JPH08121710A - バーナ - Google Patents

バーナ

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JPH08121710A
JPH08121710A JP22433595A JP22433595A JPH08121710A JP H08121710 A JPH08121710 A JP H08121710A JP 22433595 A JP22433595 A JP 22433595A JP 22433595 A JP22433595 A JP 22433595A JP H08121710 A JPH08121710 A JP H08121710A
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JP
Japan
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burner
combustion
air
flame
gas
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JP22433595A
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English (en)
Inventor
Iwao Akiyama
巖 秋山
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Mitsubishi Power Ltd
Original Assignee
Babcock Hitachi KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 燃焼振動の防止を図ったバーナを提供するこ
と。 【解決手段】 バーナの火炎流に係る熱輸送の状態方程
式に基づいて得られる火炎流の全空間にわたる音響仕事
量の虚数部が、火炎流の無次元流速Uに関して有する極
値に対応する無次元流速の最大値Umを超えるように、
火炎形成部に供給する空気流速あるいは混合流体の流速
を設定する。流速の設定は、空気流速あるいは混合流体
等の火炎流の流路幅2y0等を調整することにより行う
ことができ、これにより事前に燃焼振動の発生を予測で
き、燃焼振動を回避することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、燃焼装置およびこれを
動作させる火炉あるいは燃焼容器に係り、特に燃焼振動
(または振動燃焼)の防止を図ったバーナに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、燃焼装置を運転する際、特にガス
燃焼装置を運転する際、予期せざる振動が発生し、その
対策に手を焼くことが多かった。これは、その振動励起
の原因に関してまだその発生機構が良く解明されていな
いのがその主な理由となっている。
【0003】振動燃焼の発生機構としては、レイレイ
(Rayleigh)の仮説が良く引用される。これは、主に
燃焼室の形状によって定る気柱の振動モードの腹の部分
に発熱領域が存在し、発熱変動と圧力変動が同期すると
き、すなわち、圧力が高いときに発熱が起るように燃料
が注入されるような構成を持っているとき、その燃焼装
置は振動を励起するというものである。この機構によっ
て振動の発生する場合のあることはかなり確認されてお
り、故意にこのような条件を作りこれによって発生する
気体のパルス変動を利用しようとする試みもあるくらい
である。これをパルス燃焼と称している。この現象の予
測法については、パットナム(Putnam)の著書(Putn
am,A.A.,Combustion Driven Oscillations in
Industry,Elsevier,New York(1971))に詳
細に説明されている。
【0004】しかし、上記文献にも記述されているよう
に、上記の機構だけでは説明できない振動が多く観測さ
れており、現実に予期せざる振動の発生に悩まされ続け
ているのが現状である。
【0005】ところで、燃焼振動の発生形態の分類とし
ては種々のものが考えられているが、振動の発生領域に
よって分類するバーレア(Barrere)のものが良く利用
される。ここでは、その分類にしたがって振動燃焼につ
いて説明する。燃焼振動は発熱変動と気柱振動が相互に
影響しあって発生する自励振動であるとされており、気
中振動には容器内気体を圧縮成分としスロート部の気体
を慣性成分とする、いわゆるヘルムホルツ型の振動も含
む。すなわち、熱源の存在によって圧力変動が誘起さ
れ、その圧力変動によって発熱変動が励起される。この
鶏と卵の関係が交互に繰返されて振動が発達する。した
がって、振動が励起するためには気柱の圧力変動をする
場が必要である。この場は通常燃焼領域を囲んでいる燃
焼容器が構成する。このような振動の仕方をするものを
燃焼室内不安定と呼んでいる。
【0006】この燃焼室内不安定による振動形態には、
さらに音響不安定,衝撃不安定,および流体力学的不安
定がある。
【0007】音響不安定は、上述した文献等に係るもの
であり、気柱振動と発熱変動が何らかの相互作用をして
いるのが特徴である。本発明もこの分類に対応するもの
を対象にしている。
【0008】衝撃不安定は、衝撃波の発生に似た燃焼形
態をとるときに発生する燃焼振動である。これは通常の
工業用の炉においてはほとんど観測されたことはないと
されている。しかし、伝播燃焼装置(例えば、特開平1-
266409号公報、特開平1-266410号公報、特開平1-312306
号公報、特開平1-312307号公報、特開平1-312308号公
報、特開平1-312309号公報、特開平3-5602号公報、特開
平3-5603号公報)のように、直管状の燃焼室内で混合ガ
スを伝播燃焼させるような装置では、ときおりこの型の
振動が発生するのではないかと推測される。本発明の原
理は、このような装置における振動励起源としては共通
しており、このような伝播燃焼させるような装置におい
ても振動を回避する必要が生じた場合には、本発明の応
用により振動を回避できるものと思われる。
【0009】流体力学的不安定は、旋回流バーナにおい
て良く認められるもので、いわゆるPVC(渦の才差運
動)の発生に関与するものである。この現象にはやはり
自励振動する場合もあるが、強制振動的な要素も強く、
本発明では解明していない機構が多く含まれていると思
われるので、本発明で明らかにした条件を満たしただけ
では不十分であると思われる。
【0010】次に、燃焼容器に燃料を供給したり空気を
供給する系統、あるいは排ガスを排気する系統なども含
めて振動系を構成する場合がある。このような振動形態
をシステム不安定と称している。これは先にもふれたレ
イレイ(Rayleigh)の原理で説明されたものが多く含
まれると思われる。特に、燃料供給系と燃焼容器内の圧
力変動が連成系を構成している場合については、前述の
パットナム(Putnam)の書物に詳しい。この現象のと
きには、燃料供給系統内にオリフィス等の音響携帯を変
化させる部材を設置し、これにより振動の系を壊してや
ると効果的なことの多いことが知られている。本発明
は、このような現象においての適用も有効と思われる
が、すでに一般的に使用されているこの現象は除外して
考えても良い。しかし、これらの対策は、振動現象が生
じてから対処療法的に行われるのに対し、本発明による
対策は、振動励起機構を抑制してしまう方法であるか
ら、そのような現象が予測されるときには、設計段階か
ら対応することができる。
【0011】さらに、上述の他にも、固有不安定と呼ば
れるものもあるが、実際の現象としてはほとんど認めら
れていないので説明は省略する。
【0012】ここで、具体的な装置において振動が発生
した従来技術の例、または振動の発生しそうな装置の従
来技術の例を記載し、本発明の課題を明らかにする。
【0013】(工業用バーナの例:特開昭60-57538号公
報,特開昭58-35308号公報)図4(a),(b)に、工
業用炉などの燃焼炉に使用されているバーナの一例を示
す。同図(a)はバーナの断面図を示し、同図(b)は
バーナを前面から見た正面図である。図示のように、バ
ーナ1は先端に保炎板2を有する重油バーナ3を備え、
これを囲む1次空気噴出口4から1次空気が、また2次
空気通路5から2次空気ベーン6を経て2次空気7が供
給される。そして、2次空気ベーン6を囲む2次空気通
路5の外周に、複数本の燃料噴射管8が環状に配置され
ている。燃料噴射管8は、主孔燃料噴射孔9と副孔燃料
噴射孔10とを持つガス噴射ノズル11が装着されもの
と、主孔燃料噴射孔9のみ持つガス噴射ノズル12の2
種類があり、これらが環状に沿って交互に配設されてい
る。主孔燃料噴射孔9は主孔燃料噴射13を行い、副孔
燃料噴射孔10は副孔燃料噴射14を行う。このような
構造とすることにより、発熱率変化のパターンを複雑化
して共鳴振動を防止している。
【0014】しかし、この従来例では、振動励起機構が
良く分からないまま、励起源は副孔燃料と2次空気の燃
焼域にあるとの見当に立ち、副孔燃料の噴射量を減少さ
せること、また2次空気との混合を弱めることによっ
て、振動励起能を低下させようとしたものである。
【0015】(ガスタービン用燃焼器の例)ガスタービ
ンの燃焼器においてもしばしば燃焼振動が発生し、その
対策に手を焼いているのが現状である。対策法として
は、上記の工業用バーナの例とほぼ同様である。ガスタ
ービン燃焼器においては、音響系は一端開、一端閉の管
を構成しており、いわゆるロケット型のバーナと同じと
して扱えるものが多い。固体燃料ロケットにおいてはか
なり燃焼振動現象の解明が進んでおり、対策も種々提案
されているが、液体燃料および気体燃料ロケットにおい
ては十分な解明がなされていないので、やはり、対策技
術としては上記バーナと同じ状況である。
