JPH08109468A - 磁電変換素子の製造方法 - Google Patents

磁電変換素子の製造方法

Info

Publication number
JPH08109468A
JPH08109468A JP6246223A JP24622394A JPH08109468A JP H08109468 A JPH08109468 A JP H08109468A JP 6246223 A JP6246223 A JP 6246223A JP 24622394 A JP24622394 A JP 24622394A JP H08109468 A JPH08109468 A JP H08109468A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thin film
indium
antimony
substrate
insb
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP6246223A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3155670B2 (ja
Inventor
Toshiaki Fukunaka
敏昭 福中
Takeki Matsui
雄毅 松居
Kenji Kai
健司 甲斐
Hideki Araki
秀輝 荒木
Fujimi Kumazawa
富士美 熊沢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Electronics Co Ltd
Original Assignee
Asahi Kasei Electronics Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=17145350&utm_source=google_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JPH08109468(A) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by Asahi Kasei Electronics Co Ltd filed Critical Asahi Kasei Electronics Co Ltd
Priority to JP24622394A priority Critical patent/JP3155670B2/ja
Publication of JPH08109468A publication Critical patent/JPH08109468A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3155670B2 publication Critical patent/JP3155670B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)
  • Physical Vapour Deposition (AREA)
  • Hall/Mr Elements (AREA)
  • Measuring Magnetic Variables (AREA)
  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 アルミナ等のパッシベーションを形成するこ
となく、耐湿性を向上させ、高い信頼性を有するインジ
ウムアンチモン系磁電変換素子を形成する。 【構成】 基板上に、インジウムアンチモン化合物の結
晶と単体インジウムとの複合結晶からなり、かつ全イン
ジウムのアンチモンに対する原子比が1.1〜1.7の
範囲にあるインジウムアンチモン複合結晶薄膜を蒸着に
より形成させ、次いでインジウムをインジウムアンチモ
ン化するに必要な量よりも2倍以上過剰のアンチモン
を、アンチモンの再蒸発が起こる以上の基板温度で蒸着
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁電変換素子の製造方
法に関し、さらに詳しくは信頼性に優れたインジウムア
ンチモン系磁電変換素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】インジウムアンチモン(以下InSbと
略す)は、他の化合物半導体、例えばインジウム砒素
(InAs、移動度30,000cm2 /V/sec)
やガリウム砒素(GaAs、移動度7,000cm2
V/sec)に比べて非常に高い電子移動度(78,0
00cm2 /V/sec)を有するため、磁電変換素子
の素材として好適であることが知られている。ここで、
磁電変換素子としては、VTR、フロッピディスクやC
D−ROM等のドライブモータ用の回転位置検出センサ
