JPH08104617A - 硫酸化糖類の用途 - Google Patents

硫酸化糖類の用途

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JPH08104617A
JPH08104617A JP22853094A JP22853094A JPH08104617A JP H08104617 A JPH08104617 A JP H08104617A JP 22853094 A JP22853094 A JP 22853094A JP 22853094 A JP22853094 A JP 22853094A JP H08104617 A JPH08104617 A JP H08104617A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 化粧用組成物、ことに皮膚の老化の阻止又は
予防及びふけの阻止又は予防に有効な化粧用組成物を提
供する。 【構成】 硫酸化シュクロース又はその塩もしくは錯体
と賦形剤もしくは希釈剤とからなる化粧用組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、化粧用組成物、こと
に皮膚の老化の阻止又は予防及びふけの阻止又は予防に
有効な化粧用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】損傷し
た組織の潜在的な細胞事象によって炎症の現象を適切に
説明することは困難であるが、そのプロセスには一般に
特有なものであると認められているいくつかの特徴があ
る。これらの特徴としては、微小血管系の穿孔、血液成
分の介在空間への漏洩、および白血球の炎症組織への移
行がある。これらの特徴の外に、目視できる特徴とし
て、よく知られている臨床上の徴候の紅斑、浮腫、圧痛
および疼痛が一般に付随して起こる。この複雑な反応
中、ヒスタミン、セロトニン、ロイコトリエン類、プロ
スタグランジン類、各種の走化性因子類、ブラジキニ
ン、リンホカイン類、キニンと相補系、リソソーム酵素
類および環式ヌクレオチドのような化学的媒介物(medi
ator)が局所的に遊離される。食細胞が損傷領域に移行
し、細胞のリソソーム膜が破壊されて溶菌酵素を放出す
る。これらの現象はすべて炎症反応に関与している。
【0003】いくつもの薬剤が、炎症の発現を抑制する
のに利用されているが、これらの薬剤としては、副腎皮
質ステロイド、いわゆる非ステロイド抗炎症薬剤すなわ
ちNSAIDからなる大きな一群の薬剤、および免疫抑
制剤、クロロキン、ペニシラミンおよび金塩のような薬
剤がある。NSAIDは、化学的に異種の医薬群であ
り、主として芳香族の置換カルボン酸で構成されてい
る。この薬剤は、薬理的に、抗炎症、解熱および鎮痛の
効果を有し、そしてプロスタグランジンの合成を阻害
し、血小板の凝集を低下させる。NSAIDの作用モー
ドはまだ充分に理解されていないが、NSAIDは1つ
以上の炎症媒介物質を阻害することが知られている。し
かし、プロスタグラン合成の阻害と抗炎症効果には十分
な相関関係はない。NSAIDに対する主な適応症は、
リウマチ症であるが、特に支持組織中の炎症作用が疼痛
と関節強直を起こす場合である。さらにその鎮痛効果
は、月経困難症、尿石症などのような、プロスタグラン
ジン阻害効果を利用できる患者の徴候的な疼痛を軽減す
るのに利用することができる。またインドメタシンを含
むいくつかの薬剤は、各種の皮膚病を治療するために皮
膚に局所的に使用され、また眼に局所的に用いる抗炎症
剤としても使用されている。
【0004】NSAIDを使用すると広いスペクトルの
副作用が起こる。重篤でしばしば致命的な血液疾患が見
られる場合が多く、特にフェニルブタゾンを使用すると
起こり、またフェニルブタゾン、サリチル酸塩およびイ
ンドメタシンを用いると、共通して胃腸に副作用が起こ
る。アレルギー反応はありふれたことであるが、いくら
かの患者については、ロイコトリエンのレベルが2次的
に増加することによるプロスタグランジンの阻害が原因
である。また肝臓毒性と腎臓毒性および中枢神経系の副
作用もこれら薬剤に共通のものである。
【0005】副腎皮質ステロイド類と特にグルココルチ
コイド類は薬理的投与量で用いると強い抗炎症効果を有
する。これらの薬剤は、血管の透過性を減少させ、その
結果顆粒球の移行を減少させることによって、炎症作用
初期血管相の炎症作用を特異的に阻害する。グルココル
チコイド類も間葉細胞の増殖と、プロテオグリカン類と
コラーゲンを含む細胞間巨大分子の産生とを阻害して、
後期の炎症作用と修復作用を阻害する。グルココルチコ
イドは、例えばマクロファージの機能、液素性抗体の産
生、細胞の免疫性、および時にはリソソーム酵素放出を
阻害することは実験によって判明している。グルココル
チコイドを全身的に使用する適応性は、副作用のため
に、補充療法は別として、非常に限定され、重篤な炎症
リウマチ疾患と、気管反喘息と、無力性体質のようなア
レルギー性疾患の重篤な患者と、血液と腎臓と胃腸の免
疫疾患の患者に制限しなければならない。局所の用途に
は副作用の危険は非常に少ないのでグルココルチコイド
は、喘息の吸入治療法、皮膚病のほとんどすべての患者
の皮膚への局所塗布、関節、滑液包、腱などへの注射、
ならびに眼、耳および鼻の局所の抗炎症治療に広く用い
られている。この局所使用に伴う最も重大な副作用は、
皮膚と粘膜の萎縮、ざ瘡および微生物の重複感染であ
る。眼において、角膜の潰瘍化、緑内障、およびウイル
スの重複感染はおそれられている重篤な副作用であるの
で、ステロイド類は実際に多くの患者には禁忌されてい
る。
【0006】その外の抗炎症薬剤には、ペニシラミン、
クロロキン、金塩、および細胞増殖抑制剤がある。これ
らの薬剤の主な適応症は、重篤なリウマチ性関節炎であ
る。これらの薬剤はすべて、全身的に投与され、多くの
重篤な副作用を起こす。したがって、炎症反応を抑制も
しくは修正するために局所的および全身的に用いる別の
薬剤が必要のようである。硫酸化糖類の、まず第一にス
クラルファートは、胃と十二指腸の潰瘍の治療(米国特
許第3,432,489号、ヨーロッパ特許第161816号および同
第192640号参照)とイヌとネコの嘔吐と下痢の治療(ヨ
ーロッパ特許第133880号参照)とに従来適用されてい
る。また放射能の標識をつけた形態のスクラルファート
は、胃腸粘膜を影像化するための診断剤として用いられ
ている。その理由は、その物質が、胃や上方の小腸中の
潰瘍化領域に選択的に結合するからである(ヨーロッパ
特許第107209号参照)。
【0007】American Journal of Gastroenterology,
80(3) 巻,206〜209頁、1985年の“Sucralfate : New A
spects in Therapy of Ulcers and Lesions”と、スト
ックホルムにおけるSecond International Sucralfate
Symposium Together With the World Congress of Gast
roenterologyとが、口内炎、後硬化潰瘍、反芻性食道炎
および胆汁反芻性食道炎の治療と、アスピリンの潰瘍誘
