JPH0797573A - 土壌中での微生物担持用担体の形成法及び該方法を用いた土壌修復法 - Google Patents

土壌中での微生物担持用担体の形成法及び該方法を用いた土壌修復法

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JPH0797573A
JPH0797573A JP5244071A JP24407193A JPH0797573A JP H0797573 A JPH0797573 A JP H0797573A JP 5244071 A JP5244071 A JP 5244071A JP 24407193 A JP24407193 A JP 24407193A JP H0797573 A JPH0797573 A JP H0797573A
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soil
carrier
microorganisms
liquid composition
microorganism
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Toshiyuki Komatsu
利行 小松
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 土壌修復用の微生物を土壌中で維持するため
の担体を、より広範囲に均一に分布させることができる
土壌中での微生物担持用担体の形成方法及び該方法を用
いた土壌修復法を提供することにある。 【構成】 土壌中で担体を形成できる液状組成物を土壌
に散布し、土壌中で微生物担持用担体を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、土壌中で形成した担体
に土壌修復用微生物を担持させて作用させることによる
土壌修復技術に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、有害で難分解性の有機化合物が多
種類環境中で検出されるなど、これらによる環境汚染が
クローズアップされてきている。例えば、紙、パルプ、
石油化学、精密機械関連産業地域の土壌では、芳香族化
合物や有機塩素化合物のような有害で難分解性の有機化
合物による汚染がかなりの範囲で拡がっていると考えら
れており、実際、環境調査等で検出された事例が多数報
告されている。
【0003】その中でも、金属部品、IC、電子部品の
脱脂洗浄剤、塗料等の溶剤、ドライクリーニングの洗剤
等として広範囲に、しかも多量に使用されているトリク
ロロエチレン(TCE)、テトラクロロエチレン(PC
E)等の有機塩素化合物は、発癌性も指摘されている有
害物質で、これらによる環境汚染が問題となってきてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】有機塩素化合物等の有
害物質で汚染された土壌から汚染物質を除去し、これを
修復する方法としては、各種の方法が検討されている
が、なかでも土壌中の有害物質の分解能を有する微生物
を優勢にしたり、外来の微生物を土壌に投与すること
で、有害物質を分解し、土壌修復を行う方法が、処理コ
ストや修復効率の面から注目されている。
【0005】しかしながら、微生物を用いる土壌修復に
おいては、なお改良すべき問題点が残されている。
【0006】例えば、TCEやPCE等の有機塩素化合
物は、比重が1.4〜1.5と大きく、土壌中では深部
へ浸透し易く、土壌表層から通常数メートルから十数メ
ートルまでの不透水層にまで汚染が浸透している場合が
多い。従って、通常行われている掘削などを行って土壌
を野積みにするパイル法やライナー法等の微生物処理を
適用した場合、深部への掘削が必要になり、処理土壌量
も多くなるので、処理時間が長く、コストも上昇すると
いう不利があり、実用的とはいえない。
【0007】また、土壌深部へパイプ等を挿入し、その
先端から微生物やその栄養物等を土壌深部に導入するi
n situ微生物処理では、通常、導入された場所の
環境が微生物にとって不都合であったり、原生動物によ
り捕食されたりすることによって、導入微生物菌数の急
激な減少が起る場合が多い。その結果、多量の微生物の
追加導入を頻繁に行う必要がある。
【0008】こうした問題に対応するために、本願出願
人は、微生物のマイクロハビタットを形成し得る孔隙を
多数有する担体を用いる土壌修復方法(特願平4−28
1984号)及びこの担体を土壌中に導入する方法(特
願平4−281983)を出願した。
【0009】しかしながら、これらの方法においても、
固体の担体を水等の媒体に分散させて、土壌に投与する
場合、固体担体の分散が土壌粒子の影響を受け易く、均
