JPH077143Y2 - ロービング材自動積層装置 - Google Patents

ロービング材自動積層装置

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JPH077143Y2
JPH077143Y2 JP169191U JP169191U JPH077143Y2 JP H077143 Y2 JPH077143 Y2 JP H077143Y2 JP 169191 U JP169191 U JP 169191U JP 169191 U JP169191 U JP 169191U JP H077143 Y2 JPH077143 Y2 JP H077143Y2
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laminating
roving material
roving
head
jig
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與治郎 松原
千秋 林
慎一 清水
宗 鈴木
吏司 朝倉
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Kawasaki Motors Ltd
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Kawasaki Jukogyo KK
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、FRP(fiber
reinforced plastic)として知られ
る複合材で作られる部品の中間材料の一つであるロービ
ング材の自動積層装置に関する。
【0002】
【従来の技術】高強度で軽量を必要とする部品の材料と
して、ガラス繊維や炭素繊維を強化繊維とし、ポリエス
テルやエポキシ樹脂等を結合剤としたFRPが広く使用
されている。特に形状が複雑で高い強度を必要とする部
品をFRPで製作する場合は、強化繊維の長繊維を数十
本束ねて糸状にし樹脂を予め含浸(プリプレグ)したロ
ービング材を製品の形に合せて作られた型(治具)上
に、その粘着性を利用して積層し、硬化させて作る方法
が適している。
【0003】ところで、従来、ロービング材の積層方法
は、熟練した作業者が、図面に従って一本づつ手で型上
に並べて積層するのが通常であった。しかし、この方法
では積層に非常な長時間を必要とすることや、積層状態
のばらつきに起因して製品々質のばらつきを生ずる等の
不具合があった。
【0004】これらの問題の改善を目的として、例え
ば、特開昭63−35341号公報に、プリプレグ化さ
れた強化繊維を自動的に型上に積層するための装置が提
案されている。この装置に使用される強化繊維は、多数
の強化繊維を所定の幅、例えば76mm程度の裏紙の上
に帯状に並べ、樹脂を含浸させたテープ状のものであ
る。自動積層装置はガントリによりその走行方向(X
軸)とこれに直交する方向(Y軸)と鉛直方向(Z軸)
に移動可能でかつZ軸の回りに回転可能に取付けられた
積層ヘッド組立体より成る。
【0005】積層ヘッド組立体には、上記の積層材料を
ロール状に保持する材料供給用リールを有し、このリー
ルより巻出された積層材料は押圧部材により型面に押圧
され、裏紙は剥離され、ヘッド組立体に設けた裏紙巻取
り用リールに巻取られる。材料を裏紙に貼付ける場合の
テンションは裏紙で持ち、積層時のテンションは材料供
給用リールと裏紙巻取り用リールにより発生させる。材
料の切断に当っては、裏紙は切断せず、プリプレグ化さ
れた繊維のみが切断され、切断方向は長手方向に対して
任意の方向に切断可能となっている。積層開始点と終点
との切断方向は一致しない場合が多く、切断後スクラッ
プが発生するので、その処理が必要である。
【0006】上記の従来技術では、上記の如く、積層材
料はある幅を持った裏紙に貼り付けられているので、展
開面がS字状になるような積層は不可能である。又、ヘ
ッド組立体に材料供給用リール及び裏紙巻取り用リール
を有し、大型かつ複雑なものとなるため、ヘリコプタの
ロータハブやヒンジ類の小型で複雑な形状の複合材製部
品の製造には適用できない。斜面に積層可能とするため
ヘッドをテープの中心線を軸として揺動可能な構造とし
たものもあるが、その場合は、そのための駆動装置、セ
ンサ等部品点数が増加し、重量も増大する。
【0007】本考案者等は従来提案された上記のテープ
