JPH0769A - 除草剤に抵抗性のイネおよびその育種方法 - Google Patents

除草剤に抵抗性のイネおよびその育種方法

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JPH0769A
JPH0769A JP6085177A JP8517794A JPH0769A JP H0769 A JPH0769 A JP H0769A JP 6085177 A JP6085177 A JP 6085177A JP 8517794 A JP8517794 A JP 8517794A JP H0769 A JPH0769 A JP H0769A
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herbicide
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fatty acid
acid synthesis
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JP6085177A
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Yoshio Shigematsu
由夫 重松
Masami Ogawa
正巳 小川
Noriko Nakada
記子 仲田
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Sankyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 脂肪酸合成阻害作用を示す除草剤に抵抗性の
新規イネを作出し、これを栽培することでイネ科雑草の
選択的な防除を可能とする。 【構成】 脂肪酸合成阻害作用を示す除草剤に抵抗性の
新規イネおよびその種子。イネ培養細胞を利用して前記
除草剤抵抗性のイネを育種する方法。このイネを栽培し
ている圃場に該除草剤を施用し、イネ科雑草を選択的に
除草する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、脂肪酸合成阻害作用を
示す除草剤に抵抗性のイネおよびその種子、その育種方
法、ならびにこのイネを栽培した圃場に該除草剤を施用
してイネ科雑草の選択的な防除を可能にする方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】イネ圃場において、イネと近縁種のEch
inochloa属に属するヒエなどのイネ科雑草を選択的に防
除することが強く要望されているが、そのような除草剤
は開発されておらず、処理薬量,処理時の植物の生育ス
テージ等の感受性の差を利用してイネ科雑草を防除する
ことが行われている。しかしながら、一般的に移植水稲
に対して選択性が大きくても、直播水稲に対して選択性
が小さく、乾田直播の場合には、メヒシバ,エノコログ
サ等のイネ科雑草の防除も困難となる。またレッドライ
スはイネと同種のために殆ど防除が不可能であった。
【0003】他方、除草剤を含む培地に植物細胞を培養
して該除草剤に抵抗性の変異細胞を選抜し、この細胞よ
り除草剤抵抗性の植物個体を再生させる方法が近年開発
されてきており、タバコ,トマト,トウモロコシ等への
応用に成功している。
【0004】一方、イネに関しては、特開昭64−85
024号公報に、ベンスルフロンメチル又はグリホセー
トのような除草剤を含む培地にイネカルスを培養し、該
除草剤に抵抗性のイネを育種する方法が記載されてい
る。
【0005】しかしながら、上記特許公報で対象として
いるベンスルフロンメチルは、もともとイネに対して安
全な除草剤であり、ヒエに対しても効力が弱いという欠
点を有している。また、グリホセートは、茎葉処理で有
効な除草剤であるので、土壌処理用除草剤としては使え
ない、という問題点がある。
【0006】脂肪酸合成阻害作用を示す除草剤は、土壌
処理、茎葉処理のいずれにおいても、イネ科雑草に強い
殺草力を示すことが知られており、幅広い生育ステージ
において有効であることも知られている。しかしなが
ら、イネ科植物全般に対して薬害が著しいために、その
使用が限られているのが現状である。これらの除草剤に
対する抵抗性をトウモロコシに付与する試みは、PCT
国際特許公開WO9216101号に開示されている。
