JPH078289A - リボソームを用いたペプチドおよびタンパク質の合成法 - Google Patents

リボソームを用いたペプチドおよびタンパク質の合成法

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JPH078289A
JPH078289A JP5158662A JP15866293A JPH078289A JP H078289 A JPH078289 A JP H078289A JP 5158662 A JP5158662 A JP 5158662A JP 15866293 A JP15866293 A JP 15866293A JP H078289 A JPH078289 A JP H078289A
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trna
ribosome
mrna
reaction
peptide
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JP5158662A
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Nobuhiko Yamashita
信彦 山下
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Osaka Gas Co Ltd
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Osaka Gas Co Ltd
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Publication date
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Pending legal-status Critical Current

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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12PFERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
    • C12P21/00Preparation of peptides or proteins
    • C12P21/02Preparation of peptides or proteins having a known sequence of two or more amino acids, e.g. glutathione

Abstract

(57)【要約】 【構成】 インビトロのタンパク質合成系において、ア
ミノアシルおよびミスアミノアシルtRNAならびに人
工mRNAを用いて任意のアミノ酸配列を有するペプチ
ドおよびタンパク質を合成する新規な方法が提供され
る。 【効果】 本方法によれば、天然アミノ酸および非天然
アミノ酸を用いて任意にペプチドおよびタンパク質を合
成することができる。即ち、本発明は、種々の工業分野
ならびに生化学、分子生物学およびタンパク質工学など
の基礎研究分野において重要な基礎技術を提供するもの
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はペプチドおよびタンパク
質の新規な合成法に関する。更に詳しくは、本発明は、
インビトロのタンパク質合成系において、アミノアシル
およびミスアミノアシルtRNAならびに人工mRNAを
用いて任意のアミノ酸配列を有するペプチドおよびタン
パク質を合成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ペプチドおよびタンパク質は、医薬品工
業、食品工業、化学工業、電子工業などの分野で広く利
用されている。また、近年ではコンピューターによるタ
ンパク質の分子設計技術の発達により、タンパク質の構
造・機能の相関の研究、ならびにその知見に基づくタン
パク質工学の発展が注目されている。タンパク質工学の
成果を充分に実現するためには、短時間に種々のアミノ
酸配列を有するタンパク質を合成することが必要であ
る。
【0003】現在、ペプチドおよびタンパク質を合成す
る手段としては、化学的合成法、酵素法、遺伝子組換え
法、インビトロのタンパク質合成系による合成法などが
存在する。
【0004】ペプチドの化学的合成法は、アミノ酸のア
ミノ基と側鎖の官能基を適当な保護基で保護しながら、
縮合剤を用いて逐次的に合成していく方法である。アミ
ノ基の保護基としては、t−ブチルオキシカルボニル基
(t−Boc基)(文献1:本明細書中で引用した参考文献は
まとめて後記する)や9−フルオレニルメチルオキシカ
ルボニル基(F−moc基)(文献2)などが挙げられる。縮
合剤としては、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DC
C)がよく用いられている。反応は、液相法または固相
法で行われる。液相法は、通常の有機合成法と同様に溶
液状態で反応させるものである。液相法で合成する場合
は、反応と精製を一残基毎に行う。このために多くの時
間と労力がかかるが、精製度の高いペプチドが得られ
る。固相法は、ポリスチレンやポリアクリルアミドなど
の不溶性の担体にC末端アミノ酸を固定化して担体上で
ペプチドを伸長させる方法であり、1963年にMerrifiel
dによって開発された(文献4)。この方法によると、工
程途中の精製はできないが、操作が容易であり、自動化
が可能であり、自動合成機も一般に市販されている。こ
の自動合成機によって40残基程度のペプチドを合成す
ることができる。しかし、どちらの方法によっても、目
的生成物の他に微量に生ずる副産物の分離が非常に困難
であるという欠点がある。また、縮合反応を繰返すこと
により指数関数的に副産物が累積するため、分子量の大
きなタンパク質は合成することができない。しかし、非
天然アミノ酸を含むペプチドを合成することができると
いう利点がある。
【0005】酵素法は、アミノ酸の縮合反応に酵素を利
用するものであり、プロテアーゼによるペプチド結合の
逆合成と、アミノアシルtRNAシンテターゼ(ARS)
による合成法が知られている。プロテアーゼによるペプ
チド合成としては、1938年にBergmannらが保護ジペプ
チドをパパインによって逆合成したのが最初の例である
(文献5)。酵素としては、パパインの他、α−キモトリ
プシンやカルボキシペプチダーゼY、トリプシン、ペプ
シンなどのプロテアーゼが用いられ(文献6)、多くの種
類のペプチドが合成されている(文献7)。また、ARS
を利用する方法では、tRNAのアミノアシル化反応の
反応中間体であるアミノアシルAMP・ARS複合体を
求核成分として用い、第2のアミノ酸成分を逐次反応さ
せてペプチドを形成する(文献8)。これら酵素法による
合成は縮合効率が悪く、小さなペプチドやキメラタンパ
ク質の合成に用いられている程度で、逐次合成によるタ
ンパク質の全合成には適していない。
