JPH0769715A - 高靱性酸化物セラミックスおよびその製造方法 - Google Patents
高靱性酸化物セラミックスおよびその製造方法Info
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- JPH0769715A JPH0769715A JP5215864A JP21586493A JPH0769715A JP H0769715 A JPH0769715 A JP H0769715A JP 5215864 A JP5215864 A JP 5215864A JP 21586493 A JP21586493 A JP 21586493A JP H0769715 A JPH0769715 A JP H0769715A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 Ln4Al2O9の強弾性相転移を利用することで、
緻密で強度の大きい、室温でもまた高温においても靱性
の大きい酸化物形セラミックスを得ること。 【構成】 Al2O3 , 3Al2O3・2 SiO2, ZrSiO2, ZrO2 お
よび希土類酸化物のうちから選ばれるいずれか1種また
は2種以上の粉体10〜97wt%と、Ln4Al2O9の粉体90〜3
wt%を混合してなるもの。このセラミックスは、酸化性
雰囲気もしくは真空中において、1200〜1900℃の温度で
0.1〜2000分間焼成することによって得られる。
緻密で強度の大きい、室温でもまた高温においても靱性
の大きい酸化物形セラミックスを得ること。 【構成】 Al2O3 , 3Al2O3・2 SiO2, ZrSiO2, ZrO2 お
よび希土類酸化物のうちから選ばれるいずれか1種また
は2種以上の粉体10〜97wt%と、Ln4Al2O9の粉体90〜3
wt%を混合してなるもの。このセラミックスは、酸化性
雰囲気もしくは真空中において、1200〜1900℃の温度で
0.1〜2000分間焼成することによって得られる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高靱性酸化物セラミッ
クスとその製造方法に関し、とくに酸化物セラミックス
の低靱性という課題を解消し、材料としての信頼性の向
上を図らんとするものである。
クスとその製造方法に関し、とくに酸化物セラミックス
の低靱性という課題を解消し、材料としての信頼性の向
上を図らんとするものである。
【0002】
【従来の技術】酸化物系セラミックスであるAl2O3 , 3A
l2O3・2SiO2, ZrSiO4, ZrO2および希土類酸化物は、10
00℃以上の高温域でも高い強度を有することから、産業
上有用な材料の1つである。しかし、これらのセラミッ
クスは、上述したように脆く靱性が低いばかりでなく、
強度も小さいので、大きな力のかかる部位に使用するの
は不適当である。そこで、もし、これらの酸化物セラミ
ックスの靱性を、現在の2倍以上に大きくすることがで
きたら、その用途は飛躍的に拡大されることは確実であ
る。
l2O3・2SiO2, ZrSiO4, ZrO2および希土類酸化物は、10
00℃以上の高温域でも高い強度を有することから、産業
上有用な材料の1つである。しかし、これらのセラミッ
クスは、上述したように脆く靱性が低いばかりでなく、
強度も小さいので、大きな力のかかる部位に使用するの
は不適当である。そこで、もし、これらの酸化物セラミ
ックスの靱性を、現在の2倍以上に大きくすることがで
きたら、その用途は飛躍的に拡大されることは確実であ
る。
【0003】現在、酸化物セラミックスの靱性向上技術
としては、マルテンサイト変態するジルコニア高温相(
正方晶ZrO2) を混合して焼結し、この正方晶が応力によ
り単斜晶に変態する応力誘起変態機構によって強靱化す
る方法が知られている( Nature, 258 巻, 703〜704
頁, 1975年参照) 。しかし、正方晶ZrO2は 700℃以上で
は安定化するため、それ以上の温度では応力誘起変態が
発生せず、そのために靱性改善の効果は期待できない。
また、この正方晶ZrO2は 200〜300 ℃で水と反応して単