発効果を妨害する治療を含む各種の非潰瘍向用途にスク
ラルファートを使用することを示唆している。
【0008】
【課題を解決するための手段】意外なことであるが、ポ
リ硫酸化糖が、皮膚や粘膜の表面に局所的に塗布し、ま
た全身的に注射すると抗炎症効果とその外の非常に興味
深い効果を発揮することが見出されたのである。したが
って1つの態様において、この発明は、炎症もしくは感
染症の発現の予防もしくは治療,非膀胱の前癌性もしく
は癌性疾病の治療もしくは予防,皮膚、結合組織もしく
は非口腔粘膜の刺激もしくは火傷の予防もしくは治療,
または皮膚、結合組織もしくは粘膜の老化の予防もしく
は治療のために、体腔のライニングを含む、動物もしく
はヒトの皮膚、非胃腸粘膜面もしくは非口腔粘膜面に局
所塗布するか、または動物もしくはヒトの、関節を含む
組織への注射もしくは外科手術の創傷もしくは体腔への
移植を行うための医薬;または伝染性、悪性もしくはア
レルギー性/免疫性の疾病の治療もしくは予防のために
全身的注射をする医薬を;製造するための、硫酸化糖、
その塩もしくは錯化合物の用途に関する。
【0009】従来の皮膚の診療で一般に用いられている
手段は、皮膚に刺激物を再々接触させることによって起
こる湿疹、発疹および火傷のような刺激と炎症の治療に
は不十分なことが多い。火傷の患者は、別のしかたで感
染しがちなので、皮膚を迅速に直すことが望ましい。こ
のことは、オストミイを有する患者にもあてはまり、こ
の場合炎症を起こすことが多く、恐らく体の分泌物に長
期間接触しているためと思われるが時には潰瘍を起こ
す。というのは現在用いられているオストミイの器具は
完全に液密的ではなく、皮膚に対してシールされている
場所に水分がしばしば形成されるからである。また持続
性の潰瘍もしくは炎症によって、疼痛、かゆみ、ひりひ
りする痛みなどの不快感が中庸の程度からひどくなるこ
とがある。皮膚と粘膜の疾患と上記のような類似の症状
の治療に伴う問題を解決するために強力な研究がなされ
ているにもかかわらず、充分に成功した治療法や予防法
はまだ発明されていない。
【0010】抗炎症作用をもっているというスクラルフ
ァートのようなポリ硫酸化糖の効力は、既刊の文献に
は、胃腸器官において、主として消化性潰瘍の治療にス
クラルファートを使用することが開示されているにすぎ
ない。さらに、創傷の治癒を促進するための硫酸化糖の
用途に関するヨーロッパ特許願230023号には、スクラル
ファートを創傷に適用した時、炎症反応を起こすと記載
されている。また、創傷部の局所的な出血もしくは炎症
を避けるには、0.1〜1mg/mlの低レベルのポリ硫酸化
糖のシュクロースオクタスルファートのカリウム塩の形
態が好ましいと記載されている。このこととは反対に、
この発明によって、スクラルファートを皮膚に粘膜に局
所的に用いることによって、優れた抗炎症効果が得られ
たのである。この発明によってシュクロースオクタスル
ファートのカリウム塩が局所的および全身的に用いられ
た時に強力な抗炎症効果を有することが例証された。
【0011】生体外のモデルにおいて、スクラルファー
トの水性懸濁液が、これを投与すると、ヒトの正常な単
核細胞からの、サイトカイン類であるインターフェロン
γおよびインターロイキン2のPHA活性化産生を阻害
するということが分かった。このことは、スクラルファ
ートとおそらく溶解しイオン化した硫酸化糖のシュクロ
ースオクタスルファートが強力な抗炎症効果を発揮する
ことを示唆している(実施例14)。
【0012】臨床動物実験により、シュクロースオクタ
スルファートのカリウム塩が、外科手術の創傷に局所的
に塗布する時および静脈注射を行う時に、良好な耐溶性
を示すことが分かった。外科手術に続いてシュクロース
オクタスルファートのカリウム塩の20mg/ml溶液を、猫
と犬に手術後、5mg/kg体重の投与量で投与した。体温
が急速に正常化し、創傷は化膿も炎症もなく治癒した。
同様の治療は、猫のインフルエンザに関連する慢性の鼻
炎の治療および吸引肺炎の犬の治療に有効であった。こ
れらの結果は、ポリ硫酸化糖のシュクロースオクタスル
ファートが、強力な抗炎症効果と抗感染症効果と考えら
れる効果を発揮すると考えられる(実施例13)。
【0013】シュクロースオクタスルファートのカリウ
ム塩が、光で誘発される紅斑に対して保護するために皮
膚に局所的に塗布されると、インドメタシンに匹敵する
抗炎症性効果を発揮することを、動物実験で例証するこ
とができた(実施例9)。微粉砕されたスクラルファー
トの2%水性懸濁液の耐容性をラビットの眼の試験で検
査した。結膜、角膜もしくは眼の周囲におけるどんな刺
激や炎症反応の徴候もなかったので、試験物は眼を刺激
しないと結論した(実施例11)。臨床上、この懸濁液
は、犬と猫の眼の疾病の治療時に、顕著な抗炎症効果と
抗感染症結果を示した(実施例10)。
【0014】ヒトの臨床試験(実施例8)において、50
%のスクラルファートを含有する粉末を、結腸切除した
結果短い腸をもっている子供の重篤なおしめによる発疹
の治療に用い、その後、その粉末をイレオストミイのま
わりの潰瘍性皮膚の炎症の治療に用いた。すべての患者
に、その効果は劇的でスクラルファートの強い抗炎症作
用を示唆した。次の段階として、スクラルファートを含
有する創傷用パスタを、足の潰瘍を処置するのに試験し
た。動脈硬化と静脈血行静止の病因の慢性潰瘍を研究の
対象に選んだ。患者の約半数が、著しい創傷治癒を示し
た。しかし、もっともかがやかしい効果は、全患者が、
痛みが軽減したことをすぐに報告したことと、組織の浮
腫と皮膚の炎症反応が創傷の周辺で減少したことであ
る。
【0015】スクラルファートの考えられる抗炎症効果
の観察に基づいて、各種の皮膚病にクリーム剤もしくは
軟膏剤として局所的に投与する薬剤の試験が行われた。
アトピー性皮膚炎、乾癬および中毒性手湿疹の処置をし
た際に著しい臨床効果が認められた。得られた効果は、
ステロイドが反応する皮膚病の処置をする際にスクラル
ファートが、コルチコステロイドの効果に少なくとも匹
敵する抗炎症効果を引きおこすことを示している(実施
例8)。
【0016】シュクロースオクタスルファートとおそら
くポリ硫酸化糖の全グループは、抗炎症活性と、創傷治
癒効果もしくは組織刺激効果の活性との独特の組み合わ
せによって(ステロイドとNSAIDのような公知の抗
炎症薬剤とは逆に)、従来の抗炎症薬剤に代わるものと
して使用されるべき興味ある新しい化合物群になった。
さらに消化性潰瘍の治療に用いた後の副作用が全くない
ことが報告されているように、シュクロースオクタスル
ファートのアルミニウム錯体であるスクラルファートが
極めて高い耐溶性を有すること、および皮膚と粘膜に局
所的に使う時にスクラルファートとシュクロースオクタ
スルファートが非常に高い耐溶性を有することによっ
て、シュクロースオクタスルファートと恐らく他のポリ
硫酸化糖は通常の抗炎症薬剤の代替品として非常に魅力
あるものになった。
【0017】さらに、シュクロースオクタスルファート
のような硫酸化糖は炎症反応を修正もしくは阻止し、お
よび/または組織再生工程を他の工程を通って刺激する
ことが期待される。しかし機構は充分分かっていない。
1つの硫酸化糖であるスクラルファートは、消化性潰瘍