しかし、イネに対して成功した報告は未だない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、脂肪酸合成
阻害作用を有する除草剤に抵抗性を示すイネを提供する
とともに、このイネを栽培した圃場に該除草剤を施用し
てイネ科雑草の選択的な防除を可能とする方法を提供す
ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、脂肪酸合
成阻害作用を示す除草剤を含む培地にイネ細胞を培養
し、該除草剤に抵抗性のイネ培養細胞を選抜し、これを
再分化させて該除草剤に抵抗性のイネおよびその種子を
創製した。
【0009】脂肪酸合成阻害作用を示す除草剤、特にア
セチルCoAカルボキシラーゼ阻害作用を示す除草剤と
しては、フェノキサプロップ、ジクロホップ、クロホッ
プ、トリホップ、フェンチアプロップ、フルアジホッ
プ、ハロキシホップ、キザロホップ、クロラジホップの
ようなアリールオキシフェノキシ脂肪酸類;ベンゾイル
プロップ、フラムプロップのようなN−ベンゾイル−N
−フェニルアミノ酸類;これらの塩、エステル,アミド
などの誘導体;アロキシジム、セトキシジム、クロプロ
キシジム、シクロキシジム、クレソジム、トラルコキシ
ジムのようなシクロヘキサンジオン類が挙げられる。
【0010】イネ培養細胞は、完熟種子、未熟種子、
根、葯又は花粉を殺菌の後、適当な培地で培養すること
によりカルスとして誘導することができる。基本培地と
しては、既知のいずれの培地も使用することができ、特
に、MSやN6の基本培地を用いて良好に生育させるこ
とができる。ビタミン類は基本培地に含まれるものを使
用すればたりる。アミノ酸類の添加は再分化能の維持に
効果があり、1〜50mMのプロリンの添加は特に効果的
である。炭素源としては1〜5%のショ糖を添加し、5
%までのソルビトールやマンニトールを浸透圧調節剤と
して加えてもよい。ホルモンとして2,4−ジクロロフ
ェノキシ酢酸を0.1〜10mg/lの濃度、特に1〜4
mg/lの濃度で含む培地が好都合である。これにナフタ
リン酢酸、インドール酢酸、インドール酪酸のような他
のオーキシンや、カイネチン、ベンジルアデニンのよう
なサイトカイニンを微量加えてもよい。カルスの誘導は
通常固体培地上で行うが、液体培地を使用することも可
能である。また、同じ組成の培地を用いてカルスの維
持、増殖を行うことができる。培養は、明所下または暗
所下のいずれでもよいが、通常暗所下で行う。なお、固
体培地を用いる場合には、0.1〜0.6%のゲルライ
トまたは0.3〜2%の寒天を培地に加える。
【0011】選抜に用いるイネ培養細胞としては、固体
培養したカルス、液体培養した細胞を用いることがで
き、選抜に先立って、紫外線、X線、ガンマ線照射や、
エチルメタンスルホネートなどの化学薬剤で処理して突
然変異を誘導してもよい。
【0012】抵抗性細胞の選抜には、カルス小塊や小片
を除草剤含有培地で培養する方法を用いることができ
る。しかし、この方法は、再分化能を維持することがで
きるものの、カルス小塊や小片の作製に多大な労力を要
するとともに、同一小塊内に異なったタイプの抵抗性細
胞が共存する場合、得られた抵抗性カルスが異なった細
胞の混合物であるキメラになりやすいという問題があ
る。また、液体培地で継代を繰り返す方法でも抵抗性細
胞が得られるが、キメラになりやすい点は同じである。
またこのような方法を使用する場合、感受性細胞が混入
してくることがあるが、これは薬剤の濃度を徐々に上げ
て選抜することで除くことができる。
【0013】培養細胞より公知の方法でプロトプラスト
を調製して、これを使用すれば、同じ細胞で構成された
クローンを得ることも可能であるが、その後の培養,再
分化が難しいので必ずしも得策ではない。比較的容易に
クローンに近い変異株を得る方法は、増殖した細胞より
細かい細胞集塊を選別または細断化し、これを薬剤を含
む固体培地の上に広げて培養する方法である。具体的に
は、固体培地または液体培地で培養したカルスを、目開
き0.1〜2mm、好ましくは0.5mm程度の篩に通し、
数十の細胞よりなる小集塊を得る。これをシャーレの固
体培地の上に、新鮮重で0.01〜2g、好ましくは
0.05〜0.5gづつ、細胞数で106〜107 個ず
つをまき、1〜3ヶ月培養する。この方法では抵抗性の
安定した変異株が多数得られる。
【0014】薬剤濃度は、無選抜株のイネの生育を阻害
する濃度から決定する。脂肪酸合成阻害作用を示す除草