【0006】遺伝子組換え法は、適当な宿主−ベクター
系に目的タンパク質の遺伝子を組込み、宿主生物に目的
タンパク質をインビボで合成させる方法であり、1973年
にChoenとBoyerらによって確立された(文献9)。この
方法によれば、化学合成法および酵素法では合成不可能
な大きな分子量のタンパク質の合成が可能である。しか
し、この方法によって実用的なレベルで微生物に目的遺
伝子を発現させようとすると、目的遺伝子に適した発現
ベクターの選択、菌の培養条件の検討、生成物の分離お
よび精製など、多くの検討項目を解決する必要がある。
また、毒性タンパク質や菌体内タンパク質分解酵素の攻
撃を受けやすい小さなペプチドなどの生産には特に困難
を伴う。更に、インビボ合成においては、tRNAへの
アミノ酸の結合はアミノアシルtRNAシンテターゼに
よって厳密に制御されており、タンパク質に非天然アミ
ノ酸を導入することはほとんど不可能である。
【0007】インビトロのタンパク質合成系を用いる合
成法は、大腸菌などの細胞内タンパク質合成系を試験管
内に移し、目的タンパク質の遺伝子またはmRNAとタ
ンパク質合成に必要な因子を加えて、目的タンパク質を
合成させる方法であり、1961年にNirenbergらが外因性
mRNAに依存したインビトロタンパク質合成系を確立
したのが最初である(文献10)。その後、多くの生物か
らインビトロタンパク質合成系が調製されているが、一
般に、バッチ法による合成では数時間で反応が停止し、
実用レベルのタンパク質を得ることは困難である。最
近、Spirinらは、必要な基質を連続的に反応系に供給
することによって、合成反応を数十時間に延長し、mg単
位の目的タンパク質が得られるシステムを開発した(文
献11)。この方法によれば、宿主生物からの目的タン
パク質の精製過程が大幅に簡素化される、毒性タンパク
質やタンパク質分解酵素によって分解されやすいペプチ
ドなども合成できる、あるいは非天然アミノ酸を含むタ
ンパク質を合成できるなどの利点がある。
【0008】このように、遺伝子組換え技術およびイン
ビトロのタンパク質合成系による合成法によれば、化学
合成法および酵素法では不可能な高分子量のタンパク質
を合成することができる。更に、インビトロタンパク質
合成系による合成法を用いると、非天然アミノ酸含有タ
ンパク質の合成も可能である。しかし、遺伝子組換え技
術およびインビトロタンパク質合成系による合成では、
目的タンパク質のアミノ酸配列情報は遺伝子DNAまた
はmRNAの形で予め用意されなければならない。即
ち、これらの遺伝子は他の生物から既にクローニングさ
れているか、または化学的に合成しておかなければなら
ない。従って、特定タンパク質の一次構造の部分的な変
更や、任意のアミノ酸配列を持つペプチドまたはタンパ
ク質を合成する場合は、必要な遺伝子を調製および改変
する工程が必要となる。これらの工程には、目的遺伝子
の生体からのクローニングまたは化学的合成と精製、塩
基配列の決定、一部の塩基配列の改変など、大腸菌の宿
主−ベクター系を用いた複雑な実験操作が含まれてい
る。このため、全く新規なアミノ酸配列を有するタンパ
ク質を合成する場合、およびこれらタンパク質の一次構
造を様々に改変するような実験においては、大腸菌を用
いた遺伝子組換え技術やインビトロのタンパク質合成系
による合成法では限界がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、種々の
天然ペプチドまたはタンパク質ならびに非天然アミノ酸
含有ペプチドまたはタンパク質の合成方法としては、イ
ンビトロのタンパク質合成系による合成法が適してい
る。しかし、この方法においては、アミノ酸配列情報が
mRNA上に存在するため、タンパク質の一次構造を任
意に変更して迅速に目的タンパク質を合成したり、タン
パク質内に複数の非天然アミノ酸を導入することは困難
である。そこで本発明者らは、インビトロのタンパク質
合成系において、目的タンパク質のアミノ酸配列順序を
内在性のmRNAによって規定するのではなく、系の外
部から任意に指示できるようにすることにより、任意の
アミノ酸配列を有するペプチドまたはタンパク質を合成
する方法を得ようとした。
【0010】
【課題を解決するための手段】インビボまたはインビト
ロのタンパク質合成において、mRNA上の遺伝暗号は
リボソームによってタンパク質に翻訳される。mRNA
の3塩基連鎖(遺伝子コドン)が遺伝暗号の単位であり、
このコドンは64種類存在する。mRNA上の遺伝暗号
をアミノ酸配列情報として解読するのはアミノアシルt
RNAであり、ストップコドンを除く61種類すべての
遺伝子コドンに対してそれぞれ特異的なtRNAが存在
する。各々のtRNAにはアミノアシルtRNAシンテタ
ーゼ(ARS)によってそれぞれ決められたアミノ酸が結
合される。ARSの厳密な特異性によって、遺伝子コド
ンとアミノ酸の対応が保証されている。
【0011】最近、Hechtらは、tRNAに本来結合す
べきアミノ酸以外のアミノ酸または非天然アミノ酸が結
合したミスアミノアシルtRNAを化学的に合成し得る
ことを示した(文献12および13)。このようなミスア
ミノアシルtRNAは正常なアミノアシルtRNAと同様
にリボソームによるタンパク質合成系において基質とな
り、タンパク質に取込まれることが示されている(文献
14、15および16)。またShultzらは、UAGコド
ン(ストップコドン)を認識するサプレッサーtRNAに
化学的に種々の非天然アミノ酸を結合させて人工ミスア
ミノアシルtRNAを合成し、β−ラクタマーゼ遺伝子
の特定部位をUAGコドンに置換することにより、イン
ビトロタンパク質合成系においてβ−ラクタマーゼタン
パク質に部位特異的に非天然アミノ酸を組込むことに成
功した(文献17)。このように、tRNAとアミノ酸の
結合を人為的に変更することによりミスアミノアシルt
RNAを合成して、任意のアミノ酸や非天然アミノ酸を
タンパク質に組込むことが可能である。
【0012】本発明者らは、予め決めた配列を有する人
工mRNAと上記のミスアミノアシルtRNAを用い、イ
ンビトロのタンパク質合成系において逐次的に伸長反応
させることによって、任意のアミノ酸配列を有するペプ
チドまたはタンパク質を合成できるのではないかと考
え、鋭意研究を行なった。その結果として、本発明を完
成するに至ったものである。
【0013】即ち、本発明は、互いに異なる複数の遺伝
子コドンに対応する複数のtRNAのそれぞれについ
て、対応の天然アミノ酸の結合したアミノアシルtRN
Aおよび非対応の天然もしくは非天然アミノ酸の結合し
たミスアミノアシルtRNAを用意し、該複数の遺伝子
コドンの繰返し構造を持つ人工mRNAを鋳型として用
意し、該mRNAおよびリボソームを含むインビトロの
タンパク質合成系に、導入しようとするアミノ酸成分が
結合したアミノアシルまたはミスアミノアシルtRNA
のみを加え、逐次的に伸長反応させることを特徴とす
る、任意のアミノ酸配列を有するペプチドの合成法を提
供するものである。本発明の方法によれば、天然アミノ
酸および非天然アミノ酸を用いて任意にペプチドおよび
タンパク質を合成することができる。従って、本発明
