JPH08106681A - 回転ヘッド式記録再生装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 【目的】 回転ヘッド式記録再生装置の固定ドラムおよ
び、または回転ドラムを高精度に樹脂成形して低価格化
する。 【構成】 固定ドラム２のテ−プ走行面２１上に、凹部
２ａと凸部２ｂよりなる溝を交互に設け、リ−ド９のテ
−プ規制面９１上に上段部９ａと下段部９ｂよりなる段
差を交互に設け、凹部２ａを上段部９ａに接続し、凸部
２ｂを下段部９ｂに接続する。 【効果】 上記凹部２ａと上段部９ａおよび凸部２ｂと
下段部９ｂの各接続部が、テ−プ下端部に当接しないの
で、テ−プ走行が安定化される。さらに上記各接続部に
丸味が許容できるので、樹脂成型時の加工逃げ部を省略
して精度良く型を抜くことができ、また、型の摩耗を許
容できるので型の寿命を伸ばすことができる。さらに固
定ドラムのテ−プ接触面積が減るので、テ−プ走行摩擦
を低減し、テ−プの貼り付きを防止することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、テ−プ状記録媒体の記
録再生装置に係り、とくに樹脂成型した回転ドラムおよ
び、または固定ドラムに関する。

【０００２】

【従来の技術】図５はＶＨＳ方式のＶＴＲ等において、
磁気テ−プがＭロ−ディング法式でドラムに巻装された
状態を示す図である。

【０００３】回転ヘッドドラム装置は回転ドラム１と固
定ドラム２により構成され、回転ドラム１には複数の回
転磁気ヘッド３が取り付けられている。回転ドラム１は
矢印ａの方向（反時計方向）に回転し、磁気テ−プ８は
矢印ｂの方向に走行する。

【０００４】磁気テ−プ８はフランジ付きのロ−ラガイ
ドテ−プガイド４、７により走行高さを規制され、傾斜
ガイド５、６により回転ヘッドドラム装置に対する巻付
け角を規定されて回転ヘッドドラム装置上を案内され
る。固定ドラム２にはテ−プ８の下端高さを規制するリ
−ド９設けられている。

【０００５】図６は図５のＡ−Ａ断面におけるリ−ド９
部分の断面図である。テ−プ規制面９１は磁気テ−プ８
の下端位置を規制し、テ−プ走行面２１より径方向にΔ
Ｒだけ突き出ている。また、加工逃げ部９２はテ−プ規
制面９１の直線性を確保するための後加工されたもので
あり、加工用のバイト９３の先端形状により径方向にテ
−プ走行面２１よりΔｒだけ凹んだ状態となっている。

【０００６】なお、特開平６−８４２４４号公報にはＶ
ＴＲの回転ヘッドドラム装置の同様な構成が開示されて
いる。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】上記従来技術において
は、固定ドラム２を樹脂成形により低コスト化する場合
には、一般に成形型の抜き方向を固定ドラム２の軸方向
にしてテ−プ走行面上に成形型の合わせ目であるパ−テ
ィングラインができないようにしていた。このようにす
ると真円度、円筒度、並びに外径、内径等の寸法精度を
確保し易いといった利点がえられる。しかし、上記加工
逃げ部９２が成形上のアンダ−カットとなるため、軸方
向に型が抜きにくいという問題があった。

【０００８】図７は固定ドラム２の成形型の断面図であ
る。

【０００９】第１型６４は固定ドラム２の外周面と上面
を成形し、第２型６５は取付け基準面を成形し、第３型
６６は内周面を成形する。樹脂は樹脂注入口６７より矢
印方向にを流し込まれる。

【００１０】ここで第１型６４を図示の矢印方向に抜こ
うとすると、加工逃げ部９２がアンダ−カットとなり抜
くことができない。また、第３型６６を抜いた後に第１
型を無理に抜こうとすると、固定ドラム２が変形した
り、テ−プ走行面２１が傷つくという問題があった。

【００１１】一方、加工逃げ部９２を除去（Δｒ＝０）
すれば上記の問題が発生しないが、図８に示すように、
リ−ド９のテ−プ規制面９１の角部に丸みが発生が生じ
やすく、図９に示すように磁気テ−プ８の下端高さを安
定に規制出来ないという問題があった。また、成形回数
に比例して型の端部が摩耗するため、初期には図８
（ａ）のように上記テ−プ規制面９１の角部が直角であ
っても次第に同図（ｂ）のように丸みを帯びた形状とな
るので、型を短期に交換する必要が生じ、製造コストが
大幅に増加することが問題であった。

【００１２】本発明の目的は、上記の課題を改善して樹
脂成形した固定ドラムを安価に提供することにある。

【００１３】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、固定ドラム２のテ−プ走行面２１上に凹部２ａと凸
部２ｂよりなる溝構造を上記回転ヘッドの回転軸方向と
ほぼ並行に交互に設け、さらに記録媒体であるテ−プ８
の下端部を案内するリ−ド９のリ−ド面上に上段部９ａ
と下段部９ｂよりなる段差を設け、上記上段部９ａを上
記凹部２ａに接続し、上記下段部９ｂを上記凸部２ｂに
接続するようにする。

