことによっても収納容器とポッティ
ング材との界面が剥離しないように接着強度を大きくす
ることによって、多方面での利用が可能であり、経済
性、安全性及び諸特性に優れた中空糸膜モジュール及び
その製造方法を提供する。 【構成】 中空糸膜4を合成樹脂製収納容器1とともに
その一端又は両端で熱硬化性樹脂からなるポッティング
材5で集束固定し、該収納容器の一端又は両端には流体
の通路などを形成する接続部材2、3が接続された、又
は接続されていない中空糸膜モジュールにおいて、前記
収納容器のポッティング材との接着面10を予め臨界表
面張力が40dyn/cm以上になるようにコロナ放電
処理してなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、限外ろ過、精密ろ過、
逆浸透、ガス分離等に使用される中空糸膜モジュールに
関するもので、特に、加熱冷却を繰り返すことによって
も収納容器とポッティング材との界面が剥離しないよう
に接着強度を大きくすることによって、多方面での利用
が可能であり、経済性、安全性及び諸特性に優れた中空
糸膜モジュール及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】中空糸膜が収納容器とともにエポキシ樹
脂あるいはウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂によりその一
端若しくは両端でポッティングされ、その一端若しくは
両端に流体の通路などを形成する接続部材が接続された
中空糸膜モジュールは多数知られている。これらの収納
容器及び接続部材(以下ケース材料という)にはポリ塩
化ビニル、アクリルニトリル/スチレン共重合体樹脂
(AS樹脂)、ポリカーボネート、ポリスルホン、繊維
強化樹脂(FRP)等、ポッティング用熱硬化性樹脂と
の接着性が比較的良いプラスチック材料が使用されてい
る。
【0003】このような構造の中空糸膜モジュールに温
度の異なる流体を急激に供給するとポッティング部分で
は半径方向に急速に温度分布が生じ、温度勾配の大きい
ところでは大きな内部応力が発生する。この応力が引っ
張り方向のときにはポッティング材が収納容器から剥離
して漏れの原因になることがある。これを防止するため
に従来では収納容器の内面に溝や突起を設け、接着面積
を大きくしたり、アンカー効果を持たせて接着力を物理
的に補っている。前記の接着力を物理的に補う方法にお
いても加熱冷却を繰り返すことにより大きな剥離は生じ
なくても漏れが認めうる微小な剥離はしばしば発生して
いる。また、いわゆるプライマーを使用して接着力を補
う方法もあるが、プライマーから有害な成分が溶出する
おそれがある。
【0004】一方、ポリプロピレンは中空糸膜モジュー
ルが利用される多くの分野おいても必要とされる耐熱
性、耐薬品性、機械的特性、安全性等の点で優れた材料
である。しかし、ポッティング用熱硬化性樹脂との接着
性が乏しいために未だにケース材料には使われていな
い。また、従来の中空糸膜モジュールではケース材料同
士の接続には、ポッティング材と同じ接着剤が使用され
たり、接着剤とねじや溶接が併用されているが、ポリプ
ロピレンは上記と同じ理由でケース材料に利用されてい
ない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ポリプロピレンが中空
糸膜のケース材料に使用されていない理由は、上記のよ
うにポッティング材である熱硬化性樹脂との接着性が乏
しいことと、ケース材料同士の接続が困難であることに
よる。従って、これらの問題を解決すればきわめて優れ
たケース材料として利用することができる。
【0006】接着剤と被接着物の表面エネルギーが等し
いときに接着力が強くなることは、良く知られている。
中空糸膜のポッティング材には通常エポキシ樹脂若しく
はウレタン樹脂が使用されるが、これらの熱硬化性樹脂
は液状の主剤と硬化剤の混合液を硬化させたものであ
り、エポキシ樹脂の場合にはポリアミン、ウレタン樹脂
の場合にはポリオールを硬化剤として使用するためにこ
れらの混合液は比較的大きい表面エネルギーを有する。
従って、ポリプロピレンのように表面エネルギーの小さ
い材料には強い接着力を持たず、またポッティング材と
比較的接着性が良いとされている他のケース材料でも、
加熱冷却を繰り返して使用する場合には、接着力が不足
するのである。
【0007】また、ポリプロピレンのように表面エネル
