JPH08104947A - 耐ころがり疲労損傷性に優れた高強度レールおよびその製造法 - Google Patents
耐ころがり疲労損傷性に優れた高強度レールおよびその製造法Info
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- JPH08104947A JPH08104947A JP24443894A JP24443894A JPH08104947A JP H08104947 A JPH08104947 A JP H08104947A JP 24443894 A JP24443894 A JP 24443894A JP 24443894 A JP24443894 A JP 24443894A JP H08104947 A JPH08104947 A JP H08104947A
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Abstract
を製造するための疲労損傷要因であるアルミナクラスタ
ーを少なく、細粒のパーライトがえられる成分および製
造方法を提供すること。 【構成】 Mg添加による脱酸処理により重量%でC:0.55
〜0.90% 、Si: 0.10〜1.20% 、Mn: 0.50〜1.50% 、S:
0.002〜0.035%、Mg: 0.0004〜0.01% 、Al≦0.03%、V:
0.001〜1.00% 、Ti:0.001〜0 .075% 、N:0.0005〜0.030
%を含有し、あるいはこれに1種または2種以上の重量
%で、Cr: 0.10〜1.0%、Ni:0.10 〜4.0%、Mo: 0.10〜0.
50% 、Nb: 0.01〜0.05% を含有して残部が鉄及びPなど
の不可避的不純物からなる溶鋼を連続鋳造法などを経て
製造した鋼片を熱間圧延終了後そのまま、あるいは熱処
理する目的で高温に加熱後加速冷却し、 100μm超のア
ルミナクラスターの総長さが単位面積 200mm2 あたり20
00μm未満であることを特徴とする。
Description
組織を微細化し、さらに非金属介在物を減少させて延性
の向上を図り、レール表面損傷抵抗性、およびレール内
部疲労損傷抵抗性の向上を図った靭性、延性および耐こ
ろがり疲労損傷性に優れた高強度レールおよびその製造
法に関するものである。
よび貨物の重積載化が進められているが、これに伴って
レール頭部の摩擦や疲労損傷が急速に増加しつつある。
このようなレール材の使用環境の過酷化時代に摩耗の増
加に対処するために、レール鋼の高強度化のための技術
開発が加速され、国内・外を問わず曲線区間のレール材
はほとんどすべて高強度レールが支配することとなっ
た。
上とともに、本来摩耗によって削り取られるべき疲労ダ
メージ層がレール頭表面、特に車輪フランジ付け根部が
押しつけられるゲージ・コーナー(GC)表面に残存
し、表面損傷を生成させる傾向が認められるようになっ
た。さらにレール鋼の耐摩耗性の向上は、車輪荷重のレ
ールGC内部での応力集中を一点に固定させることとな
り、レール頭部内部からの疲労損傷を急増させることと
なった。
対策として、(1)特開昭61−075631号公報に
開示されているような、レール頭頂部またはGCもしく
は双方に硬度の最大値が、レール表面から2〜8mmの深
さにあることを特徴とする頭部表面耐表面損傷性高強度
レール、(2)特開平2−027737号公報に開示さ
れている、レール頭部が微細パーライト組織を有し、か
つGCから内部20mmの深さ位置まで、ビッカース硬度
350から420までを有することを特徴とするGC内
部疲労損傷抵抗性に優れたレール、および特開平2−2
82448号公報に開示されているように、レール頭頂
部の硬度がビッカース硬度Hv200〜350、頭部コ
ーナー部の硬度がビッカース硬度Hv250〜410で
あることを特徴とする耐ころがり疲労損傷性に優れたレ
ール、などがある。
おけるレール表面および内部疲労損傷対策レールは、い
ずれも特殊な熱処理方法を施すことによってレール頭部
の硬度分布を制御しようとするものである。すなわちレ
ール頭頂面またはGC部もしくは双方の冷却速度を変え
て、あるいは冷却の途中から変えることによってレール
頭頂面とGC表面もしくは頭表面と内部の硬度分布を制
御するものであり、冷却制御が複雑かつ冷却装置の煩雑
さをともなうなど問題が多い また、レール頭部内部からの疲労損傷の発生は、国内の
私鉄の急曲線区間外軌レールにおいて塗油が十分に施さ
れ、摩耗が極端に抑制されたレールGC内部に認められ
るが、海外の重荷重鉄道においては損傷のほとんどがこ
のようなGC内部を起点とする疲労損傷である。しか
し、実験室的にレールGC内部から疲労損傷を発生させ
る試験法はまだ確立されていない。
損傷の発生にAl系介在物であるアルミナクラスターが
有害であることが知られており、発明者らの研究では1
00μm超のアルミナクラスターがレール頭部から採取
した10×20mmの試験片中に、総長さ2000μm超
存在すると敷設後に内部疲労損傷を発生させることが明
らかになっている。したがってこの長さは極力小さいこ
とが必要である。
るものであって、有害なアルミクラスターを少なくし、
かつ、オーステナイト粒内および粒界に微細なパーライ
トを生成させることにより靭性、延性および耐ころがり
疲労損傷性に優れた高強度レールおよびその製造法を提
供することを目的とする。
に本発明は以下の構成を要旨とする。すなわち 溶鋼を脱酸し、鋼片とし、これを熱間加工を含む工程
で製造したレールであって、重量%で、C :0.55
〜0.90%、 Si:0.10〜1.20%、M
n:0.50〜1.50%、 S :0.002〜
0.035%、Mg:0.0004〜0.01%、A
l:0.03%以下、V :0.001〜1.00%、
Ti:0.001〜0.075%、N :0.000
5〜0.030%を含有し、あるいはこれらに1種また
は2種以上の重量%で、Cr:0.10〜1.0%、
Ni:0.10〜4.0%、Mo:0.10〜0.