を治療する際に、内用されると、潰瘍の表面に優先的に
結合することが観察された。これは、硫酸化糖に共通の
性質であり、上記の結合は、硫酸化糖の、プロテオグリ
カンとヒアルロン酸とに結合する性質の結果であると現
在信じられている。これらの構造体は、多くの細胞の表
面の成分であり、細胞を保護し、安定化して外細胞の表
面をそのままに保持する。他の場合には、例えば真皮と
支持組織において、プロテオグリカンとヒアルロン酸が
細胞が埋包されている保護マトリックスを形成してい
る。さらにいくつかの硫酸化糖、例えば硫酸ヘパラン、
硫酸デキストランおよび硫酸キシロースはヒアルロニダ
ーゼ阻害剤である。
【0018】ヒアルロニダーゼは、ヒアルロン酸とグリ
コサミノグリカンのグリコシド結合を触媒的に切断する
酵素である。それ故、ヒアルロニダーゼによって、ヒア
ルロン酸とグリコサミノグリカンが分解することによっ
て、細胞表面もしくは支持マトリックス物質が崩壊し
て、細胞は、暴露され、病原体、炎症媒介物質、炎症
剤、および腐蝕剤のような種々の薬剤によって損傷され
るようになる。したがって、ヒアルロニダーゼを阻害す
ることによって、硫酸化糖が、細胞表面と保護接続組織
のマトリックスの再生を促進し、その結果抗炎症作用と
組織再生作用を行うと考えられる。
【0019】ヒアルロン酸グリコサミノグリカンの分解
生成物も、炎症自体の媒介物質として作用し、上記の分
解反応の阻害もしくは修正によって、シュクロースオク
タスルファートと他の硫酸化糖は、炎症反応を阻害もし
くは修正し、組織の再生を容易にしかつ修正する。した
がって、シュクロースオクタスルファートと他の硫酸化
糖の上記の薬理効果は、上皮と粘膜のライニングを“強
化する”ことになると考えられる。抗炎症作用を行うの
とは別に、細胞の外表面と結合組織マトリックスの上記
の強化によって、細菌とウイルスが細胞と組織を透過し
コロニーになるのが一層困難になる。直接の抗微生物効
果の代わりに、間接的な効果がシュクロースオクタスル
ファートもしくは他の硫酸化糖を粘膜と上皮の表面に塗
布することによって得られる。したがってこれらの化合
物は、皮膚と粘膜の細菌、ウイルスもしくは真菌による
感染症の治療において局所的に用いることができる。こ
の抗微生物効果は、シュクロースオクタスルファートま
たは他の硫酸化糖を外科処理と関連して、支持組織に直
接塗布することによって利用することができる。多くの
感染は、病原体自体によって産生されるかまたは誘発さ
れたヒアルロニダーゼによって組織内に広がる。シュク
ロースオクタスルファートまたは他の硫酸化糖のヒアル
ロニダーゼ阻害効果は、かような感染が広がるのを防止
すると考えられる。
【0020】かような抗炎症作用と抗感染作用は、さら
に、医療装置を体内に移植もしくは挿入する時にさらに
利用することができる。シュクロースオクタスルファー
トもしくは他の硫酸化糖を、装置の表面コーティングま
たは装置自体の材料に組み込むことによって、装置のま
わりで起こる、感染と血栓静脈炎反応を含む炎症組織反
応が少なくなる(実施例12参照)。かような技術を用
いることができる装置の例は、尿道カテーテル、腹膜析
カテーテル、例えば硬膜の脊椎カテーテル、静脈カテー
テルと動脈カテーテル、電極、乳房補綴具、ペースメー
カー、中耳管、接眼レンズ、血管補綴具、股関節補綴具
などである。その外の用途には、アトミープレート、外
部補綴具などのような長期間皮膚もしくは粘膜上におか
れる材料のコーティングがある。
【0021】さらにシュクロースオクタスルファートと
他の硫酸化糖の細胞表面に対する“強化/装飾”効果は
悪性の疾病の処置に利用できると考えられる。その例
は、基底細胞癌、頸部異形成と頸部癌などのような表在
する皮膚および粘膜の悪性腫瘍の、病変部へのシュクロ
ースオクタスルファートまたは他の硫酸化糖の局所塗
布、および時には悪性疾病に対する外科処置を行った周
囲の組織にシュクロースオクタスルファートと他の硫酸
化糖を放出する蓄積製剤を置くことによる治療である。
シュクロースオクタスルファートまたは硫酸化糖の他の
適切な製剤を血液流に注射することは、その細胞面修復
作用によって以下のような疾患に対して有効であると考
えられる。すなわち、ウイルスもしくは類ウイルス体が
血液細胞に感染することを特徴とする白血病および他の
タイプの血液学的もしくは全身的な悪性疾病;アレルギ
ー性血液疾患;AIDSおよび他のタイプのウイルス感
染症;細菌性敗血症;およびマラリアと他のタイプの血
液細胞をおかす伝染性疾患に対して有効である。また、
シュクロースオクタスルファートまたは他の硫酸化糖
は、全身投与を行って、免疫疾病を治療し、全身的な免
疫応答を修復するのに使用することができると考えられ
る。後者のタイプの例はLED(lupus erythematosus
disseminatus)のようなコラーゲンの疾患、皮膚筋炎、
類澱粉症、変形関節炎、硬皮症、類肉腫症などである。
【0022】さらに、シュクロースオクタスルファート
と他の硫酸化糖は、細胞面修復作用をもっているので、
生体外での細胞培養物の増殖培地への添加物として有用
である。この発明は、さらに、医薬製剤、特に上記のど
の用途にも用いる医薬製剤に関し、この製剤は、シュク
ロースオクタスルファートと他の硫酸化糖もしくはその
塩もしくは錯体単独、またはこれらの化合物と医薬とし
て許容される賦形剤とで構成されている。
【0023】さらに別の態様として、この発明は、非膀
胱の前癌性もしくは癌性疾病の予防もしくは治療;皮
膚、結合組織もしくは非口腔粘膜の刺激もしくは火傷の
予防もしくは治療;または皮膚、結合組織もしくは粘膜
の老化の予防もしくは治療を行うために;皮膚、粘膜も
しくは組織に対して治療上もしくは予防上有効な量の硫
酸化糖もしくはその塩もしくは錯体を塗布することから
なる、体腔のライニングを含む、動物もしくはヒトの皮
膚、非胃腸粘膜面もしくは非口腔粘膜面の炎症もしくは
感染症の発現を予防もしくは治療する方法と、硫酸化糖
またはその塩もしくは錯体の治療上もしくは予防上有効
な量を、動物もしくはヒトに全身的に注射することから
なる、動物もしくはヒトの、伝染性、悪性もしくはアレ
ルギー性/免疫性の疾病を予防もしくは治療する方法に
関する。
【0024】この発明の重要な態様は特許請求の範囲か
ら明らかである。この発明に従って用いられる硫酸化糖
は、単糖の例えばキシロース、フルクトールもしくはグ
ルコース;オリゴ糖の特に、シュクロース、ラクトー
ス、マルトース、セロビオースのような二糖;またはデ
キストラン、ヘパリン、デルマタン、プロテオデルマタ
ン、ヘパリン、コンドロイチン、アミロース、グルコサ
ミン、グルコサミノグリカンおよびムコ多糖もしくはそ
のサブユニットのような多糖である。
【0025】いくらかの患者の場合、硫酸化糖は、非硫
酸化多糖類の例えばヒアルロン酸のような他の創傷治療
物質を組合わせて用いると有利な場合がある(実施例7
参照)。糖としては、ポリ硫酸化糖もしくは過硫酸化糖
(persulphated saccharide)が好ましく、このことは
2つ以上、できればすべての硫黄含有分子が、炭水化物
部分の置換基として存在していることを意味している。
【0026】いくつかの場合、硫酸化糖は、金属の例え
ばアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の例えばN
a,K,Ca,MgもしくはBaまたはAl,Zn,C
u,Zr,Ti,Bi,MnもしくはOsで錯体化され
るか、またはその金属との塩を形成する。現在好ましい
塩は、カリウム塩とナトリウム塩である。好ましいオリ
ゴ糖類は、単糖類と二糖類である。この発明の組成物
は、過硫酸化二糖、任意にシュクロースオクタスルファ
ートを含有するものが、最も好ましい。
【0027】この物質は、例えばヨーロッパ特許第2300
23号に開示されているようにして製造される。硫酸化糖
はそのまま投与する場合があるが、一般に1以上の医薬
的に容認される担体もしくは賦形剤と組合せて、局所塗
布もしくは全身塗布に適切な形態で提供される。換言す
れば、粉剤、ペースト剤、軟膏、ローション剤、ゲル
剤、クリーム剤、塗剤(salve)、乳濁液剤、溶液剤、
懸濁液剤、スプレー剤、スポンジ、ストリップ、プラス
ター、パッド、ドレッシングもしくはオストミイプレー
トのような液体、半固体もしくは固体の局所製剤の形態
である。
【0028】局所塗布用に、製剤は、以下に示すような
局所塗布に通常用いられる医薬用賦形剤を用いて、通常
の医薬プラクティスにしたがって製造することができ
る。すなわち、賦形剤としては、ペクチン、ゼラチンと
その誘導体、ポリ乳酸もしくはポリグリコール酸のポリ
マーもしくはそのコポリマー、メチルセルロースもしく
はカルボキシメチルセルロースもしくは酸化セルロース
のようなセルロース誘導体、グアーガム、アラビアゴ
ム、カラヤゴム、トラガカントゴム、ベントナイト、寒
天、カーボマー、ブラダーラック、セラトニア、デキス
トランとその誘導体、ガテイゴム、ヘクトライト、イス
パグラ・フスク、ポリビニルピロリドン、シリカとその
誘導体、キサンタンゴム、カオリン、タルク、澱粉とそ
の誘導体、パラフィン、水、植物油と動物油、ポリエチ
レン、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、グリセロール、エタノ
ール、プロパノール、プロピレングリコール(グリコー
ル類、アルコール類)、固定油、ナトリウム、カリウ
ム、アルミニウム、マグネシウムもしくはカルシウムの
塩(例えば塩化物、炭酸塩、重炭酸塩、クエン酸塩、グ
ルコン酸塩、乳酸塩、酢酸塩、グルセプタン酸塩もしく
は酒石酸塩)が挙げられる。
【0029】またこの発明の製剤は、乳濁剤、、安定化
剤、保存剤などのような他の添加物を使ってもよい。呼
吸品疾患の治療に用いるために、この発明の製剤は、吸
入用の粉剤、溶液もしくは懸濁液、スプレー製剤もしく
は類似の適切な製剤として製剤される。プラスター、ス
ポンジ、ストリップ、パッドなどのドレッシングは、脱
脂綿もしくはガーゼもしくはポリマー物質のようなドレ
ッシングの材料に、硫酸化糖の溶液もしくは懸濁液を含
浸させ次いで乾燥させることによって製造できる。ある
いは、硫酸化糖を含有するペースト、ローション、クリ
ームまたはゲルは、使用の直前に、簡便にドレッシング
材上に流延することができる。
【0030】例えば、腔、鼻および眼の粘膜のような粘
膜の治療用に、この発明の製剤は、例えば腔用の坐剤、
ゲル剤、軟膏、溶液剤もしくは懸濁液剤または腔挿入
剤、鼻用の溶液剤、懸濁液剤、ゲル剤、軟膏もしくは挿
入剤、または眼用の溶液剤もしくは懸濁液剤、ゲル剤も
しくは軟膏剤もしくは眼への挿入剤の形態で作製され
る。かような製剤は、上記のうちのいくつかの通常の賦
形剤を用いる通常の医薬プラクティスにしたがって製造
することができる。
【0031】一般に、この発明の医薬製剤は、硫酸化糖
を、全製剤に対し0.001〜99重量%、一般に0.01〜75重
量%、さらに一般的に0.1〜20重量%、特に1〜10重量
%含有している。特に、硫酸化糖がシュクロースオクタ
スルファートの場合、その製剤中の好ましい濃度は、0.
5〜50%、特に例えば1〜10%ような0.5〜25%である。
治療すべき症状の種類と重篤度によるが、1日に1〜10
回塗布するのが適切である。
【0032】特定の核患者に用いられる硫酸化糖の濃度
は、勿論、製剤の種類と目的とする用途のみならず硫酸
化糖の溶解特性に左右されるが難溶性および実質的に不
溶性の硫酸化糖については製剤の粒子径と形態にも左右
される。また粒子径が小さい程難溶性もしくは実質的に
不溶性の硫酸化糖もしくはその錯体の分配が速い。硫酸
化糖の不溶性もしくは難溶性の塩もしくは錯体は、たと
えば、粒子径200μm以下、さらに100μm以下の微細粉
末の形態で用いるのが好ましいことが多い。いくつかの
目的のために望ましい非常に小さい粒子径の例は、50μ
m以下、さらに20μm以下であり、いくつかの場合は、
10μm以下さらには5μm以下である。
【0033】この発明の製剤は、硫酸化糖以外に次のよ
うな活性薬剤を含有していてもよい。すなわち、抗菌
剤、抗ウィルス剤、抗真菌剤、駆虫剤、日除け剤、ビタ
ミンとビタミン誘導体もしくはその類似体、抗新生物
剤、抗線維素溶解剤、血液凝固改質剤、防腐剤、鎮痛
剤、局所麻酔剤または抗炎症剤である。上記のように、
硫酸化糖は、刺激、炎症もしくは火傷を含む皮膚、粘膜
もしくは組織の症状に関連する用途、または皮膚の潰瘍
化の予防に有用である。さらに外部の化学薬剤(例えば
アレルゲンまたは酸もしくは塩基のような腐蝕性物
質)、または尿、汗もしくは胃腸の分泌物のような体の
分泌物との接触と、外圧、熱、電離放射線もしくは光
(本願の明細書と特許請求の範囲では紫外線を含む)と
によって起こる皮膚の症状を硫酸化糖で治療するか;ま
たは上記の薬剤もしくは分泌物によってもたらされる皮
膚の損傷を防止するために予防手段として硫酸化糖を添
加することが特に有利であることが分かった。
【0034】硫酸化糖を使用することが治療上もしくは
予防上必要な特定の疾病の例は次のとおりである。
【0035】皮膚病(くちびる、膣粘膜および肛門領
域) 汗疹:例えば粘着プラスターの貼布もしくは過剰の濕熱
(日焼け、おしめ、運動)のような、余り危険でない皮
膚刺激によって起こることが多い遮断された汗腺によっ
てもたらされる急性の炎症性痒疹の生成と定義する。
【0036】間擦疹:紅斑、剥離、浸軟およびいくつか
の患者では、表在性の亀裂を特徴とする対向する皮膚面
の急性の表在性炎症と定義する。 痒疹:患者が、かくことによって本能的に苦痛からのが
れようとする、全般的もしくは局所的なそう痒感覚と定
義する。 ざ瘡と酒さ:脂漏性面皰斑、膿疱、丘疹および小節を特
徴とする皮脂腺の炎症と定義する。
【0037】紅色陰癬のような表在性の細菌皮膚感染
症;輪癬とカンジダのような表在性の真菌感染症;単純
疱疹、帯状疱疹、麻疹、水痘、疣、尖湿疣;非特異的
な、またはマイコプラズマ、クラミジア、カンジダ、ト
リコモナス族(Tricomonas)の真菌などによっておこる
バギノーシス(Vaginosis)。 皮膚炎:紅斑、滲出液、かさぶた、スケーリングを特徴
とし時には小胞を特徴とする、微生物の感染のあるなし
にかかわらない、急性もしくは慢性の皮膚の表在性炎症
と定義する。接触皮膚炎、アトピー皮膚炎、脂漏性皮膚
炎、神経皮膚炎、単純性苔癬、薬剤発疹、結節性紅斑、
