JPH0784362B2 - 抗菌組成物 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は抗菌溶液に関する。この抗菌溶液は，特に医療
器具の自動殺菌または消毒に関連する応用が見い出され
ており，そのことについて以下に説明する。しかしなが
ら，本発明は様々な物を自動的にまたは手作業で殺菌お
よび消毒するのに有用である。

（従来の技術） これまで，たいていの医療器具は蒸気オートクレーブで
殺菌されてきた。病院や大きな医療施設では，医療用の
器具は集中殺菌施設に送り込まれ，殺菌室の技術者の監
督下で殺菌が行われていた。医療用器具は，蒸気オート
クレーブ内で高圧の過熱蒸気に曝らされ，減圧され，そ
して冷却されていた。蒸気オートクレーブを用いた場合
には，多くの医療用器具が高温および高圧に耐えられな
いという問題点がある。１〜２時間の殺菌サイクル時間
を必要とするという問題点もある。

オートクレーブの圧力または温度に耐えられない器具
は，一般に，エチレンオキシドガスで殺菌されていた。
これらの器具を殺菌室に入れて密閉した後，この殺菌室
にエチレンオキシドの加圧ガスが導入された。適切な殺
菌サイクル完了後，減圧下で12〜16時間または常圧下で
約72時間脱気することにより，これらの器具から非常に
有毒なエチレンオキシドガスが除去された。エチレンオ
キシド殺菌法の問題点は，殺菌に必要なサイクル時間が
長いことである。また，非常に有毒なエチレンガス系を
取扱う技術者を訓練する必要があるという問題点があ
る。さらに，医療用器具のなかには，エチレンオキシド
ガスで殺菌できないものがあるという問題点もある。

オートクレーブやエチレンオキシドに耐えられない器具
については，液体殺菌システムが利用されてきた。これ
らの器具は，殺菌溶液（例えば，安定な状態にある過酸
化水素またはグルタルアルデヒド）を満たしたバットま
たはタンクに浸漬された。このような液体殺菌は，通
常，手作業で行われていたので，殺菌または消毒が実際
に達成されたかどうかは，技術者の熟練度や注意力に依
存していた。多くの場合，技術者は，抗菌組成物の成分
を混合する必要があった。正しく混合した場合でさえ，
殺菌を確実に行うには，通常,6〜10時間程度の比較的長
い浸漬時間が必要であった。また，多くの液体殺菌シス
テムは，金属部分（特に，黄銅，銅，およびアルミニウ
ム）に対する高い腐食性を有していた。浸漬時間が長い
と，炭素鋼やステンレス鋼でさえ，小さな孔（ピット）
ができたり，鋭利な刀が鋭くなることがあった。

本発明によれば，上記の問題点や他の問題点を解決する
ような新しく改良された抗菌組成物が提供される。

（発明の要旨） 本発明のある局面によれば，以下の成分を含有する抗菌
溶液が提供される：酸化抗菌剤，銅および黄銅に対する
腐食抑制剤，アルミニウムに対する腐食抑制剤，鋼に対
する腐食抑制剤および緩衝剤，そして湿潤剤。水道水を
希釈剤として用いるのであれば，金属イオン封鎖剤も必
要である。

本発明のさらに限定された局面によれば，上記の酸化抗
菌剤は，オゾン，過酢酸，有機過酸化物，過酸化水素，
無機過酸化物，および他の活性酸素放出化合物，塩素，
二酸化塩素，活性塩素放出化合物（例えば，クロラミ
ン），次亜鉛素酸塩，そしてフェノールから実質的にな
る部類から選択される。なかでも,0.005〜1.0％の範囲
の過酢酸が好ましい。

本発明のさらに限定された他の局面によれば，上記の銅
および黄銅に対する腐食抑制剤は，トリアゾール，アゾ
ール，ベンゾエート，および５員環化合物から実質的に
なる部類から選択される。なかでも，トリアゾール（特
に，ベンゾトリアゾールおよびトリルトリアゾール）が
好ましい。