ギーの小さい材料でもコロナ放電処理や火炎処理すると
表面エネルギーは大きくなり、接着性が向上することも
良く知られている。従って、ポリプロピレンでもこのよ
うな処理をして適度な表面エネルギーを持たせれば中空
糸膜モジュールのポッティング材に対して強い接着力を
持たせることは可能である。しかし、このような技術を
実際に中空糸膜モジュールの製造に応用されたことはな
く、この場合の効果は不明である。
【0008】そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決
しようとするところは、予め収納容器のポッティング材
との接着面をコロナ放電処理によって化学的に接着力を
向上させて、収納容器とポッティング材とが前記の応力
に負けない接着力を持つ中空糸膜モジュールを提供する
ものである。加えて、中空糸膜モジュールのケース材料
として必要とされる耐熱性、耐薬品性、機械的特性や安
全性及び経済性等の点で優れたポリプロピレンを用い、
ケース材料とポッティング用熱硬化性樹脂との接着性及
びケース材料同士の接続性を改善することによって、正
に理想的な中空糸膜モジュールを提供する点にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、コロナ放電
処理によって熱硬化性樹脂からなるポッティング材との
接着面の表面エネルギーを変えた合成樹脂製収納容器を
用いて中空糸膜モジュールを作成し、後述する評価を行
った結果、臨界表面張力(接触角が0になる液体の表面
張力)を40dyn/cm以上、好ましくは60dyn
/cm以上にすれば、ケース材料としてポリプロピレン
製等のポッティング材との接着性に劣る材料を用いた場
合でも従来の中空糸膜モジュールに比べて同等以上の性
能が得られることを見いだした。
【0010】そして、このように合成樹脂製収納容器の
ポッティング材との接着面の表面エネルギーを変えるこ
とによって、従来からポッティング材として使用されて
いるエポキシ樹脂やウレタン樹脂との接着性の改善を図
ることができた。更に、収納容器とポッティング材との
接着強度を補うため、収納容器の内周面であって、ポッ
ティング材との接着面に溝又はクサビ状の突起を設ける
ことが好ましい。
【0011】一方、ポリプロピレン製のケース材料同士
(収納容器と接続部材)は超音波融着で接続するが、当
業者にはよく知られているようにポリプロピレンのよう
に比較的柔軟な材料を超音波融着することは容易でな
く、超音波エネルギーを収納容器と接続部材との融着面
に集中的に伝達するためには特別な工夫が必要である。
本発明者は、接続材料の構造と超音波エネルギーの諸条
件を細かく検討し、融着面と超音波エネルギーの伝達部
材(ホーン)の接触面との間の距離が20mm未満、よ
り好ましくは10mm未満であることが、ケース材料同
士を緊密に融着するためには必須であることを見いだし
た。
【0012】
【作用】以上の如き内容からなる本発明の中空糸膜モジ
ュールは、中空糸膜を合成樹脂製収納容器に熱硬化性樹
脂からなるポッティング材で集束固定するために、ポッ
ティング材を接着する当該収納容器の接着面を、予め臨
界表面張力が40dyn/cm以上、好ましくは60d
yn/cm以上になるようにコロナ放電処理して、収納
容器の接着面の表面エネルギーを大きくし、表面エネル
ギーが大きいポッティング材、例えばエポキシ樹脂やウ
レタン樹脂との接着性を大幅に改善するのである。それ
により、前記収納容器がポッティング材に対して比較的
接着性に優れた材料で作製された場合は勿論、ポッティ
ング材に対して接着性に乏しいポリプロピレン製で作製
された場合にも、収納容器とポッティング材とが強力に
接着し、加熱冷却を多数回繰り返してもポッティング材
と中空糸膜の収納容器との間で剥離が発生しないのであ
る。更に、収納容器のポッティング材との接着面に接着
強度を補うための溝又はクサビ状の突起を設ければ、収
納容器とポッティング材とが構造的に絡み合い、クサビ
効果によって大きな接着強度が得られる。
【0013】一方、収納容器とその端部に接続する接続
部材の融着面同士を接合した状態で超音波融着する場合
に、該融着面と、接続部材と超音波エネルギー伝達部材
との接触面の間の距離を20mm未満に設定すると、超
音波エネルギーが前記融着面に集中的に伝達し、融着に
よって強固な接続が可能となり、その距離が10mm未
満であると融着面に超音波エネルギーがより集中するの
