JPH08105345A - 内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents

内燃機関の燃料噴射制御装置

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JPH08105345A
JPH08105345A JP22730395A JP22730395A JPH08105345A JP H08105345 A JPH08105345 A JP H08105345A JP 22730395 A JP22730395 A JP 22730395A JP 22730395 A JP22730395 A JP 22730395A JP H08105345 A JPH08105345 A JP H08105345A
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air
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秀隆 牧
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祐介 長谷川
Naosuke Akasaki
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Honda Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 応答性において異なる2種のフィードバック
補正係数を切り換えるとき、その間に段差が生じて操作
量が急変することがないように滑らかに切り換えて制御
の安定性を向上させる。 【解決手段】 フィードバック補正係数の要素を一部置
換する、所定期間は低応答のフィードバック補正係数を
用いるなどしてフィードバック制御中において、あるい
はオープンループ制御からフィードバック制御の復帰時
に滑らかに切り換える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は内燃機関の燃料噴
射制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】内燃機関の燃料噴射制御ないし空燃比制
御においては一般にPID制御則が用いられ、目標値と
操作量(制御対象入力)との偏差にP項(比例項)、I
項(積分項)およびD項(微分項)を乗じてフィードバ
ック補正係数(フィードバックゲイン)を求めている。
また近時は特開平1−110853号公報記載の技術の
ように現代制御理論などを用いてフィードバック補正係
数を求めることも提案されているが、その場合に応答性
が比較的高いことから、運転状態によっては却って制御
量が発振し、制御の安定性が低下する場合がある。
【0003】そのため、例えば特開平4−209940
号公報記載の技術は、現代制御理論を用いて第1のフィ
ードバック補正係数を求めると共に、PI制御則を用い
てそれより応答性の劣る第2のフィードバック補正係数
を求め、燃焼が安定しない機関運転の減速時には第2の
フィードバック補正係数を用いて制御量を決定すること
を提案している。
【0004】また同様の理由から、特開平5−5214
0号公報記載の技術においても、空燃比センサが半活性
状態にあるときは、応答性の劣る第2のフィードバック
補正係数を用いて制御量を決定することを提案してい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本出願人も例えば特願
平6−66594号などにおいて、適応制御器を用いて
燃料噴射量を決定する技術を提案している。
【0006】ところで、内燃機関の燃料噴射制御におい
て、車両走行のクルーズ時など所定の運転状態において
は燃料供給が停止(フューエルカット)され、図16に
示すように、フューエルカットの間では燃料噴射および
空燃比はオープンループ(O/L)制御される。
【0007】そして、例えば理論空燃比(14.7:
1)となるべく燃料供給が再開されると、予め実験で求
めた特性に従ってフィードフォワード系で決定された燃
料供給量が供給されて真の空燃比(A/F)はリーン側
から14.7に急変するが、供給された燃料が燃焼して
空燃比センサまで到達するのにある程度の時間を要し、
空燃比センサ自体も検出遅れを有することから検出空燃
比は真の空燃比通りにはならず、同図に破線で示すよう
な値となり、比較的大きな差を生じる。
【0008】このとき、本出願人が先に提案した適応制
御則などの高応答の制御則を用いてフィードバック補正
係数(図にKSTRと示す)を決定すると、適応制御器は、
目標値と検出値の偏差を一挙に解消すべくフィードバッ
ク補正係数KSTRを決定する。しかし、この場合の差はセ
ンサの検出遅れなどに起因するものであり、検出値は真
の空燃比を示すものではない。それにもかかわらず、適
応制御器はこの比較的大きな差を一挙に吸収しようとす
ることから、図16に示す如く、KSTRが大きく発振し、
制御量も発振して制御の安定性が低下する。
【0009】このような不都合が生じるのは、フューエ
ルカットからの復帰時だけに止まるものではない。全開
増量制御からフィードバック制御に復帰するとき、ない
しリーンバーン制御から理論空燃比制御に復帰するとき
も同様である。更には、目標空燃比を意図的に振幅させ
るパータベーション制御から一定した目標空燃比への制
御に切り換えるときも同じである。換言すれば、目標空
燃比が大きく変動するときに共通して生じる問題であ
る。しかしながら、前記した従来技術においては、この
ような場合に何等対策するものではなかった。
【0010】従って、適応制御則およびPID制御則な
どの複数種の制御則を用いて、高応答のフィードバック
補正係数および低応答のフィードバック補正係数(図に
KLAFと示す) を決定し、運転状態に応じていずれかを選
択することが望ましい。しかしながら、異なる制御則に
基づいて決定されたフィードバック補正係数を切り換え
るときは、それぞれの特性が異なることから、補正係数
に段差が生じて操作量が急変し、制御量が不安定となっ
て制御の安定性が低下する恐れがある。
【0011】従って、この発明の第1の目的は、複数種
の制御則を用いて応答性において異なる複数種のフィー
ドバック補正係数を決定し、機関の運転状態に応じて適
宜切り換える(選択する)と共に、その切り換えを滑ら
かに行い、複数種のフィードバック補正係数の間に段差
が生じることで操作量が急変して制御量が不安定となる
のを防止し、よって制御の安定性を向上させるようにし
た内燃機関の燃料噴射制御装置を提供することにある。
【0012】更に、上記したフィードバック補正係数の
間の段差は、低応答のフィードバック補正係数から高応
答のフィードバック補正係数に切り換えるようなとき
に、甚だしくなる。
【0013】従って、この発明の第2の目的は、複数種
の制御則を用いて応答性において異なる複数種のフィー
ドバック補正係数を決定し、機関の運転状態に応じて適
宜切り換える(選択する)と共に、低応答のフィードバ
ック補正係数から高応答のフィードバック補正係数に切
り換えるようなときも、複数種のフィードバック補正係
数の間に段差が生じることで操作量が急変して制御量が
不安定となるのを防止し、よって制御の安定性を向上さ
せるようにした内燃機関の燃料噴射制御装置を提供する
ことにある。
【0014】更には、この発明の第3の目的は、フュー
エルカット、全開増量、もしくはEGR実行時などにオ
ープンループ制御されてからフィードバック制御に復帰
するときも、複数種の制御則を用いて応答性において異
なる複数種のフィードバック補正係数を決定し、運転状
態に応じて滑らかに切り換えることで操作量を適正に決
定して制御量の発振を防止し、制御の安定性と収束性と
を最適にバランスさせるようにした内燃機関の燃料噴射
制御装置を提供することにある。
【0015】更には、先に本出願人が提案した適応制御
器を用いて操作量を演算すると、燃料噴射および空燃比
を精度良く制御することができると共に、目標値と検出
値との間に差があるときもその差を一挙に解消すべくフ
ィードバックゲインを求めることから、収束性に優れた
制御を実現することができるが、運転状態によっては適
応制御器が演算するフィードバック補正係数が不安定に
なることがあり、そのままでは却って制御の安定性が低
下する。
【0016】従って、この発明の第4の目的は、適応制
御器などを用いてフィードバック補正係数を決定すると
共に、そのフィードバック補正係数が発振するときも効
果的に対策して制御の安定性と収束性とを最適にバラン
スさせつつフィードバック制御を継続することができる
ようにした内燃機関の燃料噴射制御装置を提供すること
にある。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、請求項1項に係る内燃機関の燃料噴射制御装置
にあっては、少なくとも内燃機関の排気ガスの空燃比を
検出する空燃比検出手段を含む、内燃機関の運転状態を
検出する手段と、前記空燃比検出手段により検出された
空燃比に基づいて内燃機関に供給する供給燃料量が目標
値に一致するように、漸化式形式の制御器を用いて前記
供給燃料量を補正する第1のフィードバック補正係数を
算出する第1の算出手段と、前記第1のフィードバック
補正係数と同様に前記供給燃料量を補正する補正係数で
あって、前記第1のフィードバック補正係数より応答性
の低い第2のフィードバック補正係数を算出する第2の
算出手段と、検出された運転状態に応じて前記第1の算
出手段と第2の算出手段の出力を切り換える切り換え手
段と、および前記切り換え手段を介して選択された前記
第1または第2のフィードバック補正係数に基づいて前
記供給燃料量を補正する供給燃料量補正手段と、を備え
ると共に、前記切り換え手段は、前記第1の算出手段と
第2の算出手段の出力を切り換えるとき、前記第1のフ
ィードバック補正係数および第2のフィードバック補正
係数の内部要素の少なくとも一部を置換する置換手段、
を備える如く構成した。
【0018】請求項2項にあっては、前記切り換え手段
は、検出された空燃比が所定の範囲内にあるとき、前記
第1の算出手段と第2の算出手段の出力を切り換える如
く構成した。
【0019】請求項3項にあっては、前記所定の範囲
は、当量比において1またはその近傍である如く構成し
た。
【0020】請求項4項にあっては、内燃機関の排気ガ
スの空燃比を検出する空燃比検出手段と、前記空燃比検
出手段が検出する空燃比が目標空燃比に一致するように
漸化式形式の制御器を用いて第1のフィードバック補正
係数を算出する第1の算出手段と、前記空燃比検出手段
が検出する空燃比が前記目標空燃比に一致するように、
前記第1のフィードバック補正係数より応答性の低い第
2のフィードバック補正係数を算出する第2の算出手段
と、前記第1の算出手段と第2の算出手段の出力を切り
換える切り換え手段と、前記切り換え手段を介して選択
された前記第1または第2のフィードバック補正係数に
基づいて前記内燃機関に供給する供給燃料量を補正する
供給燃料量補正手段と、を備えると共に、前記供給燃料
量補正手段は、オープンループ制御からフィードバック
制御へ移行するときは、所定期間、前記第2の算出手段
の出力に基づいて前記供給燃料量を補正する如く構成し
た。
【0021】請求項5項にあっては、前記オープンルー
プ制御からフィードバック制御へ移行するときが、前記
内燃機関への燃料供給を停止した後に燃料供給を再開す
るときである如く構成した。
【0022】請求項6項にあっては、前記第1の算出手
段と第2の算出手段は、前記第1のフィードバック補正
係数と第2のフィードバック補正係数を平行して算出す