積層装置の上記の問題点にかんがみ、簡単な構成で軽
量、コンパクトな積層ヘッドを有し、複雑な形状や小形
の部品の積層にも適し、積層材料のスクラップの発生と
その処理の必要のないロービング材自動積層装置を特願
平2−168776号により提案した。
【0008】その装置は、図1に示すように、図示しな
いロービング材供給装置より引出され、ガイドローラ4
a、4b、4cを経て供給されたロービング材3を巻掛
け、それを製作すべき部品の形状に合せて形成された型
に押圧しつゝ、型に沿って転動する積層ローラ5、これ
を上記型に圧接させるシリンダ1、上記積層ローラ5に
より型に押付けられた直後の位置でロービング材3を切
断可能なカッタ9、上記積層ローラ5、シリンダ1及び
カッタ9を一体的に上記積層ローラ5が上記の型に沿う
ように移動させるロボットアーム等の移動手段に固定す
るフランジ2とを有する積層ヘッド部と、これにロービ
ング材を供給するロービング材供給装置とより成る。
【0009】ロービング材供給装置より引出されたプリ
プレグ化された糸状ロービング材3は、積層ローラ5に
巻掛けられ、シリンダ1により型上に押圧され、積層ロ
ーラ5が型上を転動することにより、ロービング材は型
上に積層される。積層範囲の端にくると、ロービング材
3は、シリンダ8により駆動されるカッタ9により切断
される。積層ローラ5、シリンダ1及びカッタ9を一体
的に有する積層ヘッドは、積層ローラ5が型に沿うよう
に移動させるロボットアーム等にフランジ2で固定され
ているので、積層ローラ5はロービング材を型に押圧し
粘着させながら型上を転動し、複雑な形状の型に対して
も離れることなく、又、ロービング材は糸状であるから
展開面がS字状になる場合にも無理なく積層することが
でき、傾斜面への積層に対しても簡単に追随することが
できる。
【0010】ところで、近年、航空機等の分野で、力の
作用するレバーやヒンジ類の軽量化や疲労強度の向上を
目的として複合材が使用されてきている。このような目
的の複合材製のレバーやヒンジ類には両端に力を伝達す
るピンが結合され、両端のピン間には圧縮及び引張りの
大きな軸力が作用するため、複合材の材料としては、ロ
ービング・プリプレグ材が使用され、これを両端のピン
間に長手方向(軸方向)に配列するのが通例である。こ
のロービング材の有する強度を効率的に利用するために
は、ロービング材を均一に配向することが必要である。
又、配向した長手方向のロービング材に均等な応力が掛
るように重ね合された各ロービング材料間にクロス材料
を入れることも行なわれている。
【0011】ところで、従来のこの種の部品の製造技術
では、部品を成型するための治具上にクロス材料を置
き、その上にロービング材料を一本、一本手作業により
極力均一になるように貼り付け、両端のピン部は、治具
に植設されたピンに手で巻き付けて積層している。その
ため、治具上に均等にロービング材を配列することが難
しく、又、両端のピンの回りのロービング材の巻き付け
が不均一になり、最も強度を必要とするピン回りの積層
が不安定となる。又、上記の作業を適切に実施するに
は、熟練した作業員を必要とする。
【0012】そこで、上記の如き両端に力を伝達するピ
ン部を有する複合材製品を、上記ピン部の軸に直角方向
に延びる複数層の平面状パターンに分解し、該パターン
を一層(又は数層)毎に積層し、各層を重ね合せて積層
成形する複合材製品の上記平面状パターンの各層を、平
面状ジグに上記ピン部間隔に等しい間隔に2本のピンを
植設して成るジグを用いて、上記ピンにはロービング材
を平面状ジグから所定の高さに亘って巻き掛け、ピン間
では平面状ジグにロービング材を押圧し、ロービング材
を連続的に積層する動作を自動的に行なうことができれ
ば甚だ都合が好い。
【0013】先に本考案者等が、特願平2−16877
6号により提案したロービング材自動積層装置は、複雑
な形状の治具上に均一にロービング材を配列して粘着さ
せ積層する場合には好適であるが、一本配列する毎にカ
ッタでロービング材を切断するものであるから、上述の
如く、2本のピンの回りを、ピンに巻回される部分では
ピンに巻き掛け、その間の部分では平面状ジグの面に押
圧してロービング材を連続的に積層する作業にはそのま
ゝでは利用することができない。
【0014】
【考案が解決しようとする課題】本考案は、上記の実情
にかんがみ、上述の両端にピン部を有する平面状パター
