JPH0769553B2 - 光非線形高分子材料 - Google Patents

光非線形高分子材料

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JPH0769553B2
JPH0769553B2 JP6202987A JP6202987A JPH0769553B2 JP H0769553 B2 JPH0769553 B2 JP H0769553B2 JP 6202987 A JP6202987 A JP 6202987A JP 6202987 A JP6202987 A JP 6202987A JP H0769553 B2 JPH0769553 B2 JP H0769553B2
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    • G02OPTICS
    • G02FOPTICAL DEVICES OR ARRANGEMENTS FOR THE CONTROL OF LIGHT BY MODIFICATION OF THE OPTICAL PROPERTIES OF THE MEDIA OF THE ELEMENTS INVOLVED THEREIN; NON-LINEAR OPTICS; FREQUENCY-CHANGING OF LIGHT; OPTICAL LOGIC ELEMENTS; OPTICAL ANALOGUE/DIGITAL CONVERTERS
    • G02F1/00Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics
    • G02F1/35Non-linear optics
    • G02F1/355Non-linear optics characterised by the materials used
    • G02F1/361Organic materials

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は光双安定素子等の光信号処理装置に用いる素子
材料である光非線形高分子材料に関する。さらに詳細に
は本発明は、非線形光学効果およびレーザ光に対する耐
劣化性に優れた光非線形高分子材料に関する。
従来の技術 近年、指向性に優れエネルギー密度の高いレーザ光の光
源の開発に伴い、物質と強い電磁波の相互作用である非
線形光学現象に関する研究が盛んに行われている。
非線形光学現象は、一般に、物質に電磁波を入射するこ
とによる物質の誘電率等の変化が電場振幅に比例しなく
なる現象であり、高次の高周波発生、混合波発生、パラ
メトリック効果等として知られている。このような現象
は、レーザ媒質、光双安定素子、光スイッチ、光メモリ
等の素子に用いられている。
上記現象を示す光学素子の材料には無機、有機、半導体
と様々な材料が使用されていが、このうち有機材料は、
LiNbO3やKH2PO4等の強誘電性結晶である無機材料に比べ
非線形光学定数が大きく、しかもGaAsなどの半導体材料
に比べ応答速度が速いという利点を有している。このた
め、ポリジアセチレンのパラトルエンスルホネート誘導
体(PTS−PDA)をはじめとして、ポリアセチレンなどの
π電子共役系高分子材料やアミノニトロスチルベン系の
ドナー、アクセプタを非対称に置換した有機低分子等の
研究が活発に勧められている。
ところで、上記非線形光学効果を有する素子材料には以
下のような特性が要求されている。
非線形光学定数が大きい 応答速度が速い レーザ光照射による劣化がない 加工性に優れる 広い波長領域で使用できる このうち、実際の素子の示す非線形光学効果の大きさ
は、非線形光学定数の入射光の電場振幅により決まるた
め、の非線形光学定数が大きいことが大きな非線形光
学効果を発現するために特に重要である。
発明が解決しようとする問題点 上述したように非線形光学効果を有する有機材料は優れ
た非線形光学効果を有するが、照射するレーザ光強度が
大きいと材料が損傷を受け、素子が劣化するという問題
があった。
従来、このようなレーザ光による素子の劣化を抑制する
ことによって高強度のレーザ光を使用してより大きな非
線形光学効果を得る方法として、非線形光学効果を有す
るある種の有機結晶を重合させることでレーザ損傷の臨
界強度を向上することが報告されている(高分子学会、