斜晶ZrO2になり、表面から劣化して破壊するという問題
があった。さらには、正方晶ZrO2とAl2O3 , 3Al2O3・2
SiO2および希土類酸化物はいずれも焼結しにくいという
他の問題点も抱えていた。
としては、マルテンサイト変態するジルコニア高温相(
正方晶ZrO2) を混合して焼結し、この正方晶が応力によ
り単斜晶に変態する応力誘起変態機構によって強靱化す
る方法が知られている( Nature, 258 巻, 703〜704
頁, 1975年参照) 。しかし、正方晶ZrO2は 700℃以上で
は安定化するため、それ以上の温度では応力誘起変態が
発生せず、そのために靱性改善の効果は期待できない。
また、この正方晶ZrO2は 200〜300 ℃で水と反応して単
斜晶ZrO2になり、表面から劣化して破壊するという問題
があった。さらには、正方晶ZrO2とAl2O3 , 3Al2O3・2
SiO2および希土類酸化物はいずれも焼結しにくいという
他の問題点も抱えていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一般に、セラミックス
材料は金属にない特性;例えば、耐食性, 耐熱性に優
れ、かつ室温で強度が大きく、高温での強度低下も小さ
いので有用な材料である。しかしながら、上述したよう
に、金属に比べると靱性がきわめて小さいのが最大の欠
点である。このことから、セラミックスは一般に、金属
が使えないような高温あるいは腐食性環境下で使うのが
有利である。しかしながら、酸化物の中でも靱性の大き
い材料については、焼結が十分でないため強度が小さ
い。さらに、低温では水と反応して材料の劣化を招く
他、高温での靱性も低下する。このような理由で、正方
晶ZrO2以外の物質を用いて酸化物セラミックスであるAl
2O3, 3 Al2O3・2SiO2, ZrSiO4, ZrO2および希土類酸化
物等を強靱化できる技術の開発が強く求められてきたの
である。
材料は金属にない特性;例えば、耐食性, 耐熱性に優
れ、かつ室温で強度が大きく、高温での強度低下も小さ
いので有用な材料である。しかしながら、上述したよう
に、金属に比べると靱性がきわめて小さいのが最大の欠
点である。このことから、セラミックスは一般に、金属
が使えないような高温あるいは腐食性環境下で使うのが
有利である。しかしながら、酸化物の中でも靱性の大き
い材料については、焼結が十分でないため強度が小さ
い。さらに、低温では水と反応して材料の劣化を招く
他、高温での靱性も低下する。このような理由で、正方
晶ZrO2以外の物質を用いて酸化物セラミックスであるAl
2O3, 3 Al2O3・2SiO2, ZrSiO4, ZrO2および希土類酸化
物等を強靱化できる技術の開発が強く求められてきたの
である。
【0005】本発明の目的は、従来技術が抱えている上
述した問題点を克服する技術の確立を目指すところにあ
り、高温でも靱性や強度が低下することのない高靱性の
酸化物セラミックスとその製造方法を提供することであ
る。
述した問題点を克服する技術の確立を目指すところにあ
り、高温でも靱性や強度が低下することのない高靱性の
酸化物セラミックスとその製造方法を提供することであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上掲の目的を達成するた
め鋭意研究した結果、発明者らは、強弾性相転移するLn
4Al2O9 (ただし、Lnは Y, Sm, Eu, Gd, Tb, Dy, Ho, E
r, YbおよびLuのうちから選ばれたいずれか少なくとも
1種以上)の粉体を、酸化物セラミックス粉と混合し、
この混合粉を焼成して得られた焼結体の場合に、上記の
要請に応えることができることを知見して本発明に想到
した。
め鋭意研究した結果、発明者らは、強弾性相転移するLn
4Al2O9 (ただし、Lnは Y, Sm, Eu, Gd, Tb, Dy, Ho, E
r, YbおよびLuのうちから選ばれたいずれか少なくとも
1種以上)の粉体を、酸化物セラミックス粉と混合し、
この混合粉を焼成して得られた焼結体の場合に、上記の
要請に応えることができることを知見して本発明に想到
した。
【0007】すなわち、本発明は、Al2O3 , 3Al2O3・2