として用いられるホール素子;ポテンショメータ、歯車
の回転検出センサあるいは紙幣に塗られている磁気イン
クパターンを検出する紙幣認識用磁気センサとして用い
られる半導体磁気抵抗素子などを挙げることができる。
【0003】InSbを素材として用いた磁電変換素子
がセンサとして機能するためには、実用上の抵抗値を確
保するため、InSbを厚さ1μm程度に薄膜化する必
要がある。
【0004】また、InSbの高感度な特性を用いるた
めには、薄膜化すると同時に高い電子移動度を確保する
必要がある。この要求に応じる一つの方法としては、単
結晶を切り出し研磨して薄膜化する方法がある。しかし
ながら、この方法によるとほぼ単結晶なみの電子移動度
が確保できるものの、所望の厚さ1μm程度の薄膜を均
一につくることは困難である。また、この方法ではコス
トが非常に高いという問題がある。
【0005】そこで、量産化可能で、かつ所望の特性を
得ることができるInSbの薄膜化方法が種々検討され
ている。例えば、特公昭51−45234号公報には、
いわゆる転写法が示されている。すなわち、雲母等の結
晶性基板上にInSb薄膜を蒸着により形成した後、こ
の薄膜をエポキシ樹脂などの接着剤を用いて別の絶縁性
基板に接着し、次いで結晶性基板を除去するというもの
である。この場合、結晶性基板を用いるので、蒸着条件
を選べばかなり高い移動度で所望の膜厚のInSb薄膜
が量産性よく形成できるというメリットがある。
【0006】また、本発明者らは、高移動度InSb薄
膜形成のための条件を種々提案してきた。特公平1−1
3211号公報では、InのSbに対する原子比が1.
0ではなく、1.1〜1.7という過剰のInとするこ
とが、高移動度InSb薄膜形成のための必要条件であ
ることを明らかにした。さらに、基板温度、InとSb
とのフラックス等の高移動度化のための他の必要条件を
明らかにした(特公平1−13211号公報、特公平1
−15135号公報、特公平2−47849号公報、特
公平3−59571号公報参照)。このようにして、I
nを著しく過剰にして移動度が極めて高い、例えば6
0,000cm2 /V/secにも達する薄膜を作成す
ることができる。そして、このような薄膜を樹脂を介し
て、例えばフェライト、セラミックスのような別の絶縁
性基板に転写し、パターニング、組立てを行うことによ
り、ホール素子や半導体磁気抵抗素子を作成した。
【0007】一方、特開昭59−202674号公報に
は、InのSbに対する原子比が、1.1〜1.7の範
囲にあるInSb系複合結晶薄膜を蒸着により形成さ
せ、次いでSbを蒸着して、最終的に原子比が1.0に
近い薄膜とすることが示されている。つまり、予め過剰
のInを含むInSb系複合結晶薄膜を作成し、次いで
単体In量を減少させることにより、ホール係数が高
く、高抵抗の磁電変換素子が作成できることが示されて
いる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このような
薄膜を用いた場合、実用上の信頼性を確保するため、特
に耐湿性を向上させるため、パッケージ用の樹脂と薄膜
の間にパッシベーション層、例えばアルミナ薄膜を形成
するという付加的な処置を施す必要があった。
【0009】本発明者らは、かかる信頼性の問題をさら
に詳しく検討してきたが、基本的には蒸着薄膜にかかわ
るものであることを究明するに到った。
【0010】ホール素子の場合は転写の前にアルミナを
蒸着することにより、耐湿性等の信頼性を確保すること
ができたが、半導体磁気抵抗素子の場合は感度が特に重
視される関係で、アルミナ蒸着を行わず、湿度進入の防
止処理を施す必要がある。
【0011】一方、技術の発達と共に、信頼性の要求レ
ベルが高くなり、また、コストダウンの要請があるの
で、複雑な工程を導入することなく、つまりアルミナを
蒸着することなく、高い信頼性を有する素子を製造する
ことが求められてきた。
【0012】本発明は、以上の事情に鑑み、信頼性の高
い磁電変換素子を作成することができる磁電変換素子の
製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、InSb自体
は酸化されにくい非常に安定した化合物であり、信頼性
を悪くする要因は過剰の単体Inであり、過剰の単体I
nを無くすことができること、そして、そのようにして
作った薄膜を用いれば何等別の処理をしなくても信頼性
が非常に向上した素子を作ることができることを見いだ
し本発明を完成するに到った。
【0014】すなわち本発明は、基板上に、インジウム
アンチモン(InSb)化合物の結晶と単体インジウム
(In)との複合結晶からなり、かつ全インジウム(I
n)のアンチモン(Sb)に対する原子比が1.1〜
1.7の範囲にあるインジウムアンチモン(InSb)
複合結晶薄膜を蒸着により形成し、次いで、残りのイン
