JPH0786384B2 - 油圧式伝動装置 - Google Patents

油圧式伝動装置

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JPH0786384B2
JPH0786384B2 JP61227413A JP22741386A JPH0786384B2 JP H0786384 B2 JPH0786384 B2 JP H0786384B2 JP 61227413 A JP61227413 A JP 61227413A JP 22741386 A JP22741386 A JP 22741386A JP H0786384 B2 JPH0786384 B2 JP H0786384B2
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hydraulic
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▲えい▼一郎 河原
憲一 池尻
光正 古本
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Honda Motor Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 A.発明の目的 (1)産業上の利用分野 本発明は、ポンプシリンダに摺合された多数のポンププ
ランジャとそれらのポンププランジャを受けるポンプ斜
板との間の摺動面にこれを潤滑すべくポンプシリンダ内
の油が供給される油圧ポンプと、モータシリンダに摺合
された多数のモータプランジャとそれらのモータプラン
ジャを受けるモータ斜板との間の摺動面にこれを潤滑す
べくモータシリンダ内の油が供給される油圧モータと
が、油圧閉回路をなして連結され、ポンプシリンダ及び
モータシリンダ間には、油圧ポンプの摺動部を包囲する
と共に前記油圧閉回路から該摺動部に給油される油を流
入させる油密室が画成された形式の油圧式伝動装置に関
する。
(2)従来の技術 従来、斯かる油圧式伝動装置は、例えば特開昭57−7635
7号公報に開示されるように公知である。
(3)発明が解決しようとする課題 ところで上記形式の伝動装置では、加速時に油圧モータ
により駆動される負荷が大きくなったり或いは減速時に
エンジンブレーキ負荷が大きくなると、油圧閉回路内の
高圧側の油圧が大となり、それに応じてモータプランジ
ャのモータ斜板に対する押付力が強くなって該シュー及
び斜板の摺動面の負荷も大きくなるので、摺動面の発熱
量が大となる。そしてこの発熱により、モータ斜板及び
モータシューに焼付けや摩耗等の不都合を生じることが
ある。
そこで斯かる不具合を解消するために、例えば特開昭61
−118566号公報の第8図に開示されるように、油圧モー
タ側のシュー及び斜板の摺動面を包囲する潤滑室を設
け、その潤滑室に補給ポンプから冷却油を圧送すること
が考えられる。ところが上記摺動面の負荷が大きく発熱
量が大の時に十分冷却し得るように補給ポンプのポンプ
容量を大きめに設定すると、その負荷が小さく発熱量も
小さい時に上記摺動面が過冷却となり、該摺動面の温度
が低下し過ぎて油の粘度が増大するため、機械効率を低
下させる不都合がある。
本発明は、斯かる事情に鑑みて提案されたもので、モー
タプランジャ及びモータ斜板間の摺動面の発熱変化に応
じた合理的な冷却及び潤滑を可能にした構造簡単な油圧
式伝動装置を供給することを目的としている。
B.発明の構成 (1)問題点を解決するための手段 上記目的を達成するために本発明によれば、前記形式の
油圧式伝動装置において、モータ斜板及びモータプラン
ジャ間の摺動面を包囲するとともに絞りを介して油タン
クに開放される潤滑室と、前記油密室からの排出油を前
記潤滑室に導く供給油路とを備えることを特徴とする。
(2)作用 加速時やエンジンブレーキ時のようにモータ斜板とモー
タプランジャの摺動面の負荷が大きくなる時には、油圧
