JPH0775573A - ヒトカテプシンの製造法および該酵素含有製剤 - Google Patents
ヒトカテプシンの製造法および該酵素含有製剤Info
- Publication number
- JPH0775573A JPH0775573A JP5172468A JP17246893A JPH0775573A JP H0775573 A JPH0775573 A JP H0775573A JP 5172468 A JP5172468 A JP 5172468A JP 17246893 A JP17246893 A JP 17246893A JP H0775573 A JPH0775573 A JP H0775573A
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- JP
- Japan
- Prior art keywords
- human
- cathepsin
- human cathepsin
- enzyme
- mouse myeloma
- Prior art date
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- Withdrawn
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-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F02—COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
- F02B—INTERNAL-COMBUSTION PISTON ENGINES; COMBUSTION ENGINES IN GENERAL
- F02B2275/00—Other engines, components or details, not provided for in other groups of this subclass
- F02B2275/14—Direct injection into combustion chamber
Landscapes
- Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
- Enzymes And Modification Thereof (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】ヒトカテプシンの製造法および該酵素を含有す
る椎間板ヘルニアの治療剤を提供する。 【構成】ヒトカテプシンを該酵素をコードするDNAを
保持するベクターで形質転換した動物細胞より産生させ
た。また、ヒトカテプシンは、哺乳動物の椎間板髄核の
溶解に利用できる。 【効果】本発明によるとヒトカテプシンを高純度に大量
製造できる。また、本発明のヒトカテプシンを含有する
製剤は、哺乳動物の椎間板髄核を適切に溶解するので、
その結果椎間板ヘルニアの治療に使用可能である。
る椎間板ヘルニアの治療剤を提供する。 【構成】ヒトカテプシンを該酵素をコードするDNAを
保持するベクターで形質転換した動物細胞より産生させ
た。また、ヒトカテプシンは、哺乳動物の椎間板髄核の
溶解に利用できる。 【効果】本発明によるとヒトカテプシンを高純度に大量
製造できる。また、本発明のヒトカテプシンを含有する
製剤は、哺乳動物の椎間板髄核を適切に溶解するので、
その結果椎間板ヘルニアの治療に使用可能である。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ヒトカテプシンの製造
法および該酵素を含有する椎間板ヘルニア治療剤に関す
る。
法および該酵素を含有する椎間板ヘルニア治療剤に関す
る。
【0002】
【従来の技術】椎間板ヘルニアは、腰椎下部や頸椎にお
こりやすく、坐骨神経痛、上肢の神経痛などの症状がみ
られる疾患である。椎間板の変性が始まり、線維輪の弾
力性が弱まった時期に、椎間板に強い圧力が加わると、
線維輪の亀裂から髄核が外に押し出される。この状態が
椎間板ヘルニアで、馬尾脊髄や脊髄から分岐した神経根
が脱出した椎間板によってそれらが圧迫され、また神経
根やその周囲に炎症が生じて痛みなどの症状がおこる。
従来、椎間板ヘルニアの治療法としては、痛みの激しい
急性期には消炎鎮痛剤や筋弛緩剤などの投与によって痛
みを和らげる方法が、また慢性化すると牽引療法、温熱
療法、運動療法が行われるが、保存療法の効果がない場
合には多くは手術療法が選択される。
こりやすく、坐骨神経痛、上肢の神経痛などの症状がみ
られる疾患である。椎間板の変性が始まり、線維輪の弾
力性が弱まった時期に、椎間板に強い圧力が加わると、
線維輪の亀裂から髄核が外に押し出される。この状態が
椎間板ヘルニアで、馬尾脊髄や脊髄から分岐した神経根
が脱出した椎間板によってそれらが圧迫され、また神経
根やその周囲に炎症が生じて痛みなどの症状がおこる。
従来、椎間板ヘルニアの治療法としては、痛みの激しい
急性期には消炎鎮痛剤や筋弛緩剤などの投与によって痛
みを和らげる方法が、また慢性化すると牽引療法、温熱
療法、運動療法が行われるが、保存療法の効果がない場
合には多くは手術療法が選択される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】椎間板ヘルニアの急性
期には痛みが激しいので消炎鎮痛剤を内服して安静にす
る保存的治療法がとられる。急性期の激しい痛みや炎症
が軽くなってもヘルニアが消失するわけではない。その
他の保存療法として、牽引療法や腰や足の痛む部分を温
めることによって硬くなった筋肉を柔らかくする温熱療
法や、腹筋や背筋などを強化する腰痛体操などが行われ
る。前述の如く、保存療法が効果を示さない時は手術的
に椎間板摘出が行われる。外国、特に米国、カナダで
は、椎間板ヘルニアの治療に植物由来のプロテアーゼの
一種であるキモパパインが使われている。これは化学的
に椎間板を融解し、椎間板内圧を下げて神経組織への圧
迫を軽減することを目的に行われるが、異種蛋白質であ
るためにアナフィラキシーショックなどの副作用が問題
になっている。これを解決するために、副作用が少なく
より効果的な薬剤の開発が望まれている。一方、カテプ
シンの製造法としては、ヒトカテプシンLやSをコード
するcDNAの大腸菌による発現が知られているのみで
あって、他の宿主、たとえば動物細胞による生産法は実
現されていない。
期には痛みが激しいので消炎鎮痛剤を内服して安静にす
る保存的治療法がとられる。急性期の激しい痛みや炎症
が軽くなってもヘルニアが消失するわけではない。その
他の保存療法として、牽引療法や腰や足の痛む部分を温
めることによって硬くなった筋肉を柔らかくする温熱療
法や、腹筋や背筋などを強化する腰痛体操などが行われ
る。前述の如く、保存療法が効果を示さない時は手術的
に椎間板摘出が行われる。外国、特に米国、カナダで
は、椎間板ヘルニアの治療に植物由来のプロテアーゼの
一種であるキモパパインが使われている。これは化学的
に椎間板を融解し、椎間板内圧を下げて神経組織への圧
迫を軽減することを目的に行われるが、異種蛋白質であ
るためにアナフィラキシーショックなどの副作用が問題
になっている。これを解決するために、副作用が少なく
より効果的な薬剤の開発が望まれている。一方、カテプ
シンの製造法としては、ヒトカテプシンLやSをコード
するcDNAの大腸菌による発現が知られているのみで
あって、他の宿主、たとえば動物細胞による生産法は実
現されていない。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を進めた結果、ヒトカテプシンが椎間板ヘルニアに対す
る治療効果を有することを見いだした。特に、遺伝子工
学的に動物細胞で生産されたヒトカテプシンLやヒト細
胞株由来のカテプシンLは椎間板ヘルニアの治療に適し
ていることを明らかにし、本発明を完成した。本発明
は、ヒトカテプシンを含有する椎間板ヘルニア治療剤で
ある。また、本発明は、ヒトカテプシンをコードするD
NAを保持する動物細胞を培養し、該酵素を培養物中に
生成蓄積せしめ、これを採取することを特徴とするヒト
カテプシンの製造方法を提供するものである。本発明の
製剤で用いられるヒトカテプシンとしては、カテプシン
A,B,C,D,E,F,G,H,L,SあるいはTな
どが挙げられる。また、これらのヒトカテプシンは天然
型でもよく、ムテインでもよい。これらの中でも分子量
が約20,000〜約40,000のものが好ましく用
いられる。本発明の製剤においては、上記のヒトカテプ
シンの中でもカテプシンLまたはSが好ましく用いられ
る。ヒトカテプシンLまたはSとしては、遺伝子工学的
手法で製造されたものやヒト細胞株の産生するものが挙
げられる。
を進めた結果、ヒトカテプシンが椎間板ヘルニアに対す
る治療効果を有することを見いだした。特に、遺伝子工
学的に動物細胞で生産されたヒトカテプシンLやヒト細
胞株由来のカテプシンLは椎間板ヘルニアの治療に適し
ていることを明らかにし、本発明を完成した。本発明
は、ヒトカテプシンを含有する椎間板ヘルニア治療剤で
ある。また、本発明は、ヒトカテプシンをコードするD
NAを保持する動物細胞を培養し、該酵素を培養物中に
生成蓄積せしめ、これを採取することを特徴とするヒト
カテプシンの製造方法を提供するものである。本発明の
製剤で用いられるヒトカテプシンとしては、カテプシン
A,B,C,D,E,F,G,H,L,SあるいはTな
どが挙げられる。また、これらのヒトカテプシンは天然
型でもよく、ムテインでもよい。これらの中でも分子量
が約20,000〜約40,000のものが好ましく用
いられる。本発明の製剤においては、上記のヒトカテプ
シンの中でもカテプシンLまたはSが好ましく用いられ
る。ヒトカテプシンLまたはSとしては、遺伝子工学的
手法で製造されたものやヒト細胞株の産生するものが挙
げられる。
【0005】次に、ヒトカテプシンのムテインとして
は、アミノ酸の付加、構成アミノ酸の欠損、あるいは他
のアミノ酸への置換などによって、本酵素の活性を失わ
ないことを条件として元の蛋白質の全8個のシステイン
残基および163位のヒスチジン残基を除くアミノ酸配
列を変異させたものが挙げられる。アミノ酸の付加とし
ては、ヒトカテプシンに少なくとも1個のアミノ酸が付
加しているムテインが挙げられるが、該ムテインにおけ
る付加アミノ酸には、ペプチドを発現する際に用いられ
る開始コドンに起因するメチオニンやシグナルペプチド
は含まれないものとする。付加アミノ酸の数としては、
少なくとも1個であるが、ヒトカテプシンの活性を失わ
ない限り何個でもよい。構成アミノ酸の欠損としては、
ヒトカテプシンの少なくとも1個のヒトカテプシン構成
アミノ酸が欠失しているムテインが挙げられ、欠損して
いる構成アミノ酸の数としては、ヒトカテプシンの活性
を失わない限り何個でもよい。他のアミノ酸への置換と
しは、ヒトカテプシンの少なくとも1個のヒトカテプシ
ン構成アミノ酸が別のアミノ酸で置換されているムテイ
ンが挙げられ、置換される前のヒトカテプシン構成アミ
ノ酸の数としては、少なくとも1個であるがヒトカテプ
シンの活性を失わない限り何個でもよい。該ムテイン
は、付加、欠損および置換の変異が2つ以上組み合わさ
ったものでもよい。また、元の蛋白質のアミノ酸配列の
1〜3カ所を置換または欠損させるのが一般的である。
上記のムテインとしては、ヒトカテプシンLまたはSの
ムテインが好ましく用いられる。
は、アミノ酸の付加、構成アミノ酸の欠損、あるいは他
のアミノ酸への置換などによって、本酵素の活性を失わ
ないことを条件として元の蛋白質の全8個のシステイン
残基および163位のヒスチジン残基を除くアミノ酸配
列を変異させたものが挙げられる。アミノ酸の付加とし
ては、ヒトカテプシンに少なくとも1個のアミノ酸が付
加しているムテインが挙げられるが、該ムテインにおけ
る付加アミノ酸には、ペプチドを発現する際に用いられ
る開始コドンに起因するメチオニンやシグナルペプチド
は含まれないものとする。付加アミノ酸の数としては、
少なくとも1個であるが、ヒトカテプシンの活性を失わ
ない限り何個でもよい。構成アミノ酸の欠損としては、
ヒトカテプシンの少なくとも1個のヒトカテプシン構成
アミノ酸が欠失しているムテインが挙げられ、欠損して
いる構成アミノ酸の数としては、ヒトカテプシンの活性
を失わない限り何個でもよい。他のアミノ酸への置換と
しは、ヒトカテプシンの少なくとも1個のヒトカテプシ
ン構成アミノ酸が別のアミノ酸で置換されているムテイ
ンが挙げられ、置換される前のヒトカテプシン構成アミ
ノ酸の数としては、少なくとも1個であるがヒトカテプ
シンの活性を失わない限り何個でもよい。該ムテイン
は、付加、欠損および置換の変異が2つ以上組み合わさ
ったものでもよい。また、元の蛋白質のアミノ酸配列の
1〜3カ所を置換または欠損させるのが一般的である。
上記のムテインとしては、ヒトカテプシンLまたはSの
ムテインが好ましく用いられる。
【0006】本発明でいうヒトカテプシンおよびそのム
テインは、既知のヒト細胞株をスクリーニングしてヒト
カテプシンを産生する株を取得し、該細胞株より取得す
ることができる。また、ヒトカテプシンをコードするc
DNAを用いて遺伝子工学的手法で製造することができ
る。例えば、ヒトカテプシンをコードするcDNAとし
ては既報〔S. GalとM.M. Gottesman、バイオケミカル
ジャーナル(Biochem.J.),第253巻, 第303頁 (1988)〕
記載のものを用いることができる。本発明の製造法にお
いては、該cDNAを動物培養細胞で発現させてヒトカ
テプシンを得ることができる。すなわち、本発明は、
(1)既報のヒト腎臓由来のカテプシンの塩基配列を増
幅するためのPCR用のプライマーの合成、(2)増幅
されたヒトカテプシン遺伝子を動物培養細胞を用いて発
現させるための組換えDNAの作製、(3)上記(2)
記載の組換えDNAで形質転換された動物細胞株の樹
立、(4)上記(3)記載の動物細胞株の培養液からの
ヒトカテプシンの分離精製を包含するものである。
テインは、既知のヒト細胞株をスクリーニングしてヒト
カテプシンを産生する株を取得し、該細胞株より取得す
ることができる。また、ヒトカテプシンをコードするc
DNAを用いて遺伝子工学的手法で製造することができ
る。例えば、ヒトカテプシンをコードするcDNAとし
ては既報〔S. GalとM.M. Gottesman、バイオケミカル
ジャーナル(Biochem.J.),第253巻, 第303頁 (1988)〕
記載のものを用いることができる。本発明の製造法にお
いては、該cDNAを動物培養細胞で発現させてヒトカ
テプシンを得ることができる。すなわち、本発明は、
(1)既報のヒト腎臓由来のカテプシンの塩基配列を増
幅するためのPCR用のプライマーの合成、(2)増幅
されたヒトカテプシン遺伝子を動物培養細胞を用いて発
現させるための組換えDNAの作製、(3)上記(2)
記載の組換えDNAで形質転換された動物細胞株の樹
立、(4)上記(3)記載の動物細胞株の培養液からの
ヒトカテプシンの分離精製を包含するものである。
【0007】上記既報の塩基配列を基にして合成したセ
ンスプライマーとアンチセンスプライマーを添加し、既
知の方法、たとえば、Cetus/Perkin-Elmer のキットの
指示書に従ってポリメラーゼ・チェイン・リアクション
(PCR)を行うことができる。増幅されたcDNAを
自体公知の方法、たとえばアガロース電気泳動で分離し
た後、ゲルから回収することができる。このcDNAの
塩基配列はジデオキシヌクレオチド合成鎖停止法〔T. M
essing ら、ヌクレイック アシッズ リサーチ(Nucl.
