JPH08121969A - 加熱炉 - Google Patents

加熱炉

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JPH08121969A
JPH08121969A JP26270794A JP26270794A JPH08121969A JP H08121969 A JPH08121969 A JP H08121969A JP 26270794 A JP26270794 A JP 26270794A JP 26270794 A JP26270794 A JP 26270794A JP H08121969 A JPH08121969 A JP H08121969A
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JP
Japan
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muffle
outer cylinder
outer peripheral
peripheral surface
furnace
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JP26270794A
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English (en)
Inventor
Seiji Tanaka
清次 田中
Shunei Sekido
俊英 関戸
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】黒鉛から成るマッフル1表面からの蒸発、減耗
とマッフル内部への気体透過量とを極力抑制すると共
に、抵抗発熱体2からマッフル外周面への輻射熱の照射
効率向上と加熱炉炉外への不活性ガスGの洩れを極力防
止することにより、加熱炉の消費電力量を少なくし、高
温下での大幅な寿命延長を図ることのできるタンマン炉
型式の加熱炉を提供する。 【構成】外筒3の内外周面に融点が2800℃以上で、
かつ、その熱膨張係数が外筒と同等以上2.0倍以下の
高融点材料から成る被覆層4a、4bを形成し、炉殼5
とマッフル1との間に不活性ガスGを流入させ、マッフ
ル外周面を1kg/cm2 ・G以上5kg/cm2 ・G以下の範
囲内に加圧する加圧手段を設けた加熱炉とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば、炭素繊維等の
被加熱処理物に対する加熱温度が2500℃以上である
高温焼成用タンマン炉型式の加熱炉の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、炭素繊維等の炭素材料やセラミッ
クス系材料等の各種工業用素材の焼成に用いられる高温
加熱炉として、抵抗炉、誘導炉、アーク炉、プラズマ炉
等の数多くの加熱炉が用いられているが、特に黒鉛を抵
抗発熱体とする抵抗炉であるタンマン炉型式の加熱炉
(以下、タンマン式加熱炉という。)は、その加熱手段
の構成が比較的簡単であるため、上記工業用素材の熱処
理用として広く使用されている。
【0003】このタンマン式加熱炉を用いて2000℃
以上の高温加熱を行うには、黒鉛から成る円筒状の抵抗
発熱体に電流を通じ、発生するジュール熱により抵抗発
熱体内部に静置または連続的に通過する被加熱処理物を
加熱、焼成するのであるが、この加熱処理は、通常、窒
素やアルゴン等の不活性ガス中あるいは減圧、真空下で
行なわれる。
【0004】しかし、この黒鉛から成る抵抗発熱体は、
金属材料やセラミックス系材料の抵抗発熱体では実用に
供し得ない2000〜3000℃の高温領域において
も、溶融、分解等を起こさないので、抵抗発熱体として
十分その機能を発揮し、かつ比較的安価な材料ではある