【0016】(ラジアントチューブ用バーナの例)熱処
理炉などに使用されるラジアントチューブ用のバーナ
は、加熱物体に対して燃焼排ガスを接触させないように
チューブの中で燃焼を行うので、チューブが音響管とし
て働き、燃焼振動を発生させやすい構造になっている。
しかも、狭い空間で燃焼を完全に行うようにしているた
め、予混合火炎を形成させることが多く、これにより燃
焼振動を発生させやすい。
【0017】(給湯器の例1:特開平4-143504号公報,
特開平6-249408号公報)図5は、特開平4-143504号公報
に記載されている給湯器の燃焼振動低減法の一例であ
る。なお、同公報には、燃焼騒音低減の方策として示さ
れているが、現象の説明内容から推察するに、燃焼振動
低減技術を対象としているものと理解できる。つまり、
燃焼騒音と燃焼振動には明確な差があるが、燃焼騒音は
気圧変動の周波数が非常に広い範囲にわたっているのに
対し、燃焼振動は特定の周波数に限られた気圧変動のみ
が観測される。同公報の記載によれば、機器の共鳴系に
より燃焼騒音が増幅されるものを対象にしているから、
明らかに燃焼振動として扱われるべき現象と思われる。
【0018】この例では、消音室20が燃料と空気の混
合用空間として作用し、均一化が促進された混合気を第
二の混合気通路21に送り込む。そして、混合気噴出口
22から噴出される可燃限界外の低酸素濃度の混合気
が、炎口23の上に形成される火炎に供給される。その
結果、バーナ本体24に形成される火炎の燃焼反応は緩
慢になり、火炎温度は低下する。また、ファン25の回
転時に発生し、下流側に伝播する乱れ成分や騒音の励起
源は、ファン25の吐出口の近傍に設けられた消音室2
0の空間容積と仕切り26の開口面積で決まるマフラー
効果により低減される。
【0019】この公報の説明によれば、励起源のレベル
が低下し、その結果、火炎に供給される混合気の乱れも
抑制され火炎が安定し、機器の共鳴系により増幅される
燃焼騒音が低減するとしている。しかし、この場合、緩
慢燃焼を行うことによって振動励起力は弱めてはいるも
のの、振動発生機構についての理解が不十分なために、
このような対策で振動も低減できるとしている。この公
報の説明でも、振動発生は認めた上で、消音室形成によ
って振動エネルギーを吸収し外部に出てくる気圧変動を
弱くしようとしているように、振動発生源そのものをな
くすることについては不可能とみているように思われ
る。
【0020】(給湯器の例2:特開平2-64305号公報,
特開平2-64306号公報)図6は、給湯器の例1と同様
に、マフラー効果によって燃焼振動のレベルを低減しよ
うとするものである。空気室31とバーナ32と燃焼室
33と熱交換器34などからなる燃焼空間部35の容積
と、排気筒36の断面積と排気筒36の長さとにより決
定される第一の音響固有振動数が、燃料を供給する燃料
部において燃料供給室37の容積と燃料噴出孔38の断
面積及び長さにより決定される第二の音響固有振動数に
同等となるように設定されている。このため、燃料部自
体が共鳴型消音器として作用し、消音効果を発揮すると
している。また、燃焼の関係から第二の音響固有振動数
が設定しにくい場合には、燃料供給室37の内部に小孔
39を穿設した仕切り40を設けることにより第二の音
響固有振動数を設定することが可能であるとしている。
なお、図において、41は炎口、42は混合気室であ
る。
【0021】また、図7に示すように、同等の効果を空
気室31と燃焼室33と熱交換器34と排気室などから
なる燃焼空間部の容積と、排気筒の断面積と排気筒の長
さにより決定される音響固有振動数が、空気と燃料を燃
焼させるバーナ32において混合気室42の容積と炎口
41の断面積と炎口41の混合ガスが流れる方向の長さ
により決定される音響固有振動数に同等となるようにし
て、同じような効果を期待している。この場合において
も、上記の例と同じく振動発生はしかたないものとして
これを弱める方策を提案し、振動励起源そのものを取り
除くことは諦めているように思われる。
【0022】(給湯器の例3:特開平6-249408号公報)
図8は、バーナ部の構造を工夫することによって低NO
x化と燃焼振動回避をしようとしている例である。本バ
ーナではバーナを構成する両側面に燃料供給室45と、
これらによって囲まれた内部を混合気室46としてい
る。混合気室46の下部には燃焼管47の本体を設置
し、燃焼管47の上部を山形状にするとともに、混合気
室側壁を傾斜面とし、混合気室46をベンチュリー状に
形成している。このようにして混合室内での圧力変動が
緩やかで流れが円滑になり、炎口48から噴出する淡ガ
スの速度が均一となって火炎が安定し、燃焼振動を生じ
ることなく低騒音化を実現できるとしている。
【0023】しかし、このバーナにおいても燃焼振動の
励起源がどこにあるのか分からないまま、緩慢な燃焼を
行えば振動抑制に有効であるとの従来の考えを踏襲し、
振動を抑制できたと考えている。ところが、このバーナ
においてもなお振動の発生が見られることは否めないよ
うに思われる。それは振動励起源が、このバーナでは淡
ガス炎口出口における温度境界層とその箇所における温
度勾配の形成のされ方にかかっていると思われるからで
ある。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】上記の幾つかの従来技
術に見るように、燃焼振動を発生する燃焼装置は多く見
られるが、燃焼振動の発生機構を明らかにした上で対策
を講じたものは少ない。つまり、振動の発生することを
認めた上で、緩慢な燃焼をさせれば振動励起力が弱まる
と考えられていることから、緩慢な燃焼をさせるように
装置を構成したり、消音器のような装置を設置してその
振動の程度を軽減させることによって問題を解決しよう
としているものがほとんどであった。
【0025】しかし、どの程度に緩慢な燃焼を行えば振
動を発生しなくなるのかは、把握されていないので、こ
のような努力をしても振動を十分に避けることはできな
かった。
【0026】また、消音器のようなものを設置しても振
動のエネルギーを十分に吸収することはできず振動や騒
音が残っているのが現実であった。これは、燃焼振動の
発生機構そのものが未解明のために止むを得ずとられて
きた処置である。
【0027】しかし、燃焼振動の発生機構について現状
で分かっている内容の一部については、上述した他にも
いくつかの研究が発表されているが、いずれの研究にお
いても振動励起源の物理的機構を明らかにしたものはな
く、速度変動(あるいは圧力変動)に対する発熱変動遅
れを表すのに、時間遅れを仮定したり、実験的に決定さ
れる定数を含むような火炎伝達関数を仮定している。要
するに、本質的な振動発生機構を解明するには至ってい
ないといってよい状況である。
【0028】本発明が解決しようとする課題は、は、燃
焼振動の主たる発生機構を解明し、その振動発生条件を
回避してバーナと燃焼容器(火炉)の設計を行い、本質
的に振動を発生させないようにするものである。
【0029】
【課題を解決するための手段】
(解決原理)上記課題は、燃焼振動の励起機構の一つ
で、主な励起源として働いている熱音響学的な振動励起
条件を外したバーナとすることにより、解決される。
【0030】ここで、本発明の解決原理を説明する。ま
ず、熱音響学的な振動の励起がどのようにして起こるか
を解析した一例を示す。火炎流についての熱輸送の一般
式(状態方程式)は、次の数4で与えられる。
【0031】
【数4】
【0032】ここで、数4に、下記の数5を代入して、
定常項と非定常項とにわける。
【0033】
【数5】
【0034】なお、非定常項は、1次の項のみを考慮
し、2次以上の項は無視することにする(熱伝導率Kは
位置に関して一定とする)。また、式中の記号は次のと
おりである。
【0035】ρ:流体の密度(kg/m3)、T:流体
温度(K)、s:エントロピ(J/K)、t:時間
(s)、v:流速(m/s)、∇:∂/∂x(偏微分演
算子)、∇2:∂2/∂x2、K:熱伝導率、x:流体の
流れ方向の空間座標(m)、y:xに垂直な方向の空間
座標(m)、sm:エントロピの平均値(定常成分)、
1:エントロピの変動成分、ρ0:流体の平均密度(定
常成分)、ρ1:流体密度の変動成分、Tm:流体温度の
平均値(定常成分)、T1:流体温度の変動成分、i:
虚数、ω:角周波数、u0:流体流速の定常成分、u1
流体流速の変動成分。
【0036】数4に数5を代入して定常項と非定常項に
分けると、それぞれ数6、7に示すものとなる。
【0037】
【数6】
【0038】
【数7】
【0039】ここで、エントロピに関する数8の式を用
いると、数6,7はそれぞれ数9,10となる。なお、
式中の記号のうち、偏微分演算の添字pは圧力を一定に
した偏微分を示し、添字Tは温度を一定にした偏微分を
示す。また、Cpは流体(気体)の定圧比熱、p1は圧力
pの1次変動量、βは流体(気体)の体膨張率である。
【0040】
【数8】
【0041】
【数9】
【0042】
【数10】
【0043】数9,10に示した定常成分と非定常成分
の解を求めると、温度の変動に対して次の数11が得ら
れる。式中の記号のうち、T10は空間座標yに対して独
立な温度を示す複素関数、y0は平行平板状流路と仮定
した場合の平板間距離の1/2、δκは温度境界層の厚
さ、Uは無次元流速である。
【0044】
【数11】
【0045】ここでは、簡単化のために、流路は2次元
的に平行平板間(y0は平板間の中心から平板までの距
離)で構成されている場合のみの解を示した。しかし、
通常広く使用されている円管の場合は、ベッセル(Bes
sel)関数で表されることになる。この表現のためには
変数変換がさらに必要で、得られた関数形も決して計算
に便利な形ではないので近似解として上式を用いる。こ
の式で実際の円管その他の複雑な構造で構成されている
バーナの条件におきかえるには、水力径で換算すればよ
く、円管の場合には単にy0を円管の半径とすれば十分