ると共に、前記切り換え手段は、検出された運転状態に
応じて前記第1の算出手段と第2の算出手段の出力を選
択することで切り換える如く構成した。
【0023】請求項7項にあっては、前記漸化式形式の
制御器は、適応制御器である如く構成した。
【0024】請求項8項にあっては、前記第2の算出手
段は、P項、I項、D項のいずれか1つを少なくとも含
むPID制御器を用いて前記第2のフィードバック補正
係数を算出する如く構成した。
【0025】請求項9項にあっては、前記第2の算出手
段は、漸化式形式の適応制御器を用いて前記第2のフィ
ードバック補正係数を算出する如く構成した。
【0026】請求項10項にあっては、前記第1、第2
の算出手段は適応制御器を用いて前記第1、第2のフィ
ードバック補正係数を算出するものであり、前記第1の
算出手段は、可変ゲインおよび固定ゲインの少なくとも
いずれか一方を用いて前記第1のフィードバック補正係
数を算出すると共に、前記第2の算出手段は、その他方
を用いて前記第2のフィードバック補正係数を算出する
如く構成した。
【0027】請求項11項にあっては、前記供給燃料量
補正手段は、前記第1または第2のフィードバック補正
係数を前記供給燃料量に乗算して前記供給燃料量を補正
する如く構成した。
【0028】
【作用】請求項1項にあっては、第1の算出手段と第2
の算出手段の出力を切り換えるとき、第1のフィードバ
ック補正係数および第2のフィードバック補正係数の内
部要素の少なくとも一部を置換する如く構成したので、
切り換え後のフィードバック補正係数の値を切り換え前
のフィードバック補正係数の値と実質的に同一にするこ
とができ、フィードバック補正係数間に段差が生じるこ
とがないので、低応答のフィードバック補正係数から高
応答のフィードバック補正係数に切り換えるときも含め
て、操作量が急変して制御量が不安定となることがな
く、よって制御の安定性を向上させることができる。
【0029】制御性の向上について更に敷衍すると、供
給燃料量が目標値に一致するように漸化式形式の制御則
を用いて第1のフィードバック補正係数を算出する第1
の算出手段を備えることから、制御対象が状態によって
変化する場合でも収束速度を自動的に調整することとな
り、制御量が目標値へ速やかに収束して収束性が向上す
る。
【0030】また操作量に外乱が加わって制御量が目標
値とずれた場合も、漸化式形式の制御則が制御対象の変
化として動作することにより、制御量が目標値に一致す
るようにフィードバック補正係数が決定されるので、外
乱に対するタフネス性も向上する。尚、フィードバック
補正係数は操作量に乗算されるものであっても加算され
るものであっても良い。
【0031】請求項2項にあっては、検出された空燃比
が所定の範囲内にあるとき、第1の算出手段と第2の算
出手段の出力を切り換える如く構成したので、所定の範
囲を適宜設定することで、第1の算出手段と第2の算出
手段の出力が実質的に同一であるときに切り換えること
ができ、効果的にフィードバック補正係数の間の差を減
少することができ、その切り換えを一層滑らかに行うこ
とができ、操作量が急変して制御量が不安定となること
がなく、よって制御の安定性を向上させることができ
る。
【0032】請求項3項にあっては、所定の範囲は、当
量比において1またはその近傍である如く構成したの
で、理論空燃比に向けて制御しているとき、検出値が当
量比において1付近の値にあることは制御偏差が小さ
い、即ち、第1の算出手段と第2の算出手段の出力が1
付近の近い値にあることを一層的確に検知することがで
きる。従って、その時点において切り換えることで、よ
り効果的にフィードバック補正係数の間の差を減少する
ことができ、その切り換えをより一層滑らかに行うこと
ができる。
【0033】請求項4項にあっては、オープンループ制
御からフィードバック制御へ移行するときは、所定期
間、第2の算出手段の出力に基づいて供給燃料量を補正
する如く構成したので、フューエルカット、全開増量補
正、EGRの実行などからオープンループ制御された後
にフィードバック制御に復帰したときも、フィードバッ
ク補正係数の切り換えを滑らかに行うことができ、操作
量が急変して制御量が不安定となることがなく、よって
制御の安定性を向上させることができる。
【0034】請求項5項にあっては、オープンループ制
御からフィードバック制御へ移行するときが内燃機関へ
の燃料供給を停止した後に燃料供給を再開するときであ
る如く構成したので、特にフューエルカット時にオープ
ンループ制御された後にフィードバック制御に復帰した
ときにフィードバック補正係数の切り換えを滑らかに行
うことができ、操作量が急変して制御量が不安定となる
ことがなく、よって制御の安定性を向上させることがで
きる。
【0035】請求項6項にあっては、第1の算出手段と
第2の算出手段は、第1のフィードバック補正係数と第
2のフィードバック補正係数を平行して算出すると共
に、検出された運転状態に応じて第1の算出手段と第2
の算出手段の出力を選択することで切り換える如く構成
したので、切り換えによる段差を減少させながら、切り
換えを任意のタイミングで行うことができ、特に低応答
のフィードバック補正係数から高応答のフィードバック
補正係数への切り換えにあっても任意のタイミングで切
り換えることができるため、切り換えを一層滑らかに行
うことができて制御の安定性を一層向上させることがで
きる。
【0036】請求項7項にあっては、漸化式形式の制御
器は、適応制御器である如く構成したので、前記した作
用効果に加えて、制御対象が状態によって変化する場合
でも収束速度を自動的に調整することとなり、制御量が
目標値へ速やかに収束して収束性が向上すると共に、外
乱に対するロバスト性も向上する。
【0037】請求項8項にあっては、P項、I項、D項
のいずれか1つを少なくとも含むPID制御器を用いて
第2のフィードバック補正係数を算出する如く構成した
ので、前記した作用効果に加えて、高応答のフィードバ
ック補正係数を用いると制御の安定性が低下するような
場合でも、安定したフィードバック補正係数の設定が可
能となって制御の安定性を向上させることができる。
【0038】請求項9項にあっては、漸化式形式の適応
制御器を用いて第2のフィードバック補正係数を算出す
る如く構成したので、応答性をある程度確保しながら、
高応答のフィードバック補正係数を用いると制御の安定
性が低下するような場合でも、制御の安定性を確保する
ことができる。
【0039】請求項10項にあっては、可変ゲインおよ
び固定ゲインの少なくともいずれか一方を用いて第1の
フィードバック補正係数を算出すると共に、その他方を
用いて第2のフィードバック補正係数を算出する如く構
成したので、前記した作用効果に加えて、構成を簡易に
することができる。
【0040】請求項11項にあっては、第1または第2
のフィードバック補正係数を供給燃料量に乗算して供給
燃料量を補正する如く構成したので、前記した作用効果
に加えて、収束速度を向上させることができる。
【0041】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に即してこの発明
の実施の形態を説明する。
【0042】図1はこの発明に係る内燃機関の燃料噴射
制御装置を示す全体図である。
【0043】図において、符号10はOHC直列4気筒
の内燃機関を示しており、吸気管12の先端に配置され
たエアクリーナ14から導入された吸気は、スロットル
弁16でその流量を調節されつつサージタンク18と吸
気マニホルド20を経て、2個の吸気弁(図示せず)を
介して第1から第4気筒へと流入される。各気筒の吸気
弁(図示せず)の付近にはインジェクタ22が設けられ
て燃料を噴射する。噴射されて吸気と一体となった混合
気は、各気筒内で図示しない点火プラグで点火されて燃
焼してピストン(図示せず)を駆動する。
【0044】燃焼後の排気ガスは、2個の排気弁(図示
せず)を介して排気マニホルド24に排出され、排気管
26を経て触媒装置(三元触媒)28で浄化されて機関
外に排出される。上記で、スロットル弁16はアクセル
ペダル(図示せず)とは機械的に切り離され、パルスモ
ータMを介してアクセルペダルの踏み込み量および運転
状態に応じた開度に制御される。また、吸気管12に
は、スロットル弁16の配置位置付近にそれをバイパス
するバイパス路32が設けられる。
【0045】内燃機関10には、排気ガスを吸気側に還
流させる排気還流通路80を含む排気還流機構100が
設けられると共に、吸気系と燃料タンク36との間も接
続され、キャニスタ・パージ機構200が設けられる
が、その機構は本願の要旨と直接の関連を有しないの
で、説明は省略する。
【0046】更に、内燃機関10は、いわゆる可変バル
ブタイミング機構300(図1にV/T と示す)を備え
る。可変バルブタイミング機構300は例えば、特開平
2−275,043号公報に記載されており、機関回転
数Neおよび吸気圧力Pbなどの運転状態に応じて機関
のバルブタイミングV/T を図2に示す2種のタイミング
特性LoV/T, HiV/Tの間で切り換える。但し、それ自体は
公知な機構なので、これ以上の説明は省略する。尚、こ
のバルブタイミング特性の切り換えには、2個の吸気弁
の一方を休止する動作を含む。
【0047】図1において内燃機関10のディストリビ
ュータ(図示せず)内にはピストン(図示せず)のクラ
ンク角度位置を検出するクランク角センサ40が設けら
れると共に、スロットル弁16の開度を検出するスロッ
トル開度センサ42、スロットル弁16下流の吸気圧力
Pb を絶対圧力で検出する絶対圧センサ44も設けられ
る。
【0048】また、内燃機関10の適宜位置には大気圧
Pa を検出する大気圧センサ46が設けられ、スロット
ル弁16の上流側には吸入空気の温度を検出する吸気温
センサ48が設けられると共に、機関の適宜位置には機
関冷却水温を検出する水温センサ50が設けられる。ま
た、油圧を介して可変バルブタイミング機構300の選
択するバルブタイミング特性を検出するバルブタイミン
グ(V/T )センサ52(図1で図示省略)も設けられ
る。
【0049】更に、排気系において排気マニホルド24
の下流側で触媒装置28の上流側の排気系の集合部には
空燃比センサ54が設けられ、排気ガス中の酸素濃度を
検出(後述)する。これらセンサ出力は、制御ユニット
34に送られる。
【0050】図3は制御ユニット34の詳細を示すブロ
ック図である。空燃比センサ54の出力は検出回路62
に入力され、そこで適宜な線型化処理が行われてリーン
からリッチにわたる広い範囲において排気ガス中の酸素
濃度に比例したリニアな特性からなる検出信号を出力す
る(以下、この広域空燃比センサを「LAFセンサ」と
呼ぶ)。
【0051】検出回路62の出力は、マルチプレクサ6
6およびA/D変換回路68を介してCPU内に入力さ
れる。CPUはCPUコア70、ROM72、RAM7
4を備え、検出回路62の出力は所定のクランク角度
(例えば15度)ごとにA/D変換され、RAM74内
のバッファの1つに順次格納される。またスロットル開
度センサ42などのアナログセンサ出力も同様にマルチ
プレクサ66およびA/D変換回路68を介してCPU
内に取り込まれ、RAM74に格納される。
【0052】またクランク角センサ40の出力は波形整
形回路76で波形整形された後、カウンタ78で出力値
がカウントされ、カウント値はCPU内に入力される。
CPUにおいてCPUコア70は、ROM72に格納さ
れた命令に従って後述の如く制御値を演算し、駆動回路
82を介して各気筒のインジェクタ22を駆動する。更
に、CPUコア70は、駆動回路84,86,88を介
して2次空気量を調節するバイパス路32を開閉する電