高分子討論会予稿集,Vol.34,No.8,p2349(1985))。
しかしこの方法では、有機結晶の重合に伴って確かにレ
ーザ損傷臨界強度は向上しているものの、光非線形光学
効果の発現にとって重要な、有機材料を構成する分子中
のC=C結合が減少してしまうため三次の非線形光学効
果が低減するという欠点があった。さらに、この方法で
使用できる有機結晶は重合可能なものに限られ、殆どの
非線形光学効果を有する有機材料が適用ができないとい
う問題があった。
そこで、本発明の目的は、優れた非線形光学効果を保持
すると同時にレーザ光に対する耐劣化性を改善すること
にある。
問題点を解決するための手段 本発明者らは上記問題を解決するために鋭意検討・研究
を重ねた結果、非線形光学効果を有する化合物を結合さ
せた高分子材料において該高分子を構成する水素原子を
重水素置換することによって、より大きな非線形光学効
果を有し且つレーザ光に対する優れた耐劣化性を有する
高分子材料を開発することに成功した。
すなわち本発明に従うと、光透過性を有する高分子化合
物に非線形光学効果を有する化合物が化学結合してなる
光非線形高分子材料であって、該高分子化合物を構成す
る少なくとも一種の単量体の水素原子のうち少なくとも
一つが重水素で置換されていることを特徴とする光非線
形高分子材料が提供される。
本発明においては上記高分子化合物としては、ポリメタ
クリル酸アルキル、ポリアクリル酸アルキル、ポリシロ
キサン、ポリスチレン等の透明性にすぐれ且つその原料
を容易に入手できる材料が好ましい。
上記以外の高分子化合物として、ポリビニルアルコー
ル、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、一部のポリオレ
フィン、一部フッ素化されたポリメタクリル酸アルキ
ル、ポリアクリル酸アルキル等も使用することができ
る。
本発明において、これらの高分子化合物はホモポリマー
として使用できるとともに、これらの高分子化合物の単
量体を繰り返し単位として含む共重合体として用いても
かわない。すなわち、上記高分子化合物を構成する二種
以上の単量体どうしのあるいは上記高分子化合物を構成
する単量体と他の種々の有機化合物との共重合体として
も使用できる。そのような有機化合物としては、例え
ば、ビニルアルコール前駆体の酢酸ビニルあるいは、一
部フッ素化されたメタクリル酸アルキル、アクリル酸ア
ルキル等が挙げられる。
上記のように本発明に用いる高分子化合物を共重合体と
して用いることにより、該高分子化合物単独の場合に比
べ機械的強度、熱安定性および素子化するための加工性
を向上することができる。
本発明において、非線形光学効果を有する化合物として
は、π電子共役系化合物が好適であり、例えば以下の様
な構造の化合物が挙げられる。
(XおよびYはCH基またはN原子を示し、R1〜R4はアル
キル基またはヒドロキシアルキル基を示し、nは1〜5
の整数を示す。また*は不斉炭素を示す。) 上記構造式において、アルキル基またはヒドロキシアル
キル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、
ペンチル、ヘキシルおよびこれらのヒドロキシ体が挙げ
られるが、特にこれらに限定されない。
また上記化合物の構造式においてベンゼン環のパラ位以
外の置換位置にアセトアミノ基、ヒドロキシアルキル基
などの水素結合を形成する置換基等が導入されてもよ
く、該置換基が母骨格のπ電子共役系に大きな影響を与
えないものであればいずれの置換基でもかまわない。
本発明の光非線形高分子材料は、非線形光学効果を有す
る化合物が前記例示した高分子化合物に化学結合してな
るものである。このような化学結合としては、上記高分
子化合物を構成する単量体と上記非線形光学効果を有す
る化合物との間に形成された結合であることが好まし
い。
本発明において、上記高分子化合物を構成する少なくと
も一種の単量体の水素原子は、少なくともその一つが重
水素に置換されている必要がある。本発明の効果をより
高く発現させるためには、高分子化合物を構成する少な
くとも一種の単量体の水素がより高い割合で重水素に置
換されていることが好ましい。この際、高分子化合物を
構成する水素原子のうち、特定の位置に結合する水素原
子が高い割合で重水素に置換されることが好ましい。
