JPH0785806A - カラー陰極線管 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】蛍光面製造工程でのシャドウマスク構体の脱着
を容易にすると共に、外力の印加によってスプリング組
立がパネルピンから脱落するのを防止した構造を有する
カラー陰極線管を提供する。 【構成】内面に蛍光体層９を形成したパネル４と、電子
銃を収容したネックと、パネルとネックとを連接するフ
ァンネルとからなり、サポートフレーム２に固定された
シャドウマスク７，サポートフレームに一端を固定した
スプリング組立１から構成されるシャドウマスク構体を
パネルの内側壁に植設したパネルピン３に形成したパネ
ルピン係合開口を嵌合して支持し、スプリング組立１に
形成したパネルピン係合開口に臨んだ電子銃側、かつパ
ネル内側壁側に、パネルピン係合開口の内周の一部を切
り起こした突起からなるストッパー５を形成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はカラー陰極線管に係り、
特にパネル内壁に着脱可能に支持したシャドウマスク構
体の脱落を防止する支持構造を備えたカラー陰極線管に
関する。

【０００２】

【従来の技術】カラー陰極線管は、内面に蛍光体層を形
成したパネルと、電子銃を収容したネックと、前記パネ
ルとネックとを連接するファンネルとからなる真空外囲
器からなり、パネル内部にはサポートフレームに固定さ
れたシャドウマスクおよび前記サポートフレームに一端
を固定したスプリング組立とから構成されるシャドウマ
スク構体を、前記パネルの内側壁に植設したパネルピン
に前記スプリング組立の他端に形成したパネルピン係合
開口を嵌合して懸架してなる。

【０００３】上記パネルは、真空外囲器として組立てる
前に、その内面に蛍光体層を被着する蛍光面製造工程を
経る。この蛍光面製造工程においては、光吸収マトリク
スや赤，緑，青の３色蛍光体の塗布、露光、現像等の処
理を行うためにパネルからシャドウマスク構体を繰り返
し脱着することが不可欠である。

【０００４】シャドウマスク構体には、そのサポートフ
レームに一端を溶接したスプリング組立を有すると共
に、その他端にパネルピン係合開口を備えてパネルの内
側壁に植設したパネルピンに上記パネルピン係合開口を
嵌合して所定の位置に懸架している。そして、上記した
蛍光面製造工程におけるシャドウマスク構体の脱着は、
パネルの内側壁に植設したパネルピンに係合する上記ス
プリング組立に外力を加えてパネルピンとの嵌合を解除
することで行うようになっている。

【０００５】しかし、上記スプリング組立とパネルピン
との嵌合は、スプリング組立の弾性力によっているた
め、蛍光面製造工程や完成管の搬送時に、大きな外力が
シャドウマスク構体に印加され、当該シャドウマスク構
体がパネル内面方向に移動したり、極端には落下してし
まうという危険性がある。この対策として、上記スプリ
ング構体のスプリング強度を大きくしてスプリング組立
がパネルピンから脱し難くする方法が提案されている。

【０００６】また、他の手段として下記に説明するよう
な構造が提案されている。図７はシャドウマスク構体の
脱落防止機構を備えた従来のカラー陰極線管におけるシ
ャドウマスク構体の懸架構造例を説明する要部断面図で
あって、１はスプリング組立、２はサポートフレーム、
３はパネルピン、４はパネル、７はシャドウマスク、１
０は磁気シールド、１７は脱落防止体である。

【０００７】同図に示したように、サポートフレーム２
にシャドウマスク７および磁気シールド１０が溶接され
ると共に、サポートフレーム２の側壁にスプリング組立
１の一端が溶接固定されてシャドウマスク構体を構成す
る。スプリング組立１の他端にはパネル内側壁に植設さ
れたパネルピン３に嵌合するパネルピン係止開口が形成
されている。そして、上記パネルピン係止開口をパネル
ピン３に嵌合した後、当該パネルピン３の先端部に脱落
防止体１７を嵌め込んで固定し、陰極線管製造ライン状
での搬送時、あるいは完成した後の運送時に不慮の外力
が加わった際にスプリング組立１がパネルピン３から抜
け出てシャドウマスク構体が脱落するのを防止してい
る。