磁弁(EACV)90、および前記した排気還流制御用
電磁弁102ならびにキャニスタ・パージ制御用電磁弁
202を駆動する。
【0053】図4はこの発明に係る制御装置の動作を示
すフロー・チャートであるが、同図の説明に入る前に、
理解の便宜のため、図5を参照してこの発明に係る制御
装置を概説する。
【0054】この発明に係る装置にあっては図5ブロッ
ク図に示す如く、供給燃料量(図に基本噴射量Timと示
す)を操作量として検出された排気空燃比(図にKACT
(k) と示す。k:離散時間系の時刻)が目標空燃比(図
にKCMD(k) と示す。)に一致するように漸化式形式の第
1の制御器(制御則)(STR型の適応制御器(適応制
御則)。図にSTRコントローラと示す)を用いて第1
のフィードバック補正係数(図にKSTR(k) と示す。以下
「適応補正係数」あるいは「KSTR」と言う)を算出する
第1の算出手段を設けた。
【0055】それと共に、前記供給燃料量を操作量とし
て検出された排気空燃比KACT(k) が目標値KCMD(k) に一
致するように、第2の制御器(制御則)、より具体的に
はPID制御器(制御則)からなるPIDコントローラ
(図にPIDと示す)を用いて応答性において第1のフ
ィードバック補正係数より劣る第2のフィードバック補
正係数KLAF(k) (以下「PID補正係数」あるいは「KL
AF」と言う) を算出する第2の算出手段を設け、後述の
如く検出された運転状態に応じて前記第1の算出手段と
前記第2の算出手段の出力のいずれかを切り換え(選
択)し、それに基づいて前記供給燃料量Timを補正して
出力噴射量Tout(k)を求める如く構成した。
【0056】この適応補正係数KSTRについて説明する
と、図5に示した適応制御器は、STRコントローラと
その適応(制御)パラメータ(ベクトル)を調整する適
応(制御)パラメータ調整機構とからなる。STRコン
トローラは燃料噴射制御のフィードバック系の目標値KC
MD(k) と制御量y(k) (プラント出力)を入力し、適応
パラメータ調整機構によって同定された係数ベクトルを
受け取って出力KSTR(k)(プラント入力u(k) )を算出
する。
【0057】このような適応制御において、その調整則
の一つに、I.D.ランダウらの提案したパラメータ調
整則がある。この手法は、適応システムを線形ブロック
と非線形ブロックとから構成される等価フィードバック
系に変換し、非線形ブロックについては入出力に関する
ポポフの積分不等式が成立し、線形ブロックは強正実と
なるように調整則を決めることによって、適応システム
の安定を保証する手法である。この手法は、例えば「コ
ンピュートロール」(コロナ社刊)No.27,28頁
〜41頁、ないしは「自動制御ハンドブック」(オーム
社刊)703頁〜707頁に記載されているように、公
知技術となっている。
【0058】図示の適応制御器においても、このランダ
ウらの調整則を用いた。以下説明すると、ランダウらの
調整則では、離散系の制御対象の伝達関数A(Z-1)/
B(Z-1)の分母分子の多項式を数1でのようにお
いたとき、適応パラメータθハット(k) および適応パラ
メータ調整機構への入力ζ(k) は、数1でのように
定められる。数1ではm=1、n=1、d=3の場合、
即ち、1次系で3制御サイクル分の無駄時間を持つプラ
ントを例にとった。ここでのkは時刻、より具体的に
は、制御サイクルを示す。
【0059】
【数1】
【0060】ここでに示す、ゲインを決定するスカラ
量boハット-1(k) 、操作量を用いた制御要素BR ハッ
ト (Z-1,k)、および制御量を用いた制御要素Sハット
(Z-1,k)は、それぞれ数2ないし数4のように表わさ
れる。
【0061】
【数2】
【0062】
【数3】
【0063】
【数4】
【0064】適応パラメータ調整機構は、このスカラ量
と制御要素の各係数を同定し、STRコントローラに供
給する。これら係数をひとまとめにしたものを前述の如
く適応パラメータ(ベクトル)θハット(k) で示すと、
数5のように表される。
【0065】
【数5】
【0066】また数5中のΓ(k) およびeアスタリスク
(k) は、それぞれゲイン行列および同定誤差信号であ
り、数6および数7のような漸化式で表される。
【0067】
【数6】
【0068】
【数7】
【0069】また数6中のλ1(k) ,λ2(k) の選び方
により、種々の具体的なアルゴリズムが与えられる。λ
1(k) =1,λ2(k) =λ(0<λ<2)とすると漸減
ゲインアルゴリズム(λ=1の場合には最小自乗法)、
λ1(k) =λ1(0<λ1<1),λ2(k) =λ2(0
<λ2<λ)とすると可変ゲインアルゴリズム(λ2=
1の場合には重み付き最小自乗法)、λ1(k) /λ2
(k) =σとおき、λ3が数8のように表されるとき、λ
1(k) =λ3とおくと固定トレースアルゴリズムとな
る。また、λ1(k) =1,λ2(k) =0のとき固定ゲイ
ンアルゴリズムとなる。この場合は数6から明らかな如
く、Γ(k) =Γ(k-1) となり、よってΓ(k)=Γの固定
値となる。
【0070】
【数8】
【0071】ここで、図5にあっては、前記したSTR
コントローラ(適応制御器)と適応パラメータ調整機構
とは燃料噴射量演算系の外におかれ、検出空燃比KACT
(k) が目標空燃比KCMD(k-d’) (ここでd’はKCMDがKA
CTに反映されるまでの無駄時間)に適応的に一致するよ
うに動作してフィードバック補正係数KSTR(k) を演算す
る。即ち、STRコントローラは、適応パラメータ調整
機構によって適応的に同定された係数ベクトルθハット
(k) を受け取って目標空燃比KCMD(k-d’)に一致するよ
うにフィードバック補償器を形成する。
【0072】演算されたフィードバック補正係数KSTR
(k) は各種補正項(後述)と共に基本噴射量Timに乗算
され、補正された燃料噴射量が出力燃料噴射量Tout(k)
として制御プラント(内燃機関)に供給される。
【0073】このように、求められた適応補正係数KSTR
(k) (図中ではu(k) で示される)および検出空燃比KA
CT(k) が適応パラメータ調整機構に入力され、そこで適
応パラメータθハット(k) が算出されてSTRコントロ
ーラに入力される。STRコントローラには入力として
目標空燃比KCMD(k) が与えられ、検出空燃比KACT(k)が
目標空燃比KCMD(k) (より正確にはKCMD(k-d'))に一致
するように漸化式を用いてフィードバック補正係数KSTR
(k) を算出する。
【0074】フィードバック補正係数KSTR(k) は、具体
的には数9に示すように求められる。
【0075】
【数9】
【0076】図示の如く、検出空燃比KACT(k) と目標空
燃比KCMD(k) は、PID制御則による制御器(PID)
にも入力され、排気系集合部の検出空燃比と目標空燃比
との偏差を解消すべく、PID制御則に基づいてPID
補正係数KLAF(k) が算出される。適応制御則による適応
補正係数KSTRとPID制御則によるPID補正係数KLAF
は、切り換え機構400を介していずれか一方が燃料噴
射量の乗算補正に用いられる。
【0077】続いて、そのPID補正係数KLAFの演算に
ついて説明すると、先ず、目標空燃比KCMDと検出空燃比
KACTの制御偏差DKAFを DKAF(k) =KCMD(k-d’) −KACT(k) と求める。上記でKCMD(k-d’) :目標空燃比(ここで
d’は前述の如くKCMDがKACTに反映されるまでの無駄時
間を示し、よって無駄時間制御周期前の目標空燃比を意
味する)、KACT(k) :検出空燃比(今回制御周期の)を
示す。
【0078】尚、この明細書で空燃比は演算の便宜のた
め、目標値KCMDも検出値KACTも実際は当量比、即ち、M
st/M=1/λで示している(Mst:理論空燃比、M=
A/F(A:空気消費量、F:燃料消費量)、λ:空気
過剰率)。
【0079】次いで、それに所定の係数を乗じてP項
(比例項)KLAFP(k)、I項(積分項)KLAFI(k)、および
D項(微分項)KLAFD(k)を P項:KLAFP(k)=DKAF(k) ×KP I項:KLAFI(k)=KLAFI(k-1)+DKAF(k) ×KI D項:KLAFD(k)=(DKAF(k) −DKAF(k-1) )×KD と求める。
【0080】このようにP項は偏差に比例ゲインKPを乗
じて求め、I項は偏差に積分ゲインKIを乗じて得た値を
前回値KLAFI(k-1)に加算して求め、D項は偏差の今回値
DKAF(k) と前回値DKAF(k-1) の差に微分ゲインKDを乗じ
て求める。尚、各ゲインKP,KI,KDは、機関回転数と機関
負荷に応じて求められ、より具体的にはマップを用いて
機関回転数Neと吸気圧力Pbとから検索できるように
設定しておく。
【0081】最後に、よって得た値を KLAF(k) =KLAFP(k)+KLAFI(k)+KLAFD(k) と合算してPID補正係数の今回値KLAF(k) とする。
尚、PID補正係数KLAFが選択されるとき、STRコン
トローラは、そのフィードバック補正係数KSTRが1.0
(初期状態)もしくは1.0近傍で停止するように、適
応パラメータをホールドする。
【0082】この場合、乗算形式によるフィードバック
補正係数とするため、オフセット分である1.0はI項
KLAFI(k)に含まれているものとする(即ち、I項KLAFI
(k)の初期値は1.0とする)。
【0083】求めた適応補正係数KSTRまたはPID補正
係数KLAFは、いずれかがフィードバック補正係数KFB
(両者の総称)として基本噴射量Timに乗算される。詳
しくは基本噴射量Timに各種補正項KCMDM,KTOTALおよび
フィードバック補正係数KFB が乗算されると共に、更に
別の補正項TTOTALが加算されて出力噴射量Tout (操作
量)が決定され、制御プラントに入力される。即ち、出
力噴射量Tout は、 Tout =Tim×KCMDM ×KFB ×KTOTAL+TTOTAL で決定される。
【0084】ここで、KCMDM は目標空燃比補正係数であ
り、目標空燃比(当量比)KCMDに気化熱による吸入空気
の充填効率の相違を補償すべく修正した値を示す。KTOT
ALは水温補正などの乗算項で行う各種の補正係数の合計
値を示す。またTTOTALは気圧補正などの加算項で行う各
種の補正係数の合計値を示す(但し、インジェクタの無
効時間は出力噴射量Tout の出力時に別途加算されるの
で、これには含まれない)。
【0085】更に図5で特徴的なことは、先ずSTRコ
ントローラを燃料噴射量演算系の外におき、目標値を燃
料噴射量ではなく、演算の便宜から空燃比(より正確に
は当量比)としたことである。即ち、操作量は燃料噴射
量で示され、よって排気系に生じた排気空燃比と目標空
燃比とが一致するようにパラメータ調整機構が動作して
フィードバック補正係数KFB を決定し、外乱へのロバス
ト性を向上させたことである。但し、この点は本出願人
が先に提案した出願(特願平6−66,594号)に述
べられているので、詳細な説明は省略する。
【0086】更には、フィードバック補正係数を操作量
に乗算して操作量を補正するようにした点である。これ
により、制御の収束性が格段に向上する。他方、その構
成により、操作量が適切でないと、制御量が発振しやす
い欠点も有する。
【0087】以上を前提として、図4フロー・チャート
を参照してこの発明に係る制御装置の動作を説明する。
尚、図4のプログラムは所定クランク角度で起動され
る。
【0088】先ずS10において検出した機関回転数N
eおよび吸気圧力Pb などを読み出し、S12に進んで
クランキングか否か判断し、否定されるときはS14に