が、前述の高温下で長時間使用すると徐々に減耗、劣化
するので、継続使用が困難となる欠点があった(例え
ば、特開昭58−138981号公報、特開昭59−1
54788号公報)。
【0005】すなわち、抵抗発熱体の減耗、劣化により
肉厚が薄くなると、その部分の電気抵抗が局部的に高く
なって加速度的に減耗が進行し、さらには発熱密度の変
化に伴なう炉内の温度分布の変化をきたすため、焼成し
た製品の品質安定に対する阻害要因となる。したがっ
て、抵抗発熱体は、経時的に新規なものと交換する必要
がある。抵抗発熱体の交換作業は、安全上、炉を冷却し
た後に行なう必要があるが、特に大型の加熱炉において
は、冷却−解体−組立−再加熱といった一連の作業に多
大の時間、労力を必要とし、抵抗発熱体交換周期が短く
なるほど単に抵抗発熱体の材料費のみでなく、生産性を
著しく阻害し、かつ焼成コストの増大をもたらすもので
あった。
【0006】そこで、本発明者らは、上記抵抗発熱体の
問題点、即ち抵抗発熱体表面からの黒鉛の蒸発、減耗を
抑制することにより、高温下での大幅な寿命延長を図る
ことのできるタンマン炉型式の加熱炉について鋭意検討
を行ない、特願平6−12779号で上記抵抗発熱体に
高融点材料から成る被覆層を形成し、被覆層の外周面を
1〜5kg/cm2 ・Gの範囲内に加圧する加熱炉、および
上記抵抗発熱体に代えて筒状のマッフルとこのマッフル
の外周面上に複数本の抵抗発熱体を設け、上記圧力範囲
内に加圧する加熱炉を提案した。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記提案の加
熱炉は、抵抗発熱体または前記抵抗発熱体に代えて筒状
のマッフルを高温下で寿命を延長する点ではかなりの改
善効果があるものの、抵抗発熱体またはマッフルと同芯
でこれらの外周面と距離を隔てて配設され、輻射熱を受
ける比較的薄肉の外筒の外周面が蒸発、減耗するため、
時として黒鉛材から成る外筒の寿命で加熱炉を停機せざ
るを得ないという問題があった。
【0008】本発明の目的は、上記問題点を解消し、黒
鉛から成るマッフル表面からの蒸発、減耗とマッフル内
部への気体透過量とを極力抑制すると共に、抵抗発熱体
からマッフル外周面への輻射熱の照射効率向上と加熱炉
炉外への不活性ガス洩れを極力防止することにより、加
熱炉の消費電力量を少なくし、高温下での大幅な寿命延
長を図ることのできるタンマン炉型式の加熱炉を提供す
ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る加熱炉は、
上記課題を解決するため、黒鉛材から成る筒状のマッフ
ルと、該マッフルの外周面に輻射熱を照射するため、前
記マッフルの長手方向に沿って複数本配設された抵抗発
熱体と、該抵抗発熱体を包囲し、前記マッフルと同芯で
その両端部が支持部材で支持された黒鉛材から成る外筒
と、前記マッフルの外周上の空間を密閉状態に包囲する
炉殼とを備えた加熱炉であって、(イ)前記外筒の内外
周面には、融点が2800℃以上で、かつ、その熱膨張
係数が前記外筒と同等以上2.0倍以下の高融点材料か
ら成る被覆層が形成され、(ロ)前記マッフルと前記炉
殼との間に不活性ガスを流入し、前記マッフル外周面を
1kg/cm2 ・G以上5kg/cm2 ・G以下の範囲内に加圧
する加圧手段が設けられ、(ハ)前記マッフルと前記炉
殼との間には、前記不活性ガスの炉外への洩れを防止す
るシール手段が設けられていることを特徴とする。
【0010】すなわち、本発明の特徴は、上記特願平6
−12779号で提案した加熱炉に対し、外筒の寿命と
輻射熱の照射効率を改善するために、黒鉛材から成る外
筒の内外周面を高融点材料で被覆したことを特徴とする
ものである。
【0011】ここで、前記被膜層としては、タングステ
ン(W)、タンタル(Ta)、ハフニウムカーバイド