多形性紅疹、粃糠性酒さ、扁平苔癬、乾癬、魚鱗癬、う
っ血性皮膚炎、および手足の慢性皮膚炎が含まれる。
【0038】急性日焼けなどの表在性火傷と日焼けに対
する保護剤。補綴装置、おしめ、オストミーパッドもし
くは類似物、包帯、プラスター、電極、カテーテルなど
を皮膚上に直接おくことによる二次的な皮膚刺激。圧力
傷に対する予防。腫脹、疔、よう、汗腺炎および瘻。
【0039】痔疾、肛門周辺のそう痒症および外陰炎。
しわおよび老化皮膚および頭ふけに対する積極的かつ予
防的な美容上の治療。
【0040】呼吸器疾患 アレルギー性鼻炎:季節的もしくは多年性のくしゃみ、
鼻漏、鼻充血、および結膜炎および咽頭炎が多いことが
特徴。
【0041】急性鼻炎:鼻粘膜の浮腫、鼻の排泄および
鼻づまり、ほとんどの場合かぜウイルスで起こる。 肺疾患:内因性もしくは外因性の気管支喘息、慢性気管
支炎に対して二次的な肺炎症反応、肺塵埃症、肺線維
症、グッドパスチュア症候群。肺の炎症性反応。
【0042】耳、鼻および咽喉の疾病 急性外耳炎、外耳のフルンケル症および耳真菌症。
【0043】外傷性および感染症の鼓膜炎。急性エウス
ターキオ耳管炎。急性漿液性耳炎。急性および慢性の副
鼻腔炎。
【0044】眼の疾患 外傷もしくは異物または手術後の炎症によって起こる眼
の領域の浮腫。
【0045】眼瞼アレルギーと眼瞼炎;麦粒腫と霰粒
腫。微生物が病因の急性と慢性のカタル性結膜炎。アレ
ルギー性(春季)結膜炎。トラコーマ。強膜炎、上強膜
炎。
【0046】表在性斑点性角膜炎、樹枝状(ヘルペス
性)角膜炎、円板状角膜炎および角膜の創傷。虹彩炎、
虹彩毛様体炎。下記疾患の抗アレルギー/免疫調節、抗
炎症治療としての全身的I.V.治療
【0047】結合組織の疾病 全身的紅斑性狼瘡、結節性多発動脈炎、硬皮症、多筋
炎、皮膚筋炎、リウマチ様関節炎。アレルギー/免疫疾患 過敏症、血清病、溶血性貧血、アレルギー/中毒性無顆
粒球症。悪性疾患 急性白血病、慢性骨髄球白血病、慢性リンパ球白血病、
ホドキン病、リンパ肉腫、骨髄腫、あらゆる起源の転移
性癌、転移性骨髄腫。感染性疾患 AIDS、細胞性敗血症、全身的真菌感染症、リケツチ
ア病、毒性ショック症候群、伝染性単球増加症、シトメ
ガロウイルス感染症、インフルエンザ、ポリオ、マラリ
ア、リーシユマニア症、トリパノソーマ症、トキソプラ
ソマ症、ラッサ熱、黄熱病。
【0048】下記の前癌性もしくは癌性疾病の局所注射
もしくは移植治療もしくは局所塗布治療。situ colli u
teriの癌、顎部癌、子宮内膜癌、あらゆる起源の癌の手
術部位における癌、基底細胞癌。下記の組織、骨、関節
もしくは筋骨格の疾患の注射による治療。
【0049】腱炎、腱鞘炎、腱線維組織炎、滑液包炎、
線維筋炎、筋炎、結合組織炎および上顆炎、過労と捻
挫、ねじり、脱臼、手根トンネル症候群、筋膜炎、リウ
マチ様関節炎の滑膜炎、伝染性関節炎、arthritis uric
aのmonoarthritis、脊髄炎、軟骨硬化症、リーター症候
群、骨炎、骨髄炎。外科手術部位における、抗感染効果
と、抗炎症効果と、組織組織化/再生効果とを達成する
ための外科処置と関連する組織移植法。
【0050】上記のように、スクラルファートが胃潰瘍
の治療に内用されると、創傷の粘膜の表面に優先的に結
合することが観察され、また、このことはポリ硫酸化糖
に共通の性質と考えられる。従って、粘膜のライニング
が、潰瘍もしくは悪性の作用によって破壊されると、ポ
リ硫酸化糖がその領域に特異的に結合する。この性質
は、バリウム、ジルコニウム、チタン、オスミウム塩、
またはシュクロースオクタスルファートもしくは他のポ
リ硫酸化糖のX線濃密製剤を用いてX線診断に用いるこ
とができる。
【0051】この発明を以下の実施例で説明するが、こ
の発明を限定するものではない。
【0052】
【実施例】
実施例1 次の成分から局所用粉末製剤を調整した。 スクラルファート※ 30g ペクチン 10g ゼラチン 10g カルボキシメチルセルロース 10g ※アビックラボラトリーズ社(Abic Laboratories)、
イスラエルが微粉末状で提供。
【0053】微粉末状スクラルファート(粒径2〜100
μm)を他の微粉末状成分(粒径<250μm)と十分に
混合して粉末とした。
【0054】実施例2 次の成分から局所用軟膏製剤を調整した。 スクラルファート 30g ペクチン 10g ゼラチン 10g カルボキシメチルセルロース 10g 分留ヤシ油 60g 微粉砕したスクラルファート(粒子径2〜100μm)を
他の微粉末成分と充分に混合した。得られた粉末に分留
ヤシ油を加えて、適切なコンシステンシイ(consistenc
y)にして、粒子成分がほぼ均一な分散液を得た。
【0055】実施例3 次の成分から局所用軟膏製剤を調整した。
【0056】 スクラルファート 30g ヒアルロン酸 0.6g ペクチン 10g ゼラチン 10g CMC 10g 分留ヤシ油 60g 微粒子状スクラルファート(粒子径2〜100μm)を他
の微粉末状成分とよく混合した。得られた粉末に分留ヤ
シ油を加えて適切なコンシステンシイにして、粒子成分
がほぼ略均一の分散液を得た。
【0057】実施例4 次の成分から局所用眼剤を調整した。
【0058】 スクラルファート※ 2% カーボポール934 0.5 マンニトール 5% ベンザルコニウムクロリド 0.01% EDTAナトリウム 0.05% 水酸化ナトリウム適量 pH6にする 滅菌水 加えて100%とする ※ギュイリニ化学社(Guilini Chemie)、西独製の微粉
末状スクラルファート(粒径10μm)。
【0059】実施例5 眼科用製剤 次の成分から眼科用製剤を調整した。
【0060】 スクラルファート※ 2% プロピルメチルセルロース 0.35% ベンザルコニウムクロリド 0.01% EDTAナトリウム 0.05% 塩化ナトリウム 0.8% 滅菌水適量 ※ギュイリニ化学ルードヴィッヒスハーヘン社(Guilin
i Chemie Ludwigshafen)、西独、製の微粉末状(10μ
m)。
【0061】実施例6 皮膚及び粘膜用の局所製剤を、スクラルファート粉末
(粒径50〜100μm、ギュイリニ化学ルードヴィッヒハ
ーヘン社、西独、製)5重量%と、セチルアルコール、
羊毛脂精製品、ミリスチン酸イソプロピル、ツゥイーン
60、スパン60、ダイメチコーン(dimeticone)、グリセ
リン、ソルビン酸及び滅菌水の混合物とを混合して調整
した。
【0062】実施例7 次の成分から皮膚及び粘膜用局所製剤調整した。
【0063】 スクラルファート粉末※ 5% パラフィン油、グリセリン、セチルアルコール 55% 4級アンモニウム化合物 0.7% ステアリルアルコール 3% ユーカリ油適量 ※ギュイリニ化学社、西独、製の微粉末状スクラルファ
ート(≦10μm)。
【0064】実施例8 ヒトの臨床試験 A)先天性巨大結腸症(ヒルシスプルング病)を直すた
めに手術を行なった2名の幼児(男の子と女の子)に、
紅斑、炎症および膿疱を伴う重篤な皮疹が発生した(腸
が短くなったために、消化酵素と時には酸が接触したた
めに起こったと考えられる)。実施例1の製剤を、おし
めを交換する度毎に患部の皮膚に塗布した。治療して1
