JPH0768121B2 - 固形薬剤のコ−ティング方法 - Google Patents

固形薬剤のコ−ティング方法

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JPH0768121B2
JPH0768121B2 JP18181787A JP18181787A JPH0768121B2 JP H0768121 B2 JPH0768121 B2 JP H0768121B2 JP 18181787 A JP18181787 A JP 18181787A JP 18181787 A JP18181787 A JP 18181787A JP H0768121 B2 JPH0768121 B2 JP H0768121B2
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隆史 石坂
範行 石川
清 荒梅
吉朗 恩田
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、固形薬剤のコーティング方法、とくにはコー
ティング層が均一で薬物に悪影響を及ぼすことのない固
形薬剤のコーティング方法に関するものである。
(従来技術とその問題点) 医薬品分野におけるフィルムコーティングとは薬物の保
護安定化、副作用の防止、生物学的利用率の向上などを
目的として、皮膜形成性のある高分子物質を固形薬剤の
表面に被覆するものである。
従来のフィルムコーティングは錠剤、顆粒剤、細粒剤、
などの固形薬物を転動あるいは浮遊流動状態にして、上
記高分子物質の有機溶剤や水に溶解または懸濁した液を
固形薬剤の表面に噴霧するとともに乾燥することによっ
て行っている。
近年に至り、コーティングされた固形薬剤中に残留する
有機溶媒の毒性が問題となり、またその引火の危険性や
コスト高のため、溶媒に水を用いる技術が開発され実施
されている。しかし、この水を用いる方法では水分によ
る薬剤の分解、変質を防止する見地から最終的に水分を
完全に除去しなければならず、その乾燥のために莫大な
エネルギーを必要とするほか、高分子物質の溶解に複雑
な作業を必要とするなど、経済性や作業性に問題があっ
た。
これらの問題を解決するため、ワックスなどの熱溶融
性物質をあらかじめ溶融状態にして薬剤に噴霧あるいは
注加しコーティングする方法、ワックスなどの微粉末
を固形薬剤である被コーティング粒子と混合し、オーダ
ードミクスチャーを形成した後、加熱状態で混合処理を
行うことによりコーティングする方法(薬剤学Vol.45,N
o.3〔1985〕P.254)、さらに粉末化した高分子物質
と、これと親和性のある液状の可塑剤とを用いて粉末コ
ーティングする方法(特開昭57−171428号公報)などが
提案されている。前二者の方法はコーティング剤として
ワックスなどを用いるものであるため、薬物の放出挙動
をコントロールしにくいという欠点があり、また最後の
公報記載の方法は通常のコーティング装置を用いて固形
薬剤である被コーティング粒子に可塑剤をスプレーして
その表面を漏らした後、粉末化した高分子物質を振りか
ける操作を反復して皮覆層を形成する方法であるため、
初期にスプレーした可塑剤が顆粒剤などの被コーティン
グ粒子の内部に浸透したり、高分子物質の粉末の付着が
不均一になるなどして、薬物に悪影響を与えるという欠
点があった。
(問題点を解決するための手段) 本発明は、これらの問題点を解決するため鋭意研究の結
果達成されたもので、固形薬剤のコーティング方法とし
て、被コーティング粒子と高分子物質の粉末とを混合し
て、単粒子あるいは多粒子層のオーダードミクスチャー
を形成した後、これに高分子物質と相溶性のある可塑剤
を噴霧することによって、被コーティング粒子の表面に
均一な高分子物質の皮膜を形成させる方法としたことを
要旨とするものである。
以下、本発明の詳細を説明する。
本発明の方法においてコーティングし得る固形薬剤は、
顆粒剤、細粒剤、散剤、丸剤、あるいは薬物結晶粒子な
どであり、まずこれらの被コーティング粒子を、例えば
遠心回転型の混合器に仕込み、これに高分子物質の粉末