進んでフューエルカットか否か判断する。フューエルカ
ットは、所定の運転状態、例えばスロットル開度が全閉
位置にあり、かつ機関回転数が所定値以上であるときに
行われ、燃料供給が停止されると共に、燃料噴射および
空燃比もオープンループで制御される。
【0089】S14でフューエルカットではないと判断
されたときはS16に進み、検出した機関回転数Neと
吸気圧力Pbとからマップ(前述したフィードフォワー
ド系で演算された値に相当)を検索して前記した基本燃
料噴射量Timを算出する。
【0090】次いでS18に進んでLAFセンサ54の
活性化が完了したか否か判定する。これは例えば、LA
Fセンサ54の出力電圧とその中心電圧との差を所定値
(例えば0.4v)と比較し、差が所定値より小さいと
き活性化が完了したと判定することで行う。
【0091】S18で活性化が完了したと判断されると
きはS20に進み、フィードバック制御領域であるか否
か判断する。これは開示しない別ルーチンで行われ、例
えば全開増量時や高回転時、またはEGRなどの影響に
より運転状態が急変したときなどはオープンループ制御
とされる。
【0092】S20で肯定されるときは続いてS22に
進み、検出した排気空燃比(A/F)を読み込み、S2
4に進んで検出した排気空燃比から検出当量比KACT(k)
を求め、S26に進んでフィードバック補正係数KFB を
求める。
【0093】図6はその作業を示すサブルーチン・フロ
ー・チャートである。
【0094】同図に従って説明すると、S100で前回
(前回の制御ないし演算周期、即ち、前回プログラム起
動時刻)にオープンループ制御であったか否か判定す
る。前回フューエルカットなどのオープンループ制御に
あったときは肯定されてS102に進み、そこでカウン
タ値Cを0にリセットし、S104に進んでフラグFKST
R のビットを0にリセットし、S106に進んでフィー
ドバック補正係数KFB を演算する。
【0095】尚、S104でフラグFKSTR のビットを0
にリセットすることは、PID作動領域にあり、燃料噴
射量補正がPID補正係数KLAFを用いてなされるべきこ
とを意味する。またフラグFKSTR のビットが1にセット
されるときは、STR(コントローラ)作動領域にあ
り、燃料噴射量補正が適応補正係数KSTRでなされるべき
ことを意味する。
【0096】図7はフィードバック補正係数KFB 演算の
具体的な作業を示すサブルーチン・フロー・チャートで
ある。以下説明すると、S200でフラグFKSTR のビッ
トが1にセットされているか、即ち、STR(コントロ
ーラ)作動領域にあるか否か判断する。このフラグは図
6フロー・チャートのS104において0にリセットさ
れていることからこのステップの判断は否定され、S2
02に進んで前回フラグFKSTR のビットが1にセットさ
れていたか、即ち、前回STR(コントローラ)作動領
域にあったか否か判断する。
【0097】前回フューエルカットなどのオープンルー
プ制御にあったとすれば、ここでの判断も当然否定さ
れ、S204に進んでPID補正係数KLAF(k) を前述の
手法を用いて演算(PIDコントローラが演算したフィ
ードバック補正係数KLAF(k) を選択)する。続いて図6
フロー・チャートに戻り、S108に進んでKLAF(k) を
KFB とする。
【0098】図6フロー・チャートにおいてS100で
前回オープンループ制御ではない、即ち、オープンルー
プ制御からフィードバック制御に復帰していると判断さ
れるときは、S110に進んで目標空燃比の前回値KCMD
(k-1) と今回値KCMD(k) の差DKCMD を求め、基準値DKCM
Drefと比較する。そして、差DKCMD が基準値DKCMDrefを
超えると判断されるとき、S102,S104,S10
6,S200,S202(S216),S204,S1
08と進んでPID補正係数を演算する。
【0099】これは、目標空燃比の変化が大きいとき
は、フューエルカットの復帰の場合と同様、空燃比セン
サの検出遅れなどから、必ずしも検出値が真の値を指す
とは言い難く、同様に制御量が不安定となる可能性があ
るからである。目標当量比の変化が大きい場合の例とし
ては、例えば全開増量から復帰するとき、リーンバーン
制御(例えば空燃比=20:1あるいはそれよりもリー
ンの状態)から理論空燃比制御に復帰するとき、目標空
燃比を振幅させるパータベーション制御から目標空燃比
一定とする理論空燃比制御に復帰するとき、などが挙げ
られる。
【0100】他方、S110で差DKCMD が基準値DKCMDr
ef以下と判断されるときはS112に進んでカウンタ値
Cをインクリメントし、S114に進んでアイドル時に
あるか否か判断し、肯定されるときはS104以降に進
んでPID補正係数を演算する。
【0101】これは、アイドル時は運転状態がほぼ安定
しており、STR制御則のような高いゲインを必要とし
ないためである。またアイドル時は機関回転数を一定に
保つようにEACV90を使用して吸入空気量を制御す
ることから、その吸入空気量制御と空燃比フィードバッ
ク制御が干渉する恐れもあり、その意味でもPID制御
則を使用してゲインを比較的低くするようにした。
【0102】他方、S114でアイドル時にないと判断
されるときはS116に進んでカウンタ値Cを所定値、
例えば5と比較する。そしてカウンタ値Cが所定値以下
と判断される限りは、S104以降に進んで前記と同様
にPID補正係数を選択する。
【0103】即ち、図16においてフューエルカットが
終了してオープンループ制御からフィードバック制御に
復帰した時刻T1(図6で触れたカウンタ値C=1)か
ら時刻T2(カウンタ値C=5)までの期間(請求項で
述べた「所定期間」に相当)にあっては、フィードバッ
ク補正係数は、PIDコントローラが決定するPID制
御則による値KLAFとする。
【0104】即ち、このPID制御則によるフィードバ
ック補正係数KLAFは、STRコントローラによる適応補
正係数KSTRと異なり、目標値と検出値との制御偏差DKAF
を一気に吸収しようとはせず、比較的緩慢に吸収する特
性を備える。
【0105】従って、図16に示すような供給を再開さ
れた燃料の燃焼が完了するまでの遅れと空燃比センサの
検出遅れとから、PID補正係数は適応補正係数のよう
に発振することがなく、従って制御量(プラント出力)
が不安定となることがない。ここで、所定値を5、換言
すれば5制御周期としたのは、この期間で上記した燃焼
遅れ、検出遅れを吸収できると考えたためである。
【0106】尚、この期間(所定値)は、排気ガス輸送
遅れパラメータである機関回転数、機関負荷などから決
定しても良く、例えば機関回転数と吸気圧力に応じて排
気ガス輸送遅れパラメータが小さいときは所定値を小さ
く、排気ガス輸送遅れパラメータが大きいときは所定値
を大きく設定するようにしてもよい。
【0107】図6フロー・チャートの説明に戻ると、S
116でカウンタ値Cが所定値を超える、即ち、6以上
と判断されるときはS118に進んで前記フラグFKSTR
のビットを1にセットし、S120に進んで再び図7フ
ロー・チャートに従ってフィードバック補正係数KFB を
演算する。この場合、図7フロー・チャートにおいてS
200の判断は肯定されてS206に進み、前回フラグ
FKSTR のビットが0にリセットされていたか、即ち、前
回PID作動領域であったか否か判断する。
【0108】カウンタ値が所定値を超えて初めてである
ときこの判断は肯定され、S208に進んで検出空燃比
(当量比)KACT(k) を下限値a、例えば0.95と比較
する。そして検出値が下限値以上と判断されるとS21
0に進み、検出値を上限値b、例えば1.05と比較
し、それ以下と判断されるとき、S212(後述)を経
てS214に進み、STRコントローラを用いて適応補
正係数KSTR(k) を演算(STRコントローラが演算した
適応補正係数KSTR(k) を選択)する。即ち、検出空燃比
(当量比)が上記した上下限値b,aの間にあるときは
1.0近傍と判断し、適応補正係数KSTRを演算する。
【0109】即ち、理論空燃比に向けて制御していると
き、検出空燃比(当量比)が1付近の値にあることは制
御偏差が小さいことを意味する。そのようなときはPI
D制御則を用いても適応制御則を用いても演算される補
正係数は実質的に1付近の近い値となり、PID補正係
数KLAFから適応補正係数KSTRに切り換えても操作量が急
変することはない。
【0110】従って、PID制御からSTR(適応)制
御への切り換えは、STRコントローラの作動領域で、
かつ検出当量比KACTが1付近の値となったときに行うよ
うにした。これにより、PID制御からSTR(適応)
制御への切り換えを滑らかに行うことができ、制御量の
発振を防止することができる。
【0111】尚、S210で検出当量比KACT(k) が上限
値b以下と判断されるときはS212に進み、STRコ
ントローラにおいて前記したゲインを決定するスカラ量
0を図示の如くPID制御によるフィードバック補正
係数の前回値KLAF(k-1) で除算した値とする。
【0112】これについて説明すると、適応補正係数KS
TR(k) は、本来的には前述の如く、数9のように求める
が、S206で肯定されてS208以降に進むとき、前
回制御周期ではフィードバック補正係数がPID制御則
に基づいて決定されている。そして、図5において、P
ID制御によりフィードバック補正係数が決定されてい
るとき、STRコントローラは前述の如く、フィードバ
ック補正係数KSTRを1.0(初期値)として停止するよ
うに構成されている。従って、適応補正係数KSTRを再び
STRコントローラで決定するとき、演算値が1.0か
ら大きく外れると、制御量が不安定になる。
【0113】そこで、適応補正係数KSTRが1.0もしく
は1.0近傍となるようにホールドされている適応パラ
メータの中の、ゲインを決定するスカラ量b0 をPID
補正係数KLAFの前回値KLAF(k-1) で除算しておくと、適
応パラメータの組み合わせがKSTR=1.0となっている
ことから、数10に示すように、第1項が1となり、第
2項KLAF(k-1) の値が今回の補正係数KSTR(k) となる。
これにより、S208,S210で検出値KACTが1ない
しその近傍のとき切り換えるようにしたことに加えて、
PID制御からSTR制御への切り換えを一層滑らかに
行うことができる。
【0114】
【数10】
【0115】尚、図7フロー・チャートにおいてS20
2で肯定、即ち、前回STR(コントローラ)作動領域
と判断されたときはS216に進んで適応補正係数KSTR
の前回値KSTR(k-1) を、PID補正係数KLAFのI項の前
回値KLAFI(k-1)とする。その結果、S204においてP
ID補正係数KLAF(k) を演算するとき、そのI項KLAFI
は、 KLAFI (k) =KSTR(k-1) +DKAF(k) ×KI となり、かく求めたI項を次いでP項とD項に加算して
PID補正係数KLAF(k)を求めることになる。
【0116】即ち、適応制御からPID制御に切り換え
られてフィードバック補正係数が演算されるときは積分
項が急激に変化する可能性があるが、このように適応補
正係数KSTRの値を用いてPID補正係数のI項の初期値
を決定することにより、適応補正係数KSTRの前回値KSTR
(k-1) とPID補正係数の今回値KLAF(k) との差を小さ
く止めることができる。それによって高応答のSTR制
御から低応答のPID制御に切り換えるときも、フィー
ドバック補正係数のゲイン差を小さくして滑らかに連続
させることができ、制御量の急変を防止することができ
る。
【0117】尚、図7フロー・チャートにおいて、S2
