JPH0795951B2 - 広域pH作用を有する新規なロイシンアミノペプチダーゼ - Google Patents

広域pH作用を有する新規なロイシンアミノペプチダーゼ

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JPH0795951B2
JPH0795951B2 JP27853389A JP27853389A JPH0795951B2 JP H0795951 B2 JPH0795951 B2 JP H0795951B2 JP 27853389 A JP27853389 A JP 27853389A JP 27853389 A JP27853389 A JP 27853389A JP H0795951 B2 JPH0795951 B2 JP H0795951B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (1) 産業上の利用分野 カツオやマグロ等の缶詰製造時に副生する煮汁は日本に
おいて年間10万トンも産生され大部分が未利用のままで
ある。本煮汁は良質な蛋白質を含んでいるため各種プロ
テアーゼで処理された後、濃縮され一部は魚肉エキスに
加工されている。この魚肉エキスは調味料の素材や微生
物の培地成分及び肥料などにも利用されている。しか
し、この魚肉エキスの有効利用の一環として、例えば調
味料へ加工する場合は旨味性が弱い、魚臭が強いなどの
問題があり、魚肉エキスとして十分価値のある利用がな
されていないのが現状である。
本発明は、これら魚類蛋白質を処理するのに適した新規
な広域pH作用する有するロイシンアミノペプチダーゼに
関するものである。
(2) 従来の技術 アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus or yzae)や
アスペルギルス・ソエー(A.sojae)といった麹菌起源
のロイシンアミノペプチダーゼは食品として添加あるい
は加工する場合、安全性が高いことからendo−プロティ
ナーゼとともに調味食品をはじめとして広く食品加工用
酵素として利用されている。特にロイシンアミノペプチ
ダーゼは、旨味性の改善に重要な役割を果たすものと考
えられている。
(3) 発明が解決しようとする問題点 麹菌起源で性質が明らかにされている公知のロイシンア
ミノペプチダーゼは、アスペルギルス・ソエー起源では
1種類(ワイ・オザワ等;アグリカルチュラル アンド
バイオロジカル ケミストリー,37,1285−1293(197
3)〕あり、アスペルギルス・オリゼー起源では5種類
〔LAP I:ティ・カナダイ等;アグリカルチュラル アン
ド バイオロジカル ケミストリー,37,757−765(197
3)。LAP II:ティ・ナカダイ等;アグリカルチュラル
アンド バイオロジカル ケミストリー,37,767−774
(1973)。LAP III:ティ・ナカダイ等;アグリカルチュ
ラルアンド バイオロジカル ケミストリー,37,75−7
82(1973)。LAP IV:ティ・ナカダイ等;アグリカルチ
ュラル アンド バイオロジカル ケミストリー,41,1
657−1666(1977)。AOP:長谷川喜斐等;日本農芸化学
会誌、58,483−485(1984)〕ある。
公知のアスペルギルス属のロイシンアミノペプチダーゼ
の基質特異性を調べると、アスペルギルス・ソエー起源
のアミノペプチダーゼは、分子量が220,000であり、Leu
−Gly−Glyに対する活性を100%としたとき、Leu−Gly
に対して9%の活性しか示さない。一方、アスペルギル
ス・オリゼー起源では、LAP Iは分子量が26,500であ
り、Glu−Tyr−Gluに対する分解活性は低く、主にLeu−
Gly−GlyやLeu−Glyに対して高い分解活性を有する。LA
P IIは分子量が61,000であり、Glu−Tyr−GluをpH4〜7
の範囲で分解する活性を有し、硫酸銅で完全に失活さ
れ、活性至適温度が50℃である。LAP IIIは分子量が56,
000であり、Glu−Tyr−GluをpH3.5〜7の範囲で分解す
