JPH0796A - 魚肉の新鮮保存及び解凍方法とそのための保存ケース - Google Patents
魚肉の新鮮保存及び解凍方法とそのための保存ケースInfo
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- JPH0796A JPH0796A JP5086701A JP8670193A JPH0796A JP H0796 A JPH0796 A JP H0796A JP 5086701 A JP5086701 A JP 5086701A JP 8670193 A JP8670193 A JP 8670193A JP H0796 A JPH0796 A JP H0796A
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Abstract
(57)【要約】
〔目的〕新鮮魚肉の腐敗及び変色の原因となっていた空
気分解、加水分解、自己分解を抑制することによって魚
肉の色変化を抑えると共に魚肉の腐敗化を防止するよう
にした魚肉の新鮮保存及び解凍方法とそのための保存ケ
ースを提供する。 〔構成〕新鮮魚肉を冷凍保存及び解凍する際、新鮮魚肉
を耐圧形状に形成した気密性を保持し得る保存ケース内
に収容し、保存時には保存ケース内を真空度300mmH
gとして環境温度±0℃乃至+5℃を保つようにし、解
凍時には保存ケース内を真空度400mmHgとして該保
存ケース内に魚肉を収容したまま所望状態まで解凍する
ことにより、新鮮魚肉の腐敗及び変色を抑制するように
した。また保存ケースの底部に吸引シートを敷き、該吸
引シートに新鮮魚肉を載置した状態で真空状態での保存
及び解凍を行うようにしてもよく、保存ケースは全面を
外側に湾曲すると共に、夫々の角部を半円形にした。
気分解、加水分解、自己分解を抑制することによって魚
肉の色変化を抑えると共に魚肉の腐敗化を防止するよう
にした魚肉の新鮮保存及び解凍方法とそのための保存ケ
ースを提供する。 〔構成〕新鮮魚肉を冷凍保存及び解凍する際、新鮮魚肉
を耐圧形状に形成した気密性を保持し得る保存ケース内
に収容し、保存時には保存ケース内を真空度300mmH
gとして環境温度±0℃乃至+5℃を保つようにし、解
凍時には保存ケース内を真空度400mmHgとして該保
存ケース内に魚肉を収容したまま所望状態まで解凍する
ことにより、新鮮魚肉の腐敗及び変色を抑制するように
した。また保存ケースの底部に吸引シートを敷き、該吸
引シートに新鮮魚肉を載置した状態で真空状態での保存
及び解凍を行うようにしてもよく、保存ケースは全面を
外側に湾曲すると共に、夫々の角部を半円形にした。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、まぐろの赤味や、魚貝
類等の鮨ねた、或は刺身の材料として用いる新鮮魚肉の
鮮度の低下と色変化を抑制して、長期間にわたって鮮度
及び初期の肉色を保持しうるようにした魚肉の新鮮保存
及び解凍方法とそのための保存ケースに関するものであ
る。
類等の鮨ねた、或は刺身の材料として用いる新鮮魚肉の
鮮度の低下と色変化を抑制して、長期間にわたって鮮度
及び初期の肉色を保持しうるようにした魚肉の新鮮保存
及び解凍方法とそのための保存ケースに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】まぐろの赤味や魚貝類等は、とりわけ鮨
ねた又は刺身の材料として用いるとき新鮮な鮮度が要求
される。ところが、切り出したまぐろの赤身は、最初鮮
やかな赤色をしているが、少しばかり時間がたつと表面
がよどんだ褐色に変化することが一般的にもよく知られ
ている。
ねた又は刺身の材料として用いるとき新鮮な鮮度が要求
される。ところが、切り出したまぐろの赤身は、最初鮮
やかな赤色をしているが、少しばかり時間がたつと表面
がよどんだ褐色に変化することが一般的にもよく知られ
ている。
【0003】このような新鮮魚肉の変色の原因は、魚肉
の色素であるミオグロビンが空気中の酸素によって酸化
され、メトミオグロビンに変わるためである。即ち、新
鮮魚肉の変色の原因は、一つには空気分解によるもので
ある。このとき、まぐろの肉色は黒色が混ざった褐色に
変化する。なお、魚肉のミオグロビンは畜肉や鯨肉に比
較すると、はるかに酸化されやすく、肉色は褐色化しや
すいものである。
の色素であるミオグロビンが空気中の酸素によって酸化