一な分布状態が得られなかったり、また、導入位置から
遠ざかるにつれて急激な担体密度の減少が起きたりする
などの問題が生じる場合があった。また、より広い範囲
への分散投与を行うために水等の媒体を過剰に使用する
と、媒体の拡散範囲の制御が困難となって、投与した媒
体による汚染物質の不用意な拡散を招きかけない。これ
らの点を考慮すると、導入パイプの接地密度を比較的高
くして、各導入パイプ間の距離を近接する必要があり、
その結果コストの上昇を招くという問題がある。
【0010】本発明は、上述の微生物担持用担体を用い
る土壌修復処理における問題に鑑みなされたものであ
り、その目的は、土壌修復用の微生物を土壌中で維持す
るための担体を、より広範囲に均一に分布させることが
できる土壌中での微生物担持用担体の形成方法及び該方
法を用いた土壌修復法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、微生物担
持用担体を形成するための液状組成物を、土壌の所望の
領域に導入し、該領域中で導入された液状組成物から前
記担体を形成することを特徴とする土壌中での微生物担
持用担体の形成法及び該方法を利用した土壌修復法によ
って達成することができる。
【0012】本発明は、微生物担持用担体形成用の組成
物を液状態で土壌に導入し、導入された土壌内で担体を
形成させることに特徴を有し、該組成物は液状であるの
で、土壌粒子間をスムーズに分散させることができ、土
壌中でのより広範囲で均一な担体の分布状態を得ること
が可能となる。
【0013】土壌中に形成された担体は、その土壌に土
着の微生物を担持するためのものであっても良いし、そ
の土壌にとって外来の微生物を担持するためのものでも
良い。このような担体が土壌中に形成されることで、微
生物の住処が提供され、微生物を土壌中に維持すること
が可能となり、この微生物による汚染物質の除去効果を
高めることが可能となる。
【0014】土壌中で担体を形成し得る液状組成物は、
担体形成用原料とての水溶性ポリマーと、水または水を
主成分とする液媒体とを含むものが、安全性や操作性等
の面から好ましい。水を主体とする液媒体としては、担
体形成用材料の種類によって異なるが、水溶性ポリマー
を用いる場合には、ポリマーの溶解を補助するメチルア
ルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコー
ル、グリコール等のアルコール系溶媒と水の混合物など
が好適に用いられる。
【0015】該液状組成物としては、例えば、次の作用
により担体を形成できるものなどが利用できる。 (1)土壌中で自然乾燥することにより固化して担体を
形成するもの。 (2)空気や各種ガス流による乾燥固化や各種ガスとの
反応により固化して担体を形成するもの。 (3)アルギン酸ナトリウムやポリアクリレート水溶液
の土壌中に存在するCaイオンなどの金属イオンによる
固化のような、土壌に含まれる各種成分の存在下で、あ
るいはこれらの成分と反応して、固化し、担体を形成す
るもの。
【0016】水溶性ポリマーとしては、 (a)各種でんぷん;マンナン;寒天、アルギン酸ナト
リウム等の海藻由来の高分子;アラビアゴムなどの植物
性高分子;デキストラン等の微生物由来の高分子;にか
わ、ゼラチン、コラーゲンなどの蛋白性物質などの天然
高分子; (b)ビスコース、メチルセルロース、エチルセルロー
ス、エチルセルロース、ヒドロキシセルロース、カルボ
キシメチルセルロース等のセルロース系高分子;可溶性
デンプン、カルボキシメチルデンプン、ジアルデヒドデ
ンプンなどのデンプン系高分子などの半合成高分子; (c)ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウ
ム、ポリエチレンオキシドなどの合成高分子 等を代表的なものとして挙げることができ、これらの混
合系も適宜用いられる。
【0017】液状組成物としては前述のような作用で担
体を形成することができるものであればこうした水溶性
ポリマーに限定されるものではないが、水溶性ポリマー
が前記の理由で優れている。
【0018】液状組成物の土壌への導入は、土壌表面に
散布する方法、パイプにより所定深さの土壌中に圧送し
ていく方法など目的に応じた方法を選択し、必要に応じ
て2種以上の方法を組合せて用いることもできる。液状
組成物は、土壌中の土壌粒子による毛細管現象によって
広く拡散される。また、ポンプでの圧送においては、圧
送圧で浸透拡散し、自重拡散も起る。これらの拡散の程
度を見積もって、土壌中での固化速度から担体の分布さ
せる領域をあらかじめ設定して導入することができる。
【0019】液状組成物中には、担体に担持してその活
性を利用する微生物の栄養素となる各種物質を含有させ
ても良い。そのような栄養素としては、その活性を利用