る活性を有し、硫酸銅で完全に失活され、活性至適温度
が50℃である。LAP IVは分子量が130,000であり、Leu−
Gly−Glyに対する活性を100%としたとき、Leu−Glyに
対して7.6%の活性しか示さない。AOPはLeu−Gly−Gly
に対する活性を100%としたとき、Leu−Glyに対して0.3
%の活性しか示さない。以上の基質特異性からLeu−Gly
−Gly、Glu−Tyr−Glu及びLeu−Gly等のペプチドに対し
て高い分解活性を示し、しかも広いpH域で活性を維持で
きるロイシンアミノペプチダーゼが食品工学で切望され
てきた。
(4) 問題点を解決するための手段 上述した現況に鑑み、種種のペプチドに対して広いpH領
域で高い分解活性を示すロイシンアミノペプチダーゼを
提供すべく鋭意検討を重ねた結果、アスペルギルス属に
属する菌株を培養した麹中に、広いpH領域で強いペプチ
ド分解活性を有する新規なロイシンアミノペプチダーゼ
が得られることを発見し、本発明を完成した。
即ち、本発明は下記の理化学適性質を有する広域pHに作
用する新規なロイシンアミノペプチダーゼである。
記 作用:ペプチド鎖のN末端から順次アミノ酸を1個
ずつ加水分解する作用をもったexo−ペプチダーゼであ
る。
基質特異性、至適pH及び安定pH範囲:L−ロイシル−
グリシル−グリシン(Leu−Gly−Gly)及びH−グルタ
ミル−チロシル−グルタミン酸−OH(Glu−Tyr−Glu)
に対するKm値(ミカエリス定数)は37℃、pH8.0(アト
キンス−パンチン緩衝液)に於いて前者が44mM、後者が
30mMで、pH11.5(炭酸ナトリウム−水酸化ナトリウム水
溶液)に於いては前者が4.8mMで後者は1.6mMである。ま
た、基質Leu−Gly−Gly及びGlu−Tyr−Gluについての至
適pHは前者が9.0で後者は6.0である。なお、安定pH範囲
は共に2.8〜10.1である。
作用pHの範囲:基質分解について、至適pHでの酵素
活性を100%としたとき、約80%以上の相対活性を示すp
H域は、Leu−Gly−Glyに対して6.0〜11.0であり、Glu−
Tyr−Gluに対して4.6〜7.2である。
至適作用温度及び安定温度範囲;Leu−Gly−Glyに対
してpH8.0で60℃が活性至適温度で、37℃における活性
に対して約3.5倍の活性増加が見られる。安定温度範囲
はpH8.0で60℃以下である。
失活、阻害条件:エチレンジアミン四酢酸塩により
pH5以下で失活される。1mM硫酸銅(pH8.0)により、活
性の30%が阻害される。
分子量:57,000〜58,000(ゲル過法:セファデック
スG200使用) 以下、本発明の広域に作用するロイシンアミノペプチダ
ーゼ(以下、「LAP W」と略す)理化学的性質につい
て詳細に説明する。
(作用) LAP Wはペプチド類のN末端から順軸アミノ酸を1個
ずつ加水分解して遊離する作用を有したexo−ペプチダ
ーゼである。
(基質特異性) 第1表に示す各基質10mMを30mU(L−ロイシル−p−ジ
エチルアミノアニリド分解力)/mlのLAP活性量で、80mM
Fアトキンス−パンチン緩衝液(pH8.0)において、37
℃、60分間反応させ、これに冷水を添加して反応を停止
させた。反応液中に遊離したアミノ酸をニンヒドリン法
〔エス・タカハシ;ジャーナル オブ バイオケミスト
リー、83,57−60(1978)〕で定量した。
なお、LAP活性は国際単位mU/mlで表わしており、L−ロ
イシル−p−ジエチルアミノアニリドを基質にしてLAP
C−Test Wakoキット(和光純薬工業製)を用いて測
定した。
相対活性(%)は、Leu−Gly−Glyを基質として酸素反
応させて得られたアミノ酸の量を100%とし、他のペプ
チドを基質とした場合に得られたアミノ酸の量との比較
値(%)で示した。
LAP Wは、Leu−Gly−Glyに対するKm値が37℃、pH8.0
(アトキンス−パンチン緩衝液)において44mM及びpH1
1.5(炭酸ナトリウム−水酸化ナトリウム水溶液)にお
いて4.8mMであり、Glu−Tyr−Gluに対するKm値が37℃、
