JPH0791655B2 - 表面処理方法および装置 - Google Patents

表面処理方法および装置

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JPH0791655B2
JPH0791655B2 JP2202478A JP20247890A JPH0791655B2 JP H0791655 B2 JPH0791655 B2 JP H0791655B2 JP 2202478 A JP2202478 A JP 2202478A JP 20247890 A JP20247890 A JP 20247890A JP H0791655 B2 JPH0791655 B2 JP H0791655B2
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power
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敦 関口
仁志 神馬
浩 荒川
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日電アネルバ株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、プラズマを利用して薄膜作製やエッチン
グ、表面クリーニング、表面改質などを行う表面処理方
法および装置に関する。
[従来の技術] 気体を光化学反応または活性種を用いる反応により活性
化し、基体表面に目的とする物質を堆積させて薄膜化し
たり、エッチング、表面改質等の処理を行ったりする方
法は、処理が低温で可能であること、光化学的選択性ま
たは活性種による選択性により従来にない処理が可能に
なること、などから近年急速な進展を見せている。
ここで活性種とは、遊離種(ラジカル)、励起種、荷電
粒子(電子やイオン)、または、これらの混合物をいう
ものとする。
プラズマによって成膜を行う従来の技術の多くは、基体
がプラズマに直接接触するので、プラズマ中の有害な不
純物や荷電粒子が基体に衝突して損傷を与えたり、基体
に不純物を混入させたりする。これにより、例えば、基
体上に作られた半導体デバイスの電気的特性を劣化させ
る。このような劣化は、MOS型半導体デバイスにおいて
はVthの変動、バイポーラ型半導体においてはhfeの変動
として強く現れる。半導体デバイスの集積度が極めて高
いものになると、微少の荷電粒子の衝撃等によっても電
気的特性の著しい劣化を招くことになる。したがって、
不純物の少ない活性種を使用したり、衝撃のない光を利
用したりする無損傷プロセスの開発が特に望まれてい
る。
一方、刃物、バイト等の硬化を目的とした表面処理にお
いては、ダイヤモンドライク膜やBN膜の作製を高速で行
う必要がある。したがって、遊離種、励起種、イオン等
の活性種の濃度が高い場所に基体を設置して、高速な表
面処理を行う装置の開発が望まれている。
これらの無損傷プロセスや高速表面処理プロセスに関し
ては、特開昭61−222534号、特開昭62−227089号、特開
平2−14801号に記述されている。これらの文献の技術
を用いると、極めて良質な表面処理を行うことが可能で
ある。特に、特開昭61−222534号の装置は、J.Vac.Sci.
Technol.A4(3)(1986),p.475−479に記載されてい
るように、半導体デバイス用薄膜作製装置として重要で
ある。また、特開平2−14801号の方法によると、低圧
高温プラズマを用いることによって有効に酸化物超電導
体を酸化でき、このようにバルクの表面を処理すること
により酸素をバルク内部に侵入させて良好な超電導特性
を得ることができる。
ところで、上記の3件の出願公開公報においては、『LT
E放電』、『LTEプラズマ』の用語が出てくるが、これ
は、この明細書の『低圧高温プラズマ』に相当する。
[発明が解決しようとする課題] 上述した従来の表面処理方法においては、大電力の交流
電源および電力供給系が必要である。したがって、装置
が大型化し、装置の製造コストが高くなり、大電力の伝
送損失があり、また、動作時の消費電力も多くなる。さ
らに、電力投入部の部品の消耗も大きく、メンテナンス
に要する時間が長くなり、その経費も高くなる。また、
表面処理装置の電力密度を上げるために放電管径を小さ
くすると、『真空』第31巻、第4号(1988),p.271に記
述されるような特性となって、大電力を注入しないと低