は、種々の工業分野ならびに生化学、分子生物学および
タンパク質工学などの基礎研究分野において重要な基礎
技術を提供するものである。
【0014】本発明を実施する際の最も簡単な例は、互
いに異なる複数の遺伝子コドンが2種類である場合であ
る。この場合、これら2種類の遺伝子コドンが交互に配
列した人工mRNAを鋳型として用いる。一方、上記2
種類の遺伝子コドンに対応する2種類のtRNAのそれ
ぞれについて、対応の天然アミノ酸の結合したアミノア
シルtRNAおよび非対応の天然もしくは非天然アミノ
酸の結合したミスアミノアシルtRNAを用意する。次
いで、上記mRNAおよびリボソームを含むインビトロ
のタンパク質合成系に、導入しようとするアミノ酸成分
が結合したアミノアシルまたはミスアミノアシルtRN
Aのみを加え、逐次的に伸長反応させることによって、
任意のアミノ酸配列を持つペプチドを合成することがで
きる。
【0015】例えば、アラニルグリシルチロシンという
トリペプチドを逐次反応で合成する場合を以下に説明す
る。人工mRNAとしては、例えばフェニルアラニンお
よびグルタミン酸の遺伝子コドンUUUおよびGAGを
用いて、UUUGAGという塩基配列の繰返し構造を含
むmRNAを用意する。大腸菌より調製したリボソーム
に、この人工mRNAとS100画分、およびインビト
ロのタンパク質合成に必要な成分を含む緩衝液を加え
る。次いで、目的ペプチドの第1アミノ酸であるアラニ
ンがtRNAPhe(対応のアミノ酸がフェニルアラニンで
あり、mRNA上のフェニルアラニンのコドンと複合体
を形成するtRNA)に結合したミスアミノアシルtRN
Aを加えて37℃で適当時間(例えば15分)反応させる
と、mRNA上のフェニルアラニンのコドンとリボソー
ムとアラニルtRNAPheの間で結合が生じ、複合体が形
成される。この時、mRNA上のフェニルアラニンのコ
ドンの次はグルタミン酸のコドンであり、反応系にアミ
ノアシルtRNAGluが存在しないため、ペプチド形成反
応はこれ以上進行することができない。この複合体を、
例えば分子篩クロマトグラフィーなどの手法によって他
の成分より分離する。次に、この複合体画分を、例えば
限外ろ過法などによって濃縮する。このように濃縮され
たリボソーム−mRNA−アラニルtRNAPhe複合体
を、目的ペプチドの第2アミノ酸を結合させるために用
いることができる。
【0016】即ち、濃縮した複合体画分に、S100画
分、インビトロタンパク質合成に必要な成分を含む適当
な緩衝液、および目的ペプチドの第2アミノ酸であるグ
リシンがtRNAGluに結合したグリシルtRNAGluを加
え、同様に37℃で適当時間反応させると、リボソーム
上で第1のミスアミノアシルtRNA(アラニルtRNA
Phe)と第2のミスアミノアシルtRNA(グリシルtRN
Glu)の間で反応が起こり、アラニルグリシルtRNA
Gluが形成される。この時、アラニルグリシルtRNA
GluはmRNA上のグルタミン酸コドンに結合しており、
その隣にはフェニルアラニンのコドンが存在するが、反
応系にはアミノアシルtRNAPheが存在しないため、こ
れ以上のペプチド形成反応は進行しない。従って、アラ
ニルグリシンのみが形成される。そこで、再び、このリ
ボソーム−mRNA−アラニルグリシルtRNAGlu複合
体を、分子篩クロマトグラフィーによって他の成分より
分離し、限外ろ過により濃縮する。
【0017】得られた複合体画分に、S100画分、イ
ンビトロタンパク質合成に必要な成分を含む適当な緩衝
液、および目的ペプチドの第3アミノ酸であるチロシン
がtRNAPheに結合したチロシルtRNAPheを加え、同
様に37℃で適当時間反応させると、リボソーム上でア
ラニルグリシルtRNAGluとチロシルtRNAPheの間で
反応が起こり、アラニルグリシルチロシルtRNAPhe
形成される。この時、アラニルグリシルチロシルtRN
PheはmRNA上のフェニルアラニンコドンに結合して
おり、その隣にはグルタミン酸のコドンが存在するが、
反応系にはアミノアシルtRNAGluが存在しないため、
これ以上のペプチド形成反応は進行しない。従って、ア
ラニルグリシルチロシンのみが形成される。
【0018】このように目的のペプチドが合成された
後、例えばフェノール抽出によって反応液よりペプチジ
ルtRNAを含むRNA画分を得ることができる。この
RNA画分を例えばアルカリ加水分解することにより、
RNAを分解して、目的ペプチドをtRNAより離脱さ
せることができる。次に、得られた目的ペプチドとRN
Aの分解物より、例えば逆相クロマトグラフィーなどの
手法によって目的ペプチドのみを精製することができ
る。
【0019】即ち、上記したペプチドの逐次的合成反応
は、(a)目的ペプチドのN末端アミノ酸の結合したアミ
ノアシルまたはミスアミノアシルtRNAがリボソーム
およびmRNAと複合体を形成する反応(開始反応)、(b)
リボソーム−mRNA−(ミス)アミノアシルtRNA複合
体上で目的ペプチドの第2アミノ酸残基から逐次的にペ
プチド鎖を伸長する反応(伸長反応またはペプチド形成
反応)、および(c)リボソーム−mRNA−ペプチジルtR
NA複合体から目的ペプチドを分離する反応(終結反応)
の3つの反応サイクルに分解することができる。
【0020】工程(a)の開始反応サイクルは、目的ペプ
チドのN末端アミノ酸の結合したアミノアシルまたはミ
スアミノアシルtRNAがリボソームおよびmRNAと複
合体を形成する反応、リボソーム−mRNA−(ミス)ア
ミノアシルtRNA複合体の高速分子篩クロマトグラフ
ィーによる分離、およびリボソーム−mRNA−(ミス)
アミノアシルtRNA複合体画分の限外ろ過法による濃
縮の3つのステップからなる。
【0021】工程(b)の伸長反応サイクルは、アミノ酸
を1個づつ逐次的に結合するための反応サイクルであ
る。このサイクルは、リボソーム−mRNA−ペプチジ
ル[N個のアミノ酸よりなるペプチド(Nは1またはそれ
以上の整数である)]tRNA複合体上で(N+1)番目の
アミノ酸残基を結合させるペプチド形成反応、リボソー
ム−mRNA−ペプチジルtRNA複合体の高速分子篩ク
ロマトグラフィーによる分離、およびリボソーム−mR
NA−ペプチジルtRNA複合体画分の限外ろ過法によ
る濃縮の3つのステップからなる。この反応サイクルの
繰返しによって任意の数のアミノ酸を結合させることが
でき、任意のアミノ酸配列を有するペプチドを合成する
ことができる。
【0022】工程(c)の終結反応サイクルは、リボソー
ム−mRNA−ペプチジルtRNA複合体からのフェノー
ル抽出とエタノール沈澱によるペプチジルtRNAの回
収、RNAの加水分解による目的ペプチドの遊離、およ
び目的ペプチドの高速逆相クロマトグラフィーによる精
製の3つのステップからなる。
【0023】以上においては、互いに異なる複数の遺伝
子コドンが2種類である場合、即ちこれら2種類の遺伝
子コドンが交互に配列した人工mRNAを鋳型として用
いる場合について説明したが、さらに多種類の互いに異
なる遺伝子コドンを用いることもできる。即ち、本発明
の方法において用いる人工mRNAは、以下の配列:
【化2】[A12・・・・Am]n (配列中、mは2〜64の整数であり、nは1以上の整