SiO2, ZrSiO4, ZrO2, 希土類酸化物のうちから選ばれた
1種または2種以上の粉体10〜97wt%と、Ln4Al2O9 (た
だし、Lnは Y, Sm, Eu, Gd, Tb, Dy, Ho, Er, Ybおよび
Luのうちから選ばれた1種または2種以上)の粉体90〜
3wt% (好適には80〜20wt%) とを混合し、その混合粉
体を成型したのち、真空もしくは酸化性雰囲気中で1200
〜1900℃の温度に加熱して 0.1〜2000分間保持して焼成
することを特徴とする高靱性セラミックスの製造方法で
ある。そして、本発明は、上述した製造方法によって合
成された、Al2O3 , 3Al2O3・2SiO2, ZrSiO4, ZrO2お
よび希土類酸化物のうちから選ばれた1種または2種以
上を10〜97wt%と、Ln4Al2O9 (ただし、Lnは Y, Sm, E
u, Gd, Tb, Dy, Ho, Er, YbおよびLuのうちから選ばれ
た1種または2種以上)を90〜3wt% (好適には80〜20
wt%) 、からなる高靱性酸化物セラミックスである。
SiO2, ZrSiO4, ZrO2, 希土類酸化物のうちから選ばれた
1種または2種以上の粉体10〜97wt%と、Ln4Al2O9 (た
だし、Lnは Y, Sm, Eu, Gd, Tb, Dy, Ho, Er, Ybおよび
Luのうちから選ばれた1種または2種以上)の粉体90〜
3wt% (好適には80〜20wt%) とを混合し、その混合粉
体を成型したのち、真空もしくは酸化性雰囲気中で1200
〜1900℃の温度に加熱して 0.1〜2000分間保持して焼成
することを特徴とする高靱性セラミックスの製造方法で
ある。そして、本発明は、上述した製造方法によって合
成された、Al2O3 , 3Al2O3・2SiO2, ZrSiO4, ZrO2お
よび希土類酸化物のうちから選ばれた1種または2種以
上を10〜97wt%と、Ln4Al2O9 (ただし、Lnは Y, Sm, E
u, Gd, Tb, Dy, Ho, Er, YbおよびLuのうちから選ばれ
た1種または2種以上)を90〜3wt% (好適には80〜20
wt%) 、からなる高靱性酸化物セラミックスである。
【0008】
【作用】この発明において用いる上記Ln4Al2O9は、1000
℃以上で強弾性相転移し、そこで急激な体積変化を示す
強弾性化合物である。この化合物の相転移の温度は、こ
の化合物中に含有される希土類酸化物によって異なる
が、例えばY4Al2O9 の場合は約1400℃, Gd4Al2O9の場合
は約1150℃で相変態し、この相変態温度以下において複
数のドメインを生成する。一方、生成したそのドメイン
は、応力によって遷移する作用を持っているため、応力
のエネルギーを吸収することができる特徴がある。従っ
て、該強弾性化合物を含む焼結体は、この焼結体中のク
ラック進展エネルギーがこのドメイン遷移によって吸収
され、その進展を阻止する作用が強くなり、その結果と
して焼結体の靱性が大きくなるのである。
℃以上で強弾性相転移し、そこで急激な体積変化を示す
強弾性化合物である。この化合物の相転移の温度は、こ
の化合物中に含有される希土類酸化物によって異なる
が、例えばY4Al2O9 の場合は約1400℃, Gd4Al2O9の場合
は約1150℃で相変態し、この相変態温度以下において複
数のドメインを生成する。一方、生成したそのドメイン
は、応力によって遷移する作用を持っているため、応力
のエネルギーを吸収することができる特徴がある。従っ
て、該強弾性化合物を含む焼結体は、この焼結体中のク
ラック進展エネルギーがこのドメイン遷移によって吸収
され、その進展を阻止する作用が強くなり、その結果と
して焼結体の靱性が大きくなるのである。
【0009】このような強弾性化合物を使ったセラミッ
クス材料の靱性は、強弾性相転移温度以下で大きくなる
ので、例えばY4Al2O9 を用いたものでは1400℃以下の温
度範囲で靱性が大きくなる。それ故に、室温から高温ま
で破壊されにくくなり、信頼性の大きい材料として使う
ことが可能である。
クス材料の靱性は、強弾性相転移温度以下で大きくなる
