JPH0782158B2 - ヘッドアップディスプレイ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は一般に乗物用のホログラ
フィックヘッドアップディスプレイ、特に周辺光による
ディスプレイの主画像ホログラムの疑似再構成を防止す
る保護ホログラムを備えたホログラフィックヘッドアッ
プディスプレイに関する。

【０００２】

【従来の技術】自動車等の車両のオペレータの視線内に
計器情報を提供するヘッドアップ車両計器ディスプレイ
が開発されている。ヘッドアップディスプレイシステム
に対する１つの方法では自動車の風防の内面に積層され
た、または自動車風防の層の間に内蔵された反射ホログ
ラムを備えている。反射ホログラムはそこに記録された
状態情報により動作し、関連した光源によって再構成ま
たは再生されるように設計されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ホログラフィックヘッ
ドアップディスプレイの反射ホログラムは狭い角度範囲
にわたる狭い波長帯域を有する再生照明に応答するよう
に設計され、それは太陽光、街灯または路面反射のよう
な別の照明の影響を受ける。したがって、意図された再
生照明以外の照明の結果、疑似的な再構成が可能であ
る。ディスプレイが状態情報を監視するために使用さ
れ、不要な散乱を生成し、さらに結果としてディスプレ
イを無視するので、このような疑似的な再構成は許容で
きない。

【０００４】したがって、周辺照明からの疑似再構成へ
の感度を減少し、ディスプレイのホログラムの透過率を
実質的に減少しない車両用のヘッドアップホログラフィ
ック計器ディスプレイを提供することは有効である。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記および別の利点は、
車両の前面の周辺シーンに対してオペレータの視界に配
置された透明な基体によって支持された主画像反射ホロ
グラムと、主画像ホログラムに再生照明を供給する光源
と、そうでなければ第１の反射ホログラムを疑似的にオ
ンにする周辺照明を実質的に回折する主画像ホログラム
の正面の保護ホログラムとを含み、保護ホログラムが典
型的に2.0 以上の光密度を持つ主画像ホログラムの角度
帯域幅およびスペクトル帯域幅を有するヘッドアップデ
ィスプレイにおいて提供される。保護ホログラムは平行
なフリンジ反射ホログラムまたは傾斜フリンジ反射ホロ
グラムであることができる。

【０００６】

【実施例】以下の詳細な説明およびいくつかの添付図面
において、同じ素子は同じ参照符号を付けられている。

【０００７】図１の（ｂ）は標準の車両用安全風防15の
層の間に支持された主画像ホログラム11および保護ホロ
グラム13を含む車両用のヘッドアップディスプレイシス
テム10を概略的に示し、保護ホログラム13はしたがって
風防の内面に最も近い主画像ホログラムの前面にある。
換言すると、車両の外側からの光は主画像ホログラムに
達するために保護ホログラム13を通過しなければならな
い。効率性および帯域幅を考えるために、保護ホログラ
ムは図１の（ｂ）に概略的に示されたように複数のホロ
グラム層13A を含むことができる。

【０００８】選択的に付勢された発光灯17および集束レ
ンズ19は主画像ホログラム11に再生照明を供給し、それ
によって車両オペレータによって見られることができる
再構成された画像11´が再生照明に応答する主画像ホロ
グラムによって生成されるための１つの手段である。発
光灯およびパラボラ反射器は、集束された再生照明を供
給するためのもう１つの手段である。例えば光放射ダイ
オード、レーザダイオードまたは遠隔の光源に結合した
光ファイバを含むその他多数の主照明源が使用されるこ
とができる。

【０００９】例えば、主画像ホログラム11は監視された
動作特性の予め定められた状態の指示を含む画像を生成
するために記録され、発光灯17はセンサが主画像ホログ
ラムに蓄積された指示の表示に適した状態を検出したと
きに付勢される。例示すると、主画像ホログラムに蓄積
された指示は車両燃料センサが予め定められたレベルよ
り低いものとして燃料レベルを検出したときに再構成さ
れる低燃料というワードであることができる。

【００１０】再構成された画像11´は説明のために特定
の位置に示されているが、それはホログラム記録プロセ
スにおいて定められる異なる位置および異なる角度で位
置されることができることが理解されるべきである。主
画像ホログラム11および保護ホログラム13の積層体は風
防15の内面に交互に固定されるか、或は分離した自立性
の透明なパネルであることができることも理解されるべ
きである。

