JPH0771878A - 金属溶解炉の水冷構造 - Google Patents

金属溶解炉の水冷構造

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JPH0771878A
JPH0771878A JP21621893A JP21621893A JPH0771878A JP H0771878 A JPH0771878 A JP H0771878A JP 21621893 A JP21621893 A JP 21621893A JP 21621893 A JP21621893 A JP 21621893A JP H0771878 A JPH0771878 A JP H0771878A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 金属溶解炉の水冷炉天井、水冷炉壁に安全し
たスラグコーティング層を形成させることによって、冷
却水による炉内からの抜熱を小さくし、電力原単位の低
減を図り、かつ炉天井、炉壁の耐用寿命の延長による操
業度の向上、安全性の高揚を果たさせる。 【構成】 有底の炉体2と、この炉体2の上方開口を塞
ぐ炉天井5とを有する金属溶解炉1の外表面を形成する
鉄皮9,10に近接して炉内側に伝熱管8が設けられ
る。鉄皮9,10の内面に沿って伝熱管8の周りの空間
に充填してスラグコーティング層11が形成される。伝
熱管8は少なくとも一部箇所において隣接する管相互の
鉄皮9,10との距離が異なるように、鉄皮9,10に
ほぼ平行に設けられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電気炉、金属溶解炉など
の金属溶解炉において、この溶解炉の上方に開口し原料
が装入される有底炉体の炉壁やこの有底炉体を上方から
塞ぐ搭載自在な炉天井の水冷構造に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電気炉によるたとえば粗鋼の生産
量が増加傾向にあり、主原料であるスクラップ鋼の増加
に伴って、溶解能力を向上するために、炉容量の大型化
ならびに大電力化が図られている。ところが電気炉にお
いて高力率ロングアークのUHP(ウルトラハイパワ
ー)操業では、炉壁および炉天井に対する熱負荷が大き
く、従来から使用されている耐火物を使用した耐火物構
造の方式の炉では、耐火物の損耗が激しく、寿命の低下
を余儀なくされる。このため、耐火物構造方式に代え
て、長寿命を図るために炉壁および炉天井の水冷化が実
施されている。
【0003】図10に電気炉の典型的な先行技術が断面
示される。この図に示されるように、一般に水冷される
炉天井5および有底炉体2の炉壁3の構造は、水冷用の
伝熱管8が炉内中心軸O方向に対して等距離に位置する
同心円状に設けられるとともに、炉内側表面は出入りが
ない平面的な構造となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらこのよう
な炉内を水冷化した場合、従来の耐火物構造方式に比べ
て炉内からの熱損失が大きく、電力原単位が悪化する不
都合があることに加えて、炉内の熱損失が大きくかつ温
度管理が不安定になるために金属を含む主副原料の溶解
性や溶融性および様々の精錬反応を含む冶金反応が低下
してしまうという問題がある。
【0005】また、水冷される炉天井(以下、水冷炉天
井と称する)および水冷される炉壁(以下、水冷炉壁と
称する)では、非常に高温から低温(常温)までの熱応
力の繰り返しの疲労や物理的にかつ局部的に溶融金属や
スクラップが接触することなどがあるから、機械的、局
部的、突発的な損耗や破損を生じ易く、水冷炉天井およ
び水冷炉壁の損傷による炉内への水漏れは、炉本来の溶
解・溶融や様々の反応を行わす機能(作用)を消失させ
るだけでなく、取り分け水蒸気爆発の危険性があり、水
冷炉天井および水冷炉壁の保護が必要となる。
【0006】この対策として、炉体内の金属や溶融金属
と共に介在するスラグの塩基度を1.5以下に下げ、ス
ラグの粉化作用を抑えて水冷炉天井および水冷炉壁の表
面に炉内で飛散するスラグをコーティングさせる方法が
ある。たとえば、ステンレス鋼を溶製するときに共存す
るスラグの成分組成はCaO−SiO2系を主体とし
て、Cr23、MnO、MgO、Al23などから成り