本発明のさらに限定された法の局面によれば，上記のア
ルミニウムおよび鋼に対する腐食抑制剤と，緩衝剤と
は，クロム酸塩，重クロム酸塩，ホウ酸塩，リン酸塩，
モリブデン酸塩，バナジン酸塩，およびタングステン酸
塩から実質的になる部類から選択される。好ましい実施
態様では，特に鋼の腐食を防止し，溶液のpHを実質的に
調節するのに，リン酸塩が好ましい。アルミニウムの腐
食を抑制するには，モリブデン酸塩が好ましい。

本発明のさらに限定された局面によれば，医療用器具を
殺菌する方法が提供される。該方法では，粉末の水溶性
薬剤（銅および黄銅に対する腐食防止剤，腐食防止緩衝
剤，金属イオン封鎖剤，そして湿潤剤を含む）を水に溶
解し，自動殺菌装置の配管中や殺菌すべき医療用器具上
を循環させる。粉末の薬剤を溶解させたこの水に，濃縮
した酸化抗菌剤を希釈し，自動殺菌装置の配管中や医療
器具上を循環させる。そして，医療器具を希釈した抗菌
剤と所定の期間にわたって接触させた後，抗菌溶液を排
出し，医療器具を滅菌水ですすぐ。

この殺菌方法のさらに限定された局面によれば，上記の
薬剤は上で考察した部類から選択される。

本発明の利点は，医療器具などを迅速に殺菌または消毒
する抗菌剤を提供することにある。

本発明の他の利点は，この抗菌剤が腐食を最小限に抑え
て実質的にすべての材料に対して使用し得ることにあ
る。

本発明のさらに他の利点は，この抗菌剤が自動殺菌を容
易にし，操作者の誤りを最小限に抑え得ることにある。

本発明のさらに他の利点は，以下の詳細な説明を読みか
つ理解することによって明らかとなる。

（発明の構成） 第１図および第２図において，希釈剤すなわち水の供給
源10により，水または他の液体薬剤が供給される。殺菌
装置の好ましい実施例においては，該水供給源は，水道
栓または他の配管設備に接続されているある長さの導管
12と，滅菌手段16へ水を選択的に注入および遮断するた
めの調節弁14とを備えている。好ましい実施例では，該
滅菌手段は，バクテリアと同じ大きさ，またはこれによ
り大きい粒子を除去するフィルタである。必要に応じ
て，注入される水の化学的組成を変化させるための水処
理手段を設けてもよい。例えば，水に含まれるカルシウ
ム塩やマグネシウム塩を低減または除去する軟水化カー
トリッジを設けることができる。あるいは，水に様々な
処理を加えてもよい。例えば，湿潤剤，金属イオン封鎖
剤，または以下で考察される他の薬剤を添加することが
できる。

上記のフィルタ（すなわち，滅菌手段は，導管システム
18により，殺菌されるべき品目を収容するためのモジュ
ールまたはコンテナ20に接続される。好ましい実施例で
は，該コンテナは，例えば内視鏡などの殺菌されるべき
品目に対応して形成された取り外し可能なトレイ22によ
り構成されている。蓋24は，弾性ガスケット26により，
下方に位置する該トレイに封着され，これによりコンテ
ナが完成される。必要に応じて，蓋には透明な窓28を設
けることもできる。

導管システム18には，スプレーノズル30およびコンテナ
配給マニホルド32が含まれる。該コンテナ配給マニホル
ドは，殺菌されるべき品目の周囲に水および他の液体を
配給するためのものである。これらの液体は循環させる
ために薬剤受入ウェル34に集められる。排気管36によ
り，コンテナから空気が排気されるので，コンテナは水
または他の殺菌溶液で完全に満たされる。過剰の液体は
排水チェック弁38を介して排水管40へ排水される。