(HfC)、タンタルカーバイド(TaC)、ニオブカ
ーバイド(NbC)、ジルコニウムカーバイド(Zr
C)、チタンカーバイド(TiC)、バナジウムカーバ
イド(VC)、シリサイドカーバイド(SiC)、窒化
ハフニウム(HfN)、窒化タンタル(TaN)、窒化
ジルコニウム(ZrN)、窒化チタン(TiN)、窒化
ホウ素(BN)、ホウ化ハフニウム(HfB2 )、ホウ
化タンタル(TaB2 )、ホウ化ニオブ(NbB2 )、
ホウ化タングステン(WB)、ホウ化チタン(Ti
2 )及びホウ化ジルコニウム(ZrB2 )の中から選
ばれた1種類以上の高融点材料から形成されているのが
好ましい。また、前記シール手段は、ゴムまたは金属か
ら成るOリングであるのが好ましい。さらに、前記加圧
手段は、不活性ガス供給源と、ガス供給量調整用自動弁
と、導入ノズルと、圧力調節計と、コントローラとで構
成するのが好ましい。
【0012】
【実施態様例】以下、本発明の加熱炉の一実施態様例を
図面に基づいて具体的に説明する。
【0013】図1は、本発明に係る加熱炉の一実施態様
例の概略縦断面図、図2は、図1の加熱炉をA−A′線
で切断した概略横断面図である。
【0014】図1において、1は、円筒状をした黒鉛製
のマッフルで、内部を図示しない引取装置で連続的に通
過する糸条Tに対して輻射熱を照射し、加熱するための
ものである。マッフル1自身は、発熱するものではな
く、マッフル1の外側に僅かに距離を隔てて設けられた
黒鉛材から成る抵抗発熱体2が図2に示すようにマッフ
ル軸と直交して複数本配設され、抵抗発熱体2の表面か
ら放射される輻射熱で前記マッフル1が加熱され、その
輻射熱で内部の糸条Tが加熱されるようになっている。
3は、マッフル1の外周面から距離を隔てて、かつ、長
手方向に複数個に分割されて設けられた黒鉛から成る外
筒であり、外筒3の内外周面には、それぞれ融点が28
00℃以上で、かつ、その熱膨張係数が外筒3と同等以
上2.0倍以下の高融点材料から成る被覆層4a、4b
が形成されている。この被膜層4a、4bは、タングス
テン(W)、タンタル(Ta)、ハフニウムカーバイド
(HfC)、タンタルカーバイド(TaC)、ニオブカ
ーバイド(NbC)、ジルコニウムカーバイド(Zr
C)、チタンカーバイド(TiC)、バナジウムカーバ
イド(VC)、シリサイドカーバイド(SiC)、窒化
ハフニウム(HfN)、窒化タンタル(TaN)、窒化
ジルコニウム(ZrN)、窒化チタン(TiN)、窒化
ホウ素(BN)、ホウ化ハフニウム(HfB2 )、ホウ
化タンタル(TaB2 )、ホウ化ニオブ(NbB2 )、
ホウ化タングステン(WB)、ホウ化チタン(Ti
2 )及びホウ化ジルコニウム(ZrB2 )の中から選
ばれた1種類以上の高融点材料から形成されているのが
好ましい。これら被覆層の多くは、その組織が黒鉛材か
ら成る外筒と異なり緻密であり、かつ、色彩が灰色を呈
しているものである。5は、鋼板製の炉殻であり、その
内部には保温材12が充填されている。すなわち、本実
施態様例の加熱炉は、内部を走行する糸条Tに対し、そ
れぞれ円筒断面のマッフル1、外筒3、炉殻5が同芯状
に配置されて三重菅構造となっており、輻射熱による発
熱を抑えるために中心部よりも断面積を大きくしたマッ
フル1両端部の径大部に固定された支持部材7が外筒3
と炉殻5とをマッフル1に対して同芯状に支持してお
り、マッフル1の外周面と外筒3の内周面との間には間
隙δ(外周空間)が形成されている。また、左右の支持
部材7には、後述する導入ノズル14から導入された不
活性ガスGが上記外周空間内に直ちに導入され、かつ、
比較的薄肉の外筒3の内外周面間に圧力差が生じないよ
うにするため、ガス導入孔11が設けてある。また、外
筒3の外周面側の被覆層4aと炉殻5の内周面との間隙
部には、抵抗発熱体2を保温するための通気性を有する