Acids Res.), 第9巻, 第309頁 (1981)〕によって決定
することができる。クローン化されたcDNAを有する
プラスミドはそのまま、あるいは所望により適当な制限
酵素で切り出して別のベクターに挿入して用いることが
できる。
ンスプライマーとアンチセンスプライマーを添加し、既
知の方法、たとえば、Cetus/Perkin-Elmer のキットの
指示書に従ってポリメラーゼ・チェイン・リアクション
(PCR)を行うことができる。増幅されたcDNAを
自体公知の方法、たとえばアガロース電気泳動で分離し
た後、ゲルから回収することができる。このcDNAの
塩基配列はジデオキシヌクレオチド合成鎖停止法〔T. M
essing ら、ヌクレイック アシッズ リサーチ(Nucl.
Acids Res.), 第9巻, 第309頁 (1981)〕によって決定
することができる。クローン化されたcDNAを有する
プラスミドはそのまま、あるいは所望により適当な制限
酵素で切り出して別のベクターに挿入して用いることが
できる。
【0008】ベクターとしては、宿主に対応して複製で
きるものであれば何でもよい。宿主がエシェリキア属菌
(Escherichia coli,大腸菌)の場合には、大腸菌由来
のプラスミド、例えばpBR322〔F. Bolivar ら,
ジーン(Gene), 第2巻, 第95頁 (1979)〕,pBR32
5,pUC12,pUC13などが挙げられる。宿主が
バチルス(Bacillus)属菌の場合には、スタフィロコッ
カス(Staphylococcus)由来プラスミド、例えばpUB
110(T. J. Gryczan and D. Dubnau,プロシーディン
グス ナショナル アカデミー オブ サイエンス ユ
ーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA), 第75巻,
第128頁 (1978)〕,pTP5〔N. Noguchi, ジーン(Ge
ne), 第2巻, 第95頁 (1979)〕,pC194〔D. Dubna
u, エキスペリメンタル・マニピュレーション・オブ・
ジーン・エクスプレッション(Experimental Manipulat
ion of Gene Expression; ed. M. Inouye), 第83頁,
アカデミック・プレス(Academic Press), (1983)〕な
どが挙げられる。宿主が酵母である場合には、酵母由来
プラスミド、例えばpSH19〔S. Harashima ら、モ
レキュラー・アンド・セルラー・バイオロジー(Mol. C
ell. Biol.), 第4巻, 第771頁 (1984)〕,pSH19
−1(ヨーロッパ特許出願公開 EP-A-0235430)などが
挙げられる。宿主が動物細胞の場合には、例えば pB
R322にSV40のoriの挿入されたpSV2−X
〔R. C. Mulligan and P. Berg, プロシーディングス
ナショナル アカデミー オブ サイエンス ユーエス
エー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA), 第78巻, 第2072
頁 (1981)〕,pcD−X〔H. Okayama and P. Berg,
モレキュラー セル バイオロジー(Mol. Cell.Bio
l.), 第3巻, 第280頁 (1983)〕などが挙げられる。
きるものであれば何でもよい。宿主がエシェリキア属菌
(Escherichia coli,大腸菌)の場合には、大腸菌由来
のプラスミド、例えばpBR322〔F. Bolivar ら,
ジーン(Gene), 第2巻, 第95頁 (1979)〕,pBR32
5,pUC12,pUC13などが挙げられる。宿主が
バチルス(Bacillus)属菌の場合には、スタフィロコッ
カス(Staphylococcus)由来プラスミド、例えばpUB
110(T. J. Gryczan and D. Dubnau,プロシーディン
グス ナショナル アカデミー オブ サイエンス ユ
ーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA), 第75巻,
第128頁 (1978)〕,pTP5〔N. Noguchi, ジーン(Ge
ne), 第2巻, 第95頁 (1979)〕,pC194〔D. Dubna
u, エキスペリメンタル・マニピュレーション・オブ・
ジーン・エクスプレッション(Experimental Manipulat
ion of Gene Expression; ed. M. Inouye), 第83頁,
アカデミック・プレス(Academic Press), (1983)〕な
どが挙げられる。宿主が酵母である場合には、酵母由来
プラスミド、例えばpSH19〔S. Harashima ら、モ
レキュラー・アンド・セルラー・バイオロジー(Mol. C
ell. Biol.), 第4巻, 第771頁 (1984)〕,pSH19
−1(ヨーロッパ特許出願公開 EP-A-0235430)などが
挙げられる。宿主が動物細胞の場合には、例えば pB
R322にSV40のoriの挿入されたpSV2−X
〔R. C. Mulligan and P. Berg, プロシーディングス
ナショナル アカデミー オブ サイエンス ユーエス
エー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA), 第78巻, 第2072
頁 (1981)〕,pcD−X〔H. Okayama and P. Berg,
モレキュラー セル バイオロジー(Mol. Cell.Bio
l.), 第3巻, 第280頁 (1983)〕などが挙げられる。
【0009】クローン化されたcDNAは5’末端に翻
訳開始コドン(ATG)を有し、また3’末端に翻訳終
止コドン(TAG,TGAあるいはTAA)を有してい
てもよい。さらに該cDNAを発現させるためにその上
流にプロモーター配列、プロモーター−プレ−プロ配列
あるいはプロモーター−シグナル配列を接続する。本発
明に用いられるプロモーターとしては、遺伝子の発現に
用いる宿主に対応した適切なプロモーターであればいか
なるものでもよい。宿主が大腸菌である場合には、tr
pプロモーター、lacプロモーター、λPLプロモー
ター、T7プロモーター、tacプロモーター、lpp
プロモーター、recAプロモーターなどが挙げられ、
とりわけT7プロモーターが好ましい。宿主がバチルス
属菌である場合には、SPO1プロモーター、SPO2
プロモーター、penPプロモーター、MWPプロモー
ターなどが挙げられ、とりわけMWPプロモーターが好
ましい。宿主が酵母である場合には、GAPDHプロモ
ーター、PGKプロモーター、PHO5プロモーター、
ADHプロモーター、PHO81プロモーターなどが挙
げられ、とりわけGAPDHプロモーターが好ましい。
宿主が動物細胞である場合には、SV40由来のプロモ
ーター、レトロウイルスのプロモーター、ヒトサイトメ
ガロウイルスのプロモーターなどが挙げられる。プロモ
ーターは対応する遺伝子より調製することができる。ま
た、常法により化学合成したものを用いてもよい。
訳開始コドン(ATG)を有し、また3’末端に翻訳終
止コドン(TAG,TGAあるいはTAA)を有してい
てもよい。さらに該cDNAを発現させるためにその上
流にプロモーター配列、プロモーター−プレ−プロ配列
あるいはプロモーター−シグナル配列を接続する。本発
明に用いられるプロモーターとしては、遺伝子の発現に
用いる宿主に対応した適切なプロモーターであればいか
なるものでもよい。宿主が大腸菌である場合には、tr
pプロモーター、lacプロモーター、λPLプロモー
ター、T7プロモーター、tacプロモーター、lpp
プロモーター、recAプロモーターなどが挙げられ、
とりわけT7プロモーターが好ましい。宿主がバチルス
属菌である場合には、SPO1プロモーター、SPO2
プロモーター、penPプロモーター、MWPプロモー
ターなどが挙げられ、とりわけMWPプロモーターが好
ましい。宿主が酵母である場合には、GAPDHプロモ
ーター、PGKプロモーター、PHO5プロモーター、
ADHプロモーター、PHO81プロモーターなどが挙
げられ、とりわけGAPDHプロモーターが好ましい。
宿主が動物細胞である場合には、SV40由来のプロモ
ーター、レトロウイルスのプロモーター、ヒトサイトメ
ガロウイルスのプロモーターなどが挙げられる。プロモ
ーターは対応する遺伝子より調製することができる。ま
た、常法により化学合成したものを用いてもよい。
【0010】シグナル配列およびプレ−プロ配列は、宿
主で機能するものであれば何でもよい。大腸菌の場合に
は、β−ラクタマーゼ遺伝子のシグナル配列、エンテロ
トキシン遺伝子のシグナル配列、アルカリ性ホスファタ
ーゼ遺伝子のシグナル配列、OmpA遺伝子のシグナル
配列などが挙げられる。バチルス属菌の場合には、α−
アミラーゼ遺伝子のシグナル配列、中性プロテアーゼ遺
伝子のシグナル配列、MWP遺伝子のシグナル配列など
が挙げられる。酵母の場合には、卵白リゾチーム遺伝子
のシグナル配列、ヒト・リゾチーム遺伝子のシグナル配
列、インベルターゼ遺伝子のシグナル配列、α−ファク
ター遺伝子のプレ−プロ配列などが挙げられる。動物細
胞の場合には、インターロイキン2遺伝子のシグナル配
列などが挙げられる。
主で機能するものであれば何でもよい。大腸菌の場合に
は、β−ラクタマーゼ遺伝子のシグナル配列、エンテロ
トキシン遺伝子のシグナル配列、アルカリ性ホスファタ
ーゼ遺伝子のシグナル配列、OmpA遺伝子のシグナル
配列などが挙げられる。バチルス属菌の場合には、α−
アミラーゼ遺伝子のシグナル配列、中性プロテアーゼ遺
伝子のシグナル配列、MWP遺伝子のシグナル配列など
が挙げられる。酵母の場合には、卵白リゾチーム遺伝子
のシグナル配列、ヒト・リゾチーム遺伝子のシグナル配
列、インベルターゼ遺伝子のシグナル配列、α−ファク
ター遺伝子のプレ−プロ配列などが挙げられる。動物細
胞の場合には、インターロイキン2遺伝子のシグナル配
列などが挙げられる。
【0011】このようにして構築されたDNAを含有す
るベクターを用いて、形質転換体を製造する。宿主とし
ては、例えばエシェリキア属菌、バチルス属菌、酵母、
動物細胞などが挙げられるが、動物細胞が好ましく用い
られる。エシェリキア属菌としては、エシェリキア・コ
リK12 DH1〔B. Low, プロシーディングス オブ
ナショナル アカデミー オブ サイエンス ユーエ
スエー(Proc. Natl.Acad. Sci. USA), 第60巻, 第160
頁 (1968)〕、C600〔R. K. Appleyard,ジェネティ
ックス(Genetics), 第39巻, 第440頁 (1954)〕、MM
294〔K. Backman ら、プロシーディングス オブ
ナショナル アカデミー オブ サイエンス ユーエス
エー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA), 第73巻, 第4174
頁 (1976)〕、N4830〔M. E. Gottesman ら、ジャ
ーナル・ オブ・モレキュラー・バイオロジー(J. Mol.