数であって、m×nは目的ペプチドのアミノ酸残基数に
等しいかまたはそれ以上であり、A1、A2、・・・・お
よびAmは互いに異なる遺伝子コドンである)を含むもの
であってよい。
【0024】例えば、5種類の互いに異なるコドンの繰
返し構造を有する人工mRNAを鋳型として用いる場合
には、工程(b)のペプチド形成反応に1サイクル当たり
4種類のアミノアシルまたはミスアミノアシルtRNA
を使用することができ、1サイクル当たり4つのアミノ
酸を一度に伸長させることが可能になる。tRNAは少
なくとも20種類のコドンを識別することができるの
で、これら20種類のコドンの繰返し構造を有する人工
mRNAを鋳型として用いると、1サイクル当たり19
個のアミノ酸を一度に結合させることができる。このよ
うに、本発明の方法によれば、長いペプチドを少ないサ
イクル数で合成することができるので、化学合成では困
難であったタンパク質を合成することが可能になる。
【0025】原材料および方法 本発明を実施する際に使用する大腸菌のリボソームおよ
びインビトロタンパク質合成系に必要な各種タンパク質
合成因子を含むS100画分は、一般的にはNollら(文
献18)の方法に従って調製することができる。即ち、
対数増殖期中期の大腸菌(例えば、MRE600)を10
mMマグネシウムイオンを含む緩衝液[例えば、20mM
Tris・Cl、10mM (CH3COO)2Mg、100mM
NH4Cl、3mM 2-メルカプトエタノール(pH7.5)]
中で酸化アルミニウムとともにすりつぶし、更にDNア
ーゼIを加えて内在性のDNAを分解する。次に、試料
溶液を遠心(例えば、30,000Xgで45分間)して上
清を得る(S30画分)。このS30画分を等量の緩衝液
B[例えば、1.1Mスクロース、10mM (CH3CO
O)2Mg、60mM NH4Cl、3mM 2-メルカプトエタ
ノールを含む10mMTris・Cl(pH7.5)]に重層し、
分離用超遠心機によって100,000Xgで20時間遠
心する。リボソームは透明な沈澱として回収される。ま
た、上清にはタンパク質合成に必要な各種因子が含まれ
ており。S100画分としてインビトロタンパク質合成
系に添加して使用することができる。
【0026】本発明を実施する際に使用する複数の遺伝
子コドンの繰返し構造を持つmRNAとしては、例えば
ポリ(AG)[ポリArg-Gluをコードする]、ポリ(AC)
[ポリThr-Hisをコードする]、ポリ(AU)[ポリIle-
Tyrをコードする]、およびポリ(CU)[ポリLeu-Ser
をコードする]がSIGMA CHEMICAL COMPANYから市販され
ている。また、任意の遺伝子コドンの繰返し構造を持つ
mRNAは、官能基が保護された4種類のRNAヌクレ
オチド(例えば、DMT−シアノエチルRNAホスホア
ミダイト試薬)と合成しようとするRNAの3'末端側の
保護基付きRNAヌクレオチドが結合した固相樹脂を用
いて、β−シアノエチル法による固相合成法により目的
の塩基配列の順序で縮合させて化学合成することができ
る(文献19および20)。合成には、市販のDNA合成
装置(例えば、ABI MODEL 380B)を利用することができ
る。合成したRNAフラグメントは樹脂より切り出し、
2'-ヒドロキシル保護基の脱保護(例えば、1Mテトラ
ブチルアンモニウムフロリドを含むテトラヒドロフラン
溶液によって室温で6時間処理する)を行なった後、高
速逆相クロマトグラフィーによって精製する(例えば、W
ATERS μ-BONDASPHERE5μ C18-300Åカラムを用いてア
セトニトリルの直線濃度勾配によってRNAフラグメン
トを溶離する)。この合成mRNAを本発明において鋳型
として使用する。
【0027】本発明を実施する際に使用するアミノアシ
ルtRNAは、アミノアシルtRNAシンテターゼを用い
た西村ら(文献6)の方法により調製することができる。
即ち、アミノアシル化しようとするアミノ酸特異的tR
NAに目的アミノ酸、アデノシン三リン酸(ATP)およ
びアミノアシルtRNAシンテターゼを加え、適当な緩
衝液中で反応させる。得られた反応液からフェノール抽
出によってタンパク質を除去し、生成したアミノアシル
tRNAをエタノール沈澱によって回収する。基質とな
る各アミノ酸特異的tRNA、およびアミノアシルtRN
Aシンテターゼ(大腸菌由来)はSIGMA CHEMICAL COMPANY
より市販されている。ミスアミノアシルtRNAの合成
方法としては、S.M.Hechtら(文献21)の方法が知ら
れている。即ち、初めにジヌクレオチド、pCpAを化学
的に合成し、更に化学的にpCpAの3'末端にアミノ酸
をエステル結合させてアミノアシルpCpAを得る。次
に、ヘビ毒ホスホジエステラーゼでtRNAを部分分解
して、3'末端のpCpAを除去したtRNA-C-OHを得
る。最後に、アミノアシルpCpAをtRNA-C-OHの
3'末端にRNAリガーゼを用いて酵素的に結合させて
ミスアミノアシルtRNAを得る。
【0028】一般的なインビトロタンパク質合成系(例
えば、ポリU依存性ポリフェニルアラニン合成)の成分
および反応条件は、次に示す通りである(文献22)。2
0〜60mM Tris-HCl(pH7.0〜8.0)、10〜1
5mM 塩化マグネシウムまたは酢酸マグネシウム、10
〜100mM NH4Cl、1〜10mM 2-メルカプトエ
タノールまたはジチオスレイトール、1〜2mM AT
P、0.1〜0.5mM GTP、5〜15mM ホスホエノ
ールピルビン酸ナトリウム、2〜50μg/ml ピルビン
酸キナーゼ、50〜170μM 非標識アミノ酸(フェニ
ルアラニンを除く)、5〜100μM 標識フェニルアラ
ニン(例えば、10〜100μCi/μmolのL-[U-
14C]フェニルアラニン)、0.1〜1mg/ml フェニルア
ラニン特異的tRNA、0.1〜0.8mg/ml ポリU、2
〜50A260単位/ml リボソーム、および2mg/ml S
100画分をそれぞれ含む100〜500μlの反応液
を37℃で15〜30分間インキュベートする。
【0029】反応終了後の生成物の確認は一般に次のよ
うにして行なう。即ち、1mlの10%トリクロロ酢酸
(TCA)溶液を反応液に添加し、90℃で20分間処理
してアミノアシルtRNAおよびペプチジルtRNAより
アミノ酸およびペプチドを離脱させる。次に、沈澱をグ
ラスマイクロファイバーフィルター(例えば、GF/C、Wha
tman International Ltd.)に集め、5% TCAで4
回、99%エタノールで4回洗浄し、フィルターを乾燥
する。次いで、5mlの液体シンチレーションカクテル
(例えば、ECONOFLUOR-2、NEN Research Products)にフ
ィルターを浸潤させ、液体シンチレーションカウンター
(例えば、BECKMAN Model LS5000TD)によってフィルター
内の沈澱画分の放射活性を測定し、生成した産物の量を
推定する。生成物を反応液より精製するためには、一般
のタンパク質の精製に用いられる各種の方法が利用でき
る。即ち、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法、等電点