である。
【0046】また、熱の仕事への変換に関する式を求め
ると、考えている空洞内すべての空間でなされる仕事の
総和W2として、数12が得られる。
【0047】
【数12】
【0048】ここで、Πはモデル化した静止平板の幅方
向長さの2倍を示している。また、Imは〔 〕内の虚
数部を示している。これをさらに変形して虚数部だけを
求めるようにしたのが、次の数13であり、F*は仕事
流速関数とも称する。なお、数式において、γは空気あ
るいは空気燃料混合気の比熱比、ρmは空気あるいは空
気燃料混合気の密度、cは音速、nは振動の次数、βは
気体の体膨張率、κは気体の温度伝導率(=λ/ρ
mp)、Cpは気体の定圧比熱、Kは気体の熱伝導率、
ωは角周波数(両端閉のときはω=ncπ/L),Lは
空洞の長さ(予測振動モードに対応する炉長)、Uは空
気あるいは空気燃料混合気の無次元流速(=u0/√
(κω))、u0は気体の流速、y0は空気あるいは空気
燃料混合気の流路幅(管の場合は半径)である。また、
I11,FI12,FI21,FI22は空洞形状、予想振動モー
ド、発熱領域の位置によって定まる関数であり、たとえ
ば両端閉の場合には、数14で表すものとなる。
【0049】
【数13】
【0050】
【数14】
【0051】上式は、理想気体近似を行なえば、さらに
変形できて、数1,2の式と等価になる。すなわち、W
2は気体が熱によってなされる仕事量(音響パワー)を
表しており、この値が大きいほど熱が仕事に変換され、
振動が発生しやすいことを示している。
【0052】以上の式の物理的な意味は、次のとおりで
ある。すなわち、気体燃料と燃焼用空気が、保炎器近傍
において混合着火して火炎を形成すると、火炎上流側に
温度勾配が形成される。この火炎帯を、空気供給や燃料
供給のために使用している管やダクトの壁が、あるいは
そこからの噴流が挟み込むようになっているとき、火炎
と壁または噴流間に(温度)境界層が形成される。この
境界層の厚さは通常0.5mm程度である。火炎帯中心
部を含む一般流と境界層との間に何らかの外乱によって
位相ずれが生じると、その境界層と火炎帯中心部を含む
一般流の本流との間で熱交換が行われるようになる。た
とえば、本流側の流体が境界層に対して上流側に位相が
ずれると、本流側の温度の方が境界層側よりも高くなる
ので、本流側から境界層側へ熱移動が生ずる。次の瞬間
に、本流側の流体が元の位置に戻ると、今度は先程起こ
った熱移動のために、境界層側の温度の方が本流側より
も高くなっているので、境界層側から本流側へ熱移動が
生ずることになる。
【0053】このような本流と境界層との間において熱
交換を繰り返すことによって、熱が火炎の上流側へ、上
流側へと移動する現象が生ずると、総括的には火炎帯の
上流における熱伝導による温度勾配の壁を突き破ったよ
うな現象が起こり、熱移動が促進されることになる。こ
のような熱移動の促進に際し、本流側流体の振動を伴う
ことになる。つまり、熱伝導の壁を破って熱移動を促進
させるために、流体の振動が生ずることになるのであ
る。
【0054】しかし、このような熱移動が生ずるのは、
一般流側(火炎流)の流速が特定の値を持っているとき
に限られる。その特定の流速のときには、数13に示し
たF*が正の値を持ち、かつF*が極大値を持つときに
特に振動が発生しやすいということになる。逆に、F*
が負の値を持つときには、流体振動を与えてやらない
と、低温側から高温側への熱移動は起こらないことにな
る。
【0055】通常は、空気流速が小さいので、F*は正
の値を持っており、熱伝導に伴う温度勾配に対しては、
振動が熱移動を促進することになる。因に、この原理を
用いて、熱移動制御素子を作成しようとする試みがあ
り、ドリームパイプと称している(Kurzweg, U.H. and
Zhao, L.D. Heat Transfer by High Frequency Oscilla
-tion. Phys. Phys. Fluid, 27-11(1984),2624-2627)。
また、上記のようにF*が負の場合に、低温側から高温
側へ熱が移動することを利用して、流体振動を与えて機
械的な機構を持たないヒートポンプを作成しようとする
試みも行われている。これらの現象をひっくるめて熱音
響学と称し、最近研究が盛んに行われ出したところであ
る。
【0056】上述した解析によって、燃焼振動において
も、その励起源の一つに熱音響学的な励起を考慮しなけ
ればならないことが判明した。以下、実験的に求めた振
動領域と、上記の解析結果とを比較して、熱音響学的な
振動の励起源が燃焼振動の主な原因であることを明らか
にする。
【0057】ここでは、F*の値のみを計算し、振動発
生のし易さの目安とする。対象例として、図9に示す火
炉に、図10および図11に示すようなバーナを設置し
て、振動を発生させたときの計算を行なってみる。図9
に示すように、火炉51の長さを2mとし、炉内の温度
はほぼ600℃とする。バーナ52は火炉の長手方向の
両端に対向させて設けられている。このバーナ52は、
図10および図11に示すように、図4に示したバーナ
とほぼ同じ構造のものを縮小模擬したものとなってい
る。ただし、図4のバーナ1では、2種類のガス噴射ノ
ズルを環状に交互に配置したが、このバーナ52は主孔
燃料噴射孔9と副孔燃料噴射孔10の双方を備えたガス
噴射ノズル11の1種類により形成している。そして、
バーナ52には、押込みファン54と排ガスのガス循環
ファン54から、1次、2次、3次の空気が、それぞれ
独立に供給できるようになっている。そして、1、2次
空気と副燃料(Sub fuel)とで形成される火炎が主に
振動励起源になるので、1、2次空気供給管の半径をy
0として計算する。
【0058】この計算結果を図12および図13に示
す。それらの図において、横軸には1次空気+2次空気
を標準状態における容積流量Q(m3N/h)で示し、
縦軸は振動の発生し易さの目安であるF*を示す。火炉
の長さL=2m,火炉内ガス温度600℃、√(2)y
0/δκ=57.8にそれぞれ一定にした場合におい
て、図12は火炎位置Lh=0.1mとしたときの計算
値を、図13は火炎位置Lh=0.2mのときの計算値
を示している。それらの図において、実線は計算値F*
そのものを示しているが、これでは細かい挙動が判りに
くいので、F*の対数をとったものを点線で示してい
る。F*の値が大きい流量Qのときに、振動が発生し易
いことを示しており、25m3/h付近にF*値に鋭い
ピークが認められ、この領域で振動の発生のあることが
予測される。Lhは発熱領域の位置を示しているが、こ
の位置が少し変化したぐらいでは振動発生領域はさほど
変化しない。これは従来の安定性理論から予想されてい
た知見とは異なることである。ただし、通常、発熱位置
hの変化はy0の変化をともなうので、あくまで計算上
の結果であって後述のようにy0の影響は大きい。
【0059】次に、上記の計算結果と、実際の実験結果
とを比較する。実験で用いた燃料はLPGである。図1
4は1+2次空気流量(=Q)を横軸にとって炉内の圧
力変動振幅I0,振動の励起のし易さを表す指数I1/I
0、およびNOx値を縦軸として実験結果を纏めたもの
である。空気流量Qが20〜30m3/h近傍に振動の
発生の兆候が見られる結果が得られた。なお、振動の励
起のし易さを表す指数I1/I0は、圧力変動の平均振幅
に対する圧力変動の共鳴周波数成分の振幅の割合であ
り、燃焼振動の発生し易さを表すパラメータである。
【0060】また、図15に示したようなマルチバーナ
炉に同じバーナを設置した場合の実験結果を図16に示
す。この場合は、明らかに30〜40m3/hの範囲に
振動している領域が認められることから、シングルバー
ナ炉とマルチバーナ炉とで若干振動領域に差があるが、
これは対向燃焼することによって発熱位置がずれてy0
を大きく評価しなければならないことを示しているもの
と思われる。対向燃焼の場合にも前述の式と同じ式を導
くことはでき、単一燃焼の場合の重ね合わせで計算でき
る。すなわち、単一バーナの場合と同じ領域に振動域が
存在し、ある流量領域より高い流量域には振動は存在し
ないことに着眼すべきである。
【0061】上述した解析に基づく計算結果と実験結果
の比較から、熱音響学的な解析結果と実際とがよく一致
しており、このことから燃焼振動の励起源の主なものと
して、熱音響学的励起のあることが解明された。
【0062】ここで、炉内ガス温度Tと流路幅(2×y
0)の影響について検討する。火炉長さL=2m,火炎
位置Lh=0.2mに一定にした場合において、炉内ガ
ス温度を800℃に変化させたときの計算値を図18に
示し、炉内ガス温度を1000℃に変化させたときの計
算値を図19に示す。図において、δκが温度によって
変化するので、√(2)y0/δκが変化しているが、
0は一定である。
【0063】一方、火炉長さL=2m,火炎位置Lh
0.2mに一定にした場合において、y0を図12の1
0%増としたときの計算値を図20に示し、y0を図1
3の20%増としたときの計算結果を図21に示す。こ
れは、1,2次空気が噴流として噴出し、少し広がりを
持った場合を想定している。これらの結果から、発熱位
置Lhとガス温度Tの影響は少なく、y0の影響が大きい
ことが分る。y0はバーナの保炎性を高めるために設置
されているインペラ,スワーラあるいはレジスタなどの
機器の設定によって変化する因子と関連しており、これ
らの因子を考慮するために本発明を適用するに当って
は、y0を幅広く変化させたケーススタディの必要なこ
とを示唆している。
【0064】(解決手段)上述した熱音響学的な解析に
より、振動を励起する燃焼流体(火炎流)の流速域を、
ほぼ明確に予測可能になった。
【0065】要するに、バーナの火炎流中の熱輸送の状
態方程式に基づいて得られる前記火炎流の全空間にわた
る音響仕事量の虚数部が、火炎流の流速あるいは無次元
流速に関して有する極値の最大値を越えるように、火炎