剤は、一般にイネ培養細胞に対して0.05〜1mg/l
で生育抑制を示し、1mg/l以上では完全に生育を止め
るので、薬剤濃度を一点で選抜する場合はもとより、濃
度を徐々に上げて選抜する場合でも、最終的には1mg/
l以上の薬剤を添加し、抵抗性細胞株を得る。
【0015】得た脂肪酸合成阻害作用を示す除草剤に抵
抗性のカルスおよび細胞株は速やかに再分化させてイネ
植物体にもどす。分化培地としては、カルス培養培地と
基本的に同じであるが、オーキシン類を含まない培地、
あるいは0.1mg/l以下の2,4−ジクロロフェノキ
シ酢酸または1mg/l以下のナフタリン酢酸を含む固体
培地を使用し、これに選抜細胞を移植し、10日〜2ヶ
月間明所下で培養して、植物体を分化させる。このと
き、1〜10mg/lのサイトカイニン類を添加すること
はさらに効果的である。分化したイネ個体は草丈が5〜
20cmになり、根が十分伸長するまで新鮮な別の培地で
生育させる。これを土壌を入れたポットに移植し、湿度
を徐々に低下させて順化させてから、屋外あるいは温室
で栽培する。
【0016】このようにして得たイネは、すべて脂肪酸
合成阻害作用を示す除草剤に抵抗性となる。しかし、こ
の個体から得た稔実種子より発芽した次世代個体は、通
常抵抗性個体と感受性個体が3:1の比率で分離するの
で、再度抵抗性個体を選抜する必要がある。そのため、
上記で得たイネ種子を、上記選抜に使用したと同じ除草
剤を含む培地または培土に播種し、1週間ほど栽培する
と、抵抗性のイネ個体は通常の生育を示すが、感受性の
個体は全く生育しないので、抵抗性のイネ個体を容易に
選抜することができる。あるいは、該種子の発芽後1〜
3週間後にイネ体に該除草剤を施用し、感受性のイネ個
体を枯死させる方法でも抵抗性のイネ体を容易に選抜す
ることができる。選抜した抵抗性イネ個体から再度種子
を採取し、同じ検定を行うことで、次世代が抵抗性個体
と感受性個体に分離せず、抵抗性個体のみとなり、抵抗
性形質がホモに固定されたイネおよびその種子を得るこ
とができる。なお、カルス誘導の材料として花粉や葯を
用いた場合は、抵抗性個体から感受性個体の分離が起こ
らないので、抵抗性形質を固定する方法は行う必要がな
い。
【0017】さらに、固定されたイネの抵抗性形質は、
交配後、戻し交配をする当業者に既知の方法で他品種の
イネに導入することができる。また、上記抵抗性形質は
優性遺伝するので、抵抗性形質が固定されたイネ種子を
栽培し、これに他品種のイネを交配させて薬剤抵抗性の
F1イネ種子を得ることもできる。
【0018】抵抗性形質が固定されたイネ種子は、直播
や移植を行う通常の方法により栽培することができ、こ
のイネを栽培した圃場に前記除草剤を施用することによ
り、イネに薬害をおこすことなくイネ科雑草を選択的に
防除することができる。処理時期は出芽前から出穂期ま
での幅広い期間で可能で、播種または移植前の土壌混
和、あるいは出芽後または移植後の土壌処理、茎葉処理
の方法で、目的に応じて製剤化された薬剤を投与するこ
とができる。また、所望ならばベンスルフロンメチルや
ベンタゾンなどの薬剤との混合により、広葉やカヤツリ
グサ科に属する雑草の同時防除も可能である。
【0019】なお、本発明の脂肪酸合成阻害作用を示す
除草剤に抵抗性のイネおよびその種子は、三共株式会社
農業科学研究所(所在地−滋賀県野洲郡野洲町野洲10
41)において育種・保存・管理されており、試験又は
研究のために実施しようとする者は、分譲を受けること
ができる。
【0020】
【作用】本発明により創製されたイネは、脂肪酸合成阻
害作用を示す除草剤に抵抗性であるので、この除草剤の
処理によってイネは薬害を受けることがなく、イネ科雑
草を選択的に防除することができる。
【0021】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて説明する
が、本発明はこれに限定されるものではない。
【0022】
【実施例1】 フェノキサプロップエチル抵抗性のイネ(日本晴)の作
出 (1)カルスの誘導、培養 イネ(日本晴)完熟種子より籾殻を除いた玄米を、70
%エタノールに1分間、続いて2%次亜塩素酸水溶液に
15分間浸して殺菌し、これを無菌水で数回洗浄してか
ら、胚を上側にしてのカルス誘導固体培地30ml上に置
床した。カルス誘導培地はN6培地を基本とし、12mM
のプロリン、100mg/lのカザミノ酸、2mg/lの
2,4−ジクロロフェノキシ酢酸、3%のショ糖、0.
