JPH0767495A - 人工塩濃度勾配を有した魚道装置 - Google Patents

人工塩濃度勾配を有した魚道装置

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JPH0767495A
JPH0767495A JP5253542A JP25354293A JPH0767495A JP H0767495 A JPH0767495 A JP H0767495A JP 5253542 A JP5253542 A JP 5253542A JP 25354293 A JP25354293 A JP 25354293A JP H0767495 A JPH0767495 A JP H0767495A
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seawater
fishway
river
salt concentration
water
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Hiroyuki Mizukami
裕之 水上
Mikiyuki Mizukami
幹之 水上
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Individual
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    • E02HYDRAULIC ENGINEERING; FOUNDATIONS; SOIL SHIFTING
    • E02BHYDRAULIC ENGINEERING
    • E02B8/00Details of barrages or weirs ; Energy dissipating devices carried by lock or dry-dock gates
    • E02B8/08Fish passes or other means providing for migration of fish; Passages for rafts or boats
    • E02B8/085Devices allowing fish migration, e.g. fish traps
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A40/00Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production
    • Y02A40/60Ecological corridors or buffer zones

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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 塩分濃度勾配を有した魚道を造り回遊性の魚
の遡上率を上げる。 【構成】 ポンプ10にて海水を揚水し、揚水した海水
を魚道の流路12内に流出せしめることにより、魚道の
流路12内では、海水と淡水とが混じり合うようにす
る。海水が噴出する口14を魚道の流路12内に複数設
置し、その各々から魚道内に流れる海水量を制御するこ
とによって、塩分濃度に勾配をつける。また、海の潮位
や河川の流量によって、魚道内に噴出させる海水量を調
整することによって、海水と淡水が混じり合う、自然の
リズムに沿った汽水域5を魚道内に人工的に造る。堰3
上流においては、魚道は魚道の流路を形成する一部であ
る遮断壁15によって淡水域4と分けられることによ
り、淡水域4は魚道の塩分から守られ、水資源の利用が
可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、河口付近に堰を設ける
場合の魚道と河口近辺の汽水域の環境維持に関するもの
であり、魚の遡上率を上げることによって、漁業に貢献
するものである。
【0002】
【従来の技術】堰などの横断構造物によって、その段差
によって魚が遡上するのを阻害される場合、魚が遡上す
るための魚用の河道として、魚道が設けられる。しかる
に、従来の魚道は、魚が遡上する際の、魚が上り易いよ
うにする方策としては、魚道の流路の勾配を緩やかにし
たり、隔壁の形状を工夫するなどを行い、堰設置によっ
て、堰上流と堰下流に生じる段差を縮小し、川の流れを
穏やかにして、魚の遡上に適した流量と流速を設定して
いただけであった。即ち、水の流れという量的な観点か
らのみ、魚が遡上し易いように配慮された装置となって
いた。
【0003】しかるに、対象となる堰が河口付近に設置