流の流速を設定する。
【0066】このようにして設計されたバーナと燃焼室
の組合わせにおいては、従来実際にバーナを燃焼炉に取
付けて燃焼させてみないと振動が発生するのかしないの
か分らず、また振動が発生してもどのような改造を施せ
ば良いのが分らなかった現象を事前に予測し振動を回避
することができるようになった。
【0067】つまり、振動事故対策としてのバーナ構造
の選定を可能にするのみならず、新規にバーナを設計す
る際に、振動を回避した構造のバーナを提供できること
を意味する。
【0068】
【発明の実施の形態】次に、上述した解決原理に基づい
て、燃焼振動解決法の具体的な設計手法を説明する。図
1に、本発明を適用したバーナの設計手順を示す。ま
ず、燃焼器の仕様として燃料流量QFが与えられる。こ
の燃料量を燃焼させるための空気流量QAが計算され
る。このとき、空気過剰率,二段燃焼を使用するときに
はそれらの比率などが設定される。ここで、空気供給系
の寸法を設定しておく。たとえば、予混合燃焼の場合に
は、混合気の供給系の寸法を設定しておくことになる。
つぎに、燃料流量QFを燃焼させるのに必要な燃焼容器
(火炉)の容積が決定される。これはそれぞれの機器に
応じて容積燃焼負荷率などが決っておりそれによって決
定されるであろう。これらの作業は従来の方法どおりの
計算で求めることができる。
【0069】ここで、燃焼容器内の温度を推定する。こ
れは、輻射や対流伝熱を考慮して求めることができる。
この温度に対応する温度伝導率Kを物性値表より求め、
音速cを計算し、音響共鳴周波数f(角周波数ωの方
が、後の計算に便利である。)を計算する。周波数の計
算には教科書に記載されている式を用いれば良いが、こ
の一例を図2に示している。通常の火炉は、両端閉の音
響菅とみなせるから、1次の振動モードに対しては図2
の右の一番上の式を用いてf=c/(2l)に、音速
c,火炉奥行き長さLを代入して、音響共鳴周波数fを
求める。角周波数はω=2πfから求める。両端開とみ
なせる場合もこの列の式を用いることできる。一端開、
他端閉の場合には左側の式を用いる。
【0070】これだけの準備によって無次元流速U=u
0/√(ωκ)と、温度境界層厚さδκ=√(2κ/
ω)を計算しておく。火炎流の流速の定常成分u0の計
算に当っては温度を考慮し、その温度における流速を用
いる。次に無次元流速U,および√(2)y0/δκを
求める。これらの値を用いてUmを求めUと比較する。
Umを求めるに当っては表1あるいは図3を用いてもよ
い。ここで、Umは仕事流束関数F*が、無次元流速U
に関して有する複数mの極値である。
【0071】
【表1】
【0072】表1は、仕事流束関数F*が極値をとる無
次元流速(U=u0/√(ωκ)の極値の計算値Um
を、流路幅/温度環境層厚さ(√(2)y0/δκ)に
対応させて示している。なお、Umは次式数15で計算
することもできる。
【0073】
【数15】
【0074】すなわち、数15において、m=1に対応
するUm(=U1)に対してU>Um(=U1)ならば、
それで振動を励起しないバーナ構造になっているので計
算完了である。U<Umなる場合にはy0を小さくしu0
を増加させるようにし、計算を繰返す。Uがどうしても
Um以上にはなり得ない場合にはUm_2とUm(m:奇
数)との間の流速をとるようにしUmあるいはUm_1
近い値はとらないようにしておく。表1および図3のm
が奇数に対応するU値に対してF*が極大値をとり、m
が偶数に対応するU値のときにF*値が極小値をとる。
m=1とm=3との間はかなり広いがmがそれを越える
とUm同士の値は接近してくるのでこの領域は避ける方
が望ましい。
【0075】また、上記計算の便宜のために比較的小規
模のガス燃焼装置を対象に、気体流量が決まった場合の
0の取るべき目安を、図24から図33までに示して
いる。すなわち、燃焼容器の長さが決まり燃料量に応じ
た空気流量が決まるとこれらの図に示したy0よりも小
さい流路幅を持った気体供給管を用いて設計すれば振動
を発生させることはない。
【0076】(i)全体の構成 図9に示したシングルバーナ炉で実験したバーナの
振動領域を避けるための構造検討を例として計算してみ
る。燃焼室は長さが2mで燃料流量は3m3/hおよび
5m3/hで作動するものとする。燃料はLPGを使用
する。従来の実績から燃焼室の出口ガス温度は600℃
とする。これらの条件から音速は590m/s、角周波
数は923s~1、温度伝導率は物性値表から0.506
2/h、温度境界層厚さδκは0.551mmである。
このとき理論空気量は1m3N(Nは標準状態を意味す
る。)あたり21.43m3Nであるから、3m3N/h
および5m3N/hに対してはそれぞれ64.29および
107.15m3N/hである。空気過剰率を1.2で使
用するとするならば、実際に必要な空気量はそれぞれ7
7.15および128.58m3N/hである。燃料量は
主孔燃料と副孔燃料に分けられ等しい量が流れるように
設計すると、このバーナの場合には副孔燃料と1,2次
空気とで形成される第1燃焼域がバーナ近くで、言替え
ると炉壁近くで噴流となって燃焼するので、この発熱域
の温度勾配が振動励起源となる。1,2次空気量は上記
全空気量の内の一部が供給されるが、その比率は2次空
気ベーンと3次空気レジスタ開度のバランスと二段燃焼
比率によって定り、また2次空気ベーン開度は流路幅y
0をも変化させるのでy0を種々に変化させたケーススタ
ディが必要である。
【0077】そこで、まず副孔燃料量を求めると1.5
および2.5m3N/hでこれに対する空気過剰率1.2
相当の空気量は32.145および53.575m3N/
hである。これをy0=22.5mmとして計算すれば√
(2)y0/δκ=57.78となり、流速u0は17.0
m/sおよび28.4m/s(無次元流速U=47.1お
よび78.7)である。この空気量をそのまま確保でき
れば先の計算で示しているようにUm(m=1)に相当
する空気流量25m3N/h(Um=37.8)以上であ
るから何等振動は発生しない。したがって、1,2次空
気量をそれぞれ32.14および53.57m3N/h流
せるように、2次空気ベーン開度および3次レジスタ開
度を設定する。
【0078】 ここで、低NOx燃焼などを行うため
に第1燃焼域で還元燃焼させるべく2次ベーン開度を絞
ったり、二段燃焼を行って局所空気過剰率を下げると、
1,2次空気流量が25m3N/h近くになり、振動が
発生することになる。1,2次空気/3次空気=α,N
Oポート部空気量/バーナ部空気量=βとし、第1燃焼
域空気量ABと全空気量ATとの関係をαおよびβを用い
て表すと、AB/AT=α/{(1+α)(1+β)}と
なるので燃料量3m3N/hに対しては、AB/AT=2
5/77.15になるα,βを求め、それぞれの限界を
知ることができるようになる。例えば、α=1(1,2
次空気と3次空気流量が等しい場合)のときは、β:
0.56まで下げることが可能で、α=0.75ではβ:
0.34までしか下げられないと言ったことが推定でき
る。
【0079】 上記バーナで流路幅y0を小さくするこ
とによってUを下げる場合について計算してみる。
【0080】図22は流路幅y0の値を先の計画値(√
(2)y0/δκ=57.8)の5割に減少させた場合で
ある。これには2次空気スリーブの径を1/2にする事
も考えられるが、ベーン枚数を増加させるとかスリット
を設置して流路幅を狭めることも考えられる。後者を採
用すると流動抵抗をさほど増加させることなくUm値を
下げることができ運転条件に幅をもたせることができ
る。
【0081】 の対策では、Umを余り下げること
ができないと評価される場合には、流量の大きい側と低
い側の両方に振動域を持つバーナになるが、流路幅y0
を増加させる場合も考えられる。例えば、保炎を強化し
ようとすると空気流速の大きい領域のみを使用するバー
ナは設計しにくいとか、運転条件に幅がもたせられるよ
うにしたいといった要求のある場合に、このような条件
の検討が必要になるかと思われる。この場合の計算結果
の例が図23である。
【0082】図23はの例は、元の条件に対して流路幅
0を5割増加させている。このようにすると12m3
/hから35m3N/hの範囲で振動の発生しないバー
ナを設計できる。
【0083】(ii)各構成部分の相互作用 以上述べた原理で振動が発生しなくなる理由をつぎに簡
単に述べる。燃料の燃焼反応によって発生した熱は、そ
の周囲に放散しようとするがその形態は放射,対流,伝
導の三つである。このうち伝導による熱移動は温度勾配
を生じることによってなされる。しかし、気体の熱伝導
度は非常に低く発熱量が多い場合にはその近傍に非常に
きつい勾配を生じるが、定常状態としての熱移動は不可
能になる。そこで、その近くに相対的に流体を静止させ
る固体あるいは流体が存在すると非定常的な温度変動に
よって熱移動を果そうとするようになる。すなわち、お
互いに平行な温度勾配が存在するとき、その勾配の方向
に何らかの(外乱は沢山存在するので何でもよい)原因
で移動があったとすると、その方向に垂直な方向の温度
勾配のバランスが崩れ、温度の高い方から低い方に熱移
動が始る。次の瞬間、変位していた流体が元の位置に戻
ると、先の定常状態の温度勾配からは既にズレが生じて
おり、先の過程で移動していた熱が元の方向に移動しよ
うとする。このとき、適当な位相差が生じると熱の非定
常的な移動が促進されるようになり流体の変位の繰返し
も促進されるようになる。つまり、流体の振動が励起さ
れるようになるわけである。この「適当な位相差を生じ
るようになれば」という条件に対して火炎流体の移動速
度が重要な役割を果し、温度境界層の厚さと速度とがあ
る条件を満足すれば振動が励起され易くなるということ
になる。
【0084】この温度境界層の厚さδκと流体速度u0
の関係を表すのが、数13に示した関数値F*に主に寄
与している第2項、つまり次式の数16に示すIm(T