薬剤導入システム42により，腐食抑制剤および抗菌剤が
添加される。好ましくは，抗菌剤より先にまず腐食抑制
剤を添加し，殺菌または消毒されるべき品目上を循環さ
せる。これにより，腐食性の抗菌剤が品目と接触する前
に，腐食の予防がなされる。あるいは，腐食抑制剤およ
び抗菌剤を，両方が同時に品目へ到達するように，同時
に添加してもよい。吸引器44により，アンプル46から酸
化殺菌剤の濃縮液または他の液体が吸引される。好まし
い実施例では，酸化剤は濃い過酢酸である。過酢酸は安
定であり，数ヵ月に及ぶ貯蔵寿命を有する。より具体的
には，操作者は，予め計量された用量の粉末薬剤と，液
体が満たされたアンプルとを有するコンテナを開く。粉
末薬剤はウェル34に入れられる。アンプルは，穿孔さ
れ，吸引器により内部の液体が排水されるような位置に
ある。以下で加しく述べるように，粉末薬剤には,pHを
中性レベルに調整し，鋼の腐食を抑制する緩衝剤（例え
ば，リン酸塩）が含まれている。湿潤剤は，さらに金属
に小さな孔（ピット）ができることを抑制する。アルミ
ニウムに対する腐食抑制剤（例えば，モリブデン酸塩）
はアルミニウムおよび鋼の腐食を抑制する。銅および黄
銅に対する腐食抑制剤（好ましくは，トリアゾール）
は，銅および黄銅の部分を保護する。また，リン酸塩，
モリブデン酸塩，トリアゾール，および湿潤剤が相互作
用し，いずれが１つを欠く場合に比べて良好に，鋼，ア
ルミニウム，銅，および黄銅を保護するような相乗作用
が存在する。脱イオン水ではなく，水道水を希釈溶媒と
して用いる場合には，金属イオン封鎖剤（例えば，ヘキ
サメタリン酸塩）を加えて，水道水中に含まれるカルシ
ウム塩やマグネシウム塩の沈殿を防ぐ。

操作者が蓋を閉じると，システムが水で満たされる。ポ
ンプ50により，水がコンテナ20からウェル34および吸引
器44を介して選択的に排水される。水を再循環させるこ
とによって，粉末薬剤が溶解され，アンプルから殺菌剤
が吸引され，導管系18内を殺菌剤および薬剤が循環す
る。好ましくは，排水チェック弁38および排気チェック
弁52の露出部分全体に沿って溶液が循環するように，排
気管36の長さは非常に短く，その直径はかなり大きくさ
れている。加熱コイル54により溶液の温度が調整され
る。コンテナの内部，ならびに導管系および弁の全露出
表面が殺菌されるまで，再循環を継続する。あるいは，
粉末薬剤が完全に溶解すれば，殺菌剤を所定の期間にわ
たって静止させておいてもよい。

所定の期間にわたる殺菌または消毒が完了した後，殺菌
剤溶液は排水弁56を介して排水され，空気滅菌手段（好
ましくは，バクテリアと同じ大きさ，またはこれより大
きい粒子を除去するフィルタ）を介して無菌の空気が系
内に供給される。そして，充填弁14が開かれ，排水弁56
が閉じられる。これにより，滅菌フィルタ16は無菌すす
ぎ液の供給源となる。該無菌すすぎ液は，導管システム
および弁の殺菌された表面のみに沿って流動するため，
殺菌状態が保証されるということに留意されたい。フィ
ルタから排水管へ至るすべての導管および弁の表面は，
循環している殺菌溶液と充分な期間にわたって接触させ
てあるので，殺菌状態が保証されている。ポンプ50によ
り，無菌すすぎ液は，緩衝化された強力な酸化剤が沈着
する傾向にある塩残留物を洗い流すのに充分な所定の期
間にわたってシステム内を循環させられる。すすぎのサ
イクルが終了すれば，すすぎ液は，排水弁56を開くこと
により排出される。還水弁60を閉じると，ポンプ50は，
液体を排水管40に送出し，システム外に排水するように
機能する。さらに，他の排水管（図示していない）およ
び吸引器またはポンプ（図示していない）が，系の全領
域から液体を除去するために備えられ得る。このような
追加される排水管の正確な位置は，配管システムの屈曲
のしかたや外形に依存する。

好ましい実施例では，アンプルには,35％の過酢酸と，
適当な安定剤とが含まれている。安定剤を加えること
は，満足な貯蔵寿命を与えるのに当該技術分野で周知の
このである。導管システム18の容積に対するアンプルの
容積は，上記の過酢酸が溶液の容量あたり約0.2重量％
に希釈されるように選択される。しかしながら，最終的
には,0.005〜１％の溶液が満足すべき結果を与える。他
の酸化剤も抗菌剤として適切に作用し得る。このような
酸化剤としては，フェノール，オゾン，有機過酸化物，
過酸化水素，無機過酸化物，および他の活性酸素放出化
合物，そして塩素，二酸化塩素，次亜鉛素酸塩，および
他の活性塩素放出化合物（例えば，クロラミン）のよう
な他の酸化剤が挙げられる。選択される抗菌剤およびそ
の濃度，ならびに品目との接触時間は，殺菌または消毒
のいずれを必要とするかい依存して変化する。多くの用
途では，消毒だけが必要とされる。抗菌剤組成物の接触
時間または強さは，適宜に調整し得る。

