JPH0781560A - 鉄道車両の車体傾斜装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 曲線路通過時に車体を一定条件のもとで強制
傾斜させる鉄道車両の車体傾斜装置を提供する。 【構成】 前後台車の各空気ばねの上下方向の伸縮によ
り車体制御を行う鉄道車両において、空気ばね３と車体
１の間に左右方向振動に対し緩衝能力を有する積層ゴム
４を設け、曲線路通過時に空気ばね３の上面が車体１に
働く重力と遠心力の合力と直交する方向に傾斜制御する
ように構成する。 【効果】 左右ストッパ当たりが原因となる左右振動緩
和の低下を起こすことなく、乗り心地を向上できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、曲線路通過時に車体
を一定条件のもとで強制傾斜させる鉄道車両の車体傾斜
装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】鉄道車両において、空気ばねの上下方向
の伸縮により車体傾斜する台車構造には、次の２種類が
ある。図５に示すボルスタ付ロングストローク空気ばね
方式のものは、台車枠２と揺れ枕１５の間の左右側に空
気ばね３が設けられており、この空気ばね３により上下
の振動緩和、車体傾斜および左右の振動緩和が行われ
る。そして、左右方向の大変位を防止するために、、台
車枠２と揺れ枕１５の間に左右のすきまが、それぞれ１
０〜２０ｍｍのゴム付のストッパ１３が設けられる。な
お、１４は車体１と揺れ枕１５との間に設けた心皿であ
る。

【０００３】図６に示すボルスタレス・ロングストロー
ク空気ばね方式のものは、台車枠２と車体１の間の左右
側に空気ばね３が設けられており、この空気ばね３によ
り台車のボギー、上下の振動緩和、車体傾斜および左右
の振動緩和が行われる。そして、左右方向の大変位を防
止するために、、台車枠２と車体１の間に左右のすきま
が、それぞれ１０〜２０ｍｍのゴム付のストッパ１３が
設けられる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記図６に示すボルス
タレス・ロングストローク空気ばね方式の車両が曲線路
上にあって図７に示すように車体が傾斜した場合、車体
１に作用する遠心力Ｆの軌道面左右方向の分力Ｆ₁＝Ｆ
ｃｏｓθと重力Ｗの軌道面左右方向の分力Ｆ₂＝Ｗｓｉ
ｎθが空気ばね３に作用する。

【０００５】その結果、Ｆ₁＞Ｆ₂の場合車体１が外軌側
へ横変位するが、乗り心地を良くするため設定した柔ら
かい空気ばね３の横剛性（ＫＬ＝５〜４０ｋｇｆ／ｍｍ
／１個）では、許容変位内（２０〜４０ｍｍ）で、その
作用力に対する反力を負担できない。そのため、左右動
ストッパ１３が接触し、ストッパで左右方向に加わる力
の大半を負担することになる。その結果、実質的な左右
方向ばね定数が５００〜２０００ｋｇｆ／ｍｍ／台車と
大きくなり、左右方向振動が大きく車体に伝わり、乗り
心地を悪化させる。

【０００６】この発明は、従来の空気ばねの上下方向伸
縮により車体傾斜する台車に見られる欠点を除くため、
改良された鉄道車両の車体傾斜装置を提供するものであ
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明の鉄道車両の車体傾斜装置は、前後台車の
各空気ばねの上下方向の伸縮により車体制御を行う鉄道
車両において、空気ばねと車体の間に左右方向振動に対
し緩衝能力を有する積層ゴムを設け、曲線路通過時に空
気ばねの上面が車体に働く重力と遠心力の合力と直交す
る方向に傾斜制御するように構成する。

【０００８】

【作用】車両が直線路上にあるときは、図１に示すよう
に、空気ばね３と車体１の間に設けた積層ゴム４は、水
平面上に直立している。

【０００９】そして、車両が曲線路上にあるときは、図
２に示すように、車体１は内軌側に傾く。このとき、空
気ばね３の上面は、強制車体制御により、重力Ｗと遠心
力Ｆの合力Ｐの作用線と直交する方向に傾斜制御され
る。したがって、空気ばね３の上面より上の積層ゴム４
と車体１には、この面に平行な床面左右方向加速度は働
かない。