例えば、上記高分子化合物がポリメタクリル酸アルキル
である場合には、ポリメタクリル酸アルキルを構成する
水素のうち少なくともビニル位の水素およびα位のメチ
ル基の水素原子が重水素で置換されていることが好まし
い。この場合の上記化学結合は、非線形光学効果を有す
る化合物とメタクリル酸とのエステル結合であることが
好ましい。
上記高分子化合物がポリアクリル酸アルキルである場合
には、ポリアクリル酸アルキルを構成する水素のうち少
なくともビニル位の水素原子が重水素で置換されている
ことであることが好ましい。この場合の上記化学結合
は、非線形光学効果を有する化合物とアクリル酸とのエ
ステル結合であることが好ましい。
上記高分子化合物がメタクリル酸アルキルとアクリル酸
アルキルとの共重合体である場合には、該共重合体の水
素原子が重水素で置換されていることが好ましい。この
場合の上記化学結合は、非線型光学効果を有する化合物
とメタクリル酸および/またはアクリル酸とのエステル
結合であることが好ましい。
上記高分子化合物がポリシロキサン主鎖のケイ素に側鎖
状にアルキル基および/またはフェニル基が結合してい
るポリシロキサンである場合には、該ケイ素に側鎖状に
結合する基のうち少なくとも一方の基を構成する水素原
子が重水素で置換されていることが好ましい。この場合
の上記化学結合は、非線形光学効果を有する化合物とケ
イ素がアルキル基を介して結合することにより形成され
ていることが好ましい。
上記高分子化合物がポリスチレンである場合には、ポリ
スチレンのビニル位の水素原子が重水素で置換されてい
ることが好ましい。この場合の上記化学結合は、非線形
光学効果を有する化合物とポリスチレンのベンゼン環と
が結合することにより形成されていることが好ましい。
また、上記高分子化合物が、ポリメタクリル酸アルキ
ル、ポリアクリル酸アルキル、ポリシロキサンおよびポ
リスチレンの繰り返し単位から選ばれる少なくとも1種
の単量体を繰り返し単位として含む共重合体である場合
には、非線形性光学効果を有する化合物と該単量体とが
結合していることが好ましい。この場合、結合位置は上
述した個々のホモポリマーの場合と同様の位置である。
上記共重合体を構成する繰り返し単位のうち非線形光学
効果を有する化合物と結合していない単量体を含む場合
には、該単量体に関しても構成する水素原子の少なくと
も1つが重水素であることが好ましい。
本発明において、高分子化合物を構成する水素原子が実
質的に全て重水素で置換されているとは、通常の合成プ
ロセスによって得られる重水素化された化合物における
重水素置換率あるいはそれ以上の置換率で置換されてい
ることを意味する。
すなわち、例えばポリメタクリル酸アルキルのビニル位
およびα位のメチル基の水素が重水素化さた化合物を合
成する場合、アセトンシアノヒドリン法、すなわち重水
素化アセトン(アセトン一分子中の水素が全て重水素化
されたもの)と対応するアルコール(ポリメタクリル酸
メチルではメタノール)より得た重水素化メタクリル酸
アルキル(メタクリル酸アルキル一分子中のビニル位お
よびα位のメチル基の水素が全て重水素化されたもの)
を重合することによって得られる。この結果得られたポ
リメタクリル酸アルキルのビニル位およびα位のメチル
基の水素は95〜98%程度のものが重水素化されており、
従って、実質的に全て重水素化されている割合はこの程
度を示すものである。
また、ポリスチレンのビニル位の全ての水素が重水素化
されたポリスチレンは通常の方法を用いた場合、一分子
中の水素原子は85%程度まで重水素化される。
本発明において、上記ホモポリマーを構成する水素の重
水素置換率は高い方が本発明の効果が顕著に現れ、高分
子一分子中の重水素置換率が50%以上であることが好ま
しい。
また、上記の高分子化合物を共重合体として使用する場
合は、上記高分子化合物を構成する水素原子のうち少な
くとも1つが重水素置換されていることが好ましく、特
に高分子化合物一分子中の50%以上の水素原子が重水素
化されていることが好ましい。
本発明において重水素化された高分子化合物を調製する
には、重水素化された合成原料を用いて公知の合成方法
により高分子化合物を合成するか、あるいは、予め用意
した高分子化合物を同位体交換法を採用して重水素置換
してもよい。
さらに、上記高分子化合物に非線形光学効果を有する化
合物が結合した本発明の光非線形高分子材料を得るに