立っており、スラグの粉化現象は2CaO−SiO2
相転移に関連する。2CaO−SiO2の相転移は、冷
却過程では下記の化1を表す。
【0007】
【化1】
【0008】この時、α′型、β型がγ型のCa2Si
4に転移するとき約14%の大きな体積膨張を伴い、
その結果スラグ全体が粉化し、崩壊する。したがって、
炉壁に付着したスラグはこの粉化現象により炉壁から剥
離し、したがって、炉壁へのスラグコーティングは不可
能となる。
【0009】しかし、スラグの粉化現象はスラグの塩基
度と関連があり、スラグの塩基度を1.5以上の高塩基
度にするとCaO:SiO2のモル比が2:1に近づく
につれ、スラグ中の2CaO−SiO2の量の占める割
合が大きくなるためスラグの粉化現象が生じる。逆に、
スラグの塩基度を1.5以下にすれば、スラグが粉化現
象が抑制され炉壁へのスラグをコーティングが可能とな
る。ただし、スラグの塩基度は電気炉の様々な精錬反応
を含む冶金反応と大きな関連があり、スラグの塩基度を
1.5以下とした場合、ステンレス鋼溶製時における脱
硫反応が行われにくく、その溶銑成分の異常を生ずるな
どの欠点がある。しかし、このステンレス鋼溶製時にお
ける脱硫反応を確実に行わさせる必要がある条件下にあ
っては、脱硫反応は高いがスラグコーティングが行われ
にくい高塩基度状態においても、水冷炉天井および水冷
炉壁へのスラグコーティングを可能とし、これらから容
易に剥離しないようにする必要がある。
【0010】したがって本発明の目的は、金属溶解炉内
でたとえ高塩基度状態で操業されていても水冷炉天井お
よび水冷炉壁へのスラグコーティングを可能とし、容易
に剥離しないように安定したスラグコーティング層を形
成させることによって、冷却水による炉内からの抜熱を
可及的に小さくし、電力原単位の低減を図ると共に、熱
応力による繰り返しの疲労や物理的かつ局部的な溶融金
属やスクラップの接触により生じる機械的・局部的・突
発的な損耗とか破損を防ぎ、炉内における炉天井および
炉体の炉壁の耐用寿命を極力延長して、炉本来の溶解・
溶融や様々の冶金反応を行わす機能を円滑にかつ有利に
しかも安全に果たせるように操業することを可能とする
金属溶解炉の水冷構造を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上方に開口し
原料が装入される有底の炉体と、この炉体を上方から塞
ぐ搭載自在な炉天井とを有する金属溶解炉において、当
該溶解炉の外周表面を形成する鉄皮に近接して炉内側に
設けられ、冷却水が循環される伝熱管と、当該鉄皮の炉
内部空間に臨む内面に沿い、伝熱管の周りの空間に充填
して形成されるスラグコーティング層とを含み、伝熱管
が、少なくとも一部箇所において、隣接する管相互の鉄
皮との距離が異なるように、鉄皮にほぼ平行に設けられ
ることを特徴とする金属溶解炉の水冷構造である。
【0012】また本発明は、伝熱管が、少なくとも一部
個所において、鉄皮との距離が交互に大小異なる千鳥2
列に配列されて設けられることを特徴とする。
【0013】また本発明は、炉内中心に近い方の1列目
の伝熱管群の断面積の合計がそれら管群の配設領域の断
面積に対する占積率の方が、鉄皮に近い方の2列目の伝
熱管群の同様の占積率よりも小さくなるように、伝熱管
が設けられることを特徴とする。
【0014】また本発明は、炉内中心に近い方の1列目
の伝熱管群の合計数が、鉄皮に近い方の2列目の伝熱管
群の合計数よりも少なくなるように、伝熱管が設けられ
ることを特徴とする。
【0015】また本発明は、炉内中心に近い方の1列目
の伝熱管群の各管径が、鉄皮に近い方の2列目の伝熱管
群の各管径よりも小さくなるように、伝熱管が設けられ
ることを特徴とする。
【0016】
【作用】本発明に従えば、金属溶解炉の外周表面を形成
する鉄皮内面に近接して伝熱管を設け、この伝熱管に冷
却水を循環させ、鉄皮の内面に沿い伝熱管の周りの空間
に充填してスラグコーティング層が形成される。伝熱管
は、一部個所において隣接する管相互の鉄皮との距離が
異なるよう千鳥配列などたとえば2列に設けられる。こ
れによって、水冷炉天井および水冷炉壁からの抜熱量
は、伝熱管に熱伝導率の低いスラグをコーティングしス
ラグコーティング層を形成させることによって、伝熱管
内を循環する冷却水への抜熱が制限を受けるために小さ
くなり、熱放散ロスが低減され、電力原単位の低下が図