され、メトミオグロビンに変わるためである。即ち、新
鮮魚肉の変色の原因は、一つには空気分解によるもので
ある。このとき、まぐろの肉色は黒色が混ざった褐色に
変化する。なお、魚肉のミオグロビンは畜肉や鯨肉に比
較すると、はるかに酸化されやすく、肉色は褐色化しや
すいものである。
【0004】また、車の交通量が多い道路ぎわの鮨屋や
料理店などでは、車の廃棄ガスによる空気中の硫黄によ
って魚肉が科学反応を起こし、魚肉の褐色化はいっそう
進みやすい。このように鮨ねたや刺身が褐色化すると、
著しく商品価値が下がって売り物にならず、結局、廃棄
処分するという、非常に不経済な事態を招くことにな
る。
料理店などでは、車の廃棄ガスによる空気中の硫黄によ
って魚肉が科学反応を起こし、魚肉の褐色化はいっそう
進みやすい。このように鮨ねたや刺身が褐色化すると、
著しく商品価値が下がって売り物にならず、結局、廃棄
処分するという、非常に不経済な事態を招くことにな
る。
【0005】また、魚は、死後直ちに冷蔵保存(±0℃
〜+5℃)すると一日程度で硬直が始まり、それが5〜
6日間続いた後、1週間乃至10日で軟化し始め、2週
間ほどで腐敗する。通常、生きが良い、とされる期間は
軟化が始まるまでをいい、軟化が始まると鮮度が落ちた
といわれる。
〜+5℃)すると一日程度で硬直が始まり、それが5〜
6日間続いた後、1週間乃至10日で軟化し始め、2週
間ほどで腐敗する。通常、生きが良い、とされる期間は
軟化が始まるまでをいい、軟化が始まると鮮度が落ちた
といわれる。
【0006】従って、魚肉が鮮度を保つのは、魚肉が硬
化する期間内であり、この硬直日数を継続するための手
段として、従来より、冷凍保存技術が用いられているの
である。
化する期間内であり、この硬直日数を継続するための手
段として、従来より、冷凍保存技術が用いられているの
である。
【0007】この冷凍保存は、魚肉内の水分を氷結する
ことにより、加水分解を停止する役割を有するのである
から、その後、冷凍状態の魚肉を解凍することは、魚肉
の加水分解の停止状態を解除して加水分解腐敗を再開
し、魚肉の硬直を軟化の状態に進行することを意味す
る。
ことにより、加水分解を停止する役割を有するのである
から、その後、冷凍状態の魚肉を解凍することは、魚肉
の加水分解の停止状態を解除して加水分解腐敗を再開
し、魚肉の硬直を軟化の状態に進行することを意味す
る。
【0008】このような解凍の際には、冷凍魚肉から肉
汁(水分子)がゆっくりした速度で自然排出される。ま
た排出されにくい状態の場合は、魚肉内にとどまり酵素
や尿素、酸素などが蛋白質の諸成分との化学反応で加水
分解(変色)するのである。即ち、新鮮魚肉の腐敗・変
色化は、魚肉の蛋白質と加水分解した水分とが接触する
ことによって進行するのである。
汁(水分子)がゆっくりした速度で自然排出される。ま
た排出されにくい状態の場合は、魚肉内にとどまり酵素
や尿素、酸素などが蛋白質の諸成分との化学反応で加水
分解(変色)するのである。即ち、新鮮魚肉の腐敗・変
色化は、魚肉の蛋白質と加水分解した水分とが接触する
ことによって進行するのである。
【0009】また、魚肉の変色は、上記のように空気中
の酸素とミオグロビンの化学変化によるものだけでな
く、魚肉の蛋白質の成分であるアミノ酸(ATP)がA
TP→ADP→イノシン酸→イノシン→ヒポキサンチン
の順に自己分解作用を行い、腐敗・変色作用が進行する
ためにも生ずる。
の酸素とミオグロビンの化学変化によるものだけでな
く、魚肉の蛋白質の成分であるアミノ酸(ATP)がA
TP→ADP→イノシン酸→イノシン→ヒポキサンチン
の順に自己分解作用を行い、腐敗・変色作用が進行する
ためにも生ずる。
【0010】この自己分解作用は環境温度を+5度以下
に保つことによって進化速度を鈍化させることができ、
これを応用したのが周知の冷蔵保存方法である。
に保つことによって進化速度を鈍化させることができ、
これを応用したのが周知の冷蔵保存方法である。
【0011】なお、解凍時の1時間の変色速度と解凍後
の変色速度を測定すると、解凍時のほうは解凍後の変色
速度の60倍の速度で変色する。従って、解凍後の変色
進化速度3日分を解凍開始1時間で損失してしまうこと
になる。この原因は空気分解によるもの(メトミオグロ
ビン化変色)と加水分解による化学反応が急激に反応し
た結果の相乗効果によるものである。
の変色速度を測定すると、解凍時のほうは解凍後の変色
速度の60倍の速度で変色する。従って、解凍後の変色