される、河口堰のような場合であると、河口堰が設置さ
れる以前の河口付近の自然環境は、主として月などの天
体の運行による潮差や河川の天候による河川流量変化に
よって、海水と淡水がリズミカルに混じり合う、所謂、
汽水域を形成しているわけであるが、河口堰が建設さ
れ、堰によって堰上流が湛水されることになれば、堰か
ら上流域は淡水化されてしまう。従って、河口堰の設置
によって、従来、海水と淡水とが揺らぎあっていた河口
付近の汽水域の水質分布が大きく変化し、特に塩分濃度
上の境界線を設けてしまうことになる。
【0004】回遊性の魚は、川上流で生まれ、幼魚時代
は淡水の川上流で育ち、やがて海に流下して成魚時代は
海水で育ち、産卵の時、再び川へと遡上する魚である。
このような回遊性の魚にとっては、海水と淡水が揺らぎ
合う河口近辺に堰が設けられると、堰上流は淡水、下流
では従来よりも濃い塩水濃度を有する汽水域となり、塩
分濃度の境界線が明確に引かれてしまうことになる。こ
のような急激な塩分濃度の違いには、魚にしてみれば体
を慣らすのは殆ど不可能なことであり、調整できないこ
とになる。
【0005】即ち、回遊性の魚は体内のホルモン分泌な
どによって、十分な時間をとって、序々に周囲の水質、
特に塩分濃度に体を慣らしつつ、流下や遡上をするので
あって、河口堰が設けられた場合のように堰上流と下流
の塩分濃度が極端に違えば、そのような急激な塩分濃度
の変化には、ついていけず、拒絶反応を示すことにな
る。従って、川の流量や流速という、水の量的観点から
すれば上り易い魚道であっても、河口堰付近に設置する
魚道は水質特に塩分濃度という観点から十分考慮された
ものでなければ、魚の遡上率は急減することになる。
【0006】また、回遊性の魚が母川に遡上するのは、
幼魚の時代に擦り込まれた母川の匂いの記憶反応するこ
とがサケなどで証明されている。しかるに、河口に堰を
設けると微生物の宝庫である汽水域を破壊することにな
るので、河口付近の生態系を著しく破壊することになる
が、このことは河口の生態系破壊により母川の匂いを従
来とは全く違ったものとする恐れがある。
【0007】よって、魚の海水から淡水への慣れ、そし
て母川の匂いという、上記2つの観点から鑑みれば、河
口付近の堰に対応する魚道としては、たんに水流だけに
着目した魚道を設けるというだけでは、回遊性の魚の遡
上率は、堰がなかった以前の自然状態に比べて、激減す
ることになる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】河口付近に堰を設ける
場合、堰上流は湛水すれば完全に淡水化されてしまうの
で、海水から淡水への変化が従来とは比べものにならな
い程、その塩分濃度変化は激変する。即ち、堰の設置に
よって、堰上流は塩分濃度はほぼゼロ、堰下流は今まで
の汽水域状態よりも濃い塩分濃度となり、堰によって塩
分濃度の明確な境界線が引かれることになる。このよう
な急激な塩分濃度が変化する環境は、海水から汽水、そ
して淡水へと次第に体を塩分濃度の変化に慣らしながら
遡上してくる回遊性の魚にとって、激し過ぎることにな
る。従って、如何に、魚道内において、この塩分濃度の
変化を堰が建設される以前と同様に、緩やかなものにす
るかが課題となる。
【0009】河口付近は、海水と淡水が潮位差などによ
ってリズミカルに海水と淡水が揺らぎあう、所謂、汽水
域である。従って、河口付近に堰を設けた場合、従来の
汽水域に生息していた微生物やヤマトジジミ等は、生存
できなくなる可能性があり、汽水域の河川の自然生態系
を著しく破壊することになる。
【0010】しかるに、もともと堰は河川水を淡水化し
て、河川水を水資源として利用するための施設である。
従って、堰上流は、何らかのかたちで淡水領域を確保し
なければ意味がなくなる。汽水域の生態系を多少維持す
るため、堰のゲートを開けたり閉めたりするという操作
によって、多少の汽水域を確保することはできないこと
はないが、ゲートの操作ではフルに淡水利用を実施でき
なくなるという難点と塩害をもたらす恐れがあることか
ら、おのずと限界があり、堰本来の機能を高める上で
も、ゲートをなるべく閉めて湛水し、淡水化された水を
資源として利用するにこしたことはない。
【0011】従って、堰を建設して、堰上流の湛水域か
ら取水口により淡水化された水は取り、河口堰の本来の
目的である淡水化による利水は同時に実施していく必要
がある。このように、堰本来の機能は生かした上で、一
方では魚が通る魚道部分においては、如何にして堰設置
以前の状況である、潮位差等によってリズミカルに海水
と淡水の揺らぎ合う汽水域を人工的に造り出し、水質と
いう観点から見て塩分濃度が揺らぎ合って、しかも上流