50%、 Nb:0.01〜0.05%を含有し、残
部が鉄及びPなどの不可避的不純物からなる鋼で、オー
ステナイト粒内のMnSを核としたパーライトが、さら
にはMnS上のV炭窒化物およびTi炭窒化物を核とし
たパーライトが存在し、かつ100μm超のアルミナク
ラスターの総長さが単位面積200mm2 あたり2000
μm未満であることを特徴とする靭性、延性および耐こ
ろがり疲労損傷性に優れた高強度レールである。また、 溶鋼に脱酸元素としてMgを添加し脱酸処理を施して
溶製し、重量%で、C :0.55〜0.90%、
Si:0.10〜1.20%、Mn:0.50〜1.5
0%、 S :0.002〜0.035%、Mg:
0.0004〜0.01%、Al:0.03%以下、V
:0.001〜1.00%、 Ti:0.001〜
0.075%、N :0.0005〜0.030%を含
有し、あるいはこれらに1種または2種以上の重量%
で、Cr:0.10〜1.0%、 Ni:0.10
〜4.0%、Mo:0.10〜0.50%、 Nb:
0.01〜0.05%を含有し、残部が鉄及びPなどの
不可避的不純物からなる溶鋼を造塊・分塊法あるいは連
続鋳造法を経て鋼片とし、この鋼片を熱間圧延してレー
ル形状に成形し、該圧延終了後そのまま、あるいは熱処
理する目的で高温に加熱した後、レールの頭部あるいは
さらに底部を、オーステナイト域温度から冷却する際に
700〜500℃間を1〜5℃/secで加速冷却し、オー
ステナイト粒内に微細なMnSを析出させ、MnSによ
るオーステナイト粒の細粒化、MnSを核としたパーラ
イトの生成、さらにはMnS上に析出させたV炭窒化物
およびTi炭窒化物を核としたパーライトを生成させる
ことを特徴とする靭性、延性および耐ころがり疲労損傷
性に優れた高強度レールの製造法である。
ことによってレール頭表面のころがり損傷の原因の一つ
であるMnSを微細分散させることができる。しかも微
細分散させたMnSからパーライトを生成させること、
さらにMnSにパーライト変態核となるV炭窒化物およ
びTi炭窒化物を配してオーステナイト粒内からもパー
ライトを生成させることにより、粒界から生成したパー
ライトとの重畳効果によって著しく微細なパーライト組
織をえることができ耐表面損傷性の改善に有効な延性の
向上を果たすものである。さらにAlの添加量を制限
し、微細なMg系酸化物の生成により、レール内部から
発生する疲労き裂の起点となるAl系酸化物の生成制御
にも有効に作用する。
通常圧延後、あるいはレール頭部もしくは底部も含めて
通常温度に再加熱した後、冷却過程でオーステナイト域
温度から700℃〜500℃の間を1〜5℃/Sで加速
冷却することによって、パーライト変態温度を低下せし
め、オーステナイト粒内のMnSを核とするパーライト
変態を含めて低温度でパーライト変態を生成させること
によって、圧延ままレール鋼よりもいっそうのパーライ
ト組織の微細化を図り著しい延性の改善を果たせるばか
りか、加速冷却による高強度化によってレール内部から
発生する疲労き裂に対する抵抗性の優れた高強度レール
が製造できる。
鋼へのMg添加によって生成する酸化物を微細分散させ
疲労き裂の発生を防止すること、その酸化物を核にして
MnSを析出させることにより微細分散したMnSがオ
ーステナイト粒経の粗大化を阻止しオーステナイト粒を
微細化し粒界変態パーライトを増加させること、MnS
を核として直接パーライトが生成すること、さらにはM
nSに析出したV炭窒化物およびTi炭窒化物からもパ
ーライトが生成するなどの事実を発見した。このように