ジウム(In)をインジウムアンチモン(InSb)化
するに必要な量よりも2倍以上の過剰なアンチモン(S
b)を、アンチモン(Sb)の再蒸発が起こる以上の基
板温度で蒸着することを特徴とする磁電変換素子の製造
方法にある。
【0015】本発明に用いる基板は、InSbの結晶を
よく成長させ、しかもInSb薄膜が強く付着しないで
すぐ後で剥離できる雲母が好ましい。
【0016】この基板上にInSb薄膜を形成するため
には、通常蒸着、分子線エピタキシー(MBE)、スパ
ッタリング等の蒸着法が用いることができる。この際、
実用特性の点から薄膜の厚みは0.1〜2μmの範囲が
好適である。
【0017】本発明においては、まず、InSb系薄膜
におけるInSb中のInと単体Inとの合計InのS
bに対する原子比が1.1〜1.7の範囲になるように
制御することが必要である。この範囲は、範囲外のもの
に比べて特に高い移動度を示し、実用的な特性の薄膜を
形成し得るものである。原子比が1.1未満の場合に
は、脆い薄膜しか得られず、結晶性も悪くてノイズも大
きい。また、1.7を越えるとピンホールが生じ収率の
低下をもらす。特に好ましい原子比は、1.2〜1.6
の範囲であって、この範囲内では薄膜の結晶性がよく、
かつ高移動度である上に、ノイズレベルの低い均一性の
よいものとなる。
【0018】InSb系複合結晶薄膜を形成させる方法
として本発明者らが先に提案した方法(特公平1−13
211号公報、特公平2−47849号公報、特公平3
−59571号公報)に基づき、InおよびSbの飛量
と基板温度とを別々に制御する蒸着手段を用いることが
できる。特に高い移動度を有する薄膜を得るためには、
基板温度の上昇などの手段が有用である。
【0019】例えば、特公平3−59571号公報によ
ると、InとSbとの平均原子比を1.1〜1.7の範
囲に蒸着させるに際し、蒸着初期におけるSbに対する
Inの到達速度比を1.0以下とし、かつ基板温度(絶
対温度)Tを以下の式の範囲に入るように選択した場
合、特に高移動度のInSb系複合薄膜が得られる。
【0020】
【数1】Tc ≦ T ≦ Tc+30 ここに、Tcは、下記式で与えられる境界の基板温度T
cである。
【0021】
【数2】1/Tc=1.29×10-3−3.84×10
-5logP (Tcは境界の基板温度(絶対温度)、Pは蒸着中の真
空度(Torr)) この段階で、形成されたInSb系複合結晶薄膜は、I
nSbの膜面にInSb膜内から析出した単体Inが分
布している形態となっている。
【0022】次に、このInが極めて過剰であるInS
b系複合結晶薄膜に、さらに、単体InをInSb化す
るに必要な量よりも2倍以上過剰の、より好ましくは4
倍以上のSbを、Sbの再蒸発が起こる以上の基板温度
で蒸着する。この結果、複合結晶中の単体InがInS
bとなるが、移動度は高いまま保たれる。2倍未満であ
るとInが残ってしまい、後でアルミナを蒸着する方式
の場合以上の信頼性を確保することができない。
【0023】また、基板温度は、蒸着チェンバ中の真空
度にもよるが、熱力学データにより見通しをつけること
ができる。例えば、ストゥル、シンケ量子の著書、サー
モダイナミック・プロパティーズ・オブ・ザ・エレメン
ツ(Thermodynamic Propertie
s of The Elemennts,D.R.St
ull and G.C.Sinke,America
n ChemicalSociety,1956)のデ
ータを参考にすると、427℃で9.9×10-5Tor
r、527℃で6.5×10-3Torrの平衡蒸気圧に
なるから、蒸着器の真空度が例えば10-6Torrであ
れば、427℃の基板温度でSbが再蒸発するというこ
とになる。
【0024】本発明においては、Sbを過剰に蒸着する
ことにより、再蒸発が抑えられ、過剰の単体InはIn
Sb化され、余分のSbは付着しない条件を選択する。
例えば、1016Torrの真空中、基板温度を500℃
にし、Sbを、過剰の単体InがInSb化するに必要
な量の10倍を蒸着するというような条件である。この
ようにして、最終的にInとSbとの原子比が1.0の
薄膜とすることができる。
【0025】Sb蒸発源としては、Sb単体はもちろ
ん、InSbやGaSbを使用できる。さらに、これら
にSbを加えてもよい。この場合、Sbは蒸発するが、
InやGaが蒸発しないボート温度条件を選択すること
が必要である。
【0026】次に、上記のようにして雲母基板上に形成
されたInSb薄膜を樹脂を介して別の絶縁性基板に接
着する。この際、絶縁性基板として、半永久的に素子を
保持するための基板であるから、高い信頼性のあるもの
が好ましい。例えば、無機材料が挙げられ、アルミナ、
フェライト、窒化ケイ素、石英、サファイア等を用いる