【００１４】さらに、回転ドラム１にも固定ドラムと同
様な溝構造やリ−ド面上の段差を設けるようにする。

【００１５】さらに、上記固定ドラム２および、または
回転ドラム１を樹脂成形する。

【００１６】

【作用】凸部２ｂはテ−プ８に当接して固定ドラム２外
周上のテ−プ８の位置を決定し、凹部２ａはテ−プ８に
対する固定ドラム２の接触面積を低減してテ−プ８が固
定ドラム２より受ける摺動摩擦力を低減し、テ−プ２の
貼り付き防止する。

【００１７】また、リ−ド９のテ−プ規制面９１上の上
段部９ａはテ−プ８の下端部を支持して案内する。

【００１８】さらに、上記上段部９ａと凹部２ａの接続
部、および下段部９ｂと凸部２ｂの接続部である各角部
がテ−プ走行面２１の下端およびテ−プ規制面９１から
離れたところに位置するので、樹脂成型よる上記各接続
部のダレがテ−プ規制面９１上にせり出すことがない。

【００１９】さらに、上記固定ドラム２の形状には樹脂
成型の型抜き時に必要な加工逃げ部９２を設ける必要が
ないので、固定ドラム２の樹脂成形精度が著しく向上す
る。

【００２０】

【実施例】図１は本発明による固定ドラムの斜視図であ
る。

【００２１】本発明では、固定ドラム２のテ−プの巻き
付き部に、Ｃに示すような溝形形状を設ける。すなわ
ち、固定ドラム２のテ−プ走行面２１の少なくとも全範
囲に、凹部２ａと斜線で示した凸部２ｂを交互にほぼ等
間隔で設け、凸部２ｂを磁気テ−プ８に接触させて案内
する。

【００２２】図２は図１におけるのテ−プ下端高さを規
制するテ−プ規制面９１付近の拡大図である。テ−プ規
制面９１には点領域で示した上段部９ａと下段部９ｂに
より段差が交互に形成され、上段部９ａは上記凹部２ａ
につながり、下段部９ｂは凸部２ｂにつながっている。
また、上段部９ａは磁気テ−プ８の下端部を案内してテ
−プ走行高さを規制する。

【００２３】図３は図２のＤ−Ｄ断面図、図４は図２の
Ｅ−Ｅ断面図である。

【００２４】図３に示すように、磁気テ−プ８の磁性面
８ａが固定ドラム２の凸部２ｂに当接し、図４に示すよ
うに磁気テ−プ８の下端８ｂがテ−プ規制面９１の上段
部９ａに正確に当接して案内されるので、回転ヘッドド
ラム上を安定に走行することができる。

【００２５】また、固定ドラム２の凸部２ｂの成型に伴
って凸部２ｂの下端部とテ−プ規制面９１の下段部９ｂ
との接続部に生じるダレが、図３に示すようにテ−プ規
制面９１の上段部９ａの下側にくるので、上段部９ａと
下段部９ｂ間の段差δを型の摩耗によって生じるダレの
曲率半径Ｒ以上の値に設定することにより、上記ダレに
よりテ−プ走行が支障を来すという問題を解消すること
ができる。なお、上段部９ａと下段部９ｂの境界部にお
けるダレも上段部９ａの上側にはみ出さないので、上段
部９ａの高さは影響を受けずテ−プ走行も支障を受けな
い。

【００２６】また、固定ドラム２の凹部２ａの成型に伴
って凹部２ａの下端部とテ−プ規制面９１の上段部９ａ
の接続部に生じるダレは、図４に示すように固定ドラム
２の凸部２ｂの内側にくるので、凹部２ａの凹み量δ’
を型の摩耗によって生じるダレの曲率半径Ｒ以上の値に
設定することにより、上記ダレによりテ−プ走行が支障
を来すという問題を解消することができる。なお、凹部
２ａと凸部２ｂとの境界部における上記ダレも凸部２ｂ
の外側にはみ出さないので、テ−プ規制面９１の上段部
９ａの高さは変らず、テ−プ走行も支障を受けない。

【００２７】要約すると、本発明では、上記段差量δ、
δ′を上記各ダレの曲率半径Ｒ以上の値に設定して、成
形型の端部の摩耗により発生するテ−プ走行の不具合を
解消する。また、図６のテ−プ規制面９１に設けていた
加工逃げ部９２を設ける必要がなくなるので、成形型を
抜く際に発生する固定ドラム２の変形がなくなる。

【００２８】また、従来の成形設備を用いて固定ドラム
２を高精度に樹脂成型することができるので低価格化す
ることができる。

【００２９】また、凹部２ａや凸部２ｂの数、およびそ
れぞれの幅等を成形上の制約やテ−プ走行条件等に応じ
て適宜設定することができる。また、凹部２ａの断面形
状は円弧状に限られず、テ−プ８が接触しない他の形状
とすることができる。