銅および黄銅に対する腐食抑制剤は，好ましくはベンゾ
トリアゾールおよびトリルトリアゾールである。これら
のトリアゾールは，強力な酸化化合物の存在下で安定で
あるので好まいし。メルカプトベンゾチアゾールも利用
し得る，強力な酸化剤によって酸化または不安定化され
やすい。

アゾール，ベンゾエート，および他の５員環化合物も，
銅および黄銅に対する腐食抑制剤として満足な結果を与
える。

腐食防止緩衝化合物は，好ましくは1.25％（W/V）の最
終濃度を与えるのに充分な量のリン酸塩と,0.011％（W/
V）の最終濃度を与えるのに充分な量のモリブデン酸塩
との混合物である。リン酸塩は0.2〜12％の範囲内が効
果的であり，モリブデン酸塩は0.1〜10％が効果的であ
る。必要に応じて，ホウ酸塩，クロム酸塩，重クロム酸
塩，タングステン酸塩，バナジン酸塩，およびそれらの
組合わせを，鋼およびアルミニウムの腐食を抑制する
（すなわち，通常，中性のpHに調整する）のに適当な濃
度で代用することができる。

硬水中では，リン酸塩がカルシウム塩やマグネシウム塩
を沈殿させて，殺菌中の器具や殺菌システムの所々に被
覆が生じる傾向がある。沈殿を防止するのに適当な金属
イオン封鎖剤（例えば，ヘキサメタリン酸ナトリウム）
が用いられる。もちろん，脱イオン水または軟水を利用
すれば，金属イオン封鎖剤を用いる必要はない。しかし
ながら，利用される可能性のあるあらゆる水に対して広
く適用し得るためには，金属イオン封鎖剤の存在は好ま
しい。

約0.001％（W/V）まで存在する湿潤剤は，器具表面の抗
菌剤による濡れを改良する。湿潤剤は，腐食を低減する
と共に，抗菌効率を解消する抗菌剤の浸透を増大させる
ことも見い出されている。

（実施例） 以下に本発明の実施例について説明する。これらの実施
例は，種々の強力な酸化剤を含む抗菌組成物の腐食抑制
効果を例示するものである。特に，金属の腐食に注目し
て実験を行った： 金属 Ａ 黄銅 Ｂ ステンレス鋼 Ｃ アルミニウム Ｄ 炭素鋼 Ｅ 銅 腐食の程度は次のような記号で表されている： 1. 腐食なし； 2. わずかな腐食； 3. 穏やか腐食； 4. ひどい腐食；および 5. 激しい腐食。

