JPH0775497B2 - ドジョウの産卵育成方法及びその装置 - Google Patents

ドジョウの産卵育成方法及びその装置

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JPH0775497B2
JPH0775497B2 JP4176215A JP17621592A JPH0775497B2 JP H0775497 B2 JPH0775497 B2 JP H0775497B2 JP 4176215 A JP4176215 A JP 4176215A JP 17621592 A JP17621592 A JP 17621592A JP H0775497 B2 JPH0775497 B2 JP H0775497B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は国内に生息する各種のド
ジョウの産卵を促進して、養殖に適した強い稚魚を得る
ことができる方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ドジョウはドジョウ科に属し、我国の各
地に広く分布している硬骨魚類であるが、食用として独
特の風味があり、健康食品としての価値が見直されて、
近時は養殖の対象としての試みがなされている。特に最
近のグルメブームの中でもドジョウの嗜好食品としての
需要が高まっている現状にある。またドジョウはこのよ
うな食用以外にも、各種漁業時の餌とか動物園用の飼育
餌、養鶏用の餌にも使用されていて、汎用性が広いとい
う特徴を有している。これらドジョウの種類は大別して
8種類であるが、養殖の対象としては、ドジョウ,マド
ジョウと呼ばれるものが主体となっている。
【0003】最近は農薬とか都市計画の影響で天然ドジ
ョウが激減し、更にはドジョウの養殖技術が完成されて
いないため、国内産だけでは到底需要に対応することが
できない。そのため市場に出まわっているドジョウの9
0%以上は外国産であり、国内産のドジョウの価格は淡
水養殖魚類の中でも最高位にランク付けされている。
【0004】一般に冬季に川や沼等の深場で冬眠してい
るドジョウは、春先になると水の流れに向かって移動し
て水田等の浅場に進入する。この浅場の水温は上昇し易
いため、ミジンコ等の餌生物が発生しており、ドジョウ
はこれらの餌生物を食して体長10センチ前後まで成長
する。ドジョウは底棲性の魚類であって雑食性である
が、植物よりも動物性の餌を好み、生活場所としては泥
の多い所を好む習性があり、泥の表面をはうように移動
しながら餌を取る。そして口の中に泥と一緒に餌を取り
入れて好きなものだけを飲み込み、他はエラから吐き出
す。成長したドジョウは産卵に適した場所を探して産卵
し、秋口には流れに沿って深場に向い、そこで越冬す
る。
【0005】これらドジョウの雌親は、卵巣内に常時卵
を持っているが、産卵に適する環境に恵まれない限り自
然産卵は行わない。産卵に適する場所とは、通常は渇水
状態で雑草が適当に生えていて、降雨によって水深が5
〜20cmくらいになる所がよく、このような場所は降
雨によって水が新しく、プランクトンが発生していない
ため、卵を食べる害虫もほとんどいないという特徴があ
る。このような雑草に卵を産み付けることにより、水が
透明であるから卵が泥をかぶって窒息死する恐れがない
上、ワムシ等の餌生物が発生するので、孵化後の稚魚の
成長に有利である。
【0006】そして産卵時には、ドジョウの行動が平常
時よりも活発になって水底を泳ぎまわり、雄は雌の胸部
とか腰部をつっついて水底から押し上げる行動を取る。
そして雌が水面近くに浮かび上がると、雄は雌の腰部に
素早く巻き付き、体を締め付ける。これによって卵が水