で、収納容器と接続部材を共に超音波融着に適しないポ
リプロピレン製で成形した場合にも、互いに強固に超音
波融着することができる。
【0014】
【実施例】本発明に使用する中空糸膜はとくに限定され
るものではなく、公知の逆浸透膜、限外ろ過膜、精密ろ
過膜、ガス分離膜、医療用膜等いずれの中空糸膜も使用
可能である。ポッティング材には通常エポキシ樹脂もし
くはウレタン樹脂のような熱硬化性樹脂が使用される。
これらはいわゆる液状の主剤と硬化剤の混合液を、中空
糸膜とその収納容器を装着したモールドに、浸漬あるい
は遠心注型によって注入したのち硬化させて用いられ
る。エポキシ樹脂の硬化剤は反応基として2〜3級アミ
ンあるいはカルボン酸無水物を持ち、これらが主剤のエ
ポキシ基と反応して硬化物になる。ウレタン樹脂の硬化
剤は反応基として水酸基あるいはアミノ基を持ち、これ
らが主剤のイソシアネートと反応して硬化物になる。
【0015】従って、中空糸膜の収納容器表面のポリマ
ーにこれらの反応基が存在すると主剤と化学的にも結合
して強力な接着力がえられる。合成樹脂の表面をコロナ
放電処理すると空気中の、主に酸素が様々な分子形態で
導入されることが知られており、これらの中で前記の主
剤と反応するものも存在することが推定される。
【0016】図1はコロナ放電処理前の、図2はコロナ
放電処理後のポリ塩化ビニルのX線光電子分光法による
表面分析である。コロナ放電処理後のポリ塩化ビニルの
表面分子には酸素元素の多量の増加が認められる。ま
た、図3及び図4はコロナ放電処理前後のポリプロピレ
ンの表面分析である。ポリ塩化ビニルと同様に処理前に
はほとんど存在しなかった酸素元素の大量の増加が認め
られる。同様な変化は、ポリエチレン、ポリカーボネー
ト、塩素化ポリ塩化ビニル、ポリスルホン、ポリフッ化
ビニリデン、アクリロニトリル/スチレン共重合体など
にも認められ、合成樹脂一般に生じる変化と考えられ
る。
【0017】一方、従来からよく知られているように接
着物の表面エネルギーが互いにほぼ等しいときに最大の
物理的接着強度がえられる。前記のポッティング材は極
性の大きい官能基を持ち、表面エネルギーが比較的大き
いものであるが、合成樹脂からなる中空糸膜の収納容器
の表面をコロナ放電処理すると表面エネルギーが大きく
なり、物理的接着力も向上する。コロナ放電処理によっ
て表面エネルギーが大きくなることはその臨界表面張力
(接触角が0になる液体の表面張力)によって確認する
ことができる。
【0018】中空糸膜モジュールの製造に使用されるエ
ポキシ樹脂、ウレタン樹脂の場合、中空糸膜の収納容器
との接着力はその臨界表面張力がおよそ40dyn/c
m以上のとき、さらに好ましくは60dyn/cm以上
のときに強力になる。前記のようにコロナ放電処理によ
って表面エネルギーが大きくなるだけでなく、ポッティ
ング材と化学的に反応する官能基も導入されるために物
理的効果と化学的効果が重なって、一層強力な接着力が
生じると考えられる。この場合の接着強度はポッティン
グ材自身の破壊強度を上回ることもある。
【0019】図5は収納容器1の接着面10をコロナ放
電処理するための装置の一部を示す。図5(a)に示し
たリング状電極11の直径は中空糸膜の収納容器1の内
径よりも数mm小さい。収納容器1が任意に設定できる
速度で上下してリング状電極11に出入りする間に任意
に設定できる出力で接着面10がコロナ放電処理され
る。電極は図5(b)のような直線状でもよいが、この
場合には収納容器1を直線状電極12のまわりに回転さ
せ、接着面10を直線状電極12に沿って移動させる。
コロナ放電処理した表面の表面エネルギーの変化は市販
のぬれ指数標準液により臨界表面張力を測定することに
よって評価される。
【0020】本発明のモジュールが、加熱冷却を繰り返
してもポッティング材と収納容器との間で剥離を生じな
いことは、実際に加熱と冷却を繰り返したのちJIS−
K−3833に類似した方法で、加圧空気の拡散流量を
測定することによって確認できる。
【0021】(実施例1)両端から約50mmのところ
にろ過液出口を有する、内径が約77mm、長さが約1
mのポリ塩化ビニルパイプ(収納容器)の両端の内面
を、先端から約20mm、臨界表面張力が70dyn/
cmとなるように、直径が約73mmのリング状電極を
使用し、周波数約30KHz、出力0.3KWで、図5
(a)の装置を用いてコロナ放電処理した。このパイプ
