JPH0773998A - 高周波加速空洞 - Google Patents

高周波加速空洞

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JPH0773998A
JPH0773998A JP22089193A JP22089193A JPH0773998A JP H0773998 A JPH0773998 A JP H0773998A JP 22089193 A JP22089193 A JP 22089193A JP 22089193 A JP22089193 A JP 22089193A JP H0773998 A JPH0773998 A JP H0773998A
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JP
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cavity
cooling
traveling
charged particles
high frequency
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JP22089193A
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Takeshi Yoshiyuki
健 吉行
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Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、高周波電力が供給される空洞の冷
却効率を向上し、発熱による変形及びそれに伴う荷電粒
子の加速制御性の劣化防止を目的とする。 【構成】 荷電粒子の走行通路を有し、この走行通路の
周囲に荷電粒子の走行方向とは直交する方向に沿って空
洞が形成され、この空洞に高周波電力を供給することに
より、荷電粒子を加速する高周波加速空洞において、走
行方向に沿って互いに接合され、走行通路及び空洞(2
8)を連続的に形成する複数の板状部材(231 〜23
3 ,241 〜243 )と、これら板状部材の走行通路及
び空洞の形成面とは異なる面に設けられ、高周波電力に
よる発熱を除去するための冷却媒体を通過させる冷却流
路(29)とを備えた高周波加速空洞である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、導電性金属からなる空
洞に高周波電力を供給して空洞内を走行中の荷電粒子を
加速する高周波加速空洞に係わり、特に空洞と冷却流路
との距離を短くして空洞の冷却効率を向上し得る高周波
加速空洞に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、高エネルギーに加速された電子を
蓄積してシンクロトロン放射や衝突実験に利用する電子
蓄積リング及び高エネルギーへの電子の加速に利用され
る電子シンクロトロンなどの加速器には高周波加速空洞
が用いられている。
【0003】一般に、加速器は、電子、陽子及びイオン
などの荷電粒子ビームを数百万電子ボルト(数MeV)
から数百億電子ボルト(数10GeV)程度の高エネル
ギー状態に加速するためのものであり、現在、種々の大
きさの装置が使用されている。例えば、素粒子の研究分
野では1km以上の直径をもつ大型の装置が建設されて
いる。一方、電子からの放射光(以下、SOR光とい
う)などを利用する超LSI微細加工(リソグラフィ)
のように比較的新しい応用分野では、10m程度の直径
をもつ小型の装置が使用されている。
【0004】このような加速器では、荷電粒子の加速
や、SOR光として消失されるエネルギーを補給するた
め、高周波エネルギーを走行中の荷電粒子に供給する高
周波加速空洞を備えている。この高周波加速空洞は、荷
電粒子の走行速度に同期して数10MHz〜数10GH
zの高周波電界を共振により発生させ、この高周波電界
によるエネルギーを荷電粒子に供給している。
【0005】図6はこの種の高周波加速空洞の構成を示
す断面図である。この高周波加速空洞は、図示しないト
ーラス形状の加速器の一部として設けられ、加速器内を
走行する荷電粒子を加速する円筒状の加速空洞本体1を
備えている。