中に押しだされると、雄が精液を射出し、産出された卵
が水面近くから産卵状態に落下して雑草上に適度の間隔
を置いて付着する。
【0007】我国でのドジョウの養殖は大正時代から試
験が行われているが、現在では粗放的養殖と集約的給餌
養殖の2つの方法が知られている。粗放的養殖とは水田
を利用してドジョウを逃がさないような設備をする方法
であり、稲に施す肥料として化学肥料を使用せず、堆肥
とか鶏糞等の有機質肥料を使用することにより、田の中
にミジンコとかワムシ等の餌生物を繁殖させる方法であ
る。他方の集約的給餌養殖とは、水田を改良した養殖池
を使用して、土中に鶏糞とか牛糞等を埋め込んで餌生物
を発生させ、成育時には人工飼料を積極的に給餌する方
法である。
【0008】養殖に用いるドジョウの種苗を生産するた
めに、ドジョウに対するホルモン注射,人工受精,人工
孵化,採苗を行う人工採卵法と、天然の産卵場に近い環
境を整えた池で自然産卵,孵化を行う自然採卵法の何れ
かが採用される。
【0009】上記人工採卵法は、雌親にゴナトロピン等
のホルモン剤を注射して排卵まで待機する。注射後に排
卵が始まるまでの時間は、ホルモンの量とか水温によっ
て決定され、例えば水温25℃で魚体重1グラム当り1
0単位のホルモン剤を注射した場合には、10時間から
14時間の間に排卵が開始される。そして排卵後4時間
以内に受精させなければ孵化率が著しく低下してしまう
ので、雄親から急いで精巣を取り出し、この精巣をつぶ
して精子をリンゲル液で溶く。精子はリンゲル液中で室
温で2時間位は受精能力を持っているため、その時間内
で受精を行う。受精は雌親の腹を軽く押して卵をしぼり
出し、卵が出ると同時に精液をかけ、水をはった容器の
底に沈めたスリガラスの板に落下して付着させ、孵化水
槽内に収容する。
【0010】上記自然採卵法は、水田等に最低50m2
〜100m2位の面積の産卵池を作り、孵化稚魚の餌に
なる餌生物を発生させるため、鶏糞とか醤油粕等を散布
し、施肥後に地下水等のきれいな水を20cm前後の深
さにはり、卵を産み付けさせるための水草,例えばキン
ギョモとかクロモ等を入れ、産卵池の広さ3平方メート
ル当り1.5尾の雌親と3尾当りの雄親を放して産卵を
行う方法である。産卵後はそのまま孵化,稚魚育成,養
殖を行う。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の人工採卵法及び自然採卵法の何れの方法にあ
っても歩留まりの面での難点があり、かつ、大きな労力
を必要とする上、操作が煩瑣であって、需要に応じられ
るだけの大きな産卵効果を上げることができないという
課題があった。
【0012】即ち、上記人工採卵法は、雌親にゴナトロ
ピン等のホルモン剤を注射してから排卵が開始されるま
で水温25℃で10時間から14時間もかかり、この4
時間の時間差内で30分間隔で排卵状態を確認しなけれ
ばならない。特に雄の精子は取出後2時間位で受精能力
を失う上、精子取出す時に水が一滴でも混入すると精子
が数秒以内で死んでしまうので、タイミングが難しいと
いう問題がある。更に卵をスリガラスの板に付着する際
に、卵と卵との間隔を1mm以上あけて付着させなけれ
ばならず、仮りに卵と卵とがくっついた場合には酸素不
足によって死卵になるか、孵化しても奇形魚になってし
まう恐れがある。以上のことから人工受精は素早く、し
かも確実に行わなければならない。
【0013】上記の作業は人間二人で一回に雌親2尾程
度が限度であり、更に卵をスリガラス板に付着してから
12時間位経過すると、未受精卵が死んで飴色で透明な
ものから白色不透明に変化する。この死卵をそのまま放
置するとやがて腐敗し、水カビが発生して付近の正常卵