にいくに従い塩分濃度が希釈されていくという状態を人
工的に造って魚の遡上率をより一層上げていくかが課題
となる。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の魚道装置おいては、まず、従来どうりの魚
道と同様に本河川からの淡水が恒常的に魚道流路内を流
れるように、魚道の流入口及び流出口と魚道の勾配、
幅、長さを設計する。そして、その上で、海域から海水
をポンプで汲み上げ、汲み上げられた海水を魚道流路内
の上流側から下流側へと海水噴出口から海水を流出させ
ることによって、魚道内では海水と淡水が、混ざり合う
ようにした。
【0013】上記海水噴出口を魚道の流路内に数カ所以
上設置することによって、海水濃度を魚道内の水の流下
に沿って、塩分濃度を上げることが可能となり、下流に
いくに従って塩分濃度が濃くなるという、塩分濃度上の
勾配を有した魚道となることを可能ならしめ得るものと
なる。
【0014】さらに、時々刻々に変わる海の潮位、河川
の水位と河川流量などを計測しつつ、魚道流路内で流す
海水量を計算し、計算に従って、海水ポンプ等を制御
し、魚道に計算量の海水を混入せしめるようにすれば、
河口堰が設置される以前と同様に、自然界が有する、海
水と淡水の揺らぎといったリズムを少なくとも魚道内で
は模倣することが可能となり、自然界のリズムに沿った
塩分濃度勾配を有する魚道を設置することが可能とな
る。
【0015】
【作用】河口堰が設けられている河川においては、堰の
上流では淡水となり、下流は海水と混じるので塩分濃度
の濃い河川水となる。その塩分濃度差は場合によっては
海水と淡水との差にすらもなってしまう場合もあり、あ
る種の回遊性の魚類はこの大きな塩分の濃度差におい
て、塩分濃度の変化に体を調整することができなくなる
ので、堰の上流側から下流側(即ち流下)あるいは下流
側から上流(即ち遡上)へというように急激な移動をす
ることが極めて困難となり、遡上率も激減する。
【0016】かかる河口域において、本発明の人工塩分
濃度勾配を有した魚道は、通常、設置する河川におおよ
そ平行に沿って設置されるものであるが、必ずしも河川
に平行して設置しなければならないものではない。
【0017】まず、河口近辺に設置した本発明の魚道流
路の上流部分を本河川に繋ぎ、本河川より河川水を流入
せしめ、該魚道流路全般にわたって本河川水を通流せし
める。河口堰によって湛水した水は、魚道の方へ流れる
水と堰本体の方へ流れる水に上流において分けられる。
従って、魚道の流入口から、下記にしめす塩水が漏れ、
湛水域の淡水を塩化するようなことは生じない。(逆流
はしないように設計されるということである。)かくし
て、該魚道には河川水が恒常的に流れることになるが、
魚道の下流部は堰よりも下流にて、本河川と再び繋がれ
るか、もしくは魚道流路の下流部は河口部の海にまでそ
のまま延長され、海と接続される。
【0018】一方、魚道装置における海水取水口はでき
るだけ本河川河口付近の海中(海底)に設置される。こ
れは、海水の運搬エネルギーを最小するためである。そ
こから、海水が取水される。海水取水口にて取水される
海水は、海水揚水ポンプによって、海水パイプを通じて
揚水される。
【0019】揚水された海水は、海水パイプによって、
該魚道の流路の上流から下流へと適宜配分される。この
場合、海水のきめ細かい配分を容易にするため、海水揚
水パイプで汲み上げられた海水は一旦海水タンクで貯蔵
して、その後、海水を配分してもよい。
【0020】海水を魚道内に配分するにあたっては、次
のようなステップが踏まれる。まず、潮位センサーによ
り、海の潮位が、河川水位センサーにより河川の水位が
測定される。また、魚道の流路内に設けられた河川流量
計によって、河川からの水量が測定される。魚道の流路
は、その長さと幅、斜面の勾配が主たる設計要素とな
る。堰が建設される以前の、海水と淡水の揺らぎ合う汽
水域の河川状態をなるべく忠実に模倣するのが本発明の
魚道である。上記3つの海の潮位、河川水位、河川流量
のデータは情報ラインを通じて中央制御装置に伝送され
る。かくして、これらのデータと魚道の流路形状、長
さ、幅、勾配などの流路の設計諸要素を元に、堰が存在
しなかった以前であった場合に可能な限り相似させるよ
うに、魚道の流路内に流れる水の最適な塩分濃度勾配に
関するシュミレーション計算が、予め中央装置にて実施
される。
【0021】上記のシミュレーション計算結果に基づい
て、海水パイプに設けられた電磁バルブ、複数の送付ポ
ンプに中央制御装置からの指令が制御ラインを通じてい
き、よって、所要の海水量が、魚道の流路の上流・中流
・下流部分にそれぞれ複数配置されている海水噴出口か