圧高温プラズマを発生できない。
この発明は、このような欠点を解消するもので、その目
的は、表面処理に有用で強力な放射光や活性種を、低電
力で安定して発生させ、良質で有効な表面処理を行うこ
とができる表面処理方法および装置を提供することであ
る。
[課題を解決するための手段] 第1の発明は、交流電力を印加した空間に所定の気体を
導入して低圧高温プラズマを発生させ、この低圧高温プ
ラズマにより生じる放射光と活性種の少なくとも一方を
被処理基体の表面に導いて被処理基体の表面を処理する
表面処理方法において、 放電用の空間として、第1の放電空間と、これに連通す
る第2の放電空間とを設けて、前記第1の放電空間の断
面積を前記第2の放電空間の断面積より小さく形成し、
前記第1の放電空間の前記第2の放電空間に隣接した位
置に前記交流電力を印加することを特徴としている。
第2の発明は、被処理基体を収容する処理室と、低圧高
温プラズマを発生させるための放電用空間を有する放電
室と、この放電室に交流電力を印加する交流電源と、前
記放電用空間に所定の気体を導入する気体導入手段とを
有し、前記低圧高温プラズマにより生じる放射光と活性
種の少なくとも一方を前記被処理気体の表面に導いて被
処理基体の表面を処理する表面処理装置において、 前記放電室は、第1の放電室と、この第1の放電室と前
記処理室とをつなぐ第2の放電室とからなり、前記第1
の放電室の断面積は前記第2の放電室の断面積より小さ
く形成され、前記交流電力は、前記第1の放電室の前記
第2の放電室に隣接した空間に印加されることを特徴と
している。
[作用] 従来の技術を考えると、広い空間に交流電力を印加すれ
ば、小さい交流電力でも低圧高温プラズマを発生させる
ことができる。ただし、プラズマの密度が薄くなる。反
対に、狭い空間に交流電力を印加すると、プラズマの密
度が高く、基体に対する処理能力が高い。ただし、大き
い交流電力を印加しないと低圧高温プラズマが発生しな
い。
換言すれば、広い空間に交流電力を印加すると低圧高温
プラズマはピンチしやすくなり、狭い空間に交流電力を
印加すると低圧高温プラズマはピンチしにくくなる。
この発明では、狭い断面積を有する第1の放電空間と、
広い断面積を有する第2の放電空間を連通させて、第1
の放電空間の第2の放電空間に隣接した位置に交流電力
を印加することにより、広い空間に交流電力を印加する
場合と同様の小さい交流電力で、狭い空間内に低圧高温
プラズマを発生させることができ、プラズマの密度を濃
くすることができる。
[実施例] 次に、図面を参照してこの発明の実施例を説明する。
第1図はこの発明の一実施例に係る表面処理装置の正面
断面図である。この表面処理装置は、低圧高温プラズマ
を発生させる放電室10と、放電室10に接続し、壁21によ
り大気から遮断されている処理室20と、放電室10に高周
波電力(数kHz〜数百MHz)を印加する電源1と、気体導
入手段と、処理室20内に設置された基体ホルダー32とを
備えている。放電室10は、内径12mmの円筒形状の第1の
放電室101と、その下の第2の放電室102からなる。第2
の放電室102は、内径30mmの円筒部分102bと、この円筒
部分102bと第1の放電室101とを接続するテーパ部分102
aとからなる。したがって、放電空間15は、第1の放電
室101の内部の第1の放電空間16と、第2の放電室102の
内部の第2の放電空間17とから構成されている。基体ホ
ルダー32には基体31を加熱するためのヒーター33を設け
ている。
第1の放電室101と第2の放電室102は絶縁物で作られて
いる。放電室の材料としては、例えば、石英ガラス、サ
ファイア、セラミックス(Al2O3、SiN、SiC、AlN、PB
N、BN等)がある。石英ガラスを用いた場合は、放電プ
ラズマの高温化によって石英ガラスが溶融する恐れがあ
るので、放電室を石英ガラスの二重管とし、内外の管の
間に冷却水を流すことができる。他の材料を用いた場合
においても、同様な理由で空冷や水冷を行うことがあ
る。石英ガラスで放電室を作る場合は、第1の放電室10
1と第2の放電室102とを溶着して作る。Al2O3やSiN等の
セラミックスで作る場合は、放電室全体の形状の型を作
って焼結で形成する。
第1の放電管101の、第2の放電管102に隣接する部分に
はコイル3を巻いてある。コイル3には電源1を接続し
てあり、スイッチ2よりコイル3の一方の端を選択して
接地することができる。コイル3の代わりに一対の板状