00で肯定、即ち、STR(コントローラ)作動領域と
判断され、S206でも前回PID作動領域ではないと
判断されたときは、S214に進んで適応補正係数KSTR
(k) が演算されるが、それは数9のように算出されるこ
とは先に述べた通りである。
【0118】図6フロー・チャートに戻ると、次いでS
122に進み、図7フロー・チャートで求めた補正係数
が適応補正係数KSTRか否か確認し、肯定されるときS1
24に進んで適応補正係数と1.0との差(1−KSTR
(k))を求め、その絶対値を所定のスレッシュホールド値
KSTRref と比較する。
【0119】これは先にこの発明の第4の目的と関連し
て述べたことに部分的に関わるが、適応補正係数KSTRの
変動が激しいときは制御量も急変することになり、制御
の安定性が低下する。そこで、求めたフィードバック補
正係数の1.0との差の絶対値をスレッシュホールド値
と比較し、それを超えるときはS104以降に進み、P
ID制御に基づいてフィードバック補正係数を決定し直
すようにした。
【0120】これによって、制御量が急変することがな
く、安定した制御を実現することができる。この場合、
適応補正係数KSTRの1.0との差の絶対値を比較した
が、スレッシュホールド値KSTRref は図8に示す如く、
フィードバック補正係数の1.0を境とする大小側で別
々に設定しても良い。
【0121】尚、S124で求めた適応補正係数KSTR
(k) の1.0との差の絶対値がスレッシュホールド値を
超えないときは、S126に進んで適応補正係数KSTRを
フィードバック補正係数KFB とする。また、S122で
否定されるときはS128に進んでフラグFKSTR のビッ
トを0にリセットし、S130に進んでPID補正係数
KLAFをフィードバック補正係数KFB とする。
【0122】図4フロー・チャートに戻ると、次いでS
28に進んで求めたフィードバック補正係数KFB などを
燃料噴射量Timに乗算すると共に、加算項TTOTALを加算
し、先に述べたように出力燃料噴射量Tout を決定す
る。次いでS30に進んで出力燃料噴射量Tout を操作
量としてインジェクタ22の駆動回路82に出力する。
【0123】尚、S12でクランキングと判断されたと
きはS34に進んで始動時の燃料噴射量Ticr を機関冷
却水温から検索し、S36に進んで検索値から始動モー
ドの式に従って出力燃料噴射量Tout を算出する。ま
た、S14でフューエルカットと判断されたときは、S
38に進んで出力燃料噴射量Tout を零とする。
【0124】尚、S18またはS20で否定されたとき
は空燃比がオープンループ制御となるので、S32に進
んでフィードバック補正係数KFB の値を1.0とし、S
28に進んで出力燃料噴射量Tout を求める。S12,
S14で肯定されるときもオープンループ制御となり、
出力燃料噴射量Tout は所定値となる。
【0125】この発明の実施の形態においてはフューエ
ルカットから復帰するときなど、燃料噴射および空燃比
のオープンループ制御が終了してフィードバック制御が
再開された場合、所定期間はPID制御則に基づいてフ
ィードバック補正係数KLAFを決定するようにした。その
結果、供給された燃料が燃焼するまでに時間を要する、
ないしはセンサ自体が検出遅れを有することため、検出
された空燃比と真の空燃比との間に比較的大きい差があ
るときなどは適応補正係数KSTRを用いることがない。従
って、制御量(空燃比)を不安定にすることがなく、よ
って制御の安定性を向上させることができる。
【0126】他方、その期間を所定の値としたので、検
出値が安定したときは、適応制御則によるフィードバッ
ク補正係数を用いて目標空燃比と検出空燃比との制御偏
差を一気に吸収させるべく動作させ、制御の収束性を向
上させることができる。特に、この発明の実施の形態に
おいてはフィードバック補正係数を操作量に乗算して操
作量を補正するので、制御の収束性を向上することがで
き、一層好適に制御の安定性と収束性とをバランスさせ
ることができる。
【0127】更に、目標値の変動が大きいときは、所定
期間が経過してもPID制御則に基づいてフィードバッ
ク補正係数を決定するようにしたので、フューエルカッ
トに止まらず、全開増量などのオープンループ制御から
の復帰などに際しても、制御の安定性と収束性とを最適
にバランスさせることができる。また、適応補正係数が
不安定となるときはPID補正係数で補正するようにし
たので、一層最適に制御の安定性と収束性とをバランス
させることができる。
【0128】また、適応制御からPID制御に移行する
とき、適応補正係数KSTRからPID補正係数KLAFの要素
(内部変数)の少なくとも一部、即ち、I項を算出する
ようにした。またPID制御から適応制御に復帰する
際、検出値KACTが1ないしその近傍にあるときを選ぶと
共に、適応補正係数KSTRの演算値がPID補正係数KLAF
とほぼ同一の値から開始するようにした。それらから、
PID制御と適応制御との切り換えが一層滑らかにな
り、フィードバック補正係数に段差が生じて操作量が急
変することがなく、制御量が不安定となることがない。
よって制御の安定性を向上させることができる。
【0129】また、アイドル時においては、PID制御
則に基づいてフィードバック補正係数を決定するように
したので、アイドル時に吸入空気量制御と適応制御のよ
うな高応答の空燃比フィードバック制御が干渉し合うこ
とがない。
【0130】尚、この発明の実施の形態で、図6フロー
・チャートにおいてS110,S114,S124を介
挿したが、それらの全部ないし一部を省略しても良い。
同様に、図7フロー・チャートにおいてS208(S2
10),S212,S216の一部を省略しても良い。
【0131】図9はこの発明の第2の実施の形態を示
す、第1の実施の形態の図8と同様のタイミング・チャ
ートである。第2の実施の形態の場合、第1の実施の形
態で使用したスレッシュホールド値KSTRref に相当する
第1のスレッシュホールド値KSTRref1に加えて第2のス
レッシュホールド値KSTRref2を設定した。
【0132】そして、適応補正係数KSTR(k) の絶対値を
第1、第2のスレッシュホールド値KSTRref1,KSTRref2
と比較し、絶対値が所定時間にわたって第2のスレッシ
ュホールド値KSTRref2を超えるときは、適応補正係数KS
TRを初期値にリセットする、即ち、1にリセットするこ
ととする。
【0133】また絶対値が所定時間にわたって第1のス
レッシュホールド値KSTRref1を超えるときは発振してい
ると判定し、適応制御則からPID制御則に代えてフィ
ードバック補正係数を求めることとする。尚、初期値へ
のリセットないしはPID制御則によるフィードバック
補正係数の決定は、フューエルカットに入るか、フィー
ドバック制御モードを抜けたとき、中止する。
【0134】第2の実施の形態においても、上記の如く
構成することにより、フィードバック補正係数を一層最
適に決定することができ、制御の安定性を一層良く図る
ことができる。
【0135】図10および図11はこの発明の第3の実
施の形態を示すフロー・チャートである。
【0136】図10フロー・チャートは第1の実施の形
態の図4に相当するメイン・フロー・チャートである
が、第3の実施の形態の場合、第1の実施の形態の図4
フロー・チャートのS20のフィードバック制御領域か
否かの判断ステップを図11のサブルーチン・フロー・
チャートに移し、S18で肯定されるときは直ちにS2
2以降に進んでフィードバック補正係数KFB を演算する
ようにした。
【0137】図11はその作業を示すサブルーチン・フ
ロー・チャートである。
【0138】以下説明すると、S300でフィードバッ
ク制御領域か否か判断する。これは第1の実施の形態と
同様に行う。そしてS300で肯定されるときはS30
2に進んでPID補正係数KLAFを演算し、S304に進
んで適応補正係数KSTRを演算する。
【0139】ここで、適応制御則とPID制御則による
フィードバック補正係数の平行演算について説明を補足
すると、数5ないし数7に示した適応パラメータ調整機
構は、中間変数ζ(k-d) 、即ち、u(k) (KSTR(k) )お
よびy(k) (KACT(k) )の現在値と過去値をひとまとめ
にしたベクトルを入力し、その因果関係から適応パラメ
ータθハット(k) を算出している。
【0140】ここで用いるu(k) は、実際に燃料噴射量
演算に用いるフィードバック補正係数である。次回の制
御サイクルで適応制御を行わずにPID制御を行う状態
では、このフィードバック補正係数にPID補正係数KL
AFを用いる。
【0141】ここで、PID制御を行っている場合に、
適応パラメータ調整機構に入力するu(k) を適応補正係
数KSTRからPID補正係数KLAF(k) に置換して適応パラ
メータ調整機構に入力しても、燃料噴射制御に用いたフ
ィードバック補正係数に応じた制御出力、即ち、KACT(k
+d')が出力されるため、入出力の因果関係が成立し、適
応パラメータ調整機構は適応パラメータθハット(k) を
発散させることなく、演算することができる。
【0142】このとき、数9にこのθハット(k) を入力
すると、KSTR(k) を演算することができる。このKSTR
(k) の演算は、KSTR(k-i) =KLAF(k-i) と置換して演算
したKSTR(k) でも良い(i=1,2,3)。
【0143】このように、PIDコントローラが動作し
ているときも適応補正係数KSTRは演算可能であり、その
ときのPID補正係数KLAFと適応補正係数KSTRは略一致
する。これによってPID補正係数KLAFから適応補正係
数KSTRに切り換える際に、PID補正係数KLAFと適応補
正係数KSTRとは近似した値となり、円滑な切り換えとな
る。
【0144】図11フロー・チャートにおいては次いで
S306に進んで適応補正係数KSTRとPID補正係数KL
AFのうち、いずれを用いてフィードバック制御を実行す
べき領域なのか判別する。
【0145】図12はその領域判別作業を示すサブルー
チン・フロー・チャートである。
【0146】以下説明すると、先ずS400において前
回、即ち、図10フロー・チャートの前回起動時(前回
制御周期)にオープンループで制御されていたか否か判
断する。ここで、肯定されたときはS402に進み、P
ID補正係数KLAF、即ち、低応答の補正係数を用いてフ
ィードバック制御を行うべき領域(以下「低応答フィー
ドバック領域」と言う)とする。
【0147】これは、オープンループ制御からの突入時
は前述したような理由から高応答のフィードバック制御
を行わない方が良いためである。尚、オープンループ制
御からの突入時に所定期間、例えば5TDC、低応答フ
ィードバック制御を行っても良く、その場合はS400
の後にその期間であれば継続的にS402に進むような
判断ステップを設ければ良い。
【0148】S400で否定されるときはS404に進
んで検出した機関冷却水温Twが所定値TWSTRON 未満か
否か判断する。ここで、所定値TWSTRON は比較的低水温
に設定され、検出した機関冷却水温Twが所定値TWSTRO
N 未満と判断されるときはS402に進んで低応答フィ
ードバック領域とする。これは、低水温時には燃焼が安
定せず、失火などを生じる危険があって安定した検出値
KACTが得られないからである。尚、図示は省略するが、
水温が異常に高いときも同様の理由から低応答フィード
バック領域とする。
【0149】S404で検出した機関冷却水温Twが所
定値TWSTRON 未満ではないと判断されるときはS406
に進み、検出した機関回転数Neが所定値NESTRLMT以上