Biol.), 第140巻, 第57頁 (1980)〕など が挙げられ
る。バチルス属菌としては、例えばバチルス・サチルス
(Baccillus subtilis)MI114〔K. Yoshimura
ら、ジーン(Gene), 第24巻, 第255頁 (1983)〕、20
7ー21〔K. Ohmura ら、ジャーナル・オブ・バイオケ
ミストリー(J. Biochem.), 第95巻, 第87頁 (198
4)〕、バチルス・ブレビス47〔S. Udaka, アグリカ
ルチュラル・バイオロジカル・ケミストリー(Agric. B
iol. Chem.), 第40巻, 第523頁 (1976)〕などが挙げら
れる。酵母としては、例えばサッカロマイセス・セレビ
シェ(Saccharomyces cerevisiae)AH22R-〔A. Mi
yanohara ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 第80巻,
第1頁 (1983)〕,NA87−11A,DKD−5D,N
A74−3A,NA74−3Aρ-〔Y. Kaisho ら、イ
ースト(Yeast), 第5巻, 第91頁 (1989)〕やシゾサッ
カロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)
ATCC38399(h- leu1-32),TH168(h90
ade6-M210 ura1 leu1)〔M. Kishida and C. Shimada,
カレント・ジェネティクス(Current Genetics), 第10
巻, 第443頁 (1986)〕などが挙げられる。動物細胞とし
ては、例えば付着細胞であるサルCOS−7細胞、サル
Vero細胞、チャイニーズ・ハムスター(CHO)細
胞、マウスL細胞、ヒトFL細胞、および浮遊細胞であ
るマウスミエローマ細胞(Sp2/0など)、マウスY
AC−1細胞、マウスMethA細胞、マウスP388
細胞、マウスEL−4細胞などが挙げられる。
るベクターを用いて、形質転換体を製造する。宿主とし
ては、例えばエシェリキア属菌、バチルス属菌、酵母、
動物細胞などが挙げられるが、動物細胞が好ましく用い
られる。エシェリキア属菌としては、エシェリキア・コ
リK12 DH1〔B. Low, プロシーディングス オブ
ナショナル アカデミー オブ サイエンス ユーエ
スエー(Proc. Natl.Acad. Sci. USA), 第60巻, 第160
頁 (1968)〕、C600〔R. K. Appleyard,ジェネティ
ックス(Genetics), 第39巻, 第440頁 (1954)〕、MM
294〔K. Backman ら、プロシーディングス オブ
ナショナル アカデミー オブ サイエンス ユーエス
エー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA), 第73巻, 第4174
頁 (1976)〕、N4830〔M. E. Gottesman ら、ジャ
ーナル・ オブ・モレキュラー・バイオロジー(J. Mol.
Biol.), 第140巻, 第57頁 (1980)〕など が挙げられ
る。バチルス属菌としては、例えばバチルス・サチルス
(Baccillus subtilis)MI114〔K. Yoshimura
ら、ジーン(Gene), 第24巻, 第255頁 (1983)〕、20
7ー21〔K. Ohmura ら、ジャーナル・オブ・バイオケ
ミストリー(J. Biochem.), 第95巻, 第87頁 (198
4)〕、バチルス・ブレビス47〔S. Udaka, アグリカ
ルチュラル・バイオロジカル・ケミストリー(Agric. B
iol. Chem.), 第40巻, 第523頁 (1976)〕などが挙げら
れる。酵母としては、例えばサッカロマイセス・セレビ
シェ(Saccharomyces cerevisiae)AH22R-〔A. Mi
yanohara ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 第80巻,
第1頁 (1983)〕,NA87−11A,DKD−5D,N
A74−3A,NA74−3Aρ-〔Y. Kaisho ら、イ
ースト(Yeast), 第5巻, 第91頁 (1989)〕やシゾサッ
カロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)
ATCC38399(h- leu1-32),TH168(h90
ade6-M210 ura1 leu1)〔M. Kishida and C. Shimada,
カレント・ジェネティクス(Current Genetics), 第10
巻, 第443頁 (1986)〕などが挙げられる。動物細胞とし
ては、例えば付着細胞であるサルCOS−7細胞、サル
Vero細胞、チャイニーズ・ハムスター(CHO)細
胞、マウスL細胞、ヒトFL細胞、および浮遊細胞であ
るマウスミエローマ細胞(Sp2/0など)、マウスY
AC−1細胞、マウスMethA細胞、マウスP388
細胞、マウスEL−4細胞などが挙げられる。
【0012】エシェリキア属菌を形質転換するには、例
えば T. Maniatis ら、モレキュラー クローニング(M
olecular Cloning), コールド スプリング ハーバー
ラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory), 第2
49頁 (1982) などに記載の方法に従って行われる。バチ
ルス属菌を形質転換する方法としては、S. Changand S.
N. Cohen、モレキュラー・アンド・ジェネラル・ジェ
ネティクス(Mol. Gen. Genet.), 第168巻, 第111頁
(1979) などに記載の方法に従って行われる。酵母を形
質転換するには、例えば A. Hinnen ら、プロシーディ
ングス オブ ナショナル アカデミー オブ サイエ
ンス ユーエスエー(Proc. Natl.Acad. Sci. USA),
第75巻, 第1929頁 (1978) に記載の方法に従って行われ
る。動物細胞を形質転換するには、例えば M. Wigler
ら、セル(Cell), 第14巻,第725頁 (1978) に記載の方
法に従って行われる。
えば T. Maniatis ら、モレキュラー クローニング(M
olecular Cloning), コールド スプリング ハーバー
ラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory), 第2
49頁 (1982) などに記載の方法に従って行われる。バチ
ルス属菌を形質転換する方法としては、S. Changand S.
N. Cohen、モレキュラー・アンド・ジェネラル・ジェ
ネティクス(Mol. Gen. Genet.), 第168巻, 第111頁
(1979) などに記載の方法に従って行われる。酵母を形
質転換するには、例えば A. Hinnen ら、プロシーディ
ングス オブ ナショナル アカデミー オブ サイエ
ンス ユーエスエー(Proc. Natl.Acad. Sci. USA),
第75巻, 第1929頁 (1978) に記載の方法に従って行われ
る。動物細胞を形質転換するには、例えば M. Wigler
ら、セル(Cell), 第14巻,第725頁 (1978) に記載の方
法に従って行われる。
【0013】このようにして得られた形質転換体をそれ
自体公知の方法で培養する。宿主がエシェリキア属菌で
ある形質転換体を培養する際、培地としては、例えばグ
ルコース、カザミノ酸を含むM9培地〔J. H. Miller,
エクスペリメンツ・イン・モレキュラー・ジェネティク
ス(Experiments in Molecular Genetics),第431頁,
コールド スプリング ハーバー ラボラトリー(Cold
Spring Harbor Laboratory),(1972)〕が好ましい。
ここに必要によりプロモーターを効率よく働かせるため
に、例えばイソプロピルチオガラクトシド(IPTG)
やインドリル−3−アクリル酸のような薬剤を加えるこ
とができる。培養は通常約15〜43℃で約3〜24時
間行い、必要により、通気や撹拌を加えることもでき
る。宿主がバチルス属菌である形質転換体を培養する
際、培地としては、例えばL−ブロス培地、T2培地
〔S. Udaka, アグリカルチャー バイオロジカル ケミ
ストリー(Agric. Biol. Chem.), 第40巻, 第523頁 (1
976)〕などが挙げられる。培養は通常約15〜37℃で
約6〜96時間行い、必要により通気や撹拌を加えるこ
ともできる。
自体公知の方法で培養する。宿主がエシェリキア属菌で
ある形質転換体を培養する際、培地としては、例えばグ
ルコース、カザミノ酸を含むM9培地〔J. H. Miller,
エクスペリメンツ・イン・モレキュラー・ジェネティク
ス(Experiments in Molecular Genetics),第431頁,
コールド スプリング ハーバー ラボラトリー(Cold
Spring Harbor Laboratory),(1972)〕が好ましい。
ここに必要によりプロモーターを効率よく働かせるため
に、例えばイソプロピルチオガラクトシド(IPTG)
やインドリル−3−アクリル酸のような薬剤を加えるこ
とができる。培養は通常約15〜43℃で約3〜24時
間行い、必要により、通気や撹拌を加えることもでき
る。宿主がバチルス属菌である形質転換体を培養する
際、培地としては、例えばL−ブロス培地、T2培地
〔S. Udaka, アグリカルチャー バイオロジカル ケミ
ストリー(Agric. Biol. Chem.), 第40巻, 第523頁 (1
976)〕などが挙げられる。培養は通常約15〜37℃で
約6〜96時間行い、必要により通気や撹拌を加えるこ
ともできる。
【0014】宿主が酵母である形質転換体を培養する
際、培地としては、例えばバークホールダー(Burkhold
er)最小培地〔K. L. Bostain ら、Proc. Natl. Acad.
Sci. USA, 第77巻, 第4504頁 (1980)〕などが挙げられ
る。培地のpHは約5〜8に調整するの が好ましい。
培養は通常約20〜35℃で約24〜72時間行い、必
要に応じて通気や撹拌を加える。宿主が動物細胞である
形質転換体を培養する際、培地としては、例えば約5〜
20%の胎児牛血清を含むMEM培地〔H. Eagle, サ
イエンス(Science), 第130巻, 第432頁 (1959)〕、D
MEM培地〔R. Dulbecco and G. Freeman, ヴィロロジ
ー (Virology), 第8巻, 第396頁 (1959)〕、RPMI
−1640培地〔G. E. More ら、ジャーナル・オブ・
ジ・アメリカン・メディカル・アソシエーション(J. A
m. Med. Assoc.), 第199巻, 第519頁 (1967)〕、19
9培地〔J.F. Morgan ら、プロシージング・オブ・ザ・
ソサイエティ・フォー・エクスペリメンタル・バイオロ
ジー・アンド・メディスン(Proc. Soc. Exp. Biol. Me
d.), 第73巻, 第1頁 (1950)〕、ASF104培地〔Y.
Minamoto, 細胞工学,第7巻, 第42頁 (1988)〕などが
挙げられる。培養は通常約30 〜40℃で約15〜6
0時間行い、必要に応じて通気や撹拌を加える。
際、培地としては、例えばバークホールダー(Burkhold
er)最小培地〔K. L. Bostain ら、Proc. Natl. Acad.
Sci. USA, 第77巻, 第4504頁 (1980)〕などが挙げられ
る。培地のpHは約5〜8に調整するの が好ましい。
培養は通常約20〜35℃で約24〜72時間行い、必
要に応じて通気や撹拌を加える。宿主が動物細胞である
形質転換体を培養する際、培地としては、例えば約5〜
20%の胎児牛血清を含むMEM培地〔H. Eagle, サ
イエンス(Science), 第130巻, 第432頁 (1959)〕、D
MEM培地〔R. Dulbecco and G. Freeman, ヴィロロジ
ー (Virology), 第8巻, 第396頁 (1959)〕、RPMI
−1640培地〔G. E. More ら、ジャーナル・オブ・
ジ・アメリカン・メディカル・アソシエーション(J. A
m. Med. Assoc.), 第199巻, 第519頁 (1967)〕、19
9培地〔J.F. Morgan ら、プロシージング・オブ・ザ・
ソサイエティ・フォー・エクスペリメンタル・バイオロ
ジー・アンド・メディスン(Proc. Soc. Exp. Biol. Me
d.), 第73巻, 第1頁 (1950)〕、ASF104培地〔Y.