の中に内、外径が0.8、1.2mmの分画分子量が約
20000のポリスルホン製中空糸限外ろ過膜を250
0本入れ、NCO含量が15重量%のポリオール変性
4、4−ジフェニルメタンジイソシアネートとOH価が
850mg−KOH/gのトリメチロールプロパン系ポ
リエーテルポリオールとの混合液からなるポッティング
材を用いて遠心注型によってポッティング部分の厚さが
前記のコロナ放電処理した長さ以下になるようにポッテ
ィングしたのち、パイプの先端でポッティング部分を切
断して中空糸を開口させた。次いで両端にろ過原液の出
入口となるポリ塩化ビニル製のソケットを水道用ポリ塩
化ビニルパイプ接続用接着剤で接着して接続した。
【0022】このモジュールのろ過原液側に約60℃の
熱水と約20℃の水を約60L(リットル)/分で1時
間づつ交互に流した。この加熱冷却を50回繰り返して
もポッティング材とポリ塩化ビニルパイプとの間に剥離
は発生しなかった。
【0023】(比較例1)コロナ放電処理をしなかった
ポリ塩化ビニルパイプを使用したほか、実施例1と同様
にしてモジュールを作成し、実施例1と同様にして加熱
冷却試験をしたところ1回で剥離が生じた。
【0024】(実施例2)ポリカーボネート製のパイプ
を使用したほか、実施例1と同様にしてモジュールを作
成した。ただし、ろ過原液の出入口となるポリカーボネ
ート製のソケットは溶接して接続した。このモジュール
に60℃ではなく90℃の熱水を流した以外、実施例1
と同様にして加熱冷却を50回繰り返したが、剥離は発
生しなかった。
【0025】(比較例2)コロナ放電処理をしなかった
パイプを使用したほか、実施例2と同様にしてモジュー
ルを作成し、実施例2と同様にして加熱冷却試験をした
ところ、4回目に剥離が発生した。
【0026】(実施例3)ポリスルホン製のパイプを使
用したほか、実施例1と同様にしてモジュールを作成し
た。ただし、ろ過原液の出入口となるポリスルホン製の
ソケットはポリスルホンの塩化メチレン溶液で接着して
接続した。このモジュールは、実施例2と同様にして加
熱冷却を50回繰り返しても剥離が発生しなかった。
【0027】(比較例3)コロナ放電処理をしなかった
パイプを使用したほか、実施例3と同様にしてモジュー
ルを作成し、実施例2と同様にして加熱冷却を繰り返し
たところ、3回目に剥離が発生した。
【0028】(実施例4)内径が約60mm、長さが2
2cmのポリプロピレン製のパイプの一端の内面を先端
から約15mm、臨界表面張力が70dyn/cmとな
るようにコロナ放電処理した。このパイプの中にループ
状に折り返した内、外径が0.5、0.8mmの平均孔
径が約0.2ミクロンのポリスルホン製中空糸精密ろ過
膜を1700本入れ、コロナ放電処理をした端部で実施
例1と同じポッティング材を用いて集束固定したのち、
パイプの先端でポッティング部分を切断して中空糸を開
口させた。このモジュールは、121℃、1時間のオー
トクレーブと20℃の水に30分間浸す加熱冷却を10
回繰り返しても剥離が生じなかった。
【0029】(比較例4)コロナ放電処理をしなかった
パイプを使用したほか、実施例4と同様にしてモジュー
ルを作成したが、ポッティング材の切断時に剥離が生じ
た。
【0030】(実施例5)ウレタン樹脂の代わりに脂環
式多価アミンに末端がアミノ化されたアクリロニトリル
−ブタジエン共重合体オリゴマーを柔軟性付与剤として
加えた硬化剤を用いたビスフェノールA系エポキシ樹脂
を用いたほか、実施例2と同様にしてモジュールを作成
した。このモジュールは、実施例2と同様にして加熱冷
却を50回繰り返しても剥離が発生しなかった。
【0031】(比較例5)コロナ放電処理をしなかった
パイプを使用したほか、実施例5と同様にしてモジュー
ルを作成した。このモジュールは一回の加熱冷却で剥離
が発生した。
【0032】次に、本発明の他の実施例を図6に示した
中空糸精密ろ過膜モジュールを例に具体的に説明する。
【0033】図6は、全長が約25cm、外径が約70
mmのいわゆるカートリッジ型の精密ろ過フィルターで
ある。このカートリッジ型フィルターは、円筒状の収納
容器1と、それに接続する接続部材としてのヘッダー2
及びボトム3からなり、収納容器1、ヘッダー2及びボ
トム3は、ポリプロピレン製であり、ヘッダー2とボト
ム3は超音波融着で収納容器1と接続されている。前記
収納容器1の内部に装填する中空糸膜4は、多数本を中
央部でU字状に折り返して形成し、先端を収納容器1と
