JPH0810249B2 - 三相一括形断路器の電流遮断試験方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、接地タンク内に充電部が絶縁ガスととも
に密閉収納されたガス絶縁開閉装置の三相一括形断路器
の電流遮断試験方法に関するものである。

〔従来の技術〕

第４および５図は例えば実開昭60−147916号公報に示
された従来のガス絶縁開閉装置の三相一括形断路器の一
例を示す平断面図および正断面図である。図において、
（１）は接地タンク、（２）は絶縁スペーサ、（3a），
（3b），（3c）は絶縁スペーサ（２）によって絶縁支持
されたＡ相,B相およびＣ相の可動側電極、（3d）は絶縁
ロッド、（3e）はレバー、（3f）は可動コンタクト、
（3g）は可動接触子、（3h）は可動側シールドである。

（4a）（4b）（4c）はそれぞれＡ相,B相およびＣ相の
固定側電極であり、（4d）は固定接触子、（4e）は固定
側シールドである。（５）は絶縁ロッド（3d）を気中か
ら回転させる駆動軸である。

上記のように構成された三相一括形断路器は、駆動軸
（５）が操作装置（図示せず）によって回転駆動され、
それによって絶縁ロッド（3d）が回転し、可動コンタク
ト（3f）はレバー（3e）で直線運動に変換される。そし
て、可動コンタクト（3f）は可動接触子（3g）を摺動し
て固定接触子（4d）と離間する。

次に、三相一括形断路器の電流遮断試験方法について
説明する。第６および７図はその試験形態図であり、図
において、（６）はブッシングタンク、（７）はブッシ
ングである。また、第８図はその回路図であり、三相中
遮断相の一端部はAC電圧源（13）に他端部はコンデンサ
（８）にそれそれ接続されており、他の二相は可動側お
よび固定側ともに接地電位にある。そして、通常、試験
設備能力上電流遮断試験は単相でされることが多い。

〔発明が解決しようとする問題点〕

従来の三相一括形断路器の電流遮断方法では、遮断用
のみ電圧が印加され、他の二相は接地電位にある。しか
し、実系統では断路器の開極動作の初期段階において、
第４および５図における断路器の開極動作を示す第９お
よび10図のように、各相の可動コンタクト（3f）と固定
側シールド（4e）との間で絶縁破壊が生じて細いプラズ
マ状の導電路、即ち遮断アーク（10）を形成する。この
遮断アーク（10）は可動コンタクト（3f）と固定側シー
ルド（4e）との間に放電路を形成するが、枝分かれし易
い特性を有しているために、枝分かれしたアーク（11）
が移行して他相の遮断アーク（10）と結合すると、相間
短絡にいたる場合がある。しかるに、従来の三相一括形
断路器の電流遮断試験方法では、遮断相のみ電圧が印加
され、他の二相は接地電位にあるため、遮断相には遮断
アーク（10）が発生するが、遮断相を除く他相には遮断
アーク（10）が発生しないので、相間短絡のような絶縁
上の影響について検証されておらず、不十分な試験であ
るといった問題点があった。

この発明は上記のような問題点を解消するためになさ
れたもので、他相の遮断アークを模擬でき、つまり、他
相の遮断アークとみなすことができ、実系統と等価な三
相一括形断路器の電流遮断試験方法を得ることを目的と
する。

〔問題点を解決するための手段〕

この発明に係る三相一括形断路器の電流遮断試験方法
は、遮断相を除く他相の相対向する極間部を、遮断アー
クを模擬する、つまり、他相の遮断アークとみなす金属
導電体で電気的に接続して前記他相に電圧を印加し、前
記遮断相に電流を通電し、この状態で前記遮断相での電
流を遮断するものである。

〔作用〕

この発明においては、遮断相を除く他相の相対向する
極間部を、遮断アークとみなす金属導電体で電気的に接
続し、前記他相に電圧を印加し、前記遮断相に電流を通
電し、この状態で前記遮断相の電流を遮断するため、他
相の金属導電体を他相の遮断動作中に形成されるアーク
放電の放電路とみなすことができ、他相の推定遮断アー
クとの電流遮断試験を行うことができる。