pH8.0において30mM及びPH11.5において1.6mMである。
(至適pH及び安定pH範囲) LAP Wの活性至適pHは第1図に示す如く、Leu−Gly−G
lyを基質にした場合(●−●)pH9.0であり、Glu−Tyr
−Gluを基質にした場合(▲−▲)pH6.0である。なお、
30mM Leu−Gly−Glyあるいは5mM Glu−Tyr−Gluを基質
とし( )内に示したLAP活性量、mU/mlでそれぞれのpH
において37℃、30分間反応させ、冷水を反応液中に加え
て反応停止させた後遊離アミノ酸の量をニンヒドリン法
で測定した。pH4〜5は酢酸緩衝液、pH6〜7はリン酸緩
衝液、pH8〜10はアトキンス−パンチン緩衝液、pH11は
炭酸ナトリウム−水酸化ナトリウム水溶液を用いたもの
である。
LAP Wの安定pH範囲は、286mU/mlのLAP Wを含有した
25mMの各pHの緩衝液を37℃で2時間放置した後、200mM
トリス−塩酸緩衝液でpH8.0に調整し、直ちに残存する
酵素活性を0.5mM Leu−Gly−Gly(●−●)または0.5mM
Glu−Tyr−Glu(▲−▲)を用いて調べた。第2図に示
す如く、いずの基質に対しても安定PH範囲は2.8〜10.1
である。なお第2図中、pH2〜3は酢酸ナトリウム−塩
酸緩衝液、pH3.5〜6.0は酢酸緩衝液、pH7.0〜9.0はトリ
ス−塩酸緩衝液、pH9.8以上は炭酸ナトリウム−炭酸水
素ナトリウム緩衝液を用いた。
(作用pHの範囲) 第1図に示す如く、LAP Wの各基質分解に対する至適p
Hにおける酵素活性を100%としたとき、約80%以上の相
対活性を示すpH域は、Leu−Gly−Glyに対してpH6.0〜1
1.0であり、Glu−Tyr−Gluに対してpH4.6〜7.2である。
(作用温度の範囲) 第3図に示す如く、pH8.0において、Leu−Gly−Glyに対
して60℃が活性至適温度であり、37℃における活性に対
して約3.5倍の活性増加がみられる(各温度で2分間プ
レインキュベーションし、10分間酵素反応を行った) (温度による失活条件) 第4図に示す如く、pH8.0においてLeu−Gly−Glyの分解
活性は60℃を越えると漸次失われてゆくことを示してい
る。
(阻害条件) エチレンジアミン四酢酸塩(EDTA)によるLAP W活性
の阻害はpHに依存しており、pH5以下で失活される。即
ち、222mU/mlのLAP W、55mMの各pHの緩衝液及び各pH
に調整した22mM EDTAを含む溶液を37℃で2時間インキ
ュベーションした後、0.4mM Glu−Tyr−Gluを加え37℃
で30分間酵素反応させた。冷水を20倍量加えて反応を停
止した後、遊離したアミノ酸の量をニンヒドリン法で測
定した。pH3.5〜6.0は酸酢緩衝液、pH7.0〜9.0はトリス
−塩酸緩衝液、pH10.0以上は炭酸ナトリウム−炭酸水素
ナトリウム緩衝液を用いた。結果を第4図に示す。
第5図において●−●はLAP WがEDTA未処理のもの、
○…○はEDTA処理のものである。pH5.0でEDTA未処理の
ときの遊離アミノ酸量を100%とし、各pHにおける相対
活性値%で表わした。
LAP Wは、30mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)において
1mM硫酸銅と共に37℃で20分間インキュベーションする
ことにより、Leu−Gly−Glyの分解活性が30%阻害され
る。
(分子量) LAP Wの分子量は、セファデックスG200(スーパーフ
ァイン、直径1.5cm×長さ98cm)カラムを用い、0.1M食
塩を含有する0.1M酢酸緩衝液中で測定した(流速:1.41m
l/hr,分画容量0.58ml、4℃)。LAP Wの分子量は57,0
00〜58,000である。なお、分子量標準蛋白質は、ベーリ
ンガー・マンハイム社製のウサギ筋肉のアルドラーゼ
(分子量:160,000)、牛血清アルブミン(67,000)、卵
アルブミン(45,000)、キモトリプシノーゲンA(25,0
00)及びチトクロームC(12,000)を用いた。
(力価の測定法) LAP活性の力価は、ロイシンアミノペプチダーゼ測定用L