ことができる。このうち、特公昭51−45234号公
報に記載されたように、フェライトを用いると、磁気集
束チップを新たに載置することにより、さらに大幅な感
度アップをはかることができる。
【0027】かかる絶縁性基板にInSb薄膜を接着す
る樹脂は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等、例えばエポ
キシ樹脂、ポリミド樹脂等から選ぶことができる。ま
た、接着は極めて簡便な方法を用いることができる。例
えば、薄膜上に樹脂を滴下し、絶縁性基板をその上に載
置し、加温、あるいは、さらに加圧して所定時間放置す
るといった方法である。滴下するかわりにスクリーン印
刷を用いてもよい。一般に、樹脂の適度な粘度のもとで
は、接着層である樹脂層の厚みは数μmまで均一に転写
することが可能である。
【0028】次いで、雲母を剥離し、半永久的な絶縁性
基板に担持されたInSb薄膜が形成される。
【0029】以上のようにして形成されたInSb薄膜
を担持した基板を、パターニング工程で電極形成および
個別素子化を行う。この電極用金属としてAl、Ni、
Cr、Cu、Pd、Au等が用いられ、電極は一般にこ
れらの金属の積層構造とする。さらにダイシング工程に
より、一個一個のペレットとし、これらのペレットをダ
イボンダ等でリードフレームに固着し、ペレットの電極
とリードフレームとをワイヤボンダ等でつなぎ、さらに
モールド工程等をにより、磁電変換素子とする。
【0030】
【作用】このようにしてつくった磁電変換素子は、過剰
のInのないInSb薄膜を作成でき、信頼性が極めて
優れた素子となる。
【0031】
【実施例】次に、実施例によって本発明をさらに詳細に
説明する。
【0032】まず、結晶成長用基板として雲母を用い、
この12枚の結晶成長用基板を、円盤状の基板ホルダに
設置する。回転駆動される基板ホルダには、同心円上に
52mm角の大きさの穴が形成され、結晶成長用基板
は、これらの穴の部分に設置される。基板ホルダは、3
つの蒸着源用ボートを有する真空蒸着装置内に設置さ
れ、かかる真空蒸着装置を用いて、結晶成長用基板上に
InSbを蒸着した。蒸着にあたっては、真空度を7×
10-6Torrにし、基板温度を400℃に設定して、
トータル蒸着時間は17分間とし、最終温度を480℃
とした。この間の基板温度上昇速度を、蒸着開始後0〜
6分、6〜14分、14〜17分で各々0℃/分、1
2.5℃/分、0℃/分に設定した。
【0033】このような条件でボートからのInおよび
Sbの飛び量をそれぞれ2gおよび3gとすると、最初
の14分間のInとSbとの比は、Inが約30%過剰
となる。
【0034】最後の3分間はSbのみを、過剰である単
体Inの当量より、飛び量から換算して、約1.5倍、
2倍、4倍、8倍過剰にして、それぞれSb蒸着した。
なお、比較のため、Sbのみの蒸着を行わないもの(0
倍)も作製した。
【0035】各蒸着条件において、それぞれ、12枚の
薄膜がともに同一の性状を示した。また、8倍過剰にし
た場合の、12枚のうち1枚の組成分析をXMAで行っ
たが、ウェハ全面の組成比が1.0であった。さらに、
この薄膜について、ファン・デル・パウ法で移動度を測
定したところ、45,000±500cm2 /V/se
cであった。また、厚みは0.7±0.05μmであっ
た(パターニング後ディックタックで測定)。
【0036】得られた薄膜のうち、Sbのみの蒸着を2
倍以上で行ったもは金色かかった色に近いが、Sbのみ
の蒸着を行わなかったもの(0倍)およびSb蒸着を
1.5倍で行ったものは、白っぽい外観を有するので、
本発明によりできる薄膜は目視で識別できる。700倍
以上拡大した金属顕微鏡での膜面観察では、Sb蒸着前
では半球状に析出している単体InがSb蒸着後潰れた
様態になっている。この表面状態の形状差と、単体In
がInSb化となる膜構成成分差が外観色調に変化を与
えているものと考えられる。
【0037】次に、50mm角のフェライトを準備し、
InSb薄膜上にポリイミド樹脂を滴下し、フェライト
をその上に重ね、重しを置いて200℃で12時間放置
した。次に室温に戻し、雲母を剥ぎ取った。このInS
b薄膜を担持したウェハよりホール素子パターンを形成
するのに、フォトリソグラフィの手法を用いた。
【0038】図1〜図2にパターニング後のホール素子
の構造を示す。図1はその平面図、図2は図1のA−A
線断面図である。図示したように、絶縁性基板1上に
は、ポリイミド樹脂層2およびInSb薄膜層3が順次
積層されている。このInSb薄膜層3の中央の感磁部
3a以外の部分には、オーミックコンタクトしたCuな
どの導体層4が形成されており、さらにその上に、ボン
ディングのための電極層としてNi層5、およびAu層
6が積層されている。本実施例では、Cu、Ni、Au