電気泳動法、イオン交換クロマトグラフィー、分子篩ク
ロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー
などを生成物の精製に利用することができる。
【0030】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0031】実施例1 インビトロのタンパク質合成系
と天然型アミノアシルtRNAを用いた逐次反応による
ペプチドの合成 大腸菌リボソームとS100画分および人工mRNAを
含むインビトロのタンパク質合成系において、天然型ア
ミノアシルtRNAを用いて逐次反応によりトリペプチ
ドを合成した。 A.大腸菌リボソームおよびS100画分の調製ならび
に精製リボソームの性質および活性 A-1.大腸菌の培養 大腸菌 MRE600(ATCC No.29417)は、American Typ
e Culture Collectionより購入した。L-ブロス培地
は、10gのバクト−トリプトン(Difco Laboratorie
s)、5gのバクト−酵母エキス(Difco Laboratories)、
5gのNaClおよび1gのグルコースを1Lの超純水に溶
解後、pHを7.5に調整し、オートクレーブ処理して用
いた。超純水はMILLI−Q SPシステム(日本ミリ
ポア・リミテッド)により調製した。3mlのL-ブロス中
で大腸菌 MRE600を一夜培養した後、1LのL-ブ
ロスに接種して更に37℃で2.0〜1.5時間培養した
(A600=0.4〜0.6)。大腸菌は10,000Xgで1
5分間遠心して集菌し、リボソーム調製用の出発材料と
して使用するまで−20℃で保存した。
【0032】A-2.リボソームおよびS100画分の
調製 大腸菌70SリボソームおよびS100画分はNollら
(18)の方法に若干の変更を加えて調製した。すべての
操作は4℃以下で行った。凍結した大腸菌に2倍量の酸
化アルミニウムを加え、乳鉢ですりつぶした。大腸菌と
酸化アルミニウムが良く混合し、著しく高い粘度を示す
ようになり、乳鉢内ですりつぶすと弾けるような音がす
るようになったときに、等量の緩衝液A[20mM Tris
・Cl、10mM (CH3COO)2Mg、100mM NH4
Cl、3mM 2-メルカプトエタノール(pH7.5)]を加
え、更にDNアーゼI(宝酒造株式会社)を最終濃度が3
μg/mlになるように添加した。再び懸濁液を約10分
間すりつぶし、懸濁液の粘度が十分に低下した後、3
0,000Xgで45分間遠心して上清を得た(S30画
分)。S30画分を等量の緩衝液B[1.1M スクロー
ス、10mM (CH3COO)2Mg、60mM NH4Cl、
および3mM 2-メルカプトエタノールを含む10mM
Tris・Cl(pH7.5)]に重層し、分離用超遠心機 BECK
MAN MODEL L8Mによって100,000Xg(Type 45 Tiロ
ーター、30,000x rpm)で20時間遠心した。透明
な沈澱をリボソームとして、また、上層(上清の2/3)
をS100粗画分として回収した。透明なリボソームの
沈澱を緩衝液Aに穏やかに懸濁し、約2時間緩やかに撹
拌してリボソームを分散させた。得られたリボソーム溶
液を緩衝液Bに再度重層して100,000Xg(Type 45
Tiローター、30,000x rpm)で20時間遠心した。
得られたリボソームの沈澱を緩衝液Aに再び懸濁した
後、緩衝液Aに対して透析して、以後の実験にリボソー
ム溶液として用いた。得られたリボソーム溶液の260
nmの吸光度を測定することによってリボソームの濃度を
決定した。この時、260nmの吸光度が1.0の溶液を
1.0U/mlのリボソームとした。リボソーム溶液は使
用するまで−80℃で保存した。S100粗画分は更に
70%の飽和硫安で分画し、沈澱画分を緩衝液Aで透析
して、S100画分として以後の実験に用いた。S10
0画分のタンパク質濃度は280nmの吸光度を測定する
ことによって決定した。S100画分は使用するまで−
80℃で保存した。
【0033】A-3.精製リボソームの性質 3Lの大腸菌培養液より、約8000Uのリボソーム
(1U=1 A260)が得られた。得られた精製リボソ
ームの純度を検定する目的で、10mMおよび1mMマグ
ネシウムイオンの存在下に蔗糖密度勾配超遠心法により
精製リボソームを分析した。精製リボソームを、10m
M Mg2+および1mM Mg2+の存在下、10%〜30%
の蔗糖密度勾配超遠心法によって分析した。蔗糖密度勾
配は次のように調製した。10%、15%、20%、2
5%、および30%の蔗糖をそれぞれ含む3mM 2-メ
ルカプトエタノール、60mM NH4Cl、1mMまたは
10mM (CH3COO)2Mg、10mM Tris・Cl(pH
7.5)を調製し、シリンジを用いて蔗糖密度の低い溶液
から7.4mlずつ遠心チューブの低部に積層した(全量3
7ml)。次に4℃で一夜放置して蔗糖密度勾配を形成さ
せた。20Uのリボソームを含む0.1mlの1mMまたは
10mM (CH3COO)2Mg、3mM 2-メルカプトエタ
ノール、60mM NH4Cl、10mM Tris・Cl(pH
7.5)溶液を、それぞれ同一のMg2+濃度の蔗糖密度勾
配溶液に重層し、160,000Xg(SW28、20,0
00rpm)で15時間遠心した。遠心終了後、蔗糖密度勾
配溶液を低部より1ml毎に分取した。この結果、10m
Mのマグネシウム存在下では、全リボソームのうち、活
性型リボソームである70Sリボソームのみが検出さ
れ、50Sおよび30Sリボソームサブユニットはほと
んど認められなかった(図1)。一方、70Sリボソーム
は1mMのマグネシウム存在下ではほぼ完全に50Sと
30Sサブユニットに解離した。これらの結果は、調製
したリボソームが充分な純度を保持していることを示す
ものである。
【0034】A-4.精製リボソームの活性 次に、精製リボソームのタンパク質合成活性を検討する
目的で、精製リボソームおよび鋳型としてポリウリジル
酸を用いてインビトロのタンパク質合成系により、ポリ
フェニルアラニン合成の活性を測定した。ポリウリジル
酸、リボソームおよびS100画分を用いたインビトロ
タンパク質合成反応はSpedding(文献22)の方法に若
干の変更を加えて行った。即ち、10μlの10倍濃縮
緩衝液[0.1M MgCl2、0.5M NH4Cl、10mM
ジチオスレイトール(DTT)、10mM アデノシン三リ
ン酸(ATP)、10mM グアノシン三リン酸(GTP)、
50mM ホスホエノールピルビン酸ナトリウムを含む
0.5M Tris・Cl緩衝液(pH8.0)]に、1μlの3,
500U/ml ピルビン酸キナーゼ(オリエンタル酵母工
業株式会社)、10μlの20U/ml フェニルアラニン
特異的tRNA(SIGMA CHEMICAL COMPANY)、1μlの14
0U/μl リボヌクレアーゼインヒビター(宝酒造株式
会社)、10μlの24mg/ml S100画分、10〜2
00Uの精製リボソーム、〜20μgのポリウリジル酸
ナトリウム(ヤマサ醤油株式会社)、および1μCiのL-
[2,3,4,5,6−3H]フェニルアラニン(130Ci/m