電極を第1の放電室101を挟むように設置して、容量結
合された放電空間を作ってもよい。また、マイクロ波領
域(GHzオーダー)の高周波電力を用いる場合は、コイ
ル3の代わりに、マイクロ波キャビティを第1の放電室
101を取り囲むように設置する。このときは空洞共振の
放電空間となる。
次に、この表面処理装置の使用方法について説明する。
初めに真空排気系(図示せず)によりバルブ34を介して
処理室20内を排気する。次に放電用ガスを矢印13方向か
らバルブ12を介して第1の放電室101の内部へ導入す
る。真空排気系により処理室20内を所定の圧力にする。
そして、第1の放電室101の外部に設けたコイル3に電
源1により高周波電力を印加する。すると、高周波誘導
結合により第1の放電空間16において低圧高温プラズマ
5が生じる。低圧高温プラズマから発生した活性種を矢
印41方向から、また、放射光を矢印42方向から第2の放
電空間17を通して処理室20内へ導入する。この活性種や
放射光により、基体ホルダー32に設置した基体31の表面
処理を行う。必要に応じて反応ガスを矢印25方向からバ
ルブ24を介してガス導入リング22の小孔23を通して処理
室20内へ導入してもよい。
次に、低圧高温プラズマの発生条件と維持条件について
述べる。この実施例の装置では、印加する高周波電力を
大きくしていくにしたがって先ず高周波グロー放電を生
ずる。さらに大きな電力を加えると、プラズマからの発
光が飛躍的に増大して低圧高温プラズマの発生が観測さ
れる。(このような状態を示す適当な学術用語は存在し
ないので、この明細書では、この状態のプラズマを「低
圧高温プラズマ」と呼ぶことにする。なお、従来技術の
説明のところで引用した3件の出願公開公報では、LTE
プラズマと呼んでいたが、この用語は学術的に誤解を受
けやすいので、この明細書では低圧高温プラズマと呼ぶ
ことにしたものであり、同じものを指している。)低圧
高温プラズマの発生は、多くの場合、ヒステリシス的で
ある。低圧高温プラズマは非常に輝度が高く、多くの場
合、通常のグロー放電とは違ったスペクトルパターンを
示す。例えば、導入ガスを水素とした場合は、通常のグ
ロー放電あるいは高周波グロー放電のときには、先ず水
素分子に起因する可視領域から紫外領域に達する連続ス
ペクトルが存在し、これに加えた形で、水素原子に起因
するバルマー系列およびライマン系列の発光を観測する
ことができる。しかし、このときのこれらの系列の発光
は比較的弱く、そのために放射光の色は白紫色となって
いる。
ところが、低圧高温プラズマを生じたときは、放射光の
色は目視では輝度の非常に高い赤色となっていて、それ
は、水素原子の発光のバルマー系の輝度が非常に高くな
ったせいである。同時に、可視領域にないために直接目
には見えないが、ライマン系列の輝度も非常に高くなっ
ているのが測定で確認できる。この輝度の高まる様子を
第2図に示す。縦軸は発光強度であり、横軸は注入電力
である。Aは低圧高温プラズマの発生電力を、Bは維持
電力を表す。低圧高温プラズマの発生電力とは、電力を
高めていったときに低圧高温プラズマが発生を開始する
電力を指し、維持電力とは、低圧高温プラズマが発生し
ている状態で電力を下げていって低圧高温プラズマが消
失する電力を指す。
低圧高温プラズマを発生させたときの輝度の高い発光の
波長は、プラズマ発生に用いた気体の種類によって異な
る。この特有の発光は低圧高温プラズマの大きな特徴の
一つである。
ライマンα光は121.6nmの波長を持っており、周知のよ
うにこの波長を用いるときはシラン、ジシランの直接分
解が可能である。その上、この光の場合は、MgF2、LiF
等の光学透過材料およびMgF2コーティングのAlリフレク
ターが使用できる長所もあり、光学系を組むことが極め
て容易になって非常に有用である。これまでは、このラ
イマンα光の高輝度のものを取り出すことのできる良い
光源がなかったために、この波長光はあまり利用されて
いなかったものである。上記した低圧高温プラズマの光
は、この意味で光源として重要である。
なお、上記の導入ガスとしては水素のほかに窒素、アル
ゴン、ヘリウム、水銀などの気体およびこれらの混合気
体も有用で、高輝度の有用光を放射する低圧高温プラズ
マを生ずる。
上記の導入ガスが水素の場合には、低圧高温プラズマ内
には、通常の高周波グロー放電と比較して極めて多量の
水素原子および水素分子の励起状態、水素ラジカル、イ