日後に症状は劇的に改善され、治療後2〜3日で皮疹が
完全に消失した。この治療を6ヶ月間続けた。手術後の
はじめの4ヶ月間は、スクラルファート含有粉末の毎日
の塗布が中断すると皮疹が再発生した。しかし6ヶ月後
は、治療は停止することが可能になり、例えば下痢の後
に時々再発する程度であった。
【0065】B)回腸フィステル(造瘻:イレオストミ
ー)の周囲に潰瘍を発生した回腸フィステル有する腫瘍
患者を実施例1の製剤で治療した。回腸フィステルのま
わりに潰瘍を同様に発生した10名の他の患者からなる対
照群を、同量のペクチン、ゼラチンおよびカルボキシメ
チルセルロースを含有する粉末製剤(すなわちスクラル
ファートなしの実施例1の製剤)で治療した。各患者
に、2週間にわたって、オストミイバッグを変える度に
粉末を塗布した。
【0066】治療を始めてから3日後、スクラルファー
ト含有粉末で治療した群の患者には、回腸フィステルの
周囲に潰瘍は全く認められなかったが、一方、対照群の
患者のうち7名は大なり症なり回腸フィステルまわりに
潰瘍を示した。2週間の治療の後、スクラルファート含
有粉末で治療した群の患者の1人は続く3日間の2つの
期間に潰瘍化を生じ、患者の1人は死亡し、残りは全期
間を通じて潰瘍を生じなかった。対照群中、2名の患者
は全期間、潰瘍を生じなかったが、他のすべての患者
は、続く2日間以上、潰瘍化と重篤な刺激が起こった。
患者のうち2名は、全期間にわたって回腸フィステルま
わりに潰瘍を生じた。
【0067】これらの試験に基づいて、この発明の製剤
は、胃腸の分泌物によって起こる皮膚の、潰瘍及び類似
の症状との治療に用いて成功すると結論した。試験B)
はスクラルファートが、組成中の他の成分よりも、改善
に関与していることを示している。 C)虚血性もしくは静脈うっ血性の慢性の脚部潰瘍があ
る14名の高齢者の患者(49〜86歳、平均70歳)を実施例
2の製剤で治療した。治療開始時に、壊死組織切除手術
を行った。次いで創傷にペーストを充填し、周囲の皮膚
の性質によって、創傷の領域をプラスチックフィルムも
しくはパーチメント紙で覆った。一週間毎に取替える時
に、過剰ペーストが存在する場合、肉芽組織を壊さない
ように過剰のペーストを注意深く除去して、その治療を
繰返した。すなわち創傷は新しいペーストで充填し、創
傷領域を覆った。7人の患者は、治療の2〜3ヶ月後に
完全に治癒したか、またはほとんど完全治癒に近い状態
であった。創傷治癒効果は、各対照の創傷の大きさを測
定することによって評価した。治療の最初の1ヶ月間
で、9名の患者の創傷の大きさが減少し、最初の傷の大
きさは9人の患者について平均76%まで減少した。3人
の患者では創傷の大きさについては全く効果がなく、最
後の2名の患者は測定しなかった。創傷の痛みは、0=
痛みなし〜3=強いの尺度で評価した。全患者につい
て、一般に、創傷にペーストを塗布した後、数時間以内
に痛みが著しく軽減した。周囲の組織の浮腫が減少し、
創傷周辺の浸軟し炎症を起こした皮膚が治癒するのが観
察された。ほとんどの創傷は、最初、フィブリン、膿お
よび黄色の壊死部をもっていた。これらは、すべての患
者において、治療後、感染していない、きれいな赤い肉
芽組織を有する“赤い創傷”に変わった。ベースライン
と、続く4週間の治療期間における痛みと焼かの平均ス
コアを第1表に示す。
【0068】
【表1】
【0069】慢性の脚部の潰瘍に局所的に用いたスクラ
ルファートは、明確な創傷治癒効果をおこすようであ
る。同時に、スクラルファートの創傷用ペーストの顕著
な抗炎症効果があった。すなわち、組織中の浮腫が少
し、創傷まわりの炎症をおこし浸軟した皮膚が治癒し
た。 D)各種の皮膚病に対するスクラルファートの抗炎症効
果を、アトピー性皮膚病、乾癬、中毒性の手湿疹および
毛包炎の成人患者について評価した。5重量%のスクラ
ルファート粉末を含有する製剤を、カミツレ(6%)と
アルニカ(4%)の草エキスを含有する脂肪の賦形剤と
混合した。得られた軟膏を朝と夕方に塗布した。第2表
に、試験に含まれる患者の治療についての人口統計学的
データと診断の結果を示す。
【0070】
【表2】
【0071】スクラルファートの軟膏を1日に2回局所
塗布したところ、51名の患者全体が改善もしくは完全治
癒した。局所乾癬を有する2名の女性以外の全患者とあ
ごひげ毛包炎の7名の男性は、以前に、ステロイドで広
範囲の局所治療を受けていた。アトピー性皮膚炎の患者
には、10〜20年間の病歴があり、全員がステロイドの使
用後反撥現象を起こしていた。スクラルファートの軟膏
による治療10日後には著しく改善され、アトピー性皮膚
炎の患者14名中10名が、最高8ヶ月の治療期間中、皮膚
炎の症状が全くなくなったという意味で治癒した。乾癬
の患者は、2〜4週間の治療後改善が認められ、その改
善は、すべての患者につて、全治療期間中、維持され
た。中毒性手湿疹の患者は1週間後改善を示し、3人の
患者が完全に治癒した。あごひげの毛包炎についても、
2〜3ヶ月間の治療期間で良好な効果を示し、外陰部膣
炎の症状の女性は、そのそう痒症がなくなった。156
患者月の全期間にわたるスクラルファート軟膏での治療
中副作用は全くみられなかった。
【0072】幾人からの臨床患者において、スクラルフ
ァートを皮膚と粘膜に局所塗布すると、著しい抗微生物
効果が観察された。 E)表在性の真菌皮膚感染症(輪癬)の2名の患者に、
実施例6のクラルファート製剤を塗布した。1日後に著
しい改善があった。スクラルファート製剤の1日に2回
3日間塗布したところ、皮膚には、真菌感染症の臨床的
徴候は全くなくなった。
【0073】F)感染症の疑いのある重篤な長期間にわ
たる非特異的な膣炎にかかっている2名の女性に実施例
7のスクラルファート製剤を投与した。その軟膏を1日
に2回膣粘膜に塗布した。2週間の治療後、両方の患者
が臨床上完全に治癒した。両患者共に、ステロイドと抗
微生物剤を含むあらゆる種類の局所治療を以前に受けて
いたが、何年もの間効果がなかった。
【0074】G)実施例6のスクラルファート軟膏を口
唇ヘルペス症に局所使用した。軟膏を1日に6回塗布
し、治療はヘルペスが発疹したらできるだけ早く開始し
た。4名の若い女性について評価した。4名の全患者に
ついて治療は成功して、痛みが減少し、疱疹の発生が減
少した。皮膚は、治療開始後、2〜4日間以内で完全に
治癒した。
【0075】H)実施例6のスクラルファート軟膏を尋
常性ざ瘡の治療で試験した。16〜20歳の3名の女性に、
朝と晩に局所に軟膏を塗布した。治療の1日後皮膚の炎
症反応が著しく減少し、1週間後、小胞の数が減少し
た。3名の患者前部が、ビタミンAと全身的抗生物質を
含む多種類の抗ざ瘡治療を以前に試みていた。スクラル
ファートは、より永続的な効果があった。そして、最高
3ヶ月間の治療期間中反撥現象は全くなかった。
【0076】I)実施例8 D)に記載したスクラルフ
ァート軟膏を、眼のまわりの顔面のしわに試験した。38
〜45歳の5名の女性がこの軟膏を1日2回使用したが、
1〜2週間の治療後有益な効果が報告された。
【0077】実施例9 ※モルモットによる紫外線日焼け(紅斑)の試験 12頭の若い成熟SPFアルビノモルモット(雄と雌、10
週令、体重350〜400g;Maellegaard Breeding Centre