mol;アマシャム・ジャパン株式会社)を加え、H2Oで
全量を100μlとした後、37℃で15分間反応させ
た。反応終了後、1mlの10% トリクロロ酢酸(TC
A)溶液を添加し、90℃で20分間処理した。沈澱を
グラスマイクロファイバーフィルター(GF/C、Whatm
an International Ltd.)に集め、5%TCAで4回、9
9%エタノールで4回洗浄した。フィルターを乾燥した
後、5mlの液体シンチレーションカクテル ECONOFLUOR-
2(NEN Research Products)にフィルターを浸潤させ、液
体シンチレーションカウンター(BECKMAN Model LS5000T
D)によってフィルター内の沈澱画分の放射活性を測定し
た。この結果、TCA不溶性画分への放射性アミノ酸の
取込みは0.4pmol/分/nmol リボソームであり、反応
液中のポリウリジル酸に対して用量依存性が認められた
(図2)。これらの結果は、調製されたリボソームが充分
な活性を保持していることを示すものである。
【0035】B.鋳型mRNAおよび標準ペプチドの化
学合成 B-1.鋳型mRNAの化学合成 本実施例で用いた鋳型mRNA(AUGUUUGAGUU
UGAGおよびUUUGAGUUUGAG)は、DNA
合成装置 ABI MODEL 380B(Applied Biosystems社)によ
り、0.2μモルのDMT-rG(iBu)-2'-tBuSi-CP
G(PENINSULA LABORATORIES, INC.)を固相としてDMT
-rA(Bz)-2'-tBuSi-CEP、DMT-rG(iBu)-2'
-tBuSi-CEP、およびDMT-U-2'-tBuSi-CE
P(PENINSULA LABORATORIES, INC.)を用いたβ−シアノ
エチル法によって化学合成した。合成終了後、樹脂を2
mlのアンモニア/エタノール(3:1)溶液で2時間処理
して、RNAフラグメントを樹脂より切り出した。次い
で、試料をアンモニア/エタノール(3:1)溶液中にて
55℃で8時間加熱して脱保護を行なった後、遠心濃縮
機で減圧乾固した。この乾固試料に、1M テトラブチ
ルアンモニウムフルオライドを含むテトラヒドロフラン
溶液を10 A260単位のRNAに対して10μlの割合
で加えて溶解し、室温で6時間処理して2'-ヒドロキシ
ル保護基の脱保護を行なった。得られた反応液をNAP
-25カラム(Pharmacia)による50mMトリエチルアミ
ンアセテート(TEAA)を展開液としたゲルろ過によっ
て脱塩した。得られたRNAフラグメントはWATERS μ-
BONDASPHERE 5μ C18-300Å(3.9mmx15cm)カラムに
よる高速逆相クロマトグラフィーによって精製した。即
ち、500μl以下のRNA溶液をカラムに注入し、5
0mM TEAAを含む0%から20%アセトニトリルの
直線濃度勾配によって目的RNAフラグメントを溶出し
た。RNAフラグメントの画分を集めて遠心濃縮機で減
圧乾固した後、H2Oに溶解し、260nmの吸光度を測
定した。
【0036】B-2.標準ペプチドの化学合成 標準トリペプチド(Phe-Glu-Phe)およびテトラペプチ
ド(Phe-Glu-Phe-Glu)を、ペプチド自動合成機 ABI
MODEL 430A(Applied Biosystems社)を用い、p-メチル
BHA樹脂を固相樹脂としたt-Boc法によって化学合成
した。樹脂から切り出した合成ペプチドは、WATERS μ-
BONDASPHERE 5μ C18-300Å(3.9mmx15cm)カラムに
よる高速逆相クロマトグラフィーによって精製した。精
製ペプチドのアミノ酸配列は、プロテインシーケンサー
MODEL 477A(Applied Biosystems社)によって分析し
た。
【0037】C.高速分子篩クロマトグラフィーによる
リボソーム−mRNA−ペプチジルtRNA複合体の分離 合成mRNAと天然型アミノアシルtRNAを用いたイン
ビトロの逐次反応合成系によるトリペプチドの合成を、
開始反応サイクル、ペプチド伸長反応サイクルおよび終
結サイクルによって構築した。まず、(a-1)目的ペプチ
ドのN末端アミノ酸が結合したアミノアシルtRNAが
リボソームおよびmRNAと複合体を形成する反応、(a-
2)リボソーム−mRNA−アミノアシルtRNA複合体
の高速分子篩クロマトグラフィーによる分離、および(a
-3)リボソーム−mRNA−アミノアシルtRNA複合体
画分の限外ろ過法による濃縮の3つのステップからなる
工程を開始反応サイクルとした。次に、(b-1)リボソー
ム−mRNA−ペプチジルtRNA複合体上で次のアミノ
酸残基を結合させるペプチド形成反応、(b-2)リボソー
ム−mRNA−ペプチジルtRNA複合体の高速分子篩ク
ロマトグラフィーによる分離、および(b-3)リボソーム
−mRNA−ペプチジルtRNA複合体画分の限外ろ過法
による濃縮の3つのステップからなる工程をペプチド伸
長反応サイクルとした。最後に、(c-1)リボソーム−m
RNA−ペプチジルtRNA複合体からのフェノール抽
出とエタノール沈澱によるペプチジルtRNAの回収、
(c-2)RNAの加水分解による目的ペプチドの遊離、お
よび(c-3)目的ペプチドの高速逆相クロマトグラフィー
による精製の3つのステップからなる工程を終結反応サ
イクルとした。逐次反応によるトリペプチドの合成は、
開始反応サイクルに続いて2回のペプチド伸長反応サイ
クルを繰り返した後、最後に終結反応サイクルを行うこ
とによって達成した。
【0038】しかし、上記のように構築したインビトロ
タンパク質合成系による逐次反応系が成立するために
は、開始反応サイクルおよび伸長反応サイクルにおいて
リボソーム−mRNA−アミノアシルtRNA複合体およ
びリボソーム−mRNA−ペプチジルtRNA複合体が分
子篩クロマトグラフィーによってtRNAおよび他のア
ミノ酸成分から分離され、更に、分離、濃縮の過程でこ
の複合体が安定に保持されていなければならない。そこ
で、先に調製したリボソーム、合成mRNAおよびアミ
ノアシルtRNAを用いて複合体を形成させ、この複合
体を下記の分子篩クロマトグラフィーによって分離し、
更に蔗糖密度勾配超遠心法(上記A-3中の記載と同様に
して行なう)によって分析した。
【0039】分子篩クロマトグラフィー Shodex PROTEIN KW-803カラム(8mmx30cm、2本組)
による高速分子篩クロマトグラフィーによってリボソー
ム−mRNA−ペプチジルtRNA複合体を分離した。送
液システムはWaters 600E Multisolvent Delivery Syst
emを用いた。カラムは予め、60mM NH4Clと10m
M (CH3COO)2Mgを含む10mM Tris・Cl緩衝液
(pH7.5)で平衡化した。リボソーム−mRNA−ペプ
チジルtRNA複合体を含む試料溶液200μl以下をカ
ラムに注入し、1.0ml/分の流速で展開した。溶出液
の260nmの吸光度をWaters 484 Tunable Aborbance D
etectorでモニターし、結果をWaters 741 Data Module
によって記録した。溶出液は0.5mlずつ分取した。0.