酸化物ならびにMnSの微細分散化、粒界パーライト量
の増加、MnSを核として、あるいはMnS上のV炭窒
化物およびTi炭窒化物を核としてパーライトが生成す
ることによって、パーライト組織の細粒化による優れた
靭性、延性も有する耐ころがり疲労損傷性をえることが
できる。
由について述べる。本発明における脱酸元素としてMg
をC,Si,MnあるいはAl脱酸時に溶鋼中へ添加す
ると他元素に比べ鋼中の固溶酸素との親和力が強いので
Mg主体の酸化物を生成し、一部は浮上するものの、溶
鋼中に残存したMg酸化物は凝集せず微細分散し冷却過
程においてMnSの析出核としても作用する。その結
果、MnSの個数と分布が制御でき、オーステナイト粒
の粗大化防止およびパーライトの変態核として有効に作
用する。
分を限定した理由について述べる。Cは高強度化および
パーライト組織生成のための必須元素である。0.55
%未満ではオーステナイト粒界に耐摩耗性および耐損傷
性に好ましくない初析フェライトを大量に生成し、また
0.90%を超えるとオーステナイト粒界を脆化させる
有害な初析セメンタイトを生成させるばかりか、レール
頭部熱処理屑や溶接部の微小偏析部にマルテンサイトが
生成し、靭性・延性を著しく損なうため0.55〜0.
90%に限定した。
の固溶体硬化による高強度化に寄与するばかりか、わず
かながらレール鋼の靭性・延性改善にも貢献する。0.
10%未満ではその効果が少なく、1.20%を超える
と脆化をもたらし溶接接合性も減ずるので、0.10〜
1.20%に限定した。
させ、焼入性を高めることによって高強度化に寄与する
元素である。しかし、0.5%未満ではその効果が小さ
く、また1.50%を超えると偏析部にマルテンサイト
組織を生成させ易くするため0.50〜1.50%に限
定した。
が、本発明においてはオーステナイト粒内の酸化物を核
としてMnSが生成し、オーステナイトの粗大化を阻止
する役割およびMnSを変態核とするパーライト組織を
生成するため欠かせない元素である。しかし、0.00
2%未満ではその効果は少なく、また0.035%超で
はMnSが多量に生成し靭性・延性を著しく低下させる
のみでなくレール疲労き裂の発生起点となるため、0.
002〜0.035%に限定した。
g系酸化物はアルミナクラスターの生成を防止し、微細
分散する。この酸化物がMnSの析出核として機能し、
その分散がMnSの分布を支配し、生成したMnSがオ
ーステナイトの細粒化およびそれを核としたパーライト
変態の生成に寄与する。その結果、粒界変態パーライト
と粒内変態パーライトの重畳による微細なパーライト粒
からなるレール鋼を得ることができるようになり大幅な
靭性の向上を果たすことができた。Mg量は0.000
4%未満では、MnSの生成核としての効果が不十分で
あり、また0.01%を超えるとMg系酸化物が粗大化
しレール疲労き裂の発生起点ならびに靭性の低下をもた
らすことからMg量を0.0004〜0.01%の範囲
に限定した。
によりさらに酸化物の微細化に寄与する。Alが多いこ
とによるアルミナ系酸化物の生成によるレール内部から
の疲労き裂の発生起点となるためAl添加量を0.03
%未満に限定した。
析出し、パーライト変態核となる。V添加量が0.00
1%未満では、この効果が弱く、また1.00%超添加
するとV炭窒化物が粗大化し、レール疲労き裂の発生起
点となるためおよび靭性の低下をもたらすためV添加量
を0.001〜1.00%の範囲に限定した。
上に析出しパーライト変態核となる。Ti添加量が0.