【0006】加速空洞本体1は、走行する荷電粒子を入
射側ビームポート2から出射側ビームポート3へ通過さ
せる走行通路を円筒状の中心軸4上に有し、トーラス状
の空洞5が走行通路の周囲に荷電粒子の走行方向とは直
交する方向に沿って形成されている。なお、この空洞5
は、高周波電力による加速電場を高めるためにノーズ状
の突起であるノーズコーン6が荷電粒子の走行通路に近
接して形成されている。
【0007】また、加速空洞本体1は高周波電力を空洞
5に入力するための入力カプラーポート7が上部に形成
され、且つ空洞5及び走行通路を超高真空にするための
排気ポート8が下部に設けられている。さらに、加速空
洞本体1は高周波電界と荷電粒子との共振周波数を調整
するためのチューナーポート9が側面に形成されてい
る。
【0008】また、このような加速空洞本体1は、電気
伝導度及び熱伝導度に優れた金属、例えば無酸素銅を素
材とした第1乃至第3の無酸素銅ブロック101 〜10
3 から構成されている。
【0009】第1の無酸素銅ブロック101 は入射側ビ
ームポート2を有し、加速空洞本体1の片端部を構成し
ている。第2の無酸素銅ブロック102 は入力カプラー
ポート7、排気ポート8及びチューナーポート9を有
し、加速空洞本体1の中央部を構成している。第3の無
酸素銅ブロック103 は出射側ビームポート3を有し、
加速空洞本体1の他端部を構成している。
【0010】このような第1乃至第3の無酸素銅ブロッ
ク101 〜103 は、入力カプラーポート7から高周波
電力が供給されたとき、表皮効果によって空洞5の表面
数マイクロメータの表面層を高周波電流が流れる。この
ため、第1乃至第3の無酸素銅ブロック101 〜103
はこの高周波電流をスムーズに流すために空洞5の表面
の粗さが数マイクロメータ以下に仕上げられると共に、
表面層の加工硬化による電気抵抗値の上昇を抑えるため
に最終の仕上げ加工を微量にしている。
【0011】なお、加速空洞本体1は、前述した通りに
ノーズコーン6が形成されていて、リエントラント構造
と呼ばれている。このリエントラント構造は電界が中心
に集中するため、ノーズコーン6では電界が集中して高
周波電流による発熱密度が高くなる。また、空洞5の中
央部の内周面は、発熱密度がノーズコーン6より小さい
が、表面積が大きいため、かなりの発熱を生じる。
【0012】第1乃至第3の無酸素銅ブロック101
103 は、このような高周波電流による発熱を抑止する
ため、加速空洞本体1の外周部及び両端部に冷却水を循
環させるための冷却水路11が設けられている。なお、
この冷却水路11は第1乃至第3の無酸素銅ブロック1
1 〜103 に冷却水路に対応する溝が形成された後、
この溝に導電性金属板がロー付又は電子ビーム溶接で接
合されることにより、設けられる。
【0013】さらに、このような第1乃至第3の無酸素
銅ブロック101 〜103 は互いにロー付又は電子ビー
ム溶接によって接合され、一体化された加速空洞本体1
を構成している。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、以上の
ような高周波加速空洞では、加速電場を高めるためにノ
ーズコーン6が形成されているが、このノーズコーン6
の先端部から基端部にかけての発熱密度が高いため、充
分に冷却しなければならないという問題がある。
【0015】例えば、ノーズコーン6を充分に冷却しな
い場合、空洞5の表面に沿って大きな温度差が発生し、
ノーズコーン6の基端部に熱応力を生じさせると共に、
ノーズコーン6の先端部に熱変形を生じさせる可能性が
ある。また、このような熱応力や熱変形により、機械的
強度を低下させるという問題がある。さらに、ノーズコ
ーン6の熱変形により、共振周波数が大きく変化するの
で、荷電粒子の加速に対する制御性を低下させるという
問題がある。
【0016】一方、発熱を除去するための冷却水路11
は各無酸素銅ブロック101 〜103 が厚いために空洞
5の表面に近接して形成しにくく、特に発熱密度の大き
いノーズコーン6の近傍にはノーズコーン6が空洞5の
内側に突出しているために、かなり形成が困難である。
このため、ノーズコーン6はあまり冷却されずに高温に
なり易く、前述した問題を生じさせる可能性がある。
【0017】本発明は上記実情を考慮してなされたもの