25%のゲルライトを添加し、pH5.7に調製したもの
を使用した。これを25℃の暗条件で培養し、2週間後
に胚盤部分に形成されたカルスを同組成の培地に移植し
た。3週間後のカルスが増殖した時点で、ゲルライトを
除いた同組成のの液体培地50mlにカルスを移植し、振
とう培養した。以後、7〜10日毎に継代培養を行い、
カルスを増殖、維持した。
【0023】(2)抵抗性細胞株の選抜 液体培養で増殖させたカルスを、スプーンでつぶしなが
ら目開き0.5mmの篩に通し、小集塊になった細胞を得
た。この細胞を無菌水100ml当り12.5g新鮮重の
濃度で懸濁した。2mg/lの濃度にフェノキサプロップ
エチル〔化学名:エチル(±)−2−[4−[(6−ク
ロロ−2−ベンゾキサゾリル)オキシ]フェノキシ]プ
ロパネート〕を添加した上記カルス培養固体培地30ml
を入れた直径9cmのシャーレに、前記培養細胞懸濁液
1.6mlずつをまき、暗所下で培養した。
【0024】イネ培養細胞は、フェノキサプロップエチ
ル濃度が0.1mg/lの培地で、約85%の生育阻害を
受け、0.3mg/lの培地では殆ど生育できなかった
が、2mg/lの培地で1〜3ヶ月培養することで、80
g新鮮重の細胞から21の抵抗性細胞株が得られた。こ
れを同組成の固体培地に移植し、増殖させた。
【0025】(3)選抜細胞株の抵抗性検定 選抜株および無選抜株について、フェノキサプロップエ
チル、フルアジホップブチル〔化学名:ブチル(±)−
2−[4−[(5−トリフルオロメチル−2−ピリジニ
ル)オキシ]フェノキシ]プロパネート〕、セトキシジ
ム〔化学名:(±)−2−[1−(エトキシイミノ)ブ
チル]−5−[2−(エチルチオ)プロピル]−3−ヒ
ドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オン〕を下記濃度
で含むカルス培養固体培地に、1〜2mmのカルス小片を
3個ずつ植付け、1ヶ月間培養した後にカルス重量を測
定した。
【0026】フェノキサプロップエチル 0.5、1、
2、5、10、20、50mg/l フルアジホップブチル 1、5、25mg/l セトキシジム 2、10、50mg/l その結果、選抜株はいずれも50mg/lフェノキサプロ
ップエチル添加培地上で、薬剤無添加の培地上と同じよ
うに生育した。一方、無選抜株は0.5mg/l添加の培
地でも生育できなかった。他の2種の除草剤添加培地で
の生育は図1に示す。フルアジホップブチル添加培地に
おいても多くの株が良好に生育し、抵抗性であった。セ
トキシジム添加培地では生育は劣ったものの、抵抗性が
認められるものがあった。
【0027】(4)抵抗性細胞株からの植物体再分化 選抜株の中から、上記検定でフェノキサプロップエチル
とフルアジホップブチルに強い抵抗性があり、セトキシ
ジムにも抵抗性の認められたNo.17を選抜し、これ
を分化培地に移植して、27℃、3000lux の明所下
で培養した。分化培地はN6培地を基本とし、0.2%
カザミノ酸、2%ショ糖、3%ソルビトール、1μM ナ
フタリン酢酸および10μM カイネチンを添加した固体
培地を用いた。その結果、10日目位から細胞の緑化が
始まり、以後茎葉の分化、発根が起こった。草丈が2cm
程度になったところで、新鮮な分化培地に移植し、さら
に培養することで、草丈約15cmの健全なイネ苗が得ら
れた。
【0028】再分化苗は、一辺6cmのプラスチック容器
につめた滅菌培土に移植した。2週間にわたって湿度を
徐々に下げながら栽培した後、1/5000アールのワ
グネルポットに移植して常法で栽培し、多数の稔実種子
を得た。
【0029】(5)次世代の抵抗性検定 上記のようにして得た種子を催芽させ、前記の除草剤を
含む0.5%寒天培地30ml当り10粒ずつを播種し
た。これを27℃、3000lux の明所で1週間栽培し
た。結果を表1に示す。次世代種子より発芽した植物体
の約3/4はフェノキサプロップエチル存在下で正常な
生育を示した。また、前記の2種の除草剤以外に、一般
名キザロホップエチル〔化学名:エチル(±)−2−
[4−[(6−クロロ−2−キノキサリニル)オキシ]
フェノキシ]プロパネート〕を加えて抵抗性を検定した
ところ、このイネの大半は、他の薬剤の存在下でも生育
でき、幅広い脂肪酸合成阻害作用を示す除草剤に抵抗性
であることを示した。一方、比較のために用いた無選抜
のイネ(日本晴)は、検定した濃度では全く生育しなか
った。
【0030】
【表1】