断熱材12が充填され、抵抗発熱体2から放射される輻
射熱の一部が外筒3の内周面側の被覆層4bで反射せず
径方向へ逃げるのを極力防止している。この断熱材12
としては、黒鉛質の粉末または粒状物を充填したもの
や、他の軽量な断熱材、例えば黒鉛質のフェルト状物や
黒鉛質の成形材料を用いるのが好ましい。
【0015】そして、マッフル1両端部の径大部には、
更に筒状のホルダー6が螺合され、支持部材7の外壁面
とホルダー6の外周面間には、水冷溝8aと伸縮吸収部
8bとを有する水冷支持金具8がゴム又は金属等から成
る弾性体のOリング19(シール手段)を介してホルダ
ー6に挿入されて後、パッキン18を介して炉壁5側面
に図示しないボルトで固定されている。これらにより導
入ノズル14から導入された不活性ガスGが炉外へ漏洩
するのを防ぐ構造となっている。不活性ガスGとして
は、アルゴンガス、窒素ガスを用いることができる。な
お、上記ホルダー6の両開口部には、それぞれ封止材9
が装着され、封止材9の略中心部には糸条Tをマッフル
1内に導入・導出するための狭い内径を有する貫通孔1
0が形成されている。
【0016】このように構成された加熱炉に対し、被覆
層4a、4bは、予め外筒3の内外周面の異物等を除去
すると同時に、素材表面を粗面化して被覆材に対してア
ンカー効果をもたせるため、サンドブラスト加工を施し
た後に皮膜として形成させるのが好ましい。その表面粗
さは、JISB0601規定の中心線平均粗さ(Ra)
が3〜10μm、最大高さ(Rmax)が50μm以下
の範囲に加工するのが好ましい。上記皮膜形成は、例え
ば、空気雰囲気中または窒素やアルゴン等の不活性ガス
雰囲気中でプラズマ溶射によって、または30〜300
Torrの減圧下(不活性ガス雰囲気)での減圧溶射に
よって形成することができる。膜厚は、母材の素地が現
れにくく、内周面は、抵抗発熱体2の表面から放射され
る輻射熱を効率よく反射させるため、また外周面は黒鉛
の蒸発抑制効果を向上させるため、更には剥離やクラッ
クが生じるのを防止するため、膜厚20〜100μmの
範囲、より好ましくは50〜500μmの範囲にするの
がよい。なお、溶射に用いられる高融点金属粉末または
高融点化合物粉末の粒度は、特に限定されないが、10
0μm以下で通常溶射に用いられるものであればよい。
【0017】抵抗発熱体2は、図2に示すように、マッ
フル1を介して上下一対のものが外筒3と炉殻5とを貫
通した状態で固定されている。抵抗発熱体2は、その両
側が中心部よりも断面積が大きく形成されており、それ
ぞれの端子部2a、2bには絶縁スリーブ13が挿入さ
れ、外筒3や断熱材12には電源部20からの低電圧大
電流が流されない構造となっている。よって、端子部2
a、2bは、電源部20に接続され、この電源部20か
らの通電により抵抗発熱体2がジュール発熱し、断面積
の小さい(抵抗の大きい)中央部が約2500〜300
0℃の高温になるように構成されている。
【0018】一方、炉殻5の下方には、糸条T、マッフ
ル1、抵抗発熱体2、外筒3および断熱材12の酸化や
劣化を防止するため、図示しない不活性ガスGの供給源
と接続された不活性ガス導入ノズル14、ガス供給量調
整用自動弁15、圧力調節計ノズル16及び圧力の上限
値、下限値が任意設定できる圧力調整計17が設けられ
ており、コントローラ21からの指示により圧力調節計
17の圧力値すなわちマッフル外周面に対する圧力が常
に1kg/cm2 ・G以上5kg/cm2 ・G以下となるように
自動弁15の開度が自動調整できるようになっている。
【0019】マッフル1外周面に対する圧力をかかる圧
力範囲にする理由は、次の通りである。すなわち、一般
の物質の蒸発速度は、ステファンの法則による次の式
【数1】 より、拡散係数Dは、抵抗発熱体2の温度Tの1.5乗
に比例し、抵抗発熱体2に加わる圧力Pに反比例すると