で、高周波電力が供給される空洞の冷却効率を向上し、
発熱による変形及びそれに伴う荷電粒子の加速制御性の
劣化を防止し得る高周波加速空洞を提供することを目的
とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】請求項1に対応する発明
は、荷電粒子の走行通路を有し、この走行通路の周囲に
前記荷電粒子の走行方向とは直交する方向に沿って空洞
が形成され、この空洞に高周波電力を供給することによ
り、前記荷電粒子を加速する高周波加速空洞において、
前記走行方向に沿って互いに接合され、前記走行通路及
び前記空洞を連続的に形成する複数の板状部材と、これ
ら板状部材の前記走行通路及び前記空洞の形成面とは異
なる面に設けられ、前記高周波電力による発熱を除去す
るための冷却媒体を通過させる冷却流路とを備えた高周
波加速空洞である。
【0019】また、請求項2に対応する発明は、荷電粒
子の走行通路を有し、この走行通路の周囲に前記荷電粒
子の走行方向とは直交する方向に沿って空洞が形成さ
れ、この空洞に高周波電力を供給することにより、前記
荷電粒子を加速する高周波加速空洞において、前記走行
方向に沿って互いに接合され、前記走行通路及び前記空
洞を連続的に形成する複数の板状部材と、これら板状部
材の前記走行通路及び前記空洞の形成面とは異なる面に
設けられ、前記高周波電力による発熱を除去するための
冷却媒体を個別に通過させる複数の冷却流路と、これら
冷却流路のうち、少なくとも前記走行通路に最も近接し
た冷却流路に対し、温度を制御した冷却媒体を通過させ
る冷却温度制御手段とを備えた高周波加速空洞である。
【0020】
【作用】従って、請求項1に対応する発明は以上のよう
な手段を講じたことにより、荷電粒子の走行方向に沿っ
て互いに接合された複数の板状部材が走行通路及び空洞
を連続的に形成し、これら板状部材の走行通路及び空洞
の形成面とは異なる面に設けられた冷却流路が高周波電
力による発熱を除去するための冷却媒体を通過させるの
で、高周波電力が供給される空洞の冷却効率を向上し、
発熱による変形及びそれに伴う荷電粒子の加速制御性の
劣化を防止することができる。
【0021】請求項2に対応する発明は、走行方向に沿
って互いに接合された複数の板状部材が走行通路及び空
洞を連続的に形成し、これら板状部材の走行通路及び空
洞の形成面とは異なる面に設けられた複数の冷却流路が
高周波電力による発熱を除去するための冷却媒体を個別
に通過させ、冷却温度制御手段が、冷却媒体の温度を制
御すると共に、該冷却媒体を前記各冷却流路のうちの少
なくとも走行通路に最も近接した冷却流路内に通過させ
るので、請求項1に対応する作用に加え、空洞の一部を
個別に冷却することにより、高周波電力の供給が引き起
こす空洞全体の熱膨脹による共振周波数の変化を相殺す
るので、荷電粒子の加速を容易に制御することができ
る。
【0022】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。図1は本発明の第1の実施例に係る高周波
加速空洞の構成を示す断面図である。
【0023】この高周波加速空洞は、加速空洞本体21
が、胴中央部22及びその端部に個別に接合される第1
及び第2の端板23,24とからなる3分割構造となっ
ている。
【0024】ここで、胴中央部22は周側部とその両端
部からなる円筒状の無酸素銅ブロックであって、外周側
部に入力カプラーを取り付けるための入力カプラーポー
ト25が接合され、この入力カプラーポート25に対向
する外周側部には真空排気のための排気ポート26が接
合されている。また、入力カプラーポート25及び排気
ポート26の中間に位置する外周側部には、夫々チュー
ナーを取り付けるためのチューナーポート27が互いに
対向するように接合されている。さらに、胴中央部の内
周側部には空洞28の一部を構成する曲面が形成され、
且つ両端部には夫々冷却水を通過させるための冷却水路
29が形成されている。
【0025】一方、第1及び第2の端板23,24は、
夫々周側部とその両端部からなる3枚の無酸素銅円板2
1 〜233 ,241 〜243 (板状部材)から構成さ
れ、各無酸素銅円板231 ,232 ,242 ,243
各端部には冷却水を通過させるための溝が冷却水路29