ンをピンの回りではロービング材をピンに巻き掛け、ピ
ンの間ではロービング材を平面状治具面に押圧してロー
ビング材を連続的に積層する動作を自動的に行うことの
できるロービング材自動積層装置を提供することを課題
とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本考案のロービング材自
動積層装置は、上記の課題を解決させるため、ロービン
グ材供給装置と、該ロービング材供給装置より引出され
一定張力を付与したロービング材をヘッド中心線上部よ
り取込み下端より積層用に引出すロービング材ガイド筒
と、該ガイド筒より引出されたロービング材を巻掛ける
積層ローラとを有する積層ヘッドとを有し、上記積層ロ
ーラは上記ガイド筒出口近傍で外周縁が概ねヘッド中心
線に接し、かつその回りに旋回自在に支持されるととも
に、該積層ローラをヘッド中心線の回りに旋回させる手
段を積層ヘッドに設けたことを特徴とする。
【0016】上記の外周縁が概ねヘッド中心線に接し、
かつその回りに旋回自在に1個の積層ローラを設け、か
つ積層ローラを旋回させる手段を設ける代りに、ガイド
筒出口近傍に、積層ヘッドの前後進方向の両側に各1個
ずつの積層ローラを、夫々平面状ジグに転接する位置と
ジグ面から所定の高さの位置との間移動可能に設けると
ともに、上記の積層ローラを個別に昇降させる手段を積
層ヘッドに設けてもよい。
【0017】
【作用】前者の構成によれば、1個の積層ローラはガイ
ド筒出口近傍でヘッド中心線に概ね接し、かつその回り
に旋回自在に支持され、かつこれをヘッド中心線の回り
に旋回させる手段が設けられているので、積層ヘッドを
例えばロボットアームに取付けて治具面に沿って移動さ
せる場合、積層ローラが積層ヘッドの移動方向に関して
トレーリング側にくるようにして積層ローラを治具面に
圧接する位置に下降させた場合は、積層ローラはガイド
筒を経て積層ローラに供給されヘッド進行方向に対して
後方に排出されるロービング材を治具面に押圧し粘着さ
せる。ピン部では、積層ヘッドを上昇させて積層ローラ
を治具面から離間させることにより、積層ローラは転動
せずロービング材を保持したまゝ、ヘッドの向きを変え
ずにヘッドをピンの回りをUターンさせ、ヘッドをもと
の進行方向と逆方向に移動させることにより、ロービン
グ材をピンの回りに巻き掛けることができる。次いで積
層ローラが積層ヘッドの進行方向についてトレーリング
側にくるように旋回させ徐々に積層ヘッドを下降させ、
積層ローラを治具の表面に接触させて、他のピンの方へ
と移動することにより、前記と同様にして、ロービング
材を治具に押圧し粘着させる。以上の如く、積層ヘッド
を基本的に回頭させずに往復動させ、ピン部でピンを回
るように若干横移動させ、かつ積層ヘッドを昇降させる
ことにより、上述の要求に適ったロービング材の連続積
層が可能となる。積層ヘッドは基本的に回頭することな
く、往復動することにより多数回ループを画くので、電
線等がもつれることはなく、円滑に動作が行なわれる。
【0018】後者の構成の場合は、積層ヘッドの中心線
にあるロービング材ガイド筒の、積層ヘッド移動方向の
前後両側に夫々1個の積層ローラが昇降可能に設けられ
ているので、積層ヘッドは基本的には回頭せずに往復動
し、積層ヘッド進行方向に対してトレーリング側の積層
ローラを治具面に圧接させてロービング材を治具に粘着
させ、ピン部では両方の積層ローラを上昇させて、積層
ヘッドを回頭させることなく、中心位置をピンの回りに
Uターンさせることにより、ロービング材をピンに巻掛
けるとともに、ガイド筒からのロービング材をトレーリ
ング側になる積層ローラに引渡す。これにより、前者の
構成の場合と同様、積層ヘッドを自身の軸の回りに回転
させることなく、基本的に往復動させることにより、連
続的に上記の所要の積層を行なうことができる。
【0019】
【実施例】以下に、本考案の実施例を、図面に基づいて
詳細に説明する。
【0020】図2は、本考案の積層装置により製造する
のに適する複合材製のヒンジ、レバー類の代表的な一例
の外形を示す図である。この部品11は、両端に力を伝
達するピンが係合するピン孔12が穿設され、両端のピ
ン孔12間に軸力が作用する。
【0021】このような部品を、ロービング材を積層し
て製造する場合、部品の形状を複数の層に分けて、オフ
ライン上でロービング材を各層のパターンにシート状に
積層し、このシート状ロービング材を、オンライン上の
