JPH077784Y2 - ベルトの長さ調節具 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、バック、ベビーカー、またはスキーズボンな
どのベルト連結具として用いられる“ベルトの長さ調節
具”の改良、詳しくは、調節ベルトの長尺な帯状片を収
受するベルト装着体に対し当該調節ベルトを前後に往復
移動操作することによって、調節ベルトおよびベルト装
着体に連結固定したベルトの長さを簡単に、かつ容易に
調節できるベルトの長さ調節具に関するものである。

〔従来の技術、及び考案が解決しようとする課題〕

バック、ベビーカー、またはスキーズボンなどのベルト
連結具として用いられるベルト長さ調節具にあっては、
従来、着脱自在なバックルタイプのものが多く使用され
ていて、プラグのベルト連結杆に一方のベルトを縫着固
定し、ソケットに一体に形成した大略“日”字形のベル
トアジャスタに他方のベルトを長さ調節可能に巻き付け
ている。

ところで、スキースボンのサスペンダーに使用されてい
るバックルタイプのベルトの長さ調節具にあっては、通
常の着座・起立動作においてベルトに加わる引張力のみ
ならず、滑降中の屈伸運動、あるいは転倒した際にベル
トに衝撃的に加わる強力な引張力によりベルトアジャス
タに巻き付けたベルトが弛むことがあり、このような場
合、その都度、ベルトの長さを調節しなくてはならな
い。

しかしながら、上記のベルト長さ調節具においては、ベ
ルトの長さを調節する際に、ベルトアジャスタの中央の
ベルト係止杆部分でベルト同士が接触していることか
ら、その摩擦力によりベルトチップを引っ張っても簡単
に引き出すことができず、それ故、ベルト本体側をベル
トアジャスタ側に押し込んでベルトを弛め、次いで、ベ
ルトチップを引き出すという面倒な操作が強いられてい
たのが実情である。

本考案は、従来のバックルタイプのベルトの長さ調節具
に上述したような難点があったことに鑑みて為されたも
のであって、ベルトが弛んだ場合のベルトの長さ調節操
作を簡単に、かつ容易に行うことのできる新規なベルト
の長さ調節具を提供することを技術的課題とするもので
ある。

〔課題を解決しようとする手段〕

本考案が上記技術的課題を解決するために採用した手段
を、添付図面を参照して説明すれば、次のとおりであ
る。

即ち、本考案によれば、帯状片（12）を有する調節ベル
ト（１）と、この調節ベルト（１）の帯状片（12）を当
該帯状片（12）の長手方向において前後移動可能に収受
する貫通ガイド穴（21a）を設けたベルト装着体（２）
とから成り、前記調節ベルト（１）の帯状片（12）に当
該帯状片（12）の長手方向に沿って形成した並列する複
数の係止孔（12a）と噛合係止可能なスプロケット（2
2）を前記ベルト装着体（２）に回転自在に軸支し、か
つ前記ベルト装着体（２）にスプロケット（22）の回転
を規制するストッパ（23）を揺動自在に軸着して、この
ストッパ（23）をスプロケット（22）と係止した状態に
ロックするバネ部材（24）に連繋させるという手段を採
用することによって、上述の技術的課題を解決したので
ある。

〔作用〕

上記のように構成されたベルトの長さ調節具は、ベルト
装着体（２）のストッパ（23）をバネ部材（24）の附勢
力に抗して圧下することによって、ストッパ（23）とス
プロケット（22）とのロック状態が解除され、この状態
で調節ベルト（１）をベルト装着体（２）の貫通ガイド
穴（21a）より所望のベルト長さ分だけ前後に移動した
後に、前記ストッパ（23）をスプロケット（22）に係止
させればよい。

〔実施例〕

以下、本考案を添附図面に示す実施例に基づいて、更に
詳しく説明する。

図面中、符号（１）にて支持するものは調節ベルト、符
号（２）はベルト装着体であって、これら調節ベルト
（１）およびベルト装着体（２）は用途に応じて硬質性
合成樹脂材料、または金属材料により作製されている。

調節ベルト（１）は、第１図に示すように、ベルト連結
部（11）の前方の略中央に幅狭で、かつ長尺な帯状片
（12）を有して全体が薄板の鍵形に形成されている。ベ
ルト連結部（11）には、その後方側に開設したベルト通
し穴（11a）にベルト（V1）の端部を挿入してベルト本
体側に折り返し縫着固定することによって一方のベルト
（V1）が装着される。帯状片（12）には、その長手方向
に並列し表裏面に貫通する複数の係止孔（12a）が幅員
方向の両側に形成してある。

ベルト装着体（２）は、ベルト受け本体（21）、スプロ
ケット（22）、ストッパ（23）およびバネ部材（24）と
から成っている。

ベルト受け本体（21）は、第１図乃至第３図に示すよう
に、前記調節ベルト（１）の帯状片（12）よりも短い矩
形状に作製されていて、その幅員方向の略中央に前後方
向へ貫通する貫通ガイド穴（21a）が形成してある。そ
して、このベルト受け本体（21）には、貫通ガイド穴
（21a）の後方側の下端部に設けたベルト連結杆（21b）
にベルト（V2）の端部を巻き付けベルト本体側に折り返
し縫着固定することによって他方のベルト（V2）が装着
される。