【００３０】例えば、図３、４に示したテ−プ規制面９
１の角部の曲率半径Ｒを適宜小さくして、凸部２ｂの幅
を凹部２ａの幅より狭め、固定ドラム２に対する磁気テ
−プ８の接触面積を減らしてテ−プ走行時の摩擦力やテ
−プ８の貼り付き等を抑止し、テ−プの損傷を防止する
ことができる。

【００３１】なお上記本発明の実施例においては、固定
ドラム２について説明したが、上記凸部２ｂ、凸部２ｂ
やテ−プ規制面９１の下段部９ｂ、上段部９ａ等を有す
る構造は回転ドラム１にも適用して同様の効果が得るこ
とができる。この場合、回転ドラム１のテ−プ走行面上
にも空気層(air film)が生じやすくなるので、例えば回
転ドラム１と固定ドラム２上の凸部の数やその形を変え
て上記空気層の厚みを調節し、テ−プの走行摩擦や貼り
付き等の問題をさらに改善することができる。

【００３２】また、本発明はＶＴＲに限らず、他のテ−
プ状記録媒体を用いる記録再生装置に適用して、そのテ
−プ走行性を向上し、同時に生産性を向上して低コスト
化することができる。

【００３３】

【発明の効果】本発明により、ＶＴＲ等の記録再生装置
の回転ヘッドドラムの固定ドラムまたは回転ドラムの一
方または双方を精度良く樹脂成型することができる。す
なわち、樹脂成型の型抜きに必要な逃げ部を設ける必要
がないので、固定ドラムや回転ドラム線等に変形を与え
ることなく型抜きすることができる。

【００３４】この結果、従来の射出成形による固定ドラ
ムや回転ドラム等に必要であった真円度、円筒度、外径
・内径の寸法精度を確保するための後加工が不必要とな
り、固定ドラムを低コスト化することができる。

【００３５】さらに、固定ドラムや回転ドラムのテ−プ
接触面積を小さくできるので、走行負荷の低減し、テ−
プの貼り付きを抑止してテ−プ損傷の少なくすることが
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による固定ドラムの斜視図である。

【図２】図１におけるテ−プ走行面の部分拡大図であ
る。

【図３】図２のＤ−Ｄ断面図である。

【図４】図２のＥ−Ｅ断面図である。

【図５】回転ヘッドドラム部のテ−プ走行状態を示す概
略図である。

【図６】図５のＡ−Ａ部分断面図である。

【図７】図６における型成形の部分断面図である。

【図８】図６において逃げ部を省略した場合の固定ドラ
ムの部分断面図である。

【図９】図８の固定ドラムのテ−プ規制面におけるテ−
プの端部を示す部分断面図である。

【符号の説明】

１…回転ドラム、２…固定ドラム、２ａ…凹部、２ｂ…
凸部、３…磁気ヘッド、４，７…ロ−ラガイド、５，６
…傾斜ガイド、８…磁気テ−プ、９…リ−ド、２１…テ
−プ走行面、９１…テ−プ規制面、９ａ…上段部、９ｂ
…下段部、９２…加工逃げ部、９３…バイト

フロントページの続き (72)発明者 井上 淳 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株 式会社日立製作所映像メディア研究所内 (72)発明者 益岡 信夫 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株 式会社日立製作所映像メディア研究所内 (72)発明者 上遠野 昇 茨城県勝田市稲田1410番地８号 株式会社 日立製作所ＡＶ機器事業部内

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 テ−プ状記録媒体を案内するテ−プ走行
   面とテ−プ状記録媒体の下端高さを規制するリ−ド部を
   備えた固定ドラムと、記録／再生ヘッドを備えて固定ド
   ラムと同軸に回転支持された回転ドラムとを備えた回転
   ヘッド式記録再生装置において、上記固定ドラムのテ−
   プ走行面上に上記回転ヘッドの回転軸方向に沿う凹部と
   凸部を交互に設け、さらに、上記リ−ド部のテ−プ状記
   録媒体の下端部を案内するリ−ド面上に上段部と下段部
   よりなる段差を交互に設け、上記上段部を上記凹部に接
   続し、上記下出段部を上記凸部に接続するようにしたこ
   とを特徴とする回転ヘッド式記録再生装置。
2. 【請求項２】 請求項１において、上記回転ドラムのテ
   −プ走行面上に回転ヘッドの回転軸方向に沿う凹部と凸
   部を交互に設け、さらに、上記回転ドラムのリ−ド部の
   テ−プ状記録媒体の上端部を案内するリ−ド面上に上段
   部と下段部よりなる段差を交互に設け、上記上段部を上
   記凹部に接続し、上記下出段部を上記凸部に接続するよ
   うにしたことを特徴とする回転ヘッド式記録再生装置。
3. 【請求項３】 請求項１または２において、上記固定ド
   ラムまたは回転ドラムの一方、または双方を樹脂成形し
   たものとすることを特徴とする回転ヘッド式記録再生装
   置。