は、まず高分子化合物を構成する単量体を用意し、該単
量体と非線形光学効果を有する化合物とのエステル等の
反応物を合成し、次いで、このような反応物をそれ自身
あるいは他の単量体種と重合させるのが好適である。
作用 本発明の光非線形高分子材料は、非線形光学効果を有す
る化合物が重水素置換された高分子化合物に化学結合し
てなるものである。このため高分子化合物を構成してい
た炭素−水素結合数が減り、入射光である赤外領域のレ
ーザ光に対する炭素−水素結合の分子振動に起因する吸
収が低減される。さらに照射するレーザの発光波長領域
である近赤外領域での高次の倍音吸収も著しく低減され
る。この結果、本発明の光非線形高分子材料に入射した
光は、非線形光学効果を有する化合物に効率よく照射さ
れ、優れた非線形光学効果を発現させることができる。
一方、有機材料を用いた非線形光学素子のレーザ照射に
よる劣化については、誘電破壊に類する機構と、レーザ
光の吸収に伴う発熱に起因する溶融燃焼などの機構が提
案されているが、現時点では明らかになっていない。し
かしいずれの機構であるにせよ、本発明においては高分
子化合物のレーザ光の吸収が低減する、あるいは特定で
きないがその他の原因で高分子化合物中に生じる誘電破
壊あるいは溶融燃焼は抑制されると考えられる。
従って、本発明の光非線形高分子材料を素子に用いるこ
とにより、非線形光学効果を示す信号強度およびレーザ
光に対する耐劣化性に優れた素子を得ることができる。
実施例 以下、実施例により本発明を詳細に説明するが本発明は
これらに何ら限定されない。
以下の実施例において、高分子化合物を合成する原料物
質および得られた高分子化合物の後に記載されているd
は重水素化されたものであることを示し、添字の数は一
分子(高分子にあってはその単量体一分子)中の重水素
化された水素数を示すものとする。
実施例1 アセトン(d6)を原料としていわゆるアセトンシアノヒ
ドリンを合成し、これを酸処理することによってメタク
リルアミド(d5)を得、さらにこれを加水分解によって
メタクリル酸(d5)を合成した。次いで、メタクリル酸
(d5)を塩化ベンゾイルと反応させ、メタクリル酸クロ
リド(d5)を得た。非線形光学効果を有する化合物とし
て、4−ニトロ−4′−〔N−エチル−N−(2−ハイ
ドロキシエチル)アミノ〕アゾベンゼンをジオキサンに
溶解し、触媒としてキノリンを加えた後、メタクリル酸
クロリド(d5)を滴下して反応させた。反応終了後、不
溶物を濾別し濾液に水を加え沈澱物を得、これを再結晶
化して下記の化合物(1)を得た。
上記化合物において、Dで表される重水素は約95%が重
水素化されていることがNMR測定によって判った。
上記化合物(1)を20モル%とメタクリル酸メチル
(d8)80モル%とをジオキサンに溶解させ、重合開始剤
としてAlBNを加え脱気した後、容器を封管して、60℃に
て24時間反応させた。
反応後、精製して目的とする光非線形高分子材料を得
た。精製物はIRスペクトル、NMRスペクトルによって構
造を確認した。
このようにして得られた物質について、非線形光学効果
およびレーザ光に対する耐劣化性を評価するため、試料
として上記物質を液体窒素温度に冷却後粉砕したものを
用いた。
このような試料について、粉末法に(S.K.Kurzら、J.Ap
pl,Phys.,39p3798(1968))に準じて第3次高調波発生
強度(THG)を測定しさらにレーザ照射による試料の劣
化を観測した。
この際、光源として基本波長1.064μmのNd:YAGレーザ
を用い、試料へのレーザ光入力密度は90MW/cm2とし、10
パルス/秒の条件でのTHG強度および10分間レーザ光を
照射した後のTHG強度の低下率を測定した。
得られた結果を第1表に示す。
比較例1 メタクリル酸(d5)の代わりに重水素置換されていない
メタクリル酸を用いた以外は実施例1と同様の操作によ
って、実施例1に対応する重水素化されていない光非線
形高分子材料を得た。
得られた物質について実施例1と同様の条件下において
非線形光学効果およびレーザ光に対する耐劣化性を測定
した。得られた結果を第1表に示す。
実施例2 エチレン(d4)オキサイドとシアン化水素との反応によ
って、エチレンシアンヒドリン(d4)を合成し、これを
硫酸と加熱水蒸気で処理してアクリル酸(d3)を得た。
このアクリル酸(d3)と三塩化リンとの反応によってア