を害し、孵化槽内の卵が全滅する場合もあるので、この
死卵を取り除く必要があり、この作業にも大きな労力が
要求される。
【0014】前記自然採卵法は、水田等に産卵池を作
り、鶏糞とか醤油粕等を散布してきれいな水をはって水
草に卵を産み付けさせる方法であるため、親魚を沢山放
すと泥が舞い上がって卵が窒息死する恐れがあり、従っ
て親魚の数は限定される。また上記産卵池は1回産卵す
ると水が濁ってしまうため、何回も産卵させることが出
来ない。更に産卵後の卵を雄親が食べてしまうことが多
々あるため、産卵効率が悪いという難点を有している。
【0015】上記以外の採卵法として、産卵した卵を親
魚が食べてしまうことを防ぐため、水槽にコンテナ等の
浮きカゴを浮かべて、その中にホルモン注射をした雌親
と雄親を入れ、水槽の底にスリガラス等の卵を付着させ
る材料を敷き、浮きカゴの中で産卵を行わせて産み出さ
れた卵を浮きカゴの目から落下してスリガラスに付着さ
せる方法もあるが、浮きカゴの中の親魚にストレスが生
じるため、産卵する雌親の数が少なく、産み出される卵
の数も極端に少ないという難点がある。また人工受精の
手間を省略するため、水槽に人工的な産卵藻等を入れて
雌親にホルモン注射を施し、雄親と一緒に水槽に放す方
法もあるが、これも親魚にストレスが生じて産卵する雌
親の数と産み出される卵の数が極端に少なく、かつ、産
み出された卵を親魚が食べてしまうという難点は解消さ
れていない。
【0016】そこで本発明はこのような従来のドジョウ
の産卵手段が有している課題を解消して、産卵の歩留ま
りを高め、操作が簡易化されて大きな労力を必要とせ
ず、かつ、多くの需要に応じるための大きな産卵効果を
上げることができるドジョウの産卵育成方法及びその装
置を得ることを目的とするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、所定の広さと深さを持つ水槽の底面に、網
目が不規則な目を持った材料で構成され、一方の表面に
一定の間隔を保って水草が植え付けられた複数枚の産卵
用魚巣を配置し、更に上記産卵用魚巣から所定長離反し
た部位に、親魚の隠れ場所となる複数個のパイプの束を
沈めておき、水槽内に給水管を用いて清浄水を給水し
て、水槽内にドジョウの雌親と雄親とを放して産卵行動
を誘発することにより、産卵用魚巣に産卵をさせ、その
後送気管を介して水槽内にエアを供給しながら卵を孵化
させて所定期間初期育成を行い、稚魚を適当な大きさま
で成長させた後に養殖池に放流するドジョウの産卵育成
方法及びその装置を提供する。
【0018】上記産卵用魚巣として、各水槽間を移動可
能な大きさを持つサラン製ネットを用いており、前記パ
イプの直径は略3cm、パイプの長さは60cm、各パ
イプの束の間隔は略90cmとし、1束中のパイプの束
の数は4本乃至6本とした。更に産卵用魚巣の表面上に
略17cm間隔の切込みを入れて、各切込みに水草を植
え付けてあり、この産卵用魚巣の裏面周縁部に、親魚が
産卵用魚巣の裏面に潜り込むことを防止するためのエン
ビ板を取付けてある。
【0019】
【作用】上記構成の本発明によれば、水槽内に給水管か
ら清浄な水を規定量注水し、該水槽の底部に産卵用魚巣
とパイプの束を配置し、水槽内にドジョウの雌親,雄親
の複数尾を放すと、翌日にはすぐに産卵行動が見られ、
多量の卵が産み出される。尚、雌親にホルモン剤を注射
することによって産卵成績が高められる。
【0020】このようにして水槽内でドジョウによる自
然産卵が行われると、パイプの束に隠れている産卵後の
親魚をパイプの束とともに水槽より外に取り出す。そし
て、産卵用魚巣に産卵された卵が孵化して一定期間経過
し稚魚が泳ぎまわれる状態になったときに、各産卵用魚