スプロケット（22）は、ベルト受け本体（21）の後方側
において表板（21c）に開設した装着窓（21d）内に配置
され当該表板（21c）に突設した一対の保持片（21e,21
e）に回転自在に軸支されている。このスプロケット（2
2）は、小径の軸部（22a）と当該軸部（22a）の両端に
形成した大径のギヤ部（22b,22b）とから成っていて、
軸部（22a）の周囲において当該軸部（22a）の軸心方向
に沿う如く形成した複数状の嵌入溝（22a1）に後述する
ストッパ（23）が係止し、かつ前記調節ベルト（１）の
帯状片（12）の係止孔（12a）にギヤ部（22b）の放射状
の係止突起（22b1）が噛合係止する。

ストッパ（23）は、ベルト受け本体（21）の前方側にお
いて表板（21c）に形成した凹部（21f）上に配置されて
前記両保持片（21e,21e）に揺動自在に軸着されてい
る。このストッパ（23）は、先端の裏面にスプロケット
（22）の軸部（22a）の嵌入溝（22a1）に係止する突起
（23a）を形成し、後端部分をベルト受け本体（21）の
凹部（21f）内に弾装したバネ部材（24）の附勢力によ
り、即ち、圧縮コイルバネの附勢力により上方に押し上
げることによって、スプロケット（22）の回転を規制す
る。

かゝる構成の本実例品は、調節ベルト（１）およびベル
ト装着体（２）のベルト受け本体（21）に装着したベル
ト（V1,V2）の長さを調節するに際し、ストッパ（23）
の後端部をバネ部材（24）の附勢力に抗して押し下げる
ことにより、ストッパ（23）の突起（23a）をスプロケ
ット（22）の軸部（22a）の嵌入溝（22a1）より離脱せ
しめ、これにより調節ベルト（２）の帯状片（12）の係
止孔（12a）にギヤ部（22b）の係止突起（22b1）を噛合
係止させたスプロケット（22）の回転が許容される。し
かして、この状態で調節ベルト（１）の帯状片（12）を
ベルト装着体（２）のベルト受け本体（21）の貫通ガイ
ド穴（21a）より所望のベルト長さ調節分だけ引き出す
か、または帯状片（12）をベルト受け本体（21）の貫通
ガイド穴（21a）に所望のベルト長さ調節分だけ押し込
むかしてベルト（V1,V2）の長さを調節した後に、前記
ストッパ（23）の突起（23a）を再びスプロケット（2
2）の軸部（22a）の嵌入溝（22a1）に係止させることに
よりベルト（V1,V2）の長さ調節操作が完了する。

第４図および第５図は、本実施例品の変形例を示してい
て、ベルト装着体（２）を着脱自在なプラグ（３）とソ
ケット（４）とから成るバックルに作製したものであ
る。

プラグ（３）は、前方に係止舌片（31）を有するプラグ
本体（32）の後方側の下端にベルト連結杆（33）を形成
し、このベルト連結杆（33）とプラグ本体（32）との間
を前後方向に貫通する貫通ベルト穴（34）としている。
この貫通ベルト穴（34）には、軟質性合成樹脂材料によ
り作製した上記調節ベルト（１）の帯状片（12）がプラ
グ本体（32）の後方側より挿入される。この変形例に使
用される調節ベルト（１）は、帯状片（12）の幅員方向
の中央に当該帯状片（12）の長手方向に沿って延びる長
穴（12b）を形成したものが用いられる。この長穴（12
b）内には、帯状片（12）のベルトチップを固定した鋲
（13）がスライド自在に嵌着されており、これにより、
調節ベルト（１）の長さ調節が長穴（12b）の規定長の
範囲内で行えるようになっている。前記プラグ本体（3
2）には、上記スプロケット（22）、ストッパ（23）お
よびバネ部材（24）が配設されていて、これらはいずれ
も第１実施例のものと同様に機能する。

ソケット（４）は、後方にベルト連結杆（41）を有する
チャンネル形のソケット本体（42）と、このソケット本
体（42）の表側に配置され当該ソケット本体（42）の両
側壁（42a,42a）に揺動自在に軸支した掛止プレート（4
3）とから成っていて、掛止プレート（43）の先端裏面
に設けた突条（43a）がプラグ（３）の係止舌片（31）
に係止するよう当該掛止プレート（43）の裏面後端部側
に圧縮コイルバネ（44）を弾装している。

しかして、上述のプラグ（３）とソケット（４）を分離
する場合、ソケット（４）の掛止プレート（43）の後端
部を圧縮コイルバネ（44）の押し下げて当該掛止プレー
ト（43）の突条（43a）とプラグ（３）の係止舌片（3
1）との係合を解き、この状態でプラグ（３）をソケッ
ト（４）より引き出せばよい。

