JPH0773429A - 垂直磁気記録媒体、および、その製造方法 - Google Patents

垂直磁気記録媒体、および、その製造方法

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JPH0773429A
JPH0773429A JP21615693A JP21615693A JPH0773429A JP H0773429 A JPH0773429 A JP H0773429A JP 21615693 A JP21615693 A JP 21615693A JP 21615693 A JP21615693 A JP 21615693A JP H0773429 A JPH0773429 A JP H0773429A
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JP21615693A
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English (en)
Inventor
Yutaka Akiba
裕 秋葉
Akira Kikuchi
暁 菊池
Yoshisuki Kitamoto
善透 北本
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Fujitsu Ltd
Original Assignee
Fujitsu Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 非磁性材料の基板に、軟磁性体材料の裏打ち
層と、硬磁性体材料の記録層とを重層して形成される垂
直磁気記録媒体に関し、安定した記録保持が可能な垂直
磁気記録媒体を提供することを目的とする。 【構成】 非磁性材料で形成された基板11と、基板1
1に支持されて軟磁性体材料で形成された裏打ち層12
と、裏打ち層12に支持されて硬磁性体材料で形成され
た記録層14と、裏打ち層12の表層を酸化して形成さ
れる、酸素過剰で結晶性に乏しい酸化層13とを有する
構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、非磁性材料の基板に、
軟磁性体材料の裏打ち層と、硬磁性体材料の記録層とを
重層して形成される垂直磁気記録媒体、および、その製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年のコンピュータシステムにおける処
理情報量の飛躍的な増大に伴って、磁気ディスク装置
は、その記憶容量の大幅な大容量化が求められている。
また、小型処理端末(ワークステーション)や携帯用パ
ソコン等の普及に伴って、記憶容量を損なうことなく、
磁気ディスク装置等を小型軽量に商品化することが望ま
れている。
【0003】このため、従来の水平磁気記録方式に比較
して、飛躍的に高密度な記録が可能となる垂直磁気記録
方式が提案されている。そして、垂直磁気記録方式に最
適な垂直磁気記録媒体の1つとして、高透磁率な軟磁性
材料で薄膜形成した裏打ち層に重ねて、硬磁性材料の垂
直磁気記録層を積層した垂直二層膜媒体が開発されてい
る。
【0004】図4は、従来の垂直磁気記録媒体の説明図
である。ここでは、磁気ディスク装置に用いられる垂直
磁気記録ディスクの断面構造が示され、垂直二層膜媒体
で構成された従来の垂直磁気記録媒体が説明される。
【0005】図4において、アルミニウム、または、ガ
ラス材料で形成され、平滑に表面研磨された基板41の
表面には、Ni−Pメッキ層41Aが形成される。基板
41は、図示されるより厚くて数100μm にも達し、
垂直磁気記録ディスクの機械的な強度を保証する。
【0006】基板41のNi−Pメッキ層41Aの上に
は、数μm 〜十数μm 程度に、Ni−Fe合金(パーマ
ロイ)等の軟磁性体材料が積層されて裏打ち層42を構