実施例 基本成分 1000ppm 次亜塩素酸リチウム 0.125％ リン酸一ナトリウム 0.8％ １−Ｈ−ベンゾトリアゾール 0.025％ ヘキサメタリン酸ナトリウム pH7.9接触時間 Ａ Ｂ Ｃ Ｄ Ｅ 30分間 １ １ １ １ 90分間 １ １ １ １ 65時間 ２ １ ２ １ 基本成分 2000ppm 過酢酸 0.125％ リン酸一ナトリウム 1.12％ リン酸二ナトリウム 0.08％ １−Ｈ−ベンゾトリアゾール 0.025％ ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.05％ モリブデン酸ナトリウム pH6.4接触時間 Ａ Ｂ Ｃ Ｄ Ｅ 30分間 １ １ １ １ １ 16時間 １ １ １ １ １ 24時間 １ １ １ １ 基本成分 1300pm 次亜塩素酸リチウム 0.6％ リン酸二ナトリウム 0.52％ リン酸一ナトリウム 0.09％ モリブデン酸ナトリウム 0.07％ １−Ｈ−ベンゾトリアゾール 0.045％ ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.009％CO−720^＊ pH7.0接触時間 Ａ Ｂ Ｃ Ｄ Ｅ 30分間 １ １ １ １ １時間 １ １ １ １ 基本成分 500ppm 次亜塩素酸リチウム 1.25％ リン酸一ナトリウム 0.5％ モリブデン酸ナトリウム 0.03％ ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.05％CO−720^＊ 0.08％ １−Ｈ−ベンゾトリアゾール pH6.95接触時間 Ａ Ｂ Ｃ Ｄ Ｅ 30分間 １ １ １ １ 基本成分 500ppm 次亜塩素酸リチウム 1.25％ リン酸一ナトリウム 1.25％ リン酸二ナトリウム 0.5％ モリブデン酸ナトリウム 0.05％ ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.08％ １−Ｈ−ベンゾトリアゾール 0.3％2Al^＊＊ pH6.95接触時間 Ａ Ｂ Ｃ Ｄ Ｅ 30分間 １ １ １ １ 基本成分 1000ppm 次亜塩素酸リチウム 1.25％ リン酸一ナトリウム 1.25％ リン酸二ナトリウム 1.0％ モリブデン酸ナトリウム 0.08％ １−Ｈ−ベンゾトリアゾール pH7.0接触時間 Ａ Ｂ Ｃ Ｄ Ｅ 30分間 １ １ １ １ 24時間 １ １ １ １ 基本成分 1000ppm 次亜塩素酸リチウム pH11.2接触時間 Ａ Ｂ Ｃ Ｄ Ｅ １時間 ３ ３ ５ ５ 基本成分 500ppm 次亜鉛素酸リチウム pH11.0接触時間 Ａ Ｂ Ｃ Ｄ Ｅ １時間 ３ ３ ５ ５ 基本成分 2000ppm 過酢酸 pH2.0接触時間 Ａ Ｂ Ｃ Ｄ Ｅ １時間 ５ ３ ５ ５^＊ CO−720＝ポリ（オキシ−1,2−エタンジイル），α−
（ノニフェニル）−ω−ヒドロキシ−（C₂H₄O）_nC₁₅H₂₄
O,n＝12^＊＊ Al＝ドデシル（スルフェノキシ）ベンゼンスルホン
酸二ナトリウム塩およびオキシビス（ドデシルベンゼン
スルホン酸二ナトリウム塩 以下のように，本発明を好ましい実施例について説明し
てきた。上記の詳細な説明を読みかつ理解すれば，その
修正や変更を行い得ることは明らかである。添付の特許
請求の範囲またはそれに相当する内容の範囲に属する限
り，本発明はこのような修正や変更をすべて包含するも
のと解釈すべきである。

（発明の要約） 医療用器具のなかには，黄銅，銅，アルミニウム，ステ
ンレス鋼，炭素鋼，またはプラスチック製の部分を有す
るものがある。これらの医療用器具は，抗菌溶液中で殺
菌または消毒される。強力な酸化剤（例えば，過酢酸）
の抗菌効果は湿潤剤により向上する。この溶液は，さら
に銅および黄銅の腐食を抑制するためのトリアゾールま
たは他の成分を含有する。リン酸塩または他の緩衝剤
は，通常，中性pHに調整することにより，酸化剤による
鋼の腐食を防止する。モリブデン酸塩またはその類似化
合物もまた,pHを調整し，酸化剤によるアルミニウムの
腐食を抑制する。この腐食抑制は湿潤剤により向上す
る。必要に応じて，硬水における沈殿を抑制するため
に，金属イオン封鎖剤が用いられる。

【図面の簡単な説明】

第１図は，本発明による殺菌装置の斜視図である。 第２図は，第１図の殺菌装置の配管図である。 10……水の供給源,12……導管,16……滅菌フィルタ,18
……導管システム,20……コンテナ,22……トレイ,30…
…スプレーノズル,32……コンテナ配管マニホルド,34…
…薬剤受入ウェル,36……排気管,40……排水管,42……
薬剤導入システム,44……吸引器,46……アンプル。

フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭55−120118（ＪＰ，Ａ) 特開 昭53−3525（ＪＰ，Ａ) 特開 昭58−157764（ＪＰ，Ａ) 特開 昭52−141053（ＪＰ，Ａ) 特開 昭63−91304（ＪＰ，Ａ) 米国特許4518585（ＵＳ，Ａ)