ので、例えばY4Al2O9 を用いたものでは1400℃以下の温
度範囲で靱性が大きくなる。それ故に、室温から高温ま
で破壊されにくくなり、信頼性の大きい材料として使う
ことが可能である。
【0010】本発明者らの実験によると、酸化物系セラ
ミックス: Al2O3, 3Al2O3 ・2SiO2, ZrSiO4, ZrO2お
よび希土類酸化物に、Ln4Al2O9を複合添加して焼結体を
合成したところ、得られた焼結体の靱性は約2倍以上も
向上することを確かめた。そして、この酸化物性セラミ
ックスの靱性向上は、Ln4Al2O9の強弾性相転移作用によ
るものであることを解明した。
ミックス: Al2O3, 3Al2O3 ・2SiO2, ZrSiO4, ZrO2お
よび希土類酸化物に、Ln4Al2O9を複合添加して焼結体を
合成したところ、得られた焼結体の靱性は約2倍以上も
向上することを確かめた。そして、この酸化物性セラミ
ックスの靱性向上は、Ln4Al2O9の強弾性相転移作用によ
るものであることを解明した。
【0011】本発明にかかる高靱性酸化物系セラミック
スは、アルミナ(Al2O3), ムライト( 3Al2O3・2SiO2),
ジルコン(ZrSiO4), ジルコニア(ZrO2), 希土類酸化物
( Sc2O3, Y2O3, La2O3, CeO2, Pr2O3, Nd2O3, Sm2O3,
Eu2O3, Gd2O3, Tb4O7, Dy2O3, Ho2O3, Er2O3, Tm2O
3, Yb2O3, Lu2O3)のうちから選ばれたいずれか1種ま
たは2種以上を10〜97wt%( 好適には20〜80wt%) と、
Ln4Al2O9 (ただし、Lnは Y, Sm, Eu, Gd, Tb, Dy, Ho,
Er, YbおよびLuのうちから選ばれた1種または2種以
上) を90〜3wt%( 好適には80〜20wt%)を配合してな
るものである。
スは、アルミナ(Al2O3), ムライト( 3Al2O3・2SiO2),
ジルコン(ZrSiO4), ジルコニア(ZrO2), 希土類酸化物
( Sc2O3, Y2O3, La2O3, CeO2, Pr2O3, Nd2O3, Sm2O3,
Eu2O3, Gd2O3, Tb4O7, Dy2O3, Ho2O3, Er2O3, Tm2O
3, Yb2O3, Lu2O3)のうちから選ばれたいずれか1種ま
たは2種以上を10〜97wt%( 好適には20〜80wt%) と、
Ln4Al2O9 (ただし、Lnは Y, Sm, Eu, Gd, Tb, Dy, Ho,
Er, YbおよびLuのうちから選ばれた1種または2種以
上) を90〜3wt%( 好適には80〜20wt%)を配合してな
るものである。
【0012】本発明において、上記酸化物系セラミック
スを10wt%以上含有させる理由は、10wt%未満では酸化
物としての特性が失われるからであり、一方、97wt%以
下に限定する理由は、これを超えて多量に含有させると
靱性の低下を招くためである。なお、十分な靱性の大き
い材料とするためには、20〜80wt%の範囲とするのがよ
い。
スを10wt%以上含有させる理由は、10wt%未満では酸化
物としての特性が失われるからであり、一方、97wt%以
下に限定する理由は、これを超えて多量に含有させると
靱性の低下を招くためである。なお、十分な靱性の大き
い材料とするためには、20〜80wt%の範囲とするのがよ
い。
【0013】次に、上記Ln4Al2O9として10種類の希土類
元素( Ln:Y, Sm, Eu, Gd, Tb, Dy,Ho, Er, Yb およびL
u)に限定する理由は、これ以外の希土類元素では安定
なLn 4Al2O9を作らないためである。そして、このLn4Al2
O9の含有量を3wt%以下に限定する理由は、3wt%未満
では靱性を大きくするのにほとんど効果がなく、一方90
wt%を超えて含有させると、Al2O3 等の酸化物セラミッ
クスとしての特性が減殺されてしまうからである。ま
た、20〜80wt%の範囲とすると、信頼し使える靱性の大
きい材料が得られる。
元素( Ln:Y, Sm, Eu, Gd, Tb, Dy,Ho, Er, Yb およびL
u)に限定する理由は、これ以外の希土類元素では安定