オンなどの活性種の存在するのが発光分光分析で確認で
きる。低圧高温プラズマで多量の活性種の生まれること
は、他のガス、例えば窒素の場合も同じであって、その
低圧高温プラズマは短波長光の輝度が高く、そのスペク
トルは、窒素原子からの発光に属することから、低圧高
温プラズマの内部に活性種、特に、窒素ラジカルが多く
含まれることが明らかである(参考文献:J.Vac.Sci.Tec
hnol.A4(3)(1986),p.475−479)。
なお、水素や窒素のみならず酸素やその他のガスについ
ても同様な結果が得られる。高周波グロー放電と高周波
低圧高温プラズマ放電とを比較すると、両者の間には、
次の(a)〜(d)に示すような違いがあり、これらの
特徴のうちの一つか二つを欠いた場合でもその他の特徴
から両者をはっきりと区別できる。
(a)高周波グロー放電は発光部が広がる傾向があり、
これに対して、高周波低圧高温プラズマ放電では、逆に
発光部が局所に集まる傾向がある。
(b)高周波グロー放電の発光と高周波低圧高温プラズ
マ放電の発光とは、それぞれのスペクトルパターンが異
なっている。このスペクトルの相違によっても、両放電
状態では、電子状態に相違があることがわかる。ガスが
多原子分子の場合には、高周波低圧高温プラズマ放電で
は、高周波グロー放電では見られなかった振動および回
転モードの励起がしばしば観測される。
(c)高周波グロー放電状態と高周波低圧高温プラズマ
放電状態とは、前述したように、放電電力または放電電
圧を変化させていった場合、しばしばヒステリシスルー
プを描いて互いに他に遷移し、放電インピーダンスは両
放電間で大きく異なる。この遷移は電源から放電室に投
入される放電電力の強度に最も大きく依存する。これに
関してはさらに後述する。
(d)高周波低圧高温プラズマ放電は高周波グロー放電
に比べて非常に輝度が高い。その差は格段である。
ところで、上述の(c)で示したヒステリシスの特徴に
ついては、放電条件によっては、しばしば消失する。
例えば、ヘリウムのようなガスの場合は、放電インピー
ダンスがヒステリシス的に変化せず、そのインピーダン
スのみからは高周波グロー放電と高周波低圧高温プラズ
マ放電との間の移行を判別しにくい。しかし、高周波低
圧高温プラズマ放電状態になると高輝度のプラズマが局
在化されるのが認められ、目視によって両放電を識別す
ることができる。
また、放電室の大きさによってもヒステリシスが消失す
ることがある。この現象は同じ窒素の放電であっても圧
力領域により異なるが、放電室の内径が約8cm以上では
ヒステリシス特性が消失する。このようにヘリウムや窒
素等でヒステリシスが消失した場合においても、他の特
徴によって高周波グロー放電状態と高周波低圧高温プラ
ズマ放電状態との区別は容易につく。
ヒステリシスが消失する例として、窒素分子のC3Πu−
B3Πg遷移に起因する337.1nm光の発光強度の電力によ
る変化を第3図に示す。縦軸は発光強度であり、横軸は
注入電力である。この場合は、発生電力Aと維持電力B
が同じであり、第2図と比較して第3図には明確なヒス
テリシスが存在しない。しかし、低圧高温プラズマによ
り発光強度が増大し、両状態の区別は明確である(参考
文献:第26回真空に関する連合講演会講演予稿集p.74−
75)。
ちなみに、窒素分子の発光強度の曲線は第3図に示す通
り上に凸の変化を示すが、窒素原子の発光は下に凸の変
化を示す。
さらに、放電室10の形状、特に、第1の放電空間16と第
2の放電空間17との接続部の形状により、ヒステリシス
が消失することがある。
第4図に高周波グロー放電と低圧高温プラズマ放電との
遷移領域の電力依存特性を示す。縦軸は注入電力であ
り、横軸は放電室の内径である。実験時の放電室の圧力
は93Paである。曲線A1は、従来の内径12mmの円筒形状の
放電室を用いた場合の低圧高温プラズマの発生電力を示
している。曲線B1は、同じ従来の放電室を用いた場合の
低圧高温プラズマの維持電力を示している。また、曲線
A2は第1図の実施例と同様に狭い放電空間に広い放電空
間を隣接した場合の低圧高温プラズマの発生電力を示し
ている。この場合、第4図における放電室の内径として
は狭い放電空間の内径の値を採用している。曲線B2は曲
線A2の場合と同じ放電室を用いた場合の低圧高温プラズ
マの維持電力を示している。
低圧高温プラズマの発生電力と維持電力を求めるには、
放電室の内径を一定にしたときの注入電力と発光強度と