ポンプの摺動部からの油の漏洩が多いので、多量の油が
潤滑室に供給され、また同負荷が比較的小さい時には、
油圧ポンプの摺動部からの油の漏洩が少ないので、少量
の油が潤滑室に供給される。これにより、油圧モータの
上記摺動面に対し、負荷の大小による発熱量の変化に応
じた合理的な冷却及び潤滑が行われる。
(3)実施例 以下、図面により本発明を車両用油圧式無段変速機に適
用したときの実施例について説明すると、先ず本発明の
一実施例を示す第1図において、車両用油圧式無段変速
機CVTは、定容量型油圧ポンプPと、可変容量型油圧モ
ータMとが油圧閉回路をなして連結されて成り、2つの
ケース半体1a,1bを結合して成るミッションケース1内
に収容される。
油圧ポンプPは、入力軸2にスプライン3により結合さ
れたポンプシリンダ4と、該ポンプシリンダ4に入力軸
2を囲むように設けられた環状配列の多数のシリンダ孔
5,5…にそれぞれ摺合される多数のポンププランジャ6,6
…とを備える。入力軸2には、図示しないエンジンから
の動力がフライホイール7を介して伝達される。
一方、油圧モータMは、前記油圧ポンプPのポンプシリ
ンダ4を同心に囲繞してそれと相対的に回転し得るよう
に配設されたモータシリンダ8と、該モータシリンダ8
にその回転中心を囲むように設けられた多数のシリンダ
孔9,9…にそれぞれ摺合した多数のモータプランジャ10,
10…とを備える。
モータシリンダ8の軸方向両端には、支軸11,12が同一
軸線上で突設されており、一方の支軸11はニードルベア
リング13を介して一方のケース半体1aの端壁に、また他
方の支軸12はボールベアリング14を介して他方のケース
半体1bの端壁にそれぞれ支承される。
入力軸2は、一方のケース半体1aの端壁を油密に貫通
し、支軸11内に同心に配置される。しかも支軸11の内面
と入力軸2の外面との間には複数のニードルベアリング
15が介装されており、これにより入力軸2およびポンプ
シリンダ4と、支軸11およびモータシリンダ8とは相対
回転可能である。
支軸11は、油圧モータMの出力軸として機能するもので
あり、この支軸11と平行にしてミッションケース1の両
端壁にローラベアリング16およびボールベアリング17を
介して回転自在に支承された副軸18と、前記支軸11との
間には、前,後進歯車装置Gが設けられる。
この前,後進歯車装置Gは、支軸11に固定された一対の
駆動歯車19,20と、一方の駆動歯車19に噛合して副軸18
に回転自在に支承される被動歯車21と、他方の駆動歯車
20に対応して副軸18に回転自在に支承される被動歯車22
と、駆動歯車20および被動歯車22に噛合する中間歯車23
と、両被動歯車21,22の対向部位にそれぞれ一体に設け
られた駆動クラッチ歯輪21a,22a間で副軸18に固定され
た被動クラッチ歯輪24と、被動クラッチ歯輪24および両
駆動クラッチ歯輪21a,22aを択一的に連結するためのク
ラッチ部材25とを有し、クラッチ部材25にはそれを選択
作動せしめるべくシフトフォーク26が係合される。
副軸18には、差動装置Dの入力歯車27に噛合した歯車28
が一体に設けられており、クラッチ部材25の作動に応じ
て差動装置Dが車両の前進方向および後進方向に切換え
て駆動される。
第2図において、モータシリンダ8と、油圧ポンプPの
ポンプシリンダ4との間には、油密室31が画成され、こ
の油密室31内でモータシリンダ8の内側にはポンプシリ
ンダ4の端面に対向するポンプ斜板32が支承される。こ
のポンプ斜板32には、円環状一体のポンプシュー33が摺
接される。
各ポンププランジャ6,6…と、前記ポンプシュー33とは
連接杆44を介して首振自在に連結されており、ポンプシ
ュー33の内周段部にはローラベアリング42を介してモー
タシリンダ8に支承された押え環34が当接されており、
さらに押え環34には、軸方向の移動を許容するとともに
相対回転を阻止すべくスプライン36を介して入力軸2に
結合されたばね保持体35が当接する。またばね保持体35
