JPH0778608A - 電池用セパレータ及びその製造方法 - Google Patents

電池用セパレータ及びその製造方法

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JPH0778608A
JPH0778608A JP5221924A JP22192493A JPH0778608A JP H0778608 A JPH0778608 A JP H0778608A JP 5221924 A JP5221924 A JP 5221924A JP 22192493 A JP22192493 A JP 22192493A JP H0778608 A JPH0778608 A JP H0778608A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ニッケル・カドミウム電池等のアルカリ電池
用として好適な、厚み、通気性、強度がともに満足する
範囲内にある耐熱酸化性にすぐれた電池用セパレータを
提供する。 【構成】 m―アラミド長繊維不織シートからなる表層
部(A)の間にm―アラミドフィブリッドとm―アラミ
ド短繊維との混合物からなる中間層部(B)を挟み込む
ように積層し、熱圧加工により一体化した、厚さ0.1
〜0.3mm、通気度が10ml/cm2 ・sec以上
である積層構造体により構成された電池用セパレータ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な電池用セパレー
タ及びその製造方法に関するものである。更に詳細に
は、通気性、耐熱酸化性が良好で、機械的特性にも優れ
ており、アルカリ電池、特に高速充電式ニッケル・カド
ミウム電池用として好適な、新規な電池用セパレータ及
びそれを製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、電池用セパレータとしては、多
孔質のシートであること、電解液に侵されないこと、ガ
スやイオンが透過しやすいこと、そして密閉型電池の場
合には、電解液を吸収、保持する能力が高いこと等が求
められる。また、電池の製造上、セパレータは厚さが均
一でかつ出来るだけ薄いことが要求される。さらに、セ
パレータの加工性の観点から、十分な強度、強力等の機
械的特性を有することが望まれる。
【0003】このため、近年は、電池用セパレータとし
て、通気性、含浸性に富み、かつ必要な力学的特性を得
られる合成繊維の乾式不織布が用いられている(例え
ば、特開昭52―3120号公報、特開昭63―108
664号公報、特開昭63―108665号公報、特開
平4―56062号公報参照)。しかし、このような乾
式不織布は、厚さを均一にするのが難しく、特に厚さを
均一に薄くするのが非常に困難である。また、乾式不織
布は含浸性に富むが、必ずしも保液性が十分とは言い難
い。
【0004】また、現在、主として用いられている電池
用セパレータはナイロン6などの脂肪族ポリアミドやポ
リプロピレンなどのポリオレフィンからなる乾式不織布
であるが、これらは耐熱酸化性に乏しく、そのため急速
充電に際し、局部的に高温になると酸化分解が生じ、そ
の結果、いわゆるデンドライドによる短絡が生じ、電池
の寿命特性が劣化するという問題がある。
【0005】本発明者らは、従来の電池用セパレータに
みられる、このような問題を解決する手段として、先
に、m―アラミドフィブリッドとm―アラミド短繊維と
を混合抄造した紙状シートからなる厚み0.01〜0.
1mmの薄い電池用セパレータを提案した。
【0006】このセパレータは、従来の乾式不織布のよ
うな欠点がなく、保液性に優れかつ耐熱酸化性も良好で
あるが、厚みを大きくし強度を増大しようとすると通気
性が低下するため、厚み、通気性及び強度(強力)を同
時に満足できるものは得られず、その用途がイオン二次
電池等に限定されているのが実情である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】アルカリ電池、特にニ
ッケル・カドミウム電池用セパレータに要求される機能
としては、正極、負極の電気的に隔離できる十分な厚
み、過充電時に正極から発生する酸素ガスが通過するに
必要な通気性、そして良好な耐熱酸化性等があげられ
る。また、電池組立工程に耐え得る強度や強力等の機械
的特性も必要とされる。特に、急速充電を考慮すると、
セパレータの耐熱酸化性が今まで以上に要求される。
【0008】本発明は、厚み、通気性及び強度等を同時
に満足し、しかも、耐熱酸化性、保液性、含浸性等にも