れる。
【0017】また、水冷炉天井および水冷炉壁にスラグ
をコーティングさせることは、伝熱管やこの伝熱管群な
どによって構成される水冷炉天井および水冷炉壁に対し
ての熱応力による疲労を低減し、さらに溶融金属やスク
ラップが伝熱管に直接触れることがないので、水冷炉天
井および水冷炉壁の機械的、局部的、突発的な損耗や破
損を抑え、これらを有する炉全体の耐用寿命が延長す
る。
【0018】さらに、水冷炉天井および水冷炉壁の伝熱
管の配置、炉内中心に近い方の1列目とこれに続く2列
目との伝熱管群同士のそれぞれ配設される領域の断面積
に対する占有率の比較差、この1列目と2列目との伝熱
管群同士の合計数の比較差、同様な管径の比較差をたと
えスラグが風化し易くてもコーティングし易く剥離し難
い構造に構成しているため、スラグの風化現象が生じに
くく、かつ、脱硫反応の不利な低塩基度条件下で操業す
る必要がなく、精錬反応不足による成分の異常が生ずる
などの問題は解消される。そして、炉としての溶解・溶
融や様々な冶金反応を行わす機能を円滑かつ有利にしか
も安全に果たし、炉本来の操業を満足し得る状態にでき
るのである。
【0019】
【実施例】図1は本発明の一実施例の金属溶解炉1の炉
天井5を開けた状態を示す縦断正面図である。この実施
例において、金属溶解炉1は、交流アーク式3相電気炉
であって、上方に開口し金属を含む主副原料を装入され
る有底の炉体2と、この炉体2を上方から塞ぐ搭載自在
な炉天井5とを有する。炉天井5は、該炉天井5を固定
設置されている有底炉体2に対して矢示線Aのように昇
降および旋回させる図示しない開閉手段によって開閉動
作される。
【0020】前記炉体2は、略円筒状の炉壁3と、炉床
4とを有し、その内部空間6には、電極7への通電によ
って発生するアークによって、装入された鋼屑などの金
属を含む主副原料を溶解、溶融した溶銑や金属溶湯やス
ラグが貯留される。電極7には、変圧器からの二次電圧
が印加され、前記内部空間6内に装入した主副原料の間
にアークを発生させて、その原料を溶解および溶融する
ことができる。このようなアークの発生によって内部空
間6は、たとえば約1000℃程度の高温度となり、直
接アークの熱負荷を受ける電極7直下付近のホットスポ
ット部では1500〜2000℃の高温度領域となる。
そして、このような金属溶解炉1の操業中に、炉体2内
の炉床4上に、貯留されている溶銑や金属溶湯に浮遊し
ているスラグ層15から炉内に向けて、つまり炉天井5
の内面側や炉壁3の内面側に向けてスラグ16が飛散す
るのである。
【0021】図2は、炉天井5の一部切欠示平面図、図
3は図2におけるA−A線矢視断面図である。炉天井5
は、大略的に円錐台状に形成され、電極7が貫挿通され
る小天井部12を中央部に、伝熱管8が設けられる大天
井部13を小天井部12に囲ませた周囲部に一体に備え
る。大天井部13に設けられる伝熱管8は、炉天井5の
中心に対して同心円状のパターンで配設される。この伝
熱管8は、円弧状に曲げ加工された曲管8Aと、U字状
に曲げ加工されたU字管8Cとを溶接によって接合して
形成され、たとえば普通鋼を材料とする鋼管が使用され
る。
【0022】図2に伝熱管8の配列パターンが示される
ように、3相電気炉の場合、小天井部12に等分周して
配置される3本の電極7に合わせて、炉天井5の中心を
基準に、大天井部13を中心角120°毎に3等分し
て、この等分した各部分円環内で、それぞれジグザク状
の水の流路が形成されるように伝熱管8相互を接続す
る。その際、炉天井5の外板としての鉄皮9に対して炉
1内側(炉体2内側)で近接してほぼ平行に延在し、か
つ、隣接する管8相互の鉄皮9との距離が、図3におい
て実線示のものと破線示のものとの場合、交互に大きく
また小さくなって異なるように、たとえば千鳥2列に配
列されて設けられる。このようにして各部分円環内でそ
れぞれ形成される冷却水の流路を直列に接続することに
よって、炉天井5には単一の冷却水の流路が形成され
る。なお、この冷却水の流路を形成する伝熱管8群に対
して後述するようにスラグコーティング層11が掩って
形成される。なお、これらの伝熱管8群は、金属板をL
形に折り曲げて所要個所に伝熱管8を介挿するための半
円溝が凹設されてなる支持部材14を介して、鉄皮9に
取り付けられる。