AP C−Test(L−ロイシル−p−ジエチルアミノアニ
リド基質法、和光純薬工業株式会社製)を用いて測定し
た。酵素の単位は、L−ロイシル−β−ナフチルアミド
を基質として用い、酵素液0.02mlが37℃で2時間基質に
作用してβ−ナフチルアミン1/12μgを遊離させるとき
(G−R単位とし、このG−R単位を4.124倍した国際
単位(mU/ml)で表わした。
(精製方法) LAP Wは後述する精製方法により単離することができ
る。
以上のとおり、LAP Wはその酵素学的、物理化学的な
諸性質は公知のロイシンアミノペプチダーゼの何れとも
異なっており、特に広いpH域において各種のペプチドに
高い分解力を有するため、食品工業上有利な酵素であ
る。
次に本発明に係わるLAP Wの製造法についてその一例
を説明する。
本発明において使用される微生物は、LAP W産性能を
有する菌株であれば何れを用いてもよく、例えばアスペ
ルギルス属に属する菌株を用いるのが有利で、その具体
例としてはアスペルギルス・ソエー(Aspergillus soja
e)S−297株が挙げられる。アスペルギルス・ソエーS
−297株は工業技術院微生物工業技術研究所に微工研菌
寄第9073号として寄託されており、菌学的性質が特開昭
63−148985号に詳述されている。
次に、LAP W産生能を有するアスペルギルス・ソエー
S−297株を培養し、培養物よりLAP Wを製造する方法
を述べる。
まず、培養法としては液体培養でもよいが、一般的には
好気的固体培養の方が好ましい。通常、S−297株は小
麦▲麸▼等の固体培地に接種し、40〜55時間好気的に培
養するとプロテアーゼを培地(麹)中へ分泌する。培養
後、麹を水に懸濁することにより、プロテアーゼは容易
に水層中に移行し、不溶物を遠心分離操作や過等の適
当な手段で除去し、LAP Wを含む粗酵素液を得ること
ができる。得られた粗酵素液よりLAP Wを採取する手
段としては、透析、イオン交換樹脂に吸着し溶出させる
方法及びゲル過等が挙げられ、LAP Wを単離するこ
とができる。
以下、実施例により本発明の実施態様を詳細に説明す
る。
〔実施例〕
▲麸▼4.8kg、KH2PO4 320g、L−グルタミン酸ナトリウ
ム160g及び水8からなる固体培地を121℃、1気圧下2
0分間滅菌した後、アスペルギルス・ソエーS−297株の
分生子を接種し、30℃で2日間通気培養し、麹6.9kgを
得た。この麹を水60中に懸濁させ充分に攪拌した後、
遠心分離(9000rpm)して上清液55を得た。次いで、
この液をホローファイバーシステム(小松川化工機製)
において分離膜PM1000を通過させた後、分離膜PM5で濃
縮した。得られた濃縮液は4で、280nmでの吸光度が2
6であった。この液に安定化剤として420gのデキストリ
ン(日本資糧工業社製 NSD 1318)を加えた後、凍結乾
燥を行い、422gの粗酵素粉末(以後サカナーゼと呼ぶ)
を得た。
サカナーゼはLAP Wを含む総ロイシンアミノペプチダ
ーゼ力価が6.6units/gであった。
以下の操作は4℃で行った。サカナーゼの一部(100g)
に50mMリン酸緩衝液(pH6.1)を1.0加えて溶解させ、
不溶物を遠心分離(9000rpm,1時間)して除去し、得ら
れた上澄液に40%飽和になるよう硫安を加え一夜放置し
た。生じた沈澱物を遠心分離(9000rpm,1時間)により
除いた後、上澄液(1.1)に80%飽和になるように硫
安を加え、2時間放置した。生じた沈澱物を再び遠心分
離(17000rpm,30分間)して回収し、2mM酢酸カルシウム
を含む50mM酢酸緩衝液(pH4.8)10mlを加えて溶解し、
同じ緩衝液(2,液を2回交換)を用いて一夜透析し
た。
透析して得た酵素液は、2mM酢酸カルシウムを含む50mM
酢酸緩衝液(pH4.8)であらかじめ平衡化したアンバー
ライトCG−50(米国ローム・アンド・ハース社製イオン
交換樹脂)のカラム(直径6cm×高さ68cm)に通塔してL
AP Wを吸着させ、その洗浄液は280nmにおける吸光度
が0になるまで上記の緩衝液でカラムを洗浄した後、0.