積層治具上で順次重ね合せて積層し所定の形状とし硬化
して製造するのが作業効率が高く、又ロービング材の均
一な配列が得られる。
【0022】図3は、そのシート状に積層したロービン
グ材の1枚を示すもので、ロービング材は図に示すスタ
ート位置13から矢印の方向に予め定められた線に沿っ
て積層のための治具のベースプレート上に立設された2
本の仮ピン14に巻掛けて、図中に1,1´、2,2
´、3,3´、…と示す順に、一平面上にエンド位置1
5迄配向して行く。
【0023】両端の仮ピン14は必要に応じて部品の長
軸方向にスライド可能とし、積層完了後ピンを外方にス
ライドさせてロービング材にある程度の張力を付与する
こともできる。又ピン部よりシート状ロービング材を取
り外す場合は、ピンを内方にスライドさせることにより
容易に行える。
【0024】図4は、各シートのピンの部分の積層方法
を説明する図である。各シート積層時、下のものから順
に仮ピンの直径を順次大きなものに変えて行き、このピ
ンの回りに所定の半径方向厚さで、部品のピン孔の周囲
の高さになるようにロービング材を巻き掛ける。例え
ば、図示の例では、最下位のシート(シート1)の積層
時には(a)図に示す如く、直径55mmのピンを用い
て、その回りに外径が65mmになるようにロービング
材を巻き、次のシート(シート2)積層時には(b)図
に示す如く、直径が65mmのピンの回りに外径が75
mmになるようにロービング材を巻いて積層し、その次
のシート(シート3)積層時には(c)図に示す如く、
直径が75mmのピンの回りに外径が85mmになるよ
うにロービング材を巻き、さらにその次のシート(シー
ト4)積層時には(d)図に示す如く直径85mmのピ
ンの回りに部品の両端部の曲率半径に等しい外径になる
ようにロービング材を巻いて積層する。
【0025】なお、ピンの直径の変更は、1つのピンに
外径の異るブッシングを被せ替えることによって簡単に
行なうことができる。ピンとピンとの間の部分はロービ
ング材を水平な平面状に夫々パターンP1,P2,P
3,P4に従って配置する。このようにして出来た複数
枚のロービング材積層シート(シート1,シート2,シ
ート3,シート4)は、オンライン上の積層治具上で重
ね合せて積層される。この時、ピン部は、図4(e)に
示す如く同心的に半径方向に重ねられる。
【0026】図5は、積層治具16上に複数のシート状
ロービング材18を積層する状態を図式的に示した図で
ある。治具16の型にはピン17が植設されており、最
下位のシート状ロービング材のピン孔をこれに通し、図
3(e)で説明したように順次他のシート状ロービング
材のピン部を外へ外へと重ねて、ピンとピンとの間では
平面状の部分を積層し、その結果、所定の部品の形状の
積層材が出来る。シート状ロービング材18の間には、
必要に応じてクロス材料19が挿入される。
【0027】図6及び図7は、夫々本考案の第1実施例
のロービング材自動積層装置の積層ヘッドの側面図及び
正面図である。
【0028】積層ヘッド20の本体20aは、ロボット
アーム等の移動装置に固定するためのフランジ21を上
端に有するシリンダ22内を圧縮ばね23により弾発的
に上下方向に摺動するプランジャ24の下端に固定され
ている。積層ヘッド本体20aには、図示しないロービ
ング材供給装置より引出されたロービング材を案内する
ガイドローラ25、ヘッド中心線に沿って設けられ、上
記ガイドローラ25により案内されたロービング材を上
端より受入れ下端より引出すロービング材ガイド筒2
6、上記ガイド筒26の下端より引出されたロービング
材を巻掛ける積層ローラ27が設けられている。積層ロ
ーラ27は、上記ガイド筒26の出口近傍で外周面が概
ねヘッド中心線に接し、かつその回りに旋回自在に設け
られている。ヘッド本体20aには、さらに、積層ロー
ラ27のヘッド本体20aに対する中心線回りの旋回角
度位置を変え、かつその位置に保持するための、積層ロ
ーラインデックス用エアシリンダ28が設けられてい
る。又、必要に応じ積層ローラ27の支軸にはアーム2
9を介して、ロービング材の排出方向を適正に補正する
方向補正ローラが設けられている。
【0029】次に、図8、図9を参照して上記実施例の
装置の作用を説明する。
【0030】図8は、積層治具の1対の仮ピン14(図
3参照)間のロービング材3を平面状治具表面に並べて
貼付ける部分の端部から仮ピン14に巻掛けた後、反対
方向にロービング材を治具上に貼付け始める点までの経