1/T10)である。
【0085】
【数16】
【0086】この計算値の例を示したのが図34〜図3
8である。それらの図では、温度境界層の厚さδκに対
する流路幅√(2)y0の比をパラメータにとり、無次
元流速Uを横軸にとってこの関数値Im(T1/T10
を示している。
【0087】流路幅y0と温度境界層の厚さδκの比が
小さいときには、無次元流速Uの低いところに1つのピ
ーク(本図では谷になっている)しか認められないが、
流路幅と温度境界層厚さの比が大きくなるとUの高いと
ころにピークが移動してくるとともに、ピークの数が増
加してくる。この曲線の極値の存在するU値を求める式
が、前記の数15の式である。そして、この式の計算値
を示したのが第1表および第3図である。
【0088】このようにして求められるU値をとるよう
に流路幅(2×y0)を定めると、その条件内では通常
ではありえない強力な高負荷燃焼を行う以外はいかなる
操作を行ってもその燃焼器は振動燃焼は励起しなくな
る。すなわち、通常の燃焼負荷では全く振動は発生しな
いといえる。
【0089】本発明を適用してなるバーナの設計にあた
っては、バーナを使用する燃焼容器(火炉)の形状と寸
法、および運転条件によってその設計条件が異なってく
る。すなわち、これらの条件から音速,角周波数,温度
境界層厚さ等が決ってくるので、ある炉で振動が発生し
なかったからといっても他の炉ではどうなるか分らな
い。この設計手法に従って計算しなおし確認しなければ
使用できない。この点も従来の技術では何等手が打てず
困っていた問題である。
【0090】(iii)他の実施例 上記(i),(ii)においては、実際に振動を発生させ
たバーナで、振動を発生させないようにする具体的な構
造の寸法を決定する方法を示した。ここでは、種々の燃
焼装置に対して、音響管長さLと、バーナの空気供給部
における流路幅y0をどこにとればよいかを示す。
【0091】 工業用バーナの場合 図39に、通常の産業用ボイラの平面断面を示す。バー
ナ61から出た燃料および空気は燃焼室62に入り燃焼
する。燃焼室62で燃焼した排ガスは火炉の後ろから迂
回し、対流伝熱管63に入る。燃焼室62は、水壁管6
4によって囲まれており、通常は両端閉の音響管を形成
している。
【0092】このような火炉に取付けられるバーナ61
には、種々のものが用いられるが、その幾つかの例を図
40に示す。同図(a)は多分岐管形ガスバーナであ
り、燃料ガス61は燃料供給導管62に入った後、各ガ
スノズル67に配分されノズルの先端より噴出される。
空気は風箱68より空気レジスタ69で空気流量が調整
された後、ガスと混合し燃焼する。また、バーナの中心
部に重油バーナ70が配置されている。この場合の火炎
流の流路幅2y0は図示のとおりである。
【0093】同図(b)は、輪状形バーナであり、燃料
ガス65は燃料供給導管71に入った後、輪状形のスリ
ット72を経て炉内に噴出される。空気は、上記例の場
合と同じように空気レジスタ69を経てから燃料と混合
し燃焼する。
【0094】同図(c)は、リング形ガスバーナであ
り、燃料ガス65はリング状の燃料供給導管73に入っ
た後、この導管の内側に設けられたスリットより内側に
向って噴出される。ここで、空気レジスタ69を経て導
入された燃焼用空気と混合し燃焼する。
【0095】同図(d)は、筒形ガスバーナであり、燃
料ガス65はバーナの中心に設置されている燃料筒体7
4より噴出され、空気レジスタ69を介して供給された
燃焼用空気と混合して燃焼する。
【0096】図40に示したバーナの例では、空気供給
口は1つであるが、先の例に示したように最近の低NO
xバーナでは、1次,2次,3次等のように、空気供給
口がいくつかに分割されており、燃料との混合が何段階
かに分かれて行われるようになっているものが多い。ま
た、スロートが1つの場合には、スロートの半径を流路
幅2y0として計算を行ってよいが、本図に示したよう
に保炎器の径が大きい場合にはこの断面積を考慮し、円
環状の流路として扱いその水力径を2y0として用いる
のが望ましい。
【0097】 ガスタービン用燃焼器の場合 図41は、ガスタービン燃焼器用バーナの一例を示す縦
断面図である。図42は、図41中のパイロットバーナ
を示す拡大縦断面図、図43は図41中の予混合型メイ
ンバーナを示す拡大縦断面図である(特開平5-332512号
公報)。これらの図において、符号75は外管、76は
パイロットバーナ、77は予混合型メインバーナ、78
はパイロットバーナ用バーナスロート、79は予混合型
メインバーナ用バーナスロート、80は燃焼器、81は
燃焼室、82は燃焼用空気、83はパイロットバーナ用
1次空気、84は予混合型メインバーナ用1次空気、8
5は2次空気、65はガス燃料、86はパイロットバー
ナ用ガス燃料、87は予混合型メインバーナ用ガス燃
料、88はガスタービン駆動用排ガス、89はガスター
ビン室、90は拡散火炎、91は予混合火炎、92は旋
回翼、93は着火電極、94はパイロットバーナ用ガス
燃料噴孔、95は予混合型メインバーナ用ガス燃料噴
孔、98はディフューザをそれぞれ示す。また、符号1
03は濃予混合気噴孔、104はパイロットバーナ用の
予混合気である。
【0098】パイロットバーナ76とパイロットバーナ
用バーナスロート78とによって形成される環状空気通
路には、旋回翼92が設けられ、更に図42に示される
とおり、パイロットバーナ76の先端近くには着火電極
93が設けられている。図示されてない空気圧圧縮機か
ら送られてきた燃焼用空気82は、パイロットバーナ用
1次空気96、予混合型メインバーナ用1次空気84お
よび2次空気85の3系統に分けられ、それぞれパイロ
ットバーナ76、予混合型メインバーナ77および燃焼
器80へ送り込まれる。また、図示されてないガス燃料
供給設備から送り込まれて来たガス燃料65は、パイロ
ットバーナ用ガス燃料97と予混合型メインバーナ用ガ
ス燃料87に分けられる。
【0099】パイロットバーナ用ガス燃料97はパイロ
ットバーナ76へ送り込まれ、パイロットバーナ76先
端のパイロットバーナ用ガス燃料噴孔94からパイロッ
トバーナ用バーナスロート71へ噴射される。一方、パ
イロットバーナ用1次空気96は、旋回翼92を通して
パイロットバーナ用バーナスロート78へ吹き込まれ
る。パイロットバーナ用ガス燃料86は着火電極93に
よって着火し、パイロットバーナ用1次空気96と拡散
混合しながら火炎を形成して燃焼を継続するが、この形
成される火炎は拡散火炎90である。
【0100】予混合型メインバーナ用ガス燃料87は予
混合型メインバーナ77へ送り込まれ、予混合型メイン
バーナ77の先端に穿孔された予混合型メインバーナ用
ガス燃料噴孔95から予混合型メインバーナ用バーナス
ロート79へ噴射されるが、その噴射方向は、別途予混
合型メインバーナ77の外周部から同バーナスロート7
9へ送り込まれて来る予混合型メインバーナ用1次空気
84との混合を迅速かつ効果的に行なわせるため、予混
合型メインバーナ用1次空気84流に対してほぼ直角に
吹込むようになっている。
【0101】このようにして予混合型メインバーナ用バ
ーナスロート79内へ吹込まれた予混合型メインバーナ
用ガス燃料87と予混合型メインバーナ用1次空気84
は、予混合型メインバーナ用バーナスロート79内で充
分に混合した後、燃焼室81内へ吹込まれて、パイロッ
トバーナ76が形成する拡散火炎90によって着火し、
予混合火炎91を形成する。
【0102】通常、ガスタービン燃焼器用バーナにおい
ては、予混合型メインバーナ用ガス燃料87の燃料配分
割合は全ガス燃料65の90%以上であり、パイロット
バーナ用ガス燃料86は全体の数%に過ぎないが、パイ
ロットバーナ76の性能は特に優れたものが要求され
る。
【0103】従来のガスタービン燃焼器用バーナでは、
予混合型メインバーナ77が形成する予混合火炎91の
空気比を約1.8、パイロットバーナ76が形成する拡
散火炎90の空気比を約0.8に設定して燃焼室81の
前半においてほぼ燃焼を完結する。このようにして生成
された燃焼ガスは、燃焼室81の後半において別途燃焼
室81内へ送り込まれて来た2次空気85と混合して所
定温度に調整され、ガスタービン駆動用排ガス88(含
有O2≒10.5%)としてガスタービン室89へ送り込
まれる。
【0104】しかし、このようなバーナにおいては、予
混合火炎を用いているので1次空気噴流内に形成される
温度分布勾配は急激なものになり、周囲壁面(バーナス
ロート)との間に温度境界層を形成しやすいので燃焼振
動を発生させることがある。これを避ける設計をするに
は、図41に示す燃焼器80の長さ(場合によってはト
ラジションピースと呼ばれているガスタービン入口まで
の接続部も含める)を”L”とし、かつ一端閉一端開の
音響管とみなし、図42および図43のパイロットバー
ナ用バーナスロートおよび予混合型バーナスロートの入
口流路幅を、それぞれ2y0として本発明による燃焼振
動発生条件をはずすように設計しておくことが必要であ
る。
【0105】図44に、ガスタービン用バーナの他の一
例を示す(特開平4-90403号公報)。
【0106】図44(a)は、コンパクトなガスタービ
ン燃焼器を得るために工夫されたもので、パイロットバ
ーナ76の周りに同心円上に複数の主燃料バーナ99が
配置されている。主燃料バーナ99においては、主燃料
Fは予混合室100内にて未燃予混合気となり、燃焼器
に流入後燃焼を始め、急拡大部101で形成される循環
流によって火炎が保持されている。急拡大部101には
溝が穿刻されており、火炎が短炎化するように工夫され
ている。図44(b)には、このようにして形成された
火炎の横断面を示す。したがって、予混合室出口におい
ては温度境界層が形成されるとともに急激な温度勾配も
存在することになり、音響学的振動が励起されやすくな
っている。これを回避するには、予混合室出口における