なLn 4Al2O9を作らないためである。そして、このLn4Al2
O9の含有量を3wt%以下に限定する理由は、3wt%未満
では靱性を大きくするのにほとんど効果がなく、一方90
wt%を超えて含有させると、Al2O3 等の酸化物セラミッ
クスとしての特性が減殺されてしまうからである。ま
た、20〜80wt%の範囲とすると、信頼し使える靱性の大
きい材料が得られる。
【0014】次に、本発明の製造方法について説明す
る。本発明の製造方法は、 まず、上述のような原料粉の配合割合で、酸化物系
セラミックスのAl2O3 ,3Al2O3 ・2SiO2, ZrSiO4, ZrO
2, 希土類酸化物( REM ) のうちから選ばれたいずれか
1種または2種以上の粉体と、Ln4Al2O9のうちから選ば
れたいずれか1種または2種以上の粉体とを混合し、成
形する。なお、この工程において、その後に無加圧焼結
を行う場合には、成形が必要となるが、ホットプレス焼
結法、HIP焼結法、放電プラズマ焼結法ではこの成形
工程は不要である。
る。本発明の製造方法は、 まず、上述のような原料粉の配合割合で、酸化物系
セラミックスのAl2O3 ,3Al2O3 ・2SiO2, ZrSiO4, ZrO
2, 希土類酸化物( REM ) のうちから選ばれたいずれか
1種または2種以上の粉体と、Ln4Al2O9のうちから選ば
れたいずれか1種または2種以上の粉体とを混合し、成
形する。なお、この工程において、その後に無加圧焼結
を行う場合には、成形が必要となるが、ホットプレス焼
結法、HIP焼結法、放電プラズマ焼結法ではこの成形
工程は不要である。
【0015】 次に、上記混合粉体もしくはその成形
体を焼成する。この焼成は、1200〜1900℃の温度領域に
加熱し、その温度に 0.1〜2000分間保持して行う。焼成
のための加熱温度が1200℃未満では、焼結が十分に進行
しないし、1900℃を超える高温ではLn4Al2O9が溶融する
ため、1200〜1900℃の範囲が適当である。より好適に
は、1300〜1800℃の範囲が望ましい。また、焼成する時
間を0.1 〜2000分の範囲に限定したのは、本発明の高靱
性酸化物セラミックスは焼結が容易であるが、0.1 分未
満では温度を1900℃と高くしても焼結は充分に進行しな
いからである。一方、焼成温度を低くして焼成する場合
には、焼結時間を長くしなければならないが、2000分以
上で焼結するのは経済的にコストが高くなる。
体を焼成する。この焼成は、1200〜1900℃の温度領域に
加熱し、その温度に 0.1〜2000分間保持して行う。焼成
のための加熱温度が1200℃未満では、焼結が十分に進行
しないし、1900℃を超える高温ではLn4Al2O9が溶融する
ため、1200〜1900℃の範囲が適当である。より好適に
は、1300〜1800℃の範囲が望ましい。また、焼成する時
間を0.1 〜2000分の範囲に限定したのは、本発明の高靱
性酸化物セラミックスは焼結が容易であるが、0.1 分未
満では温度を1900℃と高くしても焼結は充分に進行しな
いからである。一方、焼成温度を低くして焼成する場合
には、焼結時間を長くしなければならないが、2000分以
上で焼結するのは経済的にコストが高くなる。
【0016】なお、この焼成条件は、焼結方法によって
異なり、プラズマ焼結法、マイクロウェーブ焼結法で
は、急速に昇温され、かつ短時間で焼結は完了するが、
無加圧焼結では長い時間を要する。また、焼結する雰囲
気は、酸化性雰囲気が好ましいが、それは必須条件では
なく、非酸化性雰囲気中でも焼結は充分に進行し、高靱
性の酸化物セラミックスが得られる。
異なり、プラズマ焼結法、マイクロウェーブ焼結法で
は、急速に昇温され、かつ短時間で焼結は完了するが、
無加圧焼結では長い時間を要する。また、焼結する雰囲
気は、酸化性雰囲気が好ましいが、それは必須条件では
なく、非酸化性雰囲気中でも焼結は充分に進行し、高靱
性の酸化物セラミックスが得られる。
【0017】
実施例1 3Al2O3・2SiO2粉24gと、Y4Al2O9 粉6gとを、溶媒に
アルコールを使い、ボールミルで24時間混合した。アル
コールを除去した後成形して生成形体を得た。この生成