成する。裏打ち層は、磁気記録/再生時の磁気回路の一
部を構成する。
【0007】裏打ち層42の上には、直接、1μm 以下
の厚みで、Co−Cr合金等の硬磁性体材料が積層され
て記録層44を構成する。記録層44は、磁気記録/再
生時に磁化の方向を上向き/下向きの一方に固定して、
磁化を記憶する。
【0008】記録層44の上には、金属酸化膜、カーボ
ン等による表面保護層46が形成される。表面保護層4
6は、垂直磁気記録ディスクの表面を覆って金属層の酸
化を防止し、また、垂直記録磁気ヘッドのコア47に対
する摩擦や粘着を軽減し、衝突の衝撃を緩和する。
【0009】このように構成された垂直磁気記録ディス
クでは、記録時、垂直記録磁気ヘッドのコイル48に矢
印のような電流を流すと、垂直記録磁気ヘッドのコア4
7と裏打ち層42が協働して磁気回路を形成し、記録再
生部47Aの先端で磁束密度を著しく高めて、記録再生
部47Aに対向する微小面積の記録層44の磁化を上向
き/下向きの一方に固定する。
【0010】一方、垂直記録磁気ヘッドのコア47の後
半部47は、大面積に構成されているため磁束密度が低
く、記録層44の後半部47Aに対向する部分の磁化に
影響を与えない。この状態で、垂直記録磁気ヘッドは、
垂直磁気記録ディスクの表面に沿って高速移動し、記録
再生部47Aの先端の移動経路に位置する記録層44を
次々に磁化する。
【0011】垂直磁気記録媒体の先行技術としては、特
開昭60−113320号、特開平1−133216
号、特開昭61−113122号の各公報がある。
【0012】特開昭60−113320号には、金属材
料の基板の上に酸化物磁性体を積層する際に、金属材料
表面を予め酸化しておく技術が示されるが、その目的
は、金属材料と酸化物磁性体の直接の化学反応を防止す
ることである。
【0013】特開平1−133216号には、Co−C
r合金の2層構造で構成される垂直磁気記録構造が示さ
れ、2層構造の中間に薄い酸化層が形成される。しか
し、酸化層の目的は、上層の配向性を向上させて上層の
高抗磁力(高Hc)化を達成することである。
【0014】特開昭61−113122号には、裏打ち
層の表面に、Si、Ge等の薄膜を形成し、その上に記
録層と同一の結晶構造の金属薄膜を形成し、そして、こ
の金属薄膜の上に記録層を積層させた多重構造の垂直磁
気記録構造が示される。
【0015】この他にも、特開昭58−14318号、
特開昭60−64413号、特開昭61−26926
号、特開昭61−233413号、特開平1−2272
16号の各公報にも先行技術が示される。これらによ
り、(1) 軟磁性体材料の裏打ち層に硬磁性体材料の記録
層を重ねた垂直磁気記録構造、(2) 裏打ち層と記録層の
間に種々の中間層(金属層、酸化層)を設け、記録層の
結晶配向性を改善して高Hc化をはかる技術が公知であ
る。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】図4の従来の垂直磁気
記録媒体では、記録層と裏打ち層が、磁気的、結晶構造
的に密接な相互関係を有しており、裏打ち層の磁壁移動
が記録層の磁化に悪影響を及ぼす可能性がある。また、
逆に、記録層の構造が裏打ち層に応力を及ぼす等して、
裏打ち層の円滑な磁壁移動を妨げる可能性がある。
【0017】すなわち、図4の垂直記録磁気ヘッドは、
垂直磁気記録ディスクの表面上空を高速で移動しながら
記録層44Aを部分的に磁化させる操作を、相対移動の
方向に次々に繰り返す。これにより、垂直記録磁気ヘッ
ドに供給された交流信号(または記録信号)が垂直磁化
のパターンに固定される。このとき、裏打ち層42で
は、垂直記録磁気ヘッドと垂直磁気記録ディスクの相対
移動に追従して高速の磁壁移動が起こり、裏打ち層42
の磁区分布が刻々と変化する。
【0018】しかし、記録層44と裏打ち層42とが磁