流路の幅を2y0とし、トランジションピースを含む燃
焼器の長さをLとし、上述の例と同じように振動発生条
件をはずすように設計しておくことが必要である。な
お、同図(a)において、符号102は急拡大部101
に設けた凹部、120は2次空気入口としての孔であ
る。
【0107】 ラジアントチューブ用バーナの場合:
図45に、ラジアントチューブの概略の構成を示す。燃
料ガス65はバーナ105に入り、燃焼用空気によって
燃焼するが、その燃焼用空気106は、熱交換器107
で燃焼排ガスによって加熱され、燃焼用空気管108を
経てバーナ105に供給される。バーナ105で燃焼し
た燃焼排ガスは、ラジアントチューブ109内を通過し
ながら管外部の被加熱体を加熱し、これによって冷却さ
れながら熱交換器107を経て、ファン110によって
排ガスとして排出される。ここでラジアントチューブ1
09は音響管として働き、バーナ部の発熱域が振動励起
源として働くことによって、熱音響型の燃焼振動が発生
する。
【0108】バーナ部には、低NOx化を図るために種
々の形式のものが使用されるが、そのいくつかの例につ
いて流路幅2y0として、どこの部分を採用すればよい
かを述べる。
【0109】(例1)図46は、空気106を中心部の
2次空気通路111と周辺部の1次空気噴出口112に
分けて供給し、燃料をその間に供給するものである(特
開昭57-14106号公報)。空気は周辺部から供給された1
次空気が、まず燃料65と混合し、1次燃焼室113で
燃焼する。その後残りの空気が2次空気として管中心部
より供給されて2次燃焼室114で燃焼する、いわゆる
二段燃焼を行い、低NOx化を促進する。このバーナの
場合、発熱部は1次空気噴出口112付近と2次空気通
路111の出口付近に形成されるが、熱音響型の振動励
起に寄与する発熱部は、1次空気出口112付近のもの
と思われる。したがって、この噴出口の幅を2y0
し、ラジアントチューブの長さをLとして、熱音響的振
動励起条件を避けるように設計されるべきである。な
お、図において、符号115は、外管である。
【0110】(例2)図47では、燃料ガス65を管中
心部より供給し、まず、その周囲より供給される燃焼用
空気106と混合燃焼する(特開昭59-2198号公報)。
その後、2次空気入り口116より供給される2次空気
と混合燃焼させて、二段燃焼をさせるものである。この
バーナの場合には、熱音響学的振動の励起源は最初に燃
料ガスが燃焼用空気と混合燃焼するところにあると思わ
れるので、この間隙を2y0として振動条件をチェック
しておくことが必要である。なお、図において、符号1
17はパイロットバーナ、118はパイロットバーナ用
混合ガス、119はコンスタントエアである。
【0111】(例3)図48に示すバーナは、燃料は上
記の例と同じように管の中心から供給され、その周囲よ
り供給される1次空気と混合し燃焼するが、保炎を強化
する目的で1次燃焼用内管121および保炎板122が
設置されている(特開昭55-60103号公報)。この場合の
熱音響学的振動励起源は、この保炎板122と1次燃焼
用内筒121の間の隙間にあると思われるので、この隙
間を2y0とし、振動条件を検討しておくことが必要で
ある。なお、図において、他の図と同一の符号は同一の
機能構成のものを示し、符号123はバーナ部、124
はパイロットバーナ、125はガス噴射ノズル、126
は燃料噴出孔、127はオリフィス作用遮断部材、12
8はレキュペレータ、129は燃焼排ガスである。
【0112】(例4)図49に示すバーナでは、燃料お
よび空気の供給位置は、上記の例の場合とほぼ同じであ
るが、保炎板がなく、1次燃焼用内筒内にバーナタイル
131が張って有り、空気流路が狭くなっている(特開
昭56-23617号公報)。この場合には、バーナタイル13
1によって狭くなった流路幅を2y0として採用し、振
動条件のチェックを行っておくべきである。なお、図中
の符号132はバーナの外管、133はパイロットバー
ナ、130は燃料供給管、135は内管、136は内管
に設けた入口、137は2次空気調流機構、138は燃
料の噴出孔、134はフランジである。
【0113】この他にも、ラジアントチューブに使用さ
れているバーナには種々のものがあるが、ここに上げた
いくつかの例に見られるように、最初に火炎を形成する
箇所における空気流路幅を2y0とし、熱音響学的な振
動条件をチェックしておけば、燃焼振動は回避できると
いえる。
【0114】 給湯器の場合: (例1)図50に給湯器の例を示して説明する(特開平
3-255801号公報)。本例の低NOx燃焼装置は、熱交換
ケーシング141とバーナケーシング142とで取り囲
まれており、上方の熱交換ケーシング141内には熱交
換器143と排気口144が設けられている。下方のバ
ーナケーシング142内にはバーナ145と、その上方
位置に第1還流管146及び第2還流管147とが配設
されている。また、バーナケーシング142の底部に
は、2次空気供給用の燃焼ファン148が設置されてい
る。
【0115】バーナ145は複数の燃焼管149から成
り、1次空気と燃料ガスとの予混合ガスが各燃焼管14
9内に供給されて燃焼し、火炎150を生成するもの
で、燃焼ファン148から供給される2次空気151は
各燃焼管149の間を上昇し、火炎150に供給され
る。
【0116】第1還流管146は、断面略「く」字形に
形成された2枚の側板152を接合して形成されてお
り、側板152の上端は離間して、上端開口153が形
成され、下端に垂下するフランジ154が重ね合わせて
固着され、閉塞場155が形成され、隣接する燃焼管1
49の間の上方位置に設置されている。
【0117】側板152の互いに逆方向に傾斜した平板
状の上側部152aと下側部152bとの接合部である
屈曲部に、小孔156が穿設されている。
【0118】第2還流管147は、断面路「く」字形に
形成された側板147の下端に垂下するフランジ154
を、バーナケーシング142の側壁内面に接合して形成
され、下端は閉塞端となっており、バーナ145を構成
する複数の燃焼管149の両端に位置する燃焼管149
の外側上方に配置されている。
【0119】側板147の互いに逆方向に傾斜した平板
状の上側部147aと下側部147bとの接合部である
屈曲部に小孔156が穿設されている。また、両端に位
置する第2還流管を形成する側板147の外側面と、燃
焼管149の直上にベンチュリ型燃焼ガス流路を形成
し、第1還流管146を形成する側板152同士及び第
1還流管146の側板152と第2還流管の側板147
の屈曲部間に、燃焼管149で生成される火炎150に
対応して、ベンチュリ型燃焼ガス流路のスロート部を形
成し、該スロート部157に臨んで小孔156が開口し
ている。
【0120】このように構成される給湯器の動作につい
て説明する。バーナ145で燃焼を行うと、燃焼管14
9で火炎150が形成され、燃焼管149の間から2次
空気151が供給される。燃焼管149で生成された燃
焼ガスは、第1還流管146同士の間及び第1還流管1
46と第2還流管の側板147の間で形成するベンチュ
リ型燃焼ガス流路を流動する際に流速が増大し、スロー
ト部157で流速が最大となり、静圧が低下するから、
スロート部157に臨んだ小孔156より第1還流管1
46及び第2還流管の側板147内の気体を吸引する
(矢印158)。
【0121】そして、スロート部157を通過した燃焼
ガスは、流速が低下しつつ拡開部を通過し、熱交換器1
43の方に流動するが、ベンチュリ型燃焼ガス流路の出
口で燃焼ガスの一部が、第1還流管146及び第2還流
管の側板147の上端開口153、160から、第1還
流管146及び第2還流管の側板147内に吸引され
(矢印161)、吸引された燃焼ガスは小孔156から
スロート部157に吸い出され、燃焼ガスの再循環を行
って2次空気の酸素濃度を低下させるとともに、火炎1
50の温度を低下させ、NOxの発生を抑制することが
できるとしている。
【0122】この場合には、音響管としては熱交換ケー
シング141及びバーナケーシング142で囲まれた空
洞内が両端閉の管として機能すると思われるので、Lと
して上底から下底までの長さをとり、空気流路幅2y0
としては還流管で構成されているスロートの最も狭くな
っている距離を採用してUmを計算し、これより大きい
Uになっていることを確認しておく。
【0123】(例2)図51乃至図54は、特開平6-18
004号公報,特開平6-18005号公報,特開平6-147411号公
報に記載されている給湯器のバーナ部を示している。こ
のような湯沸器等においては、ガスバーナに形成された
火炎の先端近傍に冷水が通る水管を配して、火炎温度を
一定温度以下に制御し、COの発生を抑制し小さな燃焼
室空間で高負荷燃焼させる水冷方式の燃焼装置(特開昭
60-78247号公報参照)の変形例である。このような水冷
方式の燃焼装置は、小炎温度低下によりNOx低減効果
を有し、低NOx燃焼装置としても有用であるとされて
いる。
【0124】図51(a)はその変形例の1つを示す要
部断面図、図51(b)は要部斜視図である(特開平6-
18004号公報)。燃焼管165は上面に多数の炎孔16
6を有し、複数本並設してバーナを構成している。各燃
焼管165の間に2次空気通路167が形成される。燃
焼管165の炎孔面の上方に冷却水管168が設けられ
ている。この冷却水管168には冷却フィン169が燃
焼管165の長手方向に設けてあり、冷却水管168に
冷水を通して火炎を冷却する冷却手段を構成している。
冷却フィン169は下端に2次空気導入口170を開口
し、2次空気通路167を覆うように、2次空気通路1
67の上に対向する2枚の冷却フィン169を一体的に
接続し、内部に上方が狭い2次空気導入路171を形成
するように傾斜して設けてある。そして、傾斜した冷却
フィン169の面には2次空気孔172を設け、この冷
却フィン169を各燃焼管165の間に2次空気通路1
