JPH0788301B2 - 記憶喪失の治療または予防用組成物 - Google Patents

記憶喪失の治療または予防用組成物

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JPH0788301B2
JPH0788301B2 JP63152472A JP15247288A JPH0788301B2 JP H0788301 B2 JPH0788301 B2 JP H0788301B2 JP 63152472 A JP63152472 A JP 63152472A JP 15247288 A JP15247288 A JP 15247288A JP H0788301 B2 JPH0788301 B2 JP H0788301B2
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Description

【発明の詳細な説明】 必須脂肪酸組成物 本発明は必須脂肪酸(EFA)組成物およびこの組成物に
よる疾患の治療に関する。
先の特許出願(英国特許出願第8601915号)は、アルツ
ハイマー痴呆症を含む痴呆症の治療におけるリチウムお
よび/または必須脂肪酸の使用を扱った。
記憶喪失は痴呆症においてばかりでなく、アルコール中
毒、慢性精神分裂症および正常な老化のような多くの他
の状態においても発生する。
本発明者はEFAの補充自体が記憶喪失の治療に有効であ
ることを見出した。
総論 人体中のEFAは、構造および下記のような相互関係を有
するn−6およびn−3EFAとして知られる二つの系列に
ほぼ区分され、二つの系列には共通の酵素が存在するこ
とが信じられている。
これらの酸は天然ではすべてシスー構造である。
n−6系列においては、18:2および18:3(オクタデカ−
ジエンおよびトリエン)酸に対して通俗名のリノール酸
およびγ−リノレン酸(GLA)が与えられ、20:3および2
0:4(エイコサトリエンおよびテトラエン)酸に対して
はジホモ−γ−リノレン酸(DGLA)およびアラキドン酸
(AA)の名称が与えられ、22:4(ドコサテトラエン)酸
に対してはアドレン酸の名称が与えられている。
n−3系列では、γ−リノレン酸(ALA)のみが非組織
的名称として一般に使用されているが、18:4n−3酸に
対してステアリドン酸の名称は存在しない。
組織的名称から導かれたイニシャルもまた使用され、た
とえば20:5(エイコサペンタエン)酸についてEPAが使
用されるが、同一鎖長および同一不飽和度の酸がn−6
およびn−3系列に存在する場合、たとえば22:5酸の場
合には、このイニシャルによる命名は役に立たない。
発明の背景 脳は時にEFAが豊富である。しかしながら、食事中には
起源となるEFA、すなわちリレノン酸およびα−リノレ
ン酸が少量存在するにすぎない。
これらの食事中のEFAはδ−6デサチュラーゼ酵素(D6
D)によって代謝されて、リノール酸からはγ−リノレ
ン酸(GLA)を与え、α−リノレン酸からはステアリド
ン酸18:4n−3を与え、次いで他の代謝産物を与えねば
ならない。
しかしながら、老齢化、アルコール、ストレスによって
生ずる精神分裂、および或る種の栄養素の欠乏は、すべ
てD6D機能の弱化を示すので、GLA、18:4n−3およびこ
れらから形成されたより高級の酸を投与することが、脳
にとって特に有効であるか否かを知ろうとする考えが浮
かんだ。
実験事実 記憶悪化に苦しむことが知られている二つの患者群につ
いて人体研究が行なわれた。これらはアルコール中毒患
者群および慢性的な入院精神分裂症患者の群である。
アルコール中毒患者ではアルコールを取りあげ、月見草
油カプセルまたは偽薬を24週間の間、投与した。
この期間の始めおよび終了時において、標準スターリン
グ(Stirling)記憶テストを実施した。月見草油は、リ
ノール酸ばかりでなくGLAを含むことで植物油の中でも
珍しいので使用した。月見草油を摂取した患者は偽薬を
摂取した患者よりもより大きな程度に記憶が改善され
た。
第1表について 月見草油または偽薬が24週間与えられたアルコール中毒
患者の群におけるスターリング視覚記憶試験による短期
および長期記憶の改善。
夫々の数字は、不正確な回答の%を±の標準偏差で示し
ている。変化の項における+は改善を示し、−は悪化を
示す。
通常の食事中にはリノール酸もGLAも実質的量が含まれ
ていないので、上記の治療効果はGLAに起因すると考え
るのが合理的である。
GLAの代謝産物であるジホモ−γ−リノレン酸(DGL
A)、アラキドン酸(AA)、アドレン酸(AdrA)および2
2:5n−6もまた全て人の脳中に存在するので、同様の治
療効果を示すであろう。
慢性入院精神分裂症患者についての類似した検討におい
ては、月見草の形状でのGLAによって偽薬よりも著しく
大きい程度に記憶が改善された。
標準ウエクスラー(Wechsler)電池記憶試験の結果を第