001%未満では、この効果が弱く、また0.075%
超添加するとTi析出物が粗大化し、レール内部からの
疲労き裂発生起点となることからTi添加量を0.00
1〜0.075%の範囲に限定した。
nS上のV炭窒化物の構成元素であり、V(C,N)を
有効に析出させるためには0.0005%以上が必要で
あり、0.030%を超えると粗大なV(C,N)が生
成し、レール疲労き裂の発生起点となるためおよび靭性
の低下をもたらすためN添加量を0.0005〜0.0
30%に限定した。
必要に応じて1種または2種以上のCr,Ni,Mo,
Nbなどの添加によって、フェライト地の靭性改善、レ
ール圧延のための加熱時のオーステナイト粒の、あるい
は制御圧延時のオーステナイト粒の細粒化によって、高
靭性をえることができ、さらには冷却過程における加速
冷却によってより高強度と同時に高靭性をえることがで
きる。
は、パーライト変態温度を低下させることによって高強
度化に寄与すると同時に、パーライト組織中のセメンタ
イト相を強化する作用を有することから溶接継ぎ手部軟
化防止の観点より0.1%程度の添加でも有効である。
一方、1.0%超の添加では、強制冷却時に元素偏析部
のみでなく過冷却傾向の強いレール肩部にベーナイトや
マルテンサイトが生成し靭性の低下をもたらす。したが
って強度確保に一定の寄与が期待されかつ靭性・延性を
損なわない範囲内で0.1〜1.0%に限定した。
靭性を向上させるのに有効な元素であり、0.1%未満
の場合はその効果が極めて少なく、また4%超添加して
もその効果は飽和する。したがって靭性向上の観点より
0.1%〜4%の範囲に限定した。
ーライト組織を微細化することから、靭性向上に有効な
元素である。さらに、Moは加速冷却時にレール内部に
おいて表面層のパーライト変態にともなう発熱に連動し
た高温での変態誘起を防止し、レール内部の高強度化に
寄与し、硬化強度を高める。しかし、Moの0.1%未
満の添加では上記の効果は少なく、また0.50%超の
添加ではパーライト変態速度を低下させ、パーライト組
織中にべーナイトやマルテンサイトを生成させ靭性低下
を招く。したがってMo添加量は0.10〜0.50%
の範囲に限定した。
ってNbの炭窒化物がオーステナイト粒成長を抑制し細
粒化に寄与する。また、高温加熱・低温仕上げ圧延によ
って熱間圧延後のオーステナイト粒を細粒化し、加速冷
却後にえられるパーライトブロックサイズを細粒にす
る。このときNb添加量は0.01%以上を必要とし、
0.05%超であると粗大なNb炭化物、Nb窒化物、
Nb炭窒化物の生成によって靭性が低下する。したがっ
てNb添加量としては0.01〜0.05%の範囲に限
定した。不可避的不純物元素であるPは、レール鋼の靭
性を向上させるためにはできるだけ低減させることが望
ましい。
鋼は、転炉、電気炉などの通常使用される溶解炉で前述
した脱酸を含む溶製を行い、この溶鋼を造塊・分塊法あ
るいは連続鋳造法により鋼片とし、さらに熱間圧延を得
て製造する。熱間圧延を終えたレールは、冷却中におい
てオーステナイト粒内のMnSからもパーライトが生成
し、オーステナイト粒界から生成するパーライトと共に
微細なパーライト粒を構成する。その結果、圧延ままで
靭性の優れた高強度レールを製造することができる。
めには、圧延終了後あるいは、一度室温に冷却され熱処
理する目的で再加熱されたオーステナイト域温度から7
00〜500℃間を1〜5℃/secで加速冷却することに
よって一層の高靭性が得られる。これは、加速冷却する
ことにより低温でパーライト変態を生じるため、パーラ
イト変態核の生成速度が向上し、パーライト粒が微細に
なる。この加速冷却時の冷却速度は1℃/sec未満の場合
パーライトが粗大化し、5℃/sec以上の場合はマルテン
サイトが生成しいずれも靭性の低下をもたらす。従って
冷却速度は1〜5℃/secに限定した。
イト粒界およびMnSからのパーライト変態において変
態核の増加をもたらし、パーライトの細粒化に寄与する
結果一層のレール鋼の靭性向上を達成することができ
る。この際冷却媒体は、空気あるいはミストなどの気液
混合物を用い、レール頭部もしくは底部の強度が110
0MPa以上とすることが望ましい。
てなされており、レール頭部ゲージ・コーナー内部10
mm深さから採取した平行部6mm径、平行部長さ30mmの
引っ張り試験片を用いた機械試験において伸び値が12
%超で介在物清浄度の優れたレールが耐表面損傷性およ
び内部疲労損傷抵抗性に優れたレールであるとしてい
る。上述した化学成分を有し、オーステナイト粒内のM