Minamoto, 細胞工学,第7巻, 第42頁 (1988)〕などが
挙げられる。培養は通常約30 〜40℃で約15〜6
0時間行い、必要に応じて通気や撹拌を加える。
【0015】上記培養物から発現産物を単離するには、
自体公知の分離、精製法を適切に組み合わせて行うこと
ができる。これらの公知の分離、精製法としては、塩折
や溶媒沈澱などの溶解度を利用する方法、透析法、限外
ろ過法、ゲルろ過法、およびSDS−ポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動法(SDS−PAGE)などの主として
分子量の差を利用する方法、イオン交換クロマトグラフ
ィーなどの荷電の差を利用する方法、アフィニティクロ
マトグラフィーなどの特異的親和性を利用する方法、逆
相高速液体クロマトグラフィーなどの疎水性の差を利用
する方法、等電点電気泳動法などの等電点の差を利用す
る方法などが挙げられる。本発明によって、後述の実施
例でも示されているとおり、ヒトカテプシンを動物細胞
を用いて遺伝子工学的に発現させることに成功し、これ
によってヒトカテプシンを高純度で、大量に製造するこ
とが可能となった。
自体公知の分離、精製法を適切に組み合わせて行うこと
ができる。これらの公知の分離、精製法としては、塩折
や溶媒沈澱などの溶解度を利用する方法、透析法、限外
ろ過法、ゲルろ過法、およびSDS−ポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動法(SDS−PAGE)などの主として
分子量の差を利用する方法、イオン交換クロマトグラフ
ィーなどの荷電の差を利用する方法、アフィニティクロ
マトグラフィーなどの特異的親和性を利用する方法、逆
相高速液体クロマトグラフィーなどの疎水性の差を利用
する方法、等電点電気泳動法などの等電点の差を利用す
る方法などが挙げられる。本発明によって、後述の実施
例でも示されているとおり、ヒトカテプシンを動物細胞
を用いて遺伝子工学的に発現させることに成功し、これ
によってヒトカテプシンを高純度で、大量に製造するこ
とが可能となった。
【0016】椎間板ヘルニア治療剤においては、ヒトカ
テプシンを単独、または他の薬理学的に許容されうる担
体、賦形剤、希釈剤とともに医薬組成物として、哺乳動
物(例、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒト等)に対して投
与することができる。椎間板ヘルニアに対する投与方法
として、後側方侵入による椎間板髄核への直接注射投与
が最適であり、本法によって安全に治療可能である。本
発明の製剤においては、ヒトに由来するカテプシンを利
用するものであるから、ヒトに対して免疫性が低い点で
有利である。製剤としては、たとえば、注射剤、注射投
与に用いるための溶液、凍結品もしくは凍結乾燥品など
の形態にするのが好ましい。医薬組成物としての製剤化
にあたっては、公知の製剤学的製造法に準じ、所望によ
り製剤学的に許容され得る添加剤、希釈剤、賦形剤など
を用いる。たとえば、注射用水溶剤とする場合は、水性
溶剤(例、蒸留水)、水溶性溶剤(生理的食塩水、リン
ゲル液)、油性溶剤(例、ゴマ油、オリーブ油)などの
溶剤、または所望により溶解補助剤(例、サリチル酸ナ
トリウム、酢酸ナトリウム)、緩衝剤(例、クエン酸ナ
トリウム、グリセリン)、等張化剤(例、ブドウ糖、転
化糖)、安定剤(例、ヒト血清アルブミン、ポリエチレ
ングリコール)、保存剤(例、ベンジルアルコール、フ
ェノール)、無痛化剤(例、塩化ベンザルコニウム、塩
酸プロカイン)などの添加剤を用いて、常套手段により
製造される。
テプシンを単独、または他の薬理学的に許容されうる担
体、賦形剤、希釈剤とともに医薬組成物として、哺乳動
物(例、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒト等)に対して投
与することができる。椎間板ヘルニアに対する投与方法
として、後側方侵入による椎間板髄核への直接注射投与
が最適であり、本法によって安全に治療可能である。本
発明の製剤においては、ヒトに由来するカテプシンを利
用するものであるから、ヒトに対して免疫性が低い点で
有利である。製剤としては、たとえば、注射剤、注射投
与に用いるための溶液、凍結品もしくは凍結乾燥品など
の形態にするのが好ましい。医薬組成物としての製剤化
にあたっては、公知の製剤学的製造法に準じ、所望によ
り製剤学的に許容され得る添加剤、希釈剤、賦形剤など
を用いる。たとえば、注射用水溶剤とする場合は、水性
溶剤(例、蒸留水)、水溶性溶剤(生理的食塩水、リン
ゲル液)、油性溶剤(例、ゴマ油、オリーブ油)などの
溶剤、または所望により溶解補助剤(例、サリチル酸ナ
トリウム、酢酸ナトリウム)、緩衝剤(例、クエン酸ナ
トリウム、グリセリン)、等張化剤(例、ブドウ糖、転
化糖)、安定剤(例、ヒト血清アルブミン、ポリエチレ
ングリコール)、保存剤(例、ベンジルアルコール、フ
ェノール)、無痛化剤(例、塩化ベンザルコニウム、塩
酸プロカイン)などの添加剤を用いて、常套手段により
製造される。
【0017】また、たとえば、錠剤,粉末,顆粒等の固
形状注射用製剤とする場合には、例えばヒトカテプシン
および薬理学的に許容されうる添加剤の粉末を混合する
あるいは、ヒトカテプシンおよび薬理学的に許容されう
る添加剤を含有する液剤を調製し、凍結乾燥するなどの
公知の製剤学的製造法に従って製造することができる。
本剤に用いる薬理学的に許容しうる添加剤としては、例
えば賦形剤〔例、カルボキシメチルセルロース(CM
C)、アルギン酸ナトリウム〕、保存剤(例、ベンジル
アルコール、塩化ベンザルコニウム、フェノール)、無
痛化剤(例、ブドウ糖、グルコン酸カルシウム、塩酸プ
ロカイン)などが挙げられる。このようにして得られた
注射用固形製剤は、適当な溶剤(例、注射用水,生理食
塩水,ぶどう糖液)に溶解ないし懸濁して注射剤として
用いる。さらに、製剤化にあたっては、ブドウ糖などの
単糖類や、アミノ酸、各種塩類、ヒト血清アルブミンな
どを添加してもよく、その他に等張化剤、pH調整剤、
無痛化剤、防腐剤などを加えて安定で有効なヒトカテプ
シンLもしくはSまたはそれらのムテインの製剤を調製
することができる。さらに、ヒトカテプシンLでは0.
5M酢酸緩衝液(pH4.0)に溶解するもしくはヒト血
清アルブミン(HSA)含有溶液(HSA/ヒトカテプ
シン(mol)=100)とすることにより安定なヒトカ
テプシン液剤として保存または使用することができる。
本発明製剤の椎間板髄核への投与量は椎間板ヘルニアの
症状によって適宜に決定されるが、1回の投与当たり100
m単位から500,000m単位、さらに好ましくは約1000〜10
0,000m単位を投与するのが好ましい。ここで、37℃で
1分間に基質1mgを分解する酵素活性を1単位とする
〔メソッズ イン エンザイモロジー第80巻第535
頁(1981)〕投与は、1日1回投与でもよいし、間
けつ的に、たとえば1週間に1回程度投与する方法も挙
げられる。
形状注射用製剤とする場合には、例えばヒトカテプシン
および薬理学的に許容されうる添加剤の粉末を混合する
あるいは、ヒトカテプシンおよび薬理学的に許容されう
る添加剤を含有する液剤を調製し、凍結乾燥するなどの
公知の製剤学的製造法に従って製造することができる。
本剤に用いる薬理学的に許容しうる添加剤としては、例
えば賦形剤〔例、カルボキシメチルセルロース(CM
C)、アルギン酸ナトリウム〕、保存剤(例、ベンジル
アルコール、塩化ベンザルコニウム、フェノール)、無
痛化剤(例、ブドウ糖、グルコン酸カルシウム、塩酸プ
ロカイン)などが挙げられる。このようにして得られた
注射用固形製剤は、適当な溶剤(例、注射用水,生理食
塩水,ぶどう糖液)に溶解ないし懸濁して注射剤として
用いる。さらに、製剤化にあたっては、ブドウ糖などの
単糖類や、アミノ酸、各種塩類、ヒト血清アルブミンな
どを添加してもよく、その他に等張化剤、pH調整剤、
無痛化剤、防腐剤などを加えて安定で有効なヒトカテプ
シンLもしくはSまたはそれらのムテインの製剤を調製
することができる。さらに、ヒトカテプシンLでは0.
5M酢酸緩衝液(pH4.0)に溶解するもしくはヒト血
清アルブミン(HSA)含有溶液(HSA/ヒトカテプ
シン(mol)=100)とすることにより安定なヒトカ
テプシン液剤として保存または使用することができる。
本発明製剤の椎間板髄核への投与量は椎間板ヘルニアの
症状によって適宜に決定されるが、1回の投与当たり100
m単位から500,000m単位、さらに好ましくは約1000〜10
0,000m単位を投与するのが好ましい。ここで、37℃で
1分間に基質1mgを分解する酵素活性を1単位とする
〔メソッズ イン エンザイモロジー第80巻第535
頁(1981)〕投与は、1日1回投与でもよいし、間
けつ的に、たとえば1週間に1回程度投与する方法も挙
げられる。
【0018】なお、本願明細書や図面において、塩基や
アミノ酸などを略号で表示する場合、IUPAC−IU
B Commision on Biochemical Nomenclature による略
号あるいは当該分野における慣用略号に基づくものであ
り、その例を次に挙げる。またアミノ酸に関して光学異
性体があり得る場合は、特に明示しなければL−体を示
すものとする。 DNA :デオキシリボ核酸 A :アデニン T :チミン G :グアニン C :シトシン SDS :ドデシル硫酸ナトリウム Gly :グリシン(G) Ala :アラニン(A) Val :バリン(V) Leu :ロイシン(L) Ile :イソロイシン(I) Ser :セリン(S) Thr :スレオニン(T) Cys :システイン(C) 1/2 Cys:ハーフシスチン Met :メチオニン(M) Glu :グルタミン酸(E) Asp :アスパラギン酸(D) Lys :リジン(K) Arg :アルギニン(R) His :ヒスチジン(H) Phe :フェニールアラニン(F) Tyr :チロシン(Y) Trp :トリプトファン(W) Pro :プロリン(P) Asn :アスパラギン(N) Gln :グルタミン(Q) Apr ;アンピシリン耐性遺伝子 Tcr :テトラサイクリン耐性遺伝子。
アミノ酸などを略号で表示する場合、IUPAC−IU
B Commision on Biochemical Nomenclature による略
号あるいは当該分野における慣用略号に基づくものであ
り、その例を次に挙げる。またアミノ酸に関して光学異
性体があり得る場合は、特に明示しなければL−体を示
すものとする。 DNA :デオキシリボ核酸 A :アデニン T :チミン G :グアニン C :シトシン SDS :ドデシル硫酸ナトリウム Gly :グリシン(G) Ala :アラニン(A) Val :バリン(V) Leu :ロイシン(L) Ile :イソロイシン(I) Ser :セリン(S) Thr :スレオニン(T) Cys :システイン(C) 1/2 Cys:ハーフシスチン Met :メチオニン(M) Glu :グルタミン酸(E) Asp :アスパラギン酸(D) Lys :リジン(K) Arg :アルギニン(R) His :ヒスチジン(H) Phe :フェニールアラニン(F) Tyr :チロシン(Y) Trp :トリプトファン(W) Pro :プロリン(P) Asn :アスパラギン(N) Gln :グルタミン(Q) Apr ;アンピシリン耐性遺伝子 Tcr :テトラサイクリン耐性遺伝子。
【0019】
【実施例】以下に参考例および実施例を示し、本発明を
さらに詳しく説明するが、これらは単なる例であって本
発明を何ら限定するものではない。なお、後述の実施例
で得られた微生物および動物細胞は次表のとおり寄託さ
れている。 IFO FRI IFO No. FERM BP-No. E.coli JM109/pTBN-HCLneo 15341 3897 (1992.6.12) (1992.6.22) マウスミエローマSp-HCL26 50371 3902 (1992.6.16) (1992.6.24) マウスミエローマSp-HCS30 50401 4289 (1993.4.21) (1993.4.28) マウスミエローマSp-HCL26-1 50402 4288 (1993.4.21) (1993.4.28) IFO:財団法人発酵研究所〔大阪府大阪市淀川区十三
本町2丁目17番85号〕 FRI:通商産業省工業技術院生命工学研究所(微生物
工学研究所)〔茨城県つくば市東1丁目1番3号〕 上記の表中、( )内は受託日を示す。
さらに詳しく説明するが、これらは単なる例であって本
発明を何ら限定するものではない。なお、後述の実施例
で得られた微生物および動物細胞は次表のとおり寄託さ