巣を水中で持ち上げて揺動することにより、稚魚が産卵
用魚巣から逃げ出す。そこで水槽から産卵用魚巣を取り
出し、稚魚に餌を与えて初期育成を行い、適当な大きさ
まで成長させた後に排水管から稚魚を次段の養殖池に放
流する。
【0021】
【実施例】以下図面に基づいて本発明にかかるドジョウ
の産卵方法及びその装置の一実施例を説明する。本発明
はドジョウに自ら産卵を行わしめて、得た卵を孵化し、
かつ、稚魚を育成して養殖池に放流する操作を行うため
の方法と装置に関するものである。ドジョウは非常に神
経質な魚であって、産卵に適する環境に恵まれない限り
自然産卵を行わない。そこで本実施例では、ドジョウに
産卵を誘発する条件を人工的に造り、ドジョウに自ら産
卵を行わせる環境を与えたことを特徴としている。
【0022】図1,図2はドジョウの産卵と孵化初期に
おける稚魚育成を行う装置例を示しており、図中の1は
所定の広さと深さを持つ水槽であり、本実施例では、幅
90cm,長さ9m,深さ30cm,容積にして8.1
2の水槽を準備し、この水槽1内に地下水等のきれい
な水を深さ20cmに給水する。
【0023】この水槽1の底面には、水槽1の長手方向
に沿って複数枚の産卵用魚巣2,2が密接して配置され
ている。この産卵用魚巣2,2は、網目が自然の産卵用
魚巣である水草や藻と同様に不規則な目を持った材料が
選択されている。本実施例では上記の条件を満たすもの
として市販のサランロック(サラン製ネット)を使用し
た。本実施例では産卵用魚巣2,2として、幅50c
m,長さ50cm,厚さ3cmの正方形のものを用い
た。
【0024】この産卵用魚巣2の大きさを、幅,長さと
も50cmの正方形にしたことにより、詳細は後述する
動作説明で述べるように、産卵後に孵化した稚魚が産卵
用魚巣2の中に隠れているのを、人間の手操作により水
中で揺動して逃すことを可能とし、更にこの魚巣2を次
の水槽へ移動する時の持ち運びに便利な大きさにするこ
とが出来る。
【0025】このような産卵用魚巣2,2を1個の水槽
1の底面に多数枚設置し、更にこれらの各魚巣2,2か
ら所定長離反した水槽1の内部底面に、親魚の隠れ場所
になる複数個のパイプの束3,3を沈めておく。実際に
は各パイプの束3,3の間隔は約90cmとし、長さ9
mの水槽の底面に合計10束沈めた。即ち、ドジョウは
人影とか物音が聞こえるとすぐに物陰に隠れてしまい、
それらがなくなるまで出てこないという習性を持ってい
るので、ドジョウにとって隠れ場所になるパイプの束
3,3を要所に沈めておくことにより、ドジョウが危険
を感じた時にすぐに身を隠せるという安心感を持たせる
ことができる。
【0026】ドジョウの親魚の太さが直径にして約2c
m位あるので、上記パイプの直径は3cm程度のものを
使用した。パイプの束3,3の数は4本か6本、パイプ
の長さは60cm程度が適当である。このパイプの束
3,3の数がこれよりも少ないと親魚が隠れる場所の面
積が少なすぎ、これよりも多いと移動時に不便である。
またそれぞれのパイプの入口と次のパイプの入口まで3
0cmとするのが適当であり、この長さは親魚が危険を
感じた時に時間にして1秒以内に隠れることができる距
離となっている。
【0027】4は水槽1へ地下水等の清浄な水を送り込
むための給水管、5は排水管である。この排水管5は水
槽1に対して着脱可能となっていて、水槽1内で稚魚が
適当な大きさまで成育した際には、この排水管5を取外
して水とともに稚魚を養殖池へ送り込む機能を有してい
る。更に水槽1の適当な位置に送気管6が取付けられて
いて、図外のブロワから得られるエアがこの送気管6先
端部のエアストーン6aから水中に供給される。