nSを核としたパーライト変態を導入した微細なパーラ
イト組織を有する圧延ままの高強度レール鋼、あるいは
これを熱処理することによってさらに高強度化を図った
レール鋼でも、十分な伸び値を確保することができ、表
面損傷発生寿命の大幅な改善を図ることができた。
製造実施例について述べる。表1は供試鋼の化学成分
(重量%)を示す。表2は冷却後のレールコーナー内部
10mm深さから採取した平行部径6mm、長さ30mmの引
っ張り試験片の強度と伸び値、および西原式摩耗試験機
を用いた水潤滑条件下での表面疲労損傷発生寿命測定結
果を示す。レール頭部表面直下から採取した試験片は幅
8mm、径30mm、曲率半径15mmの凸形試験片で、相手
材は車輪相当の化学成分を有する幅8mm、径30mmの円
筒試験片を用いた。試験条件は荷重50kg、すべり率2
0%で表面損傷が発生するまでの繰り返し数を測定し
た。
問わず強度は同等以上、伸びは高く、さらに重要な指標
である表面損傷発生寿命は約1.5倍ほど長い。表3
は、供試レール頭部GC内部深さ13mmより採取した1
0×20mmの試験片中に存在する100μm超のアルミ
ナクラスターの個数と単位面積200mm2 あたりの総長
さの測定結果を示す。たとえば本発明鋼Aを見ると10
0μm超のアルミナクラスターの個数は3個、その総長
さは290μmに対し、比較鋼Bでは8個、2760μ
mと大きい。このように、本発明鋼は比較的鋼に比しい
ずれも100μm超のアルミナクラスターの個数および
その総長さも少なく、レール敷設後の内部疲労損傷の発
生を十分に防止できることがわかった。
nSからパーライト変態が確認されたレールでは、十分
な伸び値の確保により表面疲労損傷寿命の大幅な改善と
内部疲労損傷発生防止が達成された。
イズ、個数を制御することによってオーステナイト粒を
細粒にし粒界より生成するパーライトを細粒化するこ
と、およびMnSそのものを、さらにはMnSに析出し
たV,Ti炭窒化物をパーライト変態核として活用する
ことによりパーライト粒が細粒化する。加速冷却によっ
てパーライト粒は細粒化し、さらにアルミナクラスター
の総長さを低減化することにより十分な伸び値が得ら
れ、表面疲労損傷寿命の大幅な改善と内部疲労損傷発生
防止が達成された耐ころがり疲労損傷に優れた高強度レ
ールをえることができる。
Claims (4)
- 【請求項1】 溶鋼を脱酸し、鋼片とし、これを熱間加
工を含む工程で製造したレールであって、重量%で、 C :0.55〜0.90%、 Si:0.10〜1.20%、 Mn:0.50〜1.50%、 S :0.002〜0.035% Mg:0.0004〜0.01%、 Al:0.03%以下、 V :0.001〜1.00%、 Ti:0.001〜0.075%、 N :0.0005〜0.030%を含有し残部が鉄お
よびPなどの不可避的不純物からなる鋼で、オーステナ
イト粒内のMnSを核としたパーライトが、さらにはM
nS上のV炭窒化物およびTi炭窒化物を核としたパー
ライトが存在し、かつ100μm超のアルミナクラスタ
ーの総長さが単位面積200mm2 あたり2000μm未
満であることを特徴とする靭性、延性、および耐ころが
り疲労損傷性に優れた高強度レール。 - 【請求項2】 溶鋼を脱酸し、鋼片とし、これを熱間加
工を含む工程で製造したレールであって、重量%で、 C :0.55〜0.90%、 Si:0.10〜1.20%、 Mn:0.50〜1.50%、 S :0.002〜0.035% Mg:0.0004〜0.01%、 Al:0.03%以下、 V :0.001〜1.00%、 Ti:0.001〜0.075%、 N :0.0005〜0.030%を含有し、かつ、こ
れらに1種または2種以上の重量%で、 Cr:0.10〜1.0%、 Ni:0.10〜4.0%、 Mo:0.10〜0.50%、 Nb:0.01〜0.05%を含有し、残部が鉄および
Pなどの不可避的不純物からなる鋼で、オーステナイト
粒内のMnSを核としたパーライトが、さらにはMnS
上のV炭窒化物およびTi炭窒化物を核としたパーライ
トが存在し、かつ100μm超のアルミナクラスターの
総長さが単位面積200mm2 あたり2000μm未満で
あることを特徴とする靭性、延性、および耐ころがり疲
労損傷性に優れた高強度レール。 - 【請求項3】 溶鋼に脱酸元素としてMgを添加し脱酸
処理を施して溶製し、重量%で、 C :0.55〜0.90%、 Si:0.10〜1.20%、 Mn:0.50〜1.50%、 S :0.002〜0.035% Mg:0.0004〜0.01%、 Al:0.03%以下、 V :0.001〜1.00%、 Ti:0.001〜0.075%、 N :0.0005〜0.030%を含有して残部が鉄