を投入し混合することによって、オーダードミクスチャ
ーを形成させる。ここで“オーダードミクスチャー”と
は、被コーティング粒子径>コーティング粒子径の条件
下で被コーティング粒子とコーティング粒子としての高
分子物質の粉末とを混合し、被コーティング粒子の表面
に高分子物質の粉末を均質に付着させて得られる混合物
であり、“高分子物質被覆粒子”ともいえるものであ
る。
すなわち、被コーティング粒子の周りに高分子物質の粉
末が単粒子の層として均質に付着した場合、あるいは高
分子物質の粉末が何層かにわたって被コーティング粒子
の周りに付着した場合をそれぞれ単粒子層のオーダード
ミクスチャーあるいは多粒子層のオーダードミクスチャ
ーといい、この形成には加熱操作はとくに必要とせず、
単に室温で混合するだけで充分可能である。
この混合操作によって高分子物質の粉末は被コーティン
グ粒子の表面に均一に付着するので、続いてこのオーダ
ードミクスチャーの表面に可塑剤を、通常のエアースプ
レー法やエアレスプレー法などによって一定量噴霧し加
熱すると、高分子物質の粉末粒子は相互に融着して被コ
ーティング粒子の表面に高分子物質の皮膜を形成するも
のである。
以上の被コーティング粒子と高分子物質粉末の混合によ
るオーダードミクスチャーの形成と、可塑剤の噴霧と加
熱が本発明の基本となる操作であり、この操作を繰り返
すことによって被コーティング粒子の表面に一定の厚さ
の高分子皮膜をコーティングすることが可能となる。す
なわち本発明によれば、オーダードミクスチャーの形成
によって高分子粉末を被コーティング粒子の表面に均一
に付着させることを可能にしたもので、単に液状の可塑
剤の濡れによって高分子粉末の付着させる方法に比べ、
遥かに均一な皮膜の形成を達成したものである。
この際の加熱の温度は70℃以上にすることが望ましい。
高分子物質あるいは可塑剤の選択によってはこの温度以
下で高分子物質が軟化する場合もあるが、このような条
件でコーティングされた高分子皮膜は常温下でも経時的
に軟化し、コーティングされた製剤が相互に付着してし
まうなどの問題を起こす恐れがある。一方70℃以上の高
温下でコーティングすると、内容薬物の分解、変質など
が懸念されるが本発明は水分を含まず、しかもコーティ
ング操作にかける時間が比較的短時間のため特殊な薬物
を除いて問題にならない。むしろ高温度で処理されため
に、形成された高分子皮膜は安定性の良いものとなる。
この加熱方法は一連のコーティング操作を繰り返す毎に
加熱してもよく、また同一の装置内で加熱操作を繰り返
して行なうことは操作が煩雑となるため、初めから一定
の温度に加熱された混合器内で被コーティング粒子と高
分子粉末とを混合し、オーダードミクスチャーを形成し
た後、可塑剤をスプレーする操作を繰り返しても差し支
えない。
本発明において用いられる高分子物質は通常の腸溶性コ
ーティングあるいは徐放性コーティングに用いられるコ
ーティング基剤の粉末であり、これにはセルロースアセ
テートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロー
スフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースア
セテートサクシネート、カルボキシメチルセルロース、
エチルセルロース、アセチルセルロース、ニトロセルロ
ース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロー
ス、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシ
メチルセルロースナトリウムなどのセルロース誘導体、
メタアクリル酸−メタアクリル酸メチルコポリマー、メ
タアクリル酸エチル−メタアクリル酸メチル−メタアク
リル酸塩化トリメチルアンモニウムエチル共重合体、ポ
リビニルピロリドン、ポリビニルアセタールジエチルア
ミノアセテート、ポリビニルアセテート、ポリビニルア
セテートフタレート、ポリビニルアルコールなどの合成
高分子化合物などが挙げられ、これらはその内のいずれ