ともに熱硬化性樹脂でポッティングされている。このポ
ッティング材5と接する収納容器1の端部内周部分には
接着力を補うためにクサビリング6が形成されている。
尚、本実施例の前記クサビリング6は、上下にテーパー
面を有するように内縁が拡開した形状のものである。
【0034】超音波エネルギーの伝達部材(ホーン)7
は、ヘッダー2については超音波融着部8の上方に形成
した平坦な接触面9でヘッダー2と接触してそのエネル
ギーを伝達する。ボトム3については同様に超音波融着
部8の下方に形成した平坦な接触面9で接触してエネル
ギーを伝達する。
【0035】図7(a)はクサビリング6の表面を含め
て収納容器1のポッティング材5との接着面10をコロ
ナ放電処理するための装置の一部を示す。前記同様にリ
ング状電極11の直径は、クサビリング6の内径よりも
約2mm小さく、収納容器1が上下してリング状電極1
1に出入りする間に接着面10がコロナ放電処理され
る。また、前記同様に電極は図7(b)のように直線状
電極12でも良く、収納容器1を直線状電極12のまわ
りで回転させ、接着面10を直線状電極12に沿って移
動させてコロナ放電処理される。
【0036】予めポッティング材5との接着面10が図
7の装置でコロナ放電処理した収納容器1に、中空糸膜
4を入れ、遠心注型でエポキシ樹脂又はウレタン樹脂か
らなるポッティング材5を注入し、収納容器1とともに
ポッティングしたのち図6の位置でポッティング材5を
切断して中空糸膜4の端部を開口する。前記ポッティン
グ材5の接着面10の臨界表面張力が40dyn/cm
以上、さらに好ましくは60dyn/cm以上になるよ
うにコロナ放電処理すると、ポッティング材5との接着
強度は、前記の従来使用されているケース材料と同等以
上になる。
【0037】ポリプロピレン同士は、通常接着面を約3
00℃で数秒間加熱して溶かし、熱溶着で接続される
が、中空糸膜モジュールでは接着部分がポッティング部
分の近傍にあるために短時間とはいえこのような高い温
度で加熱されるとポッティング材5と収納容器1との接
着力が低下してこれらの間に剥離が生じるおそれがあ
る。
【0038】本実施例では何れもポリプロピレン製から
なる収納容器1とヘッダー2及びボトム3とを超音波エ
ネルギーを利用して融着する。図8は融着前のヘッダー
2を示すが、ヘッダーの融着面13には超音波エネルギ
ーを集中させる突起14がある。前記ボトム3にも同様
な突起がある。この突起14の底辺は融着面13の幅の
1/3〜1/5が好ましく、高さは0.3〜1.0mm
が好ましい。これらの寸法が大きすぎると突起14を溶
融するために過大な超音波エネルギーが必要になり、中
空糸膜4を損傷することがある。逆に、小さすぎると全
面が融着しないために接着強度が小さかったり、漏れの
原因になることがある。
【0039】前記ホーン7の接触面9と融着面13の間
の距離は、20mm未満、更に好ましくは10mm未満
がよい。ポリプロピレンは比較的柔軟な材料であるため
に超音波エネルギーが材料自身に吸収され易く、この距
離が長いと過大な超音波エネルギーが必要になり、中空
糸膜4を損傷したり、ホーン7との接触面9が傷つくこ
とがある。この距離は小さい方がよいがヘッダー2自身
の強度上から通常4mm以上は必要である。
【0040】超音波融着設備は限定されないが、ポリプ
ロピレンに効果的に融着エネルギーを伝達するために
は、周波数は20KHz程度が好ましい。また、超音波
エネルギーの伝達条件については、ホーン7の加圧力を
大きくするよりも、超音波エネルギーの伝達効率が比較
的よくないので融着時間を長くする方が好ましい。
【0041】図6に示したモジュールでは、ポッティン
グ材5と、ケース材料である収納容器1との接着強度を
補うためにクサビ状のリング(クサビリング6)が使用
されているが、収納容器1の内周面に環状溝を設けた
り、表面を機械的に荒らしてもよい。
【0042】また、ポッティング材5に使用する熱硬化
性樹脂は、エポキシ樹脂又はウレタン樹脂が好ましい。
これらの樹脂とケース材料(収納容器1)との接着強度
を最大にする最適なコロナ放電処理条件はそれぞれ異な
るが、通常、臨界表面張力が40dyn/cm以上、更
に好ましくは60dyn/cm以上であることは前述の
通りである。
【0043】このように製造した中空糸膜モジュール
は、ろ過装置を構成する外筒内に装着され、収納容器1
の周囲及びボトム3に形成した導入孔15から原液を内