【0023】図4は炉体2における炉壁3部の取り外し
た鉄皮側から見た正面図である。図5は図4におけるB
−B線矢視断面図である。炉壁3は大略的に円筒形状に
形成され、その外板としての鉄皮10に対して、炉1内
側(この場合は炉体2内側といえる)の内面に近接して
伝熱管8が設けられる、この伝熱管8は、大天井部13
に設けられる伝熱管8と同様に、円弧状に曲げ加工され
た曲管8Bと、U字管8Cとを溶接によって接合して形
成され、普通鋼を材料とする鋼管が使用される。
【0024】図6および図7に、炉壁3部の伝熱管8の
配列パターンが水平断面図および斜視図で示されるよう
に、円筒形の炉壁3の中心軸O(すなわち炉1内中心
軸)を基準に炉壁3をたとえば中心角45°毎に8等分
し、この等分した各部分円弧の壁に沿って、大天井部1
3の場合と同じ要領で上下方向にジグザク状となり、か
つ、縦断面内で千鳥2列の配列となって冷却水の流路が
形成されるように伝熱管8相互を接続する。このように
して各区分される領域にそれぞれ形成される冷却水の流
路を、たとえば各領域単位で直列に接続して、8系統の
冷却水流路を形成し、さらにこれを図示しないヘッダに
よって並列に接続することによって、炉壁3全体として
単一の冷却水の流路が形成される。
【0025】この冷却水の流路を形成する伝熱管8群
は、大天井部13の場合と同じように、支持部材14に
よって、鉄皮10にねじ締めなどの固着手段を用いて取
り付けられるとともに、スラグコーティング層11が掩
って形成される。
【0026】図5に示される千鳥2列の配列パターンに
なる実施例の水冷構造が、冷却水による抜熱量が少な
く、かつ、炉壁3および炉天井5の長寿命化が奏される
点で有効であることについて以下説明する。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】上記表1は、本発明に係る水冷炉天井5お
よび水冷炉壁3と、従来の構造の水冷炉天井、水冷炉壁
とを、比較のために90T(トン)電気炉に設置し、上
記表2に示す主副原料配合および上記表1,2に示す操
業条件の下で、具体的にSUS−304系のステンレス
鋼を溶製する際に得られた結果が示される。なお、比較
例1は、従来の水冷炉天井、水冷炉壁を設置し、これら
の主副原料を溶解したとき、スラグの塩基度を2.0
(高塩基度)に上げて操業したときの結果である。ま
た、比較例2は、スラグの塩基度を1.5に下げて操業
したときの結果である。
【0030】まず、脱硫反応について説明する。電気炉
における脱硫能(S%)/〔S%〕は、塩基度C/Sに
よって影響され、たとえばステンレス鋼の電気炉におけ
る脱硫反応は次式で表される。
【0031】 (CaO)+=(CaS)+ …(1) または、 O2-=S2- …(2) ここに、(CaO),(CaS)はスラグ中のCaO,
CaSであり、はメタル中のO,Sである。した
がって脱硫反応の平衡定数Kは、
【0032】
【数1】
【0033】によって求められ、この第3式からSの分
配は、
【0034】
【数2】
【0035】または、
【0036】
【数3】
【0037】ここで次のように仮定する。
【0038】 a(S2-)≒(%S),a(O2-)≒ Ncao …(6) ただし、Ncaoはスラグ中のCaOのモル分率である。
これらを第5式に代入すると、Sのスラグおよびメタル
間の分配は、
【0039】
【数4】
【0040】となる。この第7式によって、理論的には
スラグ中のCaO量を増すほど、あるいはメタル中のO
の量を減じるほど、すなわち塩基度が高いほど脱硫反応
が進行することがわかる。
【0041】比較例2は、比較例1に比べ塩基度が低い
ため、水冷炉天井および水冷炉壁にスラグがコーティン
グされるため、耐用寿命の延長、電力原単位の低減が図
られるが、脱硫能が著しく低下し、脱硫が必要な電気炉
操業条件では比較例2は不適切である。
【0042】これに比べ、本発明では 塩基度が2.0
(高塩基度)で操業できるので脱硫能を下げることな
く、脱硫の必要な操業条件に適用できる。
【0043】図8には、表1に示される本発明に係る条
件で操業したときの水冷炉壁3に形成されるスラグコー
ティング層11の生成推移が示される。本発明の実施例
は、図5にも示されるように、炉1内中心軸O方向に向
かって2列構造にし、1列目の伝熱管8と2列目の伝熱
管8とが交互にレベルが異なるように配置した千鳥2列