路と、その過程の数個所での積層ヘッド20及び積層ロ
ーラ27の姿勢を示す図であり、そのA,B,Cの位置
における積層ヘッドの治具面に対する高さ方向の位置を
図9に示す。図8中2点鎖線で示す斜方向に延びる多数
の概ね平行に延びる線は、ロービング材供給装置から積
層ヘッドのガイドローラ25に至るロービング材の各時
点での経路を示すものである。
【0031】図8のA点近傍迄、積層ヘッド20は図に
おいて右から左へ積層ローラ27の軸が積層ヘッド対称
軸と平行を保って、かつ積層ローラ27が治具面に圧接
した状態でロボットアーム等の移動装置により移動して
くる。この移動により、ロービング材3は、図中に実線
で示す位置に治具上に粘着される。
【0032】A点の直前で、積層ヘッド20は姿勢を変
ることなく、進行方向を斜方向に変向した後、A点で積
層ローラ27が治具面から離れ始める。B点で積層ヘッ
ド20は積層ローラ27の下端が仮ピン14にロービン
グ材を巻き付けるべき高さになるように持上げられる。
積層ヘッド20はその高さと、姿勢を保持したまゝ直進
しC点に至る。次いで積層ヘッド20はその高さと姿勢
を保持したまゝ、A点直前の変向点近傍を中心として、
時計方向に円弧状に移動した後、ACの方向と逆方向に
移動する。この間、積層ローラの方向は、ロービング材
が一定張力を付与していることと、粘着性により仮ピン
14に掛る迄はA点直前の変向点で粘着した点の方を向
き、仮ピン14に掛ってからは、そのピンに対する接線
の方向になるように独りでにピンの回りを旋回する。積
層ローラは必要に応じ積層ローラインデックス用エアシ
リンダ28により積層ヘッドの中心線の回りを自動旋回
させてもよい。これにより、ロービング材は、所望の高
さの位置で仮ピン14に略180゜巻回された後、A点
直前の変向点に対応する位置で、積層ローラ27は治具
表面に圧接し、A点近傍の変向点に入ってきた方向とほ
ゞ逆方向に進行する。この第2の変向点以降では、積層
ローラは第2変向点の方に向いた位置に独りでにくる。
エアシリンダ28により駆動させることもできる。ロー
ビング材は治具上の所定の位置に粘着される。つまり、
積層ローラ27は常にロービング材の伸びる方向に対し
てトレーリング方向に保持され、方向補正ローラ30に
より、ピン14の回りを回動する時、ロービング材が積
層ローラ27より外れることが防止される。
【0033】次に、図10及び図11により、本考案の
第2実施例を説明する。
【0034】積層ヘッド40の本体40aは、前記実施
例と同様フランジ41を上端に有するシリンダ42内を
圧縮ばねにより弾発的に上下方向に摺動するプランジャ
44の下端に固定されている。積層ヘッド本体40aに
は図示しないロービング材供給装置により引出されたロ
ービング材を案内するガイドローラ45、ヘッド中心線
に沿って設けられ、上記ガイドローラ45により案内さ
れたロービング材を上端より受入れ、下端より引出すロ
ービング材ガイド筒46、上記ガイド筒46の出口近傍
で積層ヘッド40の前後進方向の両側に各1個づゝの積
層ローラ47、該積層ローラ47を夫々別個に積層ヘッ
ド40に対して昇降させるエアシリンダ48が設けられ
ている。この実施例の装置では、前述の第1実施例と異
り、積層ローラ47はガイド筒46の回りに旋回するこ
とはない。
【0035】図12,13を参照して、第2実施例の装
置の作用を説明する。図12は仮ピン14の回りにロー
ビング材を所定の高さ位置に巻掛け、ピン14よりある
距離だけ離れた位置より遠方ではロービング材は平行に
治具上に粘着させて配向される場合の積層ヘッドの移動
経路上の各位置における姿勢を示す平面図で、図13は
そのA,B,C点における積層ヘッドの積層ローラ47
の状態を示す側面図である。
【0036】積層ヘッド40が図12の矢印で示す方向
にA点にくる迄は、図13のAに示す如く、積層ヘッド
進行方向に関して前側の積層ローラ47は治具の表面か
ら離れ、後側の積層ローラ47はガイド筒46の下端よ
り引出されたロービング材を巻掛けた状態で、エアシリ
ンダ48により治具表面に圧接し転動した状態で移動し
てくる。これにより、積層すべき層状パターンの平面部
分は積層ローラ47によりロービング材が治具に貼り付
けられ形成される。積層ヘッドがA点からB点に移動す
る間に進行方向後側の積層ローラ47もエアシリンダ4
8により治具表面から離間した位置に上昇し、その位置
に保持され、この状態で図12に示す如く、ピン14の