気的、結晶構造的に密接な関係にあると、裏打ち層42
の磁壁移動が断続的に拘束されて、不連続な移動を起こ
す可能性がある。また、垂直記録磁気ヘッドの移動速度
に磁区の変化が追従できない場合、裏打ち層42内の磁
区が記録再生部47の直下で磁束を受け取れず、記録層
44を磁化し損なう可能性もある。従って、高速の磁気
記録/再生に支障をきたす。
【0019】ところで、先行技術の各公報に示されるよ
うに、記録層44と裏打ち層42の間に非磁性材料を配
置すれば、記録層44と裏打ち層42の磁気的、結晶構
造的な関係を薄めることができる。しかし、通常の薄膜
形成方法では、下層の結晶構造、欠陥、凹凸等を反映し
て薄膜が積層するから、これらの影響を完全に除くため
には、(1) 薄膜を1μm 以上も厚く形成する、(2) 薄膜
形成後に薄膜表面を機械的に精密研磨して、微細な加工
ひずみを均一に分布させる等の方法を採用する必要があ
る。
【0020】しかし、(1) 記録層44と裏打ち層42の
間に厚い薄膜を配置すると、記録層44と裏打ち層42
の間に磁気ギャップが形成され、スペーシングロスによ
って記録層44に集中した磁束が得られなくなり、かえ
って記録効率の低下や記録層44の見掛けの抗磁力の低
下をもたらすことになる。
【0021】また、記録層44と裏打ち層42の間に金
属薄膜を形成する場合、0.1μm以下のレベルでの膜
厚制御は困難を極める。そして、例え膜厚制御を可能と
しても、形成された膜厚が試料の表面全体に渡って一定
である保証は無く、記録層と裏打ち層の磁気的、結晶構
造的な関係を場所によってばらつかせ、磁気記録/再生
を不安定にする結果となる。
【0022】すなわち、このような観点から言えば、上
述の先行技術の各文献で紹介された垂直磁気記録媒体
は、記録層44と裏打ち層42の結晶構造的な関係を残
しているため、高速の記録再生が不可能である。また、
記録層44と裏打ち層42の間の薄膜が記録効率を低下
させ、見掛けの抗磁力を低下させている。
【0023】本発明は、記録層と裏打ち層の磁気的、結
晶構造的な関係を有効に断ち切るとともに、記録層と裏
打ち層の間の磁気ギャップを最小限にとどめて精度良く
制御できる垂直磁気記録媒体、および、その製造方法を
提供することを目的としている。
【0024】ところで、従来の垂直二層膜媒体では、記
録再生効率を向上させるために、裏打ち層が記録層より
もかなり厚く形成される。また、裏打ち層は、軟磁性体
材料であるため外部磁場を吸収し易く、かつ、微弱な電
流でも裏打ち層の磁壁が容易に移動する。
【0025】このことで、裏打ち層に磁壁移動に伴う磁
束が発生し、直上の記録層の磁化を消磁する可能性があ
る。この現象は、裏打ち層と記録層の磁気的な結合状態
にも大きく左右され、その結合状態が大きくなるにつれ
て、発生する可能性が著しく高まる。すなわち、この消
磁現象により、情報の消失が問題となる。
【0026】また、記録再生効率を向上させるために
は、記録層の垂直磁化膜の磁気特性を向上させる必要が
ある。特に、垂直方向の保磁力(抗磁力Hc)を大きく
することが有効であり、そのためには、垂直磁化膜の微
細構造および結晶構造等の最適設計が必要である。さら
に、記録層の高保磁力化は、外乱(外部磁場等)による
影響を低下させる。
【0027】本発明は、また、外部磁場等による裏打ち
層の磁壁移動が記録層の磁化を消失させず、従って、安
定した記録保持が可能な垂直磁気記録媒体、および、そ
の製造方法を提供することを目的としている。
【0028】
【課題を解決するための手段】図1は本発明の基本的な
構成の説明図である。図1において、請求項1の垂直磁
気記録媒体は、非磁性材料で形成された基板11と、前
記基板11に支持されて軟磁性体材料で形成された裏打
ち層12と、前記裏打ち層12に支持されて硬磁性体材
料で形成された記録層14と、を有する垂直磁気記録媒
体において、前記裏打ち層12の表層を酸化して形成さ