【０００８】なお、この種の従来技術を開示したものと
しては、実開昭６２−１００６６９号公報を挙げること
ができる。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】上記前者の従来技術に
おいては、スプリング組立のスプリング力が強大である
と、その力がシャドウマスクの曲面に影響を与えて色ず
れ等の画質劣化をもたらすと共に、蛍光面製造工程にお
けるシャドウマスク構体の脱着作業が困難になってしま
うという問題がある。

【００１０】また、図７に示した後者の従来技術では、
スプリング組立の脱落は防止されるが、脱落防止体１７
の嵌め込み作業を要するために製造工程が煩雑になり、
部品点数の増加をもたらし、さらに、この脱落防止体１
７が蛍光体形成作業時あるいは陰極線管封着後に外れ落
ちて陰極線管を不良品としてしまうという問題もあっ
た。

【００１１】本発明の目的は、上記従来技術の諸問題を
解消し、蛍光面製造工程でのシャドウマスク構体の脱着
を容易にすると共に、外力の印加によってスプリング組
立がパネルピンから脱落するのを防止した構造を有する
カラー陰極線管を提供することにある。

【００１２】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、内面に蛍光体層を形成したパネルと、電
子銃を収容したネックと、前記パネルとネックとを連接
するファンネルとからなり、サポートフレームに固定さ
れたシャドウマスクおよび前記サポートフレームに一端
を固定したスプリング組立とから構成されるシャドウマ
スク構体を、前記パネルの内側壁に植設したパネルピン
に前記スプリング組立の他端に形成したパネルピン係合
開口を嵌合して支持してなるカラー陰極線管において、
前記スプリング組立の他端に形成したパネルピン係合開
口に臨んだ前記電子銃側、かつパネル内側壁側に、前記
パネルピン係合開口の内周の一部を切り起こした突起か
らなるストッパーを形成したことを特徴とする。

【００１３】なお、上記スプリング組立は、シャドウマ
スク構体とパネルピンの間で管軸に沿った長手方向ある
いは管軸と交差する方向に長手方向を有する単一板形
状、あるいはシャドウマスク構体のシャドウマスクサポ
ートフレームとパネルピンの間で折り返した折り畳みス
プリング板形状、その他各種の既知のスプリング形状か
ら構成されるものにも適用できる。

【００１４】

【作用】スプリング組立の前記他端に形成したパネルピ
ン係合開口には、その開口のプレス成形時に生じるサポ
ートフレーム側に突出するバーリングが形成されてい
る。このパネルピン係合開口の一部には、当該パネルピ
ン係合開口に臨んでパネル内側壁側にプレス成形等によ
りストッパーが形成されている。

【００１５】パネルピンは、上記パネルピン係合開口を
上記ストッパー側からサポートフレーム方向に突き抜け
て嵌合する。このとき、パネルピンの先端部は上記バー
リングに保持された状態で所定位置に固定される。この
ようにシャドウマスク構体を懸架したパネルを、例えば
蛍光体製造工程で、その表示面を下向きにして搬送した
り、作業ステーションに載置する際に衝撃が印加される
と、シャドウマスク構体の重量によってシャドウマスク
構体がパネル内面方向に移動する。そのため、スプリン
グ組立のパネルピン係合開口はパネルピンから外れる方
向に移動しようとするが、ストッパーがパネルピンの側
面に食い込むように作用する。

【００１６】これにより、スプリング組立はパネルピン
に嵌合した状態を保持してシャドウマスク構体が脱落す
るのを防止する。一方、蛍光体層の形成時におけるシャ
ドウマスク構体の脱着時は、上記ストッパーがパネルピ
ンに嵌合していない状態で行われるため作業者の手作業
でも脱着が容易である。