67の上方に配置し、2次空気導入路167に導入され
た2次空気を2次空気孔172から噴出し、炎孔面上で
燃焼ガスと衝突、拡散燃焼させるようにしてある。
【0125】したがって、燃焼時、冷却フィン169の
2次空気導入口170から導入された2次空気が2次空
気孔172から噴出し、炎孔166上で生成された燃焼
ガスと衝突して拡散燃焼する。したがって、この衝突拡
散燃焼によって局部的な高温領域は発生し難く、冷却フ
ィン169による火炎温度の低下と相まってNOxの発
生を低減する。
【0126】また、炎孔面と冷却フィン169の下端部
との間の間隙から燃焼排ガスの一部が2次空気導入路内
に流入し、2次空気に混入して2次空気孔172から噴
出して燃焼ガスに再循環する自己EGR効果により、2
次空気の酸素濃度低下による高温域の酸素濃度の低下も
あり、NOxの低減効果をさらに向上する。なお、冷却
フィン169は1枚の板を逆V状に屈曲して傾斜した冷
却フィンを形成しても、また2枚の板を傾斜させて上端
を接合してもよい。
【0127】また、図52(a)及び(b)のごとく冷
却フィン169の上端をスリット状に開放して2次空気
導出口173を形成するようにしてもよく、この2次空
気導出口173を設けることにより、2次空気導入路1
71に導入された2次空気は内部を流通し、2次空気孔
172からの2次空気の噴出スピードが減少するので、
2次空気と燃焼ガスとの衝突による乱れが抑制され、振
動燃焼等の悪影響をなくすことができるとしている。
【0128】図53は、他の変形例の一つを示す要部断
面図である。燃焼管165は上面に多数の炎孔166を
有し、複数本並設してバーナを構成している。各燃焼管
165の間に2次空気通路167が形成される。燃焼管
165の炎孔面の上方に冷却水管168が設けられてい
る。この冷却水管168には冷却フィン169が燃焼管
165の長手方向に設けてあり、冷却水管168に冷水
を通して火炎を冷却する冷却手段を構成している。冷却
フィン169は下端に2次空気導入口170を開口し、
2次空気通路167を覆うように、2次空気通路167
の上に対向する2枚の冷却フィン169を一体的に接続
し、内部を2次空気導入室173とする袋状に形成して
ある。また、冷却水管168が貫通する垂直の両側面に
2次空気孔174を設け、この冷却フィン169を各燃
焼管165の間の2次空気通路167の上方に配置し、
隣接する冷却フィン169の2次空気孔172が相互に
炎孔面上で対向し、噴出する2次空気が炎孔面上で衝
突、拡散するようにしてある。
【0129】したがって、燃焼時、冷却フィン169の
2次空気導入口170から導入された2次空気が2次空
気孔172から噴出し、炎孔上で生成された燃焼ガスと
衝突して拡散燃焼する。このとき、垂直の冷却フィン1
69に設けた2次空気孔172は、炎孔面上で隣接する
冷却フィン169の2次空気孔172と対向して燃焼ガ
スとの衝突が激しく行われるので、急激に燃焼が進行す
ると共に局部的な高温度領域が発生し難く、冷却フィン
169による火炎の冷却と相まってNOxの発生を大幅
に低減することができる。
【0130】次に例も、上記の構造とほぼ類似してお
り、機能的には同じ効果を期待するものである。
【0131】図54(a)はその実施例を示す要部断面
図、同図(b)は要部斜視図である。相違点は、冷却フ
ィン169の下端に開口部175を設けて形成し、炎孔
166面を覆うように対向する一対の冷却フィン169
を一体的に接続し、内部に燃焼室176を有する箱状に
形成し、また冷却フィン169の面に多数の2次炎孔1
77を設けている点、及び箱状の冷却フィン169を各
燃焼管165の炎孔166の面の上方に配置し、炎孔1
66からの噴出ガスを開口部175から導入し燃焼室1
76内で1次燃焼させた後、燃焼ガスを2次炎孔177
から噴出し、隣接する箱状の冷却フィン169との間の
通気路178で2次燃焼させるようにしている点にあ
る。
【0132】したがって、燃焼時、2次空気通路167
を上昇した2次空気流は燃焼室176の内側と2次空気
通路167の上方の通気路178側とに分流し、燃焼室
176内に流入した2次空気は炎孔166から噴出した
燃料ガスと反応し燃焼室176内で1次燃焼し火炎を形
成する。この燃焼室176内で生成した燃焼ガスは2次
炎孔177から噴出し、未燃ガスが通気路178を流通
する2次空気と反応し2次燃焼する。このように燃焼室
176内と2次炎孔177とにおいて二段に段階燃焼す
るので、火炎温度を平均化して最高温度を低くすること
ができ、局部的な高温域の発生をなくすことができる。
また、2次空気による冷却と冷却フィン169による冷
却効果とにより、火炎温度を全体的に低下することがで
きる。更に通気路178における燃焼の際、下方の2次
炎孔177からの燃焼排ガスが、上方の2次炎孔177
から噴出して燃焼する火炎に混合して、排ガス再循環に
よるEGR効果を生じ、燃焼域における過剰酸素を少な
くして火炎温度を低下する。このような二段燃焼による
局部的高温域の発生防止、2次空気および冷却フィンに
よる火炎温度の低下、排ガス再循環によるEGR効果に
よる火炎温度の低下等によりNOxの発生を低減するこ
とができる。
【0133】以上述べてきた例はすべて、燃焼管の上部
に水冷却管を設置し、それに付けたフィンで構成された
二次燃焼部材を備えた燃焼装置である。これによって低
NOx燃焼が可能になるとともに、緩慢な燃焼によって
燃焼振動抑制にも役立つことが有りうると期待してい
る。しかし、燃焼振動に関しては、このような構成をと
っても基本的には振動励起源を除去したわけではないか
ら、何時振動が発生するようになるか分からない危険性
を含んだままである。また、低NOx燃焼のための構成
は種々示されているが、燃焼振動発生機構からすると燃
焼管上の炎孔で形成される1次燃焼域において、主に振
動励起するものと思われる。そこで、これらのバーナに
本発明を適用するに当たっては、燃焼管における炎孔の
スリット幅を2y0とし、熱音響的な振動条件検討を行
っておけばよい。もちろん、2次燃焼を行わせるための
冷却管上のフィン等は、熱交換ケーシングとバーナケー
シングで構成される音響管の一部を構成しており、気柱
振動を抑制する絞りの効果も有しており燃焼振動抑制に
寄与しているので、これを考慮した計算が出来れば一層
望ましい。
【0134】(例3)図55(a)と(b)は、二段燃
焼を利用した燃焼装置の平面図と正面図、図55(c)
は同燃焼装置の断面図である。気体燃料を噴出するノズ
ル181はバーナ182の混合導入口183に対向する
位置に設け、その際ノズル181から噴出される気体燃
料のジェットにより吸引される1次空気量を、空気過剰
率が0.6〜0.9になるように混合導入口183の口径
をダンパなどにより調整する。バーナ182の1次炎孔
184は燃焼室185並びに単一の開口部からなる2次
炎孔186を形成する容器187にて覆われるように設
けてある。
【0135】上記の如く構成された燃焼装置に於いて、
混合管内の可燃性ガスは燃料過濃の状態で1次炎孔18
4上に流出し、1次火炎190を形成する。1次火炎1
90から放出される燃焼ガス中には、酸素不足のために
燃焼できない可燃性ガスの他に、NOも含まれている。
可燃性ガスは2次炎孔186にて周囲空気と拡散混合し
て、2次火炎191を形成し二段燃焼を完成させる。こ
のように二段燃焼においては、一段燃焼に比べて燃焼温
度を低く保ちながらかつ完全燃焼するため、NOxの発
生を抑制することが出来る。しかし、燃焼量が少なくな
ると二段燃焼することが困難になる。
【0136】そこで、スリット炎孔の両側面の開口部を
拡大し、火炎をより広げることにより、実際に形成され
る火炎面を広げ、NOxの発生を低減し、よりクリーン
な室内開放型の燃焼温風暖房器を提供するようにしてい
る(特開平2-219901号公報)。
【0137】すなわち、図56(a)は、バーナ182
の1次炎孔186部を拡大して示した正面図で、図56
(b)は同部の断面図である。予混合された燃料はバー
ナ182を通り、1次炎孔184より上方および側方に
拡散しながら2次空気を周囲より取り込み燃焼を完結す
る。その時、火炎面は側方にも広がるため同一燃焼量に
対して火炎面が広がり、それに応じて火炎温度も低下す
る。そのためNOxの発生が抑制されることとなる。一
方、更に燃焼量を減少させると、予混合ガスの1次炎孔
184からの噴出力が弱くなるため、ドラフトの影響で
火炎の側方への広がりが抑えられる。
【0138】以上より、燃焼領域を確保しつつ、NOx
発生を低減することが可能となり、クリーン性・安全性
を向上させることができるようになるというのである。
【0139】しかし、このようなバーナでは、低NOx
燃焼は可能になるかもしれないが、先に燃焼振動の発生
機構について説明したようにスリット孔より噴出する速
度が遅いと燃焼振動を起こしやすくなるのでこれを避け
るような設計も必要である。すなわち、1次炎孔を形成
しているスリット幅を2y0とし、ケーシングによって
構成される音響系の等価長をLとし、本発明に示した振
動発生領域をはずしたスリット幅を採用する必要があ
る。
【0140】
【発明の効果】本発明によって燃焼振動に悩まされてい
た状況から一挙に解放されることになる。従来も問題の
なかったバーナについても本発明に従って計算し直して
おけば、y0としていくらの値をとればよいか、励起源
としてどの燃焼域を考慮すべきか、あるいは火炉の共鳴
に対する代表早さは何処をとるのが妥当かなど知識の蓄
積が計れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るバーナの設計手順の内容を示すフ
ローチャートである。
【図2】火炉寸法と周波数の関係を示す説明図である。
【図3】仕事流速関数が極値をとる無次元流速Um(U
=u0/√(ωκ))の値の流路幅/温度境界層厚さ(√
(2)y0/δκ)に対する挙動を示す特性図である。