として内周側部に近接して形成されている。なお、この
冷却水路29は空洞28の表面の最終形状や発熱分布に
基づき、ほぼ内周側部に沿うように設けられ、冷却水路
29の位置に対応して図示しない出入口用の冷却水路や
各冷却水路間を接続する水路が形成されている。
【0026】また、各無酸素銅円板231 〜233 ,2
1 〜243 は互いに拡散接合によって合体化され、夫
々1個の無酸素銅ブロックとしての第1及び第2の端板
23,24を構成している。なお、この拡散接合には、
例えば、異種材を挿入せずに各無酸素銅円板231 〜2
3 ,241 〜243 を互いに直接接合するホットプレ
スあるいは熱間等方圧加圧法、又は各無酸素銅円板23
1 〜233 ,241 〜243 間にチタン箔あるいは銀箔
を挿入して各無酸素銅円板231 〜233 ,241 〜2
3 を互いに接続する拡散接合法が使用可能である。
【0027】さらに、各無酸素銅円板231 〜233
241 〜243 からなる無酸素銅ブロックは、空洞28
及び荷電粒子の走行通路の形状に対応して内周側部及び
外周側部が加工され、外側の端部には夫々荷電粒子を通
過させるビームポート30,31が設けられ、仕上げと
して内周側部の空洞28の表面が3S以下に微細加工さ
れている。なお、走行通路は荷電粒子を通過させるため
にビームポート30から31を連通させるようにほぼ直
線状に形成されている。一方、空洞28はトーラス状で
あって、走行通路の周囲に荷電粒子の走行方向とは直交
する方向に沿って形成されている。
【0028】また、微細加工の完了した胴中央部22と
第1及び第2の端板23,24は、さらに互いに拡散接
合されることにより、一体化された高周波加速空洞を構
成している。
【0029】次に、以上のように構成された高周波加速
空洞の作用を説明する。いま、加速器内を走行する荷電
粒子は、高周波加速空洞の一方のビームポート30から
入射して他方のビームポート31に出射される。このと
き、入力カプラーポート25は図示しないカプラーから
入力される高周波電力を空洞28に供給する。
【0030】空洞28では、この高周波電力が供給され
ると、共振によって高電界が発生する。この高電界は、
チューナーにより周波数が制御され、荷電粒子との共振
によって荷電粒子を加速させる。
【0031】また、空洞28の表面は、高周波電力が供
給されると、高周波電流が流れて発熱を生じる。しかし
ながら、この高周波加速空洞は、冷却水路29が空洞2
8の表面に近接して均等配置されているので、発熱源で
ある空洞28の表面が効率よく冷却され、発熱密度が均
一に分布されている。よって、熱応力による機械的強度
の低下が阻止される。
【0032】また、空洞28の表面が効率良く冷却され
るので、熱変形による空洞28の共振周波数の変化を小
さくすることができ、もって、チューナーによる周波数
制御を容易に行うことができる。
【0033】上述したように第1の実施例によれば、荷
電粒子の走行方向に沿って互いに接合された3枚づつの
無酸素銅円板231 〜233 ,241 〜243 が走行通
路及び空洞28を連続的に形成し、これら無酸素銅円板
231 〜233 ,241 〜243 の走行通路及び空洞の
形成面とは異なる面に設けられた冷却流路29が高周波
電力による発熱を除去するための冷却媒体を通過させる
ので、高周波電力が供給される空洞の冷却効率を向上
し、熱応力による機械的強度の低下や、発熱による変形
及びそれに伴う荷電粒子の加速制御性の劣化を防止する
ことができる。
【0034】次に、本発明の第2の実施例に係る高周波
加速空洞について説明する。図2はこの高周波加速空洞
の構成を示す断面図であり、図1と同一部分には同一符
号を付してその詳しい説明は省略し、ここでは異なる部
分についてのみ述べる。
【0035】すなわち、本実施例装置は、空洞表面の断
面形状が複雑なために均一な冷却が困難とされているリ
エントラント構造のものであって、具体的には、ノーズ
状の突起構造物であるノーズコーン32を空洞28の両
端に有し、且つ冷却水路33がその断面の長手方向を空
洞28の表面にほぼ平行となるように第1及び第2の端
板34,35の内部に形成されている。
【0036】これら第1及び第2の端板34,35は、
前述同様に夫々3枚の無酸素銅円板341 〜343 ,3
1 〜353 から構成されている。冷却水路33は各無