およびポンプシリンダ4間には入力軸2を囲繞するコイ
ルばね37が介装されており、このコイルばね37のばね力
によりばね保持体35は押え環34を介してポンプシュー33
をポンプ斜板32に向けて弾発的に押圧する。しかもばね
保持体35と押え環34とは球面で接触しており、ばね保持
体35は押え環34に万遍なく接触してコイルばね37の弾発
力を押え環34に伝える。
油密室31は、前記ポンプシュー33、押え環34およびばね
保持体35により、ポンプ斜板32側の第1室31aと、ポン
プイリンダ4側の第2室31bとに区画される。
第1室31aには、ポンプ斜板32とポンプシュー33との摺
動面の内周側が臨んでどり、その摺動面から漏れた潤滑
油が第1室31aに流れ出る。ところで、ポンプ斜板32お
よびポンプシュー33間の潤滑を果すために、ポンプシュ
ー33の前面には環状の油圧ポケット38が設けられてお
り、この油圧ポケット38は、ポンプシュー33、連接杆44
およびポンププランジャ6に穿設された油孔39,40,41を
介して、各ポンププランジャ6およびポンプシリンダ4
間に画成されているポンプ室45に連通される。したがっ
て、ポンプ室45の圧油は、油孔41,40,39を通して油圧ポ
ケット38に供給される。これにより、ポンプシュー33お
よびポンプ斜板32の摺動面が潤滑される。しかもそれと
同時に油圧ポケット38の油圧は、ポンププランジャ6の
突出推力を受けるようにポンプシュー33に圧力を及ぼす
のでポンプシュー33とポンプ斜板32との接触圧力を低減
する。
一方、ポンプ斜板32とポンプシュー33との摺動面の外周
側に臨むようにして、モータシリンダ8、ポンプ斜板3
2、ポンプシュー33およびローラベアリング42により、
前記摺動面を囲繞する円環状の潤滑室43が画成されてお
り、この潤滑室43は第2室31aの一部を構成する。
潤滑室43には、油圧ポケット38内の油圧がポンプシュー
33およびポンプ斜板32間の摺動面を通して絶えず漏洩し
ており、その漏洩油は潤滑室43を満たした後、ローラベ
アリング42を通して第2室31b側に流れる。したがって
潤滑室43には常に新しい潤滑油が保持され、その油によ
ってポンプシュー33およびポンプ斜板32の摺動面をポン
プシュー33の外側からも確実に潤滑することができる。
また、第2室31bには前記潤滑室43からの油の他に、ポ
ンププランジャ6およびシリング孔5の摺動面、ならび
にポンプシリンダ4および分配盤46の摺動面からの漏洩
油が流入する。
ばね保持体35には、第1室31aおよび第2室31b間を連通
する連通路47が穿設される。またモータシリンダ8の支
軸11と入力軸2との間には、第1室31aに通じる第1排
出路48が形成され、この第1排出路48は、第2排出路4
9、圧力制御弁50を介して第3排出路51に接続される。
第3図において、圧力制御弁50は、第2および第3排出
路49,51間の連通、遮断を切換えるための有底円筒状ス
プール弁体52と、そのスプール弁体52を遮断方向に付勢
するばね53とを備える。ミッションケース1におけるケ
ース半体1aの端壁には、入力軸2と平行な有底穴54が穿
設されており、スプール弁体52は有底穴54の閉塞端との
間に油室55を画成して有底穴54に摺合される。また有底
穴54の途中に嵌着された止め環56により有底穴54の開放
端側への移動を規制された支持部材57が有底穴54に挿入
されており、この支持部材57とスプール弁体52との間に
ばね53が介装される。したがってスプール弁体52は油室
55の油圧による開弁方向の力と、ばね53による開弁方向
の力との釣合いにより摺動する。
油室55には、ケース半体1aの端壁に穿設された第2排出
路49が連通される。また有底穴54の途中には、油室55と
の連通、遮断状態をスプール弁体52によって切換えられ
る環状溝58が設けられており、前記端壁に穿設された第
3排出路51が環状溝58に連通される。
したがって、圧力制御弁50は、油室55すなわち油密室31