進化速度3日分を解凍開始1時間で損失してしまうこと
になる。この原因は空気分解によるもの(メトミオグロ
ビン化変色)と加水分解による化学反応が急激に反応し
た結果の相乗効果によるものである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、様々な
調査、実験により、新鮮魚肉の腐敗及び変色の原因を追
及した結果、上記のような研究成果を得ることができ
た。即ち、従来、新鮮魚肉の保存方法として冷凍保存が
あるにも関わらず、この従来の冷凍保存では、特にまぐ
ろの赤身等の新鮮魚肉に対しては十分の効果を得ること
ができず、自然状態で解凍した後にわずかの時間で初期
の新鮮な赤色を失ってしまうことに鑑みて本発明をなす
に至ったのである。
調査、実験により、新鮮魚肉の腐敗及び変色の原因を追
及した結果、上記のような研究成果を得ることができ
た。即ち、従来、新鮮魚肉の保存方法として冷凍保存が
あるにも関わらず、この従来の冷凍保存では、特にまぐ
ろの赤身等の新鮮魚肉に対しては十分の効果を得ること
ができず、自然状態で解凍した後にわずかの時間で初期
の新鮮な赤色を失ってしまうことに鑑みて本発明をなす
に至ったのである。
【0013】従って、本発明は、上記したように、新鮮
魚肉の腐敗及び変色の原因となっていた空気分解、加水
分解、自己分解を抑制することによって、魚肉の色変化
を抑えると共に、魚肉の腐敗化を防止するようにした魚
肉の新鮮保存及び解凍方法とそのための保存ケースを提
供することを目的とするものである。
魚肉の腐敗及び変色の原因となっていた空気分解、加水
分解、自己分解を抑制することによって、魚肉の色変化
を抑えると共に、魚肉の腐敗化を防止するようにした魚
肉の新鮮保存及び解凍方法とそのための保存ケースを提
供することを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明の魚肉の新鮮保存及び解凍方法は、新鮮魚
肉を冷凍保存及び解凍する際、新鮮魚肉を耐圧形状に形
成した気密性を保持し得る保存ケース内に収容し、保存
時には前記保存ケース内を真空度300mmHgとして環
境温度±0℃乃至+5℃を保つようにし、解凍時には前
記保存ケース内を真空度400mmHgとして該保存ケー
ス内に魚肉を収容したまま所望状態まで解凍することに
より、新鮮魚肉の腐敗及び変色を抑制するようにしたこ
とを特徴とする。
めに、本発明の魚肉の新鮮保存及び解凍方法は、新鮮魚
肉を冷凍保存及び解凍する際、新鮮魚肉を耐圧形状に形
成した気密性を保持し得る保存ケース内に収容し、保存
時には前記保存ケース内を真空度300mmHgとして環
境温度±0℃乃至+5℃を保つようにし、解凍時には前
記保存ケース内を真空度400mmHgとして該保存ケー
ス内に魚肉を収容したまま所望状態まで解凍することに
より、新鮮魚肉の腐敗及び変色を抑制するようにしたこ
とを特徴とする。
【0015】また、前記保存ケースの底部に吸引シート
を敷き、該吸引シートに新鮮魚肉を載置した状態で、前
記真空状態での保存及び解凍を行うようにしてもよい。
を敷き、該吸引シートに新鮮魚肉を載置した状態で、前
記真空状態での保存及び解凍を行うようにしてもよい。
【0016】さらに、本発明の魚肉の新鮮保存及び解凍
のための保存ケースは、該保存ケース内で実現される最
底真空度400mmHgに耐え得るように、該保存ケース
の全面を外側に湾曲すると共に、夫々の角部を半円形に
したことを特徴とするものである。
のための保存ケースは、該保存ケース内で実現される最
底真空度400mmHgに耐え得るように、該保存ケース
の全面を外側に湾曲すると共に、夫々の角部を半円形に
したことを特徴とするものである。
【0017】
【作用】空気分解によるメト化(変色)を防止するに
は、冷凍保存時の保存ケース中の空気を真空状態にし、
また加水分解(腐敗・変色)を防止するためには魚肉の
解凍後に排出される水分子と肉汁を魚肉と接触しないよ
うに配慮する必要がある。従って、魚肉と空気中の酸素
との化学反応を抑えるためには、保存ケース中の真空率
を高くすればするほど良いが、反面、冷蔵保存のための
熱伝導率のこと、及び保存ケース内の真空率が高いと魚
肉が膨らんで水分子の排出を阻害することを考慮して、
冷凍保存時と解凍時の両方に夫々最も適する真空度を見
出す必要がある。
は、冷凍保存時の保存ケース中の空気を真空状態にし、
また加水分解(腐敗・変色)を防止するためには魚肉の