する微生物の増殖や活性を高めるものであり、例えばC
源、N源、P源となる種々の化合物のほか、通常知られ
るミネラル類、ビタミン類等が挙げられる。これらの物
質は、可溶性であることがより好ましい。例えば、アミ
ノ酸類、イースト、芳香族化合物、アミン類、リン酸塩
類などの他、一般に培地組成に利用される各種物質が良
好に用いられる。
【0020】液状組成物から土壌中で形成される担体の
形態は特に限定されず、種々の形態のものが利用可能で
ある。例えば、ゲル状の粒子、固体状粒子、網目構造を
有する粒子等が形成できる。嫌気性の菌を用いる場合に
は、ゲル状の粒子内に菌が内包される形態とするのが好
ましい。好気的な菌においては、原生動物からの捕食を
回避し、かつ大きな吸着面積を有し、担体で囲まれた菌
に適合し易い環境を得易いなどの理由で、0.5〜数十
μmの孔を有する多孔性の担体が好ましい。
【0021】3次元網目構造の担体は、繊維状の壁によ
り形成された網状構造によって3次元方向に互いに連通
する多数の好隙が形成されているものであり、各孔隙の
連通部が比較的大きなもので、各孔隙間での微生物や各
種成分の移動が容易なものである。更に、担体内部の孔
隙は担体表面に開口する孔隙と連通している構造を取
り、互いに連通する孔隙によって担体を貫通する貫通孔
が形成されているものが好ましい。こうした3次元網目
構造によって、担体に適度な開放性が得られ、その結
果、保持させた微生物の担体外への放出や担体外部から
の各種成分や汚染物質の担体内への侵入、通過が容易と
なり、担体内外での保持微生物による処理が可能で、相
乗効果が得られる。
【0022】また、この開放性により、担体内部の孔隙
中の環境と担体外部の土壌中の環境とがほぼ同等に保た
れるようになり、担体内で増殖した微生物が担体外に放
出された後に直ちにこれが失活または死滅することが防
止できる。更に、この適度な開放性によって、土壌のp
H、酸素濃度の調整や、土壌への各種栄養素の補給を行
った際に、これらの効果が土壌中に形成した担体内部に
も及び易くなるという効果も得られる。また、こうした
開放性は、微生物が生成する排泄物、微生物の死骸やそ
の分解物等の担体外への放出にも有効であり、これらに
よる保持微生物への悪影響が問題となる場合にはこれら
を排除する上でも効果的である。
【0023】3次元網目構造の担体の形成は、より揮発
性の高いアルコール系溶媒をより多量に用い、揮発速度
を高めるためにポンプ等により減圧したりすることによ
って多孔度を上げる等の方法によって行うことができ
る。
【0024】本発明において土壌中で形成される担体
は、数μm〜数mmの粒子状または土壌間で長く連結し
た形態でも良い。こうした形態は、対象とする土壌の性
質と共に、用いられるポリマーや溶媒、固化の方法等に
より適宜変更される。
【0025】本方法は、その目的によって修復対象土壌
にすでに存在している土着微生物をその担体に担持、増
殖、活性化させる場合と、外部からの外来微生物を土壌
に導入させる場合のそれぞれに対して有効である。外来
菌を導入する場合には、担体の形成と別に外来菌の導入
を行っても良いが、担体形成用の液状組成物中に外来微
生物を含有させて土壌に導入し、担体の形成と伴にその
内部または表面、あるいはこれらの両方に吸着させる方
法が制御性において特に優れている。
【0026】外来微生物としては、修復すべき汚染土壌
の汚染物質の種類によって適宜選択されるが、例えば有
機塩素化合物に対しては、Pseudomonas属、
Acinetobacter属、Methylosin
us属、Methylocystis属、Methyl
omonas属、Mycobacterium属、Ni
torosomonas属等に属する細菌などで有機塩
素化合物分解能を有するものなどを挙げることができ
る。
【0027】土壌修復処理後に担体及び導入した微生物
が土壌中に残存することが問題となる場合には、担体を
バクテリアセルロース、セルロース・キトサン複合体の
フィルムや発泡体、微生物ポリエステル、ポリ乳酸、ポ
リラクトン、ポリグリオキシル酸、ポリリンゴ酸、デン
プン添加プラスチック、ポリカプロラクトン、(ヒドロ
キシ酪酸)−(ヒドロキシ吉草酸)共重合体、ポリアミ
ノ酸、多糖類ポリマー等の生分解性の高分子材料で少な
くとも一部を構成することで、保持させた微生物によっ
て、あるいは土壌中の微生物によって担体の全体または
基本形態が分解されるので、同時に導入した微生物も徐
々に死滅していき、このような問題を解消することが可
能となる。なお、この場合、担体の分解が土壌処理とほ
ぼ同時かそれより遅くなるように担体構成材料等を選択
する。
【0028】図1は、本発明の方法に利用できる土壌修
復システムの一例を示す図である。このシステムは、所