そして、変形例品のベルトの長さ調節具にあっては、プ
ラグ（３）のベルト連結杆（33）に巻き付けた調節ベル
ト（１）のベルト連結部（11）に一方のベルト（V1）が
縫着固定され、ソケツト（４）のベルト連結杆（41）に
他方のベルト（V1）が巻着されていて、これらベルト
（V1,V2）の長さを調節するに際し、プラグ（３）に配
置したストッパ（23）の後端部をバネ部材（24）の附勢
力に抗して押し下げることにより、ストッパ（23）の突
起（23a）をスプロケット（22）の軸部（22a）の嵌入溝
（22a1）より離脱せしめ、これにより調節ベルト（２）
の帯状片（12）の係止孔（12a）にギヤ部（22b）の係止
突起（22b1）を噛合係止させたスプロケット（22）の回
転が許容される。しかして、この状態で調節ベルト
（１）の帯状片（12）をプラグ（３）側に所望のベルト
長さ調節分だけ押し込むか、または帯状片（12）を一方
のベルト（V1）側に引き出すかしてベルト（V1,V2）の
長さを調節した後に、前記ストッパ（23）の突起（23
a）を再びプロケット（22）の軸部（22a）の嵌入溝（22
a1）に係止させることによりベルト（V1,V2）の長さ調
節操作が完了する。

本実施例のベルトの長さ調節具は、概ね上記のように構
成されているが、本考案は前述した実施例に限定される
ものでは決してなく、「実用新案登録請求の範囲」の記
載内において種々の変更が可能である。例えば、ベルト
挿着体（２）のベルト受け本体（21）に弾装したバネ部
材（24）の圧縮コイルバネに代えてねじりコイルバネを
使用し、このねじりコイルバネをストッパ（23）の軸
（23c）に巻装して当該ストッパ（23）の後端部を上方
側に附勢せしめる如く構成するようなことは本考案の技
術的範囲に当然に属する。

〔考案の効果〕

以上、実施例に挙げて説明したとおり、本考案によれ
ば、ベルト装着体に調節ベルトの帯状片を当該帯状片の
長手方向において前後移動可能に収受する貫通ガイド穴
を形成し、かつ前記ベルト装着体に調節ベルトの帯状片
に当該帯状片の長手方向に沿って形成した並列する複数
の係止孔と噛合係止可能なスプロケットを回転自在に軸
支する一方、前記ベルト装着体にスプロケットの回転を
規制するストッパを揺動自在に軸着し、更に前記ストッ
パをスプロケットと係止した状態にロックするバネ部材
に連繋させるよう構成したので、ストッパをバネ部材の
附勢力に抗し圧下してストッパとスプロケットとのロッ
ク状態を解除すれば調節ベルトの長さ調節が可能になる
ことから、従来のような面倒な操作を必要とせず簡単
に、かつ容易に、ベルトの長さ調節ができる。

また、ストッパをバネ部材の附勢力によりスプロケット
に係止させて当該スプロケットの回転を規制しているだ
けの構造であるので、通常の着座・起立動作においてベ
ルトに作用する弱い引張力によりストッパとスプロケッ
トとのロック状態が解除されるということがなく、日常
的な動作によるベルトの弛みを完全なまでに防止するこ
とができる。その上、スプロケットがベルト装着体に回
転自在に取付けてあるので、ベルトに強力な引張力が作
用した場合、スプロケットに対するストッパのロック状
態が自然に解かれ、よって、ストッパの損壊といった最
悪の事態を回避することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るベルト長さ調節具のベルト装着体
と調節ベルトとを結合した状態の平面図、 第２図は同ベルト長さ調節具の中央縦断面図、 第３図は第１図のIII−III線断面図、 第４図および第５図は同ベルト長さ調節具の変形例の説
明図であって、第４図はプラグとソケットとを結合し、
かつプラグに調節ベルトを巻着した状態を表わす平面
図、第５図は第４図のベルト長さの調節具の中央縦断面
図である。 （１）：調節ベルト、（12）：帯状片、（12a）：係止
孔、（２）：ベルト装着体、（22）：スプロケット、
（23）：ストッパ、（24）：バネ部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】帯状片（12）を有する調節ベルト（１）
   と、この調節ベルト（１）の帯状片（12）を当該帯状片
   （12）の長手方向において前後移動可能に収受する貫通
   ガイド穴（21a）を設けたベルト装着体（２）とから成
   り、前記調節ベルト（１）の帯状片（12）に当該帯状片
   （12）の長手方向に沿って形成した並列する複数の係止
   孔（12a）と噛合係止可能なスプロケット（22）を前記
   ベルト装着体（２）に回転自在に軸支し、かつ前記ベル
   ト装着体（２）にスプロケット（22）の回転を規制する
   ストッパ（23）を揺動自在に軸着して、このストッパ
   （23）をスプロケット（22）と係止した状態にロックす
   るバネ部材（24）に連繋せしめたことを特徴とするベル
   トの長さ調節具。