解凍後に排出される水分子と肉汁を魚肉と接触しないよ
うに配慮する必要がある。従って、魚肉と空気中の酸素
との化学反応を抑えるためには、保存ケース中の真空率
を高くすればするほど良いが、反面、冷蔵保存のための
熱伝導率のこと、及び保存ケース内の真空率が高いと魚
肉が膨らんで水分子の排出を阻害することを考慮して、
冷凍保存時と解凍時の両方に夫々最も適する真空度を見
出す必要がある。
【0018】本発明者等によれば、種々の実験結果の
末、上記の条件を最も満足する保存ケース内の真空度と
して、冷蔵保存時は真空度300mmHg、解凍時は真空
度400mmHgとするのが最も有効であるとの結果を得
たのである。
末、上記の条件を最も満足する保存ケース内の真空度と
して、冷蔵保存時は真空度300mmHg、解凍時は真空
度400mmHgとするのが最も有効であるとの結果を得
たのである。
【0019】また、同時に、魚肉内の加水分解(腐敗・
変色)を防ぐためには、魚肉の解凍後に排出される水分
子と肉汁を魚肉と接触しないように配慮し、また魚肉の
中心部の水分も排除しなければ魚肉の中心部から変色す
ることになるので、保存ケース内において、魚肉の下に
水分子に対して強制的な吸引力を持つ吸引シートを敷い
て魚肉からの水分子の排出を補助するようにした。
変色)を防ぐためには、魚肉の解凍後に排出される水分
子と肉汁を魚肉と接触しないように配慮し、また魚肉の
中心部の水分も排除しなければ魚肉の中心部から変色す
ることになるので、保存ケース内において、魚肉の下に
水分子に対して強制的な吸引力を持つ吸引シートを敷い
て魚肉からの水分子の排出を補助するようにした。
【0020】また、本発明に用いる保存ケースとして
は、ケース内の真空度400mmHgに対する負の空気圧
に耐え得るような構造を要求されるため、保存ケースの
全面を湾曲状にし、夫々の角部は半円形をもたせる構造
としたのである。
は、ケース内の真空度400mmHgに対する負の空気圧
に耐え得るような構造を要求されるため、保存ケースの
全面を湾曲状にし、夫々の角部は半円形をもたせる構造
としたのである。
【0021】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照しながら
説明する。
説明する。
【0022】図1は本発明の具体的実施例を示し、本発
明による保存ケースに新鮮魚肉を収容した状態を示す断
面図である。図2は本発明による保存ケースの斜視図で
ある。図3(a) は本発明による保存ケースの断面図であ
り、図3(b) はその側面図であり、図3(c) はその上面
図である。図4は本発明による魚肉の保存及び解凍の効
果を従来の一般ケースと比較した作表を示す。
明による保存ケースに新鮮魚肉を収容した状態を示す断
面図である。図2は本発明による保存ケースの斜視図で
ある。図3(a) は本発明による保存ケースの断面図であ
り、図3(b) はその側面図であり、図3(c) はその上面
図である。図4は本発明による魚肉の保存及び解凍の効
果を従来の一般ケースと比較した作表を示す。
【0023】本発明の魚肉の新鮮保存及び解凍方法に使
用する保存ケースの具体例としては、図2及び図3のよ
うに構成したものを示すことができる。これらの図にお
いて、保存ケース1は、ケース本体2と蓋3とに分離で
きる形状としてある。
用する保存ケースの具体例としては、図2及び図3のよ
うに構成したものを示すことができる。これらの図にお
いて、保存ケース1は、ケース本体2と蓋3とに分離で
きる形状としてある。
【0024】ケース本体2と蓋3は、解凍時に要求され
る真空度400mmHgに対しても、内部からの吸引力
(約2t/cm2 の負の空気圧)に抵抗し得て変形しない
ように、夫々の面を外側に湾曲した形状としてある。ま
た、それと共に各角部にアールを設けて半円形に形成し
てある。さらに、ケース本体2の上縁の全周に対して外
側に突出したフランジ部4を設け、蓋3はこのフランジ
部4と外周が一致する形状にしてある。また、フランジ
部4の全周の上面に穿設した周溝4aにはゴムパッキン
4bを収嵌し、蓋3の下面全周にもこれと対応する周溝
3aを設け、ケース本体2に蓋3を載置したとき、フラ
ンジ部4のゴムパッキン4bが蓋3の周溝3aに嵌合す
るようにしてある。
る真空度400mmHgに対しても、内部からの吸引力
(約2t/cm2 の負の空気圧)に抵抗し得て変形しない
ように、夫々の面を外側に湾曲した形状としてある。ま