優れた、アルカリ電池用として好適な新規な電池用セパ
レータを提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の課
題を解決すべく鋭意研究の結果、m―アラミドのフィブ
リドとm―アラミドの短繊維とを混合抄造した紙状シー
トを、同じくm―アラミドからなる長繊維不織シート間
に挟んで積層し、これを熱圧加工することによって、十
分な厚みを有し、かつ耐熱酸化性、通気性、機械的特性
に優れた電池用セパレータを構成し得ることを見いだ
し、本発明に到達した。
【0010】すなわち、本発明は、m―アラミド長繊維
不織シートからなる表層部(A)とm―アラミドフィブ
リッドとm―アラミド短繊維との混合物からなる中間層
部(B)とが、表層部(A)の間に中間層部(B)が存
在するように積層一体化された積層構造体からなり、か
つ、その厚みが0.1〜0.3mmであることを特徴と
する電池用セパレータ、特に、フラジール型通気度試験
機で測定される通気度が10ml/cm2 ・sec以上
であることを特徴とする電池用セパレータに係るもので
ある。
【0011】以下、本発明の電池用セパレータについて
詳細に説明する。
【0012】本発明のセパレータは、m―アラミド長繊
維不織シートからなる表層部(A)で、m―アラミドフ
ィブリッドとm―アラミド短繊維との混合物、好ましく
は湿式で混合抄造した紙状シートからなる中間層部
(B)を挟み込むよう、すなわち各層が(A)/(B)
/(A)の順に配置するように積層し、熱圧加工して一
体化したサンドイッチ状の不織布積層構造体で構成され
る。
【0013】ここで表層部(A)を構成するm―アラミ
ド長繊維不織シートとしては、m―アラミドの連続長繊
維からなるスパンレースが好適である。なお、本発明で
いう「m―アラミド」とは、ポリ―m―フェニレンイソ
フタルアミド又はm―フェニレンイソフタルアミドを主
たる繰返し単位とするコポリアミドを総称する。また、
長繊維とは、実質的に連続している繊維又は繊維長が比
較的大きい(例えば10cm以上の)切断繊維を総称す
る。また「スパンレース」とは高圧のウォータジェット
を用いて長繊維を互いに絡み合わせて薄い不織布状とし
たもので、実質的に接着剤を含まないものである。
【0014】本発明では、かかるスパンレースの他に、
トウ開繊法による長繊維不織布シートやその他の長繊維
不織シートも使用可能である。
【0015】表層部(A)を構成する不織シートとして
は、熱圧加工前の厚さが0.1〜0.3mm、目付が1
〜100g/m2 程度のものが好ましく用いられる。
【0016】一方、中間層(B)を構成する紙状シート
は、m―アラミドフィブリッドとm―アラミド短繊維と
の混合物からなるものである。ここで「フィブリッド」
とは、例えば特公昭35―11851号公報、特公昭3
7―5732号公報等に記載の方法によりm―アラミド
の溶液を攪拌しつつある水性凝固浴中に供給して沈殿さ
せて得られる抄造可能な合成パルプ粒子のことである。
また、m―アラミド短繊維としては、延伸熱処理したm
―アラミド繊維を繊維長3〜10mm程度にカットした
ものが用いられる。短繊維の太さは繊度にして1〜10
deのものが好ましい。また、該短繊維の断面形状は通
常の円形でもよいが、扁平でもよい。
【0017】中間層(B)におけるm―アラミドフィブ
リッドとm―アラミド短繊維との混合比率は、フィブリ
ッド/短繊維の重量比にして5/95〜40/60が好
ましい。
【0018】また、中間層(B)におけるm―アラミド
フィブリッドの坪量は1.0〜5.0g/m2 、m―ア
ラミド短繊維の坪量は5.0〜30g/m2 が適当であ
る。
【0019】本発明の電池用セパレータは、上述の如き
表層部(A)と中間層部(B)とを、(A)/(B)/
(A)の如く積層し、熱圧加工することにより、すなわ
ち接着剤を用いることなく、接合一体化し、全体の厚み
を0.1〜0.3mmに調整したものである。
【0020】この電池用セパレータは、フラジール型通
気度試験機により測定される通気度が10ml/cm2
・secより大であり、きわめて良好な通気性を有す
る。
【0021】ここで、通気性の測定は、フラジール型通
気度試験機を用い、試験片の表面差圧12.7mmAq
における空気の単位面積当たり、単位時間当たりの通気
量で表示される。
【0022】本発明の目的とするアルカリ電池、特にニ
ッケル・カドミウム電池用として好適な電池用セパレー
タは、厚みが0.1〜0.3mmであることが必要とさ
れ、同時に通気度が10ml/cm2 ・sec以上であ
ることが望まれており、かつ電池の組立に耐え得る十分