ら魚道の流路内に流れる。この場合、塩分濃度の調整方
法として、海水量によってのみ調整する方法と、堰の淡
水化で得られた、取水口からの淡水を一旦海水と混ぜ
て、予め海水を希釈して魚道の流路内に流す方法がある
が、後者は前者に比べてよりきめ細かい制御が可能であ
るものの、その分だけ配管やタンクなどに工費がかか
る。
【0022】このようにして、本河川からの淡水と魚道
の流路内に通流した海水を適切に混合させることによっ
て、魚道の上流側から序々に塩分濃度が下流にいくにし
たがって濃くなるという、塩分濃度の勾配を持った魚道
を得ることができる。
【0023】また、魚道の脇に遊水池や貯水池、あるい
は魚用のプール、あるいはワンドなどを設けたりすれ
ば、魚道内で、汽水域に生息する微生物が繁殖し、汽水
域での葦なども育成できることになる。
【0024】魚がニオイによって母川を判別することを
考慮すれば、上記のことは重要で、汽水域で繁殖する生
態系が醸し出すニオイは、堰が建設される以前の母川と
近似でき得るので、遡上率が向上する。
【0025】以上、纏めると、本河川において、河口堰
近辺まで上ってきた回遊性の魚類またはその他の魚類
は、本魚道が無い場合は、堰によって遡上が阻害され、
通常の魚道であると、魚道からは淡水しか流れていない
ので、遡上率の低下を招くことになるが、本発明の魚道
が設置されている場合であると、本魚道における塩濃度
勾配が漸次的に変化されるように設定されるので、堰が
設置される以前とほぼ同様の遡上率が達成できることに
なる。
【0026】
【実施例】実施例について、図面−1を参照して説明す
る。河川1が海2に流れている場合の斜視図である。河
口には堰3が設けられている。堰3により湛水された堰
上流は淡水域4となる。堰下流は海水と淡水が混じり合
う、汽水域5となる。また、河川1には洪水などを防止
する堤防6が設けられている。取水口7により、淡水が
水資源として取られ、利用される。魚道流路12は通
常、河川1の脇に設置される。
【0027】海水を取り入れる海水取水口8は海2に設
置される。この海水取水口8に海水を送るための海水パ
イプ9が接続される。そして、海水揚水ポンプ10の働
きによって、海水パイプ9を通じて海水は、一旦、海水
タンク11に貯蔵される。なお、この実施例では海水を
貯蔵して利用する例であるが、簡易の場合は必ずしも海
水タンク11に海水を貯蔵する必要はなく、汲み上げら
れた海水は直接、魚道流路12へと流出するような構造
をとることも可能である。
【0028】海水は、海より直接引いてもよいが、海水
タンク11に一旦貯蔵した方が、必要な時に直ぐ海水を
手軽に利用できるので、きめ細かい制御を行うことが可
能となる。
【0029】このようにして、一旦引き上げられた海水
は、海水パイプ9を通じて送付ポンプ13の働きによ
り、魚道流路12内に設置されている海水噴出口14に
まで送られる。勿論、簡易な構造の場合は、海水揚水ポ
ンプ10はそのまま送付ポンプ13の働きを兼ねるの
で、海水ポンプ9を揚水用と送付用に分ける必要はな
い。即ち、簡易の場合であると、送付ポンプ13は必ず
しも設けなければならないということはなくなる。
【0030】かくして魚道流路12内に海水が流出する
ことになるが、流出する海水は全てポンプなどで人工的
に制御されているため、必要以上に海水が魚道内へ流れ
込み、塩分濃度が魚道内で上昇してしまうようなことは
ないし、逆流して魚道流路12から塩水が淡水域4へと
流れ込むようなことが起きないように、魚道流路12の
斜め勾配は設定されている。
【0031】堰3は本来、湛水された淡水域4の水を資
源として利用するものである。従って、本発明のような
人工的な汽水域5を有する魚道とは、少なくとも魚道内
の塩分が淡水域4に漏れ込んで、淡水に影響が出るよう
なことがあってはならない。このため、遮断壁15を設
け、魚道と淡水域4を明確に分ける必要がある。またこ
の遮断壁15によって魚道流路12が形成されることに
なるが、自然と同様な汽水域5を魚道で確保するために
は、相当な長さを必要とする遮断壁15が必要となる。
【0032】本発明の魚道は、従来のように堰3を設け
たことによって生じた段差を解消するための魚道ではな
く、塩分濃度を魚道流路12内で従来どうり、緩やかに
その濃度が変化するようにして、もって回遊性の魚にも
対応できるようにする必要があることから、魚道流路1
2内で海水が人工的に吹き出す口である、海水噴出口1
4は、複数魚道流路12内に設置され、各海水噴出口1
4から出る海水量によってきめ細かい塩分濃度の調整が
できるようにすることが望ましい。複数、海水噴出口1
4が設置されると、同量の海水量が流れると家庭した場