いう法則に基づいている。本発明の目的であるマッフル
1、抵抗発熱体2および外筒3の寿命をより向上させる
には、温度Tは加熱温度として一定の制約を受けるた
め、圧力Pを上げることによって拡散係数Dを小さく、
すなわちマッフル1、抵抗発熱体2および外筒3の蒸発
速度を抑制するのであるが、かかる圧力が1kg/cm2
G未満ではその抑制効果が小さく、一方5kg/cm2 ・G
を越えるとマッフル1の予期せぬ劣化減耗の進行によ
り、運転中に万一マッフル1が破断した場合、封止材9
の貫通孔10から高温の不活性ガスが炉外に一気に吹出
す事故につながる恐れがある。したがって上記圧力範囲
が実用的に好ましい。本実施態様例では、これら不活性
ガス導入ノズル14、圧力調節計ノズル16、圧力調節
計17、ガス供給量調整用自動弁15及びコントローラ
21で加圧手段を構成している。
【0020】上記実施態様例において、外筒3は、その
内周面側に溶射加工を行うには内径が小さく溶射ガンが
挿入できないため、長手方向に複数個に分割した上、そ
の内周面側に被覆層4aを形成したが、被覆層4aの形
成手段が他にあればこの態様に限定されるものではな
い。また、外筒3は、被覆層4a、4bのみを被覆した
が、外周面側の被覆層4bの外側に更に炭素繊維糸条が
複数回捲回された炭素繊維糸条層を形成してもよく、更
にこの炭素繊維糸条層の外側にシート状黒鉛を複数回捲
回積層したシート状黒鉛層を形成してもよい。これらの
多くの被覆層を形成することは、外筒3の蒸発抑制と保
温の点からも好ましい。一方、マッフル1の外周面には
何ら被覆層処理が施されていないが、勿論被覆してもよ
く、被覆の外側に上記炭素繊維糸条層やシート状黒鉛層
を形成してもよく、このようにすると不活性ガスGの炉
外への漏洩量が減少するという効果がある。なお、上記
実施態様例において、抵抗発熱体2は、棒状のものとし
たが、発熱部の断面積と等しければ例えば円筒形状等で
あってもよい。
【0021】次に、上記装置の作用を説明する。
【0022】まず、自動弁15が開き、導入ノズル14
から炉内に不活性ガスGが導入されると、不活性ガスG
は断熱材12を通過し、支持部材7に設けたガス導入孔
11を通ってマッフル1の外周面に到達する。炉内雰囲
気圧力がコントローラ21で設定した上記圧力範囲内の
上限値に達すると自動弁15が閉じる。炉殻5と水冷支
持金具8間のゴムパッキン18と、水冷支持金具8とホ
ルダー6間のOリング19により不活性ガスが直接炉外
へ洩れるのを防止するので、炉内圧力を一定に保持す
る。
【0023】次に、予め貫通孔10から炉内に導入され
た糸条Tを、図示しない引取手段で走行させつつ端子部
2a、2bに通電し、抵抗発熱体2を加熱すると、抵抗
発熱体表面から放射された輻射熱はマッフル1を加熱
し、マッフルが糸条Tを周囲から加熱する。この際、外
筒3の内周面側は、抵抗発熱体表面から放射された輻射
熱を反射させる機能を果し、抵抗発熱体2によるマッフ
ル1の加熱を促進する。一方、外筒3の外周面側は、外
筒3の蒸発抑制と保温機能を果す。
【0024】本実施態様例の外筒3の内外周面は、上述
したように融点が2800℃以上で、かつ、その熱膨張
係数が外筒3と同等以上2.0倍以下の高融点材料から
成る被覆層4a,4bで被覆されているので、外筒3の
外周面側からの蒸発速度は極めて抑制される。すなわ
ち、2500℃以上の高温下では外筒3を構成している
黒鉛材の蒸発(昇華)が起き、外周雰囲気中へ拡散して
いくのであるが、被覆層4a、4bの熱膨張係数が外筒
3と同等以上2.0倍以下の高融点材料から構成されて
いるので、被覆材である外筒3と被覆層4a、4b間に
剥離やクラックが生じない。また、被覆層4bの外周面
と被覆層4aの内周面は、不活性ガスによって1kg/cm
2 ・G以上5kg/cm2 ・G以下の範囲に加圧されるの