【0028】図3は前記産卵用魚巣2の一例を示す背面
図、図4は同側断面図であり、前記したようにサランロ
ックで構成された産卵用魚巣2には、予め所定間隔で切
込み2a,2aが形成され、この切込み2a,2aに図
5,図6に示したように水草7,7を一定の間隔を保っ
て植え付けてある。この水草7,7はドジョウの産卵を
うながすためのものであるが、あまり沢山の水草7を植
え付けると、産卵用魚巣2に陽が当らなくなって水温が
上昇しないので、産み付けられた卵の孵化が遅くなると
いう難点が発生し、逆に水草7の数が少なすぎると親魚
が警戒して産卵を行わないという問題があるため、水草
7の数は最適に調節する必要がある。そのため本実施例
では、図5,図6に示したように産卵用魚巣2の表面上
に略17cm間隔で合計9個の切込み2a,2aを入れ
て、各切込み2a,2aに水草7を植え付けてある。
【0029】更に産卵用魚巣2の裏面周縁部には、図3
に示すように透明なエンビ板8を取付けて、親魚が産卵
用魚巣2の裏面に潜り込まないようにしてある。即ち、
産卵直後の卵は弱い粘着力を持ち、産卵用魚巣2を構成
するサランロックの内部に入って網目状の繊維に付着す
る。この卵を親魚が食してしまうことが多いため、該産
卵用魚巣2の下に前記エンビ板を取付けて水槽の底面に
密着させ、かつ、魚巣が容易に持ち上がらないように該
産卵用魚巣2自体に適当な重さを持たせておく。図7は
産卵用魚巣2に水草7を植え付けた状態を示す斜視図で
ある。
【0030】水草7の種類は、通常のキンギョモ,クロ
モ等のドジョウが好んで産卵するものは親魚に卵を食べ
られ易いため、逆に効率が悪くなる傾向がある。また該
産卵用魚巣2を水中で揺動したり、他の水槽へ移動する
場合の作業性を考慮してウオータースノーフレークとい
う水草を使用した。
【0031】以下に本実施例に基づいて、ドジョウに自
然産卵を行わせた具体例を説明する。先ず、水槽1内に
給水管4から地下水を規定量注水し、前記したように水
槽1の底部に各産卵用魚巣2,2とパイプの束3,3を
配置した。尚、本実施例では上記の水槽1の2個を1系
列として、4系列の合計8個設けて、産卵用魚巣2,2
を各系列内の水槽間で順次移動可能であるように設定し
た。そして各系列を構成する最初の2個の水槽1内にそ
れぞれ雌親を各16尾、計32尾,雄親を各32尾、計
64尾を放した所、翌日の朝に両水槽とも産卵行動が見
られ、同日夕方に親魚を取り上げて検査したところ産卵
した雌親10尾を確認したので、すぐに次の雌親を各1
6尾、計32尾,雄親を各32尾、計64尾、即ち両槽
合わせて雌親32尾、雄親64尾を放した。すると翌日
の産卵は11尾であった。産卵した雌の腹部のへこみ状
態から産み出された卵の数も良好であることが確認され
た。なお、一度取り上げた親魚は雌親、雄親ともに通常
の養殖池に放流する。
【0032】そして1週間後に産卵用魚巣2,2とパイ
プの束3,3を次段の水槽に移動して、同様な自然産卵
を4週間続けて行った結果、8.1m2の水槽8本で雌
親256尾のうち、77尾に産卵を行わせることに成功
した。更に産卵成績を上げるべく、雌親にホルモン剤を
注射して実験を継続した所、計1664尾の雌親中、1
446尾に産卵を行わせることができて、多量の卵の産
出をみた。
【0033】このようにして水槽内1でドジョウによる
自然産卵が行われると、パイプの束3,3に隠れている
産卵後の親魚をパイプの束3,3とともに水槽1より外
に取り出す。そして、産卵用魚巣2,2に産卵された卵
が孵化して一定期間経過し稚魚が泳ぎまわれる状態にな
ると、各産卵用魚巣2,2を水中で持ち上げて揺動する
ことにより、稚魚が魚巣2,2から逃げ出すので、水槽
1から産卵用魚巣2,2を取り出して稚魚に餌を与えて