2表、段階1に示す。精神分裂症の場合には、第1回の
投与が終了した後に、第2回の投与を行なった。
この目的は、α−リノレン酸から形成されたn−3EFAの
寄与の可能性を試験することにあった。
これらの酸の好都合な供給源は、黒スグリ種子油中の1
8:4n−3および魚油からのエイコサペンタエン酸(20:5
n−3)およびドコサヘキサエン酸(22:6n−3、DHA)
を含む。
n−6およびn−3EFAの組合せが、偽薬が投与された群
および有効な治療がほどこされた群の精神分裂症患者の
両群に与えられた。
ウエクスラー試験によって評価された記憶の改善は、n
−6EFAのみによって治療された患者よりもn−3および
n−6EFAの両者で治療された患者の方がより大きかっ
た。
結果を第2表、段階2に示す。
第2表について この表は、月見草油(n−6EFA含有)または偽薬が16週
の間(第1回治療期間)与えられた精神分裂症患者の群
のウエクスラー記憶比率の平均変化を示す。
数字は、基準線からの得点の変化を記憶改善を示す+記
号で示している。
検討の段階2においては、両群共にn−6およびn−3
の両方を含む薬剤が更に16週与えられた。
この結果、更に改善が見られ、数字は再び基準線からの
変化を示している。
第 2 表 第1段階 第2段階 偽薬(n=19) +0.9 +7.6 月見草油(n=12) +6.1 +9.3 本発明 従って本発明は、広義には、下記1および2に在る。
1.GLA、DGLA、AA、アドレン酸および22:5n−6からなる
群、および18:4n−3、20:4n−3、EPA、22:5n−3およ
びDHAからなる群から夫々選ばれたn−6およびn−3EF
Aの夫々の少なくとも1種の投与による記憶を改善する
方法。
各脂肪酸の服用量は1日当り1mg〜100gであり、好まし
くは1日当り10mg〜10gの範囲である。
2.n−6およびn−3EFAが上記服用に適した量に組合わ
されている、記憶改善に使用するための医薬の製造。
EFAの形態と供給源 下記に論ずるように、EFAの誘導体が使用された場合に
は、その量はEFA換算で計量される。
EFAは同化可能な、薬理学的に許容される、かつ生理学
的に等価な誘導体で使用することができ、事実一般には
使用され、本明細書におけるEFAの記載は、請求の範囲
を含めて、上記誘導体の記載を含むと理解されるべきで
ある。
有用な誘導体の確認は、その誘導体が酸自体の人体への
価値のある効果を有するか否かにより行なわれるが、誘
導体の変換は血中または体脂中濃度のガスクロマトグラ
フィー分析、または他の組織の標準的技術、たとえば、
アメリカ合衆国、イリノイ州、チャンペイン(Champain
gn)、アメリカン・オイル・ケミスト・ソサイティ(Am
erican Oil Chemists Society)のパーキンス(Perkin
s)編集、“アナリシス・オブ・リピズ・アンド・リポ
プロティンズ(Analysis of Lipids and Lipoprotein
s)、第23頁記載のペリックら(Peliok et al)の技術
によって直接示される。
EFAの好都合な誘導体には、塩、アミド、グリセリドエ
ステルおよびアルキル(たとえばC1〜C4)エステルを含
むエステル、およびホスホリピドが含まれる。
従って、もしも望むならば、EFAに関する限り、天然ま
たは合成された酸それ自体、または誘導体を、許容され
る薬学的賦形剤と共に組み合わせることによって本発明
において使用するための薬学的組成物を製造することが
できる。
しかしながら、現在においては、酸をこの酸の高い含有
量を有する入手可能な油(以下、本明細書中では単に油
と云う)の形で組成物中に混入するのが便利である。
魚油はn−3EFAの好都合な供給源であり、たとえば特に
ニシン(herring)、サバ、カタクチイワシ、ニシン(p
ilchards)、ニシン(menhaden)、マグロおよびサケの
ような油分に富む魚の魚体油、魚の内臓油、魚肝臓油で
あり、また或る種の菌類および海藻類の産物から導かれ
た油、アザラシのように魚を消費する動物、または鳥か
らの油が挙げられる。
高GLA酸含有量を有する、現在知られている天然産の油
は少ない(DGLAの顕著な量の天然供給源は知られていな
い)。
現在入手可能な、GLAの一つの供給源は、Oenothera bie
nnis L.およびOenothera lamarckianaのような月見草種
の種子であり、この種子から油状抽出物はGLA(約8
%)およびリノール酸(約72%)をそれらのグリセリド
の形状で他のグリセリドと共に含む(%は全脂肪酸をベ
ースにする)。
GLAの他の供給源はBorago officinalisのようなルリジ
サ種であり、エーター当りの現在の収量は低いが、月見
草油よりもγ−リノレン酸のより豊富な供給源である。
発酵によって培養される菌類および他の微生物の最近の
研究によれば、これらもGLAの微生物供給源となること