【0031】さらに、除草剤を含まない培土で栽培した
2.5葉期のこのイネの茎葉に同じ除草剤を散布し、茎
葉散布時の抵抗性を検定した。その結果、次世代イネの
約3/4は500mg/lのフェノキサプロップエチル散
布でも何ら薬害は認められなかったが、比較の無選択の
イネは20mg/lの散布で著しい生育抑制を、50mg/
lの散布で枯死した。また、タイヌビエも同濃度で枯死
した。
【0032】(6)抵抗性の固定 上記検定法で前記の除草剤に抵抗性を示した次世代イネ
を栽培し、種子を得た。この種子を上記検定法で再度試
験したところ、栽培した次世代個体の約1/3の個体か
ら得た種子はすべて抵抗性を示し、抵抗性形質が固定さ
れたことが確かめられた。
【0033】
【実施例2】 フェノキサプロップエチル抵抗性イネ(コシヒカリ)の
作出 (1)カルスの誘導、培養 実施例1と同様にしてカルスを誘導し、固体培地にてこ
れを3週間毎に継代培養した。ただし、培地は実施例1
のもののショ糖濃度を1%に下げ、3%のソルビトール
を添加したものを使用した。
【0034】(2)抵抗性細胞株の選抜 実施例1と同じようにして選抜を行い、89g新鮮重の
培養細胞から2mg/lのフェノキサプロップエチル添加
培地で生育できる172の細胞株を選抜した。
【0035】(3)抵抗性細胞株からの植物体再分化 選抜株を実施例1と同じ分化培地に移植し、植物体を再
生させた。再生植物体を常法どおり栽培し、前記の除草
剤に抵抗性のイネ(コシヒカリ)種子を得た。
【0036】
【実施例3】 イネ科雑草の選択的防除効果 実施例1で作出した抵抗性形質が固定されたイネ(日本
晴)種子とイネ科雑草種子を同一容器に播種した後、フ
ェノキサプロップエチルを1kg/ha の量で土壌処理、あ
るいは草丈が5cm程度になった所で、500mg/lのフ
ェノキサプロップエチル溶液を0.5kg/ha になるよう
に茎葉散布し、その後の生育を調査した。その結果、表
2に示すように、いずれの処理でも雑草を効果的に防除
できた。
【0037】
【表2】
【0038】殺草効果は、正常生育( 0) 〜完全枯死(
5) の6段階で評価した。
【0039】
【発明の効果】本発明によるイネを栽培することで、従
来防除が難しかったタイヌビエを初めとする圃場のイネ
科雑草を効果的に防除することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】フルアジホップブチルまたはセトキシジムを添
加した培地での、イネ(日本晴)選抜カルスの生育を示
す。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脂肪酸合成阻害作用を示す除草剤に抵抗
    性のイネおよびその種子。
  2. 【請求項2】 脂肪酸合成阻害作用が、アセチルCoA
    カルボキシラーゼ阻害作用である請求項1記載のイネお
    よびその種子。
  3. 【請求項3】 除草剤が、アリールオキシフェノキシ脂
    肪酸類、N−ベンゾイル−N−フェニルアミノ酸類、あ
    るいはそれらの塩、エステルまたはアミド、並びにシク
    ロヘキサンジオン類から選ばれる除草剤である請求項1
    記載のイネおよびその種子。
  4. 【請求項4】 脂肪酸合成阻害作用を示す除草剤を含む
    培地にイネ細胞を培養し、該除草剤に抵抗性のイネ培養
    細胞を選抜し、これを再分化させることを特徴とする該
    除草剤に抵抗性のイネおよびその種子の育種方法。
  5. 【請求項5】 請求項4記載のイネ種子を栽培し、これ
    に他品種のイネを交配させる脂肪酸合成阻害作用を示す
    除草剤に抵抗性のイネ種子の育種方法。
  6. 【請求項6】 請求項1記載のイネを栽培した圃場に、
    脂肪酸合成阻害作用を示す除草剤を施用し、イネ科雑草
    を防除する方法。
JP6085177A 1993-04-23 1994-04-25 除草剤に抵抗性のイネおよびその育種方法 Pending JPH0769A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US20120302441A1 (en) * 2003-03-13 2012-11-29 Basf Aktiengesellschaft Herbicidal mixtures
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