【００１０】したがって、軌道不整等により生じる台車
の左右方向振動は、積層ゴム４の左右方向の緩衝能力に
より防振され、左右方向の乗り心地は著しく改善され
る。そして、曲線路通過時に生じる遠心力による車体１
の外軌側への移動は空気ばね３の左右変位により行われ
る。

【００１１】

【実施例】

実施例１ この発明をボルスタレス台車に適用した場合の実施例を
図１、図２に基づいて説明する。空気ばね３と車体１の
間に左右方向振動に対し緩衝能力を有する積層ゴム４を
設ける。図中の６は輪軸、７は軸箱、８は軸ばねであ
る。なお、図面には空気ばねの上下方向伸縮のための圧
空の給排気制御機構は省略したが、その一例を説明すれ
ば、各空気ばねには高さ検出器と圧力計が設置され、そ
の検出信号を制御器に入力するように設ける。また、元
空気溜めと各空気ばねを接続した配管の途中に給気弁を
設け、さらに他に設けた排気管に排気弁を設け、制御器
からの制御信号により給気弁と排気弁の開閉操作を行う
ように構成される。

【００１２】車両が曲線路上にあるときは、図２に示す
ように、車体１は内軌側に傾く。このとき、空気ばね３
の上面は、強制車体制御により、重力Ｗと遠心力Ｆの合
力Ｐの作用線と直交する方向に傾斜制御され、空気ばね
３の上面より上の積層ゴム４と車体１には、この面に平
行な床面左右方向加速度は働かない。

【００１３】そして、遠心力による車体１の外軌側への
移動は、空気ばね３の左右変位により行われる。

【００１４】実施例２ この発明を傾斜バリ付き台車に適用した場合の実施例を
図３、図４に基づいて説明する。図３に示すものは、傾
斜バリ５と車体１との間の左右側に積層ゴム４を設け、
その内方には上側左右動ストッパ９と左右動ダンパ１２
を設け、台車枠２と傾斜バリ５との間の左右側に一対の
空気ばね３を、その内方には下側左右動ストッパ１０を
設けてなる。この場合の遠心力による車体１の外軌側へ
の移動は、空気ばね３が左右方向剛性を有し、その左右
変位によりかつ下側左右動ストッパ１０により外軌側へ
の過度の片寄りを防ぐことができる。

【００１５】図４に示すものは、傾斜バリ５と台車枠２
との間の左右側に一対の空気ばね３を、その内方には左
右拘束リンク１１を設けてなる。そして、傾斜バリ５と
車体１との間には上記図３に示すものと同様に、積層ゴ
ム４と上側左右動ストッパ９および左右動ダンパ１２が
設けられている。この場合の遠心力による車体１の外軌
側への移動は、左右拘束リンク１１により拘束され、車
体の外軌側への片寄りは防止される。

【００１６】

【発明の効果】車体傾斜機能を持つ空気ばねの上に左右
振動を緩和する積層ゴムを設けた、この発明の車体傾斜
装置によれば、左右ストッパ当たりが原因となる左右振
動緩和の低下を起こすことなく、乗り心地を向上でき
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明をボルスタレス台車に適用した場合の
説明図である。

【図２】図１に示す車両が曲線路上にあるときの状態を
示す説明図である。

【図３】この発明を傾斜バリ付き台車に適用した場合の
説明図である。

【図４】この発明を傾斜バリ付き台車に適用した場合の
他の実施例の説明図である。

【図５】従来の車体傾斜装置を有するボルスタ付き台車
の説明図である。

【図６】従来の車体傾斜装置を有するボルスタレス台車
の説明図である。

【図７】図６の車両が曲線路上にあるときの状態を示す
説明図である。

【符号の説明】

１ 車体 ２ 台車枠 ３ 空気ばね ４ 積層ゴム ５ 傾斜バリ ６ 輪軸 ７ 軸箱 ８ 軸ばね ９ 上側左右動ストッパ １０ 下側左右動ストッパ １１ 左右拘束リンク １２ 左右動ダンパ １３ 左右動ストッパ １４ 心皿 １５ 揺れ枕

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 前後台車の各空気ばねの上下方向の伸縮
   により車体制御を行う鉄道車両において、空気ばねと車
   体の間に左右方向振動に対し緩衝能力を有する積層ゴム
   を設け、曲線路通過時に空気ばねの上面が車体に働く重
   力と遠心力の合力と直交する方向に傾斜制御するように
   構成したことを特徴とする鉄道車両の車体傾斜装置。