各層の厚みは約3μmであった。ペレットの大きさは
0.8mm角であった。
【0039】次いで、ダイシングして個々の素子に分割
し、これらのペレットをリードフレーム上のアイランド
部にダイボンドし、さらにリードとペレットの電極部と
をワイヤボンディングによりAu線でつないで電気的接
続をした。さらに、トランスファーモールド、電気検査
等の工程を経てホール素子が完成した。
【0040】これらの素子の中から100ケ抜き取っ
て、半田ディップ300℃を5秒間行った後、85℃、
85%RHの恒温恒湿槽中に200時間放置という信頼
性テストを行った。
【0041】この信頼性試験前後で、ホール素子の電気
磁気特性を示す抵抗値と0.05テラス中でのホール電
圧の各値がそれぞれどれだけ変化したかを変化率に換算
し評価した。
【0042】過剰の単体Inの等等の8倍過剰にしてS
bのみを蒸着した場合、抵抗値の変化率が約0.6%、
ホール電圧の変化率が約0.5%であり、変化率の偏差
でも、抵抗値が約0.3%、ホール電圧が約0.4%で
あり、良好な結果が得られた。
【0043】過剰の単体Inの等量の4倍過剰にしてS
bのみを蒸着した場合、XMAでの成分分析において、
組成比1.0であった。信頼性試験を実施したところ、
抵抗値の変化率の平均で0.9%、0.05テラス中で
のホール電圧の変化率が0.5%であった。また、変化
率の偏差でも、抵抗値が0.3%、ホール電圧が0.5
%であり、良好な結果が得られた。
【0044】過剰の単体Inの等量の2倍過剰にしてS
bのみを蒸着した場合、XMAでの成分分析において、
組成比1.0であった。信頼性試験を実施したところ、
抵抗値の変化率の平均が1.7%、0.05テラス中で
のホール電圧の変化率が0.7%であった。また、変化
率の偏差でも、抵抗値が0.3%、ホール電圧が0.6
%であり、良好な結果が得られた。
【0045】過剰の単体Inの等量の1.5倍過剰にし
てSbのみを蒸着した場合、X線解析によるIn(10
1)ピークがみられた。この薄膜を用いて素子をつく
り、信頼性テストを行ったところ、抵抗値の変化率が
9.7%、0.05テラス中でのホール電圧の変化率が
約8.9%であった。Sbの蒸着を行わなかった場合
(0倍)に比べ若干向上するが過剰の単体Inの等量の
2倍過剰にしてSbのみを蒸着した場合より変化率が大
きい。また、この結果は、少しのInの存在も信頼性を
低下させることを示している。
【0046】後半のSbのみの蒸着を行わなかった場
合、すなわち過剰の単体Inの等量の0倍過剰にしてS
bのみを蒸着した場合、抵抗値の変化率の平均が11.
1%、0.05テラス中でのホール電圧の変化率が1
0.5%であった。また、変化率の偏差でも、抵抗値が
0.8%、ホール電圧が0.7%であった。
【0047】なお、Sbのみの蒸着を行わなかった場
合、すなわち過剰Inの状態にしてその薄膜上にアルミ
ナを2,500Å程度蒸着した薄膜を用いてホール素子
を作成し、同様の信頼性試験を行ったところ、抵抗変化
率は平均が約2.5%、0.05テラス中でのホール電
圧の変化率は平均が約3.2%であった。これよりSb
を過剰の単体Inの等量の2倍以上過剰に蒸着した場合
の方が、アルミナ蒸着より信頼性において優れているこ
とが判る。また、この結果は、過剰に存在する単体In
が、耐湿性に対して悪影響を与えていることを示してい
る。
【0048】過剰である単体Inの当量とSb飛び量か
ら換算したSbの等量との比と半田ディップ(300
℃、5秒)後の湿度放置試験(85℃、85%RH)の
結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】次に、他の実施例として、最初にInおよ
びSbのボートからの飛び量を、それぞれ2.1gおよ
び4g、1.5gおよび3gに変える以外は上記の実施
例と同じようにして、組成上1.0のInSb薄膜を作
成した。これらの移動度は各々41,000±500c
2 /V/sec、37,000cm2 /V/secで
あった。これらの薄膜から上記の実施例と同様にしてホ
ール素子をつくり、信頼性テストにかけたところ、Sb
を過剰の単体Inの等量の2倍以上過剰に蒸着した場
合、変化率と偏差の平均はいずれも1%以下で、良好な
結果が得られた。
【0051】また、電極構造のみを3μmのCu、3.
5μmのNi、および0.5μmのPdの積層構造に変
えた場合でも、信頼性テストの結果は、上記と同程度の
優れたものであった。
【0052】次に、ホール素子を作成したものと同様の
薄膜を用い、半導体磁気抵抗素子を作成した。
【0053】50mm角のアルミナ基板を準備し、In
Sb薄膜上にポリイミド樹脂を滴下し、アルミナ基板を
その上に重ね、重しを置いて200℃、12時間放置し
た。それから室温に戻し、雲母を剥ぎ取った。このIn