か1種または2種以上の混合物として使用される。
これらの高分子物質は通常の粉砕方法によって平均粒子
径100μm以下に粉砕した粉末、望ましくは平均粒子径2
0μm以下の粉末が用いられる。
この使用割合は固形薬剤に対して5〜200重量%が好ま
しい。
また、本発明で用いられる可塑剤は高分子物質との相溶
性が良く、加熱時に高分子物質を軟化融解させる物質で
あればよく、例えばポリエチレングリコール、プロピレ
ングリコール、グリセリン、クエン酸トリエチル、アセ
チルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、ジブチ
ルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルセバケー
ト、酒石酸ジエチル、あるいは水またはエタノールなど
が挙げられる。これらの可塑剤はその内のいずれか1種
または2種以上の混合物として使用され、その高分子物
質に対する使用割合は5〜50重量%が好ましい。
さらに、混合によるオーダーミクスチャーの形成、これ
に続く可塑剤の噴霧と加熱からなる一連のコーティング
操作を繰り返す際に、被コーティング粒子間相互の粘
着、あるいは装置の内壁面への被コーティング粒子の粘
着を防止するために、粘着防止効果を有する粉末、例え
ばステアリン酸カルシウム、タルク、沈降性炭酸カルシ
ウム、二酸化チタン、無水けい酸などの無機質粉末、ま
た上記の皮膜の形成に用いられる高分子物質や結晶セル
ロースなどの有機質粉末、の1種または2種以上を組合
せて添加使用することもできる。
なお、この粉末はあらかじめ皮膜形成用の高分子物質粉
末と混合して用いたり、コーティング操作の繰返し途中
において被コーティング粒子上に添加するという方法で
用いてもよい。
本発明の実施に使用する装置は、底部に回転円盤を有す
る遠心回転型の混合器であり、被コーティング粒子が混
合器内で転動する際に、その粒子の個々の表面が混合器
の壁面と摩擦される運動を起こす機能を持ったものであ
ればよい。さらに混合された粒子を加熱するために、こ
の装置の底部、上部、あるいは側壁面部には電熱ヒータ
ーなどの加熱装置を有するものが使用される。
以下、本発明の具体的態様を実施例により説明するが、
本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(実 施 例) 実施例 1. コーティング装置として、遠心回転型混合器・メカノミ
ルMM−10型(岡田精工(株)製商品名)の外筒周囲にリ
ボンヒーターを取り付け加熱可能にしたものを用いた。
装置をあらかじめ130℃に加熱しておき、これに被コー
ティング粒子として平均粒子径約2mmのガラスビーズNo.
2((株)トシリコ製商品名)20gを投入し、1500rpmで
回転し15秒後に高分子物質粉末として平均粒子径約6μ
mのヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサ
クシネート(HPMCAS)・Mタイプ(信越化学工業(株)
製)2gを入れて混合し、オーダードミクスチャーを形成
した。さらにHPMCASを添加した2〜3秒後に、可塑剤と
してポリエチレングリコール−400(守隋彦太郎商店
(株)製商品名)を、スプレー装置・Mr.プロスプレー
デラックス(グンゼ産業(株)製商品名)により噴霧速
度約28mg/秒で5秒間噴霧した。この後混合器を5分間
回転させ、上記と同様にHPMCASを添加して可塑剤を噴霧
する操作を10回繰り返した。
第1図〜第3図はそれぞれガラスビーズ、最初にHPMCAS
を混合した直後におけるオーダードミクスチャー形成
時、HPMCASの添加および可塑剤の噴霧を10回繰り返した
後にHPMCAS粒子が融着した皮膜が形成されたとき、の表
面状態を示す写真である。
実施例 2. 混合器および可塑剤の噴霧装置は前例と同じ装置を用い
た。被コーティング粒子としては、乳糖:49.02部、低置
換度ヒドロキシプロピルセルロース:49.02部、リボフラ
ビン:1.96部に、水を加えてニーダーで練合し、1.0mmφ