回りを時計方向に半周してUターンし、D点に至る。こ
の間、C点で積層ヘッド40は最初の進行方向後端が反
時計方向に回動されることにより、C点からD点に向っ
て移動する際には、もとの前端を後端にして、図12に
おいて右から左へ移動する。D点からE点に向う間に積
層ヘッドの進行方向後側の積層ローラのみがエアシリン
ダにより治具の表面に圧接される。以上の動作により、
平面部分では積層ローラにより治具にロービング材が貼
付けられ、ピン部では所定の高さ位置でロービング材が
ピンに巻回される。他方のピンの回りについても同様の
動作が行なわれる。その結果、ロービング材は切断され
ることなく、連続的に2本のピンにループ状に掛け渡さ
れて、平面部では所定の線上を治具に貼付けられ、ピン
には治具の面から所定の高さの範囲に亘って巻掛けられ
所要のパターンのロービング層を積層することができ
る。
【0037】上記の各実施例とも、積層ヘッドは基本的
には単純な往復運動により、ロービング材供給装置から
供給されるロービング材を治具の両端部に植設されたピ
ンの上端よりも上方に位置するガイドローラに受入れる
ので、ロービング材供給装置は治具の一側方に固設して
もロービング材がもつれたり機械に巻付いたりすること
はなく、ロービング材を連続的に円滑に供給して任意の
形状に積層することができる。
【0038】図14及び図15は、ロービング材供給装
置の一例を治具と関連づけて示す平面図及び側面図であ
る。ロービング材供給装置50は治具51の一側方に床
52上に固設されている。ロービング材供給装置50の
本体は竪長の箱状をなし、その正面には、この例の場
合、ロービング材を巻いた4本の紙管53が交換可能に
取付けられており、その上部に操作パネル54が設けら
れている。各紙管53から巻出されたロービング材を、
治具51の上方に位置するロボットアーム先端に取付け
られた積層ヘッドの受入れ用ガイドローラ25(図6、
図10参照)の受入れ位置55に案内するため適当な位
置にガイドローラ56が設けられている。積層ヘッドの
ロービング材受入れ位置55は、治具51上に植設さ
れ、ロービング材を巻掛けるピン14の上端より、上方
に位置するので、治具両端のピン14(一方のピンは図
示を省略されている)間を積層ヘッドが移動し、両方の
ピン14にロービング材をループ状に巻き掛け、その中
間部でロービング材を治具の面に貼り付けて積層する
際、ロービング材供給装置の最後のガイドローラ56か
ら出たロービング材はある角度の範囲を繰返し往復変向
するが、ロービング材がもつれたり、積層ヘッド等に巻
付いたりすることはない。又、このロービング材供給装
置は、4本の紙管53を備えているので、一度に多量の
ロービング材を引出して積層することができる。この実
施例では紙管は4本備えられているが、それ以上数を増
すことも可能である。又、各ロービング材は常に一定の
テンションを保つような機構となっている。
【0039】
【効果】以上の如く、本考案によれば、両端にピン部を
有する平面状パターンをピンの回りではロービング材を
ピンに巻掛け、ピンの間ではロービング材を所要の線上
に治具面に粘着させ連続的に積層する動作を自動的に行
なうことができる。又積層ヘッドにロービング材を供給
するロービング材供給装置を積層ヘッドと別に床に固設
することができるので、ロボットアーム等の移動装置先
端には非常にコンパクトで軽量な積層ヘッドのみを装着
するだけでよく、設備が小型になり、動作が軽快にな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案者等が先に提案したロービング材自動積
層装置の側面図である。
【図2】本考案の積層装置により製造するのに適した複
合材製のヒンジの1例の外形を示す斜視図である。
【図3】図2の部品を複数の層に分けた1つの層を形成
するためのロービング材の積層方法を示す図式図であ
る。
【図4】(a),(b),(c),(d),(e)は夫
々上記の各層のピン部の積層方法を順に説明する図であ
る。
【図5】積層治具上にシート状ロービング材を積層する
状態を図式的に示す分解斜視図である。
【図6】本考案の第1実施例の積層ヘッドの側面図であ
る。
【図7】上記積層ヘッドの正面図である。
【図8】上記積層ヘッドによる作用を説明する平面図で
ある。
【図9】図8中のA,B,C点における積層ヘッドの状
態を示す側面図である。
【図10】本考案の第2実施例の積層ヘッドの側面図で