Sb薄膜を担持したウェハより半導体磁気抵抗素子パタ
ーンを形成するのに、フォトリソグラフィの手法を用い
た。
【0054】図3〜図5には、パターニング後の半導体
磁気抵抗素子の構造を示す。図3はその平面図、図4は
図3のB−B線断面図、図5は図3のC−C線断面図で
ある。
【0055】これらの図に示すように、絶縁性基板11
上には、ポリイミド樹脂層12およびInSb薄膜層1
3が順次積層されている。このInSb薄膜層13の感
磁部以外の部分には、オーミックコンタクトしたCuな
どの導体層16が短冊状に形成されており、ラスタ電極
と呼ばれる電界を短絡する部分が構成されている。ラス
タ電極の幅Wを200μm、ラスタ電極間のInSbの
間隔Lを30μmで形成した。
【0056】さらに外部の回路と接続するための電極層
17を半田で形成し、0.03mm厚のリン青銅箔でで
きたリード端子を半田付けした。その上に、0.15m
m厚の保護ガラスをシリコーン樹脂で貼り付け、ポテン
ショメータ用半導体磁気抵抗素子を作成した。
【0057】これらの素子の中から100ケ抜き取っ
て、300℃の半田ディップを5秒間行った後、85
℃、85%RHの恒温恒湿層中に200時間放置という
信頼性テストを行った。この信頼性試験前後で、半導体
磁気抵抗素子の電気磁気特性を示す項目である抵抗値と
0.4テラス中での磁気抵抗変化率がそれぞれどのくら
い変化したかを変化率に換算し評価した。抵抗値の変化
率、磁気抵抗変化率の変化率とも平均で1%以下であっ
た。また、変化率の偏差でも、抵抗値で0.2%、磁気
抵抗変化率で0.3%であった。
【0058】しかし、後半の蒸着を行わないで、半導体
磁気抵抗素子を作成し、同じ信頼性試験を実施したとこ
ろ、抵抗値の変化率、磁気抵抗変化率の変化率とも10
%以上であった。半導体磁気抵抗素子においては、蒸着
膜にアルミナを蒸着すると磁気抵抗変化率が10%低下
するため、感度を重視しアルミナは蒸着しない。従っ
て、半導体磁気抵抗素子では、本発明によって信頼性が
著しい改善となった。
【0059】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の磁電変換素子は、アルミナ等のパッシベーションを形
成することなく、耐湿性に優れ、信頼性の極めて優れた
ものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したホール素子の平面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】本発明を適用した半導体磁気抵抗素子の平面図
である。
【図4】図3のB−B線断面図である。
【図5】図3のC−C線断面図である。
【符号の説明】
1 絶縁性基板 2 樹脂層 3 InSb薄膜層 4 導電層 5 ボンディング用電極層 6 ラスタ電極層 7 リード端子半田付け用電極層
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01R 33/09 H01L 43/12 (72)発明者 荒木 秀輝 宮崎県延岡市旭町6丁目4100番地 旭化成 電子株式会社内 (72)発明者 熊沢 富士美 宮崎県延岡市旭町6丁目4100番地 旭化成 電子株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に、インジウムアンチモン化合物
    の結晶と単体インジウムとの複合結晶からなり、かつ全
    インジウムのアンチモンに対する原子比が1.1〜1.
    7の範囲にあるインジウムアンチモン複合結晶薄膜を蒸
    着により形成し、次いでインジウムをインジウムアンチ
    モン化するに必要な量よりも2倍以上過剰のアンチモン
    を、アンチモンの再蒸発が起こる以上の基板温度で蒸着
    することを特徴とする磁電変換素子の製造方法。
JP24622394A 1994-10-12 1994-10-12 磁電変換素子の製造方法 Expired - Lifetime JP3155670B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24622394A JP3155670B2 (ja) 1994-10-12 1994-10-12 磁電変換素子の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24622394A JP3155670B2 (ja) 1994-10-12 1994-10-12 磁電変換素子の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08109468A true JPH08109468A (ja) 1996-04-30
JP3155670B2 JP3155670B2 (ja) 2001-04-16