【００１１】保護ホログラム13は、保護ホログラム13が
ないときにドライバーの目が適切に予測される空間中の
領域であるドライバーのアイボックス内で見られること
ができる疑似的な再構成を行わせるスペクトル成分およ
び入射角を有する周辺照明を反射または回折するように
構成されている。このような疑似的な再構成は傾斜し、
再構成を生じさせるスペクトル成分を有して主画像ホロ
グラム11に入射するように外側からホログラムに通過
し、反射面で反射する周辺照明の結果である。換言する
と、保護ホログラムはそのように保護ホログラムによっ
て反射または回折されない場合、ドライバーのアイボッ
クス内で見られることができる主ホログラム画像の疑似
的な再構成を生じさせる周辺照明を反射または回折する
ように構成されている。

【００１２】保護ホログラム13の機能は、図１と類似し
ているが保護ホログラムを持たないディスプレイシステ
ムを示し、本発明による保護ホログラムがないと疑似的
な再構成が生じる可能性が高いメカニズムを示す図２を
参照することによってさらに理解されることができる。
ホログラム画像を再構成するために要求される狭い波長
範囲を含む広帯域の周辺光のビームがドライバーのアイ
ボックス内で見られることができる再構成に適した入射
角範囲内で画像ホログラムに反射された照明を与えるよ
うに内側の風防／空気境界部における反射に適した角度
範囲内の画像ホログラム11A に入射した場合、ホログラ
ム画像の望ましくない再構成11A ´が発生する。望まし
くない再構成は車両オペレータに正しくない情報を提供
し、妨害物を構成し、さらに結果的に無視される状態指
示表示の確かさを欠如させる。

【００１３】本発明による適切な保護ホログラム13によ
り、そうでなければ望ましくない再構成を生じさせる周
辺光は図３および図４に示されたように反射されるか、
或は回折される。図３および図４において、周辺光ビー
ムは主画像ホログラムの疑似的再構成を生じさせる角度
で保護ホログラムに入射する。図３のディスプレイは平
行フリンジ保護ホログラムを含み、周辺光ビームは入射
角に等しい角度で回折される。図４のディスプレイは傾
斜フリンジ保護ホログラムを含み、周辺光は入射角と異
なる角度で回折される。

【００１４】傾斜フリンジを備えた保護ホログラムは傾
斜フリンジフレア（またはフリンジ破壊フレア）として
知られた現象の結果である潜在的な雑音問題があり、こ
れによって反射ホログラム光素子は虹の回折パターンを
生成することができる。パターンは傾斜角度およびフリ
ンジ間隔の関数であり、傾斜フリンジフレアを減少する
種々の技術があるが、それは完全に除去されることはで
きない。画像ホログラムが風防の内面に固定された場
合、疑似ターンオンを生じさせる重要な反射面は車両の
内側のホログラム／空気境界面である。

【００１５】保護ホログラム13は一般に周辺光の入射角
度および波長のある組合せで狭い帯域の回折ミラーとし
て動作する反射ホログラムである。ある状況下におい
て、保護ホログラムはそれらが標準的なミラーによって
反射されるのと同じ方向に光ビームを回折する平行フリ
ンジタイプ（ホログラムフリンジは基体面に平行であ
る）であることができる。他の状況において、所望のホ
ログラムは傾斜フリンジタイプである（ホログラムフリ
ンジは基体に関して傾斜されている）。傾斜フリンジ保
護ホログラムは反射の法則にしたがわない（すなわち、
反射角度は入射角度に等しくない）。いずれかの場合に
おいても、車両内からの照明の結果として風防またはそ
の近くにおける認識可能な画像は得られない。車両内か
らの照明の結果として乱反射が生じた場合、それは風防
において色付けされたミラーが生じたように見える。

【００１６】しかしながら、平行フリンジを持つ保護ホ
ログラムは小さな僅かな問題を生じさせる。所望の画像
を再構成する再生ビームの一部分は主な画像ホログラム
を通過し、ゴースト画像を再構成するように保護ホログ
ラムによって反射される。ほとんどの場合、このゴース
トはそれが存在していても問題にならない。事実、この
ゴーストは存在するであろうが観察されない。ゴースト
が問題である場合、その解決方法はホログラムを再構成
しない新しい角度で光を反射する保護ホログラムを使用
することである。５°以上傾斜されたホログラムフリン
ジはゴースト画像を再構成しないのに十分な角度で反射
する。