れる、酸素過剰で結晶性に乏しい酸化層13を設けたも
のである。
【0029】請求項2の垂直磁気記録媒体は、請求項1
の垂直磁気記録媒体において、前記記録層と同一の結晶
構造を有する非磁性材料が、前記酸化層の表面に薄膜形
成され、該非磁性薄膜層上に前記記録層が形成されたも
のである。
【0030】請求項3の垂直磁気記録媒体の製造方法
は、軟磁性体材料の裏打ち層に支持されて硬磁性体材料
で形成された記録層を有する垂直磁気記録媒体の製造方
法において、(1) 前記裏打ち層の表層を酸素プラズマ中
で酸化して、酸素過剰で結晶性に乏しい酸化層を形成
し、(2) 前記記録層と同一の結晶構造を有する非磁性材
料を前記酸化層上に薄膜形成し、(3) 前記非磁性材料の
薄膜上に前記記録層を成長させる方法である。
【0031】
【作用】請求項1の垂直磁気記録媒体では、0.5μm
以下の薄い酸化層13が、記録層14と裏打ち層12の
磁気的な関係と結晶構造的な関係の両方を効率的に遮断
する。酸化層13は、単なる裏打ち層12表面のさびで
はなく、酸素過剰で結晶性に乏しく、ガラス構造または
アモルファス構造に類似している。酸化層13は、その
非結晶性のゆえに非磁性体である。また、裏打ち層12
の元々の表層組織をほぼ完全に消失させたミクロ構造を
有するため、薄くても記録層14と裏打ち層12の結晶
構造的な関係を遮断し得る。
【0032】請求項2の垂直磁気記録媒体では、酸化層
の上に、記録層と同一の結晶構造を有する非磁性材料を
薄く薄膜形成する。酸化層によって、記録層と裏打ち層
の磁気的、結晶構造的な関係が既に遮断されているか
ら、非磁性薄膜層には、記録層の結晶方向を制御して、
高抗磁力の方向を垂直方向に配向させる役割のみを分担
すればよい。従って、試料表面における膜厚の均一性や
膜厚制御の困難さはあまり大きな問題とならない。
【0033】酸化層および非磁性層の膜厚は、好ましく
は、それぞれ0.003〜0.01μm (30〜100
オングストローム)、0.005〜0.015μm (5
0〜150オングストローム)の範囲とし、合計の膜厚
を0.02μm (200オングストローム)以下とす
る。
【0034】請求項3の垂直磁気記録媒体の製造方法で
は、酸素過剰で結晶性に乏しく、ガラス構造またはアモ
ルファス構造に類似した酸化層を形成する方法として、
酸素プラズマ中で酸化する方法を提案している。
【0035】
【実施例】図2は実施例の垂直磁気記録ディスクの構成
の説明図、図3は配向性の説明図である。図3は、概念
的な模式図で表現され、図中、(a) は結晶格子、(b) は
結晶成長を示す。ここでは、磁気ディスク装置に用いら
れる垂直磁気記録ディスクの断面構造が示され、記録層
と裏打ち層の間に酸化層および金属薄膜を配置した垂直
磁気記録媒体が説明される。
【0036】図2において、アルミニウム基板21の表
面にはNi−Pメッキ層21Aが形成される。パーマロ
イ裏打ち層12は、電界メッキ法により、Ni−Fe合
金を5〜10μm 積層して形成され、積層後、パーマロ
イ裏打ち層12の表面は、鏡面状態に研磨される。
【0037】パーマロイ裏打ち層12を積層したアルミ
ニウム基板21は、真空処理槽に搬入されて、パーマロ
イ裏打ち層12の表層が酸素プラズマに曝される。この
処理を通じて、パーマロイ裏打ち層12の表面から深さ
0.005〜0.01μm (50〜100オングストロ
ーム)までの範囲が、高エネルギー下の酸化反応を受け
て、特殊な組織状態の酸化層23を形成する。
【0038】酸素プラズマによる酸化処理は、エネルギ
ー(印加電圧)等のプラズマ条件にも依存するが、数1
0秒程度の時間で、酸化層が上記の必要な深さまで形成
されている。
【0039】次に、酸化層23の上に、スパッタリング
薄膜形成法により、非磁性材料の金属であるTiの非磁
性層25を形成する。非磁性層25の厚さは、酸化層2