5mlの各溶出液画分に2mlの液体シンチレーションカク
テル Ready Safe(BECKMAN Instrument,Inc.)を添加して
溶解し、液体シンチレーションカウンター(BECKMAN Mod
el LS5000TD)によって放射活性を測定した。HPLC用
分子量決定用タンパク質マーカーはオリエンタル酵母工
業(株)より購入した。分子量マーカーとして、グルタミ
ン酸デヒドロゲナーゼ(Mw 290,000)、乳酸デヒドロゲナ
ーゼ(Mw 142,000)、エノラーゼ(Mw 67,000)、アデニル
酸キナーゼ(Mw 32,000)、およびチトクロムC(Mw 12,40
0)を用いた。
【0040】Met-Phe-Glu-Phe-Gluのアミノ酸配列
をコードする鋳型mRNA(AUGUUUGAGUUUG
AG)を用いたインビトロタンパク質合成系において放
射性メチオニンをリボソームに取込ませた後、反応液を
Shodex KW803カラムによる高速分子篩クロマトグラフィ
ーで分画すると、リボソームはボイド画分に、tRNA
は分子量約6万の領域に、そして遊離の放射性アミノ酸
は分子量約1万以下の低分子画分にそれぞれ溶出され
た。ボイド画分およびtRNAの溶出位置にそれぞれ放
射性アミノ酸の取込みが観察された(図3)。放射活性を
有するボイド画分を、蔗糖密度勾配超遠心法で分析する
と、放射活性の大部分は70Sリボソームの画分に回収
され、70Sリボソームに放射性アミノ酸が結合してい
ることが分かった(図4)。これに対して、Phe-Glu-P
he-Gluのアミノ酸配列をコードする鋳型mRNA(UU
UGAGUUUGAG)を用いたインビトロタンパク質
合成系において、同様に放射性メチオニンをリボソーム
に取り込ませた後、反応液を高速分子篩クロマトグラフ
ィーで分画すると、tRNA画分にはAUGUUUGA
GUUUGAGを鋳型とした場合とほぼ同等に放射性ア
ミノ酸の取込みが認められたが、リボソーム画分への放
射性アミノ酸の取込みはほとんど認められなかった。従
って、鋳型mRNAにAUGコドンが存在する場合にの
み、放射性アミノ酸がリボソームに結合したと結論する
ことができる。
【0041】次に、放射活性を持つリボソーム画分をフ
ェノール処理してRNA画分を回収し、再度高速分子篩
クロマトグラフィーで分析すると、放射活性の大部分が
tRNA画分に溶出され、リボソームにアミノアシルtR
NAが結合していることが分かった(図5)。更に、放射
活性を有するリボソーム画分を、再度高速分子篩クロマ
トグラフィーで分析すると、放射活性の大部分は70S
リボソームの画分に回収された(データは示していな
い)。
【0042】以上の結果は、インビトロタンパク質合成
で形成されたリボソーム−mRNA−アミノアシルtRN
A複合体が、高速分子篩クロマトグラフィーによってt
RNAその他の成分から分離され、更に、この複合体が
高速分子篩クロマトグラフィーおよび蔗糖密度勾配超遠
心分離の過程でも安定に存在していることを示すもので
ある。
【0043】D.インビトロのタンパク質合成系による
ペプチドの合成 Met-Phe-Glu-Phe-Gluのアミノ酸配列をコードする
人工mRNAを鋳型とするインビトロのタンパク質合成
系においてペプチドを合成した。 D-1.連続反応系でのペプチドの合成 まず、対照として、3H-Pheおよび14C-Gluをインビ
トロタンパク質合成反応系に添加して15分間連続的に
合成させた後、高速分子篩クロマトグラフィーによって
リボソームを回収し、フェノール処理とアルカリ加水分
解でリボソームに結合しているペプチジルtRNAから
生成ペプチドを遊離させた。回収された生成物を高速逆
相クロマトグラフィーで分析した結果、3H-Pheと14
-Gluの溶出位置には遊離の3H-Pheと14C-Gluと考え
られるピークが検出され、更に化学合成した標準Phe-
Glu-Phe-Gluの溶出位置には3H−Pheと14C−Glu
の両方の放射活性が検出された(図6)。この結果は、M
et-Phe-Glu-Phe-Gluのアミノ酸配列をコードする人
工mRNAを鋳型として、インビトロタンパク質合成系
で反応を行わせると、添加アミノ酸はアミノアシルtR
NAとしてリボソームおよびmRNAと共に複合体を形
成したが、その一部は更に伸長反応によってペプチド鎖
に成長し、結果としてmRNAにコードされているテト
ラペプチド、Phe-Glu-Phe-Gluが合成されたことを
示している。
【0044】D-2.逐次反応系でのペプチドの合成 次に、同一のmRNAを鋳型として逐次反応系を用い、
伸長反応サイクルを2回実施することによって、Phe-
Glu-Pheの逐次合成を試みた。開始反応サイクル(サイクル−0) :20μlの10倍濃
縮タンパク質合成用緩衝液に、2μlの3,500U/ml
ピルビン酸キナーゼ、20μlの20U/mlフェニルア
ラニン特異的tRNA(SIGMA CHEMICAL COMPANY)、2μl
の140U/μl リボヌクレアーゼインヒビター、20
μlの24mg/ml S100画分、10〜200Uの精製
リボソーム、40μlの40μM 合成mRNA、および
20μlの1mM フェニルアラニンを加え、H2Oで全量
を200μlとした。この混合物を37℃で15分間反
応させた。反応終了後、反応液をShodex PROTEIN KW-80
3カラム(8mmx30cm、2本組)による高速分子篩クロ
マトグラフィーによって分画し、リボソーム画分を得
た。次いで、リボソーム画分をセントリコン-30(グレ
ースジャパン株式会社)による遠心限外ろ過によって容
量約50μlまで濃縮した。得られた濃縮溶液を、リボ
ソーム−mRNA−フェニルアラニルtRNAPhe複合体
画分とした。
【0045】ペプチド伸長反応サイクル(サイクル−
1):サイクル−0で得られたリボソーム−mRNA−フ
ェニルアラニルtRNAPhe複合体画分に、20μlの1
0倍濃縮タンパク質合成用緩衝液、2μlの3,500U
/ml ピルビン酸キナーゼ、20μlの20U/ml グル
タミン酸特異的tRNA(SIGMA CHEMICAL COMPANY)、2
μlの140U/μl リボヌクレアーゼインヒビター、
20μlの24mg/ml S100画分、1μCiのL-[U-
14C]グルタミン酸(270mCi/mmol;アマシャム・ジ
ャパン株式会社)を加え、H2Oで全量を200μlとし
た。この混合物を37℃で15分間反応させた。反応終
了後、反応液をサイクル−0と同様に高速分子篩クロマ
トグラフィーによって分画し、リボソーム画分を得た。
次いで、リボソーム画分をセントリコン-30によって
容量約50μlまで濃縮した。得られた濃縮溶液を、リ
ボソーム−mRNA−フェニルアラニルグルタミックア
シジルtRNAGlu複合体画分とした。
【0046】ペプチド伸長反応サイクル(サイクル−
2):サイクル−1で得られたリボソーム−mRNA−フ
ェニルアラニルグルタミックアシジルtRNAGlu複合体
画分に、20μlの10倍濃縮タンパク質合成用緩衝
液、2μlの3,500U/ml ピルビン酸キナーゼ、2
0μlの20U/ml フェニルアラニン特異的tRNA(SI
GMACHEMICAL COMPANY)、2μlの140U/μl リボヌ
クレアーゼインヒビター、20μlの24mg/ml S10
0画分、1μCiのL-[2,3,4,5,6-3H]フェニルア
ラニン(130Ci/mmol;アマシャム・ジャパン株式会
社)を加え、H2Oで全量を200μlとした。この混合
物を37℃で15分反応させた。反応終了後、反応液を
高速分子篩クロマトグラフィーによって分画した。得ら
れたリボソーム画分を、リボソーム−mRNA−フェニ
ルアラニルグルタミックアシジルフェニルアラニルtR