か否か判断する。ここで、所定値NESTRLMTは比較的高回
転数であり、S406で検出した機関回転数Neが所定
値NESTRLMT以上と判断されるときはS402に進んで低
応答フィードバック領域とする。これは、高回転時は演
算時間が不足しがちであると共に、燃焼も安定しないか
らである。
【0150】S406で検出した機関回転数Neが所定
値NESTRLMT以上ではないと判断されるときはS408に
進んでアイドル時にあるか否か判断し、肯定されるとき
はS402に進んで低応答フィードバック領域とする。
これは、アイドル時は運転状態がほぼ安定しており、適
応補正係数のような高いゲインを必要としないからであ
る。
【0151】S408でアイドル時ではないと判断され
るときはS410に進んで機関が低負荷にあるか否か判
断し、肯定されるときはS402に進んで低応答フィー
ドバック領域とする。これは、低負荷域では燃焼が安定
しないためである。
【0152】S410で低負荷ではないと判断されると
きはS412に進んで可変バルブタイミング機構におい
てHi V/T(高速側のバルブタイミング)が選択されてい
るか否か判断し、肯定されるときはS402に進んで低
応答フィードバック領域とする。
【0153】これは、高速側のバルブタイミングが選択
されているときはバルブタイミングのオーバラップ量が
大きいため、吸気が排気弁を通過して逃げる、いわゆる
吸気の吹き抜けと言う現象が生じる恐れがあり、安定し
た検出値KACTを期待し得ないからである。また、高回転
時にはLAFセンサの検出遅れも無視し難くなる。尚、
ここで高速側のバルブタイミングが選択されているか否
かの判断は、実際に高速側のバルブタイミングが選択さ
れているか否かを判断するのみならず、図示しない可変
バルブタイミング機構の制御ユニットで低速側から高速
側への切り換え指令がなされているか否かをも適宜なフ
ラグを参照することで行う。
【0154】即ち、バルブタイミングの変更は全ての気
筒について同時に行われるとは限らず、過渡状態などで
は気筒によってはバルブタイミングが一時的に異なる場
合が生じるからである。換言すれば、バルブタイミング
の高速側への切り換え時にあっては、低応答フィードバ
ック領域と判断されてPID補正係数を用いてフィード
バック制御がなされたのを確認した上で、可変バルブタ
イミング機構の制御ユニットでは高速側への切り換えを
行うようにする。
【0155】そしてS412で否定されるときはS41
4以降に進み、検出した空燃比KACTが前記下限値a未満
か否か判断し、肯定されるときはS402に進むと共
に、否定されるときはS416に進んで検出した空燃比
KACTが前記上限値bより大きいか否か判断し、肯定され
るときはS402に進むと共に、否定されたときはS4
18に進んで適応補正係数KSTR、即ち、高応答の補正係
数を用いてフィードバック制御を行うべき領域(以下
「高応答フィードバック領域」と言う)とする。
【0156】即ち、空燃比がリーンもしくはリッチのと
きは適応制御のような高応答の制御は行わない方が良い
ため、下限値a、上限値bを第1の実施の形態のように
適宜設定することでその判別をするようにした。尚、こ
の作業は、検出空燃比に代えて目標空燃比を比較しても
良い。
【0157】図11フロー・チャートに戻ると、次いで
S308に進んで高応答フィードバック領域か否か判断
し、肯定されるときはS310に進んで適応補正係数KS
TRをフィードバック補正係数KFB とし、S312に進ん
でフィードバック補正係数KFB をI項KLAFI とする。こ
の理由は、先の実施の形態で述べた。次いでS314に
進んで適応補正係数KSTRで噴射量補正がなされることか
らフラグFKSTR のビットを1にセットする。
【0158】他方、S308で高応答領域ではないと判
断されるときはS316に進んでPID補正係数KLAFを
フィードバック補正係数KFB とし、S318に進んでフ
ィードバック補正係数KFB をプラント入力u(k) とし、
STRコントローラに入力する(図5に示す)。これ
は、STR領域ではないときもSTRコントローラは演
算を継続することから、前記の如くPID補正係数KLAF
を演算に使用させるためである。次いでS320に進ん
でフラグFKSTR のビットを0にリセットする。
【0159】またS300でフィードバック領域ではな
いと判断されるときはS322に進んでフィードバック
領域ではなくなってから所定期間が経過したか否か判断
し、否定されるときはS324に進んでI項の前回値KL
AFI(k-1)を今回値KLAFI とし、即ち、I項をホールド
し、S326に進んで同様に、適応制御器の内部変数
(中間変数)を前回値、即ち、適応制御時の最後の値を
ホールドする。
【0160】尚、プラント入力uは図5に示す如く、ζ
の演算に用いられるが、そのとき現在値u(k) のみなら
ず、その過去値u(k-1) なども用いられる。従って、S
326のu(k-i) のiは、その現在値および過去値を総
称する意味で用い、S326ではu(k) ,u(k-1) ,u
(k-2) ,u(k-3) 、より正確にはu(k-1) ,u(k-2),
u(k-3) ,u(k-4) をホールドすることを意味する。
【0161】ここで、適応パラメータθハットとゲイン
行列Γは、単に前回値をホールドすることとする。ま
た、適応パラメータθハットとゲイン行列Γがマップ値
としてメモリなどに格納されているような場合には、ホ
ールド値に代えてマップ値を用いても良い。また図示は
省略したが、KSTR,KACTも適応制御時の最後の値をホー
ルドする。尚、KACTと入力u(k-i)をひとまとめにしてζ
としてホールドさせても良い。
【0162】次いで、S328に進んでフィードバック
補正係数KFB の値を1.0とする。即ち、フィードバッ
ク制御を行わないこととし、S330に進んでフラグFK
STRのビットを0にリセットする。
【0163】他方、S322でフィードバック領域では
なくなってから所定期間が経過したと判断されるときは
S332に進んでI項KLAFI の値を1.0(初期値)と
し、S334に進んでプラント入力u、適応パラメータ
θハットおよびゲイン行列Γの値を所定値、例えば初期
値とする。ここで、プラント入力uについて初期値はよ
り具体的には、u(k) =u(k-1) =u(k-2) =u(k-3)
=1とおく。
【0164】これについて説明すると、一旦アクセルペ
ダルが戻されて減速し、フューエルカットされてオープ
ンループ制御に移行した後、ほどなくアクセルペダルが
再び踏まれて加速する、即ち、フィードバック制御に復
帰することは、しばしば経験される。このように短時間
で再びフィードバック制御に復帰するときは、STRコ
ントローラの非作動領域前後の内燃機関の状態がほとん
ど変化せず、過去の燃焼履歴との因果関係が当然成立し
ているからである。
【0165】従って、このような一過性の領域の変更の
場合には適応制御器の内部変数をホールドすることで適
応制御の連続性が保たれ、初期状態などに不要に戻るこ
となく、適応制御が実行されて制御安定性が向上する。
その意味で、S322で述べた所定期間は、過去の燃焼
履歴との因果関係が成立する範囲の期間に設定する。
尚、ここで「期間」なる語を使用したのは、時間により
計測することのみならず、制御周期数(燃焼サイクル
数)、TDC数などによっても制御が可能であるためで
ある。
【0166】他方、所定期間以上の時間が経過したとき
は、適応制御非作動領域前後の内燃機関の状態が大きく
変化していることが予想されるため、S334で内部変
数を所定値、例えば初期値に戻すようにした。尚、θハ
ット(k-1) の初期値およびu(k) (=KSTR(k) )を内燃
機関の運転領域ごとにメモリに格納しておき、その値を
用いてθハット(k-1) およびζ(k-d) の過去値としても
良い。そうすることによって、適応制御再開時の制御性
をさらに向上させることができる。更には、θハット
(k) を運転領域ごとに学習しても良い。
【0167】図10フロー・チャートに戻ると、次いで
S28に進んで出力燃料噴射量Tout を決定し、次いで
S30に進んで出力燃料噴射量Tout を操作量としてイ
ンジェクタ22の駆動回路82に出力するが、これらは
第1の実施の形態と相違しない。
【0168】第3の実施の形態においても第1の実施の
形態と同様に、フューエルカットから復帰するときな
ど、空燃比のオープンループ制御が終了してフィードバ
ック制御が再開された直後および燃焼が安定しない運転
状態にあるときなどはPID制御則に基づいてフィード
バック補正係数を決定したので、制御量を不安定にする
ことがなく、制御の安定性を低下させることがない。
【0169】他方、燃焼が安定した後などは、高応答の
適応制御則によるフィードバック補正係数を用いて目標
値と検出値との制御偏差を一気に吸収させるべく動作さ
せるので、第1の実施の形態と同様に制御の収束性を向
上させることができる。
【0170】更に、STRコントローラとPIDコント
ローラとを、その内部要素を互いに置換させながら平行
して動作させ、適応補正係数KSTRとPID補正係数KLAF
とを平行して演算するようにしたので、適応補正係数KS
TRからPID補正係数KLAFへの、ないしはその逆の切り
換えを一層滑らかに行うことができる。
【0171】また、その切り換えも任意のタイミングで
行うことができて一層適切に切り換えることができると
共に、切り換え時の空燃比のスパイクなどが発生するこ
とがなく、燃料噴射ないし空燃比の制御性を向上させる
ことができる。
【0172】図13は、この発明の第4の実施の形態を
示す、図11と同様のフィードバック補正係数KFB 演算
のサブルーチン・フロー・チャートである。
【0173】第4の実施の形態においてはSTRコント
ローラとPIDコントローラとを低応答フィードバック
領域から高応答フィードバック領域への過渡時のみ一時
的に平行して演算させることとして演算負荷を低減し
た。
【0174】これについて説明すると、第3の実施の形
態ではPIDコントローラとSTRコントローラを両者
とも常に動作させて演算を行うようにしたが、PIDコ
ントローラが動作しているとき、STRコントローラを
停止して適応補正係数KSTRの演算を行わなくても、同様
の効果を得ることができると共に、演算負荷の低減の点
ではそれ以上の効果を得ることができる。
【0175】即ち、数5ないし数7から明らかな如く、
適応パラメータθハット(k) の演算には中間変数の過去
値が必要であるが、逆に言えば、この中間変数の過去値
があれば、適応パラメータθハット(k) を演算すること
が可能となる。この中間変数の過去値としては、θハッ
ト(k-1) ,ζ(k-d) ,Γ(k-1) があるが、ζ(k-d) は第
3の実施の形態と同様にPID補正係数KLAFと適応補正
係数KSTRを置換することにより作成できる。
【0176】またΓ(k-1) は適応速度を決定するゲイン
行列のため、初期値など所定の値を用いれば良い。θハ
ット(k-1) についても、前記の如く、適応補正係数KSTR
=1.0となる組み合わせに、bo をKLAF(k-1) で除算
した値を用いても良い。
【0177】上記を前提として、以下説明すると、先ず
S500でフィードバック制御領域か否か判断し、肯定
されるときはS502に進んでフィードバック領域を判
別する。これは第3の実施の形態において図12フロー
・チャートで述べたと同様の手順で判別する。そしてS
504で高応答フィードバック領域か否か判断し、そこ
で肯定されるときはS506に進んでフラグFSTRC のビ
ットが1にセットされているか否か判断する。
【0178】今、例えば低応答フィードバック領域から