れている。 IFO FRI IFO No. FERM BP-No. E.coli JM109/pTBN-HCLneo 15341 3897 (1992.6.12) (1992.6.22) マウスミエローマSp-HCL26 50371 3902 (1992.6.16) (1992.6.24) マウスミエローマSp-HCS30 50401 4289 (1993.4.21) (1993.4.28) マウスミエローマSp-HCL26-1 50402 4288 (1993.4.21) (1993.4.28) IFO:財団法人発酵研究所〔大阪府大阪市淀川区十三
本町2丁目17番85号〕 FRI:通商産業省工業技術院生命工学研究所(微生物
工学研究所)〔茨城県つくば市東1丁目1番3号〕 上記の表中、( )内は受託日を示す。
【0020】参考例1 ヒト腎臓由来カテプシンLのcD
NAクローニング PCR法によってヒトカテプシンcDNAを増幅させるため、
既報のヒト腎臓由来カテプシンLの塩基配列〔S. Galと
M. M. Gottesman,バイオケミカル ジャーナル(Bioch
em. J.), 第253巻, 第303頁 (1988)〕を参考にして以
下に示す4種類のプライマーを合成した。 センス・プライマーNo.1: 5'-TTTTCAGGGGGCAGTAAGAT-3' 〔配列番号:1〕 センス・プライマーNo.2: 5'-pCCGGATCCGGCTTTTTAGGATTGGTCTA-3' 〔配列番号:2〕 アンチセンス・プライマーNo.3: 5'-GGGGGCTGGTAGACTGAAGA-3' 〔配列番号:3〕 アンチセンス・プライマーNo.4: 5'-pCCGGATCCATTCCTCCCATGCATGCGCC-3' 〔配列番号:4〕 ヒト腎臓由来 cDNAライブラリーλgt11溶液(CLONTECH
Laboratories, Inc.)3μlと蒸留水 50μlとを混合し、9
5℃で5分間保温した後、氷中で急冷した。2種類のプ
ライマー(上記No.1とNo.3;各50pmol)を加え、シータ
ス/パーキンエルマー(Cetus/Perkin-Elmer)より供給さ
れたキットの指示書に従い、94℃、1分間、55℃、2分
間、72℃、3分間の反応を50回繰り返す反応を行った。
さらに、その反応液に別の2種類のプライマー(上記N
o.2とNo.4;各50pmol)を加え、同様に反応を行った。P
CR産物を1.2%アガロースゲル電気泳動で分離したとこ
ろ、ヒト腎臓由来カテプシンL塩基配列から予想される
大きさ(1132bp)に相当する位置に、増幅された DNA断片
を確認した。このDNA断片をゲルから回収し、プラス
ミドベクター pBluescriptR II SK+(STRATAGENE社製)
にサブクローニングした。cDNA部分の塩基配列をジデオ
キシヌクレオチド合成鎖停止法〔J. Messingら、ヌクレ
イック アシッズ リサーチ(Nucleic Acids Res.), 第9
巻, 第309頁,(1981)〕により決定し、既報の配列と同一
のものであることを確認した。このcDNA断片を含むプラ
スミドを、pHCL-5と命名した。
NAクローニング PCR法によってヒトカテプシンcDNAを増幅させるため、
既報のヒト腎臓由来カテプシンLの塩基配列〔S. Galと
M. M. Gottesman,バイオケミカル ジャーナル(Bioch
em. J.), 第253巻, 第303頁 (1988)〕を参考にして以
下に示す4種類のプライマーを合成した。 センス・プライマーNo.1: 5'-TTTTCAGGGGGCAGTAAGAT-3' 〔配列番号:1〕 センス・プライマーNo.2: 5'-pCCGGATCCGGCTTTTTAGGATTGGTCTA-3' 〔配列番号:2〕 アンチセンス・プライマーNo.3: 5'-GGGGGCTGGTAGACTGAAGA-3' 〔配列番号:3〕 アンチセンス・プライマーNo.4: 5'-pCCGGATCCATTCCTCCCATGCATGCGCC-3' 〔配列番号:4〕 ヒト腎臓由来 cDNAライブラリーλgt11溶液(CLONTECH
Laboratories, Inc.)3μlと蒸留水 50μlとを混合し、9
5℃で5分間保温した後、氷中で急冷した。2種類のプ
ライマー(上記No.1とNo.3;各50pmol)を加え、シータ
ス/パーキンエルマー(Cetus/Perkin-Elmer)より供給さ
れたキットの指示書に従い、94℃、1分間、55℃、2分
間、72℃、3分間の反応を50回繰り返す反応を行った。
さらに、その反応液に別の2種類のプライマー(上記N
o.2とNo.4;各50pmol)を加え、同様に反応を行った。P
CR産物を1.2%アガロースゲル電気泳動で分離したとこ
ろ、ヒト腎臓由来カテプシンL塩基配列から予想される
大きさ(1132bp)に相当する位置に、増幅された DNA断片
を確認した。このDNA断片をゲルから回収し、プラス
ミドベクター pBluescriptR II SK+(STRATAGENE社製)
にサブクローニングした。cDNA部分の塩基配列をジデオ
キシヌクレオチド合成鎖停止法〔J. Messingら、ヌクレ
イック アシッズ リサーチ(Nucleic Acids Res.), 第9
巻, 第309頁,(1981)〕により決定し、既報の配列と同一
のものであることを確認した。このcDNA断片を含むプラ
スミドを、pHCL-5と命名した。
【0021】参考例2 ヒトカテプシンLの大腸菌MM29
4(DE3)における発現 参考例1のcDNAを制限酵素EcoRIで切断し、798bpの断片
(ヒトカテプシンLのpro体の一部分と成熟体のすべて
をコードする)を回収した。この断片の両側にBamHIの
リンカー(5'-pCCCGGATCCGGG-3'; 配列番号:5)を結
合させ、大腸菌発現用プラスミドベクター pET-3c〔メ
ソッズ イン エンザイモロジー(Methods inEnzymology,
ed. D. V. Goeddel), 第185巻、第68頁、アカデミック
・プレス(Academic Press), 1990年〕に挿入した。構築
したプラスミドをpET-HCLαと命名した。大腸菌MM294(D
E3)をpET-HCLαで形質転換し、T7プロモターの支配下で
ヒトカテプシンLの発現を行った〔メソッズ イン エン
ザイモロジー(Methods inEnzymology), 第185巻, 第6
0頁 (1990)〕。形質転換した大腸菌を培養し、得られた
菌体を超音波破砕したものをSDS-PAGEに供しところ、30
kDal付近にヒトカテプシンLに相当する特異的なバンド
が検出された。また、発現した産物はインクルージョン
ボディを形成したので、形質転換体の超音波破砕物の沈
澱画分からヒトカテプシンLを粗精製した。
4(DE3)における発現 参考例1のcDNAを制限酵素EcoRIで切断し、798bpの断片
(ヒトカテプシンLのpro体の一部分と成熟体のすべて
をコードする)を回収した。この断片の両側にBamHIの
リンカー(5'-pCCCGGATCCGGG-3'; 配列番号:5)を結
合させ、大腸菌発現用プラスミドベクター pET-3c〔メ
ソッズ イン エンザイモロジー(Methods inEnzymology,
ed. D. V. Goeddel), 第185巻、第68頁、アカデミック
・プレス(Academic Press), 1990年〕に挿入した。構築
したプラスミドをpET-HCLαと命名した。大腸菌MM294(D
E3)をpET-HCLαで形質転換し、T7プロモターの支配下で
ヒトカテプシンLの発現を行った〔メソッズ イン エン
ザイモロジー(Methods inEnzymology), 第185巻, 第6
0頁 (1990)〕。形質転換した大腸菌を培養し、得られた
菌体を超音波破砕したものをSDS-PAGEに供しところ、30
kDal付近にヒトカテプシンLに相当する特異的なバンド
が検出された。また、発現した産物はインクルージョン
ボディを形成したので、形質転換体の超音波破砕物の沈
澱画分からヒトカテプシンLを粗精製した。
【0022】参考例3 組換え体ヒトカテプシンLに対
する抗血清の作製 参考例2で記載した粗精製の組換え体ヒトカテプシンL
を等量の完全フロイントアジュバントと混合し、約1ml
をウサギに接種した。その後、粗精製ヒトカテプシンL
標品と等量の不完全フロイントアジュバントとを混合し
たものを10日おきに3回注射し、最後の注射後の7日目
に採血した。得られた血液を37℃で30分間、続いて4℃
で一晩静置した後、遠心分離法によってヒトカテプシン
L抗血清を調製した。
する抗血清の作製 参考例2で記載した粗精製の組換え体ヒトカテプシンL
を等量の完全フロイントアジュバントと混合し、約1ml
をウサギに接種した。その後、粗精製ヒトカテプシンL
標品と等量の不完全フロイントアジュバントとを混合し
たものを10日おきに3回注射し、最後の注射後の7日目
に採血した。得られた血液を37℃で30分間、続いて4℃
で一晩静置した後、遠心分離法によってヒトカテプシン
L抗血清を調製した。
【0023】参考例4 ヒト胎盤由来カテプシンSのcD
NAクローニング PCR法によってヒトカテプシンScDNAを増幅させるた
め、既報のヒト由来カテプシンSの塩基配列〔B. Wiede
randersら,ジャーナル オブ バイオロジカル ケミスト
リー(J. Biol. Chem.), 第267巻, 第13708頁(1992)〕
を参考にして以下に示す4種類のプライマーを合成し
た。 センス・プライマーNo.5: 5'-pTAATTCAAGGACTCTTACTG-3' (配列番号:6) センス・プライマーNo.6: 5'-pGGAATTCCTAGGAGCAACTGCTGGTTCT-3' (配列番号:7) アンチセンス・プライマーNo.7: 5'-pGGAATTCCTCATATTTCATTGATTTGTT-3' (配列番号:8) アンチセンス・プライマーNo.8: 5'-pTTAAGTTAAGAGAAAGTGCT-3' (配列番号:9) ヒト胎盤由来cDNAライブラリーλgt11溶液(CLONTECH L
aboratories, Inc.) 5μlと蒸留水45μlとを混合し、95
℃で5分間保温した後、氷中で急冷した。2種類のプラ
イマー(上記No.5とNo.6;各50pmol)を加え、20mM 硫
酸マグネシウムの存在下でVentR DNA ポリメラーゼの1
単位を用いて、94℃、1分間、55℃、1分間、72℃、1
分10秒間の反応を50回繰り返す反応を行った。さらに、
その反応液に別の2種類のプライマー(上記No.6とNo.
7;各50pmol)を加え、同様に反応を行った。PCR産物を
1.2%アガロースゲル電気泳動で分離したところ、ヒト
胎盤由来カテプシンS塩基配列から予想される大きさ(1
076bp)に相当する位置に、増幅された DNA断片を確認し
た。このDNA断片をゲルから回収し、プラスミドベク
ター pT7Blue(R)T-Vector(Novagen社製)にサブクロー
ニングした。cDNA部分の塩基配列をジデオキシヌクレオ
チド合成鎖停止法〔J. Messingら、ヌクレイック アシ
ッズ リサーチ(Nucleic Acids Res.), 第9巻, 第309
頁, (1981)〕により決定し、このcDNA断片を含むプラス
ミドを、pHCS-2と命名した。
NAクローニング PCR法によってヒトカテプシンScDNAを増幅させるた
め、既報のヒト由来カテプシンSの塩基配列〔B. Wiede
randersら,ジャーナル オブ バイオロジカル ケミスト
リー(J. Biol. Chem.), 第267巻, 第13708頁(1992)〕
を参考にして以下に示す4種類のプライマーを合成し
た。 センス・プライマーNo.5: 5'-pTAATTCAAGGACTCTTACTG-3' (配列番号:6) センス・プライマーNo.6: 5'-pGGAATTCCTAGGAGCAACTGCTGGTTCT-3' (配列番号:7) アンチセンス・プライマーNo.7: 5'-pGGAATTCCTCATATTTCATTGATTTGTT-3' (配列番号:8) アンチセンス・プライマーNo.8: 5'-pTTAAGTTAAGAGAAAGTGCT-3' (配列番号:9) ヒト胎盤由来cDNAライブラリーλgt11溶液(CLONTECH L
aboratories, Inc.) 5μlと蒸留水45μlとを混合し、95
℃で5分間保温した後、氷中で急冷した。2種類のプラ
イマー(上記No.5とNo.6;各50pmol)を加え、20mM 硫
酸マグネシウムの存在下でVentR DNA ポリメラーゼの1
単位を用いて、94℃、1分間、55℃、1分間、72℃、1
分10秒間の反応を50回繰り返す反応を行った。さらに、
その反応液に別の2種類のプライマー(上記No.6とNo.