3と同程度(0.005〜0.01μm )である。非磁
性層25は、Co−Cr記録層24とほぼ同一の結晶構
造を有し、スパッタリング成膜条件は、パワー密度が
0.1〜1W/cm2 、ガス圧が5〜20mTorr、基板温
度が150〜250度C程度である。
【0040】非磁性層25は、このような厚さでは、ア
ルミニウム基板21の表面に渡った均一な膜厚を期待で
きず、ミクロに見ても、酸化層23の表面に凹凸を持っ
てまだら状に形成される。しかし、このような厚さで
も、非磁性層25の上に成長するCo−Cr記録層24
の結晶の配向を有効に制御できる。
【0041】Co−Cr記録層24は、Tiの非磁性層
25に引き続いて、スパッタリング薄膜形成法により、
Co−Cr合金を0.08〜0.2μm まで積層して形
成される。スパッタリング成膜条件は、パワー密度が2
〜6W/cm2 、ガス圧が3〜10mTorr、基板温度が2
00〜280度C程度である。
【0042】Co−Cr記録層24の上には、安定な金
属酸化物やカーボンをスパッタリングして、表面保護膜
26が形成される。表面保護膜26は、垂直磁気記録デ
ィスクの表面を覆って金属層の酸化を防止し、また、垂
直記録磁気ヘッドのコアに対する摩擦や粘着を軽減し、
衝突の衝撃を緩和する。
【0043】図3(a) において、Co−Cr記録層24
の結晶構造は、いわゆる最密六方晶(HCP)構造であ
る。そして、酸化層23の上に形成される非磁性層25
のTiもまたHCP構造を持ち、非磁性層25のHCP
構造の結晶配向性が上層のCo−Cr記録層24の結晶
配向性を定める。
【0044】Co−Cr記録層24の結晶構造は、C軸
方向(六角柱の軸方向)に最大抗磁力を有し、垂直磁化
膜では、C軸を垂直方向に配向させる必要がある。非磁
性層25のTiは、酸化層23の上にスパッタリング形
成した場合、スパッタリング条件にもよるが、酸化層2
3に直接Co−Cr記録層24を成長させた場合より
も、そのC軸を垂直方向に配向させ易い性質がある。
【0045】図3(b) において、パーマロイ裏打ち層2
2の表層部分が酸化層23に形成される。酸化層23の
上には、スパッタリング薄膜形成により、非磁性層25
とCo−Cr記録層24が積層される。非磁性層25の
0.01μm (100オングストローム)前後の厚み
は、たかだか数10原子層程度のもので、通常のスパッ
タリング薄膜形成の手法では、膜厚の均一性を保証でき
ない。この様子は、図中の粒で模式的に表現した。しか
し、酸化層23の上にまだら状に積層された非磁性層2
5のTiは、Co−Cr記録層24のC軸を垂直方向に
配向させ、上方に向かって結晶成長させる。
【0046】このように構成された垂直磁気記録ディス
クは、図4の従来の垂直磁気記録ディスクの場合と同様
に、垂直二層膜媒体の構造を有する。そして、記録時、
パーマロイ裏打ち層12は、垂直記録磁気ヘッドと協働
してCo−Cr記録層24のごく1部分に磁束を集中さ
せ、その部分の磁化方向を上向き/下向きの一方に固定
する。
【0047】しかし、図4の従来の垂直磁気記録ディス
クの場合と異なり、Co−Cr記録層24とパーマロイ
裏打ち層12の間に酸化層23が形成されているため、
両層間の磁気的、結晶構造的な結合が弱まり、パーマロ
イ裏打ち層12の磁壁移動がCo−Cr記録層24の磁
化に影響することがない。
【0048】また、酸化層23の上に、非磁性層25を
重ねたため、酸化層23の上に直接にCo−Cr記録層
24をスパッタリング形成した場合に比較して、Co−
Cr記録層24の結晶構造のC軸が垂直方向に誘導さ
れ、Co−Cr記録層24の結晶成長の配向性が高ま
る。これにより、Co−Cr記録層24の垂直方向の保
磁力が増大しており、垂直二層膜媒体の記録再生特性の
向上、および、外乱に対する耐久性を向上させている。
【0049】すなわち、酸化層23と非磁性層25とを