高応答フィードバック領域に復帰した直後とすると、S
506の判断は否定されてS508に進み、STR(コ
ントローラ)の内部変数を設定する。これは先に図11
フロー・チャートのS334で述べたと同様の作業であ
る(ζ(k-d) に用いる入力u(k) の過去値は、KLAFの過
去値が後述するS522,S546で設定されている場
合には、それを用いる)。次いでS510に進んで適応
補正係数KSTRを第1の実施の形態で述べたと同様の処理
で演算し、次いでS512に進んでPID補正係数KLAF
を第1の実施の形態で述べたと同様の処理で演算する。
【0179】次いでS514に進んでカウンタCの値を
インクリメントし、S516に進んで演算した適応補正
係数KSTRとPID補正係数KLAFとが完全にあるいは略同
一か否か判断し、否定されるときはS518に進んでカ
ウンタ値Cが所定値Cref を超えたか否か判断する。S
518でも否定されるときはS520に進んでPID補
正係数KLAFをフィードバック補正係数KFB とし、S52
2に進んでフィードバック補正係数KFB をプラント入力
u(k) とし、S524に進んでフラグFKSTR のビットを
0にリセットし、S526に進んでフラグFSTRC のビッ
トを1にセットする。
【0180】従って、次のプログラム・ループ(制御周
期)のとき、S506での判断は肯定されてS528に
進み、そこで否定されてS510以降を再度進み、S5
16ないしはS518で肯定されない限り、以上の処理
を繰り返す。換言すれば、その間はS510とS512
で適応補正係数KSTRとPID補正係数KLAFとを平行して
演算する。
【0181】そして、何回目かのプログラム・ループに
おいてS516またはS518で肯定されると、S53
2に進んで適応補正係数KSTRをフィードバック補正係数
KFBとし、S534に進んでフィードバック補正係数KFB
を前述した理由からI項KLAFI に置き換え、S536
に進んでフラグFKSTR のビットを1にセットし、S53
8に進んでフラグFSTRC のビットを1にセットし、S5
40に進んで前記したカウンタCの値を零にリセットす
る。
【0182】従って、次回のプログラム起動時にS50
6の判断は肯定されてS528に進み、S528の判断
も肯定されてS530に進んで適応補正係数KSTRを第1
の実施の形態と同様の手順で演算する。
【0183】他方、S504で高応答フィードバック領
域ではないと判断されるときはS542に進んでPID
補正係数KLAFを従前の実施の形態と同様の手順で演算
し、S544に進んでPID補正係数KLAFをフィードバ
ック補正係数KFB とし、S546に進んでフィードバッ
ク補正係数KFB をプラント入力u(k) とし、S548に
進んでフラグFKSTR のビットを0にリセットし、S55
0に進んでフラグFSTRCのビットを0にセットする。
【0184】従って、オープンループ制御からフィード
バック制御に復帰したときは先ず低応答フィードバック
領域とされると共に、その低応答フィードバック領域か
ら高応答フィードバック領域に復帰するときのみ、適応
補正係数KSTRとPID補正係数KLAFの演算を一時的に平
行して行い、両者の値がほとんど同一になるか所定制御
周期(Cref )が経過すると、適応補正係数KSTRのみ演
算するようにした。
【0185】尚、S500でフィードバック制御領域で
はないと判断されるときはS552に進んでフィードバ
ック補正係数KFB の値を1.0とし、S554に進んで
I項KLAFI の値を1.0とし、S556に進んでフラグ
FKSTR のビットを0にリセットし、S558に進んでフ
ラグFSTRC のビットを同様に0にリセットする。
【0186】第4の実施の形態は、低応答フィードバッ
ク領域から高応答フィードバック領域に復帰するときの
み、適応補正係数KSTRとPID補正係数KLAFを一時的に
平行して演算し、両者の値がほとんど同一になるか、あ
るいは所定制御周期が経過すると、適応補正係数KSTRの
み演算するようにしたので、円滑に切り換えることがで
きると共に、演算負荷を軽減することができる。
【0187】尚、上記においてPID補正係数KLAFから
適応補正係数KSTRに切り換える指令が発せられてから、
上記のζ(k-d) ,Γ(k-1) ,θハット(k-1) を用いて所
定制御回数だけ適応補正係数KSTRを単に演算するように
しても良い。即ち、所定制御回数だけPID補正係数KL
AFで噴射量補正し続けた後、適応補正係数KSTRに完全に
切り換えるようにしても良い。
【0188】また上記の所定制御回数後ではなく、 KLAF(k)−α≦KSTR(k) ≦KLAF(k) +β となる、即ち、KSTR(k) ≒KLAF(k) となった後に、噴射
量補正に用いるフィードバック補正係数をKLAF(k) から
KSTR(k) に切り換えるようにしても良い( α, β: 微小
の所定値) 。
【0189】またS516ないしはS518のいずれか
で肯定されたとき噴射量補正に用いるフィードバック補
正係数をKLAF(k) からKSTR(k) に切り換えるようにした
が、S516ないしはS518の一方を省略しても良
い。
【0190】図14および図15は、この発明の第5の
実施の形態を示すブロック図およびフィードバック補正
係数KFB の更に別の演算例を示すサブルーチン・フロー
・チャートである。
【0191】第5の実施の形態の場合、図14に示す如
く、PIDコントローラを除去し、第1の実施の形態の
STRコントローラに加えて第2のSTRコントローラ
を設けた(第1の実施の形態のSTRコントローラに相
当するものを「STRコントローラ1」、第2のSTR
コントローラを「STRコントローラ2」と称する)。
【0192】そして、STRコントローラ1の決定する
フィードバック補正係数(「第1の適応補正係数」ある
いは「KSTR」と言う)と、STRコントローラ2の決定
するフィードバック補正係数(「第2の適応補正係数」
あるいは「KSTRL 」と言う)について、その応答性の大
小を KSTR>KSTRL とした。即ち、STRコントローラ2の決定する第2の
適応補正係数KSTRL の方が相対的にゲインが小さく、従
って制御の応答性が低いように設定する。
【0193】ここで、STRコントローラ1,2のゲイ
ンの高低は、使用アルゴリズムを可変ゲインアルゴリズ
ムと固定ゲインアルゴリズムと相違させることで行う。
即ち、高ゲイン側は可変ゲインアルゴリズムとして収束
性を高めると共に、低ゲイン側を固定ゲインアルゴリズ
ムとして前出のゲイン行列Γを低ゲインに設定し、安定
性を高めるようにする。
【0194】また、より簡単に、両方とも固定ゲインア
ルゴリズムとしてゲイン行列を相違させても良い。その
場合は STRコントローラ1のゲイン行列Γ>STRコントロ
ーラ2のゲイン行列Γ とすれば良い。
【0195】図15は第5の実施の形態の動作を示すフ
ロー・チャートである。尚、図15は第3の実施の形態
の図11に類似し、同一のステップであれば、特に断ら
ない限り、図11と同様の処理が行われる。
【0196】以下説明すると、S600においてフィー
ドバック制御領域か否か判断し、肯定されるときはS6
04,S606に進み第2の適応補正係数KSTRL と第1
の適応補正係数KSTRを従前の実施の形態で説明したと同
様の手順で演算し、S608に進んでフィードバック領
域判別を行い、S610に進んで高応答フィードバック
領域か否か判断し、肯定されるときはS612に進んで
第1の適応補正係数KSTRをフィードバック補正係数KFB
とし、S614に進んでフラグFKSTR のビットを1にセ
ットする。
【0197】またS610で高応答フィードバック領域
にないと判断されるときはS616に進んで第2の適応
補正係数KSTRL をフィードバック補正係数KFB とし、S
618に進んでフラグFKSTR のビットを0にリセットす
る。
【0198】他方、S600でフィードバック制御域に
ないと判断されるときはS620に進んで第3の実施の
形態の場合と同様に所定期間が経過したか否か判断し、
否定されるときはS622に進んで第3の実施の形態の
場合と同様に内部変数の前回値をホールドする。尚、こ
のとき内部変数は第1の適応補正係数KSTRと第2の適応
補正係数KSTRL との両方について行う。
【0199】次いでS624に進んでフィードバック補
正係数KFB の値を1.0とし、S626に進んでフラグ
FKSTR のビットを0にリセットする。またS620で肯
定されるときはS628に進んで内部変数を所定値(初
期値)に設定する。尚、ここで内部変数のうち、プラン
ト入力u(k-i) 、適応パラメータθハット(k-1) および
ゲイン行列Γ(k-1) の所定値は、第1、第2の適応補正
係数KSTR, KSTRL で異なるものとする(但し、ゲイン行
列Γ(k-1) を除くと同一値でも良い)。
【0200】第5の実施の形態は上記の如く、同様に適
応制御則でありながら応答性において異なる2種の制御
則を用いてフィードバック補正係数を平行的に算出し、
運転状態に応じてそのいずれかを選択するようにしたの
で、第3の実施の形態と同様の効果を得ることができ
る。
【0201】また、S604,S606のKSTRL,KSTRの
演算の場合においてもS612,S616,624で示
すように、それぞれのSTRコントローラによるKSTR,
KSTRL の演算に対して、実際にフィードバック制御に用
いられた補正係数KFB を用いることにより、KSTR, KSTR
L は常に相関のとれた値となり、切り換えによる段差を
減少することができる。
【0202】尚、第5の実施の形態ではSTRコントロ
ーラを2個用意する構成としたが、STRコントローラ
を1個のみ使用し、固定ゲインアルゴリズムを使用し、
ゲインの高低をΓの設定値を変えることで行っても良
い。
【0203】また従前の実施の形態において、上記第5
の実施の形態のように2個のSTRコントローラを設
け、適応補正係数KSTR(k) の絶対値が第1のスレッシュ
ホールド値KSTRref1を超えるとき、第2のコントローラ
の出力する低ゲインの補正係数を用いるようにしても良
い。
【0204】また従前の実施の形態において、適応補正
係数KSTRの1.0との差の絶対値を求めてスレッシュホ
ールド値と比較するようにしたが、適応補正係数KSTRの
1.0を境とする大小それぞれの側において別々に比較
しても良く、大小間の差を求めて比較しても良い。更に
はスレッシュホールド値を大小側で相違させても良い。
【0205】また従前の実施の形態においてPID制御
の例を示したが、各ゲインKP,KI,KDを適宜設定すること
で、PI制御とすることも、I項のみによる制御とする
ことも自由である。即ち、ここで言うPID制御は、そ
の一部のゲイン項を有すれば成立する。その意味で、特
許請求の範囲においてPID制御器と表現した。
【0206】また従前の実施の形態において目標値を空
燃比(より正確には当量比)としたが、燃料噴射量とし
ても良い。
【0207】また従前の実施の形態においてフィードバ
ック補正係数KSTR,KLAF, KSTRL を乗算形式で求めた
が、加算形式であっても良い。
【0208】また従前の実施の形態においてスロットル
弁をパルスモータで作動したが、アクセルペダルと機械
的にリンクさせ、アクセルペダルの踏み込みに応じて作
動させても良い。
【0209】また従前の実施の形態において内燃機関の
例として、排気還流機構、キャニスタ・パージ機構など
が設けられたものを示したが、これらは必須なものでは
ない。
【0210】また上記において適応制御器としてSTR
を例にとって説明したが、MRACS(モデル規範型適