7;各50pmol)を加え、同様に反応を行った。PCR産物を
1.2%アガロースゲル電気泳動で分離したところ、ヒト
胎盤由来カテプシンS塩基配列から予想される大きさ(1
076bp)に相当する位置に、増幅された DNA断片を確認し
た。このDNA断片をゲルから回収し、プラスミドベク
ター pT7Blue(R)T-Vector(Novagen社製)にサブクロー
ニングした。cDNA部分の塩基配列をジデオキシヌクレオ
チド合成鎖停止法〔J. Messingら、ヌクレイック アシ
ッズ リサーチ(Nucleic Acids Res.), 第9巻, 第309
頁, (1981)〕により決定し、このcDNA断片を含むプラス
ミドを、pHCS-2と命名した。
【0024】実施例1 ヒトカテプシンL遺伝子を動物
細胞で発現させるための組換えDNAの作製(1) 参考例1に記載のプラスミドpHCL-5を制限酵素BamHIで
消化した後、ヒトカテプシンLcDNAの断片をアガロース
ゲル電気泳動法により回収した。次に、動物細胞におけ
る一過性発現用のベクターpTB551〔Onoら、サイエンス
(Science), 第236巻, 第1116頁 (1989)に記載のプラ
スミドpTB389のEcoRI部位をBglII部位に変換したもの〕
の制限酵素BglII部位に、T4 DNAリガーゼとATPとの作用
によって上述のcDNA断片を挿入し、発現プラスミドpTB-
HCLを作製した。pTB-HCLの制限酵素HindIII部位とClaI
部位 の間にMuLV-LTRを挿入し、発現プラスミドpTBN-HC
Lを作製した(図1)。
細胞で発現させるための組換えDNAの作製(1) 参考例1に記載のプラスミドpHCL-5を制限酵素BamHIで
消化した後、ヒトカテプシンLcDNAの断片をアガロース
ゲル電気泳動法により回収した。次に、動物細胞におけ
る一過性発現用のベクターpTB551〔Onoら、サイエンス
(Science), 第236巻, 第1116頁 (1989)に記載のプラ
スミドpTB389のEcoRI部位をBglII部位に変換したもの〕
の制限酵素BglII部位に、T4 DNAリガーゼとATPとの作用
によって上述のcDNA断片を挿入し、発現プラスミドpTB-
HCLを作製した。pTB-HCLの制限酵素HindIII部位とClaI
部位 の間にMuLV-LTRを挿入し、発現プラスミドpTBN-HC
Lを作製した(図1)。
【0025】実施例2 ヒトカテプシンL遺伝子の動物
細胞における発現(1) 6cm径シャーレに完全培地〔5%(v/v) FCS(牛胎児血
清)を含むDMEM培地〕を4ml加え、COS-7細胞を3×105
個接種した。この培養液を5%の二酸化炭素存在下、37
℃で一夜培養した後、新しい培地と交換した。実施例1
に記載のプラスミド(pTBN-HCL)20μgに2.5Mの塩化カル
シウム溶液(滅菌済)を50μl加え、滅菌水で500μlに
調整した。これを500μlの2×HBS溶液(280mM 塩化ナト
リウム、1.5mM リン酸1水素2ナトリウム、50mM HEPE
S;pH 7.05)に加え、DNA-リン酸カルシウム沈澱を形成
させた。先の培地交換の2時間後、この沈澱懸濁液500
μlを細胞上に滴下して混合し、5%の二酸化炭素存在
下、37 ℃で培養した。4時間後に培地を除き、1.5 ml
の15%グリセロール/1×HBS溶液を加えて30秒間放置
後、グリセロール/1×HBS溶液を除き、DMEM培地(無血
清)でシャーレに付着している細胞を洗った。完全培地
4mlを加えて上記条件下で培養し、24時間後に無血清の
ASF104培地(味の素社製)に交換し、さらに2日間培養
した。培養上清を、参考例3で作製したヒトカテプシン
L抗血清を用いるウェスタンブロット分析に供した結果
を図2に示す。図に示すとおり該抗血清と反応する分子
量約40,000〜約30,000およびそれらよりも分子量の小さ
い特異的なバンドが検出され、その分子量からヒトカテ
プシンLのプロ体とその分解物であると推測された。な
お、図2において、レーン1〜3および9はpTBN-HCL
(+)の細胞を、レーン4はpET-HCL(−)の細胞を、レー
ン5〜7および10はpTBN-HCL(+)の培養上清を、レー
ン8はpTBN-HCL(−)の培養上清を、レーン11はpTBN-H
CLαを、レーン12は分子量マーカーをそれぞれ示す。
細胞における発現(1) 6cm径シャーレに完全培地〔5%(v/v) FCS(牛胎児血
清)を含むDMEM培地〕を4ml加え、COS-7細胞を3×105
個接種した。この培養液を5%の二酸化炭素存在下、37
℃で一夜培養した後、新しい培地と交換した。実施例1
に記載のプラスミド(pTBN-HCL)20μgに2.5Mの塩化カル
シウム溶液(滅菌済)を50μl加え、滅菌水で500μlに
調整した。これを500μlの2×HBS溶液(280mM 塩化ナト
リウム、1.5mM リン酸1水素2ナトリウム、50mM HEPE
S;pH 7.05)に加え、DNA-リン酸カルシウム沈澱を形成
させた。先の培地交換の2時間後、この沈澱懸濁液500
μlを細胞上に滴下して混合し、5%の二酸化炭素存在
下、37 ℃で培養した。4時間後に培地を除き、1.5 ml
の15%グリセロール/1×HBS溶液を加えて30秒間放置
後、グリセロール/1×HBS溶液を除き、DMEM培地(無血
清)でシャーレに付着している細胞を洗った。完全培地
4mlを加えて上記条件下で培養し、24時間後に無血清の
ASF104培地(味の素社製)に交換し、さらに2日間培養
した。培養上清を、参考例3で作製したヒトカテプシン
L抗血清を用いるウェスタンブロット分析に供した結果
を図2に示す。図に示すとおり該抗血清と反応する分子
量約40,000〜約30,000およびそれらよりも分子量の小さ
い特異的なバンドが検出され、その分子量からヒトカテ
プシンLのプロ体とその分解物であると推測された。な
お、図2において、レーン1〜3および9はpTBN-HCL
(+)の細胞を、レーン4はpET-HCL(−)の細胞を、レー
ン5〜7および10はpTBN-HCL(+)の培養上清を、レー
ン8はpTBN-HCL(−)の培養上清を、レーン11はpTBN-H
CLαを、レーン12は分子量マーカーをそれぞれ示す。
【0026】実施例3 発現したヒトカテプシンLの活
性測定 実施例2で作製したCOS-7形質転換体の培養上清を、セ
ントリカット(倉敷紡績製、分画1万)を用いて約20倍
濃縮し、カテプシンLの酵素活性を測定した。測定方法
は、A. J. BarrettとH. Kirschkeの方法〔メソッズ イ
ン エンザイモロジー(Methods in Enzymology), 第
80巻, 第535頁 (1981)〕に従った。この濃縮した培養上
清25μlに1M 蟻酸ナトリウム緩衝液(pH 3.0) 25μlと
0.1M DTT10μlを加え、水で250μlに調整して37℃で30
秒間保温した。125μlの活性化緩衝液(340mM 酢酸ナト
リウム、60mM 酢酸、4mM EDTA・2ナトリウム塩、pH 5.
5)を加えて混合した後、30℃で1分間静置して活性化
した。酵素反応は125μlの合成基質溶液〔20μM Z-Phe-
Arg-NMec(Z: ベンジルオキシカルボニル, NMec: -7-(4
-メチル)クマリルアミド)〕を加えて30℃で10分間行
い、500μlの反応停止液(100mMモノクロロ酢酸ナトリ
ウム、30mM 酢酸ナトリウム、70mM 酢酸、pH 4.3)を加
えて反応を停止した。対照実験には、酵素液としてカテ
プシンLを発現していないCOS-7細胞の培養上清を用い
た。反応停止後、 反応液の100μlを96穴フルオロプレ
ート(ラボシステムズ社製)に注入し、遊離した7-アミ
ノ-4-メチルクマリンの蛍光度を波長450nm(波長365nm
で励起)で蛍光測定機FCA(Baxter社製)を用いて測
定した。なお、以下の酵素阻害剤の本酵素活性に対する
影響を調べる場合には、阻害剤は上記の酵素活性化操作
の後に添加した。酵素阻害剤として、10μM ロイペプチ
ン(システインプロテアーゼ阻害剤)、10μM(p-アミ
ジノフェニル)メタンスルフォニルフルオライド塩酸塩
(APMSF: セリンプロテアーゼ阻害剤)、1μM Z-Phe-Ph
e-CHN2(カテプシンL阻害剤、-CHN2:ジアゾメタン)、1
μM ペプスタチンA(アスパラギン酸プロテアーゼ阻害
剤)を用いた。測定の結果、ヒトカテプシンL遺伝子で
形質転換したCOS-7細胞の培養上清中に、カテプシンL
活性が検出された。また、ロイペプチン、APMSF、Z-Phe
-Phe-CHN2、およびペプスタチンAの各酵素阻害剤の存在
下における本酵素活性は、阻害剤無添加の対照と比べて
それぞれ3.4%、79%、6.3%、および99%であった。以
上の結果より、COS-7細胞で発現した産物はヒトカテプ
シンLであることが強く示唆された。
性測定 実施例2で作製したCOS-7形質転換体の培養上清を、セ
ントリカット(倉敷紡績製、分画1万)を用いて約20倍
濃縮し、カテプシンLの酵素活性を測定した。測定方法
は、A. J. BarrettとH. Kirschkeの方法〔メソッズ イ
ン エンザイモロジー(Methods in Enzymology), 第
80巻, 第535頁 (1981)〕に従った。この濃縮した培養上
清25μlに1M 蟻酸ナトリウム緩衝液(pH 3.0) 25μlと
0.1M DTT10μlを加え、水で250μlに調整して37℃で30
秒間保温した。125μlの活性化緩衝液(340mM 酢酸ナト
リウム、60mM 酢酸、4mM EDTA・2ナトリウム塩、pH 5.
5)を加えて混合した後、30℃で1分間静置して活性化
した。酵素反応は125μlの合成基質溶液〔20μM Z-Phe-
Arg-NMec(Z: ベンジルオキシカルボニル, NMec: -7-(4
-メチル)クマリルアミド)〕を加えて30℃で10分間行
い、500μlの反応停止液(100mMモノクロロ酢酸ナトリ
ウム、30mM 酢酸ナトリウム、70mM 酢酸、pH 4.3)を加
えて反応を停止した。対照実験には、酵素液としてカテ
プシンLを発現していないCOS-7細胞の培養上清を用い
た。反応停止後、 反応液の100μlを96穴フルオロプレ
ート(ラボシステムズ社製)に注入し、遊離した7-アミ
ノ-4-メチルクマリンの蛍光度を波長450nm(波長365nm
で励起)で蛍光測定機FCA(Baxter社製)を用いて測
定した。なお、以下の酵素阻害剤の本酵素活性に対する
影響を調べる場合には、阻害剤は上記の酵素活性化操作
の後に添加した。酵素阻害剤として、10μM ロイペプチ
ン(システインプロテアーゼ阻害剤)、10μM(p-アミ
ジノフェニル)メタンスルフォニルフルオライド塩酸塩
(APMSF: セリンプロテアーゼ阻害剤)、1μM Z-Phe-Ph
e-CHN2(カテプシンL阻害剤、-CHN2:ジアゾメタン)、1
μM ペプスタチンA(アスパラギン酸プロテアーゼ阻害
剤)を用いた。測定の結果、ヒトカテプシンL遺伝子で
形質転換したCOS-7細胞の培養上清中に、カテプシンL
活性が検出された。また、ロイペプチン、APMSF、Z-Phe
-Phe-CHN2、およびペプスタチンAの各酵素阻害剤の存在
下における本酵素活性は、阻害剤無添加の対照と比べて
それぞれ3.4%、79%、6.3%、および99%であった。以
上の結果より、COS-7細胞で発現した産物はヒトカテプ
シンLであることが強く示唆された。
【0027】実施例4 ヒトカテプシンL遺伝子を動物
細胞で発現させるための組換えDNAの作製(2) ヒトカテプシンLの動物細胞における安定発現株を得る
ために、実施例1に記載した組換えベクター pTBN-HCL
に薬剤耐性マーカーneoの遺伝子を組み込んだ。すなわ
ち、プラスミドpTBN-HCLの制限酵素ClaI部位とSalI部位
の間に、SV40初期プロモーターとneoの遺伝子から成る
断片を挿入し、プラスミドpTBN-HCLneoを作製した(図
1)。
細胞で発現させるための組換えDNAの作製(2) ヒトカテプシンLの動物細胞における安定発現株を得る
ために、実施例1に記載した組換えベクター pTBN-HCL
に薬剤耐性マーカーneoの遺伝子を組み込んだ。すなわ
ち、プラスミドpTBN-HCLの制限酵素ClaI部位とSalI部位
の間に、SV40初期プロモーターとneoの遺伝子から成る
断片を挿入し、プラスミドpTBN-HCLneoを作製した(図
1)。
【0028】実施例5 ヒトカテプシンL遺伝子の動物
細胞における発現(2) 実施例4記載のプラスミド(pTBN-HCLneo)を用いて、マ
ウスミエローマSp2/0細胞の形質転換を以下のように行
った。5% FCSを添加したASF104 (5% FCS/ASF)培地で
培養したSp2/0細胞をPBS(-)〔DullbeccoのPBSからCaCl2
とMgCl2を除いたもの〕で1×107 cells/mlになるように
調整した。この細胞懸濁液500μlをキュベットに注入
し、10μgの該プラスミドDNAを加えて5分間氷上に静置
した。この液にジーンパルサー(バイオラッド社製)を
用いて125μF、300Vの条件下でパルスを加えた後、氷上
に戻して10分間静置した。この液を10mlの5% FCS/ASF1
04培地に移植し、5%二酸化炭素の存在下、37℃で培養
した。48時間後、選択培地(200μg/ml G418を含む5% F
CS/ASF104培地)に移植し、24穴プレートで2週間培養し
た。複数のコロニーの形成を確認し、それぞれを200μg
/ml G418を含むASF104培地に植え継いで培養した後、培
養上清を参考例3で作製したヒトカテプシンL抗血清を
用いるウェスタンブロット分析に供したところ、該抗血
清と反応する分子量約40,000〜約30,000およびそれらよ
りも小さい分子量の特異的なバンドが検出され、その分
子量からヒトカテプシンLのプロ体とそのプロセスされ
た産物と推測された(図3)。図3において、レーン1
は COS-7細胞上清 50μlを、レーン2〜4は Sp2/0;CO
S-7細胞上清(2,5,6日) 50μlを、レーン5は Sp2/
0;COS-7細胞上清 50μlを、レーンMは分子量マーカー
をそれぞれ示す。また、培養上清におけるカテプシンL
の活性を実施例3に記載の方法に従って測定したとこ
ろ、ヒトカテプシンLの活性が検出された。これらの結