の油圧がばね53で設定される値よりも大となったときに
開弁し、油密室31の油圧を所定値に調圧する。
ポンプシリンダ4およびポンプシュー33の対向端部に
は、相互に噛合する傘歯車61,62が固設される。これら
の傘歯車61,62は歯数を等しくした同期歯車に形成され
ており、入力軸2とともにポンプシリンダ4が回転する
と、ポンプシュー33が傘歯車61,62を介して同期的に回
転駆動される。これにより、ポンプ斜板32の傾斜面の上
り側を走るポンププランジャ6はポンプ斜板32から連接
杆44を介して吐出行程を与えられ、また、同傾斜面の下
り側を走るポンププランジャ6は吸入行程を与えられ
る。
油圧モータMにおいて、モータシリンダ8に対向する円
環状のモータ斜板63が、同じく円環状の斜板ホルダ64に
嵌着される。この斜板ホルダ64は、その両外側に突出す
る一対のトラニオン軸65を一体に備えており、それらの
トラニオン軸65がミッションケース1に枢支される。し
たがってモータ斜板63は斜板ホルダ64とともにトラニオ
ン軸65の軸線まわりに傾動することができる。
各モータプランジャ10の先端は、モータ斜板63に摺接す
る複数のモータシュー66に首振り自在に連結される。し
かも各モータシュー66のモータ斜板63への摺接状態を保
持するために、各モータシュー66の背面を押える押え板
67が、斜板ホルダ64にボルト68で固着されたリング69に
より回転自在に支持される。各モータシュー66と各モー
タプランジャ10との連結部は、周方向複数位置で押え板
67を貫通するものであり、したがって押え板67はモータ
シュー66とともに回転する。
各モータシュー66は、モータ斜板63に摺接する前面に油
圧ポケット70をそれぞれ備える。一方、各シリンダ孔9
の閉塞端と各モータプランジャ10との間に画成された油
圧室71は、モータプランジャ10およびモータシュー66に
穿設された一連の油孔72,73を介して油圧ポケット70に
連通される。したがって、油圧室71の圧油は、油孔72,7
3を通して油圧ポケット70に供給され、モータプランジ
ャ10の突出推力を受けるようにモータシュー66に圧力を
及ぼす。これによりモータシュー66およびモータ斜板63
間の接触圧力が低減されるとともに、モータシュー66お
よびモータ斜板63の摺動面が潤滑される。
斜板ホルダ64の内周面には、押え板67の内周面に小間隙
を存して対応する円筒状の隔壁体74が嵌着され、この隔
壁体74、斜板ホルダ64および押え板67により、モータシ
ュー66およびモータ斜板63の摺動面を包囲する潤滑室75
が画成される。しかも押え板67まわりの各部の間隙は絞
り75aを形成し、潤滑室75は絞り75aを介して油タンクT
に開放されることになる。
而して、各油圧ポケット70内の圧油は、モータシュー66
およびモータ斜板63の摺動面を通して絶えず漏洩してお
り、漏れた油は潤滑油として潤滑室75を満たした後、押
え板67まわりの絞り75aから漏出する。したがって、潤
滑室75には常に新しい潤滑油が保持され、その油によっ
てモータシュー66およびモータ斜板63の摺動面をモータ
シュー66の外側からも確実に潤滑することができる。
この場合、潤滑室75の圧力が油圧ポケット70の圧力に近
づくと、油圧ポケット70のモータシュー66に対する流体
支承機能が損なわれるので、潤滑室75が大気圧に近い圧
力状態を保ちつつ油を保持するように、油圧ポケット70
からの漏洩油量に応じて押え板67まわりの各部の隙間が
適当に設定される。
斜板ホルダ64のモータ斜板63側内周縁には、潤滑室75に
通じる切欠き76が設けられており、この切欠き76と前記
第3排出路51とは供給油路77を介して接続される。すな
わち供給油路77は、ケース半体1aの端壁に設けられてい
る第3排出路51から、ミッションケース1に支承された
トラニオン軸65および該トラニオン軸65と一体の斜板ホ
ルダ64を経て切欠き76に通じるように配設されるもので
ある。したがて圧力制御弁50により油密室31内の圧力を