定の深さの領域に担体形成用の液状組成物を放出できる
ように多数の放出口を有する放出用パイプ1を有し、こ
のパイプを利用してポンプ4によって液状組成物用タン
ク2から液状組成物を土壌中に圧入できる。タンク3に
は土壌修復用微生物の培養液が充填されており、必要に
応じて液状組成物に微生物や栄養素を混合させる。放出
用パイプ1を設ける位置は、液状組成物の性状、固化速
度、土壌の種類や性状、放出圧等に応じて、汚染領域8
内に液状組成物の十分な量が供給され、担体形成領域9
が得られるように設定される。必要に応じて吸引ポンプ
に接続された吸引用パイプ5で吸引して、液状組成物の
分散速度や分散状態を改善することができる。土壌修復
の状況は、ボーリングによってサンプリング用パイプ7
を所定の深度まで注入して、土壌をサンプリングし、汚
染物質の濃度を測定することで確認できる。
【0029】
【実施例】
参考例1 以下の培養で用いたM9培地の組成は以下の通りであ
る。 M9培地組成(1リットル中); Na2HPO4 6.2g KH2PO4 3.0g NaCl 0.5g NH4 Cl 1.0g 水 残部 (pH7.0) タカサゴシロアリのハタラキシロアリを10匹シャーレ
にとり、エチルアルコール(95%)をこれに注ぎシロ
アリ表面を殺菌した。次に、0.05%のフェノールを
含有するM9培地でシロアリを2回洗い、その表面から
エチルアルコールを除去した。洗浄後、シロアリの腸を
ピンセットで摘み出し、それを0.05%のフェノール
を含有するM9培地中ですり潰し、腸破砕物を含む液状
混合物を得た。この混合物の一部を、0.05%フェノ
ール及び0.05%酵母エキストラクトを含有するM9
培地に接種し、30℃で好気条件下で培養した。その結
果、この混合物内にフェノール資化性の微生物が存在す
ることがわかった。
【0030】上記のM9培地(0.05%フェノール及
び0.05%酵母エキストラクトを更に含有する)での
培養により得られた培養液(増殖菌体を含む)を、フェ
ノール含有M9寒天培地(0.05%フェノール及び
1.2%寒天を含む)の表面に塗布し、30℃で2日間
培養した。寒天培地上に良好に生育してきたコロニーを
単離株として得た。単離株の1つについてその菌学的性
質を調べたところ下記の結果が得られ、この単離株はシ
ュードモナス・セパシアに属するものであるとの結論に
至った。 A.形態的性状 (1)グラム染色:陰性 (2)菌の大きさ及び形:長さ1.0〜2.0μm、幅
0.5μm前後の桿菌 (3)運動性:あり B.各種培地における生育状況
【0031】
【表1】 C.生理的性質 (1)好気性、嫌気性の区別:偏性好気性 (2)糖の分解様式: 酸化型 (3)オキシダーゼの生成: + (4)硝酸銀の還元: + (5)硫化水素の生成: − (6)インドールの生成: − (7)ウレアーゼの生成: − (8)ゼラチンの液化: − (9)アルギニンの加水分解:− (10)リジンの脱炭酸: + (11)オルニチンの脱炭酸:− (12)クエン酸の利用: + (13)メチルカルビノールアセチル反応(VP反
応):− (14)トリプトファンデアミナーゼの検出:− (15)ONPG: − (16)炭水化物類の利用性: ブドウ糖: + 果糖: + 麦芽糖: + ガラクトース:+ キシロース: + マンニット: ± 白糖: − 乳糖: + エスクリン: − イノシット: − ソルビット: − ラムノース: − メリビオース:− アミグダリン:− L−(+)−アラビノース:+ この単離株を、0.05%フェノール及び0.05%酵
母エキストラクトを含むM9培地(5ml)中で30℃
で培養し、培養液から濾過により上清をサンプリング
し、そのフェノール濃度を分光光度計を用いて270n
m近傍の光吸収を測定することで定量した。その結果、
培養4日目に約60%のフェノールの分解が行われ、こ
の単離株が卓越したフェノール分解活性をもあわせ持っ
ていることが。確認された。従来既知のシュードモナス
・セパシアでは、フェノール分解活性を有するものは存
在しないことから、この菌株は新菌株であると認定し、
KK01株と命名して、通商産業省工業技術院微生物工
業技術研究所(生命工学工業技術研究所)に寄託した
(寄託日:平成4年3月11日、寄託番号FERM P
−12869)。なお、この寄託は、平成5年3月9日
付でブタペスト条約に基づく国際寄託(FERM BP
−4235)に変更された。
【0032】比較例1 深さ3m、内径0.5mの円筒形の周壁を有する容器の
底部に開閉自在な排水口を設け、これに森林の約30c
mの深さの関東ローム層から採取した土壌(粒径が2m
m以上のものが5%、2mm〜75μmのものが40
%、75〜5μmのものが30%、5μm以下のものが
25%の混合褐色土(含水率100%))を密度が1.