部に導入し、中空糸膜4を通過してろ過された処理液
は、中空糸膜4の端部からポッティング材5とヘッダー
2とで形成される空間を通り、ヘッダー2に設けられた
流通路16を通って外部に排出されるのである。ここ
で、前記ポッティング材5は、原液と処理液とを分離す
るため、収納容器1に完全に密封されていなければなら
ない。従って、繰り返して熱履歴を受けた場合や接着不
良によってポッティング材5が収納容器1から剥離する
と、ろ過機能が完全に損なわれるので、この接着強度を
高めることはきわめて重要なことである。
【0044】本発明の効果を図6の中空糸膜モジュール
を用いて具体的に説明するが、本発明が図6のモジュー
ルに限定されることなく前記の種々の中空糸膜モジュー
ルに利用できることは容易に想像できる。図6に示した
モジュールを用いて121℃、60分間のオートクレー
ブと、約20℃の水で冷却するヒートサイクル操作を1
0回以上繰り返してヒートサイクルの前後の空気の拡散
流量をJIS−K3833の方法で測定した。従来のモ
ジュールでもこの試験で漏れの発生しないものは希であ
る。
【0045】(実施例6)コロナ放電によってポッティ
ング材5と接触する部分(接着面10)の臨界表面張力
を70dyn/cmにしたポリプロピレン製収納容器
に、孔径0.2μmで、内径500μm、外径800μ
mのポリスルホン中空糸精密ろ過膜を3400本入れ、
NCO含量が15重量%のポリオール変性4,4−ジフ
ェニルメタンジイソシアネートとOH価が850mg−
KOH/gのトリメチロールプロパン系ポリエーテルポ
リオールとの混合液からなるポッティング剤を用いて遠
心注型によってポッティングした後、ポッティング部分
を切断して中空糸膜を開口させた。次いで、ホーン7の
接触面9と融着面13の間の距離が8mm、融着面の幅
が3mm、突起14の底辺が0.6mm、高さが0.5
mmであるヘッダー2とボトム3を周波数20KHz、
加圧力18ポンド/平方インチ(124110Pa)、
融着時間0.8秒で収納容器に融着した。このモジュー
ルはヒートサイクル試験の前後で空気の拡散流量が変わ
らず、漏れは発生しなかった。
【0046】(実施例7)ウレタン樹脂のかわりに、脂
環式多価アミンに末端がアミノ化されたアクリロニトリ
ル−ブタジエン共重合体オリゴマーを柔軟性付与剤とし
て加えた硬化剤を用いたビスフェノールA系エポキシ樹
脂を用いて実施例6と同様にして中空糸膜モジュールを
作成した。このモジュールもヒートサイクル試験で漏れ
は発生しなかった。
【0047】(比較例6)臨界表面張力が30dyn/
cm以下の無処理のポリプロピレン製収納容器を使用し
た以外は実施例6と同様にしてモジュールを作成した。
このモジュールは1回のヒートサイクルで漏れが発生し
た。
【0048】
【発明の効果】本発明の中空糸膜モジュールは、コロナ
放電処理という簡単な方法であらかじめ中空糸膜の収納
容器を処理することによって製造されるにもかかわら
ず、加熱冷却を繰り返してもポッティング材と収納容器
との剥離が発生せず、多方面の用途に使用できる。ま
た、ケース材料がポリプロピレンである場合には、経済
性に優れているだけでなく、耐熱性、耐薬品性、安全
性、堅牢性等中空糸膜モジュールが使用される多くの分
野で必要とされる特性においても従来のものよりも優れ
ている。
【図面の簡単な説明】
【図1】コロナ放電処理前のポリ塩化ビニル表面のX線
光電子分光法によるワイドスペクトルである。
【図2】コロナ放電処理後のポリ塩化ビニル表面のX線
光電子分光法によるワイドスペクトルである。
【図3】コロナ放電処理前のポリプロピレン表面のX線
光電子分光法によるワイドスペクトルである。
【図4】コロナ放電処理後のポリプロピレン表面のX線
光電子分光法によるワイドスペクトルである。
【図5】収納容器のポッティング材との接着面をコロナ
放電処理するための装置の一部を示した部分断面図であ
り、(a)はリング状の電極を使用した場合を、(b)
は直線状の電極を使用した場合を示す。
【図6】本発明の一実施態様例である中空糸精密ろ過モ
ジュールと、超音波エネルギーの伝達部材であるホーン
との関係を一部破断して示した側面図である。
【図7】収納容器の接着面に設けたクサビリングの内周
面をコロナ放電処理するための装置の一部を示した部分
断面図であり、(a)はリング状の電極を使用した場合
を、(b)は直線状の電極を使用した場合を示す。