た、それと共に各角部にアールを設けて半円形に形成し
てある。さらに、ケース本体2の上縁の全周に対して外
側に突出したフランジ部4を設け、蓋3はこのフランジ
部4と外周が一致する形状にしてある。また、フランジ
部4の全周の上面に穿設した周溝4aにはゴムパッキン
4bを収嵌し、蓋3の下面全周にもこれと対応する周溝
3aを設け、ケース本体2に蓋3を載置したとき、フラ
ンジ部4のゴムパッキン4bが蓋3の周溝3aに嵌合す
るようにしてある。
【0025】上記のケース本体2と蓋3の各面の曲率半
径、夫々の角部の曲率半径、及び各部の厚さは、保存ケ
ース1の材質及び全体寸法によって変化するため、所望
寸法の保存ケース1に対して、ケース内を真空度400
mmHg又はそれに近似する以上の真空度にしたときに非
変形となる耐圧形状に設定すべきである。
径、夫々の角部の曲率半径、及び各部の厚さは、保存ケ
ース1の材質及び全体寸法によって変化するため、所望
寸法の保存ケース1に対して、ケース内を真空度400
mmHg又はそれに近似する以上の真空度にしたときに非
変形となる耐圧形状に設定すべきである。
【0026】従って、上記の各曲率半径と各部の厚さ
は、真空度400mmHgの際にケース内に発生する負の
空気圧と、材質の強度と、各部の寸法から、力学計算す
ることにより求めることができる。材質は、内部が見え
るように透明とするのがよく、また各部の曲率半径を実
現するために合成樹脂製により成型加工によって得ると
良い。
は、真空度400mmHgの際にケース内に発生する負の
空気圧と、材質の強度と、各部の寸法から、力学計算す
ることにより求めることができる。材質は、内部が見え
るように透明とするのがよく、また各部の曲率半径を実
現するために合成樹脂製により成型加工によって得ると
良い。
【0027】なお、この実施例では、保存ケース1を矩
形に近似した形状としたが、これは使用の便宜を考慮し
て通常のケース形状に近似させたものであって、上記の
保存ケース1としては、全体形状が球体であることが、
耐圧形状として最も理想的であるが、魚肉の収容、実際
の設置、又は保存ケースを複数積み重ねる場合を勘案す
ると、円筒形状の保存ケースの適用も考えられる。
形に近似した形状としたが、これは使用の便宜を考慮し
て通常のケース形状に近似させたものであって、上記の
保存ケース1としては、全体形状が球体であることが、
耐圧形状として最も理想的であるが、魚肉の収容、実際
の設置、又は保存ケースを複数積み重ねる場合を勘案す
ると、円筒形状の保存ケースの適用も考えられる。
【0028】さらに、本実施例において、保存ケース1
には、さらに実用性を考慮して、ケース本体2の下面の
四方に脚部5、5…を形成し、蓋3の各角部に夫々の脚
部5、5…を係止状態で載置し得る段差6aを備えた保
持部6を形成してある。脚部5を保持部6に搭載するこ
とにより、図1に示すように、複数の保存ケース1、1
…を順次重ねた状態にすることができる。
には、さらに実用性を考慮して、ケース本体2の下面の
四方に脚部5、5…を形成し、蓋3の各角部に夫々の脚
部5、5…を係止状態で載置し得る段差6aを備えた保
持部6を形成してある。脚部5を保持部6に搭載するこ
とにより、図1に示すように、複数の保存ケース1、1
…を順次重ねた状態にすることができる。
【0029】さらに、ケース本体2の底部には吸引シー
ト8を敷くようにする。吸引シート8は、接触した水分
を強制的に吸引シート内部に引き込み、表面に水分を残
さない材質のものとする。この際、ケース本体2の底部
に簀の子7を載置し、この簀の子7の上面に吸引シート
8を敷くようにしてもよい。まぐろ等の魚肉9をケース
本体2内に収容するには、吸引シート8の上に載置する
ようにする。
ト8を敷くようにする。吸引シート8は、接触した水分
を強制的に吸引シート内部に引き込み、表面に水分を残
さない材質のものとする。この際、ケース本体2の底部
に簀の子7を載置し、この簀の子7の上面に吸引シート
8を敷くようにしてもよい。まぐろ等の魚肉9をケース
本体2内に収容するには、吸引シート8の上に載置する
ようにする。
【0030】また、ケース本体2の側方には、カプラー
10の雌側10aを挿嵌する貫通孔11を穿設してあ
る。カプラー10は雌雄の嵌合形式からなり、雄側10
bにはホース11を介して不図示の高速真空機に接続し
てある。
10の雌側10aを挿嵌する貫通孔11を穿設してあ
る。カプラー10は雌雄の嵌合形式からなり、雄側10