〔実施例〕 以下、この発明の実施例を図について説明する。第１
ないし３図はこの発明の一実施例を示すもので、第４な
いし10図と同一または相当部分は同一符号を付し、その
説明は省略する。

図において、（12）は金属例えば銅からなる針金状の
金属導電体で、Ａ相,C相の極間部に電気的に接続され、
遮断アーク（10）を模擬する。つまり、Ａ相,C相の遮断
アークとみなす金属導電体である。（13）は遮断相以外
の他の二相の固定側に接続されたDC電圧源である。

ところで、上記のものの場合、Ｂ相の遮断相にのみ電
流を通電し、断路器を駆動軸（５）より動作させるとＡ
相,B相およびＣ相の可動側電極（3a），（3b），（3c）
は一括で動作し、遮断相のみ電流は遮断される。一方、
他のＡ相,C相はDC電圧源（13）と接続されているので、
Ａ相,C相の可動側電極（3a），（3c）はその動作にかか
わらずDC電圧源（13）の電圧が印加されている。例え
ば、AC電圧源（９）が100％の電圧とすると、DC電圧源
（13）は−100％の電圧を印加している。したがって、
遮断相の遮断アーク（10）とＡ相,C相の遮断アークとみ
なす金属導電体（12）との間には例えば200％の電位差
があり、この間での絶縁性能が実系統と等価に検証でき
る。また、遮断相に生じた遮断アーク（10）から枝分か
れしたアーク（11）が移行して他相の金属導電体（12）
と結合して相間短絡にいたっても、他相の可動極及び固
定極の損傷を少なくすることができる。

なお、上記実施例ではコンデンサ（８）を用いた進み
電流遮断試験方法について説明したが、この試験は遅れ
電流遮断、ループ電流遮断、負荷電流遮断等であっても
適用でき、上記実施例と同様の効果を奏する。

〔発明の効果〕

以上のように、この発明の三相一括形断路器の電流遮
断試験方法によれば、遮断相を除く他相の相対向する極
間部を、遮断アークとみなす金属導電体で電気的に接続
して前記他相に電圧を印加し、前記遮断相に電流を通電
し、この状態で前記遮断相の電流を遮断するとき、金属
導電体を遮断動作中に形成されるアーク放電の放電路と
みなすことによって、単相遮断試験により、他相の推定
遮断アークと遮断相の遮断アークとの間の絶縁性能を検
証でき、実系統と等価な三相一括形断路器の電流遮断試
験が可能になるという効果がある。また、遮断相の遮断
アークから枝分かれしたアークが他相の金属導電体と結
合して相間短絡にいたっても、前記他相の可動極及び固
定極の損傷を少なくすることができるという効果があ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一実施例を示す平断面図、第２図は
第１図の正断面図、第３図はこの発明の試験回路図、第
４図は従来の断路器の一例を示す平断面図、第５図は第
４図の正断面図、第６図は従来の試験形態図、第７図は
第６図の側面図、第８図は従来の試験回路図、第９図は
第４図の断路器の開極動作時の様子を説明する平断面
図、第10図は第９図の正断面図である。 図において、（１）は接地タンク、（12）は金属導電
体、（13）はDC電圧源である。 なお、各図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 宏 兵庫県尼崎市塚口本町８丁目１番１号 三 菱電機株式会社伊丹製作所内 (56)参考文献 特開 昭60−10182（ＪＰ，Ａ) 特開 昭57−1974（ＪＰ，Ａ)

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】接地タンク内に断路器の三相を一括収納し
   た三相一括形断路器の電流遮断試験方法において、遮断
   相を除く他相の相対向する極間部を遮断アークとみなす
   金属導電体で電気的に接続し、前記他相に電圧を印加
   し、前記遮断相に電流を通電し、この状態で前記遮断相
   の電流を遮断することを特徴とする三相一括形断路器の
   電流遮断試験方法。