が期待される。
油は、冷間圧縮、種子を部分的に煮た後のスクリュー加
圧、または溶剤抽出のような慣用的方法の一つによっ
て、種子から抽出される。
この油の代表的試料の分別蒸留によれば、メチルエステ
ルの形における相対的比率は下記の通りである。
パルミテート 6.15 ステアレート 1.6 オレエート 10.15 リノレエート 72.6 γ−リノレネート 8.9 上記した種子油抽出物はそれ自体で用いられ、または、
たとえばもしも望むならば分別蒸留されて脂肪酸主成分
としてγ−リノレン酸およびリノール酸のトリグリセリ
ドを含む、もしも望むならばγ−リノレン酸含有量が大
きな比率である油状組成物が得られる。
種子抽出物は、もしも存在すればDGLAを安定化させる効
果を有すると思われる。
GLAよりも高級なn−6系列の酸については、たとえばD
GLAのように、簡単ではないが合成が可能である。
しかしながら、AAおよび高級な酸は、たとえば副腎皮質
腺からのアドレン酸のように畜殺場から入手可能であ
る。アラキドン酸は肉中にかなりの量が存在する。
パック もしも異ある活性物質の共存から成る組成物が望ましく
ないならば、適切な相対的量に分離した、または部分的
に合併し、部分的に分離した、投与のための提供される
べき物質からなるパックが製造される。そして、かかる
パックの使用は本発明の範囲に属する。
規定食添加物 本発明に関して、主として治療方法および薬学的組成物
について述べたが、EFAは規定食添加物の形で規定食マ
ーガリンまたは他の食品中に混入することもできるが、
その目的とするところは医薬と考えられることが理解さ
れるべきである。
薬品としての提供 本発明に係る組成物は、例えばウイリアムス(William
s)GB−A−1,082,624において詳細に論じられ、そして
これを参考とすることができる好適な薬学的賦形剤と共
に、かついずれの場合も一般的に極めて良く知られてい
る特定の種類の調合薬として経口、非経口投与に好適な
形状が便利である。
従って、たとえば、タブレット、カプセル、摂取可能な
液体または粉末状調合薬が要求に応じて調合される。
加水分解された月見草油および魚油の摂取用溶液は、遊
離酸を溶解させるためにアルブミンを用いて調合され
る。
いずれの服用単位中存在するに活性物質の絶対量は、用
いられるべき投与割合いおよび方法に好適な量を越える
べきではないが、しかし一方では少ない服用数で達成さ
れるべき望ましい投与割合が与えられるように望ましく
は十分であるべきことを理解すべきである。
更に、投与割合いは望ましい厳密な薬学的作用に依存す
る。
実 施 例 以下は人間の記憶喪失の治療または予防に使用するため
の、本発明の特定の実施例である。
1.90mgのGLAおよび20mgの18:4n−3を含む黒スグリ種子
油を500mgカプセルを1日当り6回投与。
2.300mgのエチル−GLAおよび200mgのエチル−EPAを含む
500mgのカプセルを1日当り6回投与。
3.80%月見草油(GLA9%およびリノール酸72%)および
20%魚油(EPA18%およびDHA12%)を含む500mgのカプ
セルを1日当り12回投与。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−185018(JP,A) 特開 昭63−188364(JP,A) 特開 昭61−239847(JP,A) Behaciral and Neur ol Biology Vol.40 N o.2(1984)P.205−212

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】GLA、DGLA、AA、アドレン酸および22:5n−
    6酸から選ばれたn−6必須脂肪酸および18:4n−3、2
    0:4n−3酸、EPA、22:5n−3酸およびDHAから選ばれた
    n−3必須脂肪酸からなる記憶喪失の治療または予防用
    組成物。
  2. 【請求項2】1日当りn−6酸およびn−3酸の1mg〜1
    00gまたはその約数量の投与のために提供される請求項
    1記載の記憶喪失の治療または予防用組成物。
  3. 【請求項3】1日当りn−6酸およびn−3酸の10mg〜
    10gまたはその約数量の投与のために提供される請求項
    1記載の記憶喪失の治療または予防用組成物。
  4. 【請求項4】GLA、DGLA、AA、アドレン酸および22:5n−
    6酸から選ばれたn−6必須脂肪酸および18:4n−3、2
    0:4n−3、EPA、22:5n−3およびDHAから選ばれたn−
    3必須脂肪酸からなり、記憶喪失の治療または予防用医
    薬の製造に用いられる請求項1、2または3記載の記憶
    喪失の治療または予防用組成物。
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