bにはホース11を介して不図示の高速真空機に接続し
てある。
【0031】ケース本体2に蓋3を載置して保存ケース
1を成し、カプラー10の雌側10aをケース本体2の
貫通孔11に嵌め入れ、高速真空機を作動すると、ケー
ス内の空気が抜かれると同時に内部に吸引力が作用し始
める。これにより、カプラー10と蓋3が内方に吸引さ
れて密着し、内部の気密性が保たれる。
1を成し、カプラー10の雌側10aをケース本体2の
貫通孔11に嵌め入れ、高速真空機を作動すると、ケー
ス内の空気が抜かれると同時に内部に吸引力が作用し始
める。これにより、カプラー10と蓋3が内方に吸引さ
れて密着し、内部の気密性が保たれる。
【0032】上記の保存ケース1に魚肉を入れて冷蔵保
存するには、図1に示すように、先ずケース本体2内の
底部、或は簀の子7を載置したときには簀の子7の上に
吸引シート8を敷き、魚肉の水分子を魚肉の外に誘導し
て魚肉を痛めない処理をする。そして、この吸引シート
8の上に魚肉9を載せ、定位置で蓋3をし、高速真空機
の調整バルブを閉じておき、ケース本体2の貫通孔2a
に挿嵌してある雌側カプラー10aに対してホース11
先端の雄側カプラー10bを連結し、高速真空機のスイ
ッチをONして作動させる。
存するには、図1に示すように、先ずケース本体2内の
底部、或は簀の子7を載置したときには簀の子7の上に
吸引シート8を敷き、魚肉の水分子を魚肉の外に誘導し
て魚肉を痛めない処理をする。そして、この吸引シート
8の上に魚肉9を載せ、定位置で蓋3をし、高速真空機
の調整バルブを閉じておき、ケース本体2の貫通孔2a
に挿嵌してある雌側カプラー10aに対してホース11
先端の雄側カプラー10bを連結し、高速真空機のスイ
ッチをONして作動させる。
【0033】これと同時に蓋3を押さえて密着させ、保
存ケース1内の真空状態を高速真空機の真空メータによ
り確認し、保存ケース1の内部が300mmHgの状態で
高速真空機の調整バルブを閉め、高速真空バルブをOF
Fする。その後、雄カプラー10bを離脱させるが、雌
カプラー10aはケース1内の吸引力により貫通孔2a
に吸着した状態にあり、雄カプラー10bの離脱と同時
に雌カプラー10aが閉塞され、この雌カプラー10a
を取付けたことにより真空状態を保った保存ケース1を
冷蔵庫に入れ、冷蔵庫内の温度を±0℃乃至+5℃に保
つ。
存ケース1内の真空状態を高速真空機の真空メータによ
り確認し、保存ケース1の内部が300mmHgの状態で
高速真空機の調整バルブを閉め、高速真空バルブをOF
Fする。その後、雄カプラー10bを離脱させるが、雌
カプラー10aはケース1内の吸引力により貫通孔2a
に吸着した状態にあり、雄カプラー10bの離脱と同時
に雌カプラー10aが閉塞され、この雌カプラー10a
を取付けたことにより真空状態を保った保存ケース1を
冷蔵庫に入れ、冷蔵庫内の温度を±0℃乃至+5℃に保
つ。
【0034】解凍時には真空解凍を行う。即ち、冷凍魚
肉を解凍せず、保存ケース1に入れたままケース1内部
が真空度400mmHgとなるようにバルブ開度を調整し
て、空気を少し抜きとり、この真空状態で、室内温度で
解凍するのである。なお所要時間として、1時間〜1時
間30分ほどを要する。
肉を解凍せず、保存ケース1に入れたままケース1内部
が真空度400mmHgとなるようにバルブ開度を調整し
て、空気を少し抜きとり、この真空状態で、室内温度で
解凍するのである。なお所要時間として、1時間〜1時
間30分ほどを要する。
【0035】保存ケース1内の魚肉9を取り出すときに
は、高速真空機のバルブを開放して雌カプラー10aに
雄カプラー10bを接続すると、自動的にゆっくりした
速度でケース1内に空気が入り、ケース1の蓋3を開け
ることができる。そして、必要量の魚肉を取り出した
後、残りの魚肉を保存する場合は、再びケース1内を上
記の保存条件にして冷蔵庫内にいれる。
は、高速真空機のバルブを開放して雌カプラー10aに
雄カプラー10bを接続すると、自動的にゆっくりした
速度でケース1内に空気が入り、ケース1の蓋3を開け
ることができる。そして、必要量の魚肉を取り出した
後、残りの魚肉を保存する場合は、再びケース1内を上
記の保存条件にして冷蔵庫内にいれる。
【0036】なお、吸引シート8は取り出しの際等に取
り替え、吸引シート8に吸引された水分が魚肉に接触し
ないように心かける必要がある。
り替え、吸引シート8に吸引された水分が魚肉に接触し