Claims (14)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】過酢酸と；アゾール，トリアゾール，およ
   びベンゾエートから実質的になる群より選択される銅お
   よび黄銅に対する腐食抑制剤と；（１）中性のpHに溶液
   のpHを調節し，そして（２）炭素鋼およびステンレス鋼
   における腐食を抑制するリン酸塩とを含有する抗菌溶
   液。
2. 【請求項２】前記リン酸塩が,pHを中性付近に調節する
   ために充分な量で存在する，請求項１に記載の抗菌溶
   液。
3. 【請求項３】さらに湿潤剤を含有する，請求項１に記載
   の抗菌溶液。
4. 【請求項４】銅および黄銅に対する前記腐食抑制剤がト
   リアゾールを含む，請求項1,2,および３のいずれかに記
   載の抗菌溶液。
5. 【請求項５】さらに，モリブデン酸塩，クロム酸塩およ
   び重クロム酸塩，ホウ酸塩，バナジン酸塩，タングステ
   ン酸塩，そしてこれらの混合物から実質的になる群から
   選択される少なくとも１つの化合物を含有する，請求項
   １に記載の抗菌溶液。
6. 【請求項６】前記リン酸が硬水中で沈殿するのを防止す
   る金属イオン封鎖剤をさらに含有する，請求項１に記載
   の抗菌溶液。
7. 【請求項７】前記過酢酸が0.005〜１％W/Vで存在し，そ
   してアゾール，トリアゾール，またはベンゾエートが0.
   001〜１％W/Vで存在する，請求項１に記載の抗菌溶液。
8. 【請求項８】前記リン酸塩が,0.2％（W/V）〜12％（W/
   V）の範囲で存在する，請求項７に記載の抗菌溶液。
9. 【請求項９】さらに金属イオン封鎖剤を含有する，請求
   項８に記載の抗菌溶液。
10. 【請求項１０】前記過酢酸が0.2％W/Vで存在し；前記リ
    ン酸塩が1.25％W/Vで存在し；モリブデン酸塩が0.011％
    W/Vで存在し；前記アゾール，トリアゾール，またはベ
    ンゾエートが,0.008％W/Vで存在し；前記金属イオン封
    鎖剤が0.0027％W/Vで存在し；そして湿潤剤が0.0011％W
    /Vで存在する，請求項８に記載の抗菌溶液。
11. 【請求項１１】医療器具を消毒および殺菌するための抗
    菌溶液であって， 0.005〜１％の過酢酸と;0.001〜１％のトリアゾールと;
    0.2〜12.5％のリン酸塩と;0.00〜10％のクロム酸塩およ
    び重クロム酸塩，ホウ酸塩，モリブデン酸塩，バナジン
    酸塩，そしてタングステン酸塩から実質的になる部類か
    ら選択される化合物と;0〜0.01％の金属イオン封鎖剤
    と；湿潤剤とを含有する，抗菌溶液。
12. 【請求項１２】医療器具から微生物の汚染物を除去する
    方法であって， 水中にリン酸塩，トリアゾール，湿潤剤，かつ，クロム
    酸塩および重クロム酸塩，ホウ酸塩，モリブデン酸塩，
    バナジン酸塩，ならびにタングステン酸塩から実質的に
    なる群からの化合物を溶解させる工程； 過酢酸を水と混合する工程； 微生物の汚染を除去されるべき医療器具に，該水，過酢
    酸，および溶解した化合物溶液を循環させる工程；そし
    て 滅菌水で該器具をすすぐ工程，を包含する方法。
13. 【請求項１３】前記循環工程の間に，前記滅菌すすぎ水
    供給ラインの内表面を循環させる工程，ならびに該滅菌
    すすぎ水と，該無菌すすぎ水が接触するすべての表面が
    無菌的に浄化されるように流体と接触する前記器具およ
    び表面との間を行き渡らせる工程をさらに包含する，請
    求項12に記載の方法。
14. 【請求項１４】前記混合工程および溶解工程の間に，前
    記医療器具上で，前記水と溶解した前記化合物溶液とを
    循環させる工程をさらに包含する，請求項12に記載の方
    法。