で、被覆層4a、4bを介して該被覆層4a、4bと一
体化された外筒3の内周面および外周面にも圧力が加わ
り、特に外筒3の外周面に圧力が加わることにより、外
筒3の蒸発を抑制することができる。更に組織が緻密な
被覆層4bで蒸発が強力に抑制されるため、その拡散係
数は被覆なしの外筒3よりも更に低い値となる。黒鉛材
の蒸発(昇華)は上述したように、2500℃以上の高
温下で起き、被覆のない黒鉛材から成る筒状の外筒3
や、外筒3と同材料から成るマッフル1の蒸発はいずれ
も外径側の長手中央部付近から起り、外周雰囲気中へ拡
散していき、内径側はいずれも減耗しない。このため外
筒3の内周面側の被覆層4aは、組織が緻密で、被覆層
の色彩が抵抗発熱体表面から放射された輻射熱をよく反
射できる傾向色、すなわち灰色を呈しているので前記輻
射熱の反射能を増加することができる上、内面側には被
覆材である外筒3の蒸発がないため、何時までも被覆層
4aを初期状態に保つことができる。
【0025】所定時間の熱処理によりマッフル1から炉
外に透過した極少量のガスにより炉内圧力が圧力調節計
17で設定した下限値に達すると、直ちに自動弁15が
開き、導入ノズル14から不活性ガスGが導入され、炉
内圧力を設定圧力に復元する。このマッフル1内部に漏
洩した不活性ガスGは、貫通孔10から炉外に漏洩する
と同時に外気が糸条Tに随伴されてマッフル1内部に入
り込むのを防止する。
【0026】
【作 用】請求項1の発明によれば、外筒の内外周面に
被覆された高融点材料から成る被覆層は、黒鉛材から成
る外筒の組織に比べ緻密であるから、外筒よりも気体透
過量を著しく低下できるため、外筒の蒸発速度を極めて
遅くする作用が働く。また、被覆層の色彩が灰色を呈し
ているため、外筒の内周面側の被覆層は、輻射熱の反射
能を増加させる作用が働く。また、マッフルの外周面
は、1kg/cm2 ・G以上5kg/cm2 ・G以下の範囲内に
加圧されるので、抵抗発熱体、マッフル及び外筒表面か
らの蒸発が遮断もしくは著しく抑制され、これら部材の
減耗劣化を抑制させる作用が働く。更に、マッフルを抵
抗発熱体で輻射加熱するだけで、マッフル自身には通電
しないため、ホルダー部での発熱がなく、ホルダーと水
冷支持金具とのシール部でのトラブルが激減する。
【0027】請求項2の発明によれば、被覆層の組織は
材質が黒鉛材から成る外筒と異なり緻密であるため、炉
内に導入された不活性ガスを被覆層が容易に透過させ
ず、遮断する作用が働く。
【0028】請求項3の発明によれば、シール手段がゴ
ムまたは金属から成るOリングで構成されているので、
水冷支持金具とホルダーとの間を効果的にシールし、不
活性ガスの炉外への漏出を防止する。
【0029】請求項4の発明によれば、加圧手段が不活
性ガス供給源、ガス供給量調整用自動弁、導入ノズル、
圧力調節計及びコントローラで構成されているので、炉
内圧力を所望の圧力に自動的に調整する。
【0030】
【実施例】図1の加熱炉において、マッフル1として内
径30mm、外径50mm(中央部の肉厚10mm)、
長さ900mmの黒鉛から成る円筒状のものを用いた。
長手方向に2分割した内径140mm、外径150mm
(肉厚5mm)で黒鉛から成る外筒3の内外周部に、被
覆層として平均粒子径40μmのニオブカーバイド(N
bC)を大気中でプラズマ溶射し、膜厚200μmの被
覆層4a、4bを形成した。長さが650mm隔ってい
る左右の支持部材7間にマッフル1の外側で僅かに距離
を隔てて黒鉛から成る直径20mmの抵抗発熱体14本
をピッチ75mmでマッフルの上下に各々7本配設し
た。
【0031】そして、不活性ガスGとしてアルゴンガス
を炉内に導入し、マッフル1外周面の圧力を1、2、3
kg/cm2 ・Gの各3水準について、マッフルの内部温度
を3000℃に昇華の後、マッフル1に破断等の異常が