クリル酸クロリド(d3)を合成した。
非線形光学効果性を有する化合物として4−ニトロベン
ジリデン−4′−〔N−エチル−N−(2−ハイドロキ
シエチル)〕アニリンを用い、これをジオキサンに溶解
し触媒を加えた後、アクリル酸クロリド(d3)を滴下し
て反応させた。
反応後、不純物を除去し、さらに再結晶化して下記の化
合物(2)を得た。
上記の化合物(2)においてDで表された重水素は、約
75%が重水素化されていることがNMR測定によって判っ
た。
上記の化合物(2)を15モル%とメタクリル酸メチル
(d5)(ビニル位およびα位のメチル基の水素が重水素
化されたもの)85モル%とを実施例1と同様の操作で溶
液重合を行い、目的とする光非線形高分子材料を得た。
得られた物質について実施例1と同様の条件下において
非線形光学効果およびレーザ光に対する耐劣化性を測定
した。得られた結果を第1表に示す。
比較例2 アクリル酸(d3)の代わりに重水素化されていないアク
リル酸を用いた以外は、実施例2と同様の操作によっ
て、実施例2に対応する重水素化されていない光非線形
高分子材料を得た。このようにして得られた材料につい
て実施例1と同様の条件下において非線形光学効果およ
びレーザ光に対する耐劣化性を測定した。得られた結果
を第1表に示す。
実施例3 クロロメタン(d3)と金属ケイ素粉末を反応させ、反応
物より、ジクロロメチルシラン(d3)を精留分離した。
このジクロロメチルシラン(d3)を常法により、メチル
シロキサンオリゴマーを経て、ポリシロキサンとした。
非線形光学効果を有する化合物として、4−ニトロ,−
4′−(L)−プロリノイルスチルベンを用い、これを
次式の反応によってシロキサンポリマと反応させ、下記
(3)の構造を有する光非線形高分子材料を得た。
上記の化合物(3)においてDで表された重水素は、約
70%が重水素化されていることが単量体のNMR測定によ
って判った。
このようにして得られた光非線形高分子材料について実
施例1と同様の条件下において非線形光学効果およびレ
ーザ光に対する耐劣化性を測定した。得られた結果を第
1表に示す。
比較例3 クロロメタン(d3)に代わりに重水素化されていないク
ロロメタンを用いた以外は、実施例3と同様の操作によ
って実施例3に対応する重水素化されていない光非線形
高分子材料を得た。
このようにして得られた光非線形高分子材料について実
施例1と同様の条件下において非線形光学効果およびレ
ーザ光に対する耐劣化性を測定した。得られた結果を第
1表に示す。
実施例4 酢酸(d4)と塩化チオニルの反応によってアセチルクロ
ライド(d3)を合成し、これを二硫化炭素中で、無水塩
化アルミニウムと共にベンセンと反応させ、アセトフェ
ノン(d3)を得た。
このアセトフェノン(d3)は、THF中でLiAlD4と反応さ
せて、1−フェニルエタノール(d4)とし、これを脱水
することによってスチレン(d3)を得た。
次いで、スチレン(d3)をクロロメチル・メチルエーテ
ルと常法によって反応させ、p−クロロメチルスチレン
(d3)を合成した。非線形光学効果を有する化合物とし
て、4−ニトロ,−4′−〔N−エチル−N−(2ハイ
ドロキシエチル)アミノ〕スチルベンを用い、これをp
−クロロメチルスチレン(d3)と反応させ、得られた結
晶を再結晶化して下記の化合物(4)を得た。
上記の化合物(4)においてDで表された重水素は、約
85%が重水素化されていることがNMR測定によって判っ
た。
上記の化合物(4)を40モル%とスチレン(d5)(ベン
ゼン環の水素が重水素化されたもの)60モル%とを連鎖
移動剤n−ブチルメルカプタンの存在下で120℃、12時
間反応させ、目的とする光非線形高分子材料を得た。
このようにして得られた光非線形高分子材料について実
施例1と同様の条件下において非線形光学効果およびレ
ーザ光に対する耐劣化性を測定した。得られた結果を第
1表に示す。
比較例4 スチレン(d3)の代わりに重水素化されていないスチレ
ンを用いた以外は、実施例4と同様の操作によって、実
施例4に対応する重水素化されていない光非線形高分子
材料を得た。
得られた物質について実施例1と同様の条件下において
非線形光学効果およびレーザ光に対する耐劣化性を測定
した。得られた結果を第1表に示す。
実施例5 実施例4において、ベンゼンの代わりに重水素化ベンゼ