式となっているために、スラグの粉化現象が生じ易くス
ラグコーティングし難い高塩基度条件においても、鉄皮
10に近い2列目の伝熱管8の部分に、図8(a)のよ
うに飛散したスラグが急冷されながら堆積し、さらにそ
の部分にスラグがスラグ層から飛散し続けるが、この場
合に伝熱管8に直接飛散する場合に比べて、飛散スラグ
が急冷される度合いが弱まるため相変態によるスラグの
粉化現象が抑制され、また伝熱管8群が千鳥2列式とな
っているためであると共に同一化学組成のスラグ同士の
付着であるため、順次コーティングが容易に行われる。
このような繰り返しにより、図8(b)にように伝熱管
8群の周りの水冷炉壁3全体がスラグでコーティングさ
れ、安定なスラグコーティング層11が形成される。
【0044】このため苛酷な炉内雰囲気を断熱でき、表
1中の本発明1に示されるように、電力原単位が従来技
術の比較例1に対し20KWH/Tも低減され、また溶
融金属やスクラップが伝熱管8に直接触れることがない
ので、炉壁3の寿命が500回延長し、炉天井5の寿命
は600回延長させることができる。
【0045】また、図9に示すように、電気炉の炉中心
軸に対して炉内方向に炉天井5および炉体2の炉壁3に
設ける各水冷伝熱管8群の配置を千鳥構造にし、炉内中
心に近い位置の伝熱管8群を1列目伝熱管8群とし、炉
の鉄皮10に近い位置の伝熱管8群を2列目伝熱管8群
とするとき、鉄皮10に近い2列目伝熱管8群の占める
面積の割合を炉内中心に近い1列目伝熱管8群より大き
く配置する構造とする場合においては、具体的に図9
(a)に示されるような配置構造の場合と、図9(b)
に示される配置構造の場合とがある。
【0046】この図9(a)に示す配置構造の場合は、
1列目と2列目の両伝熱管8群の管径としてほぼ同一の
ものを用いるのであるが、鉄皮10に近い2列目の伝熱
管8群の合計数を1列目のそれより多く配置する場合で
ある。
【0047】一方、図9(b)に示す配置構造の場合
は、1列目と2列目の両伝熱管8群における伝熱管8の
合計数としてはほぼ同一であるが、鉄皮10に近い2列
目の伝熱管8群の管径が1列目のそれより大きい伝熱管
8を用いて配置する場合である。
【0048】この図9に示し、図9(a)および図9
(b)のいずれの場合においても、スラグコーティング
する割合が増し安定なスラグコーティング層11が形成
されるので、冷却水への抜熱が小さくなり、熱放散ロス
が減少され、電力原単位の低減が図れる。さらに炉壁3
や炉天井5の各寿命を延長できるのである。
【0049】このため表1中の本発明2に示されるよう
に、炉壁2および炉天井5の各水冷伝熱管8群の配置を
図9(a)や図9(b)に示す如き千鳥2列式の配置構
造にし、鉄皮9,10に近い2列目伝熱管8群の占める
面積の割合、すなわち占積率を炉内中心に近い1列目伝
熱管8群より大きくした配置構造とし、スラグの塩基度
を2.0(高塩基度)で操業したときの結果である。本
発明2は、本発明1に対して電力原単位で5KWH/T
低減できると共に炉壁3や炉天井5の寿命を50〜10
0回延長させることができた。
【0050】
【発明の効果】以上に詳述したように構成される本発明
によれば、以下に列挙するような効果が奏され、工業的
価値は非常に大きなものが認められる。 (a)水冷伝熱管内を流れる冷却水による抜熱が小さく
なるので、電力原単位が低減でき、溶解時間の短縮も可
能となり生産性が向上する。 (b)水冷伝熱管群等から構成される炉天井や炉体の炉
壁への熱応力による繰り返し疲労が減少し、スクラップ
や溶銑や金属溶湯が水冷伝熱管に直接触れることがない
ために、炉天井や炉壁の機械的、局部的、突発的な損耗
や破損を抑制することが可能となり、これらの耐用寿命
が延長する。 (c)スラグの粉化現象が生じにくく安定したスラグコ
ーティング層が形成されるし、良好な温度管理も可能と
なり、脱硫反応などの精錬反応を含む冶金反応をこの脱
硫反応に不利な低塩基度条件下で操業する必要もなくな
り、しかも精錬反応不足による成分組成の異常が生ずる
などの問題もない。 (d)水冷炉天井や水冷炉壁が保護されるので、これら
の損傷による炉内への水洩れが回避され、この水洩れに
よる水蒸気爆発の危険性を防止できる。 (e)したがって、金属溶解炉としての溶解・溶融や様
々な冶金反応を行わす機能(作用)を円滑かつ非常に経