形体を20℃/min の速度で空気中で1600℃まで昇温し、
1600℃に120 分間保持してムライト系セラミック焼結体
を得た。得られたムライト系セラミック焼結体の強度は
700 MPaである。常温での破壊靱性値は8 MPam1/2であ
り、従来品の2.5 倍と大きくなっている。また、1000℃
での破壊靱性値は 7 MPa・m1/2であった。
アルコールを使い、ボールミルで24時間混合した。アル
コールを除去した後成形して生成形体を得た。この生成
形体を20℃/min の速度で空気中で1600℃まで昇温し、
1600℃に120 分間保持してムライト系セラミック焼結体
を得た。得られたムライト系セラミック焼結体の強度は
700 MPaである。常温での破壊靱性値は8 MPam1/2であ
り、従来品の2.5 倍と大きくなっている。また、1000℃
での破壊靱性値は 7 MPa・m1/2であった。
【0018】実施例2 Al2O3 粉30gと、GdAl2O9 粉10gとを、アルコールを溶
媒に用いボールミルで24時間混合した。アルコールを蒸
発させた後、成形して生成形体を得た。この成形体を空
気中で、30℃/min の昇温速度で1700℃まで温度を上
げ、この温度に120 分間保持してアルミナ系セラミック
焼結体を得た。得られたアルミナ系セラミック焼結体の
強度は 800 MPaである。また、室温での破壊靱性値は9
MPa・m1/2であり、1000℃においては 6 MPa・m1/2であ
った。
媒に用いボールミルで24時間混合した。アルコールを蒸
発させた後、成形して生成形体を得た。この成形体を空
気中で、30℃/min の昇温速度で1700℃まで温度を上
げ、この温度に120 分間保持してアルミナ系セラミック
焼結体を得た。得られたアルミナ系セラミック焼結体の
強度は 800 MPaである。また、室温での破壊靱性値は9
MPa・m1/2であり、1000℃においては 6 MPa・m1/2であ
った。
【0019】実施例3 Y2O3 45 g と、Y4Al2O9 粉5gとを、アルコールを溶媒
にしてボールミルを用いて24時間混合した。アルコール
を蒸発させてから、50mmφの金型につめ、放電プラズマ
焼結機を使い、真空中で3MPa の荷重をかけながら、14
00℃まで 400℃/minの速度で昇温し、この温度に0.5 分
保持し、イットリア系セラミック焼結体を得た。このイ
ットリア系セラミック焼結体の強度は、750 MPa であ
り、破壊靱性値は室温で8 MPa・m1/2であり、1000℃で
も8 MPa・m1/2であった。
にしてボールミルを用いて24時間混合した。アルコール
を蒸発させてから、50mmφの金型につめ、放電プラズマ
焼結機を使い、真空中で3MPa の荷重をかけながら、14
00℃まで 400℃/minの速度で昇温し、この温度に0.5 分
保持し、イットリア系セラミック焼結体を得た。このイ
ットリア系セラミック焼結体の強度は、750 MPa であ
り、破壊靱性値は室温で8 MPa・m1/2であり、1000℃で
も8 MPa・m1/2であった。
【0020】実施例4 イットリア安定化立方晶ZrO2粉25gとYb4Al2O9粉25gと
を、溶媒にアルコールを用いてボールミルで24時間混合
した。アルコールを除去した後成形して生成形体を得
た。この生成形体を空気中で10℃/minの昇温速度で1550
℃まで昇温し、この温度に900 分保持し、立方晶ジルコ
ニア系セラミック焼結体を得た。得られたこの立方晶ジ
ルコニアセラミック焼結体の強度は 700 MPaであり、破
壊靱性値は室温で9MPa・m1/2であり、1000℃でも変化は
なかった。
を、溶媒にアルコールを用いてボールミルで24時間混合
した。アルコールを除去した後成形して生成形体を得
た。この生成形体を空気中で10℃/minの昇温速度で1550
℃まで昇温し、この温度に900 分保持し、立方晶ジルコ
ニア系セラミック焼結体を得た。得られたこの立方晶ジ
ルコニアセラミック焼結体の強度は 700 MPaであり、破
壊靱性値は室温で9MPa・m1/2であり、1000℃でも変化は
なかった。
【0021】実施例5 ZnSiO2 20gと、Eu4Al2O930gとを、アルコールを溶媒に