な強度をそなえることが要求されるが、従来はこのよう
な要求を全て満足し、しかも耐熱酸化性の良好な電池用
セパレータは存在しなかった。しかるに、本発明では、
上記(A)/(B)/(A)のサンドイッチ構造体とす
ることによって、初めて、厚み、通気性及び強度を同時
に満足する耐熱酸化性の電池用セパレータが実現した。
【0023】次に、上述の如き電池用セパレータの製造
法について詳細に説明する。
【0024】本発明の製造方法によれば、スパンレース
等のm―アラミド長繊維不織シートを抄紙機の抄造用金
網の上に設置し、その上に、m―アラミドフィブリッド
とm―アラミド短繊維とを水中に分散させた希薄スラリ
ーを供給して、長繊維不織シートの表面に坪量約1〜3
5g/m2 の紙状シートを形成し、更にその上をm―ア
ラミド長繊維シートで覆って、サンドイッチ構造の湿紙
を形成せしめ、これを乾燥して水分を除去した後、カレ
ンダーロールによって、熱圧加工することにより各層を
一体に接合すると共に全体の厚みを0.1〜0.3mm
に調整する。
【0025】この場合、長繊維不織シート上に供給する
水性スラリーにおけるm―アラミドフィブリッドとm―
アラミド短繊維の配合比は9/95〜40/60(重量
比)が好適であり、スラリー中のm―アラミドフィブリ
ッド濃度は0.01〜0.1(重量)%が好ましい。
【0026】上述の例は、m―アラミド長繊維不織シー
トの上に、m―アラミドフィブリッド及びm―アラミド
短繊維とを含む水性スラリーを供給して紙状シートを抄
造する方法であるが、湿式抄造する代りに、上記の水性
スラリーを長繊維不織シートの上にスプレーして、m―
アラミドフィブリッドとm―アラミド短繊維との混合層
を形成するようにしてもよい。
【0027】熱圧加工は、積層体を一対又は複数対のカ
レンダーロール間に通して行うが、その条件は、ロール
の表面温度を200〜320℃、線圧を50〜400k
g/cmとするのが適当である。この際、必要に応じ
て、熱圧加工前に積層体に可塑剤(例えば、アミド系溶
媒あるいはその水溶液)を散布、噴霧等により付与する
こともできる。熱圧加工の条件が上記の範囲を外れると
セパレータの強度と通気性とを両立させることが困難と
なる。
【0028】
【発明の効果】以上のような本発明によれば、通気度が
フラジール型通気度試験機で10ml/cm2 ・sec
より大で、きわめて良好であり、かつ、すぐれた耐熱酸
化性、保液性並びに機械的特性を兼ね備えた電池用セパ
レータが提供される。
【0029】したがって、この電池用セパレータは、ア
ルカリ電池、特に急速充電用ニッケル・カドミウム電池
等の電池セパレータとして特に有用である。
【0030】
【実施例】以下、実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説
明するが、本発明は、これにより何ら制限を受けるもの
ではない。
【0031】なお、強度の測定は、幅15mm、チャッ
ク間隔50mm、引張速度50mm/minで実施し
た。
【0032】
【実施例1】界面重合法で得た固有粘度1.35のポリ
―m―フェニレンイソフタルアミドを特公昭52―15
162号公報に記載の沈殿装置を用いてフィブリッドを
製造し、フィブリッドの濾水度をカナディアン濾水度で
200mlに調整した。このフィブリッドは特開昭63
―35877号公報に記載の方法に準じて処理した。
【0033】一方、同じポリマーを用い特公昭48―1
7551号公報に記載の方法に準じて2.0deのポリ
―m―フェニレンイソフタルアミド繊維を製造した。こ
の繊維の強度は5.1g/de、破断伸度は18%であ
った。この繊維を長さ6mmの短繊維に切断して使用し
た。
【0034】一方、同じポリマーから製造したポリ―m
―フェニレンイソフタルアミド長繊維からなるスパンレ
ース(目付27g/m2 、厚み0.173mm、通気性
350ml/m2 のもの)を準備した。
【0035】上記のフィブリッドと短繊維とを重量比1
/15の割合で混合し、水中に濃度0.03(重量)%
で分散させてスラリーとし、あらかじめ上記スパンレー
スを底部にセットしたタッピー型抄紙機を用いて250
mm×250mmの大きさの湿紙とした。さらにこの湿
紙上に同種のスパンレースを重ね合せ、搾水し、十分に
乾燥した。次いで、これをカレンダーロールにより温度
300℃、線圧200kg/cmで熱圧加工し、三層構
造からなる積層体を得た。
【0036】得られた積層体の坪量は79g/m2 、厚
みは0.18mm、通気度は40ml/cm2 ・sec
であり、強力は7kgf/15mm、強度は2kgf/