【００１７】保護ホログラムの機能上の特性は特に主画
像ホログラムを参照して限定される。主画像ホログラム
11はある特定の角度および在る特定の波長で再構成する
ように記録される。しかしながら、異なる入射角がある
別の波長に対してある別の観察角度において変形された
画像を生成する可能性があることはホログラムに関して
当然である。車両における再生源は指定された再構成角
度およびその近くで再生照明を提供するように構成され
ているため、再生照明源の結果として別の色の欠陥画像
による問題は生じない。しかしながら、太陽光はドライ
バーのアイボックス内で観察できる異なる太陽角度にお
ける異なる色画像だけでなく、正しい色画像を生成する
ことができる。したがって、保護ホログラム13はこれら
の両可能性に対して保護しなければならない。

【００１８】主画像ホログラムは多数の異なる角度およ
び多数に異なる波長で再構成するが、保護ホログラムは
車両オペレータのアイボックス内から見られることがで
きる再構成を生じさせる周辺光の波長および角度の組合
せに対してのみ有効であることが必要とされる。典型的
な自動車における適用である約±６°の角度を有し、ホ
ログラムの垂線から約72°に位置されたアイボックスに
おいて、再構成画像は構成角度に関して±８°外側であ
り、および、または１／２の50％帯域幅の各側上に10nm
を含む帯域の外側の波長を有する光によって生成されな
ければアイボックス内から観察されることはできない。

【００１９】一般に、保護ホログラムは主画像ホログラ
ムのピーク波長と同一のピーク波長および主画像ホログ
ラム再構成角に平行である反射ビームを生成するために
必要な周辺照明入射角によって限定される再構成角度に
対して構成される。さらに、保護ホログラムは主画像ホ
ログラム11より大きい角度帯域幅およびスペクトル帯域
幅を有している。保護ホログラムを構成する場合、特に
以下が考慮される： （ａ）主画像ホログラムの再構成角およびピーク波長。 （ｂ）アイボックスの寸法

【００２０】（ｃ）アイボックス内から観察されること
ができる再構成された画像を生成する再生照明の角度範
囲。これは、アイボックスの寸法だけでなく、主画像ホ
ログラムの帯域幅にもに依存している。上記で論じられ
た典型的な自動車の場合のアイボックス（約±６°の角
度であり、画像ホログラムに対する垂線から約72°で位
置された）に対して、また約20乃至25nmの典型的な画像
ホログラム帯域幅に対して、アイボックスを越えた付加
的な６°および約10nmだけ主画像ホログラム帯域幅より
大きい帯域幅に対する保護が必要である。 （ｄ）疑似的な再構成画像の強度における所望の減少
量。

【００２１】（ｅ）保護ホログラム記録材料における有
効な屈折率変調（例えば、0.04により低い場合）は、保
護ホログラムが多数のホログラム層を含み、それぞれ狭
い角度およびスペクトル帯域幅を有し、共に所望の値を
有する複合的なスペクトルおよび角度帯域幅を提供する
ことを要求する。

【００２２】例示すると、保護ホログラムは（ｉ）所望
される再構成角度およびピーク波長における少なくとも
99％のピーク効率、および（ii）アイボックス内から観
察されることができる主画像ホログラムの疑似再構成輝
度がピーク疑似再構成輝度（保護ホログラムがない場合
に、主画像ホログラム再構成角度と整列される反射され
た照明を生じさせる周辺照明によって生成される）の10
％である全ての角度および波長において少なくとも50％
の効率を有するように構成される。少なくとも99％のピ
ーク効率は2.0 以上の光密度によって達成される。

【００２３】本発明による保護ホログラムは疑似再構成
を著しく減少するが、それは入射した光の最小の減衰お
よび色歪みを生じさせる。特に、ホログラムに垂直な50
nmの帯域幅および再構成角度を有する保護ホログラムは
それに垂直な入来光の25％を減衰し、ドライバーの前方
の周辺シーン照明は垂線に対して大きい角度で入射す
る。このような大きい角度において、保護ホログラムは
実質的に可視光より短い波長を有する光だけを回折し、
したがって周辺シーン照明は実質的に減衰されずに、ま
た実質的に色歪みを生じることなく通過する。したがっ
て、風防に対して垂直に見たときにディープレッドであ
る保護ホログラムでも垂直なドライバー位置の範囲内か
ら見たとき周辺シーンを実質的に減衰しないか、或は色
歪みを生じさせない。

【００２４】図５は、一層または多数層の平行フリンジ
保護ホログラムの層の１つを記録するための記録構造を
概略的に示す。ホログラム記録フィルム111は、それに
垂直な集束された基準ビームＲＢおよび記録フィルムを
通過し、記録フィルム111 に平行なミラー113 によって
反射される基準ビームＲＢの一部分によって供給された
対象ビームＯＢに露出される。多数層保護ホログラムに
対して各層が僅かに異なる角度または波長で構成できる
ことが理解されるべきである。