済的にも有利に、しかも安全に果たし、炉本来の操業を
安全な満足し得る状態に維持できる。 (f)水冷炉天井や水冷炉壁の構造および配置等が従来
のものと基本的に同一であって、水冷構造の伝熱管等の
配置態様などが異なるだけであるから、既存金属溶解炉
を大幅に設備改造することなく改造できるし、その改造
コストも小さくすむ。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の縦断示正面図である。
【図2】図1に示される炉天井5の一部切欠示平面図で
ある。
【図3】図2におけるA−A線矢視断面図である。
【図4】図1に図示の炉壁3部における取り外した鉄皮
側から見た正面図である。
【図5】図4におけるB−B線矢視断面図である。
【図6】本発明の実施例に係る炉壁3部の伝熱管8の配
列パターンを示す水平断面図である。
【図7】図6図示の伝熱管8の配列パターンを示す斜視
図である。
【図8】本発明の実施例に係る炉壁3におけるスラグコ
ーティング層11の生成推移が示される縦断面図であ
る。
【図9】本発明の他の各実施例に係る炉壁3部の縦断面
図である。
【図10】先行技術の電気炉における炉天井の断面図で
ある。
【符号の説明】
1 金属溶解炉 2 炉体 3 炉壁 4 炉床 5 炉天井 6 内部空間 7 電極 8 伝熱管 9,10 鉄皮 11 スラグコーティング層

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上方に開口し原料が装入される有底の炉
    体と、この炉体を上方から塞ぐ搭載自在な炉天井とを有
    する金属溶解炉において、 当該溶解炉の外周表面を形成する鉄皮に近接して炉内側
    に設けられ、冷却水が循環される伝熱管と、 当該鉄皮の炉内部空間に臨む内面に沿い、伝熱管の周り
    の空間に充填して形成されるスラグコーティング層とを
    含み、伝熱管が、少なくとも一部箇所において、隣接す
    る管相互の鉄皮との距離が異なるように、鉄皮にほぼ平
    行に設けられることを特徴とする金属溶解炉の水冷構
    造。
  2. 【請求項2】 伝熱管が、少なくとも一部個所におい
    て、鉄皮との距離が交互に大小異なる千鳥2列に配列さ
    れて設けられることを特徴とする請求項1記載の金属溶
    解炉の水冷構造。
  3. 【請求項3】 炉内中心に近い方の1列目の伝熱管群の
    断面積の合計がそれら管群の配設領域の断面積に対する
    占積率の方が、鉄皮に近い方の2列目の伝熱管群の同様
    の占積率よりも小さくなるように、伝熱管が設けられる
    ことを特徴とする請求項2記載の金属溶解炉の水冷構
    造。
  4. 【請求項4】 炉内中心に近い方の1列目の伝熱管群の
    合計数が、鉄皮に近い方の2列目の伝熱管群の合計数よ
    りも少なくなるように、伝熱管が設けられることを特徴
    とする請求項2または3に記載の金属溶解炉の水冷構
    造。
  5. 【請求項5】 炉内中心に近い方の1列目の伝熱管群の
    各管径が、鉄皮に近い方の2列目の伝熱管群の各管径よ
    りも小さくなるように、伝熱管が設けられることを特徴
    とする請求項2または3に記載の金属溶解炉の水冷構
    造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20030092905A (ko) * 2002-05-31 2003-12-06 주식회사 포스코 전기로
KR100718475B1 (ko) * 1997-07-25 2007-05-16 인터내쇼날 플라워 디벨럽먼트 피티와이. 리미티드 당전이 활성을 갖는 단백질을 암호화하는 유전자
KR200450698Y1 (ko) * 2008-08-28 2010-10-22 현대제철 주식회사 래들로 천정의 캐스팅 작업용 지그
KR200453675Y1 (ko) * 2008-10-28 2011-05-23 현대제철 주식회사 전기로 로상의 내화물 시공용 지그
JP2015108505A (ja) * 2015-02-03 2015-06-11 アイシン高丘株式会社 ハイブリッド型金属溶解炉

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