【００１７】なお、一般にこの種の完成陰極線管の搬送
はパネル表面を下向きにして搬送するため、この搬送時
のシャドウマスク構体の脱落も上記と同様に防止され
る。また、上記パネルピン係合開口に形成するストッパ
ーは、上記の位置に限るものではなく、例えば管軸と交
差する方向への外力の印加によるシャドウマスク構体の
脱落も防止したい場合は、上記パネルピン係合開口の管
軸と交差する向きにも上記と同様のストッパーを形成す
ればよい。すなわち、本発明のカラー陰極線管における
上記ストッパーは１つに限らず必要な箇所に必要な数を
設けることができるものである。

【００１８】

【実施例】以下、本発明の実施例につき、図面を参照し
て詳細に説明する。図１は本発明によるカラー陰極線管
の１実施例を説明する要部断面図であって、１はスプリ
ング組立、２はサポートフレーム、３はパネルピン、４
はパネル、５はストッパー、６₁ ，６₂ はバーリング、
７はシャドウマスク、９は蛍光体層、１０は磁気シール
ドである。

【００１９】同図において、パネル４の内面には３色の
蛍光体モザイクからなる蛍光体層９が塗布され、その内
側壁にはパネルピン３が植設されている。シャドウマス
ク構体はサポートフレーム２とこのサポートフレームに
周辺を溶接したシャドウマスク７とスプリング組立１、
および磁気シールド１０から構成される。

【００２０】スプリング組立１はその一端をサポートフ
レーム２の側面に溶接固定され、他端に形成されたパネ
ルピン係止開口を上記パネルピン３に嵌合して蛍光体層
９と所定の間隔でパネル内に懸架される。上記パネルピ
ン係止開口はプレス成形等で抜かれた開口であり、この
開口の周縁のサポートフレーム側にはプレス成形時にバ
ーリング６₁ ，６₂ が形成されていると共に、パネル内
側壁側に上記開口に臨んでプレス成形等で形成されたス
トッパー５をもつ。

【００２１】図２は図１におけるスプリング組立をパネ
ルピン側からみた正面図であって、８はパネルピン係止
開口である。図１，図２に示したように、このスプリン
グ組立１は折り畳みスプリング板形状をなし、その一端
がサポートフレーム２の側壁に×印で示したようにスポ
ット溶接で固定される。そして、他端にパネルピン係止
開口８が形成されている。

【００２２】このパネルピン係止開口８に臨んでストッ
パー５がプレス等で切り起こされてパネル内側壁方向に
突出して設置されている。図３は図１におけるパネルピ
ンとスプリング組立の係合状態を説明する模式図であっ
て、スプリング組立１の上記他端に形成されたパネルピ
ン係止開口にパネルピン３を挿通嵌合させたとき、バー
リング６₁ ，６₂ がパネルピン３の先端部側壁に係止し
て保持されている。

【００２３】図４はシャドウマスク構体がパネル側壁に
対して移動するごとく外力が印加されたときのストッパ
ーの脱落防止作用を説明する模式図である。シャドウマ
スク構体に外力が印加されてスプリング組立１に矢印Ａ
方向に下降する力が加わった時、当該スプリング組立１
は矢印Ｂ方向に移動してパネルピン３から脱落しようと
する。このとき、ストッパー５はパネルピン３の側面に
押し付けられ、スプリング組立１の移動を阻止する。

【００２４】このストッパー５の作用によってスプリン
グ組立１がパネルピン３から抜け落ちることを防止す
る。図５は本発明によるカラー陰極線管の他の実施例を
説明する要部断面図であって、１’は単一板体からなる
スプリング組立、５’はストッパー、８’はパネルピン
係合開口である。

【００２５】この実施例のスプリング組立１は、管軸と
交差する方向に長手方向をもつごとくその一端をシャド
ウマスク組立のサポートフレームに溶接固定し、他端に
パネルピン係合開口８’を形成してなる。そして、上記
パネルピン係合開口８’の一部に、当該パネルピン係止
開口８に臨んでストッパー５がプレス等で切り起こされ
てパネル内側壁方向に突出して設置されている。