応制御)を用いても良い。
【0211】また上記において排気系集合部に設けた単
一の空燃比センサの出力を用いているが、それに限られ
るものではなく、気筒ごとに空燃比センサを設け、気筒
ごとに検出した空燃比を用いても良い。
【0212】
【発明の効果】請求項1項にあっては、切り換え後のフ
ィードバック補正係数の値を切り換え前のフィードバッ
ク補正係数の値と実質的に同一にすることができ、フィ
ードバック補正係数間に段差が生じることがないので、
低応答のフィードバック補正係数から高応答のフィード
バック補正係数に切り換えるときも含めて、操作量が急
変して制御量が不安定となることがなく、よって制御の
安定性を向上させることができる。
【0213】請求項2項にあっては、所定の範囲を適宜
設定することで、第1の算出手段と第2の算出手段の出
力が実質的に同一であるときに切り換えることができ、
効果的にフィードバック補正係数の間の差を減少するこ
とができ、その切り換えを一層滑らかに行うことがで
き、操作量が急変して制御量が不安定となることがな
く、よって制御の安定性を向上させることができる。
【0214】請求項3項にあっては、理論空燃比に向け
て制御しているとき、検出値が当量比において1付近の
値にあることは制御偏差が小さい、即ち、第1の算出手
段と第2の算出手段の出力が実質的に同一であることを
一層的確に検知することができる。従って、その時点に
おいて切り換えることで、より効果的にフィードバック
補正係数の間の差を減少することができ、その切り換え
をより一層滑らかに行うことができる。
【0215】請求項4項にあっては、フューエルカッ
ト、全開増量補正、EGRの実行などからオープンルー
プ制御された後にフィードバック制御に復帰したとき
も、フィードバック補正係数の切り換えを滑らかに行う
ことができ、操作量が急変して制御量が不安定となるこ
とがなく、よって制御の安定性を向上させることができ
る。
【0216】請求項5項にあっては、特にフューエルカ
ット時にオープンループ制御された後にフィードバック
制御に復帰したときにフィードバック補正係数の切り換
えを滑らかに行うことができ、操作量が急変して制御量
が不安定となることがなく、よって制御の安定性を向上
させることができる。
【0217】請求項6項にあっては、切り換えによる段
差を減少させながら、切り換えを任意のタイミングで行
うことができ、特に低応答のフィードバック補正係数か
ら高応答のフィードバック補正係数への切り換えにあっ
ても任意のタイミングで切り換えることができるため、
切り換えを一層滑らかに行うことができて制御の安定性
を一層向上させることができる。
【0218】請求項7項にあっては、前記した作用効果
に加えて、制御対象が状態によって変化する場合でも収
束速度を自動的に調整することとなり、制御量が目標値
へ速やかに収束して収束性が向上すると共に、外乱に対
するロバスト性も向上する。
【0219】請求項8項にあっては、前記した作用効果
に加えて、高応答のフィードバック補正係数を用いると
制御の安定性が低下するような場合でも、安定したフィ
ードバック補正係数の設定が可能となって制御の安定性
を向上させることができる。
【0220】請求項9項にあっては、応答性をある程度
確保しながら、高応答のフィードバック補正係数を用い
ると制御の安定性が低下するような場合でも、制御の安
定性を確保することができる。
【0221】請求項10項にあっては、前記した作用効
果に加えて、構成を簡易にすることができる。
【0222】請求項11項にあっては、前記した作用効
果に加えて、収束速度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る内燃機関の燃料噴射制御装置を
全体的に示す概略図である。
【図2】図1の内燃機関に設けられた可変バルブタイミ
ング機構のバルブタイミング特性を示す特性図である。
【図3】図1の装置の制御ユニットの構成を詳細に示す
ブロック図である。
【図4】図1の装置の動作を示すフロー・チャートであ
る。
【図5】図1の装置の動作を機能的に示すブロック図で
ある。
【図6】図4フロー・チャートのフィードバック補正係
数KFB の演算作業を示すサブルーチン・フロー・チャー
トである。
【図7】図6フロー・チャートのサブルーチン・フロー
・チャートであって、応答性において異なる2種のフィ
ードバック補正係数の具体的な演算作業を示すフロー・
チャートである。
【図8】図6フロー・チャートでのフィードバック補正
係数と1.0 の差の絶対値と比較される基準値を示すタイ
ミング・チャートである。
【図9】この発明の第2の実施の形態を示す、図8と同
様のタイミング・チャートである。
【図10】この発明の第3の実施の形態を示す、図4と
同様のメイン・フロー・チャートである。
【図11】第3の実施の形態におけるフィードバック補
正係数KFB の演算作業を示すサブルーチン・フロー・チ
ャートである。
【図12】第3の実施の形態におけるフィードバック領
域判別作業を示すサブルーチン・フロー・チャートであ
る。
【図13】この発明の第4の実施の形態の形態を示す、
図11と同様のフィードバック補正係数KFB の演算作業
を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【図14】この発明の第5の実施の形態における装置の
動作を示すブロック図である。
【図15】この発明の第5の実施の形態を示す、図11
と同様のフィードバック補正係数KFB の演算作業を示す
サブルーチン・フロー・チャートである。
【図16】フューエルカットから燃料供給を再開したと
きの空燃比の検出遅れを示すタイミング・チャートであ
る。
【符号の説明】
10 内燃機関 22 インジェクタ 34 制御ユニット 54 空燃比センサ(LAFセンサ)

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】a.少なくとも内燃機関の排気ガスの空燃
    比を検出する空燃比検出手段を含む、内燃機関の運転状
    態を検出する手段と、 b.前記空燃比検出手段により検出された空燃比に基づ
    いて内燃機関に供給する供給燃料量が目標値に一致する
    ように、漸化式形式の制御器を用いて前記供給燃料量を
    補正する第1のフィードバック補正係数を算出する第1
    の算出手段と、 c.前記第1のフィードバック補正係数と同様に前記供
    給燃料量を補正する補正係数であって、前記第1のフィ
    ードバック補正係数より応答性の低い第2のフィードバ
    ック補正係数を算出する第2の算出手段と、 d.検出された運転状態に応じて前記第1の算出手段と
    第2の算出手段の出力を切り換える切り換え手段と、お
    よび e.前記切り換え手段を介して選択された前記第1また
    は第2のフィードバック補正係数に基づいて前記供給燃
    料量を補正する供給燃料量補正手段と、を備えると共
    に、前記切り換え手段は、 f.前記第1の算出手段と第2の算出手段の出力を切り
    換えるとき、前記第1のフィードバック補正係数および
    第2のフィードバック補正係数の内部要素の少なくとも
    一部を置換する置換手段、を備えることを特徴とする内
    燃機関の燃料噴射制御装置。
  2. 【請求項2】 前記切り換え手段は、検出された空燃比
    が所定の範囲内にあるとき、前記第1の算出手段と第2
    の算出手段の出力を切り換えることを特徴とする請求項
    1項記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  3. 【請求項3】 前記所定の範囲は、当量比において1ま
    たはその近傍であることを特徴とする請求項2項記載の
    内燃機関の燃料噴射制御装置。
  4. 【請求項4】a.内燃機関の排気ガスの空燃比を検出す
    る空燃比検出手段と、 b.前記空燃比検出手段が検出する空燃比が目標空燃比
    に一致するように漸化式形式の制御器を用いて第1のフ
    ィードバック補正係数を算出する第1の算出手段と、 c.前記空燃比検出手段が検出する空燃比が前記目標空
    燃比に一致するように、前記第1のフィードバック補正
    係数より応答性の低い第2のフィードバック補正係数を
    算出する第2の算出手段と、 d.前記第1の算出手段と第2の算出手段の出力を切り
    換える切り換え手段と、 e.前記切り換え手段を介して選択された前記第1また
    は第2のフィードバック補正係数に基づいて前記内燃機
    関に供給する供給燃料量を補正する供給燃料量補正手段
    と、を備えると共に、前記供給燃料量補正手段は、オー
    プンループ制御からフィードバック制御へ移行するとき
    は、所定期間、前記第2の算出手段の出力に基づいて前
    記供給燃料量を補正することを特徴とする内燃機関の燃
    料噴射制御装置。
  5. 【請求項5】 前記オープンループ制御からフィードバ
    ック制御へ移行するときが、前記内燃機関への燃料供給
    を停止した後に燃料供給を再開するときであることを特
    徴とする請求項4項記載の内燃機関の燃料噴射制御装
    置。
  6. 【請求項6】 前記第1の算出手段と第2の算出手段
    は、前記第1のフィードバック補正係数と第2のフィー
    ドバック補正係数を平行して算出すると共に、前記切り
    換え手段は、検出された運転状態に応じて前記第1の算
    出手段と第2の算出手段の出力を選択することで切り換
    えることを特徴とする請求項1項ないし5項のいずれか
    に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  7. 【請求項7】 前記漸化式形式の制御器は、適応制御器
    であることを特徴とする請求項1項ないし6項のいずれ
    かに記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  8. 【請求項8】 前記第2の算出手段は、P項、I項、D
    項のいずれか1つを少なくとも含むPID制御器を用い
    て前記第2のフィードバック補正係数を算出することを
    特徴とする請求項1項ないし7項のいずれかに記載の内
    燃機関の燃料噴射制御装置。
  9. 【請求項9】 前記第2の算出手段は、漸化式形式の適
    応制御器を用いて前記第2のフィードバック補正係数を
    算出することを特徴とする請求項1項ないし7項のいず
    れかに記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  10. 【請求項10】 前記第1、第2の算出手段は適応制御
    器を用いて前記第1、第2のフィードバック補正係数を
    算出するものであり、前記第1の算出手段は、可変ゲイ
    ンおよび固定ゲインの少なくともいずれか一方を用いて
    前記第1のフィードバック補正係数を算出すると共に、
    前記第2の算出手段は、その他方を用いて前記第2のフ
    ィードバック補正係数を算出することを特徴とする請求
    項1項ないし6項のいずれかに記載の内燃機関の燃料噴
    射制御装置。
  11. 【請求項11】 前記供給燃料量補正手段は、前記第1
    または第2のフィードバック補正係数を前記供給燃料量
    に乗算して前記供給燃料量を補正することを特徴とする
    請求項1項ないし10項のいずれかに記載の内燃機関の
    燃料噴射制御装置。
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