Ltd.社から入手したDunkin Hartley 系統)を用いた。
【0078】動物を、不透明のPPL(IV型)かごに2
〜3頭づつ、雄と雌を分けて収納した。またこのかごは
ペレット餌“3113アルトロミン(3113 Altromin)”と
ビタミンCで強化した水道水には自由に近づけるように
した。室温は21±2℃に相対湿度は55±15%に設定し
た。空気は1時間に6回変え、光は6〜18時間照射し
た。順応期間は1週間であった。
【0079】対照物質は10重量%インドメタシンのPE
G400懸濁液で、試験物質はシュクロースオクタスルフ
ァートで、そのカリウム塩のPEG400による1,3及
び10重量%懸濁液の形態であった。対照賦形剤はPEG
400であった。治療の前日に、動物の両横腹の毛をかり
とり、電気かみそりでそり上げた。次の日に、麻酔をか
けていない動物を、光にさらされている側と対向する側
に固定した。直径4cmの2つの開口を有するゴムシート
(各々約12.5cm2)を各動物の毛をかりとってそり上げ
た横腹上に置いて、体の他の部分は、2つの治療部位以
外は紫外線から動物を保護するために覆った。次いで一
度に2頭のモルモットに、紫外線灯(T1 20/12、JVB、P
hilips社)からの光を6cmの距離で20分間照射した。
【0080】2つ紅斑治療部位(各々5cm2)の中心
に、0.05mlの試験物質、対照物質もしくは賦形剤をそれ
ぞれ塗布した。塗布した後、約30秒間指先で物質を皮膚
にすりこんだ。予防効果を測定するために、塗布は紫外
線暴露する30分前に行なった。正の試験グループ中の12
頭の動物の24の横腹の各々を、試験物質と、正の対照物
質としての10%インドメタシンもしくは賦形剤との両方
で治療した。横腹当り2物質の塗布は、横腹の真皮の解
剖上及び構造上の差異による変化を除き、無作為の読み
の質を支持するために特定のシステムに従って行なわれ
た。
【0081】紫外線暴露を停止してから、2、4、6お
よび24時間後に、治療部位を読み取り、以下の尺度で評
価した。
【0082】
【表3】
【0083】動物は無作為に読取り、各物質についての
紅斑減少スコアを平均した。賦形剤対照の平均価を、正
対照の平均価と試験物質の平均価のそれぞれから引算
し、正味の紅斑減少活性を得た。以下のような紅斑減少
活性が見出された。 賦形剤(PEG 400) 0% 正の対照(インドメタシン10%) 100% 試験物質1%(シュクロースオクタスルファート) 5% 試験物質3%(シュクロースオクタスルファート) 22% 試験物質10%(シュクロースオクタスルファート) 62% 用量−反応関係は問題の試験物質を共に示し、動物数は
非常に少ないが、この実験でシュクロースオクタスルフ
ァートは、インドメタシンと同程度にモルモットの日焼
けした(紫外線照射)皮膚の紅斑を減少すると結論する
ことができる。
【0084】実施例10 ※犬と猫の眼と鼻へのスクラルファートの滴剤 実施例5の製剤を、恐らく感染とアレルギー反応が原因
と思われる慢性の赤い眼をした20頭の犬で評価した。眼
の滴剤を円蓋部の下に、朝と夕方に適用した。20頭の動
物のうち14頭が治療に反応したが、そのうちの5頭は、
クロラムフェニコールとフシジンを含む眼の局所用抗生
物質による以前の治療には反応していなかった。効果は
1〜5日後に見られ、治療期間は殆どの患者について2
〜3週間であった。同じ製剤を、純血種の猫の涙腺慢性
うつ血の治療に用いた。10頭の猫について試験したが10
頭の猫全部が、治療の2〜3日以内に涙の流出がなくな
り完全に治癒した。この治療効果はステロイドによる治
療で得たのと少なくとも同等に良好であった。最後に、
同じ製剤を、上部空気流路の慢性再発性感染症の3頭の
猫に対して鼻の滴剤として使用した。1滴を外鼻孔に朝
と夕方に用い、他の治療は全く行なわなかった。3頭の
猫全部が、治療を始めて2〜3日後、空気流路感染症の
徴候がなくなった。
【0085】実施例11 ※スクラルファートの眼用滴剤のウサギの眼の耐性テス
ト実施例5のスクラルファート眼用滴剤の一次の眼の刺
激効果をウサギで試験した。この試験は4頭のSPFア
ルビノ種の雌のウサギについて行なった。左眼だけを治
療し、右眼は非治療の対照とした。眼の下側のまぶたを
おだやかに引っ張って眼球からはなれさせ、中に試験物
質を入れるカップを形成させて、約0.1mlの試験製剤を
入れた。次に両まぶたを約1秒間おだやかに合わせた。
眼を検査し眼の反応のグレードを1時間後に記録した。
24時間後に、ocoluguttae fluoresceiniを点眼する前後
に検査を行った。検査を行った後、眼を20mlの0.9%塩
化ナトリウム溶液ですすいだ。眼は治療してから48時間
と72時間後に検査した。角膜虹彩および結膜(分泌物を
含む)を検査し、反応と変化を観察してスコアをつけ
た。結膜のわずかな分泌物が最初の検査で、2頭のラビ
ットにみとめられた。結膜、虹彩または角膜の反応は、
24.48および72時間後の検査時のいずれのウサギにもみ
とめられなかった。
【0086】角膜の不透明度、虹彩の病変、結膜の赤い
ことおよび結膜の浮腫(結膜浮腫)について、各種の異
なる標準の判定基準によって決定された平均スコア値は
すべて0.0であった。Official Journal of the Europea
n Communities,L257,1983の判定基準,the directive of
the commissiom,83/467/EEC,1983年7月29日と、上
記平均値によれば、2%水性懸濁液中の試験スクラルフ
ァートは、眼の刺激剤には分類されないと結論される。
【0087】実施例12 ※スクラルファートでコーティングした中心静脈カテー
テルによる、血栓形成の防止 中心静脈シリコーン樹脂カテーテルによる血栓の形成に
ついて、モルモットモデルで、スクラルファートのコー
ティングのあるなしで試験した。筋肉組織内にうえこん
だこのカテーテルに対する局所組織反応も試験した。8
本のシリコーン樹脂カテーテル(7 French Silicon
e、Durascau Medical Products A/S、オーデンスから入
手)を用いた。各カテーテルは長さが約15cmであった。
4本のカテーテルは、浸漬コーティング法を用いて、ス
クラルファートの微結晶懸濁液(40重量%)でコート
し、放射線で滅菌した。
【0088】シリコーン樹脂カテーテル(2mm)を、外
科手術で頸静脈に挿入して、先端をbijugular junction
のレベルまで到達させた。カテーテルの外方端を曲げて
静脈に近い筋肉組織に固定した。皮膚を常法によって閉
じた。2本の他のカテーテルを最長背筋の腰の部分に横
方向に挿入した。各カテーテルは、小さな中間皮膚の傷
を通じて挿入し、別の小さな皮膚を通じて外に出して、
次いで最初の皮膚の傷から引出して皮下をくぐらせる。
第1号のモルモットには、コートしたカテーテルを右側
に挿入し、コートしていない対照のカテーテルを左側に
挿入し、第2号のモルモットには、カテーテルの位置を
逆にした。
【0089】両方のモルモットは外科処理をしてから1
週間後に麻酔をかけて、全採血を行った。血管内のカテ
ーテルまわりと静脈の血栓の塊の量を記録した。筋肉内