【図8】超音波融着前のヘッダーを示す断面図である。
【符号の説明】
1 収納容器 2 ヘッダー(接続部材) 3 ボトム(接続部材) 4 中空糸膜 5 ポッティング材 6 クサビリング 7 ホーン(超音波エネルギー伝達部材) 8 融着部 9 接触面 10 接着面 11 リング状電極 12 直線状電極 13 融着面 14 突起 15 導入孔 16 流通路

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中空糸膜を合成樹脂製収納容器とともに
    その一端又は両端で熱硬化性樹脂からなるポッティング
    材で集束固定し、該収納容器の一端又は両端には流体の
    通路などを形成する接続部材が接続された、又は接続さ
    れていない中空糸膜モジュールにおいて、前記収納容器
    のポッティング材との接着面を予め臨界表面張力が40
    dyn/cm以上になるようにコロナ放電処理したこと
    を特徴とする中空糸膜モジュール。
  2. 【請求項2】 前記収納容器のポッティング材との接着
    面の臨界表面張力が60dyn/cm以上である請求項
    1記載の中空糸膜モジュール。
  3. 【請求項3】 前記収納容器が、ポリ塩化ビニル製又は
    ポリプロピレン製である請求項1又は2記載の中空糸膜
    モジュール。
  4. 【請求項4】 前記ポッティング材が、エポキシ樹脂又
    はウレタン樹脂である請求項1、2又は3記載の中空糸
    膜モジュール。
  5. 【請求項5】 前記収納容器のポッティング材との接着
    面に接着強度を補うための溝又はクサビ状の突起を有す
    る請求項1、2、3又は4記載の中空糸膜モジュール。
  6. 【請求項6】 前記接続部材がポリプロピレン製であ
    り、前記収納容器と接続部材との融着面と、接続部材と
    超音波エネルギー伝達部材との接触面の間の距離が20
    mm未満であり、接続部材が超音波融着で収納容器に接
    続されている請求項1記載の中空糸膜モジュール。
  7. 【請求項7】 前記融着面と超音波エネルギー伝達部材
    との接触面の間の距離が10mm未満である請求項6記
    載の中空糸膜モジュール。
  8. 【請求項8】 中空糸膜を合成樹脂製収納容器とともに
    その一端又は両端で熱硬化性樹脂からなるポッティング
    材で集束固定した中空糸膜モジュールの製造方法におい
    て、前記収納容器のポッティング材との接着面を予め臨
    界表面張力が40dyn/cm以上になるようにコロナ
    放電処理し、該収納容器内に配した中空糸膜束の集束部
    を前記ポッティング材で遠心注型によってポッティング
    部分の厚さがコロナ放電処理した長さ以下になるように
    ポッティングした後、収納容器の先端でポッティング部
    分を切断して中空糸膜を開口させてなることを特徴とす
    る中空糸膜モジュールの製造方法。
  9. 【請求項9】 前記収納容器のポッティング材との接着
    面の臨界表面張力が60dyn/cm以上である請求項
    8記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
JP1700595A 1994-09-09 1995-02-03 中空糸膜モジュール及びその製造方法 Pending JPH08126823A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1700595A JPH08126823A (ja) 1994-09-09 1995-02-03 中空糸膜モジュール及びその製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6-216349 1994-09-09
JP21634994 1994-09-09
JP1700595A JPH08126823A (ja) 1994-09-09 1995-02-03 中空糸膜モジュール及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08126823A true JPH08126823A (ja) 1996-05-21

Family

ID=26353459