合であっも、魚道流路12内では流下するに従い塩分濃
度は高くなることになる。即ち、塩濃度の勾配がつけら
れることになる。この海水噴出口14は、口の構造をシ
ャワータイプにするなどして、淡水との混合を早めに行
い、遡上してくる魚に直接海水が当たらないようにする
などの処理も場合によっては必要となる。
【0033】海水噴出口14から、その噴出口の位置に
適合した適切な量の海水が流れ出るようにするには、各
々の海水噴出口14専用の流量調整機構を設けることが
望ましい。その流量調整には電磁バルブ16や送付ポン
プ13が使用されることになる。
【0034】主として海の潮の度合いと河川の流量によ
って汽水域5の状況は時々刻々と変化し、また遡上して
こようとする魚もこれら海2と河川1の状況の影響下に
ある。海2の潮位高さを計る潮位センサー23、河川の
水位を計る河川水位センサー18及び河川の流量を計る
河川流量センサー19、塩分濃度センサー17によって
これらの状況は時々刻々と把握され、情報ライン24を
通じて中央制御装置26へとそれらの情報は電送され
る。情報ライン24は光ファイバなどの通信ケーブルで
構成される。
【0035】これらの情報ライン24を通じて電送され
た情報と魚道の幅、長さ、斜面勾配などの基本的設計諸
要素を土台にして、中央制御装置26は時々刻々と変化
する自然の汽水域5の状態を、特に魚道部分の汽水域5
の状態について、堰3が設置される以前の状態を模倣す
るように、シミュレーション計算を実施する。
【0036】この計算結果に基づき、魚道流路12に送
るべき海水量をコントロールする。コントロールの方法
としては、制御ライン22で海水を送付する制御信号を
各送付ポンプ13に送りポンプの仕事量で水量の制御を
実施することとなる。かくして、魚道流路12内に設置
された多数の海水噴出口14から海水を適宜調整しなが
ら出すことによって、魚道流路12内の塩分濃度の勾配
をつけることになる。
【0037】魚道流路12内における塩分濃度は、魚道
流路12内に設置した塩分濃度センサー17によって把
握され、その塩分濃度は情報ライン24によって中央制
御装置26へとフィードバックされる。
【0038】このモニターされた塩分濃度で、魚道流路
12内の塩分濃度分布が時々刻々とどういう具合になっ
ているのか、中央制御装置26においては把握できるこ
とになるので、この把握した状況に基づき、塩分量が所
要の量に満たないならば、魚道に噴出させる海水量を増
やし、もって塩分を高めることができるようにする。か
くして、放出した海水による塩分量を絶えずフィードバ
ック的に制御することになるので、限りなく理想に近い
状態で、魚道の塩分濃度調整を実施することが可能とな
り、人工的に模倣された塩分濃度の勾配(上流にいくに
従い塩分が薄くなる)をつけることが可能となる。魚道
流路12内の汽水域5は人工的に得られる汽水域であ
り、その意味においては、堰下流の制御されていない汽
水域とは違う。
【0039】本発明の魚道は以上の構造と機能によって
人工的な塩分濃度勾配を有する魚道となるので、回遊性
の魚の遡上などに絶大の効果を発揮する。
【0040】なお、地形や地質上の制約によって魚道に
斜面勾配が十分につけれなかったりして、魚道内の塩分
が淡水域4まで漏れることがあるような場合、魚道の上
流の流入口には、淡水を強く放出させる必要があるが、
その場合は取水口から得られる水を利用するなどが考え
られる。この場合淡水タンク20を設けて電子制御され
たポンプにて、噴出させる水量をコントロールする。
【0041】また、海水を直接魚道に流さず、海水タン
ク11からの海水と淡水タンク20からの淡水をと混合
器21にて混ぜて希釈した混合液を魚道に流すようにす
れば、直接、海水が魚に接触することはなくなり、より
一層きめ細かい塩分濃度の調整を魚道流路内で実施する
ことが可能となる。
【0042】海水と淡水を魚道流路12内で混ぜるため
には、例えば山形の形状で魚道に流れる流水の力によっ
て海水を攪乱させる、攪乱器27を設置すれば、なお一
層、海水と淡水は混じり合うことになる。
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0043】河口等の海水と淡水が混じり合う汽水域に
おいて、従来であると堰などによって、塩分濃度の境界
線が生じてしまい、回遊性の魚が遡上するには、体を塩
分濃度の激減に合わせるのは無理であるので、遡上率が
激減しかねなかったが、本発明の魚道装置により、魚道
の流路内では上流に上るに従って次第に塩分濃度が下げ
られた汽水域を形成することが可能となり、魚にとって
は塩分濃度の変化に対応しやすくなるので、魚の遡上率
を大幅にアップすることが可能となる。