の関係を示すグラフを求めて、そのヒステリシス曲線を
描けばよい。例えば、第5図は、従来の内径12mmの円筒
形状の放電室を用いた場合の、注入電力と発光強度との
関係を示すグラフである。このグラフのヒステリシス曲
線から、発生電力A10と維持電力B10が求まる。これと同
様の実験を放電室の各内径について行い、その結果をプ
ロットしたものが、第4図の曲線A1とB1である。第4図
では、内径12mmのときの発生電力A10と維持電力B10を黒
丸で示してある。
同様に、第6図は、第1図の装置の放電室10を用いた場
合の注入電力と発光強度との関係を示すグラフである。
このグラフのヒステリシス曲線から、発生電力A20と維
持電力B20が求まる。これと同様の実験を、第1図の放
電室と相似形状の放電室について寸法を変えて行い、そ
の結果をプロットしたものが、第4図の曲線A2とB2であ
る。第4図では、内径12mmのときの発生電力A20と維持
電力B20を黒丸で示してある。
第4図のグラフから分かるように、従来の放電室を用い
た場合に比べて、第1図の形状の放電室を用いた場合
は、半分以下の注入電力で低圧高温プラズマを発生、維
持できる。第1図の装置(狭い空間が内径12mm、広い空
間が内径30mm)の発生電力A20と維持電力B20の値は、単
純な円筒形の従来形の放電室の場合と比較すると、内径
12mmの単純円筒形の発生電力A10および維持電力B10より
も、内径30mmの単純円筒形の発生電力A11および維持電
力B11に、むしろ近い。すなわち、第1図の装置では、
放電の集中する箇所は狭い放電空間16であるにもかかわ
らず、低圧高温プラズマを発生、維持するための電力は
広い放電空間17の特性に近くなる。換言すれば、小さな
注入電力で、密度の濃いプラズマを得ることが可能にな
る。
ここで、重要な点は電力密度にある。同じ注入電力を用
いたとすると、内径30mmの放電室を用いるよりも内径12
mmの放電室を用いる方が電力密度が一桁程度高くなる。
この電力密度は、基体の処理プロセスにおいて最も重要
な発光強度および活性種の濃度に直接関係する。従来の
放電室では電力密度を上げるために管径を細くすると、
低圧高温プラズマ発生電力は、急速に増大し、大電力の
電源を用いなくては低圧高温プラズマを発生できない。
しかし、この発明の放電室を用いると低電力で高い電力
密度を実現できる。
第1図の実施例では第1の放電室の内径が12mmで第2の
放電室の内径が30mmとなっているので、第1の放電室の
断面積と第2の放電室の断面積との比は、4:25となって
いる。実験によれば、この比率が小さくなっていくと
(すなわち、両者の断面積が接近してくると)、低電力
で高い電力密度を表現する、という本発明の効果が期待
できなくなってくる。これに対して、この断面積の比率
が上記の値より大きくなっていく場合は、本発明の効果
が維持される。
第1図の装置では、第1の放電空間15に低圧高温プラズ
マ5が発生しているのに対して、第2の放電空間17には
低圧高温プラズマが発生していないので、空間17を放電
空間と呼ぶのを奇異に思うかもしれない。しかし、実際
は、低圧高温プラズマ5の周囲にはグロー放電が存在し
ていて、このグロー放電が第2の放電空間17に入り込ん
でいる。そして、この放電空間17は放電状態を決定して
いる一つの要因になっている。したがって、空間17も放
電空間の一部として取り扱っている。
次に、第1図の装置を用いて基体の表面処理を行う各種
の具体例を示す。
半導体デバイス、センサー、超電導体デバイス等の配線
間の絶縁膜として、SiO2膜をしばしば用いている。この
SiO2膜の作製方法としてテトラエトキシシラン(別名テ
トラエチルオルソシリケート、以下、TEOSと呼ぶ)を酸
化する方法が近年注目されている。その理由は、配線の
段差部の被覆性が良好であることによる。このTEOSを酸
化する方法として、酸素O2を用いる場合は、基体の温度
を約600℃以上にしないとSiO2は有効に堆積しない。オ
ゾンO3を用いると、基体の温度を400℃まで低下させる
ことが可能であるが、堆積速度が2000オングストローム
/minと低い。さらに、膜中に有害な多量の「−OH基」が
生じる(このことは、赤外吸収スペクトルの観察により
確認できる)。
この実施例では、放電用ガスとして酸素180sccmを矢印1
3方向から導入し、反応ガスとして、アルゴン20sccmでT
EOSを65℃でバブリングした混合ガスを矢印25方向から