【００２５】図６は傾斜フリンジ保護ホログラムまたは
多数層の保護ホログラムの層の１つを記録する記録構造
を概略的に示す。ホログラム記録フィルム111 は、それ
に垂直な集束された基準ビームＲＢおよび記録フィルム
を通過し、記録フィルム111に平行ではないプリズム面1
17 によって反射される基準ビームＲＢの一部分によっ
て供給された対象ビームＯＢに露出される。その代りと
して、対象ビームが記録フィルム111 に平行ではないミ
ラーを使用することによって生成されることができる。
多数層保護ホログラムに対して各層が僅かに異なる角度
または波長で構成できることが理解されるべきである。

【００２６】上記は、実質的にディスプレイのホログラ
ム素子の透過性を減少しない周辺照明からの疑似画像の
再構成への感度を減少した車両用のヘッドアップディス
プレイを示している。

【００２７】上記は本発明の特定の実施例の説明および
例示であるが、当業者は特許請求の範囲により限定され
ているような本発明の技術的範囲を逸脱することなく種
々の修正および変化を行うことが可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】保護ホログラムを含む本発明によるヘッドアッ
プディスプレイの概略図。

【図２】図１のヘッドアップディスプレイの動作を理解
することに役立つヘッドアップディスプレイの概略図。

【図３】平行フリンジ反射ホログラムを含む保護ホログ
ラムで構成されたときの動作を示す図１のヘッドアップ
ディスプレイの概略図。

【図４】傾斜フリンジ反射ホログラムを含む保護ホログ
ラムで構成されたときの動作を示す図１のヘッドアップ
ディスプレイの概略図。

【図５】図１のディスプレイにおいて使用するために平
行フリンジ保護ホログラムを記録する方法を示す概略
図。

【図６】図１のディスプレイにおいて使用するために傾
斜フリンジ保護ホログラムを記録する方法を示す概略
図。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ジョン・イー・リード アメリカ合衆国、カリフォルニア州 91016、モンロビア、エス・マウンテン・ ナンバー１ 1020 (72)発明者 ケビン・ユ アメリカ合衆国、カリフォルニア州 91780、テンプル・シティー、ゴールデン ウエスト・アベニュー 4910 (72)発明者 ジェームス・イー・スコット アメリカ合衆国、カリフォルニア州 90254、ハーモサ・ビーチ、アードモア・ アベニュー 2026

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 乗物の前面で周辺シーンのオペレータの
   視界内に支持された主画像ホログラムと、この主画像ホ
   ログラムの前面の保護ホログラムとを具備し、前記保護
   ホログラムは、それがないときに主画像ホログラムを疑
   似的に動作させることができる周辺照明を回折し、主画
   像ホログラムの角度帯域幅およびスペクトル帯域幅より
   も大きい角度帯域幅およびスペクトル帯域幅を有してい
   ることを特徴とするヘッドアップディスプレイ。
2. 【請求項２】 前記保護ホログラムは再構成角度で99％
   の効率を有し、主画像ホログラムの疑似再構成輝度がピ
   ーク疑似再構成輝度の約10％である角度および波長にお
   いては少なくとも50％の効率を有し、前記疑似再構成は
   前記保護ホログラムがないときの周辺照明の結果である
   請求項１記載のヘッドアップディスプレイ。
3. 【請求項３】 前記保護ホログラムは平行フリンジ反射
   ホログラムを具備している請求項２記載のヘッドアップ
   ディスプレイ。
4. 【請求項４】 前記保護ホログラムは2.0 以上の最適な
   光密度を有する平行フリンジ反射ホログラムを具備して
   いる請求項３記載のヘッドアップディスプレイ。
5. 【請求項５】 前記保護ホログラムは傾斜フリンジ反射
   ホログラムを具備している請求項２記載のヘッドアップ
   ディスプレイ。
6. 【請求項６】 前記保護傾斜フリンジ反射ホログラムは
   2.0 以上の最適な光密度を有している請求項５記載のヘ
   ッドアップディスプレイ。
7. 【請求項７】 前記保護ホログラムは前記保護ホログラ
   ムの前記角度帯域幅およびスペクトル帯域幅を提供する
   多数ホログラム層を具備している請求項２記載のヘッド
   アップディスプレイ。