3となるように詰め、10ppmのTCEを含有する水
を土壌の表面から散布し、容器底部の排水口から土壌を
透過した水を除去して、容器内に含水率100%、TC
E濃度900ppbを含有するモデルTCE汚染土壌を
形成した。なお、土壌のTCE濃度は、ECD検出器に
よるガスクロマトグラフィーを用いたヘキサン抽出によ
ヘッドスペース法(JIS)によって測定した。
【0033】この容器内のモデルTCE汚染土壌を、約
25℃に調節された室内に静置し、土壌中のTCE濃度
の経時変化を1mの深さの土壌をサンプリングして測定
した。その結果、図3(a)に示されるように60日後
で820ppbと若干の減少が見られ、この土壌中にT
CEを分解できる菌が存在していることが判明した。
【0034】実施例1 比較例1と同様にして、モデルTCE汚染土壌を容器内
に形成した。なお、土壌の全重量とかさ高を比較例1と
合せた。
【0035】このモデル汚染土壌の表面に、ポリアクリ
ル酸とポリアクリルアミドの5:1(重量比)の混合物
を、水に対して0.5重量%溶解した担体形成用溶液5
リットルを均一に散布し、容器底部の排水口から透過し
た溶液を除去して、土壌含水率を調整し、更に、TCE
を溶解した水溶液を追加散布しながら土壌のTCE濃度
を900ppbに、含水率を100%に調節した。
【0036】この容器内の担体含有モデルTCE汚染土
壌を、比較例と同様に室内に放置してTCE濃度を追跡
した。その結果を図3(b)に示した。また、サンプリ
ングした土壌中には、担体形成用溶液内のポリマーが土
壌中のCaイオン等の金属イオンにより固化して形成さ
れた平均数百μm大の不定型の凹凸に富んだ固体状の多
孔性担体が認められた。また、この担体は土壌中で難水
溶性化していることが認められた。
【0037】実施例2 比較例1と同様にして、モデルTCE汚染土壌を容器内
に形成した。なお、土壌の全重量とかさ高を比較例1と
合せた。
【0038】次に、ポリアクリル酸とポリアクリルアミ
ドを5:1(重量比)で混合した混合物の0.5重量%
水溶液(5リットル)と、参考例1で得たKK01株の
培養液(菌体を106個/mlの濃度で含む)の200
mlを混合してTCE分解菌含有担体形成用組成物を調
製した。
【0039】この組成物を、モデルTCE汚染土壌の表
面から散布し、更に実施例1と同様にして、モデル土壌
のTCE濃度を900ppbに、含水率を100%に調
節した。
【0040】このモデルTCE汚染土壌を、比較例1と
同様にして静置し、TCE濃度の経時変化を測定した。
得られた結果を図3(c)に示した。約60日で数十p
pb以下までTCE濃度が減少した。図2は、このとき
の担体の模式図をSEM観察の結果から描いたものであ
る。
【0041】比較例2 ポリマー混合物の水溶液を用いない以外は、実施例2と
同様に、すなわちKK01株の培養液のみを散布してモ
デルTCE汚染土壌を処理した。比較例1と同様にして
土壌中のTCE濃度の経時変化を測定したところ図3
(d)の結果が得られた。ポリマーによる担体の存在し
ないときには、KK01株菌数の急激な減少が見られT
CE分解が一ヶ月以内で止まることが判明した。
【0042】実施例3 図1に示すシステムで実施例2と同様に調製されたTC
E分解菌含有担体形成用組成物を注入パイプ1によっ
て、図1に示される約10mの範囲に金属打ち込みシー
ルド(図示されていない)内のTCE汚染土壌に注入す
る。ローム層土10は、表層からシルト層11まで約
6.5mあり、図示された注入ポンプ4の位置の直下か
らTCEが浸透汚染し、シルト層上部までTCEで汚染
されていた。この汚染領域8の土壌に対して、上記TC
E分解菌含有担体形成用組成物をタンク2、3の混合液
から注入パイプ1を介して土壌2〜4m深さの位置に1
50リットル圧注入した。注入パイプ1の2〜4m位置
に多数の注入孔を通して、ゆっくり圧入し、この時同時
に吸引パイプ5によって土壌内を減圧として、TCE分
解菌含有担体形成用組成物がより横方向にも拡散分布す
るように調節した。
【0043】この注入によっておおよそTCE汚染の中
心部をカバーするように担体とKK01株が導入され