生じるまで連続運転した。なお、ゴムパッキン18、O
リング19は、いずれもニトリルゴム製のものを用い、
マッフル温度3000℃の制御は、マッフルの内部長手
方向中心位置にセットした図示しない黒鉛製小ブロック
の表面温度をマッフルの軸方向の端部(加熱炉外部)に
設置した放射温度計(図示せず)で測定し、電力制御し
た。
【0032】係るマッフル1の外周面圧力とマッフルの
寿命との関係をグラフ化したものが図3の○印データで
あり、本実施例における消費電力は16.1kwであっ
た。このデータから明らかなように、外筒3の内外周面
を被覆し、マッフル1の外周部を1kg/cm2 ・Gに加圧
した場合は、193時間(約8日間)で寿命を迎えた。
また、このマッフル1の外周部に対する加圧力を上げ、
2kg/cm2 ・G、3kg/cm2 ・Gとした場合には、各々
285時間(約12日間)、392時間(約16.5日
間)もの長寿命となった。
【0033】このようにして合計3回の連続運転を行っ
たが、マッフル1と螺合されているホルダー6と水冷支
持金具8とのシール部でのトラブルは一度も発生しなか
った。
【0034】
【比較例】比較のため、図1の加熱炉において、外筒3
として内径140mm、外径150mm(肉厚5mm)
の黒鉛製筒体の単体品、すなわち何も被覆層を設けない
外筒3と、NbCで外周面を被覆したマッフル1を用い
た他は実施例と同一の温度、雰囲気ガス条件で連続運転
した。そして、NbCで外周面を被覆したマッフル1の
外周面圧力を1、2、3kg/cm2 ・Gの3水準に加圧し
た。
【0035】この結果を示したのが上記図3中の●印デ
ータであり、マッフル外周面を1kg/cm2 ・G加圧した
時には、155時間(約6.5日間)で寿命を迎えた。
また、2kg/cm2 ・Gの加圧では、253時間(10.
5日間)で寿命を迎え、3kg/cm2 ・G加圧では、34
5時間(約14.5日間)で寿命となり、いずれも各水
準の実施例に比べ、1.5〜2日間程度寿命が短くなる
ことが分った。なお、本比較例における消費電力は、1
9.5kwであり、実施例に比べ3.4kw(21%)大き
いが、この理由は外筒が黒鉛製そのもので、その色彩が
黒色を呈しているため、抵抗発熱体表面から放射された
輻射熱の反射率が低いためである。
【0036】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、請求項
1の発明によれば、黒鉛材から成る外筒の内外周面に高
融点の金属および高融点化合物から成る被覆層を設ける
と共に、黒鉛材から成るマッフルの外周面を、不活性ガ
スが炉外に洩れないように封止した状態で、その圧力が
1kg/cm2 ・G以上5kg/cm2 ・G以下の範囲内に加圧
したので、外筒内周面側の被覆層で抵抗発熱体より放射
される輻射熱を効率よく反射できるため抵抗発熱体の消
費電力を減少させることができる。また、外筒外周面側
の被覆層は、黒鉛から成る外筒自身の蒸発を遮断もしく
は著しく抑制することができ、その減耗劣化を著しく抑
制させることができる。
【0037】また、マッフルと螺合されているホルダー
は発熱がないため、該ホルダーと水冷支持金具とのシー
ルが容易な上、マッフルには通電がないため、マッフル
の両端部に取付けた支持部材が安価な黒鉛製でよい。
【0038】したがって、本発明の加熱炉は2500℃
以上の高温下においても黒鉛材から成る外筒、抵抗発熱
体およびマッフルの寿命延長を図ることができる上、マ
ッフル内部は殆ど常圧であるため、封止材の貫通孔が十
分大きくでき、貫通孔での毛羽詰りによる糸切れの発生
もない。
【0039】請求項2の発明によれば、黒鉛材から成る
外筒の内外周面に被覆する請求項2に記載の高融点の金
属および高融点化合物は、被覆材である外筒に比べその
組織が緻密である上、熱膨張係数が外筒と同等以上2.