ないように心かける必要がある。
【0037】ちなみに、図4に、上記の方法により本発
明の保存ケースによってまぐろの魚肉を保存及び解凍し
た結果、この肉色がいかなる状態に変化するかを、従来
の一般的な保存ケースを使用した場合(本発明のような
真空状態で保存せず、また自然状態で解凍した場合)と
比較した実験結果が示してある。
明の保存ケースによってまぐろの魚肉を保存及び解凍し
た結果、この肉色がいかなる状態に変化するかを、従来
の一般的な保存ケースを使用した場合(本発明のような
真空状態で保存せず、また自然状態で解凍した場合)と
比較した実験結果が示してある。
【0038】これによると、まぐろの赤身をそのまま解
凍せずにサクのまま本発明の保存ケース1に入れ、真空
度400mmHgまで空気を抜き取り、1時間〜1時間3
0分(常温20度)で調理可能状態まで解凍し、空気を
徐々にケース1内に戻してまぐろの赤身を取り出すと、
その魚肉は一般的な解凍時の初期(霜氷が溶け始めその
とき始めてみる魚肉の色)と同じくらいに美しいピンク
色をしている。これに対して、従来の一般方法では、1
時間〜1時間30分自然解凍したまぐろの赤色は黒色が
混ざり、明瞭に判別できるほど差が出る。
凍せずにサクのまま本発明の保存ケース1に入れ、真空
度400mmHgまで空気を抜き取り、1時間〜1時間3
0分(常温20度)で調理可能状態まで解凍し、空気を
徐々にケース1内に戻してまぐろの赤身を取り出すと、
その魚肉は一般的な解凍時の初期(霜氷が溶け始めその
とき始めてみる魚肉の色)と同じくらいに美しいピンク
色をしている。これに対して、従来の一般方法では、1
時間〜1時間30分自然解凍したまぐろの赤色は黒色が
混ざり、明瞭に判別できるほど差が出る。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明による魚肉
の新鮮保存及び解凍方法とそのための保存ケースを用い
て、保存時に保存ケース内を真空度300mmHgとして
環境温度±0℃乃至+5℃を保つようにし、解凍時に保
存ケース内を真空度400mmHgとして該保存ケース内
に魚肉を収容したまま所望状態まで解凍するようにする
と、新鮮魚肉の腐敗及び変色が従来の一般的な冷凍保存
及び自然解凍に比べて著しく抑制され、その新鮮状態及
び初期の美しい肉色を長期間保有することができるよう
になる。
の新鮮保存及び解凍方法とそのための保存ケースを用い
て、保存時に保存ケース内を真空度300mmHgとして
環境温度±0℃乃至+5℃を保つようにし、解凍時に保
存ケース内を真空度400mmHgとして該保存ケース内
に魚肉を収容したまま所望状態まで解凍するようにする
と、新鮮魚肉の腐敗及び変色が従来の一般的な冷凍保存
及び自然解凍に比べて著しく抑制され、その新鮮状態及
び初期の美しい肉色を長期間保有することができるよう
になる。
【0040】これにより、従来の問題点であった、鮨ね
たや刺身の褐色化による無為な廃棄処分がなくなり、経
済的にも有益となる。
たや刺身の褐色化による無為な廃棄処分がなくなり、経
済的にも有益となる。
【図1】図1は本発明の具体的実施例を示し、本発明に
よる保存ケースに魚肉を収容した状態を示す断面図であ
る。
よる保存ケースに魚肉を収容した状態を示す断面図であ
る。
【図2】図2は本発明による保存ケースの斜視図であ
る。
る。
【図3】図3(a) は本発明による保存ケースの断面図で
あり、図3(b) はその側面図であり、図3(c) はその上
面図である。
あり、図3(b) はその側面図であり、図3(c) はその上
面図である。
【図4】図4は本発明による魚肉の保存及び解凍の効果
を従来の一般ケースと比較した作表を示す。
を従来の一般ケースと比較した作表を示す。
【符合の説明】 1…保存ケース、2…ケース本体、3…蓋、3…蓋の周
溝、4…フランジ部、4a…フランジ部の周溝、4b…
ゴムパッキン、5…脚部、6…保持部、7…簀の子、8
…吸引シート、9…魚肉、10…カプラー、10a…カ
プラーの雌側、10b…カプラーの雄側。
溝、4…フランジ部、4a…フランジ部の周溝、4b…
ゴムパッキン、5…脚部、6…保持部、7…簀の子、8
…吸引シート、9…魚肉、10…カプラー、10a…カ
プラーの雌側、10b…カプラーの雄側。
Claims (3)
- 【請求項1】新鮮魚肉を冷凍保存及び解凍する際、新鮮
魚肉を耐圧形状に形成した気密性を保持し得る保存ケー
ス内に収容し、保存時には前記保存ケース内を真空度3