5M酢酸ナトリウム水溶液で溶出した。活性画分はpH6.5
に調整した後、冷アセトンを終濃度70%になるまで添加
し、生じた沈澱を9000rpm、30分間の遠心分離で回収し
た。得られた酵素を10mMリン酸緩衝液(pH7.0)25mlで
溶解し、同じ緩衝液(1、液を2回交換)を用いて一
夜透析した。
透析して得た酵素液(25.5ml)は、10mMリン酸緩衝液
(pH7.0)であらかじめ平衡化したDEAE−セファデック
スA−50(ファルマシア・ファイン・ケミカルズ社製イ
オン交換樹脂)のカラム(直径4cm×高さ28cm)に通塔
して、LAP Wを吸着させた。樹脂に吸着しない酵素と
して、アルカリ性プロティナーゼ(AlPと略す)画分を
回収した後、カラムを充分に10mMリン酸緩衝液(pH7.
0)で洗浄した。その後、吸着したLAP Wは、同じ組成
の緩衝液500ml×2に含有させた0〜0.5M塩化ナトリウ
ムの直線濃度勾配法で溶出させた。流速は0.64ml/min、
一画分量は10.4mlとした。本クロマトグラフィーでのLA
P Wの溶出パターン(斜線で表示)を第6図に示す。
図からsemi−AlP、中性プロティナーゼI(NPI)、LAP
IおよびLAP Wが主要活性ピークを構成している。な
お、公知のアスペルギルス・オリゼー起源のLAP Iはア
ンバーライトCG−50樹脂クロマトグラフィーの非吸着画
分に回収される性質があり、一方当該操作ではアンバー
ライトCG−50樹脂に吸着した画分から回収される性質を
もったLAP I類似酵素であるため、区別する意味で*印
を冠した。LAP Wの活性画分はpH6.5に調製した後、1
%マンニトールを加え、次いで、冷アセトンを終濃度70
%になるまで添加し、生じた沈澱を9000rpm、30分間の
遠心分離で回収した。酵素は小量の150mM酢酸緩衝液(p
H6.5)で溶解した後、同じ緩衝液(1、液を2回交
換)を用いて一夜透析した。
透析して得た酵素液(12.6ml)は、150mM酢酸緩衝液で
平衡化したセファデックスG−100(ファルマシア・フ
ァイン・ケミカルズ社製ゲル過担体)のカラム(直径
2cm×高さ127cm)を用い、流速19.6ml/hで一画分2.33ml
ずつを集めゲル過した。活性画分は、10%グリセロー
ルを含む10mMリン酸緩衝液(pH7.0)で透析した後、透
析チューブに入った酵素液をポリエチレングリコール20
00で濃縮し、−80℃で保存した。こうして得られた酵素
溶液(5.2ml)をLAP Wの標品とした。
上述の実施例の各精製工程で得たLAP Wの液量、総蛋
白質、総活性、比活性及び回収率を比較すれば、第2表
に示す通りである。
〔発明の効果〕 本発明に係るLAP Wは、広いpH域において高いペプチ
ド分解活性が維持できるため、食品加工にLAP Wを含
むプロテアーゼ(例えば前述のサカナーゼ)を利用すれ
ば、プロテアーゼによる食品加工用原料処理時にpHをあ
らかじめ酵素の活性至適pHに調整しなくても、高いペプ
チド分解を行わせることを期待できる。従って、本発明
は食品製造上極めて有意義である。
本発明のLAP Wの作用効果を説明するため、以下に試
験例を示す。
試験例1 実施例で分画した個々のendo−プロティナーゼとLAPを
組合せた総活性量を均一にし、それらの組成を色々とか
えた再構成系で魚蛋白質を分解させたところ、本発明の
LAP Wの含有割合が高い再構成系は魚蛋白質分解度が
高かった。次に試験方法を説明する。
(試験方法) カルチベーター350(カツオとマグロ缶詰製造時に副生
する煮汁エキスの商品名、焼津水産化学工業製)を水で
5倍希釈した液をアンバーライト1R 120B(H+形)カラ
ムに通液し、その中に含まれている遊離のアミノ酸を吸
着除去し、吸光度260nm/吸光度280nm比が1.5以下の画分
を集め、pH6.1に調整し凍結乾燥を行い基質として用い
る魚蛋白質を調製した。