果から、カテプシンLを発現する形質転換マウスミエロ
ーマ細胞が得られたことを確認し、マウスミエローマSp
-HCL26と命名した。
細胞における発現(2) 実施例4記載のプラスミド(pTBN-HCLneo)を用いて、マ
ウスミエローマSp2/0細胞の形質転換を以下のように行
った。5% FCSを添加したASF104 (5% FCS/ASF)培地で
培養したSp2/0細胞をPBS(-)〔DullbeccoのPBSからCaCl2
とMgCl2を除いたもの〕で1×107 cells/mlになるように
調整した。この細胞懸濁液500μlをキュベットに注入
し、10μgの該プラスミドDNAを加えて5分間氷上に静置
した。この液にジーンパルサー(バイオラッド社製)を
用いて125μF、300Vの条件下でパルスを加えた後、氷上
に戻して10分間静置した。この液を10mlの5% FCS/ASF1
04培地に移植し、5%二酸化炭素の存在下、37℃で培養
した。48時間後、選択培地(200μg/ml G418を含む5% F
CS/ASF104培地)に移植し、24穴プレートで2週間培養し
た。複数のコロニーの形成を確認し、それぞれを200μg
/ml G418を含むASF104培地に植え継いで培養した後、培
養上清を参考例3で作製したヒトカテプシンL抗血清を
用いるウェスタンブロット分析に供したところ、該抗血
清と反応する分子量約40,000〜約30,000およびそれらよ
りも小さい分子量の特異的なバンドが検出され、その分
子量からヒトカテプシンLのプロ体とそのプロセスされ
た産物と推測された(図3)。図3において、レーン1
は COS-7細胞上清 50μlを、レーン2〜4は Sp2/0;CO
S-7細胞上清(2,5,6日) 50μlを、レーン5は Sp2/
0;COS-7細胞上清 50μlを、レーンMは分子量マーカー
をそれぞれ示す。また、培養上清におけるカテプシンL
の活性を実施例3に記載の方法に従って測定したとこ
ろ、ヒトカテプシンLの活性が検出された。これらの結
果から、カテプシンLを発現する形質転換マウスミエロ
ーマ細胞が得られたことを確認し、マウスミエローマSp
-HCL26と命名した。
【0029】実施例6 ヒトカテプシンLの精製 実施例5で得られたカテプシンL高発現株を10% FCSと
200μg/ml G418とを添加したASF104培地20 ml中で培養
した後、無血清の選択培地(200μg/ml G418を添加した
ASF104培地)50mlに移植して5日間培養した。培養上清
をCM-SephadexC-50カラム(25×4.4cm)に負荷した後、緩
衝液A(20mM 酢酸ナトリウム、1mM EDTA, pH5.5)でカラ
ムを洗浄した。続いて、0Mから1Mまでの塩化ナトリウム
(NaCl)の濃度勾配で溶出したところ、ヒトカテプシンL
は約0.4MのNaCl濃度付近で溶出された。この画分をFPLC
システム(ファルマシア)のMono S (HR5/5)に負荷し、
カラムの洗浄とヒトカテプシンLの溶出を上記と同様に
行った。約0.36MのNaCl濃度付近で溶出されたヒトカテ
プシンL画分を濃縮して精製標品を調製した。
200μg/ml G418とを添加したASF104培地20 ml中で培養
した後、無血清の選択培地(200μg/ml G418を添加した
ASF104培地)50mlに移植して5日間培養した。培養上清
をCM-SephadexC-50カラム(25×4.4cm)に負荷した後、緩
衝液A(20mM 酢酸ナトリウム、1mM EDTA, pH5.5)でカラ
ムを洗浄した。続いて、0Mから1Mまでの塩化ナトリウム
(NaCl)の濃度勾配で溶出したところ、ヒトカテプシンL
は約0.4MのNaCl濃度付近で溶出された。この画分をFPLC
システム(ファルマシア)のMono S (HR5/5)に負荷し、
カラムの洗浄とヒトカテプシンLの溶出を上記と同様に
行った。約0.36MのNaCl濃度付近で溶出されたヒトカテ
プシンL画分を濃縮して精製標品を調製した。
【0030】実施例7 ヒトカテプシンLの椎間板髄核
への作用 ヒトカテプシンLを200, 400, 800 あるいは1600m単位
をそれぞれ含有する水溶液製剤を調製した。該製剤0.01
mlをレントゲンによる観察下にウサギ(体重2.5〜3kg)
の腰椎の椎間板髄核内に、後側方侵入により注入した。
投与1週間後に、レントゲン写真を撮影した結果、800
m単位以上のカテプシンLを投与したウサギで腰椎椎間
板の狭窄が観察された。組織学的検索のため、麻酔下に
ウサギを放血屠殺し、カテプシンL注入部の腰椎を採取
した。骨組織はホルマリンに浸漬して固定し、EDTA
にて脱灰後、縦切標本を作製するためにトリミングを行
い、パラフィン包埋を行った。次に、ミクロトームにて
5ミクロンの薄切切片を作製し、トルイジン・ブルー染
色(軟骨を特異的に染色:図4〜7)及びヘマトキシリ
ン・エオジン染色(図8〜11)を施した後、これらの
切片標本を光学顕微鏡下に観察した。その結果、800m
単位投与(図5および図9)では髄核が小量溶解され
て、また1600m単位投与(図4および図8)では髄核が
ほとんど溶解されていた。しかしながら、400m単位
(図6および図10)あるいは200m単位(図7および
図11)投与では、生理食塩水を注射した対照群と同様
に、上記のような髄核の減少は見られなかった。800m
単位のカテプシンLを注入した1週間後のウサギ椎間板
では、髄核の融解が起こり、その影響は繊維輪にまで達
していた(図13)。
への作用 ヒトカテプシンLを200, 400, 800 あるいは1600m単位
をそれぞれ含有する水溶液製剤を調製した。該製剤0.01
mlをレントゲンによる観察下にウサギ(体重2.5〜3kg)
の腰椎の椎間板髄核内に、後側方侵入により注入した。
投与1週間後に、レントゲン写真を撮影した結果、800
m単位以上のカテプシンLを投与したウサギで腰椎椎間
板の狭窄が観察された。組織学的検索のため、麻酔下に
ウサギを放血屠殺し、カテプシンL注入部の腰椎を採取
した。骨組織はホルマリンに浸漬して固定し、EDTA
にて脱灰後、縦切標本を作製するためにトリミングを行
い、パラフィン包埋を行った。次に、ミクロトームにて
5ミクロンの薄切切片を作製し、トルイジン・ブルー染
色(軟骨を特異的に染色:図4〜7)及びヘマトキシリ
ン・エオジン染色(図8〜11)を施した後、これらの
切片標本を光学顕微鏡下に観察した。その結果、800m
単位投与(図5および図9)では髄核が小量溶解され
て、また1600m単位投与(図4および図8)では髄核が
ほとんど溶解されていた。しかしながら、400m単位
(図6および図10)あるいは200m単位(図7および
図11)投与では、生理食塩水を注射した対照群と同様
に、上記のような髄核の減少は見られなかった。800m
単位のカテプシンLを注入した1週間後のウサギ椎間板
では、髄核の融解が起こり、その影響は繊維輪にまで達
していた(図13)。
【0031】実施例8 ヒトカテプシンLの精製(2) 実施例5で得られたヒトカテプシンLの高発現の一クロ
ーンSp-HCL26を1.8Lの選択培地(3%FCS と600μg/ml G
418を添加したASF104培地)で培養した後、遠心分離に
よって培養上清を回収した。培養上清をカルチャーフロ
ーMRLユニット(旭メディカル社製)によって370mlに濃
縮した。濃縮液に硫酸アンモニウムを添加して80%飽和
にして4℃で2時間撹はんした後、17,000×g、15分間
の遠心分離によって沈澱を回収した。この沈澱を25mlの
緩衝液A(20mM 酢酸ナトリウム、1mM EDTA、pH5.5)に
懸濁し、緩衝液Aに対して一晩透析した。次に、透析液
をCM-Sepharose Fast Flow カラム(3.0×30 cm、ファ
ルマシアLKBバイオテクノロジー)に負荷した。ベッ
ドボリュームの5倍量の緩衝液Aでカラムを洗浄した
後、0.4M NaClを含む緩衝液AでヒトカテプシンLを溶
出した。溶出液をセントリカットU-10(倉敷紡績社製)
で濃縮し、0.9% NaClを含む緩衝液Aで平衡化したSeph
acryl S-200 HRカラム(2.5×100 cm、ファルマシアL
KBバイオテクノロジー)に負荷してゲルろ過を行っ
た。ヒトカテプシンLを含む画分を回収し、緩衝液Aに
対し一晩透析した。透析液をCM Sephadex C-50カラム
(1.6 ×20 cm、ファルマシアLKBバイオテクノロジ
ー)に負荷し、ベッドボリュームの3倍量の緩衝液Aで
カラムを洗浄した後、塩化ナトリウムの直線的濃度勾配
法(終濃度300mM)によってヒトカテプシンLを溶出し
た。約160mM濃度で溶出されたヒトカテプシンL画分を
セントリカットU-10によって濃縮し、上記と同様なゲル
ろ過クロマトグラフィーに供した。ヒトカテプシンLの
画分を回収し、硫酸アンモニウムを加えて50%飽和と
し、50%飽和硫安を含む緩衝液Aで平衡化したHiLoad P
henyl-Sepharose High Performance column(16/10,フ
ァルマシアLKBバイオテクノロジー)に負荷し、50%
飽和硫安を含む緩衝液Aでカラムを洗浄した後、50%
(v/v)エチレングリコールを含む緩衝液Aで溶出する
ことによってヒトカテプシンLの精製標品0.67mgを得
た。本精製標品17μgをポリアクリルアミドゲル電気泳
動に供したところ、33kDの成熟体のカテプシンLのバン
ドのみが確認された。なお、ヒトカテプシンLは培養上
清中に約41kdalの前駆体の形で分泌されたが、精製の過
程で培地中のFCS由来のアルブミンが除去されること
によって約33kDalの成熟体にプロセスされて著しい活性
を示した。
ーンSp-HCL26を1.8Lの選択培地(3%FCS と600μg/ml G
418を添加したASF104培地)で培養した後、遠心分離に
よって培養上清を回収した。培養上清をカルチャーフロ
ーMRLユニット(旭メディカル社製)によって370mlに濃
縮した。濃縮液に硫酸アンモニウムを添加して80%飽和
にして4℃で2時間撹はんした後、17,000×g、15分間
の遠心分離によって沈澱を回収した。この沈澱を25mlの
緩衝液A(20mM 酢酸ナトリウム、1mM EDTA、pH5.5)に
懸濁し、緩衝液Aに対して一晩透析した。次に、透析液
をCM-Sepharose Fast Flow カラム(3.0×30 cm、ファ
ルマシアLKBバイオテクノロジー)に負荷した。ベッ
ドボリュームの5倍量の緩衝液Aでカラムを洗浄した
後、0.4M NaClを含む緩衝液AでヒトカテプシンLを溶
出した。溶出液をセントリカットU-10(倉敷紡績社製)
で濃縮し、0.9% NaClを含む緩衝液Aで平衡化したSeph
acryl S-200 HRカラム(2.5×100 cm、ファルマシアL
KBバイオテクノロジー)に負荷してゲルろ過を行っ
た。ヒトカテプシンLを含む画分を回収し、緩衝液Aに
対し一晩透析した。透析液をCM Sephadex C-50カラム
(1.6 ×20 cm、ファルマシアLKBバイオテクノロジ
ー)に負荷し、ベッドボリュームの3倍量の緩衝液Aで
カラムを洗浄した後、塩化ナトリウムの直線的濃度勾配
法(終濃度300mM)によってヒトカテプシンLを溶出し
た。約160mM濃度で溶出されたヒトカテプシンL画分を
セントリカットU-10によって濃縮し、上記と同様なゲル
ろ過クロマトグラフィーに供した。ヒトカテプシンLの
画分を回収し、硫酸アンモニウムを加えて50%飽和と
し、50%飽和硫安を含む緩衝液Aで平衡化したHiLoad P
henyl-Sepharose High Performance column(16/10,フ
ァルマシアLKBバイオテクノロジー)に負荷し、50%
飽和硫安を含む緩衝液Aでカラムを洗浄した後、50%
(v/v)エチレングリコールを含む緩衝液Aで溶出する
ことによってヒトカテプシンLの精製標品0.67mgを得
た。本精製標品17μgをポリアクリルアミドゲル電気泳
動に供したところ、33kDの成熟体のカテプシンLのバン
ドのみが確認された。なお、ヒトカテプシンLは培養上
清中に約41kdalの前駆体の形で分泌されたが、精製の過
程で培地中のFCS由来のアルブミンが除去されること
によって約33kDalの成熟体にプロセスされて著しい活性
を示した。
【0032】実施例9 ヒトカテプシンS遺伝子を動物
細胞で発現させるための組換えDNAの作製 参考例4に記載のプラスミドpHCS-2を制限酵素EcoRIで
消化した後、ヒトカテプシンScDNAの断片をアガロース
ゲル電気泳動法により回収した。次に、動物細胞におけ
る一過性発現用のベクターpTB701neo(特開平04-117399
の実施例5記載のプラスミドpHSDneo1からgD遺伝子を除
去したもの)の制限酵素EcoRI部位に、T4 DNAリガーゼ
とATPとの作用によって上述のcDNA断片を挿入し、発現
プラスミドpTBN-HCSneoを作製した(図14)。
細胞で発現させるための組換えDNAの作製 参考例4に記載のプラスミドpHCS-2を制限酵素EcoRIで
消化した後、ヒトカテプシンScDNAの断片をアガロース
ゲル電気泳動法により回収した。次に、動物細胞におけ
る一過性発現用のベクターpTB701neo(特開平04-117399
の実施例5記載のプラスミドpHSDneo1からgD遺伝子を除
去したもの)の制限酵素EcoRI部位に、T4 DNAリガーゼ
とATPとの作用によって上述のcDNA断片を挿入し、発現
プラスミドpTBN-HCSneoを作製した(図14)。
【0033】実施例10 ヒトカテプシンS遺伝子の動
物細胞における発現 実施例9記載のプラスミド(pTBN-HCSneo)を用いて、マ
ウスミエローマSp2/0細胞の形質転換を以下のように行
った。5% FCSを添加したASF104 (5% FCS/ASF)培地で
培養したSp2/0細胞をPBS(-)〔DullbeccoのPBSからCaCl2
とMgCl2を除いたもの〕で1×107 cells/mlになるように
調整した。この細胞懸濁液500μlをキュベットに注入
し、10μgの該プラスミドDNAを加えて5分間氷上に静置
した。この液にジーンパルサー(バイオラッド社製)を
用いて125μF、300Vの条件下でパルスを加えた後、氷上
に戻して10分間静置した。この液を10mlの5% FCS/ASF1
04培地に移植し、5%二酸化炭素の存在下、37℃で培養
した。48時間後、選択培地(200μg/ml G418を含む5% F