用いてボールミルで24時間混合した。混合終了後アルコ
ールを除去し、この混合粉体を成形して生成形体を作
り、これを空気中において20℃/minで1700℃まで昇温
し、この温度に120分間保持してジルコン系セラミック
焼結体を得た。このジルコン系セラミック焼結体の強度
は、600 MPa であり、室温での破壊靱性値は 8 MPa・m
1/2であった。また、1000℃の破壊靱性値は 7 MPa・m
1/2であった。
用いてボールミルで24時間混合した。混合終了後アルコ
ールを除去し、この混合粉体を成形して生成形体を作
り、これを空気中において20℃/minで1700℃まで昇温
し、この温度に120分間保持してジルコン系セラミック
焼結体を得た。このジルコン系セラミック焼結体の強度
は、600 MPa であり、室温での破壊靱性値は 8 MPa・m
1/2であった。また、1000℃の破壊靱性値は 7 MPa・m
1/2であった。
【0022】実施例6 CeO2粉25gと、Y4Al2O9 粉75gとを、アルコールを溶媒
に用いてボールミルで24時間混合した。混合終了後アル
コールを除去し、この混合粉体を成形し、それを15℃/m
inの昇温速度で1750℃まで昇温し、この温度に90分間保
持してセリア系セラミック焼結体を得た。このセリア系
セラミック焼結体の強度は800 MPa であり、室温での破
壊靱性値は 8 MPa・m1/2であった。また、1000℃での破
壊靱性値は 7 MPa・m1/2であった。
に用いてボールミルで24時間混合した。混合終了後アル
コールを除去し、この混合粉体を成形し、それを15℃/m
inの昇温速度で1750℃まで昇温し、この温度に90分間保
持してセリア系セラミック焼結体を得た。このセリア系
セラミック焼結体の強度は800 MPa であり、室温での破
壊靱性値は 8 MPa・m1/2であった。また、1000℃での破
壊靱性値は 7 MPa・m1/2であった。
【0023】以上の実施例と比較例とを対比して示す。
【表1】
【0024】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、Ln
4Al2O9の強弾性相転移を利用することで、緻密で強度の
大きい、室温でもまた高温においても靱性の大きい酸化
物セラミックスを得ることができる。従って、本発明に
よれば、エンジン部品、ガスタービン翼、ガスタービン
用部品、耐腐食装置部品、坩堝、ボールミル部品、絶縁
材料、IC基板、核融合炉材料、原子炉用材料、ダイカ
スト用部品、燃焼管、発熱体、高空飛翔体用耐熱材、熱
交換器、耐熱材料、電子回路用基体、シール材、継手お
よびバルブ用部品、熱遮蔽材料、人工骨および人工歯根
等の生体材料、誘電材料、刃物やカッター刃、工具、ス
ポーツ用品、ポンプ、ノズル、ローラーガイド、軸受、
フェルールその他の広い分野で有効に用いられる高靱性
酸化物セラミックスを有利に提供できる。
4Al2O9の強弾性相転移を利用することで、緻密で強度の
大きい、室温でもまた高温においても靱性の大きい酸化
物セラミックスを得ることができる。従って、本発明に
よれば、エンジン部品、ガスタービン翼、ガスタービン
用部品、耐腐食装置部品、坩堝、ボールミル部品、絶縁
材料、IC基板、核融合炉材料、原子炉用材料、ダイカ
スト用部品、燃焼管、発熱体、高空飛翔体用耐熱材、熱
交換器、耐熱材料、電子回路用基体、シール材、継手お
よびバルブ用部品、熱遮蔽材料、人工骨および人工歯根
等の生体材料、誘電材料、刃物やカッター刃、工具、ス
ポーツ用品、ポンプ、ノズル、ローラーガイド、軸受、
フェルールその他の広い分野で有効に用いられる高靱性
酸化物セラミックスを有利に提供できる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C04B 35/48 35/50 C04B 35/18 Z 35/48 C
Claims (2)
- 【請求項1】 Al2O3 , 3Al2O3・2SiO2, ZrSiO4, Zr
O2, 希土類酸化物のうちから選ばれた1種または2種以
上を10〜97wt%、 Ln4Al2O9 (ただし、Lnは Y, Sm, Eu, Gd, Tb, Dy, Ho,