第3表に示したAlP、NP I、LAP I、LAP IおよびLAP
Wからなる酵素系でミカエリスのベロナール緩衝液(pH
6.1)に溶解した3.6%の魚蛋白質を、50℃で3時間加水
分解反応を行い、生成したα−アミノ基の量をTNBS法
〔奥山典生、笠井久隆著;蛋白質・核酸・酵素,18,−
1153−1159(1973)〕に従って測定し、魚蛋白質分解率
を次式から算出した。
(但し、式中〔 〕は〔 〕内の物質のα−アミノ基の
分解値を示す。) なお、AlP、NP Iの活性は、ミルクカゼインを基質と
し、50mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.0)中で酵素反応を3
0℃、10分間行なう。
アンソン−萩原改変法〔ティ・ナカダイ等;アグリカル
チュラル・アンド・バイオロジカル・ケミストリー,3
7,2685−2694(1973)〕で求めた。実験に供した各プロ
テアーゼの由来と比活性は以下の表の通りである。
試験例1の結果を第3表に示す。
試験例2 本発明のLAP Wを含むサカナーゼ(実施例参照)と糸
状菌起源の市販プロテアーゼによる単位LAP活性当りの
魚ペプチドおよびLeu−Gly−Gly分解度を、PH10とpH11.
5において比較した。サカナーゼは魚ペプチドおよびLeu
−Gly−Gly両者に対してpH10とpH11.5において高い分解
力を示したが、市販プロテアーゼはpH10では弱い分解力
であり、更にpH11.5では微弱な活性しか示さなかった。
次に試験方法を説明する。
(試験方法) 基質として用いた魚ペプチドは、25mMアトキンス−パン
チン緩衝液(pH8.0)に溶解した5%(w/v)魚蛋白質
(試験例1で調製したもの)をサカナーゼから単離した
2500units/mlのAlPで37℃、30分間分解したのち、100℃
で3分間処理して調製した。
供試酵素のLAP活性を100mU/mlになるように加え、0.91
%魚ペプチドあるいは30mM Leu−Gly−Glyを基質とし
て、pH10とpH11.5の100mMアトキンス−パンチン緩衝液
中で37℃、30分間酵素反応させた。反応液に冷水を加え
て反応停止した後、遊離したアミノ酸の量をニンヒドリ
ン法で測定した。試験例の結果を第4表に示した。
【図面の簡単な説明】
第1図はLAP WのLeu−Gly−GlyおよびGlu−Tyr−Glu
に対する至適pHを示す図であり、第2図はLAP Wの安
定pH範囲を示す図であり、第3図はLAP Wの活性至適温
度を示す図であり、第4図はLAP Wの熱安定性を示す
図であり、第5図はEDTAによるLAP W活性阻害のpH依
存性を示す図であり、第6図はサカナーゼのアンバーラ
イトCG−50樹脂吸着画分のDEAE−セファデックスA−50
クロマトグラフィーを示す。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の理化学的性質を有する広域pHに作用
    する新規なロイシンアミノペプチダーゼ。 記 (1) 作 用 ペプチド鎖のN末端から順次アミノ酸を1個ずつ加水分
    解。 (2) 基質特異性 (3) 至適pHおよび安定pH範囲 (4) 作用pHの範囲 基質分解について、至適pHでの酵素活性を100%とした
    とき、約80%以上の相対活性を示すpH域は、Leu−Gly−
    Glyに対して6.0〜11.0、Glu−Tyr−Gluに対して4.6〜7.
    2。 (5) 活性至適温度 Leu−Gly−Glyに対してpH8.0で60℃。 (6) 安定温度範囲 Leu−Gly−Glyに対してpH8.0で60℃以下。 (7) 失活、阻害 エチレンジアミン四酢酸塩によりpH5以下で失活、1mM硫
    酸銅(pH8.0)で活性が30%阻害。 (8) 分子量 57,000〜58,000。
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