一定に保つべく油密室31から流出する油が潤滑室75に供
給される。
ミッションケース1には、斜板ホルダ64すなわちモータ
斜板63を傾動駆動するために、サーボモータ81が設けら
れる。このサーボモータ81は、ミッションケース1に固
定されるサーボシリンダ82と、サーボシリン82内を左側
油室83および右側油室84に区画すべくサーボシリンダ82
に摺合されるサーボピストン85と、サーボピストン85に
一体に設けられて左側油室83側のサーボシリンダ82の端
壁を油密にかつ移動自在に貫通するピストンロッド86
と、サーボピストン85およびピスンロット86に穿設した
弁孔87に先端部が摺合されるとともにサーボシリンダ82
の右側油室84側の端壁を油密にかつ移動自在に貫通する
パイロット弁88とから構成される。
ピストンロット86は、ピン89を介して斜板ホルダ64に連
結される。また左側油室83には、サーボシリンダ82に設
けた油路90が常時連通しており、この油路90から供給さ
れる油圧がサーボピストン85に作用する。サーボピスト
ン85およびピストンロッド86にはパイロット弁88の右動
に応じて右側油室84を弁孔87に連通させる通路91と、パ
イロット弁88の左動に応じて右側油室84を左側油室83に
連通させる通路92とが穿設される。さらに弁孔87は、環
流路93を介して、ミッションケース1内の底部の油タン
クに連通される。
サーボピストン85は、パイロット弁88の左動および右動
に追従するように、油路90から供給される油圧によって
増幅作動し、それにより斜板ホルダ64すなわちモータ斜
板64が図示の最大傾斜位置と、各モータプランジャ10に
対して直角となる直角位置との間で傾動される。この
際、モータ斜板63はモータシリンダ8の回動に伴って各
モータプランジャ10に往復動を与えて膨張、収縮を繰返
させるが、モータプランジャ10のストロークは、モータ
斜板63の傾きに応じて無段階に調節される。
油圧ポンプPおよび油圧モータM間には、分配盤46およ
び分配環97を介して油圧閉回路が形成される。而して入
力軸2でポンプシリンダ4を回転したときに、吐出行程
のポンププランジャ6を収容したシリンダ5のポンプ室
45から吐出される高圧の作動油が膨張行程のモータプラ
ンジャ10を収容したシリンダ孔9の油圧室71に給送され
る。一方、収縮行程のモータプランジャ10を収容したシ
リンダ孔9の油圧室71から排出された作動油は、吸入行
程にあるポンププランジャ6を収容したシリンダ孔5の
ポンプ室45に環流する。この間、吐出行程のプランジャ
10がポンプ斜板32を介してモータシリンダ8に与える反
動トルクと、膨張行程のモータプランジャ10がモータ斜
板63から受ける反動トルクとの和によってモータシリン
ダ8すなわち支軸11が回転駆動される。
この場合、ポンプシリンダ4に対するモータシリンダ8
の変速比は次式によって与えられる。
この式から明らかなように、モータプランジャ10のスト
ロークによって定まる油圧モータMの容量を零から或る
値に変えれば、変速比を1から或る必要な値まで変える
ことができる。
モータシリンダ8は、その軸方向に分割された第1〜第
4部分8a〜8dから構成される。第1部分8aには、前記支
軸11が一体に設けられ、ポンプ斜板32は第1部分8aに設
けられる。また、第2,第3および第4部分8b〜8dにシリ
ンダ孔9が設けられる。第3部分8cは分配盤46を構成す
るものであり、第4部分8dには支軸12が一体に設けられ
る。
第1および第2部分8a,8bは複数のボルト98により結合
される。また第2,第3および第4分分8b〜8dはそれらの
各接合部にノックピン99,100を嵌入して相互に位置決め
した状態で複数のボルト101により一体的に結合され
る。
入力軸2の内端部はニードルベアリング105を介して分
配盤46の中心に支持されており、ポンプシリンダ4はば
ね37により分配盤46に弾発的に摺接される。
ケース半体1bにける端壁の外面側には、ボルト106によ