及びPなどの不可避的不純物からなる溶鋼を造塊・分塊
法あるいは連続鋳造法を経て鋼片とし、この鋼片を熱間
圧延してレール形状に成形し、該圧延終了後そのまま、
あるいは熱処理する目的で高温に加熱した後、レールの
頭部あるいはさらに底部を、オーステナイト域温度から
冷却する際に700〜500℃間を1〜5℃/secで加速
冷却し、オーステナイト粒内に微細なMnSを析出さ
せ、MnSによるオーステナイト粒の細粒化、MnSを
核としたパーライトの生成、さらにはMnS上に析出さ
せたV炭窒化物およびTi炭窒化物を核としたパーライ
トを生成させることを特徴とする靭性・延性および耐こ
ろがり疲労損傷性に優れた高強度レールの製造法。 - 【請求項4】溶鋼に脱酸元素としてMgを添加し脱酸処
理を施して溶製し、重量%で、 C :0.55〜0.90%、 Si:0.10〜1.20%、 Mn:0.50〜1.50%、 S :0.002〜0.035% Mg:0.0004〜0.01%、 Al:0.03%以下、 V :0.001〜1.00%、 Ti:0.001〜0.075%、 N :0.0005〜0.030%を含有し、かつ、こ
れらに1種または2種以上の重量%で、 Cr:0.10〜1.0%、 Ni:0.10〜4.0%、 Mo:0.10〜0.50%、 Nb:0.01〜0.05%を含有して残部が鉄及びP
などの不可避的不純物からなる溶鋼を造塊・分塊法ある
いは連続鋳造法を経て鋼片とし、この鋼片を熱間圧延し
てレール形状に成形し、該圧延終了後そのまま、あるい
は熱処理する目的で高温に加熱した後、レールの頭部あ
るいはさらに底部を、オーステナイト域温度から冷却す
る際に700〜500℃間を1〜5℃/secで加速冷却
し、オーステナイト粒内に微細なMnSを析出させ、M
nSによるオーステナイト粒の細粒化、MnSを核とし
たパーライトの生成、さらにはMnS上に析出させたV
炭窒化物およびTi炭窒化物を核としたパーライトを生
成させることを特徴とする靭性・延性および耐ころがり
疲労損傷性に優れた高強度レールの製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24443894A JP3368556B2 (ja) | 1994-10-07 | 1994-10-07 | 耐ころがり疲労損傷性に優れた高強度レールおよびその製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24443894A JP3368556B2 (ja) | 1994-10-07 | 1994-10-07 | 耐ころがり疲労損傷性に優れた高強度レールおよびその製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH08104947A true JPH08104947A (ja) | 1996-04-23 |
JP3368556B2 JP3368556B2 (ja) | 2003-01-20 |
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JP24443894A Expired - Lifetime JP3368556B2 (ja) | 1994-10-07 | 1994-10-07 | 耐ころがり疲労損傷性に優れた高強度レールおよびその製造法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002302740A (ja) * | 2001-04-09 | 2002-10-18 | Nippon Steel Corp | 耐摩耗性および耐内部疲労損傷性に優れたパーライト系レール |
CN114507806A (zh) * | 2022-01-10 | 2022-05-17 | 包头钢铁(集团)有限责任公司 | 一种低成本耐低温钢轨生产工艺 |
-
1994
- 1994-10-07 JP JP24443894A patent/JP3368556B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JP2002302740A (ja) * | 2001-04-09 | 2002-10-18 | Nippon Steel Corp | 耐摩耗性および耐内部疲労損傷性に優れたパーライト系レール |
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