初期育成を行い、適当な大きさまで成長させた後に排水
管5を抜き取って稚魚を次段の養殖池に放流する。
【0034】次に産卵から孵化初期における稚魚育成の
実際例を説明する。即ち、産卵用魚巣2,2を構成する
サランロックの上で産卵が行われるので、産み落された
卵はサランロックの表面に落下し、大部分の卵はすぐに
該サランロックの内部に落ち込んで網目状の繊維に付着
する。また表面に付いた卵は、親魚が産卵行動の時に活
発に泳ぎまわるので、水流によってサランロックの内部
に落ち込む。
【0035】産卵は通常午前中に終り、その日の夕方に
はパイプの束3,3内に入った親魚を取り上げ、すぐに
次の雌親にホルモン剤の注射をして雄親と一緒に放す。
そして2回目の産卵と親魚の取り上げをした後は、卵が
酸素不足にならないように送気管6からエアストーン6
aを介して軽く送気を行う。卵は水温が25℃前後であ
れば31〜37時間で孵化する。孵化直後の稚魚は全長
4mm位で体が透き通って見える。これら稚魚はサラン
ロック内部あるいは水槽の底などに横たわっており、時
々少し泳いではまた横たわり、じっとしているが、孵化
後、2〜3日で活発に泳いで餌を探し始める。
【0036】産卵後にパイプの束3,3を取り出すとと
もに、産卵後7日目に産卵用魚巣2,2を水の中で揺動
して稚魚を全て追い出し、この産卵用魚巣2,2を次の
水槽へ移動して設置する。
【0037】そして上記産卵用魚巣2,2とパイプの束
3,3を取り除いた水槽で初期稚魚に適当な餌を与えて
育成を行う。このような順番に基づいて4個の水槽1を
利用して産卵と孵化及び稚魚の育成を順次行い、産卵か
ら25日目に養殖池に放流する。この25日を1サイク
ルとして1回の操作が完了する。
【0038】次に上記操作が終了した水槽1の清掃を行
い、産卵用魚巣2,2に付いた藻とか害虫等を消毒し、
産卵用魚巣2,2に新しい水草7,7を植えかえてか
ら、再度上記の産卵,孵化,稚魚育成及び養殖池への放
流操作を約1週間毎に繰り返すことによって連続的にド
ジョウの産卵と稚魚の育成を行うことができる。
【0039】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明にか
かるドジヨウの産卵方法及びその装置によれば、実施に
際して水槽の底部に水草が植え付けられた産卵用魚巣と
パイプの束を配置してから清浄な水を満たし、ドジョウ
の雌親,雄親を放すことにより、ドジョウの産卵行動が
誘発されて多量の卵が得られる。そして稚魚が孵化した
後に、水槽から産卵用魚巣とパイプの束を取り出して初
期育成を行い、しかる後に養殖池に放流することが出来
る。本方法は従来の人工採卵法及び自然採卵法に較べて
産卵効果が大きい上、歩留まりが高く、かつ、操作が簡
易化されて大きな労力を必要とせずに多くの需要に応じ
ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるドジヨウの産卵装置例を示す平
面図。
【図2】図1に示した本発明装置の斜視図。
【図3】本実施例で採用した産卵用魚巣の一例を示す平
面図。
【図4】図3のb−b線に沿う断面図。
【図5】産卵用魚巣に水草を植え付けた状態を示す平面
図。
【図6】図5のc−c線に沿う断面図。
【図7】本発明で用いた産卵用魚巣に水草を植え付けた
状態を示す斜視図。
【符号の説明】
1…水槽 2…産卵用魚巣 2a…切込み 3…パイプの束 4…給水管 5…排水管 6…送気管 7…水草 8…エンビ板

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の広さと深さを持つ水槽の底面に、
    網目が不規則な目を持った材料で構成され、一方の表面