り、支持板107が固着されており、この支持板107には、
モータシリンダ8の支軸12内に突入する円筒状の固定軸
108が固定的に連結される。この固定軸108の内端には、
分配盤46に摺接する分配環97が偏心的に支持されてお
り、分配環97により、モータシリンダ8の第4部分8dに
設けられている中空部109が内側室110と外側室111とに
区画される。一方、分配盤46には吐出および吸入ポート
112,113が穿設されており、その吐出ポート112により吐
出行程にあるポンププランジャ6のポンプ室45と内側室
110とが連通され、吸入ポート113により吸入行程にある
ポンププランジャ6のポンプ室45と外側室111とが連通
される。また分配盤46には多数の連絡ポート114,114…
が穿設されており、これらの連絡ポート114,114…によ
りモータシリンダ8の各油圧室71が内側室110または外
側室111に連通される。
したがって、ポンプシリンダ4の回転時には、ポンププ
ランジャ6の吐出行程により生成された高圧の作動油を
吐出ポート112から内側室110に流入させ、さらに内側室
110と連通状態にある連絡ポート114を経て膨張行程のモ
ータプランジャ10の油圧室71に流入させてモータプラン
ジャ10に推力を与える。一方、収縮行程のモータプラン
ジャ10により排出される作動油は、外側室111に連通す
る連絡ポート114および吸入ポート113を介して、吸入行
程にあるポンププランジャ6のポンプ室45に環入し、こ
のような作動油の循環により前述のような油圧ポンプP
から油圧モータMへの伝動が行なわれる。
固定軸108の側壁には、内側室110および外側室111間を
連通し得るたとえば2個の短絡ポート115が穿設され、
そられの短絡ポート115を開閉する円筒状のクラッチ弁1
16が固定軸108内に回転自在に嵌合される。このクラッ
チ弁116は、その先端寄り側壁に前記短絡ポート115に対
応した弁孔117を備え、また基端部には図示しないクラ
ッチ制御装置に連なる操作軸118が連結される操作連結
部119が設けられる。
クラッチ弁116を回動操作させて弁孔117を短絡ポート11
5に合致させた全開時にはクラッチ・オフ状態、弁孔117
を短絡ポート115からずらせて全開したときにはクラッ
チ・オン状態、弁孔117および短絡ポート115をわずかに
ずらせて半開状態にしたときには半クラッチ状態が得ら
れる。すなわち、クラッチ・オフ状態では吐出ポート11
2から内側室110に吐出される作動油が短絡ポート115を
通して外側室11および吸入ポート113に直ちに短絡して
油圧モータMが不作動となり、またクラッチ・オン状態
では上記のような作動油の短絡が阻止され、油圧ポンプ
Pから油圧モータMへの作動油の循環作用が生起し、通
常の伝動が行なわれる。
クラッチ弁116には、パイロット弁120により操作される
油圧サーボモータ121が内蔵され、そのサーボピストン1
22の先端部には、クラッチ弁116の内径よりも小径の弁
杆123が設けられる。この弁杆123は内側室110に突入し
ており、その先端には吐出ポート112に対する閉塞弁124
が首振り自在に付設される。而して、サーボピストン12
2の左動により閉塞弁124を分配盤46に密着させれば吐出
ポート112を閉じることができる。この閉塞は、モータ
斜板73を直立状態にして変速比を1とするときに行なう
もので、これによりポンププランジャ6を油圧的にロッ
クしてポンプシリンダ4から各ポンププランジャ6およ
びポンプ斜板32を介してモータシリンダ8を機械的に駆
動することができ、その結果、モータプランジャ10のモ
ータ斜板63に対する推力が消失し、その推力による各部
ベアリングの負荷が取除かれる。
固定軸108および支持板107には内側室110に連通する油
路139と、外側室111に連通する油路140とが穿設され
る。また支持板107には、サーボモータ81に連なる油路9
0に連通した油路141が穿設されるとともに、該油路141