に挿入したカテーテルを取出し、カテーテルカナルまわ
りの筋肉組織片と皮下組織片を分離し、固定して顕微鏡
検査を行った。外科処置から全採血までの1週間の間
に、カテーテルに対する明らかな反応の微候は全くみと
められなかった。カテーテルの前方端に発見された血栓
の重量は次のとおりである。
【0090】
【表4】
【0091】皮下組織において、どのカテーテルキャナ
ルのまわりにも反応はみとめられなかった。右側と左側
の両方からの筋肉組織において、非常にうすい灰色の部
分がカテーテルキャナルまわりにみとめられた。この点
について、左右の側の差はなかった。顕微鏡検査の結
果、単核細胞が多い皮下膜と小さな液胞がカテーテルキ
ャナルにそって見出され、周辺の結合組織には、異物の
巨大細胞がみとめられた。これらの点については、コー
トした部位と、対照の部位とでは、有意差は全くなかっ
た。
【0092】実施例13 シュクロースオクタスルファートのカリウム塩の臨床作
用をイヌやネコの各種の感染症/炎症性疾病について試
験した。動物はペット病院から補給され、かつこのよう
に治療された疾病は、臨床的関連状況を反映している。
カリウム塩20mg/mlの滅菌溶液を次の被検動物に用い
た:骨折大腿骨を接合した犬に体重1Kg当り試験製剤5
mgを静脈注射で投与した。手術後、炎症又は感染による
体温の上昇または他の臨床微候はみられなかった。
【0093】慢性子宮内膜症で子宮を全摘出した犬に体
重1Kg当り試験製剤を5mgを静脈注射で投与した。手術
後、体温の上昇は見られず、好中球(白血球)が急速に
減少し、体力の急速な回復がみられた。外傷性創傷と腱
を裂傷した犬に創傷部に局所的に、20mg/mlの試験製剤
を1ml投与した。手術後、化膿せずに急速に治癒した。
【0094】子宮を摘出した猫に体重1Kg当り試験製剤
5mgを静脈注射で投与したが、手術後、手術の傷口に炎
症性反応はみられなかった。関節炎の外科的治療をした
犬2匹に、手術の際に関節とそのまわりの組織に試験製
剤5ml(濃度:1mg/ml)を局所的に適用した。術後、
関節に殆ど腫脹はみられず、手術して1日後、犬達は自
分の足で立つことができた。
【0095】猫のインフルエンザによる慢性鼻炎に苦し
む5匹の猫に試験製剤を1mg/mlの濃度で、1mg/Kg体
重の用量で1回静脈注射し、同製剤を各外鼻孔(Nostri
l B.D.)に1滴ずつたらして局所適用した。4匹の猫の
症状が大きく改善され、鼻の分泌物が減り、水っぽさが
なくなり、白血球増加が減った。胃嘔吐による嚥下性肺
炎に患った1匹の犬に試験製剤を20mg/mlの濃度で5mg
/Kg体重B.D.の用量で静脈注射により投与した。2
日後、体温は正常で、聴診による肺の変化は改善され、
4日後呼吸困難と咳は消失した。
【0096】外科手術の傷口に、ポリ硫酸化糖、シュク
ロースオクタスルファートのカリウム塩を局所適用(塗
布)するかまたは静脈注射で投与していても、いずれの
被検体にも不耐性の微候は全然あらわれなかった。全身
的な静脈注射の処置は、すべての場合に臨床的改善がみ
られ、この薬物の強力な抗炎症作用と強力な抗感染作用
を示唆するものであった。
【0097】実施例14 ヒトの正常な単核細胞から自然発生的及び誘導受身血球
凝集(PHA−induced)産生によるインターロイキン−2
(IL−2)及びγ−インターフェロン(INF-gamma)
の産生に対するスクラルファートの作用を試験した。微
粉末化したスクラルファート(10μm)の水性懸濁液10
0mg/mlを10,1及び0.1mg/mlに希釈した。その結果、
スクラルファートはそれ自身によりこれら2つのシトキ
ンの産生を活性化しないことを示した。IL−2(4,4
0,70U/ml)及びγ−INF(0,100,>100U/ml)のPHA
活性化産生を用量関連的に阻止した。この生体外モデル
で試験する時、スクラルファートは抗炎症作用を示すこ
とが結論づけられた。 スクラルファート100mg/mlの
貯蔵懸濁液には沈降物があり、スクラルファートの10,
1及び0.1mg/mlの希釈液を調整する時、主に上澄液を
使用した。従って上記の抗炎症作用は、主として溶解状
態のスクラルファートに基づくものであり、スクラルフ
ァートは殆どイオン化したシュクロースオクタスルファ
ートとアルミニウムの形態で別々に存在していると考え
られる。従ってこの生体外モデルで示された抗炎症作用
は、殆どポリ硫酸化糖、シュクロースオクタスルファー
トに基づく作用であるといえる。
【発明の効果】本発明の化粧用組成物は、皮膚の老化の
阻止又は予防及びふけの阻止又は予防に有効である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 31/70 ABJ ADA ADU ADZ // C07H 11/00

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硫酸化シュクロース又はその塩もしくは
    錯体と賦形剤もしくは希釈剤とからなる化粧用組成物。
  2. 【請求項2】 皮膚のしわの処置もしくは予防を含む皮
    膚の老化の阻止もしくは予防のために局所適用される請
    求項1記載の組成物。
  3. 【請求項3】 ふけの阻止もしくは予防のために局所適
    用される請求項1記載の組成物。
  4. 【請求項4】 硫酸化シュクロースがポリ硫酸化シュク
    ロースである請求項1〜3の何れか1つに記載の組成
    物。
  5. 【請求項5】 ポリ硫酸化シュクロースがシュクロース
    オクタスルファートである請求項4記載の組成物。
  6. 【請求項6】 硫酸化シュクロースを錯化もしくは、塩
    化する化合物が、金属例えばアルカリ金属もしくはアル
    カリ土類金属(例えば、ナトリウム、カリウム、カルシ
    ウム、マグネシウムもしくはバリウム)またはアルミニ
    ウム、亜鉛、銅、ジルコニウム、チタン、ビスマス、マ
    ンガンもしくはオスミウム、または有機塩基(例えばア
    ミノ酸)である請求項1〜5の何れか1つに記載の組成
    物。
  7. 【請求項7】 ポリ硫酸化シュクロースがシュクロース
    オクタスルファートのカリウム塩もしくはナトリウム塩
    である請求項4記載の組成物。
  8. 【請求項8】 ポリ硫酸化シュクロースがシュクロース
    オクタスルファートのアルミニウム錯体であるスクラル
    ファートである請求項4記載の組成物。
  9. 【請求項9】 皮膚への局所適用製剤、例えば粉剤、ペ
    ースト剤、軟膏、ローション剤、ゲル剤、クリーム剤、
    塗剤、乳濁液剤、懸濁液剤、スプレー剤、スポンジ、ス
    トリップ、プラスター、パッドもしくはドレッシングの
    形態である請求項1〜8の何れか1つに記載の組成物。
  10. 【請求項10】 硫酸化シュクロースを0.001〜99重量
    %、一般に0.01〜75重量%、さらに一般的には0.1〜20
    重量%、特に1〜10重量%の量含有する局所用製剤の形
    態である請求項1〜9の何れか1つに記載の組成物。
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