【0044】さらに、潮位や河川流量の観測により、そ
のデータに基づいて魚道内の塩分濃度を調整すれば、自
然の有するリズミカルに海水と淡水とがゆらぎあう汽水
域を形成することができるので、魚道内の汽水域の自然
環境を堰設置如何にかかわらず、元の汽水域状態を同様
の状況にできるので、たんに魚の遡上率を上げうるとい
うだけでなく、水鳥などの葦などの確保など、自然環境
の保全につながる。
【0045】また、魚道の流路脇に遊水池、貯水池など
を設置すれば、人工的な汽水域を形成することにもな
る。人工汽水域の面積如何では、海水と淡水が混じり合
う域が大幅に形成されることから、汽水域に生息するヤ
マトシジミなどの養殖も可能となる。
【0046】さらに、堰の本来機能である、淡水の水資
源利用については、人工的に形成される魚道の流路内の
汽水域とは、魚道の遮断壁によって明確に区分されるこ
とから、魚道の塩水が湛水された淡水域に漏れることは
ないので、従来どうりの堰による湛水化による淡水の取
水利用が可能となる。従って、既に、堰、及び取水口等
が建設された後であっても、それらの施設を壊す必要が
なく、従来どうりの利用が可能であり、既存の施設をそ
のまま生かすことができる。
【0047】魚道が既に設置されている場合では、既存
の魚道を包みこむように本発明の魚道を設置すれば、既
存魚道は壊さずに済むことになる。従って、河口堰を設
置し魚の遡上率が激減した魚道であっても、魚道自体は
何ら壊す必要がなく、新たに、堰の淡水域と新しく魚道
として設置する領域を遮断壁で仕切ればよいだけのこと
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】魚道装置の斜視図である。
【符号の説明】
1 河川 2 海 3 堰 4 淡水域 5 汽水域 6 堤防 7 取水口 8 海水取水口 9 海水パイプ 10 海水揚水ポンプ 11 海水タンク 12 魚道流路 13 送付ポンプ 14 海水噴出口 15 遮断壁 16 電磁バルブ 17 塩分濃度センサー 18 河川水位センサー 19 河川流量センサー 20 淡水タンク 21 混合器 22 制御ライン 23 潮位センサー 24 情報ライン 25 混合液噴出口 26 中央制御装置 27 攪乱器

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】河口付近に設置される魚道において、魚が
    遡上するための魚道流路に加え、海から海水を引き込む
    海水取水口、海水取水口に接続され、海水の流路となる
    海水パイプ、海水パイプと連結され海水を汲み上げる海
    水揚水ポンプ、魚道流路内もしくは流路に接続される貯
    水池、遊水池、魚用ポケットプール、あるいはワンド内
    にて、海水パイプに接続され海水を噴出する海水噴出口
    を設けた、人工塩濃度勾配を有した魚道装置。
  2. 【請求項2】海水ポンプによって汲み上げられた海水を
    貯蔵する海水タンクを設け、河口堰の取水口から得られ
    る淡水を貯蔵するための淡水タンクを設け、海水タンク
    の海水と淡水タンクの淡水を混ぜ合わせる混合器を有
    し、混合された液体を魚道の流路内に送付する送付ポン
    プを有し、魚道流路内もしくは流路に接続される貯水
    池、遊水池、魚用ポケットプールあるいはワンド内にて
    混合液体を噴出する混合液噴出口を設けた、請求項1記
    載の人工塩濃度勾配を有した魚道装置。
  3. 【請求項3】海の潮位高さを検出する潮位センサー、河
    川流量を計る河川流量センサー、塩分濃度を測定する塩
    分濃度センサーを設けるとともに、これらのセンサーの
    情報を収集する情報ラインが各センサーに接続され、こ
    の情報ラインと接続され、かつこれらのセンサーによっ
    て時々刻々と得られる情報と、魚道流路の形状・規模・
    斜面勾配に基づいて、海水と淡水が混じる汽水域を魚道
    流路内で勾配を持って人工的に造りだすための海水量も
    しくは混合液体量を各々の海水揚水ポンプもしくは送付
    ポンプに制御ラインを通じて指令を行う、中央制御装置
    を設けた、請求項1又は2記載の人工塩濃度勾配を有し
    た魚道装置。
  4. 【請求項4】魚道流路内において、海水噴出口もしくは
    混合液噴出口から流れる海水をその形状によって本河川
    からの水と適度に混ぜる働きを持つ攪乱器を有する、請
    求項1、2又は3記載の人工塩濃度勾配を有した魚道装
    置。
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