mm 2 であった。
【0037】この積層体は、アルカリ電池のセパレータ
として有用なものであった。
【0038】
【実施例2】実施例1と同じフィブリッドと短繊維とを
用い、フィブリッド/短繊維の重量比を1/15にし
て、実施例1と同様な方法でスパンレース上に抄造し、
250mm×250mmの大きさの湿紙を得た。この湿
紙上にさらにスパンレースを重ね合せ、搾水、十分に乾
燥した。次いで、これに可塑剤としてのN―メチル―2
―ピロリドン水溶液(以下NMP溶液と略す)を噴霧し
たのち、カレンダーロールにより300℃、線圧100
kg/cmで熱圧加工し、三層構造からなる積層体を得
た。
【0039】得られた積層体の坪量は77g/m2 、厚
みは0.17mm、通気性は15ml/cm2 ・sec
であり、強力は10kgf/15mm、強度は4kgf
/mm2 であった。
【0040】この積層体は、アルカリ電池のセパレータ
として有用なものであった。
【0041】
【比較例1】実施例1と同じフィブリッドと短繊維とを
用い、スパンレースを用いずに、フィブリッド/短繊維
の重量比を1/15にして、抄造し250mm×250
mmの大きさの湿紙を得た。この湿紙を、搾水、十分に
乾燥し、次いで、カレンダーロールにより300℃、線
圧200kg/cmで熱圧加工したが、強度がいちじる
しく低く、電池用セパレータとしては不適当なものしか
得られなかった。
【0042】
【比較例2】実施例1と同じフィブリッドのみを用い、
実施例1と同じ量のフィブリッドを計り、実施例1と同
様にしてフィブリッドをスパンレース上に抄造して湿紙
を得た。これを十分に乾燥させ、実施例1と同様の熱圧
加工を行ない積層体を得た。このものは通気性が1ml
/cm2 ・sec以下と低く、電池用セパレータとして
は不適当であった。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 m―アラミド長繊維不織シートからなる
    表層部(A)とm―アラミドフィブリッドとm―アラミ
    ド短繊維との混合物からなる中間層部(B)とが、表層
    部(A)の間に中間層部(B)が存在するよう積層一体
    化された積層構造体からなり、かつ、その厚みが0.1
    〜0.3mmであることを特徴とする電池用セパレー
    タ。
  2. 【請求項2】 フラジール型通気度試験機で測定される
    通気度が10ml/cm2 ・sec以上であることを特
    徴とする請求項1に記載の電池用セパレータ。
  3. 【請求項3】 中間層部(B)を構成する混合物におけ
    るm―アラミドフィブリッドとm―アラミド短繊維との
    配合比が5/95〜40/60(重量比)であることを
    特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電池用セパレ
    ータ。
  4. 【請求項4】 m―アラミド長繊維不織シートの上に、
    m―アラミドフィブリッドとm―アラミド短繊維とを含
    むスラリーを供給してm―アラミドフィブリッドとm―
    アラミド短繊維との混合物からなる層を形成せしめ、更
    にその上にm―アラミド長繊維不織シートを積層し、乾
    燥した後、熱圧加工することにより各層を一体化させ
    て、通気度が10ml/cm2 ・secより大きく、か
    つ厚みが0.1〜0.3mmの積層構造体を得ることを
    特徴とする電池用セパレータの製造方法。
  5. 【請求項5】 m―アラミド長繊維不織シート上に形成
    させる混合物層におけるm―アラミドフィブリッドの坪
    量を1.0〜5.0g/m2 、m―アラミド短繊維の坪
    量を5.0〜30g/m2 とすることを特徴とする請求
    項4に記載の電池用セパレータの製造方法。
  6. 【請求項6】 m―アラミド長繊維不織シート上に湿式
    抄造法によってm―アラミドフィブリッドとm―アラミ
    ド短繊維との混合物よりなる紙状シート層を形成させる
    ことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の電池用
    セパレータの製造方法。
  7. 【請求項7】 熱圧加工を、温度200〜320℃、線
    圧50〜400kg/cmで行うことを特徴とする請求
    項4、請求項5又は請求項6に記載の電池用セパレータ
    の製造方法。
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