CS/ASF104培地)に移植し、24穴プレートで2週間培養し
た。複数のコロニーの形成を確認し、それぞれを200μg
/ml G418を含むASF104培地に植え継いで培養した後、培
養上清を参考例3で作製したヒトカテプシンL抗血清
(ヒトカテプシンSと交差反応する抗体)を用いるウェ
スタンブロット分析に供したところ、該抗血清と反応す
る分子量約38,000〜約23,000およびそれらよりも小さい
分子量の特異的なバンドが検出され、その分子量からヒ
トカテプシンSのプロ体とそのプロセスされた産物と推
測された。培養上清におけるカテプシンSの活性を実施
例3に記載の方法に従って測定したところ、該活性が検
出された。
物細胞における発現 実施例9記載のプラスミド(pTBN-HCSneo)を用いて、マ
ウスミエローマSp2/0細胞の形質転換を以下のように行
った。5% FCSを添加したASF104 (5% FCS/ASF)培地で
培養したSp2/0細胞をPBS(-)〔DullbeccoのPBSからCaCl2
とMgCl2を除いたもの〕で1×107 cells/mlになるように
調整した。この細胞懸濁液500μlをキュベットに注入
し、10μgの該プラスミドDNAを加えて5分間氷上に静置
した。この液にジーンパルサー(バイオラッド社製)を
用いて125μF、300Vの条件下でパルスを加えた後、氷上
に戻して10分間静置した。この液を10mlの5% FCS/ASF1
04培地に移植し、5%二酸化炭素の存在下、37℃で培養
した。48時間後、選択培地(200μg/ml G418を含む5% F
CS/ASF104培地)に移植し、24穴プレートで2週間培養し
た。複数のコロニーの形成を確認し、それぞれを200μg
/ml G418を含むASF104培地に植え継いで培養した後、培
養上清を参考例3で作製したヒトカテプシンL抗血清
(ヒトカテプシンSと交差反応する抗体)を用いるウェ
スタンブロット分析に供したところ、該抗血清と反応す
る分子量約38,000〜約23,000およびそれらよりも小さい
分子量の特異的なバンドが検出され、その分子量からヒ
トカテプシンSのプロ体とそのプロセスされた産物と推
測された。培養上清におけるカテプシンSの活性を実施
例3に記載の方法に従って測定したところ、該活性が検
出された。
【0034】実施例11 ヒトカテプシンSの精製 実施例10で得られたヒトカテプシンSの高発現クロー
ンSp-HCS30を2.0Lの選択培地(3%FCS と600μg/ml G41
8を添加したASF104培地)で培養した後、遠心分離によ
って培養上清を回収した。この培養上清を出発材料に用
いて、実施例8の方法に準じてヒトカテプシンSを精製
し、精製標品約0.5mgを取得した。
ンSp-HCS30を2.0Lの選択培地(3%FCS と600μg/ml G41
8を添加したASF104培地)で培養した後、遠心分離によ
って培養上清を回収した。この培養上清を出発材料に用
いて、実施例8の方法に準じてヒトカテプシンSを精製
し、精製標品約0.5mgを取得した。
【0035】実施例12 ヒトカテプシンSの椎間板髄
核への作用 実施例7に記載の方法に従ってウサギ腰椎椎間板の髄核
内にヒトカテプシンSを注入したところ、ヒトカテプシ
ンLの場合と同様に椎間板の狭窄が観察された。
核への作用 実施例7に記載の方法に従ってウサギ腰椎椎間板の髄核
内にヒトカテプシンSを注入したところ、ヒトカテプシ
ンLの場合と同様に椎間板の狭窄が観察された。
【0036】
【発明の効果】本発明は、ヒトカテプシンを該酵素をコ
ードするDNAを保持した動物細胞を培養することによ
って製造するものであり、これによって該酵素を高純度
でかつ大量に製造できる。また、本発明のヒトカテプシ
ンを含有する製剤は、哺乳動物の椎間板髄核を適切に溶
解し、その結果椎間板ヘルニアの治療に使用可能であ
る。
ードするDNAを保持した動物細胞を培養することによ
って製造するものであり、これによって該酵素を高純度
でかつ大量に製造できる。また、本発明のヒトカテプシ
ンを含有する製剤は、哺乳動物の椎間板髄核を適切に溶
解し、その結果椎間板ヘルニアの治療に使用可能であ
る。
【0037】
配列番号:1 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:その他の核酸(化学合成DNA) アンチセンス:No 配列: TTTTCAGGGG GCAGTAAGAT 20
【0038】配列番号:2 配列の長さ:28 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:その他の核酸(化学合成DNA) アンチセンス:No 配列: CCGGATCCGG CTTTTTAGGA TTGGTCTA 28
【0039】配列番号:3 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:その他の核酸(化学合成DNA) アンチセンス:Yes 配列: GGGGGCTGG TAGACTGAAGA 20
【0040】配列番号:4 配列の長さ:28 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:その他の核酸(化学合成DNA) アンチセンス:Yes 配列: CCGGATCCAT TCCTCCCATG CATGCGCC 28
【0041】配列番号:5 配列の長さ:12 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:その他の核酸(化学合成DNA) アンチセンス:No 配列: CCCGGATCCG GG 12
【0042】配列番号:6 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:その他の核酸(化学合成DNA) アンチセンス:No 配列: TAATTCAAGGACTCTTACTG
【0043】配列番号:7 配列の長さ:28 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:その他の核酸(化学合成DNA) アンチセンス:No 配列: GGAATTCCTAGGAGCAACTGCTGGTTCT
【0044】配列番号:8 配列の長さ:28 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:その他の核酸(化学合成DNA) アンチセンス:Yes 配列: GGAATTCCTCATATTTCATTGATTTGTT
【0045】配列番号:9 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:その他の核酸(化学合成DNA) アンチセンス:Yes 配列: TTAAGTTAAGAGAAAGTGCT
【0046】
【図1】は、実施例1および4で得られたプラスミドの
構築図である。
構築図である。
【図2】は、実施例2で観察されたCOS-7細胞の形質転
換体によるヒトカテプシンLの生成を示す。
換体によるヒトカテプシンLの生成を示す。
【図3】は、実施例5で観察されたSp2/0細胞の形質転
換体によるヒトカテプシンLの生成を示す。
換体によるヒトカテプシンLの生成を示す。
【図4】は、実施例7におけるカテプシンL1600m単位
投与時のトルイジン・ブルー染色像である。
投与時のトルイジン・ブルー染色像である。
【図5】は、実施例7におけるカテプシンL800m単位
投与時のトルイジン・ブルー染色像である。
投与時のトルイジン・ブルー染色像である。
【図6】は、実施例7におけるカテプシンL400m単位
投与時のトルイジン・ブルー染色像である。
投与時のトルイジン・ブルー染色像である。
【図7】は、実施例7におけるカテプシンL200m単位
投与時のトルイジン・ブルー染色像である。
投与時のトルイジン・ブルー染色像である。
【図8】は、実施例7におけるカテプシンL1600m単位
投与時のヘマトキシリン・エオジン染色像である。
投与時のヘマトキシリン・エオジン染色像である。
【図9】は、実施例7におけるカテプシンL800m単位
投与時のヘマトキシリン・エオジン染色像である。
投与時のヘマトキシリン・エオジン染色像である。
【図10】は、実施例7におけるカテプシンL400m単
位投与時のヘマトキシリン・エオジン染色像である。
位投与時のヘマトキシリン・エオジン染色像である。
【図11】は、実施例7におけるカテプシンL200m単
位投与時のヘマトキシリン・エオジン染色像である。
位投与時のヘマトキシリン・エオジン染色像である。
【図12】は、正常なウサギ椎間板の肉眼像である。
【図13】は、実施例7におけるカテプシンL800m単
位投与時のウサギ椎間板の肉眼像である。
位投与時のウサギ椎間板の肉眼像である。
【図14】は、実施例9で得られたプラスミドの構築図
である。
である。
Aは、ウエスタンプロッティングの結果を示す。Bは、
CBB染色の結果を示す。
CBB染色の結果を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 //(C12N 9/64 C12R 1:91) (C12N 9/64 C12R 1:19) (C12N 5/10 C12R 1:91) (C12N 15/57 C12R 1:91)
Claims (16)
- 【請求項1】ヒトカテプシンをコードするDNAを保持
する動物細胞を培養し、該酵素を培養物中に生成蓄積せ
しめ、これを採取することを特徴とするヒトカテプシン
の製造法。 - 【請求項2】動物細胞がマウスミエローマ細胞である請
求項1記載の製造法。 - 【請求項3】マウスミエローマ細胞がマウスミエローマ
SP−HCL26(FERM BP−3902)である
請求項2記載の製造法。 - 【請求項4】マウスミエローマ細胞がマウスミエローマ
SP−HCL26−1(FERM BP−4288)で
ある請求項2記載の製造法。 - 【請求項5】マウスミエローマ細胞がマウスミエローマ
SP−HCS30(FERMBP−4289)である請
求項2記載の製造法。 - 【請求項6】ヒトカプテシンがヒトカプテシンLである
請求項1または2記載の製造法。 - 【請求項7】ヒトカプテシンがヒトカプテシンSである
請求項1または2記載の製造法。 - 【請求項8】ヒトカプテシンをコードするDNAを保持
するマウスミエローマ細胞。 - 【請求項9】ヒトカプテシンがヒトカプテシンLである
請求項8記載のマウスミエローマ細胞。 - 【請求項10】ヒトカプテシンがヒトカプテシンSであ
る請求項8記載のマウスミエローマ細胞。 - 【請求項11】マウスミエローマSP−HCL26(F
ERM BP−3902)またはマウスミエローマSP
−HCL26−1(FERM BP−4288)である
請求項9記載のマウスミエローマ細胞。 - 【請求項12】マウスミエローマSP−HCS30(F
ERMBP−4289)である請求項10記載のマウス
ミエローマ細胞。 - 【請求項13】ヒトカテプシンを含有する椎間板ヘルニ
ア治療剤。 - 【請求項14】ヒトカテプシンが分子量約20,000
〜約40,000である請求項13記載の治療剤。 - 【請求項15】ヒトカテプシンが、ヒトカテプシンLま
たはそのムテインである請求項13または14記載の治
療剤。 - 【請求項16】ヒトカテプシンが、ヒトカテプシンSま
たはそのムテインである請求項13または14記載の治
療剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5172468A JPH0775573A (ja) | 1992-06-19 | 1993-06-18 | ヒトカテプシンの製造法および該酵素含有製剤 |
Applications Claiming Priority (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18594792 | 1992-06-19 | ||
JP15782793 | 1993-06-02 | ||
JP4-185947 | 1993-06-02 | ||
JP5-157827 | 1993-06-02 | ||
JP5172468A JPH0775573A (ja) | 1992-06-19 | 1993-06-18 | ヒトカテプシンの製造法および該酵素含有製剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0775573A true JPH0775573A (ja) | 1995-03-20 |
Family
ID=27321237
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5172468A Withdrawn JPH0775573A (ja) | 1992-06-19 | 1993-06-18 | ヒトカテプシンの製造法および該酵素含有製剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0775573A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011517318A (ja) * | 2008-03-06 | 2011-06-02 | ハロザイム インコーポレイテッド | 可活性化型マトリックス分解酵素の生体内一時的制御 |
JP2011231110A (ja) * | 2010-04-23 | 2011-11-17 | Kyoung Sam Byun | 腰椎間板脱出症治療用薬剤学的組成物及びその製造方法 |
-
1993
- 1993-06-18 JP JP5172468A patent/JPH0775573A/ja not_active Withdrawn
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011517318A (ja) * | 2008-03-06 | 2011-06-02 | ハロザイム インコーポレイテッド | 可活性化型マトリックス分解酵素の生体内一時的制御 |
JP2014043449A (ja) * | 2008-03-06 | 2014-03-13 | Halozyme Inc | 可活性化型マトリックス分解酵素の生体内一時的制御 |
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