NAPhe複合体画分とした。
【0047】終結反応サイクル(サイクル−END):サ
イクル−2で得られたリボソーム−mRNA−フェニル
アラニルグルタミックアシジルフェニルアラニルtRN
Phe複合体画分に、等量のTE飽和フェノール溶液を
加えて懸濁し、10,000xgで10分間遠心した。得
られた水相を更にクロロホルム/イソアミルアルコール
(24:1)で抽出した。得られた水相に2倍量の99%
エタノールを加え、−80℃で20分静置した。次い
で、10,000xgで10分間遠心してRNAを沈澱さ
せた。得られたRNA沈澱を100μlの0.1N KO
Hに溶解し、37℃で30分間処理することによってR
NAを加水分解した。反応終了後、反応混合液に100
μlの0.1N HClを添加して中和した。反応混合液を
μ-BONDASPHERE 5μ C18-300Å(3.9mmx15cm)カラ
ムに注入し、0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)を含む
12%から51%アセトニトリルの直線濃度勾配によっ
てフェニルアラニルグルタミックアシジルフェニルアラ
ニンを溶離した。溶出液は0.5mlずつ分取した。0.5
mlの各溶出液画分に2mlの液体シンチレーションカクテ
ルReady Gel(BECKMAN Instrument, Inc.)を添加して溶
解し、液体シンチレーションカウンター(BECKMAN Model
LS5000TD)によって放射活性を測定した。
【0048】上記の終結反応サイクルで回収された生成
物を高速逆相クロマトグラフィーで分析すると、連続反
応系の場合と同様に、3H-Pheと14C-Gluの溶出位置
に遊離の3H-Pheと14C-Gluと考えられるピークが検
出され、更に化学合成した標準Phe-Glu-Pheの溶出位
置には3H-Pheと14C-Gluの両方の放射活性が検出さ
れた(図7)。この結果は、逐次反応系においても、連続
反応系と同様に、添加アミノ酸は開始反応サイクルにお
いてアミノアシルtRNAとしてリボソームおよびmRN
Aと共に複合体を形成したが、その一部は更に伸長反応
サイクルにおいてペプチド鎖に成長し、結果としてmR
NAにコードされているトリペプチドPhe-Glu-Pheが
合成されたことを示すものである。
【0049】以上のように本実施例で得られた結果は、
予め決めた配列を有する人工mRNAとアミノアシルま
たはミスアミノアシルtRNAを用い、リボソームによ
るインビトロ逐次反応合成系を用いることによって、任
意のアミノ酸配列を有するペプチドを合成し得ることを
示すものである。
【0050】参考文献 1.F.C.McKay, W.F.Albertson, J.Am.Chem.Soc., 79,
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989)
【図面の簡単な説明】
【図1】 大腸菌由来リボソームを蔗糖密度勾配超遠心
法により分析した結果を示すグラフである。
【図2】 ポリウリジル酸の濃度を変えてインビトロで
タンパク質を合成したときの結果を示すグラフである。
【図3】 リボソーム−mRNA−アミノアシルtRNA
複合体を高速分子篩クロマトグラフィーにより分析した
結果を示すグラフである。
【図4】 リボソーム−mRNA−アミノアシルtRNA
複合体を蔗糖密度勾配超遠心法により分析した結果を示
すグラフである。
【図5】 リボソーム−mRNA−アミノアシルtRNA
複合体からフェノール抽出によって得られたRNA画分
を高速分子篩クロマトグラフィーにより分析した結果を
示すグラフである。
【図6】 インビトロタンパク質合成系において連続反
応により合成されたPhe-Glu-Phe-Gluを逆相クロマ
トグラフィーによって分析した結果を示すグラフであ
る。
【図7】 インビトロタンパク質合成系において逐次反
応により合成されたPhe-Glu-Pheを逆相クロマトグラ
フィーによって分析した結果を示すグラフである。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに異なる複数の遺伝子コドンに対応
    する複数のtRNAのそれぞれについて、対応の天然ア
    ミノ酸の結合したアミノアシルtRNAおよび非対応の
    天然もしくは非天然アミノ酸の結合したミスアミノアシ
    ルtRNAを用意し、該複数の遺伝子コドンの繰返し構
    造を持つ人工mRNAを鋳型として用意し、該mRNAお
    よびリボソームを含むインビトロのタンパク質合成系
    に、導入しようとするアミノ酸成分が結合したアミノア
    シルまたはミスアミノアシルtRNAのみを加え、逐次
    的に伸長反応させることを特徴とする、任意のアミノ酸
    配列を有するペプチドの合成法。
  2. 【請求項2】 目的ペプチドのN末端アミノ酸の結合し
    たアミノアシルまたはミスアミノアシルtRNAがリボ
    ソームおよびmRNAと複合体を形成する反応(開始反
    応)、リボソーム−mRNA−(ミス)アミノアシルtRN
    A複合体上で目的ペプチドの第2アミノ酸残基から逐次
    的にペプチド鎖を伸長する反応(伸長反応)、およびリボ
    ソーム−mRNA−ペプチジルtRNA複合体から目的ペ
    プチドを分離する反応(終結反応)の3つの反応サイクル
    からなる請求項1に記載のペプチド合成法。
  3. 【請求項3】 開始反応サイクルが、目的ペプチドのN
    末端アミノ酸の結合したアミノアシルまたはミスアミノ
    アシルtRNAがリボソームおよびmRNAと複合体を形
    成する反応、リボソーム−mRNA−(ミス)アミノアシ
    ルtRNA複合体の高速分子篩クロマトグラフィーによ
    る分離、およびリボソーム−mRNA−(ミス)アミノア
    シルtRNA複合体画分の限外ろ過法による濃縮の3つ
    のステップからなる請求項2に記載のペプチド合成法。
  4. 【請求項4】 伸長反応サイクルが、リボソーム−mR
    NA−ペプチジル[N個のアミノ酸よりなるペプチド(N
    は1またはそれ以上の整数である)]tRNA複合体上で
    (N+1)番目からM個のアミノ酸残基(Mは1〜63の
    整数である)を結合させるペプチド形成反応、リボソー
    ム−mRNA−ペプチジルtRNA複合体の高速分子篩ク
    ロマトグラフィーによる分離、およびリボソーム−mR
    NA−ペプチジルtRNA複合体画分の限外ろ過法によ
    る濃縮の3つのステップからなる請求項2に記載のペプ
    チド合成法。
  5. 【請求項5】 終結反応サイクルが、リボソーム−mR
    NA−ペプチジルtRNA複合体からのフェノール抽出
    とエタノール沈澱によるペプチジルtRNAの回収、R
    NAの加水分解による目的ペプチドの遊離、および目的
    ペプチドの高速逆相クロマトグラフィーによる精製の3
    つのステップからなる請求項2に記載のペプチド合成
    法。
  6. 【請求項6】 人工mRNAが、以下の配列: 【化1】[A12・・・・Am]n (配列中、mは2〜64の整数であり、nは1以上の整
    数であって、m×nは目的ペプチドのアミノ酸残基数に
    等しいかまたはそれ以上であり、A1、A2、・・・・お
    よびAmは互いに異なる遺伝子コドンである)を含むもの
    である請求項1に記載のペプチド合成法。
  7. 【請求項7】 ミスアミノアシルtRNAを用いる請求
    項1に記載のペプチド合成法。
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