0倍以下であるため、剥離やクラックが生じない。
【0040】請求項3の発明によれば、シール手段がゴ
ムまたは金属から成るOリングで形成されているので、
シール部からの不活性ガス洩れを少なくすることができ
る。請求項4の発明によれば、加圧手段が不活性ガス供
給源、ガス供給量調整用自動弁、導入ノズル、圧力調節
計及びコントローラで構成されているので、炉内圧力を
所望の圧力に自動的に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る加熱炉の一実施態様例の概略縦断
面図である。
【図2】図1の加熱炉のA−A′線に沿う概略横断面図
である。
【図3】本発明の効果を説明する図である。
【符号の説明】
1……………マッフル 2……………抵抗発熱体 2a、2b…端子部 3……………外筒 4a、4b…被覆層 5……………炉殻 6……………ホルダー 7……………支持部材 8……………水冷支持金具 9……………封止材 10……………貫通孔 11……………ガス導入孔 12……………断熱材 13……………絶縁スリーブ 14……………導入ノズル 15……………自動弁 16……………ノズル 17……………圧力調節計 18……………ゴムパッキン 19……………Oリング 20……………電源部 21……………コントローラ T……………糸条 δ……………間隙 G……………不活性ガス

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】黒鉛材から成る筒状のマッフルと、該マッ
    フルの外周面に輻射熱を照射するため、前記マッフルの
    長手方向に沿って複数本配設された抵抗発熱体と、該抵
    抗発熱体を包囲し、前記マッフルと同芯でその両端部が
    支持部材で支持された黒鉛材から成る外筒と、前記マッ
    フルの外周上の空間を密閉状態に包囲する炉殼とを備え
    た加熱炉であって、 (イ)前記外筒の内外周面には、融点が2800℃以上
    で、かつ、その熱膨張係数が前記外筒と同等以上2.0
    倍以下の高融点材料から成る被覆層が形成され、 (ロ)前記マッフルと前記炉殼との間に不活性ガスを流
    入し、前記マッフル外周面を1kg/cm2 ・G以上5kg/
    cm2 ・G以下の範囲内に加圧する加圧手段が設けられ、 (ハ)前記マッフルと前記炉殼との間には、前記不活性
    ガスの炉外への洩れを防止するシール手段が設けられて
    いることを特徴とする加熱炉。
  2. 【請求項2】前記被膜層は、タングステン、タンタル、
    ハフニウムカーバイド、タンタルカーバイド、ニオブカ
    ーバイド、ジルコニウムカーバイド、チタンカーバイ
    ド、バナジウムカーバイド、シリサイドカーバイド、窒
    化ハフニウム、窒化タンタル、窒化ジルコニウム、窒化
    チタン、窒化ホウ素、ホウ化ハフニウム、ホウ化タンタ
    ル、ホウ化ニオブ、ホウ化タングステン、ホウ化チタ
    ン、ホウ化ジルコニウムの中から選ばれた1種類以上の
    高融点材料から形成されていることを特徴とする請求項
    1の加熱炉。
  3. 【請求項3】前記シール手段は、ゴムまたは金属から成
    るOリングであることを特徴とする請求項1の加熱炉。
  4. 【請求項4】前記加圧手段は、不活性ガス供給源と、ガ
    ス供給量調整用自動弁と、導入ノズルと、圧力調節計
    と、コントローラとから成ることを特徴とする請求項1
    の加熱炉。
JP26270794A 1994-10-26 1994-10-26 加熱炉 Pending JPH08121969A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013532265A (ja) * 2010-05-25 2013-08-15 インダクトサーム・コーポレイション ガスシール誘導トンネル炉

Cited By (3)

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JP2013532265A (ja) * 2010-05-25 2013-08-15 インダクトサーム・コーポレイション ガスシール誘導トンネル炉
JP2016118386A (ja) * 2010-05-25 2016-06-30 インダクトサーム・コーポレイションInductotherm Corporation ガスシール誘導トンネル炉
US9400136B2 (en) 2010-05-25 2016-07-26 Inductotherm Corp. Electric induction gas-sealed tunnel furnace

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