【００２６】このスプリング組立１におけるストッパー
５’の作用は、前記実施例と略々同様であるので説明は
省略する。図６は上記図１で説明したスプリング組立を
適用したカラー陰極線管の一例の構造を説明する断面図
であって、前記したように、１はスプリング組立、２は
サポートフレーム、３はパネルピン、４はパネル、７は
シャドウマスク、９は蛍光体層、１０は磁気シールドで
ある。

【００２７】また、１１はファンネル、１２はネック、
１３は電子銃、１４は偏向ヨーク、１５はアノード端
子、１６は電子ビームである。この種のカラー陰極線管
は、パネル４とネック１２およびファンネル１１で真空
外囲器を構成し、ネック１２の内部に３電子ビームを発
射する電子銃１３を収容し、ネックとファンネルとの遷
移部分に偏向ヨーク１４を装架している。

【００２８】電子銃１３から発射された電子ビーム１６
は偏向ヨーク１４水平および垂直に偏向されてパネル内
面に被着された蛍光体層９に射突する。蛍光体層９は３
色の蛍光体モザイクからなり、３本の電子ビームはシャ
ドウマスク７で色選択され所要の発色を形成する。シャ
ドウマスク構体は前記実施例で説明したような懸架機構
によってパネル４の内側壁に懸架される。

【００２９】これにより、完成したカラー陰極線管を搬
送する場合の外力印加によってシャドウマスク構体が脱
落することはない。

【００３０】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
スプリング組立はパネルピンに嵌合した状態を保持して
シャドウマスク構体が脱落するのを防止する。また、蛍
光体層の形成時におけるシャドウマスク構体の脱着時
は、上記ストッパーがパネルピンに嵌合していない状態
で行われるため容易である。

【００３１】なお、一般にこの種の完成陰極線管の搬送
はパネル表面を下向きにして搬送するため、この搬送時
のシャドウマスク構体の脱落も上記と同様に防止され
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明によるカラー陰極線管の１実施例を説明
する要部断面図である。

【図２】本発明によるカラー陰極線管の１実施例を説明
する図１におけるスプリング組立をパネルピン側からみ
た正面図である。

【図３】本発明によるカラー陰極線管の１実施例を説明
する図１におけるパネルピンとスプリング組立の係合状
態を説明する模式図である。

【図４】シャドウマスク構体がパネル側壁に対して移動
するごとく外力が印加されたときのストッパーの作用を
説明する模式図である。

【図５】本発明によるカラー陰極線管の他の実施例を説
明する要部断面図である。

【図６】本発明の実施例で説明したシャドウマスク構体
を適用したカラー陰極線管の一例の構造を説明する断面
図である。

【図７】シャドウマスク構体の脱落防止機構を備えた従
来のカラー陰極線管におけるシャドウマスク構体の懸架
構造例を説明する要部断面図である。

【符号の説明】

１ スプリング組立 ２ サポートフレーム ３ パネルピン ４ パネル ５ ストッパー ６₁ ，６₂ バーリング ７ シャドウマスク ８ パネルピン係止開口 ９ 蛍光体層 １０ 磁気シールド １１ ファンネル １２ ネック １３ 電子銃 １４ 偏向ヨーク １５ アノード端子 １６ 電子ビーム。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】内面に蛍光体層を形成したパネルと、電子
   銃を収容したネックと、前記パネルとネックとを連接す
   るファンネルとからなり、サポートフレームに固定され
   たシャドウマスクおよび前記サポートフレームに一端を
   固定したスプリング組立とから構成されるシャドウマス
   ク構体を、前記パネルの内側壁に植設したパネルピンに
   前記スプリング組立の他端に形成したパネルピン係合開
   口を嵌合して支持してなるカラー陰極線管において、 前記スプリング組立の他端に形成したパネルピン係合開
   口に臨んだ前記電子銃側、かつパネル内側壁側に、前記
   パネルピン係合開口の内周の一部を切り起こした突起か
   らなる前記パネルピンの脱落を防止するストッパーを形
   成したことを特徴とするカラー陰極線管。