付加したため、Co−Cr記録層24の減磁に起因する
記録情報の消失を無くし、かつ、記録再生特性に優れた
信頼性の高い垂直二層膜媒体が容易に実現できる。
【0050】さらに、酸化層23と非磁性層25の合計
の厚さを最適膜厚(0.02μm =200オングストロ
ーム以下)に制御することで、Co−Cr記録層24を
貫通する磁束の集中を高め、磁気記録/再生の記録分解
能を低下させない。また、酸化層23における酸素含有
量を高めたことにより、Co−Cr記録層24とパーマ
ロイ裏打ち層12のミクロなレベルの磁気的な結合のば
らつき、および、磁気的な結合のレベル自体を低下させ
ることができる。これにより、磁気記録/再生の信頼性
が向上する。
【0051】ここで、酸化層23の構造として、長距離
秩序を乱し、明確な結晶性を消失させることで、Co−
Cr記録層24の結晶配向性への影響を低減させること
ができる。すなわち、酸化層23が明確な結晶性を有し
た場合、酸化層23の結晶性が、薄い非磁性層25を介
して、Co−Cr記録層24の結晶成長に影響を及ぼ
し、Co−Cr記録層24の結晶粒の配向性(C軸配
向)を乱す原因となる。換言すれば、酸化層23の結晶
性を抑制することで、Co−Cr記録層24の結晶配向
性の向上を促進できる。
【0052】なお、非磁性基板としては、アルミニウム
基板21以外にも、ガラス材料やセラミック材料の基板
を採用できる。また、パーマロイ裏打ち層12、非磁性
層25、Co−Cr記録層24の材料は、それぞれの機
能を果たすものであれば、特に限定されるものではな
い。その形成方法、および、膜厚等の設計寸法に関して
も同様である。さらに、必要に応じて、Co−Cr記録
層24の表面に、保護層および潤滑層を設けてもよい。
【0053】例えば、パーマロイ裏打ち層12は、Co
−Nb−Zr、Co−Mo−Zrの各合金でもよい。非
磁性層25は、Zn、Sc、Ruでもよい。Co−Cr
記録層24は、Co−V、Co−Mo、Co−W、Co
−Re、Co−O、Co−Cr−Rh、Co−Cr−R
u、Co−Ni−Oの各合金でもよい。
【0054】薄膜形成方法は、イオンプレーティング、
イオンビームスパッタリング、蒸着でもよい。酸化層の
形成方法としては、酸素プラズマ以外に、UV(紫外
線)装置も考えられる。保護層としては、金、カーボ
ン、SiO2 、SiCのスパッタリング薄膜を利用でき
る。潤滑層としては、保護層に対して密着性が良く、薄
くて蒸発や飛散の無い液体潤滑材を利用できる。
【0055】
【発明の効果】請求項1の垂直磁気記録媒体によれば、
記録層と裏打ち層の磁気的、結晶構造的な関係が遮断さ
れるから、裏打ち層の磁壁移動が円滑になり、磁壁移動
の乱れが記録層の磁化に悪影響を及ぼすこともない。
【0056】また、酸化層は、薄くても遮断機能を果た
すから、記録層と裏打ち層の間の磁気ギャップを最小限
に留めて、記録層を貫通する磁束密度を高める。従っ
て、記録面積が縮小されて高密度記録が可能になり、磁
気ディスク装置等の小型化、軽量化が容易となる。ま
た、記録層の見掛けの抗磁力が高まって、垂直磁気記録
の安定性が向上する。
【0057】請求項2の垂直磁気記録媒体によれば、非
磁性薄膜層が記録層の結晶配向性を垂直方向に案内する
から、記録層の抗磁力が高まって、垂直磁気記録の安定
性が向上する。
【0058】請求項3の垂直磁気記録媒体の製造方法に
よれば、記録層と裏打ち層の磁気的、結晶構造的な関係
を、ごく薄い非磁性領域(酸化層および非磁性薄膜層)
で遮断できる。従って、記録層と裏打ち層の磁気的な結
合が弱まり、裏打ち層の磁壁移動による記録層の磁化消
失を避けることができる。
【0059】そして、酸化層を得る工程は、必要な装置
構成が簡単で、プロセス制御が容易で、しかも、短時間
に完了する。また、酸素プラズマによる酸化層の形成
は、スパッタリング成膜、酸素雰囲気下での加熱、空気