た。深さ5.5mの位置のTCE汚染土壌(初期900
ppb)を多数のサンプリング用パイプ7からボーリン
グによってサンプリングして、経時的なTCE減少を測
定した。その結果、40日目で500ppb、60日目
で380ppb、90日目で270ppbと順調な減少
が認められた。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、担体形成用組成物を液
状で土壌に導入し、土壌中で担体を形成するので、土壌
修復用の微生物を土壌中で維持するための担体を、より
広範囲に均一に分布させることができ、より効率よい土
壌修復が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法に利用できる土壌修復システムの
一例を示す図である。
【図2】実施例2において土壌中で形成された担体の状
態を示す模式図である。
【図3】比較例1及び実施例1〜3における土壌中のT
CE濃度の経時的変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1 放出用パイプ 2 液状組成物用タンク 3 微生物タンク 4 圧入ポンプ 5 吸引用パイプ 6 吸引ポンプ 7 サンプリング用パイプ 8 汚染領域 9 担体形成領域 10 土壌(ローム層) 11 粘土層または地下水層(シルト層) 12 土壌粒子 13 多孔性担体 14 菌体

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微生物担持用担体を形成するための液状
    組成物を、土壌の所望の領域に導入し、該領域中で導入
    された液状組成物から前記担体を形成することを特徴と
    する土壌中での微生物担持用担体の形成法。
  2. 【請求項2】 液状組成物が、担体形成用原料と、水ま
    たは水を主体とする液媒体とを含むものである請求項1
    に記載の方法。
  3. 【請求項3】 担体が難水溶性である請求項1または2
    に記載の方法。
  4. 【請求項4】 担体が生分解性である請求項1〜3のい
    ずれかに記載の方法。
  5. 【請求項5】 担体が微細な孔隙を多数有する多孔質構
    造又は3次元網目構造を有する請求項1〜4に記載の方
    法。
  6. 【請求項6】 液状組成物が土壌修復用微生物を含む請
    求項1〜5に記載の方法。
  7. 【請求項7】 液状組成物が担体に担持される微生物に
    対する栄養素を含有する請求項1〜6のいずれかに記載
    の方法。
  8. 【請求項8】 土壌中で微生物保持用担体を形成し得る
    液状組成物を、土壌中の汚染領域中に導入して該汚染領
    域中で前記担体を形成し、形成された担体に汚染領域中
    の汚染物質を除去するための土壌修復用微生物を担持さ
    せて土壌修復を行うことを特徴とする土壌修復方法。
  9. 【請求項9】 微生物が土壌に土着の微生物である請求
    項8に記載の土壌修復法。
  10. 【請求項10】 微生物が外来微生物である請求項8に
    記載の土壌修復法。
  11. 【請求項11】 液状組成物が土壌修復用微生物を含有
    する請求項8に記載の土壌修復方法。
  12. 【請求項12】 液状組成物が、担体形成用原料と、水
    または水を主体とする液媒体とを含むものである請求項
    8〜11に記載の土壌修復法。
  13. 【請求項13】 担体が難水溶性である請求項8〜12
    のいずれかに記載の土壌修復法。
  14. 【請求項14】 担体が生分解性である請求項8〜13
    のいずれかに記載の土壌修復法。
  15. 【請求項15】 担体が微細な孔隙を多数有する多孔質
    構造又は3次元網目構造を有する請求項8〜14に記載
    の土壌修復法。
  16. 【請求項16】 液状組成物が担体に担持される微生物
    に対する栄養素を含有する請求項8〜15のいずれかに
    記載の土壌修復法。
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