ン(ベンゼン(d6))を用いた以外は、実施例4と同様
の操作によって、パージュテロスチレン(スチレン
(d8))を得た。このスチレン(d8)を常法に従ってク
ロロメチル・メチルエーテルと反応させることによっ
て、p−クロロメチルスチレン(d7)を合成した。
非線形光学効果を有する化合物として、4−N−メチル
アミノ−4′−ニトロスチルベンを用い、これとp−ク
ロロメチルスチレン(d7)をジオキサン中でトリ−n−
ブチルアミン存在下で反応させ、生成物を濾別、再結晶
して下記の化合物(5)を得た。
上記の化合物(5)においてDで表された重水素は、約
90%が重水素化されていることがNMR測定によって判っ
た。
上記の化合物(5)を25モル%とメタクリル酸メチル75
モル%とを重合開始剤AlBNの存在下、ジオキサン中で脱
気し、封管した後、重合させて目的とする光非線形高分
子材料を得た。このようにして得られた光非線形高分子
材料について実施例1と同様の条件下において非線形光
学効果およびレーザ光に対する耐劣化性を測定した。得
られた結果を第1表に示す。
比較例5 スチレン(d8)の代わりに重水素化されていないスチレ
ンを用いた以外は、実施例5と同様の操作によって、実
施例5に対応する重水素化されていない光非線形高分子
材料を得た。
得られた光非線形高分子材料について実施例1と同様の
条件下において非線形光学効果およびレーザ光に対する
耐劣化性を測定した。得られた結果を第1表に示す。
以上、実施例1〜5および比較例1〜5の第1表に示し
た結果からすれば、本発明の光非線形高分子材料は非線
形光学効果およびレーザ光に対する耐劣化性に優れてい
ることが明らかである。
発明の効果 以上説明したように、本発明における光非線形高分子材
料はレーザ光に対する優れた耐劣化性を有するため、照
射するレーザ光強度を高め非線形光学効果を増大させる
ことができる。
また、本発明の光非線形高分子材料は非線形光学効果を
有する化合物を高分子材料に結合させるという簡便な工
程によって容易に製造でき、しかも得られた物質は加工
性に優れるため、光信号処理システムや光論理演算素子
として好適である。
これらのことからすれば、本発明の当業界における価値
は極めて高いものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 栗原 隆 茨城県那珂郡東海村大字白方字白根162番 地 日本電信電話株式会社茨城電気通信研 究所内 (72)発明者 後藤 哲哉 滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ株 式会社滋賀事業場内 (72)発明者 江川 啓一 滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ株 式会社滋賀事業場内 (56)参考文献 特開 昭62−189440(JP,A) 特開 昭63−163825(JP,A) 特開 昭63−21627(JP,A)

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光透過性を有する高分子化合物に非線形光
    学効果を有する化合物が化学結合してなる光非線形高分
    子材料であって、 該高分子化合物を構成する少なくとも一種の単量体の水
    素原子のうち少なくとも一つが重水素で置換されている
    ことを特徴とする光非線形高分子材料。
  2. 【請求項2】上記非線形光学効果を有する化合物が、π
    電子共役系化合物であることを特徴とする特許請求の範
    囲第1項に記載の光非線形高分子材料。
  3. 【請求項3】上記化学結合が、上記高分子化合物を構成
    する少なくとも一種の単量体と非線形光学効果を有する
    化合物との間で形成されていることを特徴とする特許請
    求の範囲第1項または第2項に記載の光非線形高分子材
    料。
  4. 【請求項4】上記高分子化合物がポリメタクリル酸アル
    キル、ポリアクリル酸アルキル、ポリシロキサン、ポリ
    スチレン、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、
    エポキシ樹脂、ポリオレフィン、一部フッ素化されたポ
    リメタクリル酸アルキル、ポリアクリル酸アルキルおよ
    びこれらの高分子化合物の単量体を繰り返し単位として