と前記両油路139,140との連通状態を択一的に切換える
切換弁142が配設される。この切換弁142は、両油路139,
140の油圧が高い方を油路141に連通せしめるべく作動す
る。したがって、油圧モータMのモータ斜板63を傾動す
るためのサーボモータ81には、内側室110および外側室1
11の油圧が高い方から油圧が供給されることになる。
両サーボモータ81,121のパイロット弁88,120には、リン
ク127,128の一端が連結されており、リンク127の他端は
図示しない操作手段により回動される回動軸129に連
動、連結される。また回動軸129には、カム130が設けら
れており、リンク128の他端にはカム130に摺接するカム
ホロア131が設けられる。これにより、モータ斜板63を
直立状態にすべくサーボモータ81を作動せしめたとき
に、サーボモータ121が閉塞弁124で吐出ポート112を閉
塞するように作動する。
ケース半体1aにおける端壁の外側には、補給ポンプFが
装備される。この補給ポンプFは、入力軸2により駆動
されるものであり、ミッションケース1内底部の油タン
ク(図示せず)から油を汲み上げて一定圧力の作動油を
生成する。そしてこの補給ポンプFの吐出ポート136は
入力軸2内に設けられた油路137に連通し、油路137は逆
止弁138を介して内側室110に連通するとともに、図示し
ない逆止弁を介して外側室111に連通する。したがっ
て、油圧ポンプPおよび油圧モータM間の油圧閉回路か
ら作動油が漏洩したときに、その漏洩分を補給ポンプF
から自動的に補給することができる。
次にこの実施例の作用について説明すると、ポンプシリ
ンダ4およびモータシリンダ8間に画成された油密室31
内には、ポンプシュー33およびポンプ斜板32の摺動面
と、ポンプシリンダ4および分配盤46の摺動面と、ポン
ププランジャ6およびシリンダ孔5の摺動面とからの漏
洩油が封入され、この封入油によりポンプシュー33およ
びポンプシリンダ4の冷却が行なわれる。
ところで油密室31は、第1室31aと第2室31bとに区画さ
れており、第1室31aにはポンプシュー33およびポンプ
斜板32の摺動面の内周側が臨むのみである。このため、
ポンプシュー33およびポンプ斜板32の摺動面から第1室
31aに漏洩する油は、ポンプシュー33およびポンプ斜板3
2の回転による遠心力の作用によって少なくなる。とこ
ろが、ばね保持体35には第1室31aおよび第2室31b間を
連通する連通路47が設けられており、第1室31aは、第
1排出路48、第2排出路49、圧力制御弁50、第3排出路
51および供給油路77を介して潤滑室75に接続される。
したがって、第2室31bから第1室31aに油を流通させ
て、ポンプシュー33およびポンプ斜板32の摺動面の内周
側を充分に冷却し、摩耗や焼付けが生じることを防止す
ることができる。
しかも負荷が小さいときには、油密室31から流出する油
量は少なく、その少量の油が油圧モータMにおける潤滑
室75に供給される。また負荷が小さいときには、油密室
31から流出する油量は比較的多く、その多量の油が潤滑
室75に供給される。したがって、油圧モータMのモータ
斜板63およびモータシュー66の摺動面において、負荷の
大小による発熱量の変化に応じた冷却および潤滑が可能
となり、焼付や摩耗が生じることを防止することができ
るとともに、機械効率の低下も防止することができる。
第4図は本発明の他の実施例を示すものであり、供給油
路77の途中に冷却器78が設けられる。この冷却器78の容
量は、油密室31から流出する油の温度および流量と、モ
ータ斜板63およびモータシュー66の摺動面の適正温度と
により設定されるものであり、該摺動面の適正温度が低
めの場合に有効である。
第5図は本発明のさらに他の実施例を示すものであり、
第1図の構成に加えて、入力軸2には油密室31と油路13
7とを連通する油路79が穿設される。この実施例によれ
ば、補給ポンプFから吐出される油の一部が油密室31に