Er, YbおよびLuのうちから選ばれた1種または2種以
上)を90〜3wt%、からなる高靱性酸化物セラミック
ス。 - 【請求項2】 Al2O3 , 3Al2O3・2SiO2, ZrSiO4, Zr
O2, 希土類酸化物のうちから選ばれた1種または2種以
上の粉体10〜97wt%と、Ln4Al2O9 (ただし、Lnは Y, S
m, Eu, Gd, Tb, Dy, Ho, Er, YbおよびLuのうちから選
ばれた1種または2種以上)の粉体90〜3wt%とを混合
し、その混合粉体を成型したのち、真空もしくは酸化性
雰囲気中で1200〜1900℃の温度に加熱して 0.1〜2000分
間保持して焼成することを特徴とする高靱性酸化物セラ
ミックスの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5215864A JPH0769715A (ja) | 1993-08-31 | 1993-08-31 | 高靱性酸化物セラミックスおよびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5215864A JPH0769715A (ja) | 1993-08-31 | 1993-08-31 | 高靱性酸化物セラミックスおよびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0769715A true JPH0769715A (ja) | 1995-03-14 |
Family
ID=16679540
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5215864A Pending JPH0769715A (ja) | 1993-08-31 | 1993-08-31 | 高靱性酸化物セラミックスおよびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0769715A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO1999045163A1 (fr) * | 1998-03-05 | 1999-09-10 | Asahi Glass Company Ltd. | Cible de pulverisation cathodique, film conducteur transparent et son procede de production |
DE10306925A1 (de) * | 2003-02-19 | 2004-09-02 | GfE Gesellschaft für Elektrometallurgie mbH | PVD-Beschichtungsmaterial |
CN109608171A (zh) * | 2019-01-28 | 2019-04-12 | 佛山石湾鹰牌陶瓷有限公司 | 一种高耐腐蚀性特种陶瓷材料、制备方法及应用 |
-
1993
- 1993-08-31 JP JP5215864A patent/JPH0769715A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO1999045163A1 (fr) * | 1998-03-05 | 1999-09-10 | Asahi Glass Company Ltd. | Cible de pulverisation cathodique, film conducteur transparent et son procede de production |
DE10306925A1 (de) * | 2003-02-19 | 2004-09-02 | GfE Gesellschaft für Elektrometallurgie mbH | PVD-Beschichtungsmaterial |
CN109608171A (zh) * | 2019-01-28 | 2019-04-12 | 佛山石湾鹰牌陶瓷有限公司 | 一种高耐腐蚀性特种陶瓷材料、制备方法及应用 |
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