Family

ID=17145350

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP24622394A Expired - Lifetime JP3155670B2 (ja) 1994-10-12 1994-10-12 磁電変換素子の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3155670B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013168567A (ja) * 2012-02-16 2013-08-29 Asahi Kasei Electronics Co Ltd 化合物半導体薄膜の製造方法
WO2017175308A1 (ja) * 2016-04-05 2017-10-12 株式会社ヴィーネックス 磁気ラインセンサおよびこれを用いた鑑別装置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013168567A (ja) * 2012-02-16 2013-08-29 Asahi Kasei Electronics Co Ltd 化合物半導体薄膜の製造方法
WO2017175308A1 (ja) * 2016-04-05 2017-10-12 株式会社ヴィーネックス 磁気ラインセンサおよびこれを用いた鑑別装置
CN108885808A (zh) * 2016-04-05 2018-11-23 株式会社维纳科斯 磁性线传感器以及使用该磁性线传感器的鉴别装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP3155670B2 (ja) 2001-04-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR910002313B1 (ko) 자전 변환소자
US4296424A (en) Compound semiconductor device having a semiconductor-converted conductive region
JP2005337866A (ja) 磁性体検出器及び半導体パッケージ
US7193288B2 (en) Magnetoelectric transducer and its manufacturing method
EP0042165A2 (en) Magnetoelectric transducer and fabrication method therefor
US6083766A (en) Packaging method of thin film passive components on silicon chip
JP4480318B2 (ja) 複合半導体素子及びその製造方法
JP3155670B2 (ja) 磁電変換素子の製造方法
US4613404A (en) Materials which exhibit a surface active effect with vacuum baked photoresists and method of using the same
JP4846955B2 (ja) 磁電変換素子
JP4410320B2 (ja) 磁電変換素子およびその製造方法
JPH09148652A (ja) 磁電変換素子及びその製造方法
JPH09214019A (ja) 磁電変換素子
JP4573368B2 (ja) フェースダウン接続用小型磁電変換素子の製造方法
JPH02170584A (ja) 磁電変換素子およびその製造方法
JP3264962B2 (ja) 磁電変換素子の製造方法
US20240096525A1 (en) Sensor element and method for producing a sensor element
JPH06105802B2 (ja) 磁電変換素子
JPH0671105B2 (ja) 磁電変換素子の製造方法
JP3161610B2 (ja) ホール素子の製造方法
JP3093925B2 (ja) ホール素子の製造方法
JPH09331088A (ja) ホール素子
JPH09214017A (ja) ホール素子
JP2682928B2 (ja) 磁気抵抗素子
CN113629184A (zh) 化合物半导体霍尔元件及其制备方法

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20010109

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080202

Year of fee payment: 7

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080202

Year of fee payment: 7

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

R371 Transfer withdrawn

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080202

Year of fee payment: 7

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080202

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090202

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090202

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090202

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090202

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090202

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090202

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100202

Year of fee payment: 9

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100202

Year of fee payment: 9

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110202

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110202

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120202

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120202

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130202

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140202

Year of fee payment: 13

EXPY Cancellation because of completion of term