中の放置等の他の手法よりも、極めて薄くて均一なもの
を容易に形成できる。
【0060】ここで、現状の物理的または化学的に形成
される薄膜においては、そのほとんどが島状構造により
形成され、成長するから、0.01μm (100オング
ストローム)以下の極めて薄い領域では、均一な他の非
磁性膜を形成することが不可能であり、膜厚を大きくす
ることが要求される。
【0061】しかしながら、膜厚を大きくすることで、
実質的なスペーシングロスを生じ、記録密度を阻害す
る。以上の点を考慮すると、酸素プラズマで裏打ち層の
表層を酸化して得られた酸化層は、他の方法で裏打ち層
の上に積層した非磁性層よりも有効である。
【0062】さらに、酸化層の上に記録層と同一構造の
非磁性層を形成することで、垂直磁化膜の結晶配向性が
改善され、垂直方向の抗磁力が高まる。また、この非磁
性層は、必ずしも同等膜厚の均一性が要求されるもので
なく、記録層の結晶粒の間隔程度で膜の均一性が保たれ
れば、各結晶粒における配向性の優れたエピタキシャル
成長が望める。
【0063】具体的には、垂直磁化膜のC軸配向性が改
善され、高い保磁力を有する記録層が形成される。この
ことにより、記録再生特性の向上および外乱(外部磁場
等)に強い垂直二層膜媒体の形成が可能となる。すなわ
ち、記録層の減磁現象が起きにくく、高い信頼性を備え
た垂直二層膜媒体を実現できる。
【0064】以上に説明したように、本発明では、裏打
ち層の上に酸化層および非磁性層を重ねた構造を採用
し、酸化層は、裏打ち層の表層を特殊な態様で酸化して
形成される。これにより、記録層の磁化減磁が抑制さ
れ、かつ、高保磁力化が促進されており、従って、記録
情報の消失が抑制され、かつ、記録再生特性の向上が可
能となっている。本発明によれば、高性能で信頼性の高
い垂直二層膜媒体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本的な構成の説明図である。
【図2】実施例の垂直磁気記録ディスクの説明図であ
る。
【図3】配向性の説明図である。
【図4】従来の垂直磁気記録媒体の説明図である。
【符号の説明】
11 基板 12 裏打ち層 13 酸化層 14 記録層

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性材料で形成された基板(11)
    と、 前記基板(11)に支持されて軟磁性体材料で形成され
    た裏打ち層(12)と、 前記裏打ち層(12)に支持されて硬磁性体材料で形成
    された記録層(14)と、を有する垂直磁気記録媒体に
    おいて、 前記裏打ち層(12)の表層を酸化して形成される、酸
    素過剰で結晶性に乏しい酸化層(13)を設けたことを
    特徴とする垂直磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 請求項1の垂直磁気記録媒体において、 前記記録層と同一の結晶構造を有する非磁性材料が、前
    記酸化層の表面に薄膜形成され、該非磁性薄膜層上に前
    記記録層が形成されることを特徴とする垂直磁気記録媒
    体。
  3. 【請求項3】 軟磁性体材料の裏打ち層に支持されて硬
    磁性体材料で形成された記録層を有する垂直磁気記録媒
    体の製造方法において、 (1) 前記裏打ち層の表層を酸素プラズマ中で酸化して、
    酸素過剰で結晶性に乏しい酸化層を形成し、 (2) 前記記録層と同一の結晶構造を有する非磁性材料を
    前記酸化層上に薄膜形成し、 (3) 前記非磁性材料の薄膜上に前記記録層を成長させ
    る、ことを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法。
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