【図4】工業用炉等の燃焼炉に用いられるバーナの燃焼
振動対策を施したものの従来例である。
【図5】給湯器における燃焼振動低減法の従来例であ
る。
【図6】給湯器の燃焼振動をマフラー効果によって低減
した従来例である。
【図7】給湯器の燃焼振動をバーナ部を共鳴器として低
減する際のバーナ構造の従来例である。
【図8】給湯器のバーナ構造によって燃焼振動を低減し
た従来例である。
【図9】本発明に係る解析計算との比較のための実験値
を採取したシングルバーナ用テスト炉を示す構成図であ
る。
【図10】実験に用いたテスト用バーナの構造を示す図
である。
【図11】実験に用いたテスト用バーナの構造を示す断
面図である。
【図12】振動領域の計算結果(ガス温度:600℃,
火炉長さ:2m,発熱位置:0.1m)を示す図であ
る。
【図13】振動領域の計算結果(ガス温度:600℃,
火炉長さ:2m,発熱位置:0.2m)を示す図であ
る。
【図14】シングルバーナ炉による実験結果を示す図で
ある。
【図15】本発明に係る解析計算との比較のための実験
値を採取したマルチバーナ用テスト炉の構造を示す図で
ある。
【図16】マルチバーナ炉による実験結果を示す図であ
る。
【図17】マルチバーナ炉による実験結果を示す図であ
る。
【図18】振動領域の計算結果(ガス温度:800℃,
火炉長さ:2m,発熱位置:0.2m)である。
【図19】振動領域の計算結果(ガス温度:1000
℃,火炉長さ:2m,発熱位置:0.2m)である。
【図20】振動領域の計算結果(ガス温度:600℃,
火炉長さ:2m,発熱位置:0.2m,y0:変化)を示
す図である。
【図21】振動領域の計算結果(ガス温度:600℃,
火炉長さ:2m,発熱位置:0.2m,y0:変化)を示
す図である。
【図22】シングルバーナ炉における計算結果(L=2
m,√(2)y0/δκ=28.8)を示す図である。
【図23】シングルバーナ炉における計算結果(L=2
m,√(2)y0/δκ=86.6)を示す図である。
【図24】流路幅y0の気体流量および気体温度による
変化(炉奥行き長さ:L=0.5mの場合、気体流量:
Q=1〜2m3/h)を示す図である。
【図25】流路幅2y0の気体流量および気体温度によ
る変化(炉奥行き長さ:L=1mの場合、気体流量:Q
=1〜2m3/h)を示す図である。
【図26】流路幅2y0の気体流量および気体温度によ
る変化(炉奥行き長さ:L=2mの場合、気体流量:Q
=1〜2m3/h)を示す図である。
【図27】流路幅2y0の気体流量および気体温度によ
る変化(炉奥行き長さ:L=0.5mの場合、気体流
量:Q=3〜8m3/h)を示す図である。
【図28】流路幅2y0の気体流量および気体温度によ
る変化(炉奥行き長さ:L=1mの場合、気体流量:Q
=3〜8m3/h)を示す図である。
【図29】流路幅2y0の気体流量および気体温度によ
る変化(炉奥行き長さ:L=2mの場合、気体流量:Q
=3〜8m3/h)を示す図である。
【図30】流路幅2y0の気体流量および気体温度によ
る変化(炉奥行き長さ:L=0.5mの場合、気体流
量:Q=10〜60m3/h)を示す図である。
【図31】流路幅2y0の気体流量および気体温度によ
る変化(炉奥行き長さ:L=1mの場合、気体流量:Q
=10〜60m3/h)を示す図である。
【図32】流路幅2y0の気体流量および気体温度によ
る変化(炉奥行き長さ:L=2mの場合、気体流量:Q
=10〜60m3/h)を示す図である。
【図33】流路幅2y0の気体流量および気体温度によ
る変化(炉奥行き長さ:L=3mの場合、気体流量:Q
=10〜60m3/h)を示す図である。
【図34】無次元温度変動関数の虚数部の値(√(2)
0/δκ=1〜3)を示す図である。
【図35】無次元温度変動関数の虚数部の値(√(2)
0/δκ=4〜6)を示す図である。
【図36】無次元温度変動関数の虚数部の値(√(2)
0/δκ=8〜15)を示す図である。
【図37】無次元温度変動関数の虚数部の値(√(2)
0/δκ=20)を示す図である。
【図38】無次元温度変動関数の虚数部の値(√(2)
0/δκ=30)を示す図である。
【図39】本発明を適用可能な産業用ボイラの平面図で
ある。
【図40】本発明を適用可能な代表的な工業用バーナの
例である。
【図41】本発明を適用可能なガスタービン燃焼器用バ
ーナの一例を示す縦断面図である。
【図42】図41中のパイロットバーナを示す拡大縦断
面図である。
【図43】図41中の予混合型メインバーナを示す拡大
縦断面図である。
【図44】本発明を適用可能なガスタービン燃焼器用バ
ーナの一例を示す縦断面図および横断面図である。
【図45】本発明を適用可能なラジアントチューブの概
略系統図である。
【図46】本発明を適用可能なラジアントチューブバー
ナの一例である。
【図47】本発明を適用可能なラジアントチューブバー
ナの一例である。
【図48】本発明を適用可能なラジアントチューブバー
ナの一例である。
【図49】本発明を適用可能なラジアントチューブバー
ナの一例である。
【図50】本発明を適用可能な給湯器等に使用されるバ
ーナの一例で、(a)は低NOx燃焼装置の概略断面
図,(b)は低NOx燃焼装置の要部拡大斜視図であ
る。
【図51】本発明を適用可能な給湯器等に使用されるバ
ーナの一例である。
【図52】本発明を適用可能な給湯器等に使用されるバ
ーナの一例である。
【図53】本発明を適用可能な給湯器等に使用されるバ
ーナの一例である。
【図54】本発明を適用可能な給湯器等に使用されるバ
ーナの一例である。
【図55】本発明を適用可能な給湯器等に使用されるバ
ーナの一例である。
【図56】図55で使用されるバーナの炎孔の詳細図で
ある。
【符号の説明】
1、52 バーナ 2 保炎板 3 重油バーナ 4 1次空気噴出口 5 2次空気通路 6 2次空気ベーン 8 燃料噴射管 9 主孔燃料噴射孔 10 副孔燃料噴射孔 11、12 ガス噴射ノズル 13 主孔燃料噴射 14 副孔燃料噴射
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年9月1日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正内容】
【0033】
【数5】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正内容】
【0050】
【数14】

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃料と空気を燃焼室の空間に噴出して燃
    焼させるバーナにおいて、前記バーナの火炎流に係る熱
    輸送の状態方程式に基づいて得られる前記火炎流の全空
    間にわたる音響仕事量の虚数部が、火炎流の無次元流速
    に関して有する極値の最大値を越えるように、火炎流の
    流速が設定されてなることを特徴とするバーナ。
  2. 【請求項2】 燃料と空気を燃焼室の空間に噴出して燃
    焼させるバーナにおいて、燃料供給装置と空気供給装置
    と燃焼室の諸寸法および燃焼室内の温度によって定る諸
    因子を独立変数とする次式数1と数2で表す関数値F*
    が、無次元流速Uに関して有する極値の最大値を越える
    ように、火炎流の流速が設定されてなることを特徴とす
    るバーナ。但し、γは空気あるいは空気燃料混合気の比
    熱比、ρmは空気あるいは空気燃料混合気の密度、cは
    音速、nは振動の次数、βは気体の体膨張率、κは気体
    の温度伝導率(=K/ρmp)、Cpは気体の定圧比
    熱、Kは気体の熱伝導率、ωは角周波数(両端閉のとき
    はω=ncπ/L)、Lは空洞の長さ(予測振動モード
    に対応する炉長)、Uは空気あるいは空気燃料混合気の
    無次元流速、u0は気体の流速、y0は空気あるいは空気
    燃料混合気の流路幅、FI11,FI12,FI21,Fl22は空
    洞形状、予想振動モードや発熱領域の位置によって定ま
    る関数である。 【数1】 ここで、FI11,FI12,FI21,Fl22 は、燃焼室を両
    端閉の音響菅とみなすと、次式数2で表せる。 【数2】
  3. 【請求項3】 空気あるいは空気燃料混合気の流速を、
    関数値F*が極大値をとるいくつかの無次元流速Uの間
    で動作するように構成したことを特徴とする請求項2に
    記載のバーナ。
  4. 【請求項4】 無次元流速Uが次式より求められる値U
    m(m=1)より大きい値をとるように構成したことを
    特徴とする請求項2に記載のバーナ。 【数3】
  5. 【請求項5】 数3においてmおよびm−2(但し、m
    は奇数)を代入した値の間に無次元流速Uが来るように
    した構成したことを特徴とする請求項4に記載のバー
    ナ。
  6. 【請求項6】 数3においてm−1を代入したときの無
    次元流速Uになるように構成したことを特徴とする請求
    項4に記載のバーナ。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014190548A (ja) * 2013-03-26 2014-10-06 Mitsubishi-Hitachi Metals Machinery Inc ラジアントチューブバーナ制御装置
JP2017062105A (ja) * 2016-11-29 2017-03-30 ボルカノ株式会社 燃焼装置
CN109442404A (zh) * 2018-12-19 2019-03-08 陕西环通标准锅炉有限公司 一种低氮低耗低噪全预混器的水冷壁燃烧器
JP2023163447A (ja) * 2022-04-28 2023-11-10 三菱重工パワーインダストリー株式会社 ガスバーナ

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