酸素銅円板342 ,343 ,351 ,352 の端部に、
断面の長手方向が空洞28の表面にほぼ平行となるよう
なテーパ溝が設けられ、且つ各無酸素銅円板341 〜3
3 ,351 〜353 が互いに拡散結合されることによ
り、形成されている。
【0037】また、胴中心部22、第1及び第2の端板
34,35は、前述同様に微細加工の後に互いに拡散結
合されることにより、一体化された高周波加速空洞を構
成している。
【0038】ここで、本実施例装置は、前述の通り、ノ
ーズコーン32を有するリエントラント構造となってい
るが、このような複雑な形状の空洞28の表面であって
も、各冷却水路33が空洞28の表面に対してほぼ平行
に断面の長手方向を有し、且つ互いにほぼ均等な間隔を
もって配置されているので、空洞表面の発熱を効率よく
除去することができる。
【0039】なお、本実施例装置はノーズコーン32の
内部にも冷却水路33が設けられているが、ノーズコー
ンの先端部よりも基端部の方が厚いため、従来とは異な
り、基端部の温度が相対的に最も高くなっている。ま
た、このノーズコーン32の基端部は冷却されているの
で、温度は従来よりも低くなっている。
【0040】上述したように第2の実施例によれば、ノ
ーズコーン32を有するリエントラント構造のものにつ
いても、空洞28の表面に沿って平行に且つ均等に除熱
するように冷却水路33を形成しているので、第1の実
施例と同様に、高周波電力が供給される空洞の冷却効率
を向上し、発熱による変形及びそれに伴う荷電粒子の加
速制御性の劣化を防止することができる。
【0041】次に、本発明の第3の実施例に係る高周波
加速空洞について説明する。図3はこの高周波加速空洞
の冷却水路の構成を示す断面図であり、図1と同一部分
には同一符号を付してその詳しい説明は省略し、ここで
は異なる部分についてのみ述べる。
【0042】すなわち、本実施例装置は、接合時の冷却
水路の変形や縮小化を確実に防止したものであって、具
体的には、各無酸素銅円板231 ,232 ,242 ,2
3に溝36を形成し、この溝36に冷却水路29とし
ての円筒状の銅パイプ37を埋込み、且つこの銅パイプ
37の周囲に銅粉38を埋込んで各無酸素銅円板23
1 ,232 ,242 ,243 を互いに拡散接合させた構
成となっている。
【0043】ここで、各無酸素銅円板231 ,232
242 ,243 の素材と銅パイプ37との間に銅粉38
を埋めているので、銅パイプ37内を流れる冷却水は通
常の無酸素銅ブロックと同等の熱伝導度と除熱能力を得
ることができる。
【0044】また、銅パイプ37を使用しているので、
拡散接合時に起こり得る冷却水路の変形や縮小化を未然
に防ぐことができる。上述したように第3の実施例によ
れば、各無酸素銅円板231 ,232 ,242 ,243
に形成した溝36に銅パイプ37を埋め込み、且つ溝3
6と銅パイプ37との間に銅粉38を埋込んでいるの
で、通常の無酸素銅ブロックと同等の熱伝導度と除熱能
力を有し、且つ拡散接合時に起こり得る冷却水路の変形
や縮小化を未然に防ぐことができる。
【0045】また、第3の実施例によれば、拡散接合時
の条件が少々高温、高圧、長時間となり、接合しすぎと
なったとしても、銅パイプ37を使用しているので、冷
却水路の潰れがなく接合することができる。また、これ
により、接合条件を容易に設定することができる。
【0046】次に、本発明の第4の実施例に係る高周波
加速空洞について説明する。図4はこの高周波加速空洞
の冷却水路の構成を示す断面図であり、図3と同一部分
には同一符号を付してその詳しい説明は省略し、ここで
は異なる部分についてのみ述べる。
【0047】すなわち、本実施例装置は、第3の実施例
と同様に、接合時の冷却水路の変形や縮小化を確実に防
止したものであって、具体的には、図3に示す円筒状の
銅パイプ37に代えて角筒状の銅パイプ39を備えた構
成となっている。
【0048】ここで、角筒状の銅パイプ39は、溝36
の断面形状が角形であることにより、溝36との隙間が
小さいので銅粉38を少量しか使用しないことにより、
高周波加速空洞を製造する際に迅速に銅粉38を溝36
と銅パイプ39との間に埋込むことができる。
【0049】以下、前述した通り、銅パイプ39内を流
れる冷却水は通常の無酸素銅ブロックと同等の熱伝導度