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP1700595A Pending JPH08126823A (ja) 1994-09-09 1995-02-03 中空糸膜モジュール及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08126823A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007075790A (ja) * 2005-09-16 2007-03-29 Gs Yuasa Corporation:Kk 管状ろ過膜群およびこれを用いたろ過膜モジュール
JP2008104843A (ja) * 2006-09-26 2008-05-08 Toray Ind Inc 円筒形状の蓋材およびこれを用いたモジュール
JP2016190235A (ja) * 2011-04-19 2016-11-10 ポール・コーポレーションPall Corporation 液体処理装置および液体処理装置を製造する方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007075790A (ja) * 2005-09-16 2007-03-29 Gs Yuasa Corporation:Kk 管状ろ過膜群およびこれを用いたろ過膜モジュール
JP2008104843A (ja) * 2006-09-26 2008-05-08 Toray Ind Inc 円筒形状の蓋材およびこれを用いたモジュール
JP2016190235A (ja) * 2011-04-19 2016-11-10 ポール・コーポレーションPall Corporation 液体処理装置および液体処理装置を製造する方法
US9776139B2 (en) 2011-04-19 2017-10-03 Pall Corporation Fluid treatment arrangements and methods of making fluid treatment arrangements

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0640006B1 (en) Spiral wound membrane element
JP4723536B2 (ja) 膜接触器
EP1850949B1 (en) Hollow fiber module
SG186604A1 (en) Separation membrane elements, separation membrane module, and process for producing separation membrane element
EP2832423A1 (en) Hollow fiber membrane module
EP0803281B1 (en) Filter element
JP2000342932A (ja) 分離膜のポッティング方法
JP3115624B2 (ja) 中空糸型膜モジュールおよびその製造方法
EP3437722A1 (en) Hollow fiber membrane module and method for manufacturing same
JPWO2017171015A1 (ja) 中空糸膜モジュール及び中空糸膜モジュールの製造方法
JPH08229359A (ja) 中空糸膜型ろ過モジュールの製造方法
JPH08126823A (ja) 中空糸膜モジュール及びその製造方法
JP2007175566A (ja) 中空糸膜モジュール
JPH11319505A (ja) 中空糸膜モジュールの製造方法
JP2000317275A (ja) 中空糸膜モジュールの製造方法
EP4052780A1 (en) Filter module case
JP3070997B2 (ja) 膜分離モジュールおよびその製造方法
JP3641662B2 (ja) 中空糸膜型分離エレメント
JPH09206564A (ja) 中空糸膜モジュール及びその製造方法
JP3070998B2 (ja) 中空糸型膜分離モジュールの製造方法および中空糸型膜分離モジュール
JP7337955B2 (ja) 中空糸膜モジュールおよび製造方法
JPH09253631A (ja) 水処理装置
JPH10341A (ja) スパイラル型膜エレメントおよびその製造方法
JPH1099657A (ja) 中空糸型分離膜モジュール
JPH0368427A (ja) 流体分離モジュール及びその製造法