導入されるので、潤滑室75に供給する油量を増加させる
ことができる。また油路79の径を調節することにより、
流量の調節を行なうことも可能である。
以上の実施例では、油圧ポンプPの摺動部から漏れた油
をモータ斜板63およびモータシュー66の摺動面を包囲す
る潤滑室75に供給するものについて説明したが、油圧モ
ータMの摺動部から漏れた油をポンプ斜板およびポンプ
シューの摺動面を包囲する潤滑室に供給することも可能
である。
C.発明の効果 以上のように本発明によれば、モータ斜板及びモータプ
ランジャ間の摺動面を包囲するとともに絞りを介して油
タンクに開放される潤滑室と、油圧ポンプの摺動部を包
囲して該摺動部の漏洩油が導かれる油密室からの排出油
を前記潤滑室に導く供給油路とを備えるので、モータ斜
板とモータプランジャ間の摺動面での発熱量が、加速運
転やエンジンブレーキの際の該摺動面の負荷増大に起因
して大きくなっても、その負荷増大に応じた量の漏洩油
を油圧ポンプの摺動部から油密室及び供給油路を経て潤
滑室側へ十分に供給することができ、従って、負荷の大
小による該摺動面での発熱量の変化に応じた合理的な冷
却及び潤滑が可能となり、機械効率低下の原因となる該
摺動面の過冷却が回避される。また上記潤滑室に冷却油
を供給するために専用の供給ポンプを特別に設ける必要
はないから、それだけ構造の簡素化に寄与することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
第1図〜第3図は本発明の一実施例を示すもので、第1
図は本発明を適用した車両用油圧式無段変速機の縦断側
面図、第2図は第1図における油圧ポンプおよび油圧モ
ータの部分拡大図、第3図は第1図のIII部拡大図、第
4図および第5図は本発明の他の実施例をそれぞれ示す
第1図に対応した縦断側面図である。 4……ポンプシリンダ、6……ポンププランジャ、8…
…モータシリンダ、10……モータプランジャ、32……ポ
ンプ斜板、63……モータ斜板、75……潤滑室、75a……
絞り、77……供給油路、M……油圧モータ、P……油圧
ポンプ、T……油タンク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 古本 光正 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (56)参考文献 特開 昭54−134253(JP,A) 特開 昭61−118566(JP,A) 特公 昭45−39569(JP,B1)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポンプシリンダ(4)に摺合された多数の
    ポンププランジャ(6)とそれらのポンププランジャ
    (6)を受けるポンプ斜板(32)との間の摺動面にこれ
    を潤滑すべくポンプシリンダ(4)内の油が供給される
    油圧ポンプ(P)と、モータシリンダ(8)に摺合され
    た多数のモータプランジャ(10)とそれらのモータプラ
    ンジャ(10)を受けるモータ斜板(63)との間の摺動面
    にこれを潤滑すべくモータシリンダ(10)内の油が供給
    される油圧モータ(M)とが、油圧閉回路をなして連結
    され、ポンプシリンダ(4)及びモータシリンダ(8)
    間には、油圧ポンプ(P)の摺動部を包囲すると共に前
    記油圧閉回路から該摺動部に給油される油を流入させる
    油密室(31)が画成された油圧式伝動装置において、前
    記モータ斜板(63)及びモータプランジャ(10)間の摺
    動面を包囲するとともに絞り(75a)を介して油タンク
    (T)に開放される潤滑室(75)と、前記油密室(31)
    からの排出油を前記潤滑室(75)に導く供給油路(77)
    とを備えることを特徴とする油圧式伝動装置。
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