00mmHgとして環境温度±0℃乃至+5℃を保つよう
にし、解凍時には前記保存ケース内を真空度400mmH
gとして該保存ケース内に魚肉を収容したまま所望状態
まで解凍することにより、新鮮魚肉の腐敗及び変色を抑
制するようにしたことを特徴とする魚肉の新鮮保存及び
解凍方法。 - 【請求項2】前記保存ケースの底部に吸引シートを敷
き、該吸引シートに新鮮魚肉を載置した状態で、前記真
空状態での保存及び解凍を行うようにしたことを特徴と
する請求項1記載の魚肉の新鮮保存及び解凍方法。 - 【請求項3】新鮮魚肉を耐圧形状に形成した気密性を保
持し得る保存ケースを、該保存ケース内で実現される最
底真空度400mmHgに耐え得るように、該保存ケース
の全面を外側に湾曲すると共に、夫々の角部を半円形に
したことを特徴とする魚肉の新鮮保存及び解凍のための
保存ケース。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5086701A JPH0796A (ja) | 1993-03-22 | 1993-03-22 | 魚肉の新鮮保存及び解凍方法とそのための保存ケース |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5086701A JPH0796A (ja) | 1993-03-22 | 1993-03-22 | 魚肉の新鮮保存及び解凍方法とそのための保存ケース |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0796A true JPH0796A (ja) | 1995-01-06 |
Family
ID=13894249
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5086701A Pending JPH0796A (ja) | 1993-03-22 | 1993-03-22 | 魚肉の新鮮保存及び解凍方法とそのための保存ケース |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0796A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009107725A (ja) * | 2008-12-16 | 2009-05-21 | Risu Pack Co Ltd | 中容器を有する包装用容器 |
US8114452B2 (en) * | 2005-03-02 | 2012-02-14 | Polar Star Co., Ltd. | Deaerated packaged frozen sushi, process for producing the same and method of cooking |
US8133517B2 (en) * | 2005-03-01 | 2012-03-13 | Polar Star Co., Ltd. | Deaerated packaged frozen sushi, process for producing the same and method of cooking |
-
1993
- 1993-03-22 JP JP5086701A patent/JPH0796A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8133517B2 (en) * | 2005-03-01 | 2012-03-13 | Polar Star Co., Ltd. | Deaerated packaged frozen sushi, process for producing the same and method of cooking |
US8114452B2 (en) * | 2005-03-02 | 2012-02-14 | Polar Star Co., Ltd. | Deaerated packaged frozen sushi, process for producing the same and method of cooking |
JP2009107725A (ja) * | 2008-12-16 | 2009-05-21 | Risu Pack Co Ltd | 中容器を有する包装用容器 |
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