ある。
【図11】図10中に示す矢印11−11の方向に視た
上記積層ヘッドの断面図である。
【図12】上記積層ヘッドによる作用を説明する平面図
である。
【図13】図12中のA,B,C点における積層ヘッド
の状態を示す側面図である。
【図14】本考案のロービング材自動積層装置に用いら
れるロービング材供給装置の一例の平面図である。
【図15】上記ロービング材供給装置の側面図である。
【符号の説明】
3 ロービング材 11 複合材製品 12 ピン孔 14 仮ピン 18 シート状ロービング材 20,40 積層ヘッド 25 ガイドローラ 26,46 ガイド筒 27,47 積層ローラ 28 エアシリンダ(積層ローラ旋回手段) 48 エアシリンダ(積層ローラ昇降手段) 50 ロービング材供給装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B29K 105:08 B29L 9:00 (72)考案者 清水 慎一 岐阜県各務原市川崎町1番地 川崎重工業 株式会社 岐阜工場内 (72)考案者 鈴木 宗 愛知県豊橋市東脇三丁目17番地−7 八洲 熱学株式会社内 (72)考案者 朝倉 吏司 愛知県豊橋市東脇三丁目17番地−7 八洲 熱学株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−62142(JP,A)

Claims (2)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 両端に力を伝達するピン部を有する複合
    材製品を、上記ピン部の軸に直角方向に延びる複数の平
    面状パターンに分解し、該パターンを一層又は数層毎に
    積層し、各層を重ね合せて積層成形する複合材製品の上
    記平面状パターンの各層を、平面状ジグに上記ピン部間
    隔に等しい間隔に2本のピンを植設して成るジグを用い
    て、上記ピンには強化繊維の束にあらかじめ樹脂を含浸
    させて成るロービング材を平面状ジグから所定の高さに
    亘って巻き掛け、ピン間では平面状ジグにロービング材
    を押圧し、ロービング材を連続的に積層するロービング
    材自動積層装置において、上記ロービング材自動積層装
    置はロービング材供給装置と、該ロービング材供給装置
    より引出され一定張力を付与したロービング材をヘッド
    中心線上部より取込み下端より積層用に引出すロービン
    グ材ガイド筒と、該ガイド筒より引出されたロービング
    材を巻掛ける積層ローラとを有する積層ヘッドとを有
    し、上記積層ローラは上記ガイド筒出口近傍で外周縁が
    概ねヘッド中心線に接し、かつその回りに旋回自在に支
    持されるとともに、該積層ローラをヘッド中心線の回り
    に旋回させる手段を積層ヘッドに設けたことを特徴とす
    るロービング材自動積層装置。
  2. 【請求項2】 両端に力を伝達するピン部を有する複合
    材製品を、上記ピン部の軸に直角方向に延びる複数の平
    面状パターンに分解し、該パターンを一層又は数層毎に
    積層し、各層を重ね合せて積層成形する複合材製品の上
    記平面状パターンの各層を、平面状ジグに上記ピン部間
    隔に等しい間隔に2本のピンを植設して成るジグを用い
    て、上記ピンにはロービング材を平面状ジグから所定の
    高さに亘って巻き掛け、ピン間では平面状ジグにロービ
    ング材を押圧し、ロービング材を連続的に積層するロー
    ビング材自動積層装置において、上記ロービング材自動
    積層装置はロービング材供給装置と、該ロービング材供
    給装置より引出され一定張力を付与したロービング材を
    ヘッド中心線上部より取込み下端より積層用に引出すロ
    ービング材ガイド筒と、該ガイド筒より引出されたロー
    ビング材を巻掛ける積層ローラとを有する積層ヘッドと
    を有し、上記積層ローラは上記ガイド筒出口近傍に、積
    層ヘッドの前後進方向の両側に各1個ずつ、夫々平面状
    ジグに転接する位置とジグ面から所定の高さの位置との
    間移動可能に支持され、上記2個の積層ローラを個別に
    昇降させる手段を有することを特徴とするロービング材
    自動積層装置。
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