と除熱能力を得ることができる。また、銅パイプ39を
使用しているので、拡散接合時に起こり得る冷却水路の
変形や縮小化を未然に防ぐことができる。
【0050】上述したように第4の実施例によれば、使
用する銅パイプを溝36との隙間が小さい角筒状の銅パ
イプ39としたので、第3の実施例の効果に加え、高周
波加速空洞を製造する際に迅速に銅粉38を溝36と銅
パイプ39との間に埋込むことができる。
【0051】次に、本発明の第5の実施例に係る高周波
加速空洞について説明する。図5はこの高周波加速空洞
の構成を示す断面図であり、図2と同一部分には同一符
号を付してその詳しい説明は省略し、ここでは異なる部
分についてのみ述べる。
【0052】すなわち、本実施例装置は、各冷却水路3
3に対応して冷却水温を制御することにより、予め解析
によって得られた空洞28の表面温度分布を達成するも
のであって、具体的には、他の冷却水路33とは独立し
て個別にノーズコーン32を冷却するノーズコーン冷却
水路40を設け、且つこのノーズコーン冷却水路40に
冷却水の冷却水温を制御する冷却温度制御手段としての
冷却水温制御部41を接続して構成されている。なお、
この表面温度分布は共振周波数の変化を相殺する空洞2
8の形状をもたらすものである。また、本実施例装置
は、予め解析によって表面温度分布の目標値を達成する
ように、冷却水路の溝の形状、位置と冷却水温が設計さ
れている。
【0053】ここで、ノーズコーン冷却水路40は、前
述同様に、空洞28の表面に対してほぼ平行に断面の長
手方向を有して形成されている。また、冷却水温制御部
41は、ノーズコーン冷却水路40を通過する冷却水の
温度を所定の冷却水温になるように制御する機能を有
し、例えば常にノーズコーン32の温度を高周波電力が
供給されないときの空洞28の初期温度よりも低い温度
に冷却するものである。
【0054】これにより、高周波電力が入力されると
き、一般に空洞28全体が発熱によって外周方向に膨脹
し、共振周波数を下げる傾向にあるのを、冷却水温制御
部41がノーズコーン32の温度を空洞の所期温度より
も低くなるように冷却水を冷却する。これに伴い、互い
に対向するノーズコーン32の間の距離を広げて共振周
波数を上げる傾向にし、共振周波数の変化を相殺して小
さく抑えることにより、チューナーによる制御範囲と制
御速度を抑えて荷電粒子の加速を容易に制御することが
できる。
【0055】上述したように第5の実施例によれば、図
2に示す装置に対し、ノーズコーン32を個別に冷却す
るノーズコーン冷却水路40を設け、且つ冷却水温制御
部41が冷却水を冷却してノーズコーン冷却水路40を
通過させるようにしたので、第2の実施例の効果に加
え、空洞の一部であるノーズコーン32を個別に冷却す
ることにより、空洞28を所望の形状に変化させ、高周
波電力の供給が引き起こす空洞28全体の熱膨脹による
共振周波数の変化を相殺するので、荷電粒子の加速を容
易に制御することができる。
【0056】また、第5の実施例によれば、空洞28を
所望の形状に変化させ得るので、周波数変化を小さくさ
せてチューナーの負担の軽減を図ることができる。な
お、上記第1乃至第5の実施例では、胴中央部22を無
酸素銅ブロックとした場合について説明したが、これに
限らず、胴中央部を複数枚の無酸素銅円板に冷却水路用
の溝を形成してから各無酸素銅円板を拡散接合によって
一体化したものとしても、本発明を同様に実施して同様
の効果を得ることができる。
【0057】また、上記第3及び第4の実施例では、図
1に示す装置の冷却水路29を銅パイプ37,39で形
成する場合について説明したが、これに限らず、図2又
は図5に示す装置の冷却水路33,40を銅パイプ3
7,39で形成する構成としても、本発明を同様に実施
して同様の効果を得ることができる。
【0058】さらに、上記第3及び第4の実施例では、
銅粉38を使用する場合について説明したが、これに限
らず、銅粉38に代えて接合性のある金属粉末あるいは
熱伝導性のよい無機質材料を使用するようにしても、本
発明を同様に実施して同様の効果を得ることができる。
【0059】また、上記第5の実施例では、ノーズコー
ン冷却水路40を空洞28の表面にほぼ平行の断面長手
方向をもつ場合について説明したが、これに限らず、冷