導入する。処理室20の内部の圧力を1Torrにし、シリコ
ンウエハの基体31を400℃に加熱し、13.56MHz、2.5kWの
高周波電力をコイル3に印加する。そして、発生した低
圧高温プラズマ5により酸素の活性種を作成して、TEOS
を酸化させる。その結果、基体31の表面に1μm/min以
上の高速でSiO2膜を作製することができた。この膜の赤
外吸収スペクトルを取ると、O3を用いて酸化した場合と
異なり、3000〜3700cm-1のところにあるSi−OHの吸収が
まったく観測されなかった。また、1075cm-1付近のSi−
Oピークの半値幅は、高温プロセスで作製したSiO2膜と
同様にシャープであった。つまり、SiO2の結合のしっか
りした膜であることがわかった。以上のように、従来の
装置では得られなかった良好な膜を低電力で作製でき
た。
また、別の例としては、放電用ガスとしてアンモニア10
0sccを矢印13方向から導入し、反応ガスとして、アルゴ
ン20sccmで鉄の有機金属化合物をバブリングした混合ガ
スを矢印25方向から導入する。処理室20の内部の圧力を
0.7Torrにし、シリコンウエハの基体31を50℃に加熱
し、13.56MHz、2.5kWの高周波電力を印加する。する
と、アンモニアが低圧高温プラズマにより分解し、原子
状の窒素と原子状の水素が多量に発生する。鉄系のガス
と反応する時点で原子状かどうかは不明であるが、この
窒素は強い活性種状態で鉄系のガスと反応し、鉄を有効
的に窒化する。また、水素は有機物を活性水素に還元し
て、有機物が窒化鉄内に残るのを防止している。その結
果、炭素含有量の少ない良質な、強磁性体の窒化鉄を作
製できた。
次に、第1図の装置における付加的な効果について説明
する。その一つとしては、低圧高温プラズマから生じた
放射光の照射面積が従来よりも広がったことである。従
来の装置においては放電室は内径約12mmのストレートの
円筒管であるが、この場合、放射光の照射可能な範囲は
基体上の半径約6mmの範囲であり、有効な照射範囲は半
径5mmの範囲であった。これに対して、第1図の装置に
おいては、有効な照射範囲は基体上の半径25mmの範囲に
なった。
なお、特開昭61−222534号、特開昭62−227089号、特開
昭63−166971号、特開平2−14801号に記述されている
装置においても、第1図に示すような形状の放電室を利
用すれば、低電力で同様な表面処理が可能である。
第1図の装置では、酸化物超電導体の作製プロセスや後
処理工程においても、小電力で、良好な超電導物質を得
ることが可能となった。後処理工程の場合には、反応ガ
スやガス導入リング22は不要となる。また、作製プロセ
スの場合には、処理室20は、蒸着やスパッタリング等の
他の成膜方法を併用した堆積室となる。
第1図の装置で行う別の処理方法としては次のものがあ
る。すなわち、矢印13方向から放電ガスとともに粉体を
導入できる。例えば、アルゴン10slmと、酸素300sccm
と、YBa2Cu3O7-Xの1μm以下の粉末とを用いると、基
体31の表面に超電導体膜を作製することができる。ま
た、水素100sccmと、Alの1μm以下の粉末とを用いる
と、基体31の表面にAl膜を作製することができる。
以上説明した実施例では、第1の放電室101と第2の放
電室102の断面形状は円形であったが、これ以外の断面
形状、例えば矩形であっても構わない。
第7図は、放電室の形状の各種の変更例を示す模式的な
正面断面図である。
第7図(a)は、第1図の装置を模式的に示したもので
あり、放電空間は、第1の放電空間16aと第2の放電空
間17aとからなる。そして、第1の放電空間16aの、第2
の放電空間17aに隣接する部分に低圧高温プラズマ5を
発生させている。第2の放電空間17aの上部にはテーパ
がついている。
第7図(b)は、第1の放電空間16bと第2の放電空間1
7bとの接続部分を段差形状にしたものである。このよう
な放電空間形状にしても、第7図(a)と同様の効果が
得られる。さらに、第7図(c)は、第1の放電空間16
cと第2の放電空間17cとの接続部分を段差形状にして、
かつ、第2の放電空間17cの断面積を大きくしたもので
ある。
第7図(d)は、第1の放電空間16dの下側がすぐに処
理室20dになっているものである。さらに、第7図
(e)は、第1の放電空間16eの下側がすぐに処理室20e
になっていて、かつ、処理室20eの上部にテーパがつい
ているものである。これらの実施例では、処理室の上部