    に一定の間隔を保って水草が植え付けられた複数枚の産
    卵用魚巣を配置し、更に上記産卵用魚巣から所定長離反
    した部位に、親魚の隠れ場所となる複数個のパイプの束
    を沈めておき、水槽内に給水管を用いて清浄水を給水し
    て、水槽内にドジョウの雌親と雄親とを放して産卵行動
    を誘発することにより、産卵用魚巣に産卵をさせ、その
    後送気管を介して水槽内にエアを供給しながら卵を孵化
    させて所定期間初期育成を行い、稚魚を適当な大きさま
    で成長させた後に養殖池に放流することを特徴とするド
    ジョウの産卵育成方法。
  2. 【請求項2】 前記パイプの束を産卵後に水槽より取り
    出す請求項1記載のドジョウの産卵育成方法。
  3. 【請求項3】 前記産卵用魚巣を孵化後一定期間経過後
    に水槽より取り出す請求項1又は2記載のドジョウの産
    卵育成方法。 【請求項】 産卵用魚巣として、各水槽間を移動可能
    な大きさを持つサラン製ネットを用いた請求項1,2
    3記載のドジョウの産卵育成方法。 【請求項】 前記パイプの直径は略3cm、パイプの
    長さは60cm、各パイプの束の間隔は略90cmと
    し、かつ、1束中のパイプの束の数は4本乃至6本とし
    た請求項1,2,3又は4記載のドジョウの産卵育成方
    法。 【請求項】 産卵用魚巣の表面上に略17cm間隔の
    切込みを入れて、各切込みに水草を植え付けた請求項
    1,2,3,4又は5記載のドジョウの産卵育成方法。 【請求項】 産卵用魚巣の裏面周縁部に、親魚が産卵
    用魚巣の裏面に潜り込むことを防止するためのエンビ板
    を取付けた請求項1,2,3,4,5又は6記載のドジ
    ョウの産卵育成方法。 【請求項】 前記水草としてウオータースノーフレー
    クを用いた請求項1,2,3,4,5,6又は7記載の
    ドジョウの産卵育成方法。 【請求項】 所定の広さと深さを有し、ドジョウの雌
    親と雄親とが放される水槽と、網目が不規則な目を持つ
    とともに表面に一定の間隔を保って水草が植え付けら
    れ、前記水槽の底面に配置された複数枚の産卵用魚巣
    と、この産卵用魚巣から所定長離反した部位に配置され
    た複数個のパイプの束と、前記水槽内に清浄水を給水す
    る給水管と、水槽内の水とともに稚魚を送り出す排水管
    と、水槽内にエアを供給する送気管とを具備して成るこ
    とを特徴とするドジョウの産卵育成装置。 【請求項10】 産卵用魚巣として、各水槽間を移動可
    能な大きさを持つサラン製ネットを用いた請求項記載
    のドジョウの産卵育成装置。 【請求項11】 前記パイプの直径は略3cm、パイプ
    の長さは60cm、各パイプの束の間隔は略90cmと
    し、かつ、1束中のパイプの束の数は4本乃至6本とし
    た請求項9又は10記載のドジョウの産卵育成装置。 【請求項12】 産卵用魚巣の表面上に略17cm間隔
    の切込みを入れて、各切込みに水草を植え付けた請求項
    9,10又は11記載のドジョウの産卵育成装置。 【請求項13】 産卵用魚巣の裏面周縁部に、親魚が産
    卵用魚巣の裏面に潜り込むことを防止するためのエンビ
    板を取付けた請求項9,10,11又は12記載のドジ
    ョウの産卵育成装置。 【請求項14】 前記水草としてウオータースノーフレ
    ークを用いた請求項9,10,11,12又は13記載
    のドジョウの産卵育成装置。
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