却水温制御部41の水温制御によりノーズコーン32の
温度が所定の温度になればよいことから、ノーズコーン
冷却水路40の断面の長手方向が空洞28の表面に平行
でなくても、本発明を同様に実施して同様の効果を得る
ことができる。その他、本発明はその要旨を逸脱しない
範囲で種々変形して実施できる。
【0060】
【発明の効果】以上説明したように請求項1の発明によ
れば、荷電粒子の走行方向に沿って互いに接合された複
数の板状部材が走行通路及び空洞を連続的に形成し、こ
れら板状部材の走行通路及び空洞の形成面とは異なる面
に設けられた冷却流路が高周波電力による発熱を除去す
るための冷却媒体を通過させるので、高周波電力が供給
される空洞の冷却効率を向上し、発熱による変形及びそ
れに伴う加速の制御性の劣化を防止できる高周波加速空
洞を提供できる。
【0061】また、請求項2の発明は、走行方向に沿っ
て互いに接合された複数の板状部材が走行通路及び空洞
を連続的に形成し、これら板状部材の走行通路及び空洞
の形成面とは異なる面に設けられた複数の冷却流路が高
周波電力による発熱を除去するための冷却媒体を個別に
通過させ、冷却温度制御手段が、冷却媒体の温度を制御
すると共に、該冷却媒体を前記各冷却流路のうちの少な
くとも走行通路に最も近接した冷却流路内に通過させる
ので、請求項1の効果に加え、空洞の一部を個別に冷却
することにより、高周波電力の供給が引き起こす空洞全
体の熱膨脹による共振周波数の変化を相殺するので、荷
電粒子の加速を容易に制御できる高周波加速空洞を提供
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る高周波加速空洞の
構成を示す断面図。
【図2】本発明の第2の実施例に係る高周波加速空洞の
構成を示す断面図。
【図3】本発明の第3の実施例に係る高周波加速空洞の
冷却水路の構成を示す断面図。
【図4】本発明の第4の実施例に係る高周波加速空洞の
冷却水路の構成を示す断面図。
【図5】本発明の第5の実施例に係る高周波加速空洞の
構成を示す断面図。
【図6】従来の高周波加速空洞の構成を示す断面図。
【符号の説明】
21…加速空洞本体、22…胴中央部、23…第1の端
板、231 〜233 ,241 〜243 …無酸素銅円板、
24…第2の端板、25…入力カプラーポート、26…
排気ポート、27…チューナーポート、28…空洞、2
9…冷却水路、30,31…ビームポート、32…ノー
ズポート、36…溝、37,39…銅パイプ、38…銅
粉、40…ノーズコーン冷却水路、41…冷却水温制御
部。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 荷電粒子の走行通路を有し、この走行通
    路の周囲に前記荷電粒子の走行方向とは直交する方向に
    沿って空洞が形成され、この空洞に高周波電力を供給す
    ることにより、前記荷電粒子を加速する高周波加速空洞
    において、 前記走行方向に沿って互いに接合され、前記走行通路及
    び前記空洞を連続的に形成する複数の板状部材と、 これら板状部材の前記走行通路及び前記空洞の形成面と
    は異なる面に設けられ、前記高周波電力による発熱を除
    去するための冷却媒体を通過させる冷却流路とを備えた
    ことを特徴とする高周波加速空洞。
  2. 【請求項2】 荷電粒子の走行通路を有し、この走行通
    路の周囲に前記荷電粒子の走行方向とは直交する方向に
    沿って空洞が形成され、この空洞に高周波電力を供給す
    ることにより、前記荷電粒子を加速する高周波加速空洞
    において、 前記走行方向に沿って互いに接合され、前記走行通路及
    び前記空洞を連続的に形成する複数の板状部材と、 これら板状部材の前記走行通路及び前記空洞の形成面と
    は異なる面に設けられ、前記高周波電力による発熱を除
    去するための冷却媒体を個別に通過させる複数の冷却流
    路と、 前記冷却媒体の温度を制御すると共に、該冷却媒体を前
    記各冷却流路のうちの少なくとも前記走行通路に最も近
    接した冷却流路内に通過させる冷却温度制御手段とを備
    えたことを特徴とする高周波加速空洞。
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