スクリーンの円筒型押出し機を用いて押出した後、マル
メライザー(不二パウダル(株)製商品名)により球形
化した湿潤顆粒を調製し、これを流動床乾燥器で乾燥
し、篩で粒径840〜1000μmに分級して得られた乳糖顆
粒を、また高分子物質粉末としては平均粒子径約6μm
のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサク
シネート(HPMCAS)・Lタイプ(信越化学工業(株)
製)を、さらに可塑剤として前例と同じポリエチレング
リコール(PEG)−400を、それぞれ用いた。
混合器をあらかじめ110℃に加熱しておき、これに乳糖
顆粒10gを投入し、以下下表に示す条件(これ以外の条
件は前例と同様に行った)で高分子物質の添加および可
塑剤の噴霧を繰返し、その繰返し回の違いによってサン
プA、B、Cを調製した。
第4図〜第7図はそれぞれ未処理の乳糖顆粒、サンプル
A、B、Cの表面状態を示す写真である。これより各サ
ンプルA、B、Cではいずれも表面にHPMCASの粉末粒子
が付着して皮膜を形成している状態が観察される。なお
本例では、可塑剤の噴霧1回に対してHPMCASの粉末を2
度添加しているが、2度目の添加はHPMCASの粉末の融着
の際にコーティングされた乳糖粒子相互の粘着を防止す
る目的で行ったものである。
さらに、未処理の乳糖顆粒、サンプルA、B、Cのそれ
ぞれについて、日本薬局方第一液を用い、日本薬局方の
回転バスケット法により溶出試験を行った結果を第8図
に、またサンプルCについて日本薬局方第一液および第
二液を用いて同様に溶出試験を行った結果を第9図に示
した。
この結果、HPMCASの添加回数の多いサンプルBおよびC
では第一液中へのリボフラビンの溶出が未処理の乳糖顆
粒に比べ、顕著に遅延していることが確認され、高分子
分毎の皮膜を形成していることが実証された。また第二
液中での溶出はサンプルBおよびCでは共に第一液の場
合よりも速く、HPMCASが高pH養液に溶解する特性を持つ
物質であることから、第二液での速やかな皮膜の溶解が
確認された。
(発明の効果) 本発明によれば、水あるいは有機溶剤を使用することな
く、より均一なコーティング層で被覆された固形薬剤を
作ることができる。
【図面の簡単な説明】
図面はいずれも本発明に係わるもので、第1図ないし第
3図はそれぞれ実施例1における、ガラスビーズ、オー
ダードミクスチャー形成時、およびHPMCASの添加と可塑
剤の噴霧を10回反復後、の粒子構造を示す写真、第4図
ないし第7図はそれぞれ実施例2における、未処理の乳
糖顆粒、および各サンプルA、B、C、の粒子構造を示
す写真、第8図は実施例2において、上記と同じ試料に
ついて日本薬局方第一液を用い、日本薬局方の回転バス
ケット法により溶出量を測定した結果を示すグラフ、ま
た第9図は同例においてサンプルCについて日本薬局方
第一液および第二液を用いて同様に溶出量を測定した結
果を示すグラフであり、第8図および第9図の各図にお
いて縦軸は溶出率、横軸は経過時間である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被コーティング粒子と高分子物質の粉末と
    を混合して、単粒子あるいは多粒子層のオーダードミク
    スチャーを形成した後、これに高分子物質と相溶性のあ
    る可塑剤を噴霧することによって、被コーティング粒子
    の表面に高分子物質の均一な皮膜を形成させることを特
    徴とする固形薬剤のコーティング方法。
  2. 【請求項2】噴霧が、70℃以上の加熱条件下で行われる
    ことを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の固形薬剤
    のコーティング方法。
JP18181787A 1987-07-21 1987-07-21 固形薬剤のコ−ティング方法 Expired - Lifetime JPH0768121B2 (ja)

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