    含む共重合体からなる群より選択した少なくとも一種を
    含むことを特徴とする特許請求の範囲第1項乃至第3項
    のいずれか1項に記載の光非線形高分子材料。
  5. 【請求項5】上記高分子化合物がポリメタクリル酸アル
    キルであって、ポリメタクリル酸アルキルを構成する水
    素のうち少なくともビニル位の水素原子およびα位のメ
    チル基の水素原子が実質的に全て重水素で置換されてい
    ることを特徴とする特許請求の範囲第4項に記載の光非
    線形高分子材料。
  6. 【請求項6】上記化学結合が非線形光学効果を有する化
    合物とメタクリル酸とのエステル結合であることを特徴
    とする特許請求の範囲第5項に記載の光非線形高分子材
    料。
  7. 【請求項7】上記高分子化合物がポリアクリル酸アルキ
    ルであって、ポリアクリル酸アルキルを構成する水素の
    うち少なくともビニル位の水素原子が実質的に全て重水
    素で置換されていることを特徴とする特許請求の範囲第
    4項に記載の光非線形高分子材料。
  8. 【請求項8】上記化学結合が上記非線形光学効果を有す
    る化合物とアクリル酸とのエステル結合であることを特
    徴とする特許請求の範囲第7項に記載の光非線形高分子
    材料。
  9. 【請求項9】上記高分子化合物がメタクリル酸アルキル
    とアクリル酸アルキルとの共重合体であり、該共重合体
    の水素原子が実質的に全て重水素で置換されていること
    を特徴とする特許請求の範囲第4項に記載の光非線形高
    分子材料。
  10. 【請求項10】上記化学結合が非線型光学効果を有する
    化合物とメタクリル酸および/またはアクリル酸とのエ
    ステル結合であることを特徴とする特許請求の範囲第9
    項に記載の光非線形高分子材料。
  11. 【請求項11】上記高分子化合物がポリシロキサン主鎖
    のケイ素に側鎖状にアルキル基および/またはフェニル
    基が結合しているポリシロキサンであって、該ケイ素に
    側鎖状に結合する基のうち少なくとも一方の基を構成す
    る水素原子が実質的に全て重水素で置換されていること
    を特徴とする特許請求の範囲第4項に記載の光非線形高
    分子材料。
  12. 【請求項12】上記高分子化合物がポリシロキサンであ
    って、ポリシロキサン主鎖のケイ素に側鎖状にアルキル
    基を介して上記非線形光学効果を有する化合物が結合し
    ていることを特徴とする特許請求の範囲第11項に記載の
    光非線形高分子材料。
  13. 【請求項13】上記高分子化合物がポリスチレンであっ
    て、ポリスチレンのビニル位の水素原子が実質的に全て
    重水素で置換されていることを特徴とする特許請求の範
    囲第4項に記載の光非線形高分子材料。
  14. 【請求項14】上記化学結合が非線形光学効果を有する
    化合物とポリスチレンのベンゼン環とが結合することに
    より形成されていることを特徴とする特許請求の範囲第
    13項に記載の光非線形高分子材料。
  15. 【請求項15】上記高分子化合物が、ポリメタクリル酸
    アルキル、ポリアクリル酸アルキル、ポリシロキサンお
    よびポリスチレンの繰り返し単位から選ばれる少なくと
    も1種の単量体を繰り返し単位として含む共重合体であ
    って、該単量体が非線形性光学効果を有する化合物と結
    合していることを特徴とする特許請求の範囲第4項に記
    載の光非線形高分子材料。
  16. 【請求項16】上記高分子化合物が共重合体であって、
    一方の単量体のみに該非線形性光学効果を有する化合物
    が結合していることを特徴とする特許請求の範囲第1項
    乃至第4項のいずれか1項に記載の光非線形高分子材
    料。
  17. 【請求項17】上記共重合体を構成する繰り返し単位の
    うち非線形性光学効果を有する化合物と結合していない
    単量体を構成する水素の少なくとも1つが重水素で置換
    されていることを特徴とする特許請求の範囲第16項記載
    の光非線形高分子材料。
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