空間が第2の放電空間を兼ねている。なお、これらの実
施では、低圧高温プラズマ5を発生させるために処理室
に近接してコイルを配置する必要がある。この場合、処
理室が接地電位になっていると異常放電を生じやすい。
そこで、このような放電室構成にする場合には、処理室
の少なくとも上部は絶縁材料で形成するのが好ましい。
第7図(a)〜(e)に共通して言えることは、狭い放
電空間が広い放電空間に接していて、かつ、狭い放電空
間の広い放電空間に隣接した部分に低圧高温プラズマを
発生させていることである。これにより、小さい交流電
力でも狭い空間内に低圧高温プラズマを発生させること
が可能となっている。
[発明の効果] この発明では、狭い断面積を有する第1の放電空間と、
広い断面積を有する第2の放電空間を連通させて、第1
の放電空間の第2の放電空間に隣接した位置に交流電力
を印加することにより、広い空間に交流電力を印加する
場合と同様の小さい交流電力で狭い空間内に低圧高温プ
ラズマを発生させることができる。これにより、低電力
で、高密度のプラズマを発生することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の一実施例の正面断面図、 第2図は水素ガスの発光強度と注入電力の関係を表わす
グラフ、 第3図は窒素分子の発光強度と注入電力の関係を表わす
グラフ、 第4図はグロー放電と低圧高温プラズマとの遷移領域の
電力依存特性を示すグラフ、 第5図は従来の放電室を用いた場合の注入電力と発光強
度の関係を表わすグラフ、 第6図は第1図の放電室を用いた場合の注入電力と発光
強度の関係を表わすグラフ、 第7図(a)〜(e)は放電室の各種の変更例を模式的
に示す正面断面図である。 5……低圧高温プラズマ 10……放電室 101……第1の放電室 102……第2の放電室 15……放電空間 16……第1の放電空間 17……第2の放電空間 20……処理室 31……基体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 21/31 C

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】交流電力を印加した空間に所定の気体を導
    入して低圧高温プラズマを発生させ、この低圧高温プラ
    ズマにより生じる放射光と活性種の少なくとも一方を被
    処理基体の表面に導いて被処理基体の表面を処理する表
    面処理方法において、 放電用の空間として、第1の放電空間と、これに連通す
    る第2の放電空間とを設けて、前記第1の放電空間の断
    面積を前記第2の放電空間の断面積より小さく形成し、
    前記第1の放電空間の周囲に配置した交流電力印加手段
    を前記第2の放電空間に近接して配置することにより前
    記第1の放電空間の前記第2の放電空間に隣接した位置
    に前記交流電力を印加することを特徴とする表面処理方
    法。
  2. 【請求項2】前記第2の放電空間を、被処理基体を収容
    する処理室としても用いることを特徴とする請求項1記
    載の表面処理方法。
  3. 【請求項3】前記第2の放電空間に処理室を連通させ
    て、この処理室の内部に前記被処理基体を収容すること
    を特徴とする請求項2記載の表面処理方法。
  4. 【請求項4】被処理基体を収容する処理室と、低圧高温
    プラズマを発生させるための放電用空間を有する放電室
    と、この放電室に交流電力を印加する交流電源と、前記
    放電用空間に所定の気体を導入する気体導入手段とを有
    し、前記低圧高温プラズマにより生じる放射光と活性種
    の少なくとも一方を前記被処理基体の表面に導いて被処
    理基体の表面を処理する表面処理装置において、 前記放電室は、第1の放電室と、この第1の放電室と前
    記処理室とをつなぐ第2の放電室とからなり、前記第1
    の放電室の断面積は前記第2の放電室の断面積より小さ
    く形成され、前記第1の放電室の周囲に配置した交流電
    力印加手段を前記第2の放電室に近接して配置すること
    により前記第1の放電室の前記第2の放電室に隣接